無線基地局装置
【課題】 事前にユーザリソースの正常性を確認することによって、システム保守管理に優れた無線基地局を提供することを目的とする。
【解決手段】 呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置において、前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定する。
【解決手段】 呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置において、前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動無線通信システムにおける無線基地局装置(BTS)におけるベースバンドリソースと有線伝送路リソース(ユーザリソース)の正常性確認機能を有する無線基地局装置に関し、特に無線基地局装置がユーザリソースの正常性を自律的に確認し、異常時にはリカバリー処理及び報告を行うことにより、稼動状態の確認及び異常状態の事前検出及び可能な限り回復が可能な無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の移動無線通信システムは、加入者の増加に伴い通信容量を圧迫しているが、継続して高品質のサービスを継続させることが必要不可欠な課題となっている。そのため、移動無線通信システムのインフラという観点から、無線基地局装置(BTS)の品質の影響が移動無線通信システムの品質に大きく寄与する。
【0003】
また、最近の移動無線システムでは、ベースバンド信号(BB)処理カードと有線伝送路処理部内のハードウェア/ファームウェアの処理資源(メモリ、回路等の占有時間や処理時間等を含む最小単位の使用資源)を各々ベースバンドリソース、有線伝送路リソースと定義し、これらを合わせたリソースを一つのユーザリソースとすることで、種々の通信サービスによって必要な数分だけ割り当ててサービスを供給しており、ユーザリソースが正常に機能するかどうかが通信サービスの品質に大きく影響すると考えられる。
【0004】
図12は無線基地局装置を用いた接続形態におけるシステム構成を示すブロック図である。図12において101は移動局、102,103は無線基地局装置、104は無線網制御装置、105は交換機、106は網である。
【0005】
図13は従来の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。同図において、201は有線伝送路処理部、202は呼処理制御部、203は保守監視制御部、204はベースバンド処理部、205は接続先切替装置、206は無線送受信部である。
【0006】
無線送受信(TRX)部206は、無線周波数帯域の送受信処理を行い、無線周波数帯域信号とベースバンド信号との変換を行う。ベースバンド信号(BB)処理部204は、ベースバンド信号の変復調、電力制御、チャネルコーデック処理等のベースバンド信号処理を行う。
【0007】
有線伝送処理部201は、ベースバンド処理部204及び無線網制御装置からの信号変換処理等を行う。呼処理(CP)制御部202は、主に呼処理に関して各機能部に対するリソース割り当て等の制御を行う。また、保守監視制御部203は無線基地局装置(BTS)としての運用状態等を管理している。また、接続先切替装置205は、有線伝送路処理部201と呼処理制御部202との間で無線送受信部206との接続を切り替える。
【0008】
主信号の流れは、上り方向については無線送受信(TRX)部206、ベースバンド信号(BB)処理部204、有線伝送路処理部201と流れ、下り方向は有線伝送路部処理部201、ベースバンド信号(BB)処理部204、無線送受信(TRX)部206へと流れる。
【0009】
次に、従来の呼処理制御部によるユーザリソース割り当てまでの処理動作を説明する。呼処理制御部202は要求される通信サービスにより、必要なユーザリソース数を算出し、ベースバンド処理部204に対してベースバンドリソース割り当て要求を発行し、有線伝送路処理部201に対して有線伝送路リソース要求を発行する。
【0010】
ベースバンド処理部204では、呼処理制御部202から要求されたベースバンドリソースが確保されたかどうかの応答を呼処理制御部202に対して返す。また、有線伝送路処理部201に関しても、呼処理制御部202から要求された有線伝送路リソースが確保されたかどうかの応答を呼処理制御部202に対して返す。
【0011】
呼処理制御部202では、ベースバンド処理部204と有線伝送路処理部201からの応答の両者が正常な場合にのみ、当該ユーザリソースが正常に確保された状態とし、確保したユーザリソースを使用し通信サービスの接続を行う。
【0012】
しかし、ユーザリソース割り当てが確保された状態では、確保したユーザリソースの機能的な正常性を確認していないため、機能的な異常があった場合でも事前に検出することが困難であった。本現象が発生すると、無線網制御装置にてユーザリソースの異常が検出されるため、呼処理制御部では呼損として扱い、当該ユーザリソースについては解放処理を行う。移動無線システムでは、呼損という現象をユーザから見ると「繋がりにくい移動無線システム」という認識を与えるため、無線基地局装置(BTS)全体が異常な状態でなくても、結果的に品質の低下を招く結果となる。
【0013】
このような現象を避けるため、従来技術では、運用開始前に行われる確認として、i)一部のユーザリソースに関して確認試験を実施し、運用中の確認として、ii)各処理開始間での動作確認(保守監視制御部とのヘルスチェック)を実施している。しかし、特に運用中の確認に関してユーザリソースの確認が行われていないことから、不具合発生時の無線基地局装置(BTS)異常状態検出の遅れ、異常個所の特定に時間を要する等の問題が発生する可能性があった。
【0014】
なお、上記技術に関連する従来技術として、下記特許文献が知られる(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−264871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来は上述したように、呼処理制御部において、事前にユーザリソースの正常性を確認していなかったため、通信サービスの要求発生時に何らかの異常によりユーザリソースが確保できなかった場合において、呼損の処理しか行えず品質の低下に繋がる恐れがあった。また、無線基地局(BTS)の異常状態検出や異常個所の特定が遅れる等、保守管理面において十分な対策がされていないという問題があった。
【0016】
本発明は、前記従来技術で説明したような欠点を解消し、事前にユーザリソースの正常性を確認することによって、システム保守管理に優れた無線基地局を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するため、本発明は、呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置であって、前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定することを特徴とする。
【0018】
実施の形態における無線基地局装置は、(1)無線基地局装置において、呼処理制御部から自律的にベースバンド処理部及び有線伝送路処理部に対して空きリソースによるユーザリソース正常性確認手段と、各処理部から呼処理制御部への正常性確認応答が通知できる手段とを備えている。
【0019】
また、呼処理制御部が正常性を行うユーザリソースに関しては(1)に示した通り空きリソースを用いて行うが正常性確認を行うリソース数及びタイミングについては、無線基地局装置(BTS)の全体的な負荷状態により、呼処理制御部にて柔軟に対応できる手段を備えている。
【0020】
さらに、(2)ベースバンド処理部及び有線伝送路処理部に関する前記正常性確認手段は、各処理部において異常があった場合に異常個所を特定できる手段と、呼処理制御部への異常個所通知手段を備えている。
【0021】
また、呼処理制御部が各処理部からの異常個所通知を受けた場合、(3)異常検出箇所を確実に特定するため、同様の正常性確認用リソースに対して再度正常性確認を行う(リトライ)手段を備えている。
【0022】
前記リトライ手段においても、正常性が確認できなかった場合、(4)無線基地局装置(BTS)としての正常性を保持するため、異常検出箇所に対して復旧処理を行う(リカバリ)手段を備えている。
【0023】
さらに、正常性確認を行ったリソースの中で異常リソース数が予め決められている許容異常リソース数を超えた場合、(5)自律的に無線基地局装置(BTS)としての状態をリソース異常状態とし、保守監視制御部から無線網制御装置への通知を行う手段を備えている。
【0024】
また、実施の形態における無線基地局装置は、無線網制御装置との接続手段としての有線伝送路処理部と、装置内の信号を分離多重する接続先切換機能部、
呼制御の統括処理を実施する呼処理制御部と、前記呼制御処理に関し、特に有線伝送路リソース管理及び処理を行う有線伝送路処理部と、前記呼制御処理に関し、特にベースバンドリソース管理及び処理を行うベースバンド処理部と、保守監視制御を実施する保守監視制御部と、移動局と無線インターフェースにて接続する無線送受信部と、前記呼処理制御部からの、有線伝送路処理部、ベースバンド処理部のリソース正常性確認手段とを有する。なお、前記正常性確認手段は、呼処理制御部からの指定に基づき確認可能となり、前記正常性確認手段は、確認後の結果を呼処理制御部に通知する。
【発明の効果】
【0025】
以上に説明したように本発明によれば、呼処理制御部とベースバンド処理部及び有線伝送路処理部間で、自律的にユーザリソースの正常性確認を行うため、異常リソースの事前検出を行い、新規呼発生時の呼損を低減することが可能となる。また、正常性確認で異常となったリソースに対してもリカバリー処理を行うことにより回復可能な場合があり、無線基地局装置としての異常状態となる確率が低減されるため、安定した運用が可能となる。さらに、異常なユーザリソースが異常許容リソースを超えた場合には、上位装置である無線網制御装置に対して報告を行えるため、無線基地局装置の異常状態を明確にすることが可能となり、保守性の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、無線基地局装置の接続形態を示すシステム構成は図12に示したものと同じであり、ここでの説明を省略する。
【0027】
図1は本発明の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。同図において、301は有線伝送路処理部、302は呼処理制御部、303は保守監視制御部、304はベースバンド処理部、305は接続先切替装置、306は無線送受信部である。無線送受信(TRX)部306及び接続先切替装置305は図13に示したものと同じである。
【0028】
図1において、ベースバンド信号処理部304は、従来と同様に複数のカードを備え、各カードのベースバンドリソースをチャネルに割り当ててベースバンド信号処理を行うとともに、呼処理制御部302からの正常性確認要求が発行された場合には、指定されたベースバンドリソースの正常性確認を行うと共にその結果を呼処理制御部302に通知するベースバンドリソース用正常性確認手段304Aが設けられている。
【0029】
有線伝送路処理部301も、従来と同様にベースバンド処理部304及び無線網制御装置からの信号変換処理等を行うとともに、呼処理制御部302からの正常性確認要求が発行された場合には、指定された有線伝送路リソースの正常性確認を行う有線伝送路リソース用正常性確認手段301Aが設けられている。
【0030】
また、同様に呼処理制御部302においてもユーザリソースの正常性を確認すると共にその結果を保守監視制御部303に通知するユーザリソース正常性確認手段302Aが設けられ、保守監視制御部303においては、正常性確認結果を図示しない無線制御装置に通知する正常性確認結果通知手段303Aが設けられている。
【0031】
以下、呼処理制御部302を中心としたユーザリソース正常性確認の手順(ユーザリソース正常性確認手段の動作)を図2〜図4に示す。以降にて、手順を詳細に示す。
【0032】
無線制御装置又は上位機種からユーザリソース正常性確認要求があると(S1)、確認用ユーザリソース割り当てを行い(S2)、確認用リソースの有無を判定する(S3)。確認用リソースが有る場合、ベースバンドリソース正常性確認要求を行う(S4)と共に、有線伝送路リソース正常性確認要求を行う(S5)。その後、第1,2確認応答判定をリトライ処理(S6)、リカバリー処理に対応して行い(S7)、第3確認応答判定を行う(S8)。異常が無い場合は、正常であるとして正常性確認用ベースバンドリソース解放要求を行い(S9)、また正常性確認用有線伝送路リソース解放要求を行い(S10)、その結果を判定し(S11)異常回数が所定回数(例えば5)を超えない場合は異常の動作を繰り返す(S12)。
【0033】
ベースバンドリソース正常性確認要求(S4)に対しては、図3に示すベースバンド処理動作が行われる(S13)。有線伝送路リソース正常性確認要求(S5)に対しては、有線伝送路処理動作が行われる(S14)。第1確認応答判定(S6)において異常の場合は図5に示すリトライ処理動作が行われ(S16)、第2確認応答判定(S7)において異常の場合は図6に示すリカバリー処理動作が行われ(S18)、第3確認応答判定(S8)において異常の場合は図7に示すユーザリソース異常処理動作が行われる(S20)。
【0034】
正常性確認用ベースバンドリソース解放要求(S9)及び正常性確認用有線伝送路リソース解放要求(S10)に対してもそれぞれ図3、図4において後述するベースバンド処理動作及び有線伝送路処理動作が行われ(S21,22)、その解放応答が行われる(S23)。なお、異常回数が所定数を超えたときは図7に示すユーザリソース異常処理動作が行われる(S24)。また、リトライ処理動作(S16)、リカバリー処理動作(S18)においてはそれぞれのリソースが確保できない場合も、それらがNGとして再トライが行われる(S25,26,27)。
【0035】
図3においては、呼処理制御部302からの要求に対して、正常性確認要求が判定されて(S31)、解放要求とされれば(S32)、正常性確認用ベースバンドリソース解放が行われ(S33)、図2のステップ19に戻る(S34)。
【0036】
一方、正常性確認要求の場合は、正常性確認用ベースバンドリソースが確保され(S41)、リソース確保の判定が行われる(S42)。リソース確保が行われた場合は、正常性確認準備状態に入り(S36)、図7に示す正常性確認動作が行われ(S37)、リトライ処理であるか否かが判定され(S38)、リトライ処理の場合は図2のステップS17に処理が戻る(S46)。リトライ処理でない場合は、リカバリー処理であるか否かが判定され(S39)、リカバリー処理の場合は図2のステップS19に処理が戻る(S47)。リカバリー処理でない場合は図2のステップS15に処理が戻る(S40)。
【0037】
なお、図4で後述する有線伝送路処理部301からの正常性確認準備指示がある場合は、有線伝送路正常性確認用リソースを確保し(S35)ステップS42に進む。また、ステップS42において正常性確認用ユーザリソースが確保できない場合はNGを出して(S43)図2のステップS25に処理が戻る(S45)。
【0038】
図4においては、呼処理制御部302からの要求に対して、正常性確認要求が判定されて(S51)、解放要求とされれば(S52)、正常性確認用有線伝送路リソース解放が行われ(S53)、図2のステップ19に戻る(S54)。
【0039】
一方、正常性確認要求の場合は、正常性確認用有線伝送路リソースが確保され(S61)、リソース確保の判定が行われる(S62)。リソース確保が行われた場合は、接続先切替装置305の設定変更が行われ(S55)、正常性確認準備状態に入り(S56)、図8に示す正常性確認動作が行われ(S57)、リトライ処理であるか否かが判定され(S58)、リトライ処理の場合は図2のステップS17に処理が戻る(S66)。リトライ処理でない場合は、リカバリー処理であるか否かが判定され(S59)、リカバリー処理の場合は図2のステップS19に処理が戻る(S67)。リカバリー処理でない場合は図2のステップS15に処理が戻る(S60)。
【0040】
以上のように、ベースバンド処理部304は、正常性確認用のベースバンドリソースが確保できなかった場合のみ、また有線伝送処理部301も、正常性確認用の有線伝送路リソースが確保できなかった場合のみ、呼処理制御部302に対して結果の通知を行う(S25)。
【0041】
また、有線伝送路処理部301は、正常性確認用の有線伝送路リソースが確保できた場合、接続先切替装置305の正常性確認用の有線伝送路リソース部分のみ正常性確認用に変更する(S55)。その後、ベースバンド処理部304に対して確認用リソース確保の通知を行う(S64)。ベースバンド処理部304も、正常性確認用のベースバンドリソースが確保できた場合のみ、正常性確認の準備状態完了状態となる(S36)。
【0042】
尚、呼処理制御部302は、各処理部が正常性確認中の場合には、新規呼のリソース割り当てに関しては正常性確認中以外の空きリソースを検索して割り当てるものとするが、高速データ用の新規呼要求等で連続したリソース割り当てが発生し、正常性確認中のリソース確保が必要な場合には、正常性確認を中断することがある。
【0043】
図5はリトライ処理動作を示しており、正常性確認要求があると判定された場合に(S71,Y)、処理部判定を行い、ベースバンド処理部又は有線伝送路処理部の判定を行って(S72)それぞれの判定部へ処理を移行する。正常性確認要求でないと判定されると異常メッセージを出力し、或いは、動作をキャンセルする(S73)。
【0044】
また、図6はリカバリー処理動作を示しており、リトライ処理動作と同様に、正常性確認要求があると判定された場合に(S81,Y)、処理部判定を行い、ベースバンド処理部又は有線伝送路処理部の判定を行って(S82)それぞれの判定部へ処理を移行する。正常性確認要求でないと判定されると異常メッセージを出力し、或いは、動作をキャンセルする(S83)。
【0045】
各処理部での正常性確認動作を図9に示す。正常性確認の準備状態完了状態後は、ベースバンド処理部304は確認用の擬似信号を発生させ(P0)、あたかも無線送受信(TRX)部306から上り信号を受信した場合と同様の経路にて、変復調(P1)、電力制御(P2)、チャネルコーデック処理(P3)等のベースバンド信号処理を行い、接続先切替装置305にてルーティングされ有線伝送路処理部へ信号を伝送する。
【0046】
有線伝送路処理部301では、信号変換等の処理を行った後、接続先切替装置305へ信号を伝送する。ここで入力された信号は、通常運用時では無線網制御装置へルーティングされるのに対し、正常性確認時はこれを下り信号として有線伝送路処理部へ入力し、信号変換等の処理を行う(P4)。次に、接続先切替装置305にてベースバンド処理部304へルーティングされ、ベースバンド処理部304はチャネルコーデック処理(P3)、電力制御(P2)、変復調(P1)を行う。最後に、ベースバンド信号処理部304は自己が発生させた確認用の擬似信号と変復調した結果を照合し、合致すれば正常性確認応答を呼処理制御部302に返す。
【0047】
呼処理制御部302は、ベースバンド処理部304からの正常性確認応答後、正常性確認用リソースの解放要求をベースバンド処理部304と有線伝送路処理部301に発行し、各処理部からの解放応答が正常の場合、正常性確認中状態から空き状態へと遷移し、通常発呼時にも割り当て可能な状態とする。
【0048】
一方、前記した正常性確認手段にて何らかの異常が発生した場合の処理について記述する。この際、発生箇所が特定できるように図10及び図11に示すような区分を設定する。尚、図10及び図11の処理区分は、図9の処理区分と一致している。
【0049】
図10に示した処理区分のいずれかにて異常を検出した場合、ベースバンド処理部が呼処理制御部302に対し、正常性確認の異常応答と処理区分を報告する(ステップS17、46、66)。呼処理制御部302は、表に示す処理区分に関して何れかの異常を検出した場合、まずリトライ処理として再度同様のリソースにて正常性確認を行う。
【0050】
本リトライ処理で前回異常だった箇所を含む各処理部での異常が検出されなかった場合には、ベースバンド処理部304は呼処理制御部302に対して正常性確認終了の応答を行う。
【0051】
また、リトライ処理でも各処理部から前回の異常区分と同様、或いは異なる区分の異常個所が検出された場合には、各処理部から呼処理制御部に対して異常応答と処理区分を報告する。
【0052】
次にリカバリー処理を行うため、呼処理制御部302は異常応答に含まれる処理区分を解析し、リカバリー処理を行う処理部と、処理内容を図11に従って決定する。図6に示したように、呼処理制御部302は、異常を検出した正常性確認用リソース及びリカバリー処理を行う処理部に対して処理内容を指定し、リカバリー処理要求を行う。ベースバンド処理部或いは有線伝送路処理部301は、リカバリー処理要求及び処理内容に対して所定のリカバリー処理を行い、リカバリー結果を再度呼処理制御部302に通知する。
【0053】
呼処理制御部302はリカバリー結果が正常の場合、再度同様の正常性確認用リソースを指定して正常性確認を行い、ベースバンド処理部304から正常性確認応答が報告された場合のみ、正常性確認用リソースの解放要求をベースバンド処理部304と有線伝送路処理部301に発行し、各処理部からの解放応答によって正常性確認中状態から空き状態へと遷移し、通常発呼時にも割り当て可能な状態とする。
【0054】
一方、図7に示すように、再度実施した正常性確認が異常であり、且つリカバリー結果が異常の場合、呼処理制御部302の監視機能に対して正常性確認用にて使用したリソースが異常状態であることを通知し、新規呼発生時に当該リソースを割り当てないようにリソース割り当て処理を行う(S91)。なお、図7において、確認ユーザリソース数が許容異常リソースより多い場合(S92,Y)は無線基地局装置のリソース状態の異常処理を行う(S93)。
【0055】
呼処理制御部302は、ユーザリソースの正常確認にて、異常が発生した場合でも前述したリソース割り当て変更の処理以外は正常運用を行うが、異常リソース数が無線基地局装置(BTS)に予め割り当てられている許容異常リソース数を超えた場合には、自律的に無線基地局装置(BTS)としての状態をリソース異常状態とし、保守監視制御部303から無線網制御装置への通知を行うことで、無線基地局装置の異常状態を無線網制御装置へ報告できる(図10)。
【0056】
なお、無線基地局装置(BTS)の許容異常リソース数に関しては、正常運用時に確保可能なリソース数との割合によって決定されるものとするが、高速データ等の新規呼に対するリソース割り当て時の呼損を低減するため、正常運用時に確保可能なリソースに対して5%程度が妥当と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態における無線基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図2】呼処理制御部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図3】ベースバンド処理部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図4】有線伝送路処理部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図5】リトライ処理動作を示すフローチャートである。
【図6】リカバリー処理動作を示すフローチャートである。
【図7】呼処理制御部におけるユーザリソース異常処理動作を示すフローチャートである。
【図8】保守監視制御部におけるユーザリソース異常処理動作を示すフローチャートである。
【図9】正常性確認処理動作を示す説明図である。
【図10】正常性確認時の異常処理区分と内容を示す図である。
【図11】正常性確認時のリカバリー処理区分と内容を示す図である。
【図12】無線基地局装置の無線基地局装置を用いた接続形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図13】従来の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
101 移動局、102,103 無線基地局装置、104 無線網制御装置、105 交換機、106 網、301 有線伝送路処理部、302 呼処理制御部、303 保守監視制御部、304 ベースバンド処理部、305 接続先切替装置、306 無線送受信部、301A 有線伝送路リソース用正常性確認手段、302A ユーザリソース正常性確認手段、303A 正常性確認結果通知手段、304A ベースバンドリソース用正常性確認手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動無線通信システムにおける無線基地局装置(BTS)におけるベースバンドリソースと有線伝送路リソース(ユーザリソース)の正常性確認機能を有する無線基地局装置に関し、特に無線基地局装置がユーザリソースの正常性を自律的に確認し、異常時にはリカバリー処理及び報告を行うことにより、稼動状態の確認及び異常状態の事前検出及び可能な限り回復が可能な無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の移動無線通信システムは、加入者の増加に伴い通信容量を圧迫しているが、継続して高品質のサービスを継続させることが必要不可欠な課題となっている。そのため、移動無線通信システムのインフラという観点から、無線基地局装置(BTS)の品質の影響が移動無線通信システムの品質に大きく寄与する。
【0003】
また、最近の移動無線システムでは、ベースバンド信号(BB)処理カードと有線伝送路処理部内のハードウェア/ファームウェアの処理資源(メモリ、回路等の占有時間や処理時間等を含む最小単位の使用資源)を各々ベースバンドリソース、有線伝送路リソースと定義し、これらを合わせたリソースを一つのユーザリソースとすることで、種々の通信サービスによって必要な数分だけ割り当ててサービスを供給しており、ユーザリソースが正常に機能するかどうかが通信サービスの品質に大きく影響すると考えられる。
【0004】
図12は無線基地局装置を用いた接続形態におけるシステム構成を示すブロック図である。図12において101は移動局、102,103は無線基地局装置、104は無線網制御装置、105は交換機、106は網である。
【0005】
図13は従来の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。同図において、201は有線伝送路処理部、202は呼処理制御部、203は保守監視制御部、204はベースバンド処理部、205は接続先切替装置、206は無線送受信部である。
【0006】
無線送受信(TRX)部206は、無線周波数帯域の送受信処理を行い、無線周波数帯域信号とベースバンド信号との変換を行う。ベースバンド信号(BB)処理部204は、ベースバンド信号の変復調、電力制御、チャネルコーデック処理等のベースバンド信号処理を行う。
【0007】
有線伝送処理部201は、ベースバンド処理部204及び無線網制御装置からの信号変換処理等を行う。呼処理(CP)制御部202は、主に呼処理に関して各機能部に対するリソース割り当て等の制御を行う。また、保守監視制御部203は無線基地局装置(BTS)としての運用状態等を管理している。また、接続先切替装置205は、有線伝送路処理部201と呼処理制御部202との間で無線送受信部206との接続を切り替える。
【0008】
主信号の流れは、上り方向については無線送受信(TRX)部206、ベースバンド信号(BB)処理部204、有線伝送路処理部201と流れ、下り方向は有線伝送路部処理部201、ベースバンド信号(BB)処理部204、無線送受信(TRX)部206へと流れる。
【0009】
次に、従来の呼処理制御部によるユーザリソース割り当てまでの処理動作を説明する。呼処理制御部202は要求される通信サービスにより、必要なユーザリソース数を算出し、ベースバンド処理部204に対してベースバンドリソース割り当て要求を発行し、有線伝送路処理部201に対して有線伝送路リソース要求を発行する。
【0010】
ベースバンド処理部204では、呼処理制御部202から要求されたベースバンドリソースが確保されたかどうかの応答を呼処理制御部202に対して返す。また、有線伝送路処理部201に関しても、呼処理制御部202から要求された有線伝送路リソースが確保されたかどうかの応答を呼処理制御部202に対して返す。
【0011】
呼処理制御部202では、ベースバンド処理部204と有線伝送路処理部201からの応答の両者が正常な場合にのみ、当該ユーザリソースが正常に確保された状態とし、確保したユーザリソースを使用し通信サービスの接続を行う。
【0012】
しかし、ユーザリソース割り当てが確保された状態では、確保したユーザリソースの機能的な正常性を確認していないため、機能的な異常があった場合でも事前に検出することが困難であった。本現象が発生すると、無線網制御装置にてユーザリソースの異常が検出されるため、呼処理制御部では呼損として扱い、当該ユーザリソースについては解放処理を行う。移動無線システムでは、呼損という現象をユーザから見ると「繋がりにくい移動無線システム」という認識を与えるため、無線基地局装置(BTS)全体が異常な状態でなくても、結果的に品質の低下を招く結果となる。
【0013】
このような現象を避けるため、従来技術では、運用開始前に行われる確認として、i)一部のユーザリソースに関して確認試験を実施し、運用中の確認として、ii)各処理開始間での動作確認(保守監視制御部とのヘルスチェック)を実施している。しかし、特に運用中の確認に関してユーザリソースの確認が行われていないことから、不具合発生時の無線基地局装置(BTS)異常状態検出の遅れ、異常個所の特定に時間を要する等の問題が発生する可能性があった。
【0014】
なお、上記技術に関連する従来技術として、下記特許文献が知られる(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−264871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来は上述したように、呼処理制御部において、事前にユーザリソースの正常性を確認していなかったため、通信サービスの要求発生時に何らかの異常によりユーザリソースが確保できなかった場合において、呼損の処理しか行えず品質の低下に繋がる恐れがあった。また、無線基地局(BTS)の異常状態検出や異常個所の特定が遅れる等、保守管理面において十分な対策がされていないという問題があった。
【0016】
本発明は、前記従来技術で説明したような欠点を解消し、事前にユーザリソースの正常性を確認することによって、システム保守管理に優れた無線基地局を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するため、本発明は、呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置であって、前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定することを特徴とする。
【0018】
実施の形態における無線基地局装置は、(1)無線基地局装置において、呼処理制御部から自律的にベースバンド処理部及び有線伝送路処理部に対して空きリソースによるユーザリソース正常性確認手段と、各処理部から呼処理制御部への正常性確認応答が通知できる手段とを備えている。
【0019】
また、呼処理制御部が正常性を行うユーザリソースに関しては(1)に示した通り空きリソースを用いて行うが正常性確認を行うリソース数及びタイミングについては、無線基地局装置(BTS)の全体的な負荷状態により、呼処理制御部にて柔軟に対応できる手段を備えている。
【0020】
さらに、(2)ベースバンド処理部及び有線伝送路処理部に関する前記正常性確認手段は、各処理部において異常があった場合に異常個所を特定できる手段と、呼処理制御部への異常個所通知手段を備えている。
【0021】
また、呼処理制御部が各処理部からの異常個所通知を受けた場合、(3)異常検出箇所を確実に特定するため、同様の正常性確認用リソースに対して再度正常性確認を行う(リトライ)手段を備えている。
【0022】
前記リトライ手段においても、正常性が確認できなかった場合、(4)無線基地局装置(BTS)としての正常性を保持するため、異常検出箇所に対して復旧処理を行う(リカバリ)手段を備えている。
【0023】
さらに、正常性確認を行ったリソースの中で異常リソース数が予め決められている許容異常リソース数を超えた場合、(5)自律的に無線基地局装置(BTS)としての状態をリソース異常状態とし、保守監視制御部から無線網制御装置への通知を行う手段を備えている。
【0024】
また、実施の形態における無線基地局装置は、無線網制御装置との接続手段としての有線伝送路処理部と、装置内の信号を分離多重する接続先切換機能部、
呼制御の統括処理を実施する呼処理制御部と、前記呼制御処理に関し、特に有線伝送路リソース管理及び処理を行う有線伝送路処理部と、前記呼制御処理に関し、特にベースバンドリソース管理及び処理を行うベースバンド処理部と、保守監視制御を実施する保守監視制御部と、移動局と無線インターフェースにて接続する無線送受信部と、前記呼処理制御部からの、有線伝送路処理部、ベースバンド処理部のリソース正常性確認手段とを有する。なお、前記正常性確認手段は、呼処理制御部からの指定に基づき確認可能となり、前記正常性確認手段は、確認後の結果を呼処理制御部に通知する。
【発明の効果】
【0025】
以上に説明したように本発明によれば、呼処理制御部とベースバンド処理部及び有線伝送路処理部間で、自律的にユーザリソースの正常性確認を行うため、異常リソースの事前検出を行い、新規呼発生時の呼損を低減することが可能となる。また、正常性確認で異常となったリソースに対してもリカバリー処理を行うことにより回復可能な場合があり、無線基地局装置としての異常状態となる確率が低減されるため、安定した運用が可能となる。さらに、異常なユーザリソースが異常許容リソースを超えた場合には、上位装置である無線網制御装置に対して報告を行えるため、無線基地局装置の異常状態を明確にすることが可能となり、保守性の向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、無線基地局装置の接続形態を示すシステム構成は図12に示したものと同じであり、ここでの説明を省略する。
【0027】
図1は本発明の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。同図において、301は有線伝送路処理部、302は呼処理制御部、303は保守監視制御部、304はベースバンド処理部、305は接続先切替装置、306は無線送受信部である。無線送受信(TRX)部306及び接続先切替装置305は図13に示したものと同じである。
【0028】
図1において、ベースバンド信号処理部304は、従来と同様に複数のカードを備え、各カードのベースバンドリソースをチャネルに割り当ててベースバンド信号処理を行うとともに、呼処理制御部302からの正常性確認要求が発行された場合には、指定されたベースバンドリソースの正常性確認を行うと共にその結果を呼処理制御部302に通知するベースバンドリソース用正常性確認手段304Aが設けられている。
【0029】
有線伝送路処理部301も、従来と同様にベースバンド処理部304及び無線網制御装置からの信号変換処理等を行うとともに、呼処理制御部302からの正常性確認要求が発行された場合には、指定された有線伝送路リソースの正常性確認を行う有線伝送路リソース用正常性確認手段301Aが設けられている。
【0030】
また、同様に呼処理制御部302においてもユーザリソースの正常性を確認すると共にその結果を保守監視制御部303に通知するユーザリソース正常性確認手段302Aが設けられ、保守監視制御部303においては、正常性確認結果を図示しない無線制御装置に通知する正常性確認結果通知手段303Aが設けられている。
【0031】
以下、呼処理制御部302を中心としたユーザリソース正常性確認の手順(ユーザリソース正常性確認手段の動作)を図2〜図4に示す。以降にて、手順を詳細に示す。
【0032】
無線制御装置又は上位機種からユーザリソース正常性確認要求があると(S1)、確認用ユーザリソース割り当てを行い(S2)、確認用リソースの有無を判定する(S3)。確認用リソースが有る場合、ベースバンドリソース正常性確認要求を行う(S4)と共に、有線伝送路リソース正常性確認要求を行う(S5)。その後、第1,2確認応答判定をリトライ処理(S6)、リカバリー処理に対応して行い(S7)、第3確認応答判定を行う(S8)。異常が無い場合は、正常であるとして正常性確認用ベースバンドリソース解放要求を行い(S9)、また正常性確認用有線伝送路リソース解放要求を行い(S10)、その結果を判定し(S11)異常回数が所定回数(例えば5)を超えない場合は異常の動作を繰り返す(S12)。
【0033】
ベースバンドリソース正常性確認要求(S4)に対しては、図3に示すベースバンド処理動作が行われる(S13)。有線伝送路リソース正常性確認要求(S5)に対しては、有線伝送路処理動作が行われる(S14)。第1確認応答判定(S6)において異常の場合は図5に示すリトライ処理動作が行われ(S16)、第2確認応答判定(S7)において異常の場合は図6に示すリカバリー処理動作が行われ(S18)、第3確認応答判定(S8)において異常の場合は図7に示すユーザリソース異常処理動作が行われる(S20)。
【0034】
正常性確認用ベースバンドリソース解放要求(S9)及び正常性確認用有線伝送路リソース解放要求(S10)に対してもそれぞれ図3、図4において後述するベースバンド処理動作及び有線伝送路処理動作が行われ(S21,22)、その解放応答が行われる(S23)。なお、異常回数が所定数を超えたときは図7に示すユーザリソース異常処理動作が行われる(S24)。また、リトライ処理動作(S16)、リカバリー処理動作(S18)においてはそれぞれのリソースが確保できない場合も、それらがNGとして再トライが行われる(S25,26,27)。
【0035】
図3においては、呼処理制御部302からの要求に対して、正常性確認要求が判定されて(S31)、解放要求とされれば(S32)、正常性確認用ベースバンドリソース解放が行われ(S33)、図2のステップ19に戻る(S34)。
【0036】
一方、正常性確認要求の場合は、正常性確認用ベースバンドリソースが確保され(S41)、リソース確保の判定が行われる(S42)。リソース確保が行われた場合は、正常性確認準備状態に入り(S36)、図7に示す正常性確認動作が行われ(S37)、リトライ処理であるか否かが判定され(S38)、リトライ処理の場合は図2のステップS17に処理が戻る(S46)。リトライ処理でない場合は、リカバリー処理であるか否かが判定され(S39)、リカバリー処理の場合は図2のステップS19に処理が戻る(S47)。リカバリー処理でない場合は図2のステップS15に処理が戻る(S40)。
【0037】
なお、図4で後述する有線伝送路処理部301からの正常性確認準備指示がある場合は、有線伝送路正常性確認用リソースを確保し(S35)ステップS42に進む。また、ステップS42において正常性確認用ユーザリソースが確保できない場合はNGを出して(S43)図2のステップS25に処理が戻る(S45)。
【0038】
図4においては、呼処理制御部302からの要求に対して、正常性確認要求が判定されて(S51)、解放要求とされれば(S52)、正常性確認用有線伝送路リソース解放が行われ(S53)、図2のステップ19に戻る(S54)。
【0039】
一方、正常性確認要求の場合は、正常性確認用有線伝送路リソースが確保され(S61)、リソース確保の判定が行われる(S62)。リソース確保が行われた場合は、接続先切替装置305の設定変更が行われ(S55)、正常性確認準備状態に入り(S56)、図8に示す正常性確認動作が行われ(S57)、リトライ処理であるか否かが判定され(S58)、リトライ処理の場合は図2のステップS17に処理が戻る(S66)。リトライ処理でない場合は、リカバリー処理であるか否かが判定され(S59)、リカバリー処理の場合は図2のステップS19に処理が戻る(S67)。リカバリー処理でない場合は図2のステップS15に処理が戻る(S60)。
【0040】
以上のように、ベースバンド処理部304は、正常性確認用のベースバンドリソースが確保できなかった場合のみ、また有線伝送処理部301も、正常性確認用の有線伝送路リソースが確保できなかった場合のみ、呼処理制御部302に対して結果の通知を行う(S25)。
【0041】
また、有線伝送路処理部301は、正常性確認用の有線伝送路リソースが確保できた場合、接続先切替装置305の正常性確認用の有線伝送路リソース部分のみ正常性確認用に変更する(S55)。その後、ベースバンド処理部304に対して確認用リソース確保の通知を行う(S64)。ベースバンド処理部304も、正常性確認用のベースバンドリソースが確保できた場合のみ、正常性確認の準備状態完了状態となる(S36)。
【0042】
尚、呼処理制御部302は、各処理部が正常性確認中の場合には、新規呼のリソース割り当てに関しては正常性確認中以外の空きリソースを検索して割り当てるものとするが、高速データ用の新規呼要求等で連続したリソース割り当てが発生し、正常性確認中のリソース確保が必要な場合には、正常性確認を中断することがある。
【0043】
図5はリトライ処理動作を示しており、正常性確認要求があると判定された場合に(S71,Y)、処理部判定を行い、ベースバンド処理部又は有線伝送路処理部の判定を行って(S72)それぞれの判定部へ処理を移行する。正常性確認要求でないと判定されると異常メッセージを出力し、或いは、動作をキャンセルする(S73)。
【0044】
また、図6はリカバリー処理動作を示しており、リトライ処理動作と同様に、正常性確認要求があると判定された場合に(S81,Y)、処理部判定を行い、ベースバンド処理部又は有線伝送路処理部の判定を行って(S82)それぞれの判定部へ処理を移行する。正常性確認要求でないと判定されると異常メッセージを出力し、或いは、動作をキャンセルする(S83)。
【0045】
各処理部での正常性確認動作を図9に示す。正常性確認の準備状態完了状態後は、ベースバンド処理部304は確認用の擬似信号を発生させ(P0)、あたかも無線送受信(TRX)部306から上り信号を受信した場合と同様の経路にて、変復調(P1)、電力制御(P2)、チャネルコーデック処理(P3)等のベースバンド信号処理を行い、接続先切替装置305にてルーティングされ有線伝送路処理部へ信号を伝送する。
【0046】
有線伝送路処理部301では、信号変換等の処理を行った後、接続先切替装置305へ信号を伝送する。ここで入力された信号は、通常運用時では無線網制御装置へルーティングされるのに対し、正常性確認時はこれを下り信号として有線伝送路処理部へ入力し、信号変換等の処理を行う(P4)。次に、接続先切替装置305にてベースバンド処理部304へルーティングされ、ベースバンド処理部304はチャネルコーデック処理(P3)、電力制御(P2)、変復調(P1)を行う。最後に、ベースバンド信号処理部304は自己が発生させた確認用の擬似信号と変復調した結果を照合し、合致すれば正常性確認応答を呼処理制御部302に返す。
【0047】
呼処理制御部302は、ベースバンド処理部304からの正常性確認応答後、正常性確認用リソースの解放要求をベースバンド処理部304と有線伝送路処理部301に発行し、各処理部からの解放応答が正常の場合、正常性確認中状態から空き状態へと遷移し、通常発呼時にも割り当て可能な状態とする。
【0048】
一方、前記した正常性確認手段にて何らかの異常が発生した場合の処理について記述する。この際、発生箇所が特定できるように図10及び図11に示すような区分を設定する。尚、図10及び図11の処理区分は、図9の処理区分と一致している。
【0049】
図10に示した処理区分のいずれかにて異常を検出した場合、ベースバンド処理部が呼処理制御部302に対し、正常性確認の異常応答と処理区分を報告する(ステップS17、46、66)。呼処理制御部302は、表に示す処理区分に関して何れかの異常を検出した場合、まずリトライ処理として再度同様のリソースにて正常性確認を行う。
【0050】
本リトライ処理で前回異常だった箇所を含む各処理部での異常が検出されなかった場合には、ベースバンド処理部304は呼処理制御部302に対して正常性確認終了の応答を行う。
【0051】
また、リトライ処理でも各処理部から前回の異常区分と同様、或いは異なる区分の異常個所が検出された場合には、各処理部から呼処理制御部に対して異常応答と処理区分を報告する。
【0052】
次にリカバリー処理を行うため、呼処理制御部302は異常応答に含まれる処理区分を解析し、リカバリー処理を行う処理部と、処理内容を図11に従って決定する。図6に示したように、呼処理制御部302は、異常を検出した正常性確認用リソース及びリカバリー処理を行う処理部に対して処理内容を指定し、リカバリー処理要求を行う。ベースバンド処理部或いは有線伝送路処理部301は、リカバリー処理要求及び処理内容に対して所定のリカバリー処理を行い、リカバリー結果を再度呼処理制御部302に通知する。
【0053】
呼処理制御部302はリカバリー結果が正常の場合、再度同様の正常性確認用リソースを指定して正常性確認を行い、ベースバンド処理部304から正常性確認応答が報告された場合のみ、正常性確認用リソースの解放要求をベースバンド処理部304と有線伝送路処理部301に発行し、各処理部からの解放応答によって正常性確認中状態から空き状態へと遷移し、通常発呼時にも割り当て可能な状態とする。
【0054】
一方、図7に示すように、再度実施した正常性確認が異常であり、且つリカバリー結果が異常の場合、呼処理制御部302の監視機能に対して正常性確認用にて使用したリソースが異常状態であることを通知し、新規呼発生時に当該リソースを割り当てないようにリソース割り当て処理を行う(S91)。なお、図7において、確認ユーザリソース数が許容異常リソースより多い場合(S92,Y)は無線基地局装置のリソース状態の異常処理を行う(S93)。
【0055】
呼処理制御部302は、ユーザリソースの正常確認にて、異常が発生した場合でも前述したリソース割り当て変更の処理以外は正常運用を行うが、異常リソース数が無線基地局装置(BTS)に予め割り当てられている許容異常リソース数を超えた場合には、自律的に無線基地局装置(BTS)としての状態をリソース異常状態とし、保守監視制御部303から無線網制御装置への通知を行うことで、無線基地局装置の異常状態を無線網制御装置へ報告できる(図10)。
【0056】
なお、無線基地局装置(BTS)の許容異常リソース数に関しては、正常運用時に確保可能なリソース数との割合によって決定されるものとするが、高速データ等の新規呼に対するリソース割り当て時の呼損を低減するため、正常運用時に確保可能なリソースに対して5%程度が妥当と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態における無線基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図2】呼処理制御部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図3】ベースバンド処理部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図4】有線伝送路処理部におけるユーザリソース正常性確認動作を示すフローチャートである。
【図5】リトライ処理動作を示すフローチャートである。
【図6】リカバリー処理動作を示すフローチャートである。
【図7】呼処理制御部におけるユーザリソース異常処理動作を示すフローチャートである。
【図8】保守監視制御部におけるユーザリソース異常処理動作を示すフローチャートである。
【図9】正常性確認処理動作を示す説明図である。
【図10】正常性確認時の異常処理区分と内容を示す図である。
【図11】正常性確認時のリカバリー処理区分と内容を示す図である。
【図12】無線基地局装置の無線基地局装置を用いた接続形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図13】従来の無線基地局装置(BTS)の主要機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
101 移動局、102,103 無線基地局装置、104 無線網制御装置、105 交換機、106 網、301 有線伝送路処理部、302 呼処理制御部、303 保守監視制御部、304 ベースバンド処理部、305 接続先切替装置、306 無線送受信部、301A 有線伝送路リソース用正常性確認手段、302A ユーザリソース正常性確認手段、303A 正常性確認結果通知手段、304A ベースバンドリソース用正常性確認手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置であって、
前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項1】
呼処理におけるユーザリソース状態を監視し、異常が発生した場合に呼処理制御部に通知するリソース状態監視手段を有する無線基地局装置であって、
前記リソース状態監視手段は、空きリソースを用いて確認用擬似信号による上り信号を折り返して下り信号としてユーザリソースの確認を行うと共に、異常を検出した場合は、異常発生箇所と対応手段を特定することを特徴とする無線基地局装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−20143(P2006−20143A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196794(P2004−196794)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]