説明

無線機およびダイバーシティ制御方法

【課題】ダイバーシティ受信において複数の無線方式に対応するために、無線方式毎に決められたアンテナ及びRF処理部を必要とせず、特に車載無線機においてアンテナ及びRF処理部を設置する位置及び個数に関し特別な最適配置設計の必要性を低減させ得る無線機及びダイバーシティ制御方法を提供する。
【解決手段】無線機1は複数の無線処理部5a等と無線処理部5a等を制御する無線信号制御部20とを有しダイバーシティ制御を行なう。無線処理部5a等は受信帯域特性が可変のチューナブルアンテナ10a等を備えている。無線信号制御部20は無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量及び位置を選択してチューナブルアンテナ10a等側へ周波数及び帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部5a等が受信する無線信号Rfa等の振幅及び位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを有するダイバーシティ制御を行なう無線機および当該ダイバーシティ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイバーシティ受信を行う場合、複数の無線方式に対応するには、無線方式毎に決められたアンテナおよび無線(RF)処理部が必要であった。特許文献1には、ダイバーシティ制御において、受信レベルの測定結果が最も高いアンテナ素子から受信信号を取り込むようにアンテナ切替部を制御する方式について記載されている。特許文献1では、無線方式毎に決められたアンテナに切替えることと、既存のダイバーシティ制御を行なうこととが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−246969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、特許文献1では無線方式毎に決められたアンテナを用い、既存のダイバーシティ制御を行なっていたため、結局、ダイバーシティ受信において複数の無線方式に対応するには、無線方式毎に決められたアンテナおよびRF処理部が必要であった。特に、車載無線機においてダイバーシティ受信を行う場合、上述の問題に加えて、車両に設置する都合上、アンテナおよびRF処理部を設置する位置および個数が固定されていた。この結果、車載無線機ではダイバーシティ効果自体が限定的なものとなっていた。一方、近年、車載無線機が対応するべき無線方式は増加しているため、無線方式後毎のアンテナおよびRF処理部の最適配置設計が必要となり、車載無線機においてダイバーシティ受信を行う場合の開発コストおよび開発期間の増加につながるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、ダイバーシティ受信において複数の無線方式に対応するために、ダイバーシティ効果を高め且つ無線方式毎に決められたアンテナおよびRF処理部を必要とせず、特に、車載無線機においてダイバーシティ受信を行う場合、アンテナおよびRF処理部を設置する位置および個数に関し、特別な最適配置設計の必要性を低減させることができる無線機およびダイバーシティ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の無線機は、複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを有するダイバーシティ制御を行なう無線機であって、前記無線処理部は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナを備え、前記無線信号制御部は、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択して前記チューナブルアンテナ側へ周波数及び帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部が受信する無線信号の振幅及び位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうことを特徴とする。
【0007】
ここで、この発明の無線機において、前記無線処理部は、受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナと、前記チューナブルアンテナの受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部と、前記アンテナ特性制御部により制御された前記チューナブルアンテナにより受信した無線信号の無線処理を行って受信信号を出力する無線部とを備え、前記無線信号制御部は、前記複数の無線部から送られた受信信号を無線方式に応じて切替える無線切替手段と、前記無線切替手段により切替えられた受信信号を入力し、無線方式に応じて復調する復調手段群と、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうダイバーシティ制御手段とを備え、前記ダイバーシティ制御手段は、無線方式に応じて前記復調手段群の中から復調手段を選択する選択手段と、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択し、該無線処理部のアンテナ特性制御部へ周波数及び帯域幅設定情報を送信する無線処理部選択手段と、前記無線処理部選択手段により選択した無線処理部のチューナブルアンテナが受信する無線信号の振幅及び位相を制御し、該無線処理部の無線部から出力された受信信号を前記選択手段により選択した復調手段に復調させることにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御手段とを備えることができる。
【0008】
ここで、この発明の無線機において、前記ダイバーシティ制御部は、前記無線処理部選択手段により選択された無線処理部が出力する受信信号の品質を監視し、該品質と無線方式毎に予め定められた受信品質との比較結果に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を変更する監視部をさらに備えることができる。
【0009】
ここで、この発明の無線機において、前記ダイバーシティ制御部は、前記無線処理部選択手段により選択された無線処理部が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、所定の選択基準に基づき複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を調整する調整部をさらに備えることができる。
【0010】
ここで、この発明の無線機において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【0011】
この発明のダイバーシティ制御方法は、複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを有する無線機におけるダイバーシティ制御方法であって、該無線処理部は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナを備えており、前記無線信号制御部が、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択して前記チューナブルアンテナ側へ周波数及び帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部が受信する無線信号の振幅及び位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうことを特徴とする。
【0012】
ここで、この発明のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部は、受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナと、前記チューナブルアンテナの受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部と、前記アンテナ特性制御部により制御された前記チューナブルアンテナにより受信した無線信号の無線処理を行って受信信号を出力する無線部とを備えており、前記無線信号制御部が、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択し、該無線処理部のアンテナ特性制御部へ周波数及び帯域幅設定情報を送信する無線処理部選択ステップと、前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部から送られた受信信号を無線方式に応じて切替える無線切替ステップと、前記無線切替ステップで切替えられた受信信号を無線方式に応じて選択された復調手段に復調させる復調ステップとを備え、前記無線処理部選択ステップで選択した無線処理部のチューナブルアンテナが受信する無線信号の振幅及び位相を制御しつつ、該無線処理部の無線部から出力された受信信号を選択された復調手段に復調させることにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御ステップとを備えることができる。
【0013】
ここで、この発明のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部が出力する受信信号の品質を監視し、該品質と無線方式毎に予め定められた受信品質との比較結果に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を変更する監視ステップをさらに備えることができる。
【0014】
ここで、この発明のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、所定の選択基準に基づき複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を調整する調整ステップをさらに備えることができる。
【0015】
ここで、この発明のダイバーシティ制御方法において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の無線機等によれば、複数の無線処理部と、無線処理部を制御する無線信号制御部とを有し、ダイバーシティ制御を行なう。無線処理部は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナを備えている。無線信号制御部は、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量および位置を選択して、チューナブルアンテナ側へ周波数および帯域幅設定情報を信号により送信し、選択した無線処理部が受信する無線信号の振幅および位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう。このため、無線機において処理が必要とされている無線方式各々に対して、割当てるチューナブルアンテナ等の数量および位置を選択し、無線信号の振幅および位相を制御することができる。この結果、各無線方式に応じて復調されたDTV信号、携帯電話用信号、FM信号/FM VICS信号等を得ることができる。言い換えれば、無線機が必要としている無線方式間で最適なチューナブルアンテナの組合せによるダイバーシティ受信を実現することができる。この結果、チューナブルアンテナの選択の自由度を高めることが可能となる。無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いることにより、選択された選択されたチューナブルアンテナ等の数量および位置に対応した無線処理プログラムに切替えることにより、より大きなダイバーシティ効果を得て、無線性能を向上させることができる。すなわち、ダイバーシティ受信において複数の無線方式に対応するために、無線方式毎に決められたアンテナおよびRF処理部を必要としない無線機およびダイバーシティ制御方法を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1における無線機1のブロック図を示す。まず、無線機1の構成の概要を述べると、図1に示されるように無線機1は、複数の無線処理部5a、5b、...、5n(以下、特に区別する場合を除き「無線処理部5a等」と言う。)と、無線処理部5a等を制御する無線信号制御部20とを有し、ダイバーシティ制御を行なう無線機である。無線処理部5a等は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナ10a、10b、...、10n(以下、特に区別する場合を除き「チューナブルアンテナ10a等」と言う。)を備えている。一方、無線信号制御部20は、無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を選択して、チューナブルアンテナ10a等側へ周波数および帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部5a等が受信する無線信号RFa、Rfb、...、Rfn(以下、特に区別する場合を除き「無線信号Rfa等」と言う。)の振幅および位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう。
【0019】
次に、無線機1の構成を詳細に説明する。図1に示されるように、無線処理部5a等は、 受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナ10a等と、チューナブルアンテナ10a等の受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部12a、12b、...、12n(以下、特に区別する場合を除き「アンテナ特性制御部12a等」と言う。)と、アンテナ特性制御部12a等により制御されたチューナブルアンテナ10a等により受信した無線信号Rfa等の無線処理を行って受信信号Sa、Sb、...、Si、...、Sn(以下、特に区別する場合を除き「受信信号Sa等」と言う。)を出力する無線部14a、14b、...、14n(以下、特に区別する場合を除き「無線部14a等」と言う。)とを備えている。
【0020】
一方、無線信号制御部20は、図1に示されるように、複数の無線部14a等から送られた受信信号Sa等を無線方式に応じて切替えるRFスイッチ(無線切替手段)21と、RFスイッチ21により切替えられた受信信号Sa等を入力し、無線方式に応じて復調する復調器DEMOD(復調手段)22a、...、22m−1、22m(以下、特に区別する場合を除き「復調器22a等」と言う。)から構成される復調器22a等群(復調手段群)と、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうダイバーシティ制御部(ダイバーシティ制御手段)30とを備えている。この結果、復調器22a等群から各無線方式に応じて復調されたDTV(Digital Television)信号、携帯電話(Cellular Phone)用信号、FM信号/FM VICS(Vehicle Information and Communication System)信号等を得ることができる。
【0021】
図1に示されるようにダイバーシティ制御部30は、無線方式に応じて復調器22a等群の中から復調器22a等を選択信号selにより選択する選択部(選択手段)34と、無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を選択し、無線処理部5a等のアンテナ特性制御部12a等へ周波数および帯域幅設定情報をf/b−c信号により送信する無線処理部選択部(無線処理部選択手段)31と、無線処理部選択部31により選択した無線処理部5a等のチューナブルアンテナ10a等が受信する無線信号Rfa等の振幅および位相を制御し、無線処理部5a等の無線部14a等から出力された受信信号Sa等を選択部34により選択した復調器22a等に復調させることにより、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御部(制御手段)35とを備えている。すなわち、ダイバーシティ制御部30は、無線機1において処理が必要とされている無線方式各々に対して、割当てるチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の数量および位置を選択し、無線信号Rfa等の振幅および位相を制御することができる。
【0022】
図1に示されるダイバーシティ制御部30の監視部(監視手段)32は、ダイバーシティ制御部30が上述した無線信号Rfa等の振幅および位相を制御する際、無線処理部選択部31により選択された無線処理部5a等が出力する受信信号Sa等の品質を監視し、当該品質と無線方式毎に予め定められダイバーシティ制御部30のメモリ(不図示)に記録された受信品質とを比較する。監視部32は、その比較結果に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を変更する。
【0023】
図1に示されるダイバーシティ制御部30の調整部(調整手段)33は、無線処理部選択部31により選択された無線処理部5a等が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、ダイバーシティ制御部30のメモリ(不図示)に記録された所定の選択基準に基づき、複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を調整する。以上により、無線機1が必要としている無線方式間で最適なチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の組合せによるダイバーシティ受信を実現することができる。この結果、チューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の選択の自由度を高めることが可能となる。
【0024】
上述の無線信号制御部21としては、ソフトウェア無線機を用いることが好適である。この場合、ソフトウェア無線機21は各無線方式に対応したRFスイッチ21、復調器22a等群、ダイバーシティ制御部30の各機能をソフトウェアにより用意しておき、ソフトウェア無線機21のCPU(不図示)が対応するソフトウェアを実行すればよい。すなわち、CPUが選択されたチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の数量および位置に対応した無線処理プログラムに切替えればよい。上記ソフトウェア部分は、ソフトウェアの書換えにより回路構成を変更可能な装置であるFPGA(Field Programmable Gate Array)で作成することが可能である。
【0025】
図2は、本発明の実施例1における複数の無線処理部5a等と無線処理部5a等を制御する無線信号制御部20とを有する無線機1におけるダイバーシティ制御方法の流れをフローチャートで示す。本発明のダイバーシティ制御方法の流れの概要は、無線信号制御部20が、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量および位置を選択してチューナブルアンテナ10a等側へ周波数および帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部5a等が受信する無線信号の振幅および位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうというものである。以下、図2を用いて詳細に説明する。
【0026】
図2に示されるように、無線信号制御部20が、無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を選択し、無線処理部5a等のアンテナ特性制御部12a等へ周波数および帯域幅設定情報をf/b−c信号により送信する(無線処理部選択ステップ。ステップS10)。次に、無線処理部選択ステップ(ステップS10)で選択された無線処理部5a等から送られた受信信号Sa等をRFスイッチ21により無線方式に応じて切替える(無線切替ステップ。ステップS12)。無線切替ステップ(ステップS12)で切替えられた受信信号Sa等を無線方式に応じて選択信号selにより選択された復調器22a等に復調させる(復調ステップ。ステップS14)。ダイバーシティ制御部30により、無線処理部選択ステップ(ステップS10)で選択した無線処理部5a等のチューナブルアンテナ10a等が受信する無線信号Rfa等の振幅および位相を制御しつつ、無線処理部5a等の無線部14a等から出力された受信信号Sa等を選択された復調器22a等に復調させることにより、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう(制御ステップ。ステップS16)。
【0027】
続いて、監視部32により、無線処理部選択ステップ(ステップS10)で選択された無線処理部5a等が出力する受信信号Sa等の品質を監視し、当該品質と無線方式毎に予め定められダイバーシティ制御部30のメモリに記録された受信品質とを比較する。この比較結果に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を変更する(監視ステップ。ステップS
【0028】
調整部33により、無線処理部選択ステップ(ステップS10)で選択された無線処理部5a等が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、ダイバーシティ制御部30のメモリに記録された所定の選択基準に基づき、複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を調整する(調整ステップ。ステップS20)。
【0029】
以上より、本発明の実施例1によれば、無線機1は、複数の無線処理部5a等と、無線処理部5a等を制御する無線信号制御部20とを有し、ダイバーシティ制御を行なう。無線処理部5a等は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナ10a等を備えている。無線信号制御部20は、無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を選択して、チューナブルアンテナ10a等側へ周波数および帯域幅設定情報をf/b−c信号により送信し、選択した無線処理部5a等が受信する無線信号Rfa等の振幅および位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう。無線処理部5a等は、受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナ10a等と、チューナブルアンテナ10a等の受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部12a等と、アンテナ特性制御部12a等により制御されたチューナブルアンテナ10a等により受信した無線信号Rfa等の無線処理を行って受信信号Sa等を出力する無線部14a等とを備えている。無線信号制御部20は、複数の無線部14a等から送られた受信信号Sa等を無線方式に応じて切替えるRFスイッチ21と、RFスイッチ21により切替えられた受信信号Sa等を入力し、無線方式に応じて復調する復調器22a等から構成される復調器22a等群と、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうダイバーシティ制御部30とを備えている。ダイバーシティ制御部30は、無線方式に応じて復調器22a等群の中から復調器22a等を選択信号selにより選択する選択部34と、無線方式に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を選択し、無線処理部5a等のアンテナ特性制御部12a等へ周波数および帯域幅設定情報を送信する無線処理部選択部31と、無線処理部選択部31により選択した無線処理部5a等のチューナブルアンテナ10a等が受信する無線信号Rfa等の振幅および位相を制御し、無線処理部5a等の無線部14a等から出力された受信信号Sa等を選択部34により選択した復調器22a等に復調させることにより、無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御部35とを備えている。以上の構成により、ダイバーシティ制御部30は、無線機1において処理が必要とされている無線方式各々に対して、割当てるチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の数量および位置を選択し、無線信号Rfa等の振幅および位相を制御することができる。この結果、復調器22a等群から各無線方式に応じて復調されたDTV信号、携帯電話用信号、FM信号/FM VICS信号等を得ることができる。
【0030】
ダイバーシティ制御部30の監視部32は、ダイバーシティ制御部30が上述した無線信号Rfa等の振幅および位相を制御する際、無線処理部選択部31により選択された無線処理部5a等が出力する受信信号Sa等の品質を監視し、当該品質と無線方式毎に予め定められダイバーシティ制御部30のメモリに記録された受信品質とを比較する。監視部32は、その比較結果に応じて複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を変更する。ダイバーシティ制御部30の調整部33は、無線処理部選択部31により選択された無線処理部5a等が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、ダイバーシティ制御部30のメモリに記録された所定の選択基準に基づき、複数の無線処理部5a等の中から割当てる無線処理部5a等の数量および位置を調整する。以上の構成により、無線機1が必要としている無線方式間で最適なチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の組合せによるダイバーシティ受信を実現することができる。この結果、チューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の選択の自由度を高めることが可能となる。無線信号制御部20としてソフトウェア無線機を用いることにより、選択された選択されたチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の数量および位置に対応した無線処理プログラムに切替えることにより、より大きなダイバーシティ効果を得て、無線性能を向上させることができる。以上により、ダイバーシティ受信において複数の無線方式に対応するために、無線方式毎に決められたアンテナおよびRF処理部を必要としない無線機1およびダイバーシティ制御部30によるダイバーシティ制御方法を提供することができる。
【実施例2】
【0031】
図3は、本発明の無線機1を搭載した自動車40を示す。図3で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図3において、符号10j、10j+1、10k、10k+1、10nー1、10n等はチューナブルアンテナ10a等と同様のアンテナである。図3では、図面の都合上、無線信号制御部(ソフトウェア無線機)20、チューナブルアンテナ10a等および両者を接続する線(信号f/b−c、Sa等により示す。)のみ示し、無線処理部5a等は省略する。
【0032】
実施例1により、無線機1が必要としている無線方式間で最適なチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の組合せによるダイバーシティ受信を実現することができ、チューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の選択の自由度を高めることが可能となる。この結果、実施例2における自動車40においてダイバーシティ受信を行う場合、アンテナおよびRF処理部を設置する位置および個数に関し、特別な最適配置設計の必要性を低減させることが可能となる。さらに、従来の自動車におけるアンテナおよびRF処理部が固定されることに起因するダイバーシティ効果への制限を低減させ、無線通信性能を向上させることが可能である。実施例1と同様に、無線信号制御部20としてソフトウェア無線機を用いることにより、選択された選択されたチューナブルアンテナ10a等(およびアンテナ特性制御部12a等と無線部14a等)の数量および位置に対応した無線処理プログラムに切替えることにより、より大きなダイバーシティ効果を得て、無線性能を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の活用例として、特に自動車等の車両における車載無線機への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1における無線機1のブロック図である。
【図2】本発明の実施例1における複数の無線処理部5a等と無線処理部5a等を制御する無線信号制御部20とを有する無線機1におけるダイバーシティ制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の無線機1を搭載した自動車40を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 無線機、 5a、5b、5n 無線処理部、 10a、10b、10n チューナブルアンテナ、 12a、12b、12n アンテナ特性制御部、 14a、14b、14n 無線部、 20 無線信号制御部、 21 RFスイッチ、 22a、22m−1、22m 復調器、 30 ダイバーシティ制御部、 31 無線処理部選択部、 32 監視部、 33 調整部、 34 選択部、 35 制御部、 40 自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを有するダイバーシティ制御を行なう無線機であって、
前記無線処理部は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナを備え、
前記無線信号制御部は、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択して前記チューナブルアンテナ側へ周波数及び帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部が受信する無線信号の振幅及び位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうことを特徴とする無線機。
【請求項2】
請求項1記載の無線機において、
前記無線処理部は、
受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナと、
前記チューナブルアンテナの受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部と、
前記アンテナ特性制御部により制御された前記チューナブルアンテナにより受信した無線信号の無線処理を行って受信信号を出力する無線部とを備え、
前記無線信号制御部は、
前記複数の無線部から送られた受信信号を無線方式に応じて切替える無線切替手段と、
前記無線切替手段により切替えられた受信信号を入力し、無線方式に応じて復調する復調手段群と、
無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうダイバーシティ制御手段とを備え、
前記ダイバーシティ制御手段は、
無線方式に応じて前記復調手段群の中から復調手段を選択する選択手段と、
無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択し、該無線処理部のアンテナ特性制御部へ周波数及び帯域幅設定情報を送信する無線処理部選択手段と、
前記無線処理部選択手段により選択した無線処理部のチューナブルアンテナが受信する無線信号の振幅及び位相を制御し、該無線処理部の無線部から出力された受信信号を前記選択手段により選択した復調手段に復調させることにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御手段とを備えたことを特徴とする無線機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無線機において、前記ダイバーシティ制御部は、前記無線処理部選択手段により選択された無線処理部が出力する受信信号の品質を監視し、該品質と無線方式毎に予め定められた受信品質との比較結果に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を変更する監視部をさらに備えたことを特徴とする無線機。
【請求項4】
請求項2又は3記載の無線機において、前記ダイバーシティ制御部は、前記無線処理部選択手段により選択された無線処理部が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、所定の選択基準に基づき複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を調整する調整部をさらに備えたことを特徴とする無線機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の無線機において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いたことを特徴とする無線機。
【請求項6】
複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを有する無線機におけるダイバーシティ制御方法であって、該無線処理部は受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナを備えており、
前記無線信号制御部が、無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択して前記チューナブルアンテナ側へ周波数及び帯域幅設定情報を送信し、選択した無線処理部が受信する無線信号の振幅及び位相を制御することにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なうことを特徴とするダイバーシティ制御方法。
【請求項7】
請求項6記載のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部は、受信帯域特性を可変にできるチューナブルアンテナと、前記チューナブルアンテナの受信帯域特性を制御するアンテナ特性制御部と、前記アンテナ特性制御部により制御された前記チューナブルアンテナにより受信した無線信号の無線処理を行って受信信号を出力する無線部とを備えており、
前記無線信号制御部が、
無線方式に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を選択し、該無線処理部のアンテナ特性制御部へ周波数及び帯域幅設定情報を送信する無線処理部選択ステップと、
前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部から送られた受信信号を無線方式に応じて切替える無線切替ステップと、
前記無線切替ステップで切替えられた受信信号を無線方式に応じて選択された復調手段に復調させる復調ステップとを備え、
前記無線処理部選択ステップで選択した無線処理部のチューナブルアンテナが受信する無線信号の振幅及び位相を制御しつつ、該無線処理部の無線部から出力された受信信号を選択された復調手段に復調させることにより無線方式に応じてダイバーシティ制御を行なう制御ステップとを備えたことを特徴とするダイバーシティ制御方法。
【請求項8】
請求項7記載のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部が出力する受信信号の品質を監視し、該品質と無線方式毎に予め定められた受信品質との比較結果に応じて複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を変更する監視ステップをさらに備えたことを特徴とするダイバーシティ制御方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載のダイバーシティ制御方法において、前記無線処理部選択ステップで選択された無線処理部が既に他の無線方式に応じて選択されていた場合、所定の選択基準に基づき複数の無線処理部の中から割当てる無線処理部の数量及び位置を調整する調整ステップをさらに備えたことを特徴とするダイバーシティ制御方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載のダイバーシティ制御方法において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いたことを特徴とするダイバーシティ制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−252488(P2008−252488A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90745(P2007−90745)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】