説明

無線機および光多重伝送路の割当制御方法

【課題】多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性とがある車載無線機1において、無線信号の伝送路が増加せず配線コストを低減可能な無線機及び光多重伝送路の割当制御方法を提供する。
【解決手段】ADC14a等はサンプリング速度及び/又は量子化数を無線信号制御部30から調節可能であり、制御部36は復調器34a等群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づきADC14a等側へサンプリング速度及び/又は量子化数を制御する制御情報s/q−cを送信し各無線方式間における光多重伝送路24のリソース割当制御を行なう。制御情報s/q−cは復調器34a等群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関してはサンプリング速度の低減及び/又は量子化数の低減を指示し、逆に受信性能が低い無線方式の信号に関してはサンプリング速度の増加及び/又は量子化数の増加を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線処理部と当該無線処理部を制御する無線信号制御部とを光多重伝送部により接続した無線機および当該無線機における光多重伝送路の割当制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線機のアンテナと無線機本体とを結ぶケーブル伝送路に関し、伝送に伴う信号の劣化を防ぐため種々の開発、改良等が行われている。特に、車載無線機ではアンテナ無線(RF)信号または中間周波数(IF)アナログ信号はケーブルを経由して車載無線機まで伝送されており、ケーブル伝送時の品質劣化に伴う受信性能低下を防ぐことが重要である。このため、従来、高性能な配線用ケーブルを多数用いていたが、コストアップの要因となっていた。
【0003】
上述のコストアップの問題を解決するために、アンテナRF信号またはIFアナログ信号をディジタル化して伝送するディジタル伝送システムが開発されている。このようなディジタル伝送システムでは、アンテナRF信号またはアンテナRF信号をRFフロントエンドでIF化したIFアナログ信号をA/D変換してディジタル化した信号を伝送している。ディジタル伝送システムにおいては伝送時の信号劣化の問題が生じないため、従来のアナログ信号の伝送方式に比べて、高い受信品質を実現可能である。特許文献1には、アンテナと無線機本体との無線信号の送受信に伴う信号の劣化を防ぐことを可能にするため、アンテナが接続された無線ユニットと変復調処理を行う信号処理本体ユニットとをディジタル化された信号でやりとりするソフトウェア無線機の構成について記載されている。
【0004】
車載無線機用に利用される無線方式の内、放送受信に関連したアンテナは自動車後方に設置されることが多い。一方、車載無線機は自動車中央または前方に配置させることが多いため、両者を結ぶ無線信号の伝送路が必要である。車載無線機には、AM/FMラジオを始めアナログテレビジョンまたは地上波ディジタルテレビジョン等の多くの無線方式に対応する必要があるだけでなく、移動受信を想定した場合には複数アンテナによる受信信号の合成によるアダプティブ受信技術が必要となる。このため、膨大な情報量の伝送が必要であり、無線信号の伝送路(伝送本数)は増加する傾向があった。従って、上述したディジタル伝送システムを用いて複数の無線処理を実行する場合であっても、伝送すべきディジタル信号の情報量は膨大となり、容量が飽和する虞があるという問題があった。例えば、量子化数が14bitでサンプリング速度が32MHzの場合、伝送すべきディジタル信号の情報量は448Mbpsになる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−153661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、高い受信品質を実現するためディジタル伝送システムを用いた場合であっても、伝送すべきディジタル信号の情報量が膨大となると容量が飽和する虞があるという問題があった。特に、車載無線機には、多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性があるため膨大な情報量の伝送が必要であり、この結果、無線信号の伝送路(伝送本数)が増加し、配線コストが増大するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、高い受信品質を実現するためディジタル伝送システムを用いた場合、特に、多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性とがある車載無線機においてディジタル伝送システムを用いた場合、無線信号の伝送路(伝送本数)が増加せず、配線コストを低減させることが可能な無線機および光多重伝送路の割当制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の無線機は、複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを光多重伝送部により接続した無線機であって、前記無線処理部は、受信した無線信号の無線処理を行う無線フロントエンド部から出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化及び符号化を行ってディジタル信号として出力するA/Dコンバータであって、サンプリング速度及び/又は量子化数を外部から調節可能なものを備え、前記光多重伝送部は、複数の無線処理部のA/Dコンバータから送られた複数のディジタル信号の光多重化及び光変調を行う光多重化部と、前記光多重化部から出力された光多重信号を伝送する光多重伝送路と、前記光多重伝送路により伝送された光多重信号の光復調を行う光復調部とを備え、前記無線信号制御部は、前記光復調部により光復調された信号を分離する分離部と、前記分離部により分離された各信号を無線方式に応じて復調する複数の復調器群と、前記復調器群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、前記A/Dコンバータ側へサンプリング速度及び/又は量子化数を制御する制御情報を送信することにより、各無線方式間における前記光多重伝送路の割当制御を行なう制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、この発明の無線機において、前記制御情報は、前記復調器群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減及び/又は量子化数の低減を指示し、前記復調器群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加及び/又は量子化数の増加を指示する情報とすることができる。
【0010】
ここで、この発明の無線機において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【0011】
この発明の光多重伝送路の割当制御方法は、複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを光多重伝送部により接続した無線機における光多重伝送路の割当制御方法であって、前記無線処理部の無線フロントエンド部が、受信した無線信号の無線処理を行ってアナログ信号を出力する無線フロントエンドステップと、前記無線処理部のサンプリング速度及び/又は量子化数を外部から調節可能なA/Dコンバータが、前記無線フロントエンドステップで出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化及び符号化を行ってディジタル信号として出力するA/Dコンバートステップと、前記光多重伝送部の光多重化部が、前記A/Dコンバートステップで複数の無線処理部のA/Dコンバータから送られた複数のディジタル信号の光多重化及び光変調を行った結果の光多重信号を光多重伝送路へ伝送する光多重化伝送ステップと、前記光多重伝送部の光復調部が、前記光多重化伝送ステップで伝送された光多重信号の光復調を行う光復調ステップと、前記無線信号制御部の分離部が、前記光復調ステップで光復調された信号を分離する分離ステップと、前記無線信号制御部の復調器群が、前記分離ステップで分離された各信号を無線方式に応じて復調する復調ステップと、前記無線信号制御部の制御部が、前記復調ステップで復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、前記A/Dコンバータ側へサンプリング速度及び/又は量子化数を制御する制御情報を送信することにより、各無線方式間における前記光多重伝送路の割当制御を行なう割当制御ステップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、この発明の光多重伝送路の割当制御方法において、前記制御情報は、前記復調器群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減及び/又は量子化数の低減を指示し、前記復調器群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加及び/又は量子化数の増加を指示する情報とすることができる。
【0013】
ここで、この発明の光多重伝送路の割当制御方法において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無線機および光多重伝送路の割当制御方法によれば、無線機は無線処理部と、無線信号制御部と、無線処理部と無線信号制御部とを接続する光多重伝送部とを備えている。無線処理部は、チューナブルアンテナにより受信した無線信号の無線処理を行う無線フロントエンド部から出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化および符号化を行ってディジタル信号として出力するADCを備えている。ADCはサンプリング速度および/または量子化数を外部(無線信号制御部)から調節可能である。光多重伝送部は、複数の無線処理部のADCから送られた複数のディジタル信号の光多重化および光変調を行う光多重化部と、光多重化部から出力された光多重信号を伝送する光多重伝送路と、光多重伝送路により伝送された光多重信号の光復調を行う光復調部とを備えている。無線信号制御部は、光復調部により光復調された信号を分離する分離部と、分離部により分離された各信号を無線方式に応じて復調する複数の復調器群と、復調器群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、ADC側へサンプリング速度および/または量子化数を制御する制御情報を送信することにより、各無線方式間における光多重伝送路のリソース割当制御を行なう制御部とを備えている。無線信号制御部としては、ソフトウェア無線機を用いることが好適である。
【0015】
制御情報は、復調器群により復調された信号の受信性能(所望の受信信号S/N比)が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減および/または量子化数の低減を指示する情報である。これにより、ディジタル伝送での光多重伝送路の使用リソースを低減し、他の無線方式、チャネルへ光多重伝送路リソースを開放する。逆に、復調器群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加および/または量子化数の増加を指示する情報である。これにより、当該信号のIF信号品質を上げ受信性能を高める。以上のように、使用されている無線方式の受信品質に応じて、共有される光多重伝送路を使用する複数の無線方式、チャネル間でのリソース割当制御を行う。この結果、高い受信品質を実現するためディジタル伝送システムを用いた場合、特に、多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性がある車載無線機においてディジタル伝送システムを用いた場合、無線信号の伝送路(伝送本数)が増加せず、配線コストを低減させることが可能な無線機および光多重伝送路の割当制御方法を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1における無線機1を示す。図1において、符号5a、5b、...、5nは複数の無線処理部(以下、「無線処理部5a等という。」、30は無線処理部5a等を制御する無線信号制御部、20は無線処理部5a等と無線信号制御部30とを接続する光多重伝送部である。
【0018】
図1に示されるように、無線処理部5a等は、チューナブルアンテナ10a、10b、...、10n(以下、「チューナブルアンテナ10a等という。」により受信した無線信号Rfa、Rfb、...、Rfn(以下、「無線信号Rfa等」という。)の無線処理を行う無線フロントエンド部12a、12b、...、12n(以下、「無線フロントエンド部12a等」という。)から出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化および符号化を行ってディジタル信号Da、Db、...、Dn(以下、「ディジタル信号Da等」という。)として出力するA/DコンバータADC14a、14b、...、14n(以下、「ADC14a等」という。)を備えている。ADC14a等はサンプリング速度および/または量子化数を外部(後述するように、無線信号制御部30)から調節可能である。
【0019】
図1に示されるように、光多重伝送部20は、複数の無線処理部5a等のADC14a等から送られた複数のディジタル信号Da等の光多重化および光変調を行う光多重化部MUX E/O(電気/光変換:Electrical/Optical Converter)22と、光多重化部22から出力された光多重信号を伝送する光多重伝送路24と、光多重伝送路24により伝送された光多重信号の光復調を行う光復調部O/E(光/電気変換:Optical/Electrical Converter)26とを備えている。
【0020】
図1に示されるように、無線信号制御部30は、光復調部26により光復調された信号を分離する分離部DEMUX32と、分離部32により分離された各信号を無線方式に応じて復調する複数の復調器MODEM34a、34b、...、34m(以下、「復調器34a等」という。)群と、復調器34a等群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、ADC14a等側へサンプリング速度および/または量子化数を制御する制御情報s/q−cを送信することにより、各無線方式間における光多重伝送路24のリソース割当制御を行なう制御部CONTROL36とを備えている。
【0021】
上述の制御情報s/q−cは、復調器34a等群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減および/または量子化数の低減を指示する情報である。上記受信性能は、例えば各無線方式の所望の受信信号S/N比も鑑みて決めればよい。これにより、ディジタル伝送での光多重伝送路24の使用リソースを低減し、他の無線方式、チャネルへ光多重伝送路24リソースを開放する。逆に、復調器34a等群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加および/または量子化数の増加を指示する情報である。これにより、当該信号のIF信号品質を上げ受信性能を高める。以上のように、使用されている無線方式の受信品質に応じて、共有される光多重伝送路24を使用する複数の無線方式、チャネル間でのリソース割当制御を行う。
【0022】
上述の無線信号制御部30としては、ソフトウェア無線機を用いることが好適である。この場合、ソフトウェア無線機30は分離部32、各無線方式に対応した復調器34a等群、制御部36の各機能、サンプリング速度および/または量子化数に対応した処理プログラムをソフトウェアにより用意しておき、ソフトウェア無線機30のCPU(不図示)が対応するソフトウェアを適応的に実行すればよい。上記ソフトウェア部分は、ソフトウェアの書換えにより回路構成を変更可能な装置であるFPGA(Field Programmable Gate Array)で作成することが可能である。
【0023】
図2は、本発明の実施例1における複数の無線処理部5a等と無線処理部5a等を制御する無線信号制御部30とを光多重伝送部20により接続した無線機1における光多重伝送路の割当制御方法の流れをフローチャートで示す。図2に示されるように、無線処理部5a等の無線フロントエンド部12a等が、受信した無線信号RFa等の無線処理を行ってアナログ信号を出力する(無線フロントエンドステップ。ステップS10)。
【0024】
無線処理部5a等のサンプリング速度および/または量子化数を外部から調節可能なADC14a等が、無線フロントエンドステップ(ステップS10)で出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化および符号化を行ってディジタル信号Da等として出力する(A/Dコンバートステップ。ステップS12)。
【0025】
光多重伝送部20の光多重化部22が、A/Dコンバートステップ(ステップS12)で複数の無線処理部5a等のADC14a等から送られた複数のディジタル信号Da等の光多重化および光変調を行った結果の光多重信号を光多重伝送路24へ伝送する(光多重化伝送ステップ。ステップS14)。
【0026】
光多重伝送部20の光復調部26が、光多重化伝送ステップ(ステップS14)で伝送された光多重信号の光復調を行う(光復調ステップ。ステップS16)。
【0027】
無線信号制御部30の分離部32が、光復調ステップ(ステップS16)で光復調された信号を分離する(分離ステップ。ステップS18)。
【0028】
無線信号制御部30の復調器34a等群が、分離ステップ(ステップS18)で分離された各信号を無線方式に応じて復調する(復調ステップ。ステップS20)。
【0029】
無線信号制御部30の制御部36が、復調ステップ(ステップS20)で復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、ADC14a等側へサンプリング速度および/または量子化数を制御する制御情報s/q−cを送信することにより、各無線方式間における光多重伝送路24の割当制御を行なう(割当制御ステップ。ステップS22)。
【0030】
以上より、本発明の実施例1によれば、無線機1は無線処理部5a等と、無線信号制御部30と、無線処理部5a等と無線信号制御部30とを接続する光多重伝送部20とを備えている。無線処理部5a等は、チューナブルアンテナ10a等により受信した無線信号Rfa等の無線処理を行う無線フロントエンド部12a等から出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化および符号化を行ってディジタル信号Da等として出力するADC14a等を備えている。ADC14a等はサンプリング速度および/または量子化数を外部(無線信号制御部30)から調節可能である。光多重伝送部20は、複数の無線処理部5a等のADC14a等から送られた複数のディジタル信号Da等の光多重化および光変調を行う光多重化部22と、光多重化部22から出力された光多重信号を伝送する光多重伝送路24と、光多重伝送路24により伝送された光多重信号の光復調を行う光復調部26とを備えている。無線信号制御部30は、光復調部26により光復調された信号を分離する分離部32と、分離部32により分離された各信号を無線方式に応じて復調する複数の復調器34a等と、復調器34a等群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、ADC14a等側へサンプリング速度および/または量子化数を制御する制御情報s/q−cを送信することにより、各無線方式間における光多重伝送路24のリソース割当制御を行なう制御部36とを備えている。無線信号制御部30としては、ソフトウェア無線機を用いることが好適である。
【0031】
制御情報s/q−cは、復調器34a等群により復調された信号の受信性能(所望の受信信号S/N比)が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減および/または量子化数の低減を指示する情報である。これにより、ディジタル伝送での光多重伝送路24の使用リソースを低減し、他の無線方式、チャネルへ光多重伝送路24リソースを開放する。逆に、復調器34a等群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加および/または量子化数の増加を指示する情報である。これにより、当該信号のIF信号品質を上げ受信性能を高める。以上のように、使用されている無線方式の受信品質に応じて、共有される光多重伝送路24を使用する複数の無線方式、チャネル間でのリソース割当制御を行う。この結果、高い受信品質を実現するためディジタル伝送システムを用いた場合、特に、多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性とがある車載無線機1においてディジタル伝送システムを用いた場合、無線信号の伝送路(伝送本数)が増加せず、配線コストを低減させることが可能な無線機および光多重伝送路の割当制御方法を提供することができる。
【実施例2】
【0032】
図3は、本発明の無線機1を搭載した自動車40を示す。図3で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図3において、符号10j、10j+1等はチューナブルアンテナ10a等と同様のアンテナである。実施例1により、使用されている無線方式の受信品質に応じて、共有される光多重伝送路24を使用する複数の無線方式、チャネル間でのリソース割当制御を行うことが可能となる。この結果、実施例2における自動車40において、すなわち多くの無線方式に対応する必要性と移動受信を想定したアダプティブ受信技術の必要性とがある自動車40において、車載無線機1にディジタル伝送システムを用いた場合、無線信号の伝送路(伝送本数)が増加せず、配線コストを低減させることが可能な無線機および光多重伝送路の割当制御方法を提供することができる。実施例1と同様に、無線信号制御部30としてソフトウェア無線機を用いることにより、サンプリング速度および/または量子化数に対応した処理プログラムをソフトウェアにより用意しておき、ソフトウェア無線機30のCPU(不図示)が対応するソフトウェアを適応的に実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の活用例として、特に自動車等の車両における車載無線機への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1における無線機1を示す図である。
【図2】本発明の実施例1における複数の無線処理部5a等と無線処理部5a等を制御する無線信号制御部30とを光多重伝送部20により接続した無線機1における光多重伝送路の割当制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の無線機1を搭載した自動車40を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 無線機、 5a、5b、5n 無線処理部、 10a、10b、10n チューナブルアンテナ、 12a、12b、12n 無線フロントエンド部、 14a、14b、14n ADC、 20 光多重伝送部、 22 光多重化部、 24 光多重伝送路、 26 光多重化部、 30 無線信号制御部、 32 分離部、 34a、34b、34m 復調器、 36 制御部、 40 自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを光多重伝送部により接続した無線機であって、
前記無線処理部は、
受信した無線信号の無線処理を行う無線フロントエンド部から出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化及び符号化を行ってディジタル信号として出力するA/Dコンバータであって、サンプリング速度及び/又は量子化数を外部から調節可能なものを備え、
前記光多重伝送部は、
複数の無線処理部のA/Dコンバータから送られた複数のディジタル信号の光多重化及び光変調を行う光多重化部と、
前記光多重化部から出力された光多重信号を伝送する光多重伝送路と、
前記光多重伝送路により伝送された光多重信号の光復調を行う光復調部とを備え、
前記無線信号制御部は、
前記光復調部により光復調された信号を分離する分離部と、
前記分離部により分離された各信号を無線方式に応じて復調する複数の復調器群と、
前記復調器群により復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、前記A/Dコンバータ側へサンプリング速度及び/又は量子化数を制御する制御情報を送信することにより、各無線方式間における前記光多重伝送路の割当制御を行なう制御部とを備えたことを特徴とする無線機。
【請求項2】
請求項1記載の無線機において、前記制御情報は、前記復調器群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減及び/又は量子化数の低減を指示し、前記復調器群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加及び/又は量子化数の増加を指示する情報であることを特徴とする無線機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無線機において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いたことを特徴とする無線機。
【請求項4】
複数の無線処理部と該無線処理部を制御する無線信号制御部とを光多重伝送部により接続した無線機における光多重伝送路の割当制御方法であって、
前記無線処理部の無線フロントエンド部が、受信した無線信号の無線処理を行ってアナログ信号を出力する無線フロントエンドステップと、
前記無線処理部のサンプリング速度及び/又は量子化数を外部から調節可能なA/Dコンバータが、前記無線フロントエンドステップで出力されたアナログ信号のサンプリング、量子化及び符号化を行ってディジタル信号として出力するA/Dコンバートステップと、
前記光多重伝送部の光多重化部が、前記A/Dコンバートステップで複数の無線処理部のA/Dコンバータから送られた複数のディジタル信号の光多重化及び光変調を行った結果の光多重信号を光多重伝送路へ伝送する光多重化伝送ステップと、
前記光多重伝送部の光復調部が、前記光多重化伝送ステップで伝送された光多重信号の光復調を行う光復調ステップと、
前記無線信号制御部の分離部が、前記光復調ステップで光復調された信号を分離する分離ステップと、
前記無線信号制御部の復調器群が、前記分離ステップで分離された各信号を無線方式に応じて復調する復調ステップと、
前記無線信号制御部の制御部が、前記復調ステップで復調された各無線方式の信号の受信性能に基づき、前記A/Dコンバータ側へサンプリング速度及び/又は量子化数を制御する制御情報を送信することにより、各無線方式間における前記光多重伝送路の割当制御を行なう割当制御ステップとを備えたことを特徴とする光多重伝送路の割当制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の光多重伝送路の割当制御方法において、前記制御情報は、前記復調器群により復調された信号の受信性能が高い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の低減及び/又は量子化数の低減を指示し、前記復調器群により復調された信号の受信性能が低い無線方式の信号に関しては、サンプリング速度の増加及び/又は量子化数の増加を指示する情報であることを特徴とする光多重伝送路の割当制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の光多重伝送路の割当制御方法において、前記無線信号制御部としてソフトウェア無線機を用いたことを特徴とする光多重伝送路の割当制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−252489(P2008−252489A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90746(P2007−90746)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】