無線機能付き腕時計
【課題】時計のケース径を大きくすることなく、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止する。
【解決手段】裏ブタ14と、裏ブタ14の上に配置され計時機能を実現するムーブメント16と、裏ブタ14とムーブメント16とを上方から覆う導電部材からなるケース12と、ケース12内にムーブメント16と共に収納されケース12の外からの電波を受信するバーアンテナ17と、バーアンテナ17が受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部23とを備え、ケース12の内側面には、ケース12内に配置されたバーアンテナ17の端面が対向する箇所に、ケース12の径方向に凹む凹部(空間)122が形成されている。
【解決手段】裏ブタ14と、裏ブタ14の上に配置され計時機能を実現するムーブメント16と、裏ブタ14とムーブメント16とを上方から覆う導電部材からなるケース12と、ケース12内にムーブメント16と共に収納されケース12の外からの電波を受信するバーアンテナ17と、バーアンテナ17が受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部23とを備え、ケース12の内側面には、ケース12内に配置されたバーアンテナ17の端面が対向する箇所に、ケース12の径方向に凹む凹部(空間)122が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機能付き腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース内部にアンテナを内蔵する無線機能付きの腕時計が販売などされている。この腕時計にあっては、電波がケースによって遮蔽されずにアンテナに到達し得るように、ケース素材にブラスチックなどの非導電部材料が一般的に用いられている。しかしながら、プラスチック等の非導電部材料は、ステンレス鋼、真鍮あるいはチタンなどの導電部材料に比べ質感に高級感がないため、腕時計の高級感が損なわれてしまうといった問題がある。そこで、近年では、少なくともケース側面に金属材を用いると共に、アンテナをケース側面から離れた位置に配置すべくケース中央に向けて移動した位置に配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−33571(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ケースに収納されるムーブメントの各構成要素の配置は既に最適化されており、アンテナをケースの中央に近い位置に配置することは物理的に困難である。従って、アンテナとケースとを離間させるためには、結局、ケースの径を大きくせざるを得ず、腕時計のサイズが大きくなってしまうばかりか、装着性や携帯性が損なわれてしまうこととなる。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、時計のケース径を大きくすることなく、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止できる無線機能付き腕時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、裏ブタと、前記裏ブタの上に配置され計時機能を実現するムーブメントと、前記裏ブタと前記ムーブメントとを上方から覆う導電部材からなるケースと、前記ケース内に前記ムーブメントと共に収納され前記ケースの外からの電波を受信するバーアンテナと、前記バーアンテナが受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部とを備え、前記ケースの内側面には、前記ケース内に配置された前記バーアンテナの端面が対向する箇所に、前記ケースの径方向に凹む凹部が形成されていることを特徴とする無線機能付き腕時計を提供する。
【0006】
ここで、上記発明において、前記裏ブタの一部が非導電部材から構成され、前記非導電部材から構成された部分が、少なくとも前記ケースの内側面に形成された凹部の下方に位置する構成が望ましい。
また、上記発明において、前記裏ブタは、金属材からなる枠材と、当該枠材に嵌合するガラス材とを備える構成が望ましい。
【0007】
また、上記発明において、前記裏ブタは、セラミック材料から形成される構成が望ましい。
また、上記発明において、前記バーアンテナを固定する非導電材からなる固定部材を備える構成が望ましい。
【0008】
また、上記発明において、前記ムーブメントを前記ケースに固定するための非導電材からなる中枠を備える構成が望ましい。
また、上記発明において、時刻視認用の文字板を更に備え、前記文字板は、非導電部材からなる構成が望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時計のケース径を大きくすることなく、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止できる無線機能付き腕時計が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施形態では、無線機能付き腕時計として、長波標準電波(日本JJY:40kHz/60kHz、アメリカWWVB:60kHz、ドイツDCF77:77.5kHz)を受信し、受信信号に基づいて時刻を修正する電波修正腕時計について例示する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図であり、図2は、電波修正腕時計1の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は裏ブタ14を外した状態の底面図である。なお、図1は、電波修正腕時計1の裏側を上方にして示している。
【0012】
図1および図2(a)に示すように、電波修正腕時計1は、計時機能を実現するムーブメント(時計モジュール)16と、導電部材である金属(例えば、ステンレスやチタンなど)からなり、ムーブメント16を収納するケース(「胴」とも称される)12と、一部が非導電部材からなりケース12の底面に形成された開口に嵌め込まれる裏ブタ14と、ガラスなどの透明な非導電部材からなりケース12の上面を覆うカバーガラス11とを備えている。さらに、電波修正腕時計1は、時刻表示のための文字板15と、長波標準電波を受信するためのアンテナ17とを備え、文字板15がムーブメント16とカバーガラス11との間に配置されると共に、アンテナ17がケース12にムーブメント16と共に収納される構成となっている。
【0013】
上記アンテナ17は、図3に示すように、金属箔を数十枚積層してなるアモルファス材、あるいは、フェライトといった強磁性体材からなるコア(バー)171の周りに銅線などのリード線91をコイル状に巻き回してなるバーアンテナである。このアンテナ17は、コアの両端面17a、17bとを結ぶ線方向の磁界に反応する指向性を有しており、コア171の両端面17a、17bの各々を貫く長波標準電波(詳細には、長波標準電波の磁界成分)の時間変動に応じて、電磁誘導により、コイル状のリード線91に誘導起電力(誘導起電圧)が発生する。そして、誘導起電力によるコイル両端の電位の変動が受信信号として検出される。
【0014】
ここで、アンテナ17は、金属製のケース12にムーブメント16と共に収納されるものの、アンテナ17の配置の際に、両端面17a、17bをケース12の内側壁に近接させると、アンテナ17の両端面17a、17bに集中すべき磁束がケース12に引き寄せられ、アンテナ17の受信感度が劣化してしまう。そこで、アンテナ17は、その両端面17a、17bから離間して配置される必要があるが、ケース12の中央には、ムーブメント16が配置されるため、アンテナ17の配置位置をケース12の中央に寄らせることはできず、結局、ケース12の径を大きくする必要があり、時計サイズが大きくなってしまう。
【0015】
そこで本実施形態は、アンテナ17を次のように配置している。具体的には、図1および図2(b)に示すように、一般的なケース12には、使用者の手首に巻き回される時計バンド18が取り付けられるバンド取付部(「かん」とも称される)121が一体成形されている。そこで、本実施形態ではケース12の側壁のうち、バンド取付部121が形成され肉厚となる箇所を削り、アンテナ17を配置してもケース12の内側面との間に充分な隙間が生じる広さに、ケース12の径方向に凹む空間(凹部)122を形成し、これにより、両端面17a、17bと空間122の内側面との間に間隙が設けられるため、受信感度の劣化を防止することができる。また、アンテナ17の周囲だけ、アンテナ17とケース12の内側面との距離を離すことができるため、ケース12の寸法(外形)を従来のケースと同じ寸法形状のまま、アンテナ特性を確保することができ、アンテナ17を配置するためにケース12が大型化することを防止することができる。さらに、ケース12のうち、バンド取付部121の部分は、元々が肉厚であるため、空間122を形成したとしても、ケース強度に影響を与えることが殆どない。
【0016】
ここで、上記のように形成される空間122の寸法は、次のように決定される。具体的には、アンテナ17を収容するに充分な大きさである事に加え、アンテナ17が配置された場合に、そのアンテナ17の両端面17a、17bからケース12の内側壁までの離間距離が、少なくとも離間距離>L/Sの関係を満たす程度の大きさである。さらに詳述すると、磁性コアが用いられたループアンテナに誘起される電圧Vは、V=Q(2πf/Δf)μnSHcosα(但し、Q:定数、Δf:3dBバンド幅、μ:実効透磁率、n:コイル巻数、S、コイル断面積、H:磁界強度、α:磁界方向とコイル軸との角度)により示され、コイル断面積Sを通過する磁界が多いほど、すなわち、コイル断面積Sが大きくなるほど良好な受信特性が得られる。また、アンテナ指向性は、コイル断面積Sが小さく、かつ、コア171が長いほど鋭くなり(図12(a)参照)離間距離を比較的大きくする必要があるのに対して、コイル断面積Sが大きく、かつ、コア171が短いほどアンテナ特性はブロードになるため(図12(b)参照)、アンテナコア軸方向以外の磁界が拾われ易くなり、離間距離を小さくすることができる。従って、離間距離は、離間距離>L/S程度であれば良く(例えば、コア長L:15mm、コイル断面積S:4mm2、離間距離:5mm程度)、この関係を満たす程度に離間距離が維持されれば、アンテナ17の受信感度の劣化を防止することが可能となる。なお、上記空間122は、ケース12を成形した後に切削加工により形成しても良く、また、金属射出成形(MIM)にて加工しても良い。
【0017】
次いで、本実施形態に係る電波修正腕時計1の構成について詳述する。図1に示すように、ケース12の中央には、円形の開口が形成され、この開口には、図2(a)に示すように、円盤状の透明ガラスであるカバーガラス11が嵌め込まれ、このカバーガラス11と、ケース12と、裏ブタ14とによって電波修正腕時計1の筐体が構成されている。なお、この図2(a)の断面図は、アンテナ17およびボタン28を横断するように切った断面を示すものではない。ケース12には、バンド取付部121が一体形成されており、このバンド取付部121には、バネ棒181によって時計バンド18が取り付けられる。時計バンド18およびバネ棒181は、ステンレス鋼、真鍮およびチタン等の導電部材である金属材から形成されている。また、図1および図2(b)に示すように、ケース12には、時計における3時方向に金属材からなるボタン28(操作子)が設けられている。このように、時計バンド18、バネ棒181およびボタン28をケース12と同様に金属材とすることで、外観上の統一を図ると共に高級感が得られるようになっている。なお、ボタン28の数および配置位置は、任意である。
【0018】
図2(a)に示すように、ケース12と裏ブタ14とからなる上述の筐体には、文字板15、ムーブメント16およびアンテナ17が収納されている。文字板15は、平板部材であり、図2(a)に示すように、カバーガラス11の図中下方に裏ブタ14に対して略水平に固定され、また、この文字板15の図中下方には、ムーブメント16およびアンテナ17が配置され、その下方全面が裏ブタ14により覆われる。文字板15は、紙材もしくはプラスチック材といった非導電部材から形成されている。また裏ブタ14は、ステンレス鋼、真鍮もしくはチタン等の金属材がケース12の下方に形成された開口に嵌合する形状に形成されてなる外枠141と、この外枠141に嵌め込まれるガラス材等の非導電部材からなるガラス板142とを備え、ケース12の下方に嵌め込み(またはネジ止め)固定される。
【0019】
この構成にあっては、上記のように文字板15が非導電部材であるため、電波が電波修正腕時計1の上面(図2(a)の上方)からカバーガラス11と文字板15とを通過して筐体内部に到達し易くなる。また、同様に、裏ブタ14のガラス板142が非導電部材であるため、電波修正腕時計1の下面(図2(a)の下方)から電波が筐体内部に到達し易くなる。これにより、電波修正腕時計1の上下方向から電波が筐体内部に到達し易くなるためアンテナ17の受信特性の向上が図られる。さらに、図1に示すように、裏ブタ14のガラス板142は、ケース12に形成された空間122の下方に位置する程度の大きさに形成されており、これにより、アンテナ17が配置された空間122に電波が到達し易くなっている。なお、ガラス板142に、例えばメッキ処理などの表面加工を施し、筐体内部を不可視とすると共に金属材と同様の質感とすることで、利用者の目に触れる部位(すなわちケース12、裏ブタ14、時計バンド18、バネ棒181およびボタン28)の質感が金属に統一され、これにより、高級感を向上させることができる。ここで、裏ブタ14のガラス板142の面積は大きいほど好ましく、これにより、アンテナ17の受信特性を向上させることができる。
【0020】
ここで、アンテナ17の受信特性の劣化を防止するために、アンテナ17は、金属材を多く含むムーブメント16から離間して配置されることが望ましい。しかしながら、腕時計にあっては、筐体(ケース12)のサイズに制限がある。そこで、本実施形態にあっては、図1に示すように、この運針機構を含むムーブメント16とアンテナ17とが互いに重ならないように水平方向で並列に配置して筐体の厚みを薄くすると共に、アンテナ17をバンド取付部121を削って形成された空間122に配置することでアンテナ17をムーブメント16から可能な限り離間してアンテナ17の受信特性の劣化を防止しているのである。
【0021】
次いで、ムーブメント16の一構成要素である運針機構について、図4を参照して説明する。運針機構は、秒針71、分針72および時針73の各針を駆動する機構であり、同図に示すように、秒車74、2番車75、および筒車76が互いに連動するように構成された輪列を有している。秒車74の回転軸には、秒針71の一端が取り付けられており、また、2番車75の回転軸には、分針72の一端が取り付けられている。さらにまた、筒車76の回転軸には、時針73の一端が取り付けられている。秒車74は、後述する秒モータ25によって回転駆動され、この回転が2番車75および筒車76に伝達されることにより、秒針71、分針72および時針73の各々が駆動され各々が時刻を指し示す。
【0022】
秒車74の表面には、秒車74の回転軸を中心とする円状の軌道に沿って特定の磁気情報パターンで帯磁された磁性体が貼付されている。また、秒針71の位置(回転角度)を求めるべく、この磁気情報パターンを読み取る秒針用検出素子741が秒車74の表面の磁性体と検出面が対向するように固定されている。同様に、2番車75、筒車76にも磁性体が貼付されており、2番車75に貼付られた磁性体と対向するように分針用検出素子751が固定され、筒車76に貼付られた磁性体と対向するように時針用検出素子761が固定されている。秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々は、読み取った磁気情報パターンに応じた検出信号をムーブメント16のICチップ(不図示)に出力する。ICチップは、秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々からの検出信号に基づいて秒針71、分針72、および時針73の現在の指針位置を求める回路と、運針機構の駆動制御および長波標準電波に基づく時刻修正といった各種処理を行う回路とを備えている。
【0023】
図5は、ムーブメント16の電気的構成を示すブロック図である。この図において、発振部21と、受信処理部22と、制御部23と、駆動部24とは、上述のICチップに形成された回路である。発振部21は、発振回路(図示せず)と合成回路(図示せず)とを備えている。発振回路には、水晶振動子211が基準発振源として接続されている。発振回路は、所定周波数の基準パルスを生成して合成回路に出力する。合成回路は、基準パルスを分周して分周パルスを生成し、その分周パルスと基準パルスとを合成することで、パルス幅やエッジの発生タイミングが互いに異なるパルス信号を発生し、制御部23へ供給する。
【0024】
受信処理部22は、アンテナ17からのアナログ受信信号に各種処理を施し、長波標準電波に含まれる標準時刻情報を得る。図6に示すように、受信処理部22は、同調回路50と、増幅回路51と、バンドパスフィルタ52と、復調回路53と、AGC(Automatic Gain Control)回路54と、デコード回路55とを備えている。同調回路50は、アンテナ17のコイルと並列に接続された複数の同調コンデンサ(不図示)を備え、各々の同調コンデンサの容量は、所望の周波数に同調するように予め設定されている。すなわち、制御部23からの切替え制御信号に基づきアナログスイッチなどによりアンテナ17と接続される同調コンデンサが切替えられ、受信周波数が切り替わることで、複数局(例えば、JJY福島局40kHz、JJY九州局60kHzなど)の中から受信する局を選択することが可能となっている。増幅回路51は、同調回路50からのアナログ受信信号を増幅して、バンドパスフィルタ52に供給する。バンドパスフィルタ52は、アナログ受信信号のうち所定の周波数成分のみを復調回路53に供給する。復調回路53は、入力されたアナログ受信信号を平滑化して復調する。AGC回路54は、復調回路53の出力信号のレベルを所定のレベルと比較し、長波標準電波の受信レベルが一定となるように、増幅回路51における信号増幅率を調節する。デコード回路55は、復調されたアナログ受信信号をA/D変換してデジタル信号とし、当該デジタル信号から現在時刻情報を示すタイムコードを復号する。このタイムコードには、周知の通り、現在分を示す分情報と、現在時を示す時情報と、現在日を表す日情報(その年の1月1日からの通算日)とが含まれ、これらの情報が受信処理部22から図5に示す制御部23に出力される。
【0025】
制御部23は、ムーブメント16の各部を中枢的に制御するものである。この制御部23は、受信制御回路部41と、駆動制御回路部42と、秒カウンタ回路43と、時分カウンタ回路44とを備えている。更に、秒カウンタ回路43は、秒位置カウンタ431、秒時刻カウンタ432および秒一致検出回路433を備えており、時分カウンタ回路44は、時分位置カウンタ441、時分時刻カウンタ442および時分一致検出回路443を備えている。駆動制御回路部42は、発振部21から出力される各種のパルス信号に基づいて、秒針、分針、および時針を運針するための信号である駆動パルス信号を生成する回路である。通常、駆動制御回路部42は、1秒周期で秒針を進めるためのパルス信号を出力し、1分周期で分針を進めるためのパルス信号を出力する。一方、表示時刻を修正する場合、駆動制御回路部42は、通常よりも短い周期で各指針表示位置を早送りするためのパルス信号を出力する。
【0026】
駆動部24は、秒駆動回路31と、時分駆動回路32とを備えている。秒駆動回路31は、制御部23内の駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、秒針を駆動するモータである秒モータ25を動作させる回路である。時分駆動回路32は、駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、分針を駆動させるモータである時分モータ26を動作させる回路である。なお図2を用いた説明では秒モータ25のみを図示したが、ここでは秒モータ25と時分モータ26との2つのモータを持つ構成で説明を行っている。2モータ構成であれば、秒針と分針とを互いに独立に駆動することができるため、時刻修正のための針位置移動に要する時間を短くできるという利点がある。秒モータ25および時分モータ26は、いわゆるステッピングモータである。電池27は、ムーブメント16に電力を供給するものである。電池27には、リチウム電池や銀電池などのコイン型の1次電池である。なお、ソーラーパネルなどにより発電を行う場合には、電池27としてリチウムイオン電池などの2次電池が用いられる。
【0027】
ここで、タイムコードに基づく表示時刻の修正動作は、駆動制御回路部42による制御の下、受信制御回路部41、秒カウンタ回路43および時分カウンタ回路44によって行われる。詳述すると、受信制御回路部41は、タイムコードが供給されると、タイムコードに基づいて秒に相当するデータと、時分に相当するデータとの、二つのデータを生成し、秒を示すデータを秒カウンタ回路43内の秒時刻カウンタ432の初期値として、時分を示すデータを時分カウンタ回路44の時分時刻カウンタ442の初期値として、それぞれをセットする。
【0028】
そして、秒時刻カウンタ432は、発振部21からの1秒周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1秒周期でインクリメントし、そのカウント結果を現在の秒を示す現在秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分時刻カウンタ442は、発振部21からの1分周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1分周期でインクリメントし、カウント結果を現在の時分を示す現在時分データとして、時分一致検出回路443へと出力する。
【0029】
その後、駆動制御回路部42は、秒針、分針、および時針により表示されている時刻を運針機構の磁気情報パターン(図示せず)を読み取ることにより求め、秒を表すデータを秒カウンタ回路43内の秒位置カウンタ431の初期値として、時分を表すデータを時分カウンタ回路44内の時分位置カウンタ441の初期値としてそれぞれセットする。初期値をセットされた秒位置カウンタ431は、1秒周期で値をインクリメントし、その値を秒を示す表示秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分位置カウンタ441は、1分周期で値をインクリメントし、その値を時分を示す表示時分データとして時分一致検出回路443へと出力する。
【0030】
そして、駆動制御回路部42は、表示時刻を現在時刻に合わせるための現在時刻復帰動作を開始する。まず、駆動制御回路部42は、秒駆動用の早送りパルスを駆動部24の秒駆動回路31および秒位置カウンタ431に送る動作と、時分駆動用の早送りパルスを駆動部24の時分駆動回路32および時分位置カウンタ441に送る動作を開始する。これにより、秒位置カウンタ431は、秒駆動用の早送りパルスのカウントを開始し、時分位置カウンタ441は、時分駆動用の早送りパルスのカウントを開始する。
【0031】
この結果、秒針、分針、時針の早送りが進められ、次第に、表示秒データが現在秒データの値に近付き、表示時分データが現在時分データに近付く。そして、表示秒データの値と現在秒データの値との一致が秒一致検出回路433によって検出され、表示時分データの値と現在時分データの値との一致が時分一致検出回路443によって検出され、駆動制御回路部42は、秒駆動用および時分駆動用の早送りパルスの出力を停止し、通常の駆動用パルスを出力し、タイムコードに基づく時刻修正動作が完了する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の電波修正腕時計1によれば、ケース12の側壁のうち肉厚部分を削ってできた空間にアンテナ17が、その端面が空間の内側面と間隙を配置することにより、両端面17a、17bと空間122の内側面との間に間隙が設けられ、受信感度の劣化を防止することができる。また、アンテナ17の周囲だけ、アンテナ17とケース12の内側面との距離を離すことができるため、ケース12の寸法(外形)を従来のケースと同じ寸法形状のまま、アンテナ特性を確保することができ、アンテナ17を配置するためにケース12が大型化することを防止することができる。さらに、ステンレス鋼、真鍮およびチタン等の導電部材である金属材によって形成されたケース12によって、時計としての高級感を醸し出すことができる。
【0033】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す底面図(裏ブタ14を外した状態)である。本実施形態の電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、ケース12に形成された空間122にアンテナ17を配置した後に、このアンテナ17を固定する固定部材150として、プラスチック樹脂材などの非導電部材を空間122に隙間に充填し、アンテナ17の周囲を包む構成とした点である。このような構成とすることで、アンテナ17の受信特性の劣化を防止しつつ、アンテナ17を固定することができると共に、プラスチック樹脂材が緩衝材として機能するため、アンテナ17のコア171の対衝撃性を向上させることが可能となる。なお、同図においては、アンテナ17の上面には固定部材150が配置されていないが、アンテナ17上にも固定部材150を配置しても良いことは勿論である。
【0034】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図である。なお、同図においては、裏ブタ14を図中上方に示している。本実施形態の電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、裏ブタ14が非導電部材であるセラミックから一体成形され、ケース12の下面の開口を覆うように、ねじ止め固定されている点である。セラミックの材質としては、長波帯の電波を透過するジルコニアなどを用いることができる。また、セラミックは、焼結時に金属粉を混入することで金属と同程度の光沢が出るため、腕時計に高級感を持たせることができる。
なお、セラミックからなる裏ブタ14を用いる際にも、アンテナ17が配置された空間の下方に、この裏ブタ14が配置されることで、アンテナ17の受信感度を向上させることができる。
【0035】
<第4実施形態>
図9は、本発明の第5実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図(裏ブタ14が上方)であり、また、図10は、電波修正腕時計1の断面図である。本実施形態にかかる電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、次の3点である。すなわち、(1)ムーブメント16を固定するための中枠155を備える点、(2)発電用のソーラーパネル157を備える点、(3)裏ブタ14の外形を円形とすべく、ケース12の側壁が円弧に沿ってくり抜かれ空間122が形成されている点である。
【0036】
中枠155は、プラスチック材などの非導電部材がリング状に形成されてなり、図10に示すように、ケース12の内側壁に沿って配置され、そして、アンテナ17およびムーブメント16が中枠155の内側に位置決め固定される。すなわち、アンテナ17とケース12とが中枠155を挟む構造となるため、中枠155の厚みを大とすることで、ケース12の内側面とアンテナ17の端面17a、17bとの距離が離れ、受信感度特性が向上することとなる。
また、一般的に腕時計に発電用のソーラーパネル157を設ける場合、ソーラーパネル157は、文字板15の下側に配置される。ここで、ソーラーパネル157の基材は金属材であるため、アンテナ17の受信感度の劣化が懸念される。しかしながら、上記のように、中枠155を備える構成とすることで、ケース12の内側面とアンテナ17との距離が離れるため、この間隙(すなわち、中枠155)を通して電波の磁界成分をアンテナ17に導くことができ、受信感度の劣化を防止できる。
一方、裏ブタ14には、円形のものが一般的に用いられる。従って上記のように、円形の裏ブタ14に合う形状に空間122を形成することで、従来の円形の裏ブタ14を転用することができ、外観の向上と共に製造コストの削減を実現することが可能となる。
【0037】
<変形例>
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。そこで以下に各種の変形例について説明する。
【0038】
(1)上述した各実施形態において、アンテナ17を配置するための空間122を次のように形成しても良い。すなわち、図11に示すように、ケース12には、時計の略9時および6時方向の各々にバンド取付部121A、121Bがあるものの、上述した各実施形態では、一方のバンド取付部121の方に向かってケース12の内側面を削って空間122を形成した(図2参照)。これに対して、2つのバンド取付部121A、121Bの各々に向かってケース12の内側面を削り、空間122A、122Bを形成し、この空間122A、122Bにアンテナ17の端面17a、17bが向くようにアンテナ17を配置する構成、すなわち、図2に示すアンテナ配置を90度時計回りに回転させた配置構成としても良い。
この構成によれば、アンテナ17の長さ(全長)を長くすることができ、これにより、アンテナ17の指向性を鋭くすることが可能となる。
【0039】
(2)上述した各実施形態では、電波修正腕時計1の例示として、時針により時刻を表示するアナログ時計を例示したが、これに限らず、LED(Light Emitting Diode)あるいは有機EL(Electro Luminescent)によって時刻をデジタル表示するデジタル時計であっても良い。
(3)上述した各実施形態では、無線機能付き腕時計の例示として、長波標準電波を受信する電波修正腕時計について例示したが、電波を受信するバーアンテナが内蔵された腕時計であれば任意の腕時計に本発明を適用することができる。例えば、125kHz帯の電波を受信してRF-ID(Radio Frequency Identification)機能を実現する腕時計、457kHz帯の電波を受信してビーコン機能を実現する腕時計、あるいは、AMラジオ機能を実現する腕時計といったものに、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図2】同電波修正腕時計の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は底面図(裏ブタ無し)である。
【図3】同アンテナによる長波標準電波の受信を説明する概念図である。
【図4】同ムーブメントの一構成要素である運針機構を示す斜視図である。
【図5】同ムーブメントの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同受信処理部の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す底面図(裏ブタ無し)である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図10】同電波修正腕時計の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の変形例にかかる電波修正腕時計の構成を示す底面図(裏ブタ無し)である。
【図12】ループアンテナのコイル断面積およびコア長と指向特性との関係を模式的に示す図であり、(a)はコイル断面積が小、コア長が大のときの指向特性を示し、(b)はコイル断面積が大、コア長が小のときの指向特性を示す。
【符号の説明】
【0041】
1…電波修正腕時計、11…カバーガラス、12…ケース、14…裏ブタ、15…文字板、16…ムーブメント、17…アンテナ(バーアンテナ)、18…時計バンド、121…バンド取付部、122…空間(凹部)、141…外枠、142…ガラス板、150…固定部材、155…中枠。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機能付き腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース内部にアンテナを内蔵する無線機能付きの腕時計が販売などされている。この腕時計にあっては、電波がケースによって遮蔽されずにアンテナに到達し得るように、ケース素材にブラスチックなどの非導電部材料が一般的に用いられている。しかしながら、プラスチック等の非導電部材料は、ステンレス鋼、真鍮あるいはチタンなどの導電部材料に比べ質感に高級感がないため、腕時計の高級感が損なわれてしまうといった問題がある。そこで、近年では、少なくともケース側面に金属材を用いると共に、アンテナをケース側面から離れた位置に配置すべくケース中央に向けて移動した位置に配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−33571(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ケースに収納されるムーブメントの各構成要素の配置は既に最適化されており、アンテナをケースの中央に近い位置に配置することは物理的に困難である。従って、アンテナとケースとを離間させるためには、結局、ケースの径を大きくせざるを得ず、腕時計のサイズが大きくなってしまうばかりか、装着性や携帯性が損なわれてしまうこととなる。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、時計のケース径を大きくすることなく、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止できる無線機能付き腕時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、裏ブタと、前記裏ブタの上に配置され計時機能を実現するムーブメントと、前記裏ブタと前記ムーブメントとを上方から覆う導電部材からなるケースと、前記ケース内に前記ムーブメントと共に収納され前記ケースの外からの電波を受信するバーアンテナと、前記バーアンテナが受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部とを備え、前記ケースの内側面には、前記ケース内に配置された前記バーアンテナの端面が対向する箇所に、前記ケースの径方向に凹む凹部が形成されていることを特徴とする無線機能付き腕時計を提供する。
【0006】
ここで、上記発明において、前記裏ブタの一部が非導電部材から構成され、前記非導電部材から構成された部分が、少なくとも前記ケースの内側面に形成された凹部の下方に位置する構成が望ましい。
また、上記発明において、前記裏ブタは、金属材からなる枠材と、当該枠材に嵌合するガラス材とを備える構成が望ましい。
【0007】
また、上記発明において、前記裏ブタは、セラミック材料から形成される構成が望ましい。
また、上記発明において、前記バーアンテナを固定する非導電材からなる固定部材を備える構成が望ましい。
【0008】
また、上記発明において、前記ムーブメントを前記ケースに固定するための非導電材からなる中枠を備える構成が望ましい。
また、上記発明において、時刻視認用の文字板を更に備え、前記文字板は、非導電部材からなる構成が望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、時計のケース径を大きくすることなく、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止できる無線機能付き腕時計が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施形態では、無線機能付き腕時計として、長波標準電波(日本JJY:40kHz/60kHz、アメリカWWVB:60kHz、ドイツDCF77:77.5kHz)を受信し、受信信号に基づいて時刻を修正する電波修正腕時計について例示する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図であり、図2は、電波修正腕時計1の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は裏ブタ14を外した状態の底面図である。なお、図1は、電波修正腕時計1の裏側を上方にして示している。
【0012】
図1および図2(a)に示すように、電波修正腕時計1は、計時機能を実現するムーブメント(時計モジュール)16と、導電部材である金属(例えば、ステンレスやチタンなど)からなり、ムーブメント16を収納するケース(「胴」とも称される)12と、一部が非導電部材からなりケース12の底面に形成された開口に嵌め込まれる裏ブタ14と、ガラスなどの透明な非導電部材からなりケース12の上面を覆うカバーガラス11とを備えている。さらに、電波修正腕時計1は、時刻表示のための文字板15と、長波標準電波を受信するためのアンテナ17とを備え、文字板15がムーブメント16とカバーガラス11との間に配置されると共に、アンテナ17がケース12にムーブメント16と共に収納される構成となっている。
【0013】
上記アンテナ17は、図3に示すように、金属箔を数十枚積層してなるアモルファス材、あるいは、フェライトといった強磁性体材からなるコア(バー)171の周りに銅線などのリード線91をコイル状に巻き回してなるバーアンテナである。このアンテナ17は、コアの両端面17a、17bとを結ぶ線方向の磁界に反応する指向性を有しており、コア171の両端面17a、17bの各々を貫く長波標準電波(詳細には、長波標準電波の磁界成分)の時間変動に応じて、電磁誘導により、コイル状のリード線91に誘導起電力(誘導起電圧)が発生する。そして、誘導起電力によるコイル両端の電位の変動が受信信号として検出される。
【0014】
ここで、アンテナ17は、金属製のケース12にムーブメント16と共に収納されるものの、アンテナ17の配置の際に、両端面17a、17bをケース12の内側壁に近接させると、アンテナ17の両端面17a、17bに集中すべき磁束がケース12に引き寄せられ、アンテナ17の受信感度が劣化してしまう。そこで、アンテナ17は、その両端面17a、17bから離間して配置される必要があるが、ケース12の中央には、ムーブメント16が配置されるため、アンテナ17の配置位置をケース12の中央に寄らせることはできず、結局、ケース12の径を大きくする必要があり、時計サイズが大きくなってしまう。
【0015】
そこで本実施形態は、アンテナ17を次のように配置している。具体的には、図1および図2(b)に示すように、一般的なケース12には、使用者の手首に巻き回される時計バンド18が取り付けられるバンド取付部(「かん」とも称される)121が一体成形されている。そこで、本実施形態ではケース12の側壁のうち、バンド取付部121が形成され肉厚となる箇所を削り、アンテナ17を配置してもケース12の内側面との間に充分な隙間が生じる広さに、ケース12の径方向に凹む空間(凹部)122を形成し、これにより、両端面17a、17bと空間122の内側面との間に間隙が設けられるため、受信感度の劣化を防止することができる。また、アンテナ17の周囲だけ、アンテナ17とケース12の内側面との距離を離すことができるため、ケース12の寸法(外形)を従来のケースと同じ寸法形状のまま、アンテナ特性を確保することができ、アンテナ17を配置するためにケース12が大型化することを防止することができる。さらに、ケース12のうち、バンド取付部121の部分は、元々が肉厚であるため、空間122を形成したとしても、ケース強度に影響を与えることが殆どない。
【0016】
ここで、上記のように形成される空間122の寸法は、次のように決定される。具体的には、アンテナ17を収容するに充分な大きさである事に加え、アンテナ17が配置された場合に、そのアンテナ17の両端面17a、17bからケース12の内側壁までの離間距離が、少なくとも離間距離>L/Sの関係を満たす程度の大きさである。さらに詳述すると、磁性コアが用いられたループアンテナに誘起される電圧Vは、V=Q(2πf/Δf)μnSHcosα(但し、Q:定数、Δf:3dBバンド幅、μ:実効透磁率、n:コイル巻数、S、コイル断面積、H:磁界強度、α:磁界方向とコイル軸との角度)により示され、コイル断面積Sを通過する磁界が多いほど、すなわち、コイル断面積Sが大きくなるほど良好な受信特性が得られる。また、アンテナ指向性は、コイル断面積Sが小さく、かつ、コア171が長いほど鋭くなり(図12(a)参照)離間距離を比較的大きくする必要があるのに対して、コイル断面積Sが大きく、かつ、コア171が短いほどアンテナ特性はブロードになるため(図12(b)参照)、アンテナコア軸方向以外の磁界が拾われ易くなり、離間距離を小さくすることができる。従って、離間距離は、離間距離>L/S程度であれば良く(例えば、コア長L:15mm、コイル断面積S:4mm2、離間距離:5mm程度)、この関係を満たす程度に離間距離が維持されれば、アンテナ17の受信感度の劣化を防止することが可能となる。なお、上記空間122は、ケース12を成形した後に切削加工により形成しても良く、また、金属射出成形(MIM)にて加工しても良い。
【0017】
次いで、本実施形態に係る電波修正腕時計1の構成について詳述する。図1に示すように、ケース12の中央には、円形の開口が形成され、この開口には、図2(a)に示すように、円盤状の透明ガラスであるカバーガラス11が嵌め込まれ、このカバーガラス11と、ケース12と、裏ブタ14とによって電波修正腕時計1の筐体が構成されている。なお、この図2(a)の断面図は、アンテナ17およびボタン28を横断するように切った断面を示すものではない。ケース12には、バンド取付部121が一体形成されており、このバンド取付部121には、バネ棒181によって時計バンド18が取り付けられる。時計バンド18およびバネ棒181は、ステンレス鋼、真鍮およびチタン等の導電部材である金属材から形成されている。また、図1および図2(b)に示すように、ケース12には、時計における3時方向に金属材からなるボタン28(操作子)が設けられている。このように、時計バンド18、バネ棒181およびボタン28をケース12と同様に金属材とすることで、外観上の統一を図ると共に高級感が得られるようになっている。なお、ボタン28の数および配置位置は、任意である。
【0018】
図2(a)に示すように、ケース12と裏ブタ14とからなる上述の筐体には、文字板15、ムーブメント16およびアンテナ17が収納されている。文字板15は、平板部材であり、図2(a)に示すように、カバーガラス11の図中下方に裏ブタ14に対して略水平に固定され、また、この文字板15の図中下方には、ムーブメント16およびアンテナ17が配置され、その下方全面が裏ブタ14により覆われる。文字板15は、紙材もしくはプラスチック材といった非導電部材から形成されている。また裏ブタ14は、ステンレス鋼、真鍮もしくはチタン等の金属材がケース12の下方に形成された開口に嵌合する形状に形成されてなる外枠141と、この外枠141に嵌め込まれるガラス材等の非導電部材からなるガラス板142とを備え、ケース12の下方に嵌め込み(またはネジ止め)固定される。
【0019】
この構成にあっては、上記のように文字板15が非導電部材であるため、電波が電波修正腕時計1の上面(図2(a)の上方)からカバーガラス11と文字板15とを通過して筐体内部に到達し易くなる。また、同様に、裏ブタ14のガラス板142が非導電部材であるため、電波修正腕時計1の下面(図2(a)の下方)から電波が筐体内部に到達し易くなる。これにより、電波修正腕時計1の上下方向から電波が筐体内部に到達し易くなるためアンテナ17の受信特性の向上が図られる。さらに、図1に示すように、裏ブタ14のガラス板142は、ケース12に形成された空間122の下方に位置する程度の大きさに形成されており、これにより、アンテナ17が配置された空間122に電波が到達し易くなっている。なお、ガラス板142に、例えばメッキ処理などの表面加工を施し、筐体内部を不可視とすると共に金属材と同様の質感とすることで、利用者の目に触れる部位(すなわちケース12、裏ブタ14、時計バンド18、バネ棒181およびボタン28)の質感が金属に統一され、これにより、高級感を向上させることができる。ここで、裏ブタ14のガラス板142の面積は大きいほど好ましく、これにより、アンテナ17の受信特性を向上させることができる。
【0020】
ここで、アンテナ17の受信特性の劣化を防止するために、アンテナ17は、金属材を多く含むムーブメント16から離間して配置されることが望ましい。しかしながら、腕時計にあっては、筐体(ケース12)のサイズに制限がある。そこで、本実施形態にあっては、図1に示すように、この運針機構を含むムーブメント16とアンテナ17とが互いに重ならないように水平方向で並列に配置して筐体の厚みを薄くすると共に、アンテナ17をバンド取付部121を削って形成された空間122に配置することでアンテナ17をムーブメント16から可能な限り離間してアンテナ17の受信特性の劣化を防止しているのである。
【0021】
次いで、ムーブメント16の一構成要素である運針機構について、図4を参照して説明する。運針機構は、秒針71、分針72および時針73の各針を駆動する機構であり、同図に示すように、秒車74、2番車75、および筒車76が互いに連動するように構成された輪列を有している。秒車74の回転軸には、秒針71の一端が取り付けられており、また、2番車75の回転軸には、分針72の一端が取り付けられている。さらにまた、筒車76の回転軸には、時針73の一端が取り付けられている。秒車74は、後述する秒モータ25によって回転駆動され、この回転が2番車75および筒車76に伝達されることにより、秒針71、分針72および時針73の各々が駆動され各々が時刻を指し示す。
【0022】
秒車74の表面には、秒車74の回転軸を中心とする円状の軌道に沿って特定の磁気情報パターンで帯磁された磁性体が貼付されている。また、秒針71の位置(回転角度)を求めるべく、この磁気情報パターンを読み取る秒針用検出素子741が秒車74の表面の磁性体と検出面が対向するように固定されている。同様に、2番車75、筒車76にも磁性体が貼付されており、2番車75に貼付られた磁性体と対向するように分針用検出素子751が固定され、筒車76に貼付られた磁性体と対向するように時針用検出素子761が固定されている。秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々は、読み取った磁気情報パターンに応じた検出信号をムーブメント16のICチップ(不図示)に出力する。ICチップは、秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々からの検出信号に基づいて秒針71、分針72、および時針73の現在の指針位置を求める回路と、運針機構の駆動制御および長波標準電波に基づく時刻修正といった各種処理を行う回路とを備えている。
【0023】
図5は、ムーブメント16の電気的構成を示すブロック図である。この図において、発振部21と、受信処理部22と、制御部23と、駆動部24とは、上述のICチップに形成された回路である。発振部21は、発振回路(図示せず)と合成回路(図示せず)とを備えている。発振回路には、水晶振動子211が基準発振源として接続されている。発振回路は、所定周波数の基準パルスを生成して合成回路に出力する。合成回路は、基準パルスを分周して分周パルスを生成し、その分周パルスと基準パルスとを合成することで、パルス幅やエッジの発生タイミングが互いに異なるパルス信号を発生し、制御部23へ供給する。
【0024】
受信処理部22は、アンテナ17からのアナログ受信信号に各種処理を施し、長波標準電波に含まれる標準時刻情報を得る。図6に示すように、受信処理部22は、同調回路50と、増幅回路51と、バンドパスフィルタ52と、復調回路53と、AGC(Automatic Gain Control)回路54と、デコード回路55とを備えている。同調回路50は、アンテナ17のコイルと並列に接続された複数の同調コンデンサ(不図示)を備え、各々の同調コンデンサの容量は、所望の周波数に同調するように予め設定されている。すなわち、制御部23からの切替え制御信号に基づきアナログスイッチなどによりアンテナ17と接続される同調コンデンサが切替えられ、受信周波数が切り替わることで、複数局(例えば、JJY福島局40kHz、JJY九州局60kHzなど)の中から受信する局を選択することが可能となっている。増幅回路51は、同調回路50からのアナログ受信信号を増幅して、バンドパスフィルタ52に供給する。バンドパスフィルタ52は、アナログ受信信号のうち所定の周波数成分のみを復調回路53に供給する。復調回路53は、入力されたアナログ受信信号を平滑化して復調する。AGC回路54は、復調回路53の出力信号のレベルを所定のレベルと比較し、長波標準電波の受信レベルが一定となるように、増幅回路51における信号増幅率を調節する。デコード回路55は、復調されたアナログ受信信号をA/D変換してデジタル信号とし、当該デジタル信号から現在時刻情報を示すタイムコードを復号する。このタイムコードには、周知の通り、現在分を示す分情報と、現在時を示す時情報と、現在日を表す日情報(その年の1月1日からの通算日)とが含まれ、これらの情報が受信処理部22から図5に示す制御部23に出力される。
【0025】
制御部23は、ムーブメント16の各部を中枢的に制御するものである。この制御部23は、受信制御回路部41と、駆動制御回路部42と、秒カウンタ回路43と、時分カウンタ回路44とを備えている。更に、秒カウンタ回路43は、秒位置カウンタ431、秒時刻カウンタ432および秒一致検出回路433を備えており、時分カウンタ回路44は、時分位置カウンタ441、時分時刻カウンタ442および時分一致検出回路443を備えている。駆動制御回路部42は、発振部21から出力される各種のパルス信号に基づいて、秒針、分針、および時針を運針するための信号である駆動パルス信号を生成する回路である。通常、駆動制御回路部42は、1秒周期で秒針を進めるためのパルス信号を出力し、1分周期で分針を進めるためのパルス信号を出力する。一方、表示時刻を修正する場合、駆動制御回路部42は、通常よりも短い周期で各指針表示位置を早送りするためのパルス信号を出力する。
【0026】
駆動部24は、秒駆動回路31と、時分駆動回路32とを備えている。秒駆動回路31は、制御部23内の駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、秒針を駆動するモータである秒モータ25を動作させる回路である。時分駆動回路32は、駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、分針を駆動させるモータである時分モータ26を動作させる回路である。なお図2を用いた説明では秒モータ25のみを図示したが、ここでは秒モータ25と時分モータ26との2つのモータを持つ構成で説明を行っている。2モータ構成であれば、秒針と分針とを互いに独立に駆動することができるため、時刻修正のための針位置移動に要する時間を短くできるという利点がある。秒モータ25および時分モータ26は、いわゆるステッピングモータである。電池27は、ムーブメント16に電力を供給するものである。電池27には、リチウム電池や銀電池などのコイン型の1次電池である。なお、ソーラーパネルなどにより発電を行う場合には、電池27としてリチウムイオン電池などの2次電池が用いられる。
【0027】
ここで、タイムコードに基づく表示時刻の修正動作は、駆動制御回路部42による制御の下、受信制御回路部41、秒カウンタ回路43および時分カウンタ回路44によって行われる。詳述すると、受信制御回路部41は、タイムコードが供給されると、タイムコードに基づいて秒に相当するデータと、時分に相当するデータとの、二つのデータを生成し、秒を示すデータを秒カウンタ回路43内の秒時刻カウンタ432の初期値として、時分を示すデータを時分カウンタ回路44の時分時刻カウンタ442の初期値として、それぞれをセットする。
【0028】
そして、秒時刻カウンタ432は、発振部21からの1秒周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1秒周期でインクリメントし、そのカウント結果を現在の秒を示す現在秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分時刻カウンタ442は、発振部21からの1分周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1分周期でインクリメントし、カウント結果を現在の時分を示す現在時分データとして、時分一致検出回路443へと出力する。
【0029】
その後、駆動制御回路部42は、秒針、分針、および時針により表示されている時刻を運針機構の磁気情報パターン(図示せず)を読み取ることにより求め、秒を表すデータを秒カウンタ回路43内の秒位置カウンタ431の初期値として、時分を表すデータを時分カウンタ回路44内の時分位置カウンタ441の初期値としてそれぞれセットする。初期値をセットされた秒位置カウンタ431は、1秒周期で値をインクリメントし、その値を秒を示す表示秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分位置カウンタ441は、1分周期で値をインクリメントし、その値を時分を示す表示時分データとして時分一致検出回路443へと出力する。
【0030】
そして、駆動制御回路部42は、表示時刻を現在時刻に合わせるための現在時刻復帰動作を開始する。まず、駆動制御回路部42は、秒駆動用の早送りパルスを駆動部24の秒駆動回路31および秒位置カウンタ431に送る動作と、時分駆動用の早送りパルスを駆動部24の時分駆動回路32および時分位置カウンタ441に送る動作を開始する。これにより、秒位置カウンタ431は、秒駆動用の早送りパルスのカウントを開始し、時分位置カウンタ441は、時分駆動用の早送りパルスのカウントを開始する。
【0031】
この結果、秒針、分針、時針の早送りが進められ、次第に、表示秒データが現在秒データの値に近付き、表示時分データが現在時分データに近付く。そして、表示秒データの値と現在秒データの値との一致が秒一致検出回路433によって検出され、表示時分データの値と現在時分データの値との一致が時分一致検出回路443によって検出され、駆動制御回路部42は、秒駆動用および時分駆動用の早送りパルスの出力を停止し、通常の駆動用パルスを出力し、タイムコードに基づく時刻修正動作が完了する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の電波修正腕時計1によれば、ケース12の側壁のうち肉厚部分を削ってできた空間にアンテナ17が、その端面が空間の内側面と間隙を配置することにより、両端面17a、17bと空間122の内側面との間に間隙が設けられ、受信感度の劣化を防止することができる。また、アンテナ17の周囲だけ、アンテナ17とケース12の内側面との距離を離すことができるため、ケース12の寸法(外形)を従来のケースと同じ寸法形状のまま、アンテナ特性を確保することができ、アンテナ17を配置するためにケース12が大型化することを防止することができる。さらに、ステンレス鋼、真鍮およびチタン等の導電部材である金属材によって形成されたケース12によって、時計としての高級感を醸し出すことができる。
【0033】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す底面図(裏ブタ14を外した状態)である。本実施形態の電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、ケース12に形成された空間122にアンテナ17を配置した後に、このアンテナ17を固定する固定部材150として、プラスチック樹脂材などの非導電部材を空間122に隙間に充填し、アンテナ17の周囲を包む構成とした点である。このような構成とすることで、アンテナ17の受信特性の劣化を防止しつつ、アンテナ17を固定することができると共に、プラスチック樹脂材が緩衝材として機能するため、アンテナ17のコア171の対衝撃性を向上させることが可能となる。なお、同図においては、アンテナ17の上面には固定部材150が配置されていないが、アンテナ17上にも固定部材150を配置しても良いことは勿論である。
【0034】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図である。なお、同図においては、裏ブタ14を図中上方に示している。本実施形態の電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、裏ブタ14が非導電部材であるセラミックから一体成形され、ケース12の下面の開口を覆うように、ねじ止め固定されている点である。セラミックの材質としては、長波帯の電波を透過するジルコニアなどを用いることができる。また、セラミックは、焼結時に金属粉を混入することで金属と同程度の光沢が出るため、腕時計に高級感を持たせることができる。
なお、セラミックからなる裏ブタ14を用いる際にも、アンテナ17が配置された空間の下方に、この裏ブタ14が配置されることで、アンテナ17の受信感度を向上させることができる。
【0035】
<第4実施形態>
図9は、本発明の第5実施形態にかかる電波修正腕時計1の構成を示す分解斜視図(裏ブタ14が上方)であり、また、図10は、電波修正腕時計1の断面図である。本実施形態にかかる電波修正腕時計1が第1実施形態と異なる点は、次の3点である。すなわち、(1)ムーブメント16を固定するための中枠155を備える点、(2)発電用のソーラーパネル157を備える点、(3)裏ブタ14の外形を円形とすべく、ケース12の側壁が円弧に沿ってくり抜かれ空間122が形成されている点である。
【0036】
中枠155は、プラスチック材などの非導電部材がリング状に形成されてなり、図10に示すように、ケース12の内側壁に沿って配置され、そして、アンテナ17およびムーブメント16が中枠155の内側に位置決め固定される。すなわち、アンテナ17とケース12とが中枠155を挟む構造となるため、中枠155の厚みを大とすることで、ケース12の内側面とアンテナ17の端面17a、17bとの距離が離れ、受信感度特性が向上することとなる。
また、一般的に腕時計に発電用のソーラーパネル157を設ける場合、ソーラーパネル157は、文字板15の下側に配置される。ここで、ソーラーパネル157の基材は金属材であるため、アンテナ17の受信感度の劣化が懸念される。しかしながら、上記のように、中枠155を備える構成とすることで、ケース12の内側面とアンテナ17との距離が離れるため、この間隙(すなわち、中枠155)を通して電波の磁界成分をアンテナ17に導くことができ、受信感度の劣化を防止できる。
一方、裏ブタ14には、円形のものが一般的に用いられる。従って上記のように、円形の裏ブタ14に合う形状に空間122を形成することで、従来の円形の裏ブタ14を転用することができ、外観の向上と共に製造コストの削減を実現することが可能となる。
【0037】
<変形例>
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。そこで以下に各種の変形例について説明する。
【0038】
(1)上述した各実施形態において、アンテナ17を配置するための空間122を次のように形成しても良い。すなわち、図11に示すように、ケース12には、時計の略9時および6時方向の各々にバンド取付部121A、121Bがあるものの、上述した各実施形態では、一方のバンド取付部121の方に向かってケース12の内側面を削って空間122を形成した(図2参照)。これに対して、2つのバンド取付部121A、121Bの各々に向かってケース12の内側面を削り、空間122A、122Bを形成し、この空間122A、122Bにアンテナ17の端面17a、17bが向くようにアンテナ17を配置する構成、すなわち、図2に示すアンテナ配置を90度時計回りに回転させた配置構成としても良い。
この構成によれば、アンテナ17の長さ(全長)を長くすることができ、これにより、アンテナ17の指向性を鋭くすることが可能となる。
【0039】
(2)上述した各実施形態では、電波修正腕時計1の例示として、時針により時刻を表示するアナログ時計を例示したが、これに限らず、LED(Light Emitting Diode)あるいは有機EL(Electro Luminescent)によって時刻をデジタル表示するデジタル時計であっても良い。
(3)上述した各実施形態では、無線機能付き腕時計の例示として、長波標準電波を受信する電波修正腕時計について例示したが、電波を受信するバーアンテナが内蔵された腕時計であれば任意の腕時計に本発明を適用することができる。例えば、125kHz帯の電波を受信してRF-ID(Radio Frequency Identification)機能を実現する腕時計、457kHz帯の電波を受信してビーコン機能を実現する腕時計、あるいは、AMラジオ機能を実現する腕時計といったものに、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図2】同電波修正腕時計の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は底面図(裏ブタ無し)である。
【図3】同アンテナによる長波標準電波の受信を説明する概念図である。
【図4】同ムーブメントの一構成要素である運針機構を示す斜視図である。
【図5】同ムーブメントの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同受信処理部の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す底面図(裏ブタ無し)である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る電波修正腕時計の構成を示す分解斜視図である。
【図10】同電波修正腕時計の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の変形例にかかる電波修正腕時計の構成を示す底面図(裏ブタ無し)である。
【図12】ループアンテナのコイル断面積およびコア長と指向特性との関係を模式的に示す図であり、(a)はコイル断面積が小、コア長が大のときの指向特性を示し、(b)はコイル断面積が大、コア長が小のときの指向特性を示す。
【符号の説明】
【0041】
1…電波修正腕時計、11…カバーガラス、12…ケース、14…裏ブタ、15…文字板、16…ムーブメント、17…アンテナ(バーアンテナ)、18…時計バンド、121…バンド取付部、122…空間(凹部)、141…外枠、142…ガラス板、150…固定部材、155…中枠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏ブタと、前記裏ブタの上に配置され計時機能を実現するムーブメントと、前記裏ブタと前記ムーブメントとを上方から覆う導電部材からなるケースと、前記ケース内に前記ムーブメントと共に収納され前記ケースの外からの電波を受信するバーアンテナと、前記バーアンテナが受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部とを備え、
前記ケースの内側面には、前記ケース内に配置された前記バーアンテナの端面が対向する箇所に、前記ケースの径方向に凹む凹部が形成されている
ことを特徴とする無線機能付き腕時計。
【請求項2】
前記裏ブタの一部が非導電部材から構成され、前記非導電部材から構成された部分が、少なくとも前記ケースの内側面に形成された凹部の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項3】
前記裏ブタは、金属材からなる枠材と、当該枠材に嵌合するガラス材とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項4】
前記裏ブタは、セラミック材料から形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項5】
前記バーアンテナを固定する非導電材からなる固定部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【請求項6】
前記ムーブメントを前記ケースに固定するための非導電材からなる中枠を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【請求項7】
時刻視認用の文字板を更に備え、前記文字板は、非導電部材からなる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【請求項1】
裏ブタと、前記裏ブタの上に配置され計時機能を実現するムーブメントと、前記裏ブタと前記ムーブメントとを上方から覆う導電部材からなるケースと、前記ケース内に前記ムーブメントと共に収納され前記ケースの外からの電波を受信するバーアンテナと、前記バーアンテナが受信した信号に基づく信号処理を実行する制御部とを備え、
前記ケースの内側面には、前記ケース内に配置された前記バーアンテナの端面が対向する箇所に、前記ケースの径方向に凹む凹部が形成されている
ことを特徴とする無線機能付き腕時計。
【請求項2】
前記裏ブタの一部が非導電部材から構成され、前記非導電部材から構成された部分が、少なくとも前記ケースの内側面に形成された凹部の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項3】
前記裏ブタは、金属材からなる枠材と、当該枠材に嵌合するガラス材とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項4】
前記裏ブタは、セラミック材料から形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の無線機能付き腕時計。
【請求項5】
前記バーアンテナを固定する非導電材からなる固定部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【請求項6】
前記ムーブメントを前記ケースに固定するための非導電材からなる中枠を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【請求項7】
時刻視認用の文字板を更に備え、前記文字板は、非導電部材からなる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の無線機能付き腕時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−78503(P2006−78503A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356555(P2005−356555)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【分割の表示】特願2003−47074(P2003−47074)の分割
【原出願日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【分割の表示】特願2003−47074(P2003−47074)の分割
【原出願日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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