説明

無線照度センサ

【課題】内蔵電源の電圧が低下しても照度センサの検出精度が低下しない無線照度センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本体1aと;前記本体1aに配設される電源1cと;前記本体1aに配設され、前記電源1cによって動作する照度センサ4と;前記照度センサ4から出力されるアナログデータを前記電源1cの電圧を用いてデジタルデータに変換する変換部20dと;前記電源1cの駆動時間を計時する計時部20aと;前記計時部20aによる計時時間および前記電源1cの出力電圧と駆動時間との関係および前記照度センサ4を動作させる電源電圧と照度センサ4で検出した検出値をデジタルデータに変換した値の変化率との関係から前記変換部20dによって変換されたデジタルデータを補正する補正手段20cと;前記補正手段20cによって補正されたデジタルデータを無線通信によって出力する無線通信部21と;を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度を検出しこの検出値を無線にて出力する無線照度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスなどにおいて照度センサを利用し、照度センサの検出値が目標照度になるように照明器具を調光制御することによって、昼光を利用した省エネルギーな照明制御が行われている。
【0003】
このような照明制御システムでは、天井面に照度センサが設けられ床面や机上面等からの反射光を検出している。このため、例えば机上面の反射率が変化すると検出する照度値が変化してしまい、机上面を所望の照度にすることができなくなる。
一方、照度センサを具備したリモコン装置によって、照明制御を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このリモコン装置は、照度センサで測定した照度と予め設定された目標照度とを比較し、所望の照度となるような照明制御信号を照明器具に無線で送信するものである。このように、リモコン装置で検出した照度検出値で照明制御を行うことができるため、例えばリモコン装置を机上面に載置しておけば、机上面の反射率に依存することなく机上面照度を一定に制御することができる。
【特許文献1】特開平2−189892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記リモコン装置は内蔵電源の電力によって照度センサを動作させ無線通信を行わなければならないため、使用に伴い内蔵電源の電圧が低下することになる。照度センサは動作電圧の変化に伴い検出値が変化するが、上記特許文献には内蔵電池の電力低下に伴う照度センサの検出値の変化についてはなんら考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みなされたものであり、内蔵電源の電圧が低下しても照度センサの検出精度が低下しない無線照度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る無線照度センサは、本体と;前記本体に配設される電源と;前記本体に配設され、前記電源の電力によって動作する照度センサと;前記照度センサから出力されるアナログデータを前記電源の電圧を用いてデジタルデータに変換する変換部と;前記電源の駆動時間を計時する計時部と;前記計時部による計時時間および前記電源の出力電圧と駆動時間との関係および前記照度センサを動作させる電源電圧と照度センサで検出した検出値をデジタルデータに変換した値の変化率との関係から前記変換部によって変換されたデジタルデータを補正する補正手段と;前記補正手段によって補正されたデジタルデータを無線通信によって出力する無線通信部と;を具備することを特徴とする。
本発明及び以下の請求項の各発明において、特に指定しない限り、用語の定義及び技術的意味は次による。
無線照度センサは、オフィス等において、照明装置等の制御対象装置を制御するために用いられる装置であるが、これに限定されない。
電源は、例えば、1次電池、2次電池などを使用することができる。
【0008】
電源の出力電圧と駆動時間との関係とは、例えば無線照度センサが待機状態で照度検出等を行っていない状態における電源の駆動時間と出力電圧との関係であってもよいし、照度検出および検出値の送信等の電源の消耗を考慮した駆動時間と出力電圧との関係であってもよい。例えば、照度センサによる照度の検出回数および検出値の送信回数によって計時している駆動時間または所定の計時時刻における出力電圧を変化させるように設定してもよい。
【0009】
無線通信部は、例えば、電波通信、赤外線通信、可視光通信、その他の無線通信によって通信することができる。また、双方向通信可能であってもよいし、送信のみ行う構成であってもよい。
照度センサは、例えばフォトトランジスタを使用することができるがこれに限定されない。
【0010】
無線照度センサは、例えばリモコン装置などによって無線通信部を介して各設定を行うことができる。例えば、無線照度センサのアドレス、無線通信部の入力レベル、出力レベル、照度センサの検出間隔、照度検出値の送信間隔、照度センサの検出電圧と照度値との変換率、所定の電圧における照度検出値の初期値などを設定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の無線照度センサによれば、電源の電圧低下によって照度センサの検出精度が低下することなく、所定位置における照度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施の形態により説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線照度センサが利用される環境の例を説明するための図である。
無線照度センサ1は、オフィス、舞台等の建物内の空間において天井2に取り付けられた複数の照明装置3、3、3を制御するために、用いられる。
複数の照明装置3、3、3は信号線4を介して制御端末器5と接続され、制御端末器5は伝送線6を介して中央制御装置7と接続されている。
【0013】
照明装置3は、制御端末器5からの調光信号によって所望の調光率で点灯制御される。
制御端末器5は、無線照度センサ1およびその他無線機器と無線通信可能に構成されている。
【0014】
また、制御端末器5には、制御対象である照明装置3によって照明される照明領域の目標照度が設定されており、この目標照度は、例えば中央制御装置7から伝送線6を介して設定でき、また、リモコン装置などを用いて無線通信によって設定することも可能である。
【0015】
無線照度センサ1は、本体1aの表面に照度検知部4aを有する照度センサ4を有しており、電源のオンオフを行う操作キー部1bと、入力内容、操作内容等を表示するための液晶表示装置等の表示部1cとを有している。
無線照度センサ1は、照度センサ4によって照度を検出し、検出値を無線通信によって制御端末器5へ送信する。
【0016】
なお、無線照度センサ1は、無線通信によってリモコン装置などの設定器から各種設定を行うことができる。ここでは、無線照度センサ1のアドレスと検出間隔、送信間隔、目標照度を設定する。
無線照度センサ1のアドレスとは、無線通信を行うために設定された個別の情報である。
検出間隔とは、照度センサを動作させて照度を検出する時間間隔であり、例えば1分に1回検出するように設定する。
送信間隔とは、検出した照度値を送信する時間間隔であり、例えば上記検出間隔に合わせて1分間に1回送信するように設定する。
【0017】
目標照度とは、無線照度センサ1が設置される場所の目標照度である。無線照度センサ1は、照度検出値を送信してもよいし、例えば照度検出値と目標照度値とを比較し、目標照度に対して検出照度値が低い場合には照明装置3の出力を上げる制御信号を送信してもよいし、照度検出値と目標照度値がほぼ同じ場合には検出値の送信を行わないという制御を行ってもよい。
次に無線照度センサ1によって照明装置3を制御する方法について説明する。
【0018】
まず、机上面等に設置した無線照度センサ1の操作キー部1bをオンにし、無線照度センサ1を動作させる。無線照度センサ1は、予め設定された検出間隔および送信間隔に従って照度を検出し、検出値を出力する。制御端末器5は無線照度センサ1から受信した照度検出値と自己に設定された照度目標値とを比較し、照明装置3の照明制御信号を出力する。このようにして、無線照度センサ1が設置された場所における照度を目標照度に一定制御することができる。
このとき無線照度センサ1は、照明装置3からの照明光を直接検出するため、机上面の反射率等に影響されることがない。
図2は、無線照度センサ1を示すブロック図である。
本体1aには、操作キー部1bが配設されており、本体1aに内蔵された電源部としての電池1cの電源供給をオンオフ操作することができる。
電池1cは、一対の電源線10a、10bを介してマイコン20と接続されてマイコン20に電力を供給する。
【0019】
照度センサ4は、フォトトランジスタからなり、電池1cの正極側と電源線10cを介して接続されて電力が供給されるとともに、電力線11aを介してマイコン20と接続されて検出した検出値をマイコン20へ出力する。さらに、照度センサ4とマイコン20とは電力線11bを介して接続され、電力線11bの中間部にはスイッチング手段1dが設けられている。スイッチング手段1dは、マイコン20の制御によってオンオフが行われるものであり、このオンオフによって照度センサ4への電源供給を行っている。すなわち、電源線10cからは操作キー部1bの操作によって電池1cがオンになっているときに常に電池1cの正極の電圧が供給されているが、スイッチング手段1dがオンとなり電力線11bから所定の電位以上の電力が供給される場合には照度センサ4は動作しない。そして、スイッチング手段1dがオフになり電力線11bから供給される電圧が所定の電圧以下に低下すると照度センサ4は動作する。照度センサ4は、このように電圧が供給されて動作しているときに、検出した検出値を電力線11aを介してアナログデータとしてマイコン20に出力する。このように、マイコン20を所望の間隔で制御することによってスイッチング手段1dをオンオフ動作させ、照度センサ4の検出間隔を制御することができる。なお、マイコン20による所望の検出間隔は記憶部20bに記憶された時間間隔に従って制御される。
【0020】
マイコン20は、電池1cから電源が供給されている時間を計時可能な計時部20a、電池1cの出力電圧と経過時間との関係および照度センサ4を動作させる電池1cの電圧と照度センサ4から出力される出力値のデジタルデータの変化率との関係が記憶されている記憶部20b、補正手段としての演算部20c、照度センサ4から出力されるアナログデータをデジタルデータに変換する変換部20dを有している。
無線通信部21は、マイコン20に接続されており演算部20cで補正されたデータを無線通信にて送信する無線通信機能を有している。
照度センサ4によって検出された照度値は、アナログデータの電圧として電力線11aを介してマイコン20内の変換部20dに入力される。
図3は、変換部20dに入力される電圧およびアナログデータおよびデジタルデータの信号の流れの説明図である。
【0021】
変換部20dは、電池1cのリファレンス電圧Vrefおよびアナログデータとしての電圧が入力されており、両電圧の比をデジタルデータとして変換している。そして、デジタルデータに変換された検出値は、演算部20cに出力される。
【0022】
演算部20cは、時間を計時する計時部20aおよび記憶部20bに対して適宜データの読み出し、または書き込みが行えるように構成されている。また、電圧値を照度値に換算する機能および入力されたデジタルデータまたは換算された照度値を補正する機能を有している。
そして、最終的に補正された照度値を無線通信部21に出力することができる。
以下、デジタルデータの補正方法について説明する。
【0023】
変換部20dは電池1cのリファレンス電圧Vrefと入力されたアナログデータの電圧値との比を用いてデジタルデータに変換しているため、電池1cの消耗に伴いリファレンス電圧Vrefが低下すると、同じアナログデータの値に対してデジタルデータの値が変化する。
図4は、電池1cの駆動時間と出力電圧の関係を示すグラフである。
このように、電池1cは駆動時間に伴い非線形に電圧が降下し、この降下曲線は電池1cの特性や動作状況によって変化する。
【0024】
ところで、照度センサ4は、同照度を計測したときに照度センサ4に供給される電力の電圧値と出力される検出値としての電圧値とが線形の関係を有していれば、変換部20dでデジタルデータに変換された値は電池1cの出力電圧値によらず一定となる。
電池1cの出力電圧値によらずデジタルデータが一定となる上記仮定について説明する。
【0025】
例えば、照度センサ4に供給される電池1cの電圧およびリファレンス電圧VrefをXとし、ある所定の照度下において照度センサ4から出力される検出値としての電圧値がaであったとする。このとき、デジタルデータは入力される電圧値aとリファレンス電圧Vrefの値Xの比で変換されるため、変換後のデジタルデータの値はa/Xとなる。ここで、仮に電池1cの出力電圧が半分になったとすると、照度センサ4から出力される検出値としての電圧値は、照度センサ4に供給される電圧に比例するためa/2となる。さらに、変換部20dにおいてこの検出値としての電圧値を変換するときは、リファレンス電圧VrefのX/2との比で変換されるため、変換後のデジタルデータの値はa/Xとなり電池1cの電圧によらず一定となる。
【0026】
このように、上記仮定の通りであれば実際の照度が一定であれば電池1cが消耗しても照度センサ4の検出値としてのデジタルデータの値は結果的に変化しないと考えられる。
【0027】
しかしながら、例えばフォトトランジスタから構成される照度センサ4を用いた場合には入力電圧によって出力特性が変化するという傾向があり、このためにデジタルデータの値は電池1cの消耗によって変化することがわかった。
【0028】
図5は、横軸に電池1cの電圧を示し、縦軸に照度センサ4で検出した電圧値をデジタルデータに変換した値の変化率を示している。なお、電池1cの電圧が3Vのときのデジタルデータの変化率を1としている。
【0029】
図5から、電池1cの電圧が低下するに従って変化率が大きくなっていることがわかる。一方、電池1cは図4に示したように駆動時間によって電圧が低下していくため、所定の駆動時間がわかれば電池1cの電圧が分かり、電池1cの電圧がわかれば照度センサ4から出力される検出値の変化率がわかる。
【0030】
そこで、本願発明の無線照度センサ1では、記憶部20bに電池1cの駆動時間と電圧の関係および照度センサ4の入力電圧とアナログデータとしての検出値をデジタルデータに変換したときの値の変化率の関係を記憶しておき、各々の関係と計時部20aによって計時した電池1cの駆動時間を用いて、演算部20cによってデジタルデータを補正するように構成されている。
【0031】
さらに、記憶部20bには使用する電池1cの駆動時間と電圧との関係、電池1cの電圧と変換後のデジタルデータの変化率の関係の他、電圧値と照度値の換算式を記憶しておく。また、電池1cの電圧の初期状態の電圧、例えば3Vのときに所定の明るさを検出しておき、このときのデジタルデータとしての電圧値と電池1cの電圧との関係を初期値として記憶しておく。
【0032】
演算部20cは、変換部20dからデジタルデータが入力される毎に計時部20aおよび記憶部20bから所望のデータを読み出し、デジタルデータを補正する。
【0033】
なお、変換部20dでは予め補正前のデジタルデータの電圧値から照度値に換算した後に補正を行ってもよいし、デジタルデータの電圧値を補正した後に照度値に換算してもよい。さらに、電圧値から照度値への換算を行わない構成であってもよい。
【0034】
また、電池1cの電圧低下は照度センサ4の検出回数、無線通信部20eの通信回数にも依存するため、これらの設定も考慮して、電池1cの電圧と駆動時間の関係を適宜修正するようにしてもよい。
以上説明したように、電池1cの電圧が変化しても照度センサ4で検出する照度値の精度が低下しないように補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線照度センサが利用される環境の例を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無線照度センサの構成の例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る無線照度センサの変換部の説明図である。
【図4】電池の駆動時間と電圧を示すグラフである。
【図5】駆動電圧と照度センサの検出値をデジタルデータに変換した値の変化率とを示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 無線照度センサ、1a 本体、1c 電源としての電池、4 照度センサ、20a 計時手段としての計時部、20c 補正手段としての演算部、20d 変換部、21 無線通信部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と;
前記本体に配設される電源と;
前記本体に配設され、前記電源の電力によって動作する照度センサと;
前記照度センサから出力されるアナログデータを前記電源の電圧を用いてデジタルデータに変換する変換部と;
前記電源の駆動時間を計時する計時部と;
前記計時部による計時時間および前記電源の出力電圧と駆動時間との関係および前記照度センサを動作させる電源電圧と照度センサで検出した検出値をデジタルデータに変換した値の変化率との関係から前記変換部によって変換されたデジタルデータを補正する補正手段と;
前記補正手段によって補正されたデジタルデータを無線通信によって出力する無線通信部と;
を具備することを特徴とする無線照度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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