説明

無線端末装置

【目的】 無線端末を車両内で使用する場合、メッセージを的確に受信する。
【構成】 車両6内で無線端末装置3が基地局2と通信を行う場合、無線受信状況が安定していない場合は、車両に搭載されたナビゲーション装置62からの位置信号または車速センサ61からの車速信号に基づき車両の停止を検出すると、基地局を介しセンター装置1へアクセスし自端末宛のメッセージを取り出す。この結果、車両の走行時に無線の受信状態が不安定となり基地局との間で通信エラーが発生して、基地局からセンター装置へ格納された自端末宛のメッセージは、車両の停止時にセンター装置から送信され端末側で受信できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話回線等の回線を介してセンター装置に接続される基地局と無線接続され、基地局を介してセンター装置にアクセスし各種の情報を通信する無線端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の無線端末装置は、テレターミナルと呼称され、これら各テレターミナルからなるテレターミナルシステムは、図3に示すように構成されている。即ち図3において、1はセンター装置、21 〜24 はセンター装置1と電話回線等の回線Lを介して接続される基地局、31 〜35 は基地局21 〜24 と無線接続される無線端末装置である。
【0003】ところでこのような無線端末装置3は、800MHzの無線周波数で基地局2と通信を行っており、扱う対象は音声信号ではなく、データ信号である。したがって、このような無線端末装置を各人が所持し、センター装置1を介しメッセージをデータ信号として互いに双方向通信して各無線端末装置の表示器上に表示するようにすれば、メッセージを的確に相手へ伝達することができる。このため、この無線端末装置は、受発注管理システム,保守サービス支援システム,工事現場の情報管理システム及び車両動態管理システム等に有効に利用することができる。また、この無線端末装置は、携帯型であることから電源としては電池が用いられていると共に、送信時には、約7W(ワット)の電力が消費される。そして、送信時以外は待受状態となっており、基地局からの呼出及びこの呼出に基づいて基地局からメッセージ情報を受信する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような無線端末装置を車両内で用いる場合、特に車両の走行中には通信エラーが頻繁に発生し、基地局を介する相手装置からのメッセージが受信できないという問題を生じている。
【0005】したがって本発明は、無線端末装置を車両内で使用する場合、相手装置からのメッセージを的確に受信することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決するために本発明は、電話回線等の有線回線を介してセンター装置に接続される基地局と無線回線により接続されると共に、ナビゲーション装置を有する車両に搭載される無線端末装置において、無線回線を介する受信状況が一定時間安定しているか否かを判定する受信状況判定手段と、受信状況判定手段の判定出力が否の場合にナビゲーション装置からの位置信号に基づき車両の停止を検出する車両停止検出手段と、この車両停止検出手段の検出出力に応じセンター装置へアクセスしメッセージ情報を取り出すメール呼出手段とを設けたものである。また、車両の車速信号を入力する車速信号入力手段を備え、上記車両停止検出手段は、ナビゲーション装置からの位置信号及び車速信号入力手段からの車速信号の零の何れか一方に基づき車両の停止を検出するようにしたものである。
【0007】
【作用】車両内で用いられる無線端末装置が基地局と通信を行う場合、無線回線の受信状況が安定していないと判定されると、ナビゲーション装置からの位置信号に基づき車両の停止を検出し、この検出出力に応じセンター装置へアクセスしメッセージ情報を取り出す。この結果、車両の走行時等に無線回線の受信状態が不安定となり基地局との間で通信エラーが発生して、基地局からセンター装置へ格納されたこの無線端末装置宛のメッセージ情報は、車両の停止時に、無線端末装置により自動的に取り出され、したがって通信エラー時に受信不可となっていた相手装置からのメッセージ情報を的確に受信できる。また、車両の停止は、車速信号入力手段からの車速信号の零に基づき検出される。この結果、車両の停止を簡単に検出できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る無線端末装置の一実施例を示すブロック図である。同図において、この無線端末装置3には、CPU31が設けられており、CPU31には各種の表示を行うLCDユニット32、及びA/D変換部33が接続されている。ここでA/D変換部33は、タッチキー部34からの電圧レベル信号をディジタル信号に変換してCPU31へ伝達する。また、タッチキー部34は抵抗の集合体からなり上述のLCDユニット32と一体に形成されると共にこのLCDユニット32の表示画面に表示されている各操作キー等が押下された時に押下箇所に応じたX方向及びY方向の各電圧レベル信号を発生するもので、この電圧レベル信号が上述したA/D変換部33によりディジタル信号に変換され、操作信号としてCPU31に伝達される。
【0009】また、CPU31には着信時等に鳴動するブザー35、時計部36、及びモデム部37が接続されている。ここでモデム部37は、CPU31からのデータ信号を無線送受信部38へ送って図3に示す基地局2へ送信させると共に、無線送受信部38を介し基地局2からのデータ信号を受信するとこの受信データをCPU31へ伝達するものである。
【0010】また、この無線端末装置3は携帯型であるため、電源として電池39が用いられ、電源制御部40はこの電池39の出力電圧を変換して出力電圧Vとして装置各部に供給している。なお電池39が消耗しその電圧レベルが低下した場合は、充電器50により充電される。また、CPU31には、この装置のID番号が登録されるIDROM41、データを格納するRAM42、及び無線送受信部38を介し無線の受信電界強度を検出するための信号線43が接続されている。この他CPU31には、この装置が車両6に搭載された場合に車両6に設けられている車速センサ61からの車速信号を入力するための信号線44、及び、車両6のナビゲーション装置(GPS;Global PositioningSystem)62で用いられる位置信号を入力するための信号線45が接続されている。
【0011】ここでCPU31は、A/D変換部33を介しタッチキー部34から操作信号を入力すると、所定の処理を行ってその処理結果をLCDユニット32へ表示する。そしてこの表示画面を例えば相手装置へ送信する場合は、相手装置を呼出した後、モデム部37,無線送受信部38及びアンテナATを介し、図3に示す基地局2へこの表示画面データをパケットデータとして送信する。この結果、表示画面データは、この送信側装置のエリアにある基地局2及びセンター装置1を介し相手装置と無線接続される基地局へ伝達され、さらに所望の相手装置へ送られて表示される。また、相手装置から送信される表示画面データは、アンテナAT,無線送受信部38及びモデム部37を介してCPU31で受信され同様にLCDユニット32上に表示される。このように本装置は、表示画面データ等のデータ信号を相手装置と双方向通信を行うことができる。
【0012】ところで、このような無線端末装置3を車両6内で使用した場合、特に車両6の走行中には基地局2との間で通信エラーがたびたび発生し、この結果基地局2からの呼出に応答できないことから相手装置のメッセージが受信できないことがある。このため、本実施例では、車両6に搭載された車速センサ61からの車速信号が零となり車両6が停止したと判断した場合には、基地局2を介してセンター装置1の電子メール部へアクセスし、自端末宛のメッセージを取り出すようにする。また、車両のナビゲーション装置62で用いられる位置信号を監視し、この位置信号から車両が停止していると判断した場合には、同様にセンター装置1の電子メール部をアクセスして自端末宛のメッセージを取り出すようにする。
【0013】即ち、基地局2は、例えば走行中の車両に搭載されている無線端末装置3との間で通信エラーが頻繁に生じ、無線端末装置3が基地局2からの呼出に応答できないような状態のときには、相手端末装置からのこの無線端末装置3宛のメッセージをセンター装置1内の電子メール部に格納する。この場合、無線端末装置3は、車両の停止を検出した時には、基地局2との通信が良好な状態に回復したものと判断して、基地局2を介してセンター装置1をアクセスし、通信不良状態の時にセンター装置1に格納されていた自端末宛のメッセージをセンター装置1から基地局2を介し送信させる。そして送信されたメッセージを受信してLCDユニット32への表示等を行う。
【0014】図2は、このような自端末宛のメッセージをセンター装置から取り出す、メール呼出動作を示す無線端末装置3のCPU31の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに従い、本発明の要部動作をさらに詳細に説明する。CPU31は、基地局2への送信時以外は、信号線43を介し無線送受信部38における受信電界強度の強弱検出を行うと共に、無線送受信部38及びモデム部37を介し基地局2からのデータ信号の受信状況を監視しており、時計部36からの時刻情報をもとに本装置の受信状況が一定の例えば30秒間安定しているか否かをステップST1で判断する。
【0015】そして30秒の間、受信が安定していないと判断した場合は、次にステップST2で車両6の停止を判断する。この車両6の停止の判断は、上述したように車速センサ61からの車速信号の零、またはナビゲーション装置62からの位置信号(一定時間における同一位置信号の受信)により行われる。そして車両6の停止が検出できない場合はステップST1へ戻り、また車両6の停止が検出されればステップST3へ移行する。
【0016】ステップST3では、センター装置へアクセスして自端末宛のメッセージを取り出す、前回のメール呼出から一定時間経過したか否かを時計部36の現時刻情報及びRAM42に前回のメール呼出時に記憶された時刻情報から判断する。そして前回のメール呼出から一定時間が経過していなければ、自端末宛のメッセージが新たにセンター装置に格納されている可能性がないとしてステップST1へ戻る。
【0017】また、前回のメール呼出から一定時間が経過していなければ、新たな自端末宛のメッセージがセンター装置に格納されている可能性が高いと判断する。そしてこの場合は、ステップST4で基地局2を介してセンター装置1をアクセスし、自端末宛のメッセージの有無を問い合わせる。そして自端末宛のメッセージがある場合は、このメッセージをセンター装置1から基地局2を介して送信させる。CPU31は基地局2を介しセンター装置から送信される自端末宛のメッセージをアンテナAT,無線送受信部38及びモデム部37を介して受信すると、LCDユニット32へ表示する等の処理を行う。
【0018】このように車両6に搭載された無線端末装置3が車両6の走行時等に基地局2との間で通信エラーが発生した場合、基地局2はこの端末装置3宛のメッセージをセンター装置に格納すると共に、無線端末装置3は、車両6の停止を確認すると、センター装置1へアクセスして自端末宛のメッセージをセンター装置1から取り出すようにしたものである。この結果、無線端末装置を車両内で使用する場合、相手装置からのメッセージを的確に受信することができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車両内で用いられる無線端末装置が基地局と通信を行う場合、無線回線の受信状況が安定していないと判定されると、ナビゲーション装置からの位置信号に基づき車両の停止を検出し、この検出出力に応じセンター装置へアクセスしメッセージ情報を取り出すようにしたので、車両の走行時等に受信状態が不安定となり、基地局からセンター装置へ格納されたこの無線端末装置宛のメッセージ情報は、車両の停止時に自動的に取り出され、したがって通信エラー時に受信不可となっていた相手装置からのメッセージ情報を的確に取り出し受信できる。また、車両の停止を車速信号入力手段からの車速信号の零に基づき検出するようにしたので、車両に搭載された無線端末装置が車両停止を検出する場合、簡単に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無線端末装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】上記装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】上記装置が適用されるテレターミナルシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 センター装置
1 〜24 基地局
1 〜35 無線端末装置
6 車両
31 CPU
36 時計部
37 モデム部
38 無線送受信部
42 RAM
43〜45 信号線
61 車速センサ
62 ナビゲーション装置
AT アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電話回線等の有線回線を介してセンター装置に接続される基地局と無線回線により接続されると共に、ナビゲーション装置を有する車両に搭載される無線端末装置において、前記無線回線を介する受信状況が一定の時間安定しているか否かを判定する受信状況判定手段と、前記受信状況判定手段の判定出力が否の場合に前記ナビゲーション装置からの位置信号に基づき前記車両の停止を検出する車両停止検出手段と、前記車両停止検出手段の検出出力に応じ前記センター装置へアクセスしてメッセージ情報を取り出すメール呼出手段とを備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】 請求項1記載の無線端末装置において、前記車両の車速信号を入力する車速信号入力手段を備え、前記車両停止検出手段は、前記ナビゲーション装置からの位置信号及び前記車速信号入力手段からの車速信号の零の何れか一方に基づき前記車両の停止を検出することを特徴とする無線端末装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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