説明

無線識別を提供する方法及びシステム

SIMチップ(3)を有するSIMカード(2)を備える移動通信デバイス(1)は、RF−IDタグ(4)によって改良される。本発明は、ユーザが新しいデバイスを入手することを必要とせずに、RF−IDタグの確実な識別手段を、SIMチップを有する移動体デバイスの通信機能に組み合わせることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、無線通信ネットワークに関する。より詳細には、識別目的のために無線通信デバイスを利用する方法及びシステムが開示される。
【0002】
発明の背景
今日、例えば携帯電話機又は個人情報端末(PDA)のような無線通信デバイスの利用が広がっている。新しい技術の出現により、これらのデバイスの利用は、音声アプリケーションに限られない。例えば、UTMSなどの第三世代電気通信プロトコルに基づく、多くの新しいデータ通信アプリケーションが開発されている。移動体デバイスは、近い将来に、チケット購入及び小額決済などのアプリケーションに利用されることが、一般に受け入れられている。これまで、こうした領域の大半は、特定の領域へのアクセスを可能とする証拠、又は持ち主を特定の活動/恩恵を認可された人として識別する証拠である、特別な紙片又はプラスチックカードである物理的なチケットを人々が携行することを必要とした。たいていの人間が無線通信デバイスを持っているため、移動体デバイスに仮想チケット又はトークンを提供する大いなる機会である。これにより、ユーザは、自らが常に携帯している移動体デバイスに、例えば支払い手段である、幾つかのサービス提供者からのチケット及びトークンを保存することが可能になる。これらのシステムの開発における大きな課題は、ユーザの確実な識別である。
【0003】
一方、RF−ID(無線周波数識別)タグが、大いなる人気を博し、更に採用されるようになってきている。RF−IDタグは、アンテナに接続され、通常はプラスチックの薄いシートにプリントされた非常に小さいマイクロチップからなる。RF−IDタグは、タグを有する商品及び人間を識別する確実な手段を提供する。RF−IDタグは、また、或る領域又は場所へのアクセスを提供するチケットのような、値を表すことができる。しかし、RF−ID技術では、従来のチケット発行に特有の問題が残っている。即ち、1つの目的のために1つのチケット/タグが必要とされることである。また、チケットは、カードの物理的媒体に結び付けられており、無線で長距離を配送されることができない。RF−IDタグによる確実な識別手段と、移動体デバイスの通信手段との結合は、移動体コマース・アプリケーションの識別要求に対する解決策を提示し得る。
【0004】
国際特許出願WO02/49322号は、様々な取引との関連においてユーザの識別情報を確認するデバイスを含む携帯電話機(10)を開示する。デバイスは、指紋読み取り手段、(例えば、電話のマイクを用いた)音声又はパスワード認識手段、(例えば、電話のディスプレイを用いた)写真表示手段、又は網膜認識手段のうちの1つ又はそれ以上を含み得る。電話は、また、RFIDスマートカード取引を請け負う短距離通信手段を含む。ユーザは、電話での通信により、その後の取引に利用するために、金銭を表すデータをメモリにロードする。代わりに、現在の取引が認証されても良い。メモリは、別のスマートカードに対応する区画を有し得る。
【0005】
本システムの欠点は、携帯電話機そのものが適応される必要があることである。全ての既存の電話機は、開示されたシステムでの利用に適切ではない。
課題の定義
従って、従来技術では、RF−IDタグの識別手段を無線通信デバイスで利用する、実現容易なシステム及び方法が開示されていない。
【0006】
発明の目的
本発明の目的は、無線通信デバイスでRF−IDタグの識別手段を利用する実現容易なシステム及び方法を提供することである。
【0007】
発明の概要
本発明の第一の態様によれば、SIMカード上のSIMチップを含む無線通信デバイスを、確実な識別手段により改良する方法であって、前記無線通信デバイスにRF−IDタグを追加するステップを含む方法が開示される。RF−IDタグは、人間を識別するために、又は、代わりに、例えば、無線デバイスのユーザに或る場所へのアクセスを提供するチケットであるがそれに限定されない値を識別するために利用され得る。
【0008】
RF−IDタグとSIMチップとは、情報を交換可能であることが望ましい。この情報は、SIMチップ及びRF−IDタグのIDに関するものであり得るが、例えばSMSメッセージの形でSIMチップのメモリ部に送信された情報に関連してもよい。
【0009】
RF−IDタグは、SIMカード上に配置されることが望ましい。その利点の1つは、全ての既存の移動体デバイスが、本発明に係る、RF−IDによって改良されたSIMカードを利用可能なことである。ユーザは、新しいデバイスを入手しなくてもよい。
【0010】
本発明の第二の態様によれば、RF−IDタグを備えるSIMチップを有するSIMカードが開示される。
本発明を、図面に示される例としての実施の形態を参照して、更に説明する。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の教示のために、本発明の方法及びシステムの好ましい実施の形態を以下に説明する。本発明の真の趣旨を逸脱することなく、最終的に特許された請求項によってのみ限定される本発明の範囲を実施するために、本発明の他の代替の及び均等な実施の形態が考えられ、変形され得ることが当業者にとって明らかになる。
【0012】
図1は、RF−IDタグによって改良されたSIMカード(2)を備える携帯電話機(1)を示す。RF−IDタグ(4)は、携帯電話機を動作させるために必要なSIMチップ(3)を既に備える従来のSIMカードに追加される。RF−IDタグによって改良されたSIMカードにより、RF−ID技術の利用を提供するために無線デバイスを調節する必要がなくなる。無線デバイスの所有者は、自らのSIMカードを交換するだけでよく、これは非常に容易に実行可能である。
【0013】
図2は、SIMカード(2)上のRF−IDタグ(4)が、どのようにしてSIMチップ(3)と通信可能であるかを示す。RF−IDタグは、SIMチップ上の情報を読み取り及びSIMチップに書き込むことが可能であり、逆も可能である。RF−IDタグは、SIMチップ上の製造者領域と通信可能であり、識別目的のために、自身のIDに加えて、SIM識別手段であるKI及びIMSIを利用可能である。RF−IDタグは、また、SIMチップのメモリ部にアクセスし、例えばSMS(ショートメッセージ・サービス)によって移動体デバイスのSIMチップに配送された情報を読み取ることが可能である。このため、RF−IDタグに対する新しいデータを、無線通信ネットワークを介して受信することが可能である。これは、IDコード(例えば、仮想チケット)が、既存のOAT(無線)メカニズムを通して、RF−IDタグによって改良されたSIMカードに配送可能であること、及び、移動体デバイスそのものが全ての仮想チケット及び愛顧カードの運搬装置として利用可能であることを意味する。
【0014】
本発明のシステムにより、例えば以下のようであるが、それらに限定されないアプリケーションが提案可能である。即ち、
・モバイル・チケット販売:コンサート、映画、スポーツセンター、スキー場及び他の様々な場所へのアクセス。
・アクセス制御:一定期間のビジネス上の建物への訪問者のアクセスを許可する一時的又は永続的な有効性コードが、訪問者に送信され得る。アクセス権は、OAT SMSを介して管理されるため、訪問者の多い建物又は変化の速い労働力にとって、非常に柔軟である(仮想アクセスカード)。
・モバイル愛顧カード/仮想メンバーカード:航空会社メンバーや、ビデオレンタル店のメンバーシップ情報などの特定のメンバーシップ情報を有する人間に、永続的なコードが送信され得る。
・小額決済:前払い:RF−IDタグは、無線前払いチップカードとして動作し得る。カードへの追加のお金の入金は、無線で実行可能である。既存の前払いチップカード決済端末は、無線のために再装備され得る。
・後払い:後払い請求のために、IMSI/KI/自身のIDを利用することができる。
【0015】
図3は、RF−IDによって改良されたSIMカード(2)を備える無線デバイス(1)が、サービス提供者の読み取り装置/送受信機(5)を利用して移動/仮想チケットを提供するためにどのように利用され得るかを示す。この例では、送受信機/タグ読み取り装置(5)は、映画館(この例におけるサービス提供者)の入り口に置かれる。携帯電話機(1)の所有者が送受信機に近づくと、RF−IDタグ(4)は、送受信機(5)によって送信された無線呼びかけによって作動させられ、送受信機の識別情報を受信する(ステップa)。RF−IDタグは、自身のID及び送受信機のIDを、SIMチップに伝達する(ステップb)。ユーザは、この情報を用いて、例えば移動体デバイス(1)を用いてインターネット(6)を介して、又は、移動体デバイス(1)を用いてサービス提供者にSMSを送信することによって、サービス提供者(7)と通信する(ステップc)。ユーザの識別情報を確認し、必要な決済ステップを処理した後で、サービス提供者は、例えば移動体デバイスへのSMS手段によって、チケットを返送することができる(ステップd)。このチケットは、SIMチップに格納されてもよい。RF−IDタグは、この情報を読み取ることができ(ステップe)、その後に、関連情報をサービス提供者の送受信機(f)に送信して(ステップf)、それにより、携帯電話機のユーザが映画館にアクセスすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、RF−IDタグによって改良されたSIMカードの一例を示す。
【図2】図2は、RF−IDタグによって改良されたSIMカードが、どのようにしてSIMカードと通信可能かを示す。
【図3】図3は、RF−IDタグによって改良されたSIMカードを含む無縁デバイスが、サービス提供者のRF−IDタグ読み取り器と通信するためにどのように利用され得るかを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIMカード(2)上のSIMチップ(3)を含む無線通信デバイス(1)を、確実な識別手段により改良する方法であって、前記無線通信デバイスにRF−IDタグを追加するステップを備える方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記RF−IDタグ(4)及び前記SIMチップ(3)が情報を交換することができる方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記RF−IDタグ(4)が前記SIMカード(2)上に配置される方法。
【請求項4】
RF−IDタグを備えるSIMチップを含むSIMカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−507766(P2007−507766A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527378(P2006−527378)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012249
【国際公開番号】WO2005/051027
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504292093)コニンクリーケ・ケイピーエヌ・ナムローゼ・フェンノートシャップ (53)
【Fターム(参考)】