説明

無線通信システム、基地局装置、移動局装置および無線通信方法

【課題】移動局装置がランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが対応する上りリンクキャリア要素を判断する。
【解決手段】基地局装置は、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を移動局装置に送信し、複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を移動局装置に送信し、移動局装置は、複数の第1の制御情報に応じて、物理ランダムアクセスチャネルリソースの複数のセットを設定し、基地局装置から受信した第2の制御情報に応じて、1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応するセットの中から1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを選択し、選択した物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いてプリアンブルを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置と移動局装置が、複数の上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システム、基地局装置、移動局装置および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワークの進化(以下、「Long Term Evolution (LTE)、または、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (EUTRA)」と称する。)、および、LTEより広帯域な周波数帯域を利用して、さらに高速なデータの通信を実現する無線アクセス方式および無線ネットワーク(以下、「Long Term Evolution-Advanced (LTE-A)」、または、「Advanced Evolved Universal Terrestrial Radio Access (A-EUTRA)」と称する。)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project; 3GPP)において検討されている。
【0003】
LTEでは、基地局装置から移動局装置への無線通信(下りリンク)の通信方式として、マルチキャリア送信である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing; OFDM)方式が用いられる。また、移動局装置から基地局装置への無線通信(上りリンク)の通信方式として、シングルキャリア送信であるSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。
【0004】
また、LTEにおいて、下りリンクでは、同期チャネル(Synchronization Channel; SCH)、報知チャネル(Physical Broadcast Channel; PBCH)、下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel; PDCCH)、下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel; PDSCH)、マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel; PMCH)、制御フォーマットインディケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel; PCFICH)、HARQインディケータチャネル(Physical Hybrid automatic repeat request Indicator Channel; PHICH)が割り当てられる。また、上りリンクでは、上りリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared Channel; PUSCH)、上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel; PUCCH)、ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel; PRACH)が割り当てられる。
【0005】
ランダムアクセスチャネルの使用目的は、上りリンクにおいて移動局装置と基地局装置間を同期させることと、上りリンクの無線リソースの割り当てを要求することである。移動局装置は、移動局装置と基地局装置の同期が外れている場合、移動局装置が基地局装置に上りリンク共用チャネルで送信するデータ情報がある場合、または、基地局装置が移動局装置にランダムアクセス処理を開始するよう下りリンク制御チャネルで通知した場合等にランダムアクセスを起動する。
【0006】
ランダムアクセスには、Contention based Random Accessと、Non−contention based Random Accessの2つのアクセス方法がある。Contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突する可能性のあるアクセス方法であり、通常行なわれるランダムアクセスである。Non−contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突が発生しないアクセス方法であり、迅速に移動局装置と基地局装置間の同期をとるためにハンドオーバー等の特別な場合に基地局装置主導で行なわれるランダムアクセスである。
【0007】
ランダムアクセスでは、同期をとるために移動局装置はプリアンブルのみ送信する。プリアンブルは、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャを用意して数ビットの情報を表現することができる。現在では、移動局装置がプリアンブルを用いて6ビットの情報を送信することが想定され、64種類のシグネチャが用意されることが想定されている。
【0008】
図16は、従来技術に係るContention based Random Accessの手順例を示す図である。まず、移動局装置1が、下りリンクのチャネル品質等から、選択するシグネチャの範囲を決定し、選択されたシグネチャの範囲の中からシグネチャをランダムに選択し、ランダムアクセスチャネルでプリアンブルを送信する(メッセージ1(M1))。
【0009】
基地局装置3は、移動局装置1から送信されたプリアンブルを受信すると、プリアンブルから移動局装置1と基地局装置3間の同期タイミングのずれを算出し、移動局装置1がメッセージ3を送信するためのスケジューリング(上りリンクの無線リソース割り当て、送信フォーマット(メッセージサイズ)等の指定)を行なう。そして、基地局装置3は移動局装置1にTemporary C−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)を割り当て、下りリンク制御チャネルにプリアンブルを受信したランダムアクセスチャネルに対応するRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identifier)を配置し、下りリンク制御チャネルに含まれる無線リソース割り当てが示す下りリンク共用チャネルに同期タイミングのずれ情報、スケジューリング情報、Temporary C−RNTIおよび受信したプリアンブルのシグネチャの番号(ランダムID、またはプリアンブルIDとも呼称する。)を含んだランダムアクセスレスポンスを送信する(メッセージ2(M2))。
【0010】
移動局装置1は、下りリンク制御チャネルにRA−RNTIが含まれていることを確認すると、下りリンク制御チャネルに含まれる無線リソース割り当てが示す下りリンク共用チャネルに配置されたランダムアクセスレスポンスの中身を確認する。そして、移動局装置1は自装置が送信したプリアンブルのシグネチャの番号が含まれる応答を抽出し、同期タイミングのずれを補正し、割り当てられた上りリンク共用チャネルの無線リソースと送信フォーマットで接続要求等の情報を含むメッセージ3を送信する(メッセージ3(M3))。
【0011】
基地局装置3は、移動局装置1からのメッセージ3を受信すると、移動局装置1がランダムアクセスに成功したこと、つまり移動局装置1間でプリアンブルの衝突が起こっていない、又は移動局装置1間でプリアンブルの衝突が起こっている場合に、衝突に打ち勝ったことを示すコンテンションレゾリューションを移動局装置1に送信する(メッセージ4(M4))。
【0012】
移動局装置1は、コンテンションレゾリューションの受信に成功すると、ランダムアクセスに成功したと判定し、ランダムアクセスに関する処理を終了する。尚、移動局装置1は、ランダムアクセスレスポンス受信期間内に送信したプリアンブルのシグネチャの番号を検出しなかった場合、又は、コンテンションレゾリューション受信期間内にコンテンションレゾリューションを検出しなかった場合に、プリアンブルの送信からやり直す。
【0013】
図17は、従来技術に係るNon−contention based Random
Accessの手順例を示す図である。まず、基地局装置3が下りリンク制御チャネル等を用いて移動局装置1にシグネチャの番号とランダムアクセスチャネルの無線リソースを示す情報を通知する。移動局装置1は基地局装置3から通知された番号のシグネチャを含むプリアンブルを、基地局装置3から通知されたランダムアクセスチャネルでプリアンブルを送信する(メッセージ1(N1))。
【0014】
基地局装置3は、移動局装置1に通知した番号のシグネチャを含むプリアンブルを受信すると、プリアンブルから移動局装置1と基地局装置3間の同期タイミングのずれを算出する。そして、下りリンク制御チャネルにプリアンブルを受信したランダムアクセスチャネルに対応するRA−RNTIを配置し、下りリンク制御チャネルに含まれる無線リソース割り当てが示す下りリンク共用チャネルに同期タイミングのずれ情報、および受信したプリアンブルのシグネチャの番号を含んだランダムアクセスレスポンスを送信する(メッセージ2(N2))。
【0015】
移動局装置1は、下りリンク制御チャネルにRA−RNTIが含まれていることを確認すると、下りリンク制御チャネルに含まれる無線リソース割り当てが示す下りリンク共用チャネルに配置されたランダムアクセスレスポンスの中身を確認する。そして、移動局装置1は自装置が送信したプリアンブルのシグネチャの番号が含まれる場合、ランダムアクセスに成功したと判定し、ランダムアクセスに関する処理を終了する(非特許文献1 第5.1節参照)。
【0016】
LTE−Aでは、LTEとの後方互換性(backward compatibility)を持つこと、つまり、LTE−Aの基地局装置が、LTE−AおよびLTE両方の移動局装置と同時に無線通信を行い、また、LTE−Aの移動局装置が、LTE−AおよびLTE両方の基地局装置と無線通信を行えるようにすることが求められており、LTE−AはLTEと同一のチャネル構造を用いることが検討されている。
【0017】
例えば、LTE−Aでは、LTEと同一のチャネル構造の周波数帯域(以下、「キャリア要素(Carrier Component; CC)」、または、「コンポーネントキャリア(Component Carrier; CC)」と称する。)を複数用いて、1つの周波数帯域(広帯域な周波数帯域)として使用する技術(周波数帯域集約:Spectrum aggregation、Carrier aggregation、Frequency aggregation等とも称される。)が提案されている。
【0018】
具体的には、周波数帯域集約を用いた通信では、下りリンクキャリア要素毎に、報知チャネル、下りリンク制御チャネル、下りリンク共用チャネル、マルチキャストチャネル、制御フォーマットインディケータチャネル、HARQインディケータチャネルを送信し、上りリンクキャリア要素毎に上りリンク共用チャネル、上りリンク制御チャネル、ランダムアクセスチャネルが割り当てられる。つまり、周波数帯域集約は、上りリンクと下りリンクにおいて、基地局装置と複数の移動局装置が上りリンク制御チャネル、上りリンク共用チャネル、下りリンク制御チャネル、下りリンク共用チャネル等を、複数のキャリア要素を用いて、複数のデータ情報や複数の制御情報を同時に送受信する技術である(非特許文献2 第5章参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】"3GPP TS36.321 v8.5.0 (2009-03)", March 17, 2009.
【非特許文献2】"3GPP TR36.814 v1.0.2 (2009-03)", May, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来の技術では、基地局装置と移動局装置は1組の上りリンクキャリア
要素と下りリンクキャリア要素で通信を行なっていたため、基地局装置が移動局装置に複数の上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素を割り当てた場合、下りリンクキャリア要素で送信されるランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソース(ランダムアクセスリソース)でランダムアクセス処理の開始を指示しているかを示せないという問題があった。
【0021】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基地局装置が複数の上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素を移動局装置に割り当て、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信されるランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソース(ランダムアクセスリソース)でのランダムアクセス処理の開始を指示しているかを移動局装置が判別することのできる無線通信システム、基地局装置、移動局装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線通信システムは、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置がランダムアクセスの通信を開始できる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースを予め割り当てるランダムアクセス制御部と、前記移動局装置に設定した複数の下りリンクキャリア要素の中から任意の1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信する送信処理部を備え、前記移動局装置は、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記基地局装置に予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始するランダムアクセス処理部を備えることを特徴としている。
【0023】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示するかを予め移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0024】
(2)また、本発明の無線通信は、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置にランダムアクセスの通信を開始させるランダムアクセスリソースを選択するランダムアクセス制御部と、前記選択したランダムアクセスリソースに対応する下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信する送信処理部を備え、前記移動局装置は、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記制御情報を受信した下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始するランダムアクセス処理部を備えることを特徴としている。
【0025】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルを、当該下りリンク制御チャネルがランダムアクセス処理の開始を指示するランダムアクセスリソースが対応する下りリンクキャリア要素を用いて移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0026】
(3)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記基地局装置と前記移動局装置は、前記基地局装置が選択したランダムアクセスリソースを含む上りリンクキャリア要素と、前記上りリンクキャリア要素に対応する下りリンクキャリア要素で、ランダムアクセスのメッセージの通信を行なうことを特徴としている。
【0027】
この構成により、基地局装置が移動局装置に報知する情報量を減らすことができる。
【0028】
(4)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記移動局装置に割り当てた特定のランダムアクセスリソースを示す情報を無線リソース制御信号に含めて送信することを特徴としている。
【0029】
このように、基地局装置が移動局装置に予め割り当てたランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが対応する特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースを通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別することができる。
【0030】
(5)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルは、前記下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースの中から、更に前記移動局装置がランダムアクセス処理を開始することのできるランダムアクセスリソースを示す情報とシグネチャを示す情報が含まれることを特徴としている。
【0031】
この構成により、基地局装置は、ランダムアクセスの送信状況などに応じて下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースの中から割り当てたランダムアクセスリソースおよびシグネチャの番号を、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを用いて移動局装置に通知することができる。
【0032】
(6)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記ランダムアクセス制御部は、前記移動局装置にランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを指示する場合、前記シグネチャを示す情報を特定のコードポイントにし、前記ランダムアクセス処理部は、前記シグネチャを示す情報が特定のコードポイントの際に、ランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを選択することを特徴としている。
【0033】
この構成により、基地局装置は、移動局装置に割り当てるNonーcontention based Random Access用のシグネチャが無い場合などに、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを用いて、移動局装置にランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを選択することを指示することができる。
【0034】
(7)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記ランダムアクセス処理部は、ランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを選択した場合、ランダムアクセス処理を開始するランダムアクセスリソースを、前記基地局装置に予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースの中から選択することを特徴としている。
【0035】
この構成により、移動局装置は、基地局装置が上りリンクキャリア要素のチャネル品質およびランダムアクセスチャネルの送信状況などに基づいて予め割り当てた特定の下りリンクキャリア要素に対応する適切なランダムアクセスリソースでContention based Random Accessを行なうことができる。
【0036】
(8)また、本発明の無線通信システムにおいて、前記ランダムアクセス処理部は、ランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを選択した場合、ランダムアクセス処理を開始するランダムアクセスリソースを、前記基地局装置に設定された下りリンクキャリア要素各々に対応する全てのランダムアクセスリソースの中から選択することを特徴としている。
【0037】
この構成により、移動局装置は、Contention based Random Accessを行なうランダムアクセスリソースを、基地局装置に割り当てられた全ての下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースの中から選択するので、複数の移動局装置が選択するランダムアクセスリソースが分散され、複数の移動局装置が同じランダムアクセスリソースおよびシグネチャの番号を選ぶ確率を低くすることができる。
【0038】
(9)また、本発明の基地局装置は、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムに適用される基地局装置であって、前記基地局装置は、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置がランダムアクセスの通信を開始できる特定のランダムアクセスリソースを予め割り当てるランダムアクセス制御部と、前記移動局装置に設定した複数の下りリンクキャリア要素の中から任意の1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信する送信処理部を備えることを特徴としている。
【0039】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示するかを予め移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0040】
(10)また、本発明の基地局装置は、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムに適用される基地局装置であって、前記基地局装置は、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置にランダムアクセスの通信を開始させるランダムアクセスリソースを選択するランダムアクセス制御部と、前記選択したランダムアクセスリソースに対応する下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信する送信処理部を備えることを特徴としている。
【0041】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルを、当該下りリンク制御チャネルがランダムアクセス処理の開始を指示するランダムアクセスリソースが対応する下りリンクキャリア要素を用いて移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0042】
(11)また、本発明の移動局装置は、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムに適用される移動局装置であって、前記移動局装置は、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記基地局装置に予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始するランダムアクセス処理部を備えることを特徴としている。
【0043】
このように、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別するので、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0044】
(12)また、本発明の移動局装置は、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムに適用される移動局装置であって、前記移動局装置は、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記制御情報を受信した下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始するランダムアクセス処理部を備えることを特徴としている。
【0045】
このように、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別するので、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0046】
(13)また、本発明の無線通信システムは、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用してランダムアクセス手順を行なう無線通信方法であって、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置がランダムアクセスの通信を開始できる特定のランダムアクセスリソースを予め割り当て、前記移動局装置に設定した複数の下りリンクキャリア要素の中から任意の1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信することを特徴としている。
【0047】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示するかを予め移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0048】
(14)また、本発明の無線通信システムは、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用してランダムアクセス手順を行なう無線通信方法であって、前記移動局装置に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から前記移動局装置にランダムアクセスの通信を開始させるランダムアクセスリソースを選択し、前記選択したランダムアクセスリソースに対応する下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を送信することを特徴としている。
【0049】
このように、基地局装置は、ランダムアクセス処理の開始を示す下りリンク制御チャネルを、当該下りリンク制御チャネルがランダムアクセス処理の開始を指示するランダムアクセスリソースが対応する下りリンクキャリア要素を用いて移動局装置に通知するので、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別することができる。また、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0050】
(15)また、本発明の無線通信システムは、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用してランダムアクセス手順を行なう無線通信方法であって、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記基地局装置に予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始することを特徴としている。
【0051】
このように、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別するので、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0052】
(16)また、本発明の無線通信システムは、基地局装置と少なくとも一つの移動局装置とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用してランダムアクセス手順を行なう無線通信方法であって、いずれかの下りリンクキャリア要素で前記ランダムアクセス処理の開始を指示する制御情報を受信した場合、前記制御情報を受信した下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始することを特徴としている。
【0053】
このように、移動局装置は、基地局装置から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別するので、基地局装置は、移動局装置に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、移動局装置は、基地局装置から複数の上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素を割り当てられ、割り当てられた下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信されるランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、いずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソース(ランダムアクセスリソース)でのランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係る周波数帯域集約処理の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る下りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る上りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。
【図5】本実施形態に係るシグネチャの構成の一例を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係る基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】本実施形態に係る移動局装置1の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る下りリンク制御チャネルとランダムアクセスチャネルの関係を示す概念図である。
【図9】本実施形態に係る基地局装置3の動作の一例を示すフロー図である。
【図10】本実施形態に係る移動局装置1の動作の一例を示すフロー図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置7の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る移動局装置5の構成を示す概略ブロック図である。
【図13】本実施形態に係る下りリンク制御チャネルとランダムアクセスチャネルの関係を示す概念図である。
【図14】本実施形態に係る基地局装置7の動作の一例を示すフロー図である。
【図15】本実施形態に係る移動局装置5の動作の一例を示すフロー図である。
【図16】従来技術に係るContention based Random Accessの手順例を示す図である。
【図17】従来技術に係るNon−contention based Rondom Accessの手順例を示す図である。
【0056】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0057】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概念図である。図1において、無線通信システムは、移動局装置1A〜1C、および基地局装置3を具備する。移動局装置1A〜1Cと基地局装置3とは、後述する周波数帯域集約を用いた通信を行なう。
【0058】
図1は、基地局装置3から移動局装置1A〜1Cへの無線通信(下りリンク)では、同期チャネル(Synchronization Channel; SCH)、下りリンクパイロットチャネル(または、「下りリンクリファレンスシグナル(Downlink Reference Signal; DL RS)」とも称する。)、報知チャネル(Physical Broadcast Channel; PBCH)、下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel; PDCCH)、下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel; PDSCH)、マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel; PMCH)、制御フォーマットインディケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel; PCFICH)、HARQインディケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel; PHICH)が割り当てられることを示す。
【0059】
また、図1は、移動局装置1A〜1Cから基地局装置3への無線通信(上りリンク)では、上りリンクパイロットチャネル(または、「上りリンクリファレンスシグナル(Uplink Reference Signal; UL RS)」とも称する。)、上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel; PUCCH)、上りリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared Channel; PUSCH)、ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel; PRACH)が割り当てられることを示す。
【0060】
図2は、本実施形態に係る周波数帯域集約処理の一例を示す図である。図2において、横軸は周波数領域、縦軸は時間領域を示す。図2に示すように、下りリンクのサブフレームD1は、20MHzの帯域幅を持った3つのキャリア要素(DCC-1; Downlink Component Carrier-1、DCC-2、DCC-3)のサブフレームによって構成されている。この下りリンクキャリア要素のサブフレーム各々には、格子状の線でハッチングした領域が示す下りリンク制御チャネルが配置される領域と、ハッチングをしない領域が示す下りリンク共用チャネルが配置される領域が時間多重される。
【0061】
一方、上りリンクのサブフレームU1は、20MHzの帯域幅を持った3つのキャリア要素(UCC-1; Uplink Component Carrier-1、UCC-2、UCC-3)によって構成されている。この上りリンクキャリア要素のサブフレーム各々には、斜めの格子状の線でハッチングした領域が示す上りリンク制御チャネルが配置される領域と、左斜線でハッチングした領域が示す上りリンク共用チャネルが配置される領域と、黒色でハッチングした領域が示すランダムアクセスチャネルが配置される領域が周波数多重される。
【0062】
例えば、基地局装置3は、ある下りリンクのサブフレームにおいて、3つの下りリンクキャリア要素のうち1つまたは複数の下りリンクキャリア要素の下りリンク共用チャネルに信号を配置して、移動局装置1へ送信する。また、移動局装置1は、ある上りリンクのサブフレームにおいて、3つの上りリンクキャリア要素のうち1つまたは複数の上りリンクキャリア要素の上りリンク共用チャネルに信号を配置して、基地局装置3へ送信する。また、移動局装置1は、ある上りリンクのサブフレームにおいて、3つの上りリンクキャリア要素の内、1つの上りリンクキャリア要素のランダムアクセスチャネル(ランダムアクセスリソース)にプリアンブルを配置して、基地局装置3へ送信する。
【0063】
移動局装置1と基地局装置3がランダムアクセスのメッセージの一部、又は全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素はペアになっており、基地局装置3は下りリンクキャリア要素各々で、下りリンクキャリア要素とペアになっている上りリンクキャリア要素を示す情報、および下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルの構成やランダムアクセスの送信状況を示す情報等のランダムアクセス送信に関する情報を報知し、移動局装置1に通知する。
【0064】
例えば、図2において、DCC−1とUCC−1、DCC−2とUCC−2、DCC−3とUCC−3がランダムアクセスのメッセージを送受信するペアとなる場合、基地局装置3は下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)各々で、下りリンクキャリア要素とペアになる上りリンクキャリア要素(UCC-1、UCC-2、UCC-3)を示す情報、および下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルにおけるランダムアクセス送信に関する情報を報知する。移動局装置1がメッセージ1(プリアンブル)をUCC−1のランダムアクセスチャネルで送信した場合、基地局装置3と移動局装置1はメッセージ2(ランダムアクセスレスポンス)の送受信をDCC−1で行う。尚、1つまたはそれぞれの下りリンクキャリア要素で複数の下りリンクキャリア要素のランダムアクセス送信に関する情報を送信してもよい。
【0065】
図3は、本実施形態に係る下りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。図3は、ある下りリンクキャリア要素における無線フレームの構成を示す。図3において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域である。図3に示すように、下りリンクキャリア要素の無線フレームは、複数の下りリンクの物理リソースブロック(Physical Resource Block; PRB)ペア(例えば、図3の破線で囲まれた領域)から構成されている。この下りリンクの物理リソースブロックペアは、無線リソースの割り当て等の単位であり、予め決められた幅の周波数帯(PRB帯域幅; 180kHz)および時間帯(2個のスロット=1個のサブフレーム; 1ms)からなる。
【0066】
1個の下りリンクの物理リソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の下りリンクの物理リソースブロック(PRB帯域幅×スロット)から構成される。1個の下りリンクの物理リソースブロック(図3において、太線で囲まれている単位)は、周波数領域において12個のサブキャリア(15kHz)から構成され、時間領域において7個のOFDMシンボル(71μs)から構成される。
【0067】
時間領域においては、7個のOFDMシンボル(71μs)から構成されるスロット(0.5ms)、2個のスロットから構成されるサブフレーム(1ms)、10個のサブフレームから構成される無線フレーム(10ms)がある。周波数領域においては、下りリンクキャリア要素の帯域幅に応じて複数の下りリンクの物理リソースブロックが配置される。尚、1個のサブキャリア(15kHz)と1個のOFDMシンボル(71μs)から構成されるユニットを下りリンクのリソースエレメント(Resource Element; RE)と称する。
【0068】
以下、下りリンクの無線フレーム内に割り当てられるチャネルについて説明をする。下りリンクの各サブフレームでは、例えば、下りリンク制御チャネルと、下りリンク共用チャネルと、下りリンクリファレンスシグナルとが割り当てられる。下りリンク制御チャネルはサブフレームの先頭のOFDMシンボルから配置され、下りリンク共用チャネルはサブフレームの残りのOFDMシンボルに配置される。下りリンクパイロットチャネルについては、説明の簡略化のため図3において図示を省略するが、下りリンクパイロットチャネルは周波数領域と時間領域において分散して配置される。
【0069】
まず、下りリンク制御チャネルに配置する信号について説明をする。下りリンク制御チャネルには、下りリンクグラント(「Downlink grant」、または「Downlink assignment」とも称する。)、上りリンクグラント(Uplink grant)等、通信の制御に用いられる情報である下りリンク制御情報(Downlink Control Information; DCI)の信号が配置される。尚、下りリンク制御情報には複数のフォーマットがある。
【0070】
尚、下りリンクグラントは、下りリンク共用チャネルに対する変調方式を示す情報、符号化方式を示す情報、無線リソースの割り当てを示す情報、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)に関する情報等から構成される。また、上りリンクグラントは、上りリンク共用チャネルに対する変調方式を示す情報、符号化方式を示す情報、無線リソースの割り当てを示す情報、HARQに関する情報等から構成される。
【0071】
尚、HARQとは、例えば、移動局装置1(基地局装置3)がデータ情報の復号の成否(ACK(ACKnowledgement; 肯定応答)/NACK(Negative-ACKnowledgement; 否定応答))を基地局装置3(移動局装置1)に送信し、移動局装置1(基地局装置3)が誤りによりデータ情報を復号できない(NACK)場合に基地局装置3(移動局装置1)が信号を再送し、移動局装置1(基地局装置3)が再度受信した信号とすでに受信した信号との合成信号に対して復号処理を行なう技術である。
【0072】
下りリンク制御情報には、下りリンク制御情報のビット系列から生成した巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check; CRC)符号(誤り検出符号)と、識別子とで排他的論理和を行なった系列を付加する。移動局装置1は、更に、この系列に対して同じ識別子で排他的論理和を行なうことで巡回冗長検査符号を取得することができる。つまり、移動局装置1は、下りリンク制御チャネルに含まれている識別子から下りリンク制御チャネルが自装置宛てに送信されたものかを判定することができる。
【0073】
例えば、基地局装置3が移動局装置1に割り当てたC−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)が下りリンク制御チャネルに含まれている場合、移動局装置1は下りリンク制御チャネルが自装置宛ての下りリンク共用チャネルの無線リソースの割り当てを示していると判定する。
【0074】
基地局装置3が移動局装置1にランダムアクセス処理の開始を指示する場合、基地局装置3は、特定の領域を予め定められたコードポイント(例えば、フォーマットの種類を示すフラグが“1”、かつ無線リソースの割り当て方法を示すフラグが“0”、かつ無線リソースの割り当てを示す情報が全て“1”)にした特定のフォーマットの下りリンク制御情報と、ランダムアクセス処理の開始を指示する移動局装置1に割り当てたC−RNTIを含む下りリンク制御チャネルを送信する。ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの当該特定の領域以外の領域は、シグネチャの番号を示す情報および下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースの内、移動局装置1がプリアンブルを配置してもよいランダムアクセスチャネルの無線リソースを示す情報が含まれる。
【0075】
基地局装置3は、ランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを移動局装置1各々に設定し、設定した当該情報を無線リソース制御信号(Radio Resource Control signal)などで移動局装置1に通知する。尚、基地局装置3は、当該情報を全ての移動局装置間で共通にし、当該情報を報知してもよい。
【0076】
次に、下りリンク共用チャネルに配置する信号について説明をする。下りリンク共用チャネルには、データ情報(トランスポートブロック; Transport Block)の信号が配置される。本実施形態では、下りリンクグラントと下りリンクグラントにより無線リソースの割り当てを示された下りリンク共用チャネルは同じサブフレームに配置される。
【0077】
図4は、本実施形態に係る上りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。図4は、ある上りリンクキャリア要素における無線フレームの構成を示す。図4において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域である。図4に示すように、上りリンクキャリア要素の無線フレームは、複数の上りリンクの物理リソースブロックペア(例えば、図4の破線で囲まれた領域)から構成されている。この上りリンクの物理リソースブロックペアは、無線リソースの割り当て等の単位であり、予め決められた幅の周波数帯(PRB帯域幅;180kHz)および時間帯(2個のスロット=1個のサブフレーム; 1ms)からなる。
【0078】
1個の上りリンクの物理リソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の上りリンクの物理リソースブロック(PRB帯域幅×スロット)から構成される。1個の上りリンクの物理リソースブロック(図4において、太線で囲まれている単位)は、周波数領域において12個のサブキャリア(15kHz)から構成され、時間領域において7個のSC−FDMAシンボル(71μs)から構成される。
【0079】
時間領域においては、7個のSC−FDMAシンボル(71μs)から構成されるスロット(0.5ms)、2個のスロットから構成されるサブフレーム(1ms)、10個のサブフレームから構成される無線フレーム(10ms)がある。周波数領域においては、上りリンクキャリア要素の帯域幅に応じて複数の上りリンクの物理リソースブロックが配置される。尚、1個のサブキャリア(15kHz)と1個のSC−FDMAシンボル(71μs)から構成されるユニットを上りリンクのリソースエレメントと称する。
【0080】
以下、上りリンクの無線フレーム内に割り当てられるチャネルについて説明をする。上りリンクの各サブフレームでは、例えば、上りリンク制御チャネル、上りリンク共用チャネル、ランダムアクセスチャネル、および上りリンクリファレンスシグナルが割り当てられる。まず、ランダムアクセスチャネルに配置される信号について説明をする。ランダムアクセスチャネル(図示せず)は、周波数領域において72個の上りリンクのリソースエレメント(物理リソースブロック6つ分)の帯域幅、時間領域において1つのサブフレームから3つのサブフレームのいずれかで構成される無線リソースに配置される。
【0081】
また、ランダムアクセスチャネルのサブキャリア間隔は1.25kHz、または7.5kHzであり、上りリンク制御チャネルや上りリンク共用チャネルのサブキャリア間隔(15kHz)と異なる。ランダムアクセスチャネルの無線リソースは、無線フレーム(10ms)内に複数割り当てられる。具体的なランダムアクセスチャネルの無線リソースの構成は報知情報として、移動局装置1に通知される。
【0082】
ランダムアクセスチャネルには、移動局装置1と基地局装置3が同期をとるためにプリアンブルが配置される。プリアンブルは、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャが用意され数ビットの情報を表現することができる。
【0083】
図5は、本実施形態に係るシグネチャの構成の一例を示す概略図である。図5において、縦軸はシグネチャの番号であり、シグネチャ1番からシグネチャ48番までのシグネチャはContention based Random Accessに用いられ、シグネチャ49番からシグネチャ64番までのシグネチャはNon−contention based Random Accessに用いられる。
【0084】
ランダムアクセスの方法としてContention based Random Accessを行なう移動局装置3各々は、メッセージ3の送信サイズが小さい場合にシグネチャ1番から24番までからランダムにシグネチャを選択し、メッセージ3の送信サイズが大きい場合にシグネチャの25番から48番までからランダムにシグネチャを選択する。メッセージサイズが小さい場合のシグネチャは、通常、伝搬路の特性が悪い(または、移動局装置1と基地局装置3間の距離が遠い)場合に選択され、メッセージサイズが大きい場合のシグネチャは、伝搬路の特性が良い(または、移動局装置1と基地局装置3間の距離が近い)場合に選択される。
【0085】
ランダムアクセスの方法としてNon−contention based Random Accessを行なう移動局装置1は、基地局装置3がシグネチャ49番からシグネチャ64番までのシグネチャの中から選択した、いずれか1つのシグネチャを下りリンク制御チャネル等で通知される。尚、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルのシグネチャの番号を示す情報が特定のコードポイント(例えば、全て“0”)の場合、移動局装置1はContention based Random Accessを行なう。基地局装置3は、移動局装置1にランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信するが、移動局装置1に割り当てることのできるNon−contention based Random Access用のシグネチャがない場合などに、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルでContention based Random Accessを開始するよう移動局装置に通知する。
【0086】
次に、上りリンク制御チャネルに配置される信号について説明をする。上りリンク制御チャネルは、上りリンクキャリア要素の帯域幅の両端の上りリンクの物理リソースブロックペア(左斜線でハッチングされた領域)に割り当てられる。上りリンク制御チャネルには、下りリンクのチャネル品質を示すチャネル品質情報、上りリンクの無線リソースの割り当ての要求を示すスケジューリング要求(Scheduling Request; SR)、下りリンク共用チャネルに対するACK/NACKなど、通信の制御に用いられる情報である上りリンク制御情報(Uplink Control Information; UCI)の信号が配置される。
【0087】
次に、上りリンク共用チャネルに配置される信号について説明をする。上りリンク共用チャネルは、上りリンク制御チャネルとランダムアクセスチャネル以外の上りリンクの物理リソースブロックペア(ハッチングされない領域)に割り当てられる。上りリンク共用チャネルには、上りリンク制御情報以外の情報であるデータ情報(トランスポートブロック;Transport Block)の信号が配置される。本実施形態では、上りリンクグラントにより無線リソースの割り当てを示された上りリンク共用チャネルは、上りリンクグラントを受信してから予め定められた期間後のサブフレーム内の上りリンクキャリア要素に配置される。
【0088】
次に、上りリンクリファレンスシグナルについて説明をする。復調リファレンスシグナル(図示せず)は、上りリンク共用チャネル、および上りリンク制御チャネルの無線リソースと時間多重されるように配置される。サウンディングリファレンスシグナル(図示せず)は、時間領域において、基地局装置3が移動局装置1毎に設定した周期のサブフレームにおいて最後のSC−FDMAシンボルに配置され、周波数領域において、基地局装置3が移動局装置1毎に設定した周波数領域に配置される。
【0089】
図6は、本実施形態に係る基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、基地局装置3は、上位層処理部101、プリアンブル検出部103、同期タイミング測定部105、制御部107、受信処理部109、複数の受信アンテナ、送信処理部111、および、複数の送信アンテナ、を含んで構成される。また、上位層処理部101は、無線リソース制御部1011とランダムアクセス制御部1012を含んで構成される。尚、図6では、受信アンテナと送信アンテナとを別の構成としたが、信号の入出力を切り替える作用のあるサイリスタなどを用いてアンテナを共有するようにしてもよい。
【0090】
上位層処理部101は、下りリンクキャリア要素毎のデータ情報を、送信処理部111に出力する。また、上位層処理部101は、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol; PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control; RLC)層、無線リソース制御(Radio Resource Control; RRC)層の処理を行なう。上位層処理部101の無線リソース制御部1011は、移動局装置1各々の各種設定情報、通信状態、および、バッファ状況の管理などを行っている。上位層処理部101のランダムアクセス制御部1012は、移動局装置1各々のランダムアクセスに関する制御を行なっている。
【0091】
上記の処理において、上位層処理部101が備える無線リソース制御部1011は、基地局装置3が無線通信に用いることのできる下りリンクキャリア要素と上りリンクキャリア要素の数、および移動局装置1が同時に送信、または受信することのできる下りリンクキャリア要素と上りリンクキャリア要素の数などに応じて、複数の上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素を移動局装置1に割り当てる。
【0092】
無線リソース制御部1011は、各下りリンクキャリア要素の各チャネルに配置する情報を生成、または上位ノードから取得し、下りリンクキャリア要素毎に送信処理部111に出力する。例えば、無線リソース制御部1011は、下りリンク制御情報、データ情報の一種であるランダムアクセスレスポンスを生成し、送信処理部111に出力する。
【0093】
無線リソース制御部1011は、移動局装置1に割り当てた上りリンクキャリア要素の無線リソースの中から、移動局装置1が上りリンク共用チャネル(データ情報)を配置する無線リソースを移動局装置1に割り当てる。また、無線リソース制御部1011は、移動局装置1に割り当てた下りリンクキャリア要素の無線リソースの中から、移動局装置1に対する下りリンク共用チャネル(データ情報)を配置する無線リソースを割り当てる。無線リソース制御部1011は、当該無線リソースの割り当てを示す下りリンクグラントと上りリンクグラントを生成し、送信処理部111を介して移動局装置1に送信する。また、無線リソース制御部1011は、当該下りリンクグラントと上りリンクグラントに、下りリンクグラントまたは上りリンクグラントが対応する移動局装置1に割り当てたC−RNTIを含める。
【0094】
無線リソース制御部1011は、ランダムアクセス制御部1012からの制御情報に基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを生成する。無線リソース制御部1011は、ランダムアクセス処理の開始を指示する移動局装置1に割り当てた下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づき、任意の1つの下りリンクキャリア要素を選択し、選択した下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、送信処理部111を介して移動局装置1に送信する。また、無線リソース制御部1011は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルに、当該下りリンク制御チャネルが対応する移動局装置1に割り当てた下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースを示す情報、シグネチャの番号を示す情報、およびC−RNTIを含める。
【0095】
無線リソース制御部1011は、ランダムアクセス制御部1012からの制御情報に基づいて、1つの下りリンクキャリア要素を選択し、選択した下りリンクキャリア要素内の無線リソースの中からランダムアクセスレスポンスを配置する無線リソースを割り当てる。また、無線リソース制御部1011は、当該無線リソースの割り当てを示す下りリンクグラントに、ランダムアクセス制御部1012から入力されたRA−RNTIを含める。
【0096】
無線リソース制御部1011は、ランダムアクセス制御部1012からの制御情報に基づいて、1つの上りリンクキャリア要素を選択し、選択した上りリンクキャリア要素内の無線リソースの中からメッセージ3を配置する無線リソースを割り当てる。また、無線リソース制御部1011は、当該無線リソースの割り当てを示す上りリンクグラントを生成し、ランダムアクセスレスポンスに含め、送信処理部111を介して移動局装置1に送信する。尚、ランダムアクセスレスポンスに含まれる上りリンクグラントは、巡回冗長検査符号と移動局装置識別子が含まれない。ランダムアクセスレスポンスには、ランダムアクセス制御部1012から入力された複数のシグネチャ各々に対する同期タイミングのずれ量とTemporary C−RNTIと、無線リソース制御部1011が生成した上りリンクグラントが含まれている。
【0097】
無線リソース制御部1011は、移動局装置1から上りリンク制御チャネルで通知された上りリンク制御情報(ACK/NACK、チャネル品質情報、スケジューリング要求)、および移動局装置1のバッファの状況や無線リソース制御部1011が設定した移動局装置1各々の各種設定情報に基づき、受信処理部および送信処理部の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部に出力する。
【0098】
上記の処理において、上位層処理部101が備えるランダムアクセス制御部1012は、メッセージの一部、または全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素のペア、上りリンクキャリア要素内のランダムアクセスチャネルの構成(ランダムアクセスチャネルの無線リソースの割り当てなど)やランダムアクセスの送信状況を示す情報(ランダムアクセス負荷)などのランダムアクセスに関する情報を含む報知情報、ランダムアクセスレスポンス、コンテンションレゾリューションなどを生成し、送信処理部111を介して移動局装置1に送信するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。
【0099】
ランダムアクセス制御部1012は、ランダムアクセスの送信状況や上りリンクキャリア要素のチャネル品質などに基づいて移動局装置1各々にランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを設定し、設定した特定の下りリンクキャリア要素を示す情報を生成し、当該情報を無線リソース制御信号などに含め、送信処理部111を介して移動局装置1各々に送信するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。
【0100】
ランダムアクセス制御部1012は、移動局装置1に送信するデータ情報があるが、基地局装置3と移動局装置1間の同期がはずれている場合などに、移動局装置1にランダムアクセス処理の開始を指示することを決定する。ランダムアクセス制御部は、移動局装置1に設定した特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャを割り当てる。ランダムアクセス制御部1012は、移動局装置1にランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを生成し、送信処理部111に出力するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。
【0101】
ランダムアクセス制御部1012は、プリアンブル検出部103から入力された、ランダムアクセスチャネルの情報とシグネチャの番号と同期タイミングのずれ量に基づき、シグネチャの番号と同期タイミングのずれ量を無線リソース制御部1011に出力し、無線リソース制御部1011にランダムアクセスレスポンスを生成するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。また、ランダムアクセス制御部1012は、プリアンブル検出部103から入力されたシグネチャを検出したランダムアクセスチャネルの情報から、RA−RNTIを算出し、無線リソース制御部1011に出力する。
【0102】
ランダムアクセス制御部1012は、プリアンブル検出部103から入力されたシグネチャを検出したランダムアクセスチャネルの情報に基づき、プリアンブルが検出された上りリンクキャリア要素とペアの下りリンクキャリア要素を選択し、選択した下りリンクキャリア要素でランダムアクセスレスポンスを送信するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。また、ランダムアクセス制御部1012は、プリアンブルが検出された上りリンクキャリア要素を選択し、選択した上りリンクキャリア要素の無線リソースの中からメッセージ3を送信する無線リソースを割り当てるよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。
【0103】
ランダムアクセス制御部1012は、ランダムアクセスレスポンスで無線リソースを割り当てたメッセージ3を送信した移動局装置3に対して、下りリンクキャリア要素でコンテンションレゾリューションを送信するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する。
【0104】
制御部107は、上位層処理部101からの制御情報に基づいて、受信処理部109、および送信処理部111の制御を行なう制御信号を生成する。制御部107は、生成した制御信号を受信処理部109、および送信処理部111に出力して受信処理部109、および送信処理部111の制御を行なう。
【0105】
受信処理部109は、制御部から入力された制御信号に従って、受信アンテナを介して移動局装置1から受信した受信信号を分離、復調、復号し、復号した情報を上位層処理部101に出力する。また、受信処理部109は、分離した上りリンクリファレンスシグナルを同期タイミング測定部105に出力し、分離したランダムアクセスチャネルをプリアンブル検出部103に出力する。
【0106】
具体的には、受信処理部109は、各受信アンテナを介して受信した各上りリンクキャリア要素の信号を、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調し、直交復調されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。受信処理部109は、変換したディジタル信号からガードインターバル(Guard Interval; GI)に相当する部分を除去する。受信処理部109は、ガードインターバルを除去した信号に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform; FFT)を行い、周波数領域の信号を抽出する。
【0107】
受信処理部109は、抽出した信号を上りリンクキャリア要素毎に、ランダムアクセスチャネル、上りリンク制御チャネル、上りリンク共用チャネル、デモジュレーションリファレンスシグナルおよびサウンディングリファレンスシグナルに配置された信号に、それぞれ分離する。尚、この分離は、予め基地局装置3が決定して各移動局装置1に通知した無線リソースの割当情報に基づいて行われる。また、受信処理部109は、分離した上りリンクリファレンスシグナルから伝搬路の推定値を求め、上りリンク制御チャネルと上りリンク共用チャネルの伝搬路の補償を行なう。
【0108】
受信処理部109は、分離したランダムアクセスチャネルをプリアンブル検出部103に出力し、分離した上りリンクリファレンスシグナルを同期タイミング測定部105に出力する。受信処理部109は、上りリンク共用チャネルを逆離散フーリエ変換(Inverse Discrete Fourier Transform; IDFT)し、変調シンボルを取得し、上りリンク制御チャネルと上りリンク共用チャネルの変調シンボルそれぞれに対して、2位相偏移変調(Binary Phase Shift Keying; BPSK)、4相位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying; QPSK)、16値直交振幅変調(16Quadrature Amplitude Modulation;16QAM)、64値直交
振幅変調(64Quadrature Amplitude Modulation; 64QAM)等の予め定められた、または基地局装置3が移動局装置1各々に上りリンクグラントで予め通知した変調方式を用いて受信信号の復調を行なう。
【0109】
受信処理部109は、復調した上りリンク制御チャネルと上りリンク共用チャネルの符号化ビットを、予め定められた符号化方式の、予め定められた、または基地局装置3が移動局装置1に上りリンクグラントで予め通知した符号化率で復号を行ない、データ情報と、上りリンク制御情報を上位層処理部101へ出力する。受信処理部109は、移動局装置1から受信した上りリンクリファレンスシグナルや上りリンク共用チャネルの受信信号の電力などを測定し、上りリンクキャリア要素のチャネルの受信品質を測定し、上位層処理部101に出力する。
【0110】
プリアンブル検出部103は、受信処理部109から入力されたランダムアクセスチャネルの無線リソースから複数のプリアンブルを検出し、プリアンブル各々から同期タイミングずれ量を算出し、シグネチャを検出したランダムアクセスチャネルの情報とシグネチャの番号と同期タイミングのずれ量を上位層処理部101に出力する。また、定期的にプリアンブルの受信数から移動局装置1のランダムアクセス送信状況も上位層処理部101に通知する。同期タイミング測定部105は、同期維持のために受信処理部109から入力された上りリンクリファレンスシグナルを測定して、同期タイミングのずれを測定し、測定結果を上位層処理部101に報告する。
【0111】
送信処理部111は、制御部107から入力された制御信号に従って、下りリンクリファレンスシグナルを生成し、上位層処理部101から入力されたデータ情報、下りリンク制御情報を符号化、および変調し、下りリンク制御チャネル、および下りリンク共用チャネルに配置し、生成した下りリンクリファレンスシグナルと多重して、送信アンテナを介して移動局装置1に信号を送信する。
【0112】
具体的には、送信処理部111は、上位層処理部101から入力された下りリンクキャリア要素各々の下りリンク制御情報、およびデータ情報を、制御部107から入力された制御信号に従って、ターボ符号化、畳込み符号化、ブロック符号化等の符号化を行い、符号化ビットをQPSK、16QAM、64QAM等の変調方式で変調する。また、基地局装置3を識別するためのセル識別子(Cell ID)などを基に予め定められた規則で求まる、移動局装置1が既知の系列を下りリンクリファレンスシグナルとして生成し、下りリンク制御チャネルと下りリンク共用チャネルと下りリンクリファレンスシグナルを多重する。
【0113】
送信処理部111は、多重した変調シンボルを逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform; IFFT)して、OFDM方式の変調を行い、OFDM変調されたOFDMシンボルにガードインターバルを付加し、ベースバンドのディジタル信号を生成し、ベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号から中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去し、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送信アンテナに出力して送信する。
【0114】
図7は、本実施形態に係る移動局装置1の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、移動局装置1は、上位層処理部201、制御部203、受信処理部205、複数の受信アンテナ、プリアンブル生成部207、送信処理部209、および、複数の送信アンテナ、を含んで構成される。また、上位層処理部201は、無線リソース制御部2011とランダムアクセス処理部2012を含んで構成される。尚、図7では、受信アンテナと送信アンテナとを別の構成としたが、信号の入出力を切り替える作用のあるサイリスタなどを用いてアンテナを共有するようにしてもよい。
【0115】
上位層処理部201は、ユーザの操作等により生成された上りリンクキャリア要素毎のデータ情報を、送信処理部209に出力する。また、上位層処理部201は、パケットデータ統合プロトコル層、無線リンク制御層、無線リソース制御層の処理を行なう。上位層処理部201が備える無線リソース制御部2011は、自装置の各種設定情報、通信状態、および、バッファ状況の管理などを行っている。上位層処理部201のランダムアクセス処理部2012は、自装置のランダムアクセスに関する制御を行なっている。
【0116】
上記の処理において、上位層処理部201が備える無線リソース制御部2011は、自装置が割り当てられた下りリンクキャリア要素と上りリンクキャリア要素、C−RNTIなどの各種設定情報の管理を行なう。また、無線リソース制御部2011は、各上りリンクキャリア要素の各チャネルに配置する情報を生成し、上りリンクキャリア要素毎に送信処理部209に出力する。例えば、無線リソース制御部2011は、ランダムアクセスレスポンスでメッセージ3の無線リソースを割り当てられた場合、メッセージ3で送信する情報を生成し、送信処理部209に出力する。
【0117】
無線リソース制御部2011は、基地局装置3から下りリンク制御チャネルで通知された下りリンク制御情報(例えば、下りリンクグラント、上りリンクグラント)や、ランダムアクセスで通知されたメッセージ3に対する上りリンクグラント、無線リソース制御部2011が管理する自装置の各種設定情報に基づき、受信処理部205、および送信処理部209の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部203に出力する。
【0118】
上記の処理において、上位層処理部201が備えるランダムアクセス処理部2012は、基地局装置3が報知する、ランダムアクセスに関するメッセージの一部、または全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素のペア、下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルの構成やランダムアクセスの送信状況を示す情報などのランダムアクセスに関する情報、および基地局装置3から通知される、ランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを示す情報を管理している。ランダムアクセス処理部2012は、自装置が基地局装置3からランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した場合、および上りリンクで送信するデータ情報があるが、基地局装置3から上りリンクの無線リソースを割り当てられていない場合、ランダムアクセスを開始する。
【0119】
ランダムアクセス処理部2012は、基地局装置3からの下りリンク制御チャネルでランダムアクセスを開始するよう指示され、シグネチャの番号と、下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースを指定された場合、基地局装置3に設定された特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースの中から、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルで指定されたランダムアクセスチャネルとシグネチャを選択する。
【0120】
また、ランダムアクセス処理部2012は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルでシグネチャの番号とランダムアクセスチャネルの無線リソースを指定されていない場合、またはランダムアクセス処理部2012がランダムアクセス処理の開始を決定した場合、基地局装置3に設定されたランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースの中からランダムに無線リソースを選択し、下りリンクのチャネル品質の情報などから、選択するContention based Random Access用のシグネチャの範囲を決定し、選択したシグネチャの範囲の中からシグネチャをランダムに選択する。これにより、移動局装置1は、基地局装置3が上りリンクキャリア要素のチャネル品質およびランダムアクセスチャネルの送信状況などに基づいて予め割り当てた特定の下りリンクキャリア要素に対応する適切なランダムアクセスリソースでContention based Random Accessを行なうことができる。
【0121】
また、ランダムアクセス処理部2012は、選択したシグネチャを含むプリアンブルをプリアンブル生成部207が生成するよう、制御部203に制御情報を出力し、選択したランダムアクセスチャネルの無線リソースで送信処理部209がプリアンブルを送信するよう、制御部203に制御情報を出力する。
【0122】
ランダムアクセス処理部2012は、プリアンブルを送信した無線リソースに対応するRA−RNTIを算出する。また、ランダムアクセス処理部2012は、プリアンブルを送信してから予め定められた期間であるランダムアクセスレスポンス受信期間、プリアンブルを送信した上りリンクキャリア要素とペアの下りリンクキャリア要素で、算出したRA−RNTIを含む下りリンクグラントを、受信処理部205が監視するよう、制御部203に制御情報を出力する。
【0123】
ランダムアクセス処理部2012は、基地局装置3からシグネチャの番号を指定されている場合、算出したRA−RNTIを含む下りリンクグラントが無線リソースの割り当てを示すランダムアクセスレスポンスにおいて、基地局装置3から指定されたシグネチャの番号が含まれていた際にランダムアクセスに成功した判定し、ランダムアクセス処理に関する処理を終了する。
【0124】
ランダムアクセス処理部2013は、基地局装置3からシグネチャの番号を指定されていない場合、算出したRA−RNTIを含む下りリンクグラントが無線リソースの割り当てを示すランダムアクセスレスポンスから、自装置が送信したプリアンブルに含まれるシグネチャの番号を検出し、検出したシグネチャの番号に対応する、同期タイミングのずれ量とTemporary C−RNTIとメッセージ3の無線リソースの割り当てを示す上りリンクグラントを取得する。また、ランダムアクセス処理部2012は、同期タイミングのずれ量に基づき、送信処理部209の上りリンクの信号の送信タイミングを調整するよう、制御部203に制御情報を出力する。
【0125】
また、ランダムアクセス処理部2012は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる自装置宛ての上りリンクグラントを無線リソース制御部2011に出力する。また、ランダムアクセス処理部2012は、基地局装置3に割り当てられたC−RNTI、または接続要求などの情報を含むメッセージ3を生成するよう、無線リソース制御部2011に制御情報を出力する。
【0126】
ランダムアクセス処理部2012は、メッセージ3を送信してから予め定められた期間であるコンテンションレゾリューション受信期間、基地局装置3に割り当てられた下りリンクキャリア要素でコンテンションレゾリューションの監視をし、下りリンクキャリア要素でコンテンションレゾリューションを検出した場合、ランダムアクセスに成功したと判定し、ランダムアクセスに関する処理を終了する。
【0127】
制御部203は、上位層処理部201からの制御情報に基づいて、受信処理部205、プリアンブル生成部207、および送信処理部209の制御を行なう制御信号を生成する。制御部203は、生成した制御信号を受信処理部205、プリアンブル生成部207、および送信処理部209に出力して受信処理部205、プリアンブル生成部207、および送信処理部209の制御を行なう。
【0128】
受信処理部205は、制御部203から入力された制御信号に従って、受信アンテナを介して基地局装置3から受信した受信信号を、復調、復号し、復号した情報を上位層処理部201に出力する。また、受信処理部205は、検出した下りリンクリファレンスシグナルの受信品質等に基づいて、チャネル品質情報を生成し、上位層処理部201、および送信処理部209に出力する。
【0129】
具体的には、受信処理部205は、各受信アンテナを介して受信した各上りリンクキャリア要素の信号を、中間周波数に変換し(ダウンコンバート)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調し、直交復調されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。受信処理部205は、変換したディジタル信号からガードインターバルに相当する部分を除去する。受信処理部205は、ガードインターバルを除去した信号に対して高速フーリエ変換を行い、周波数領域の信号を抽出する。
【0130】
受信処理部205は、抽出した信号を下りリンクキャリア要素毎に、下りリンク制御チャネル、下りリンク共用チャネル、および下りリンクリファレンスシグナルに配置された信号に、それぞれ分離する。尚、この分離は、下りリンクグラントで通知された無線リソースの割り当て情報などに基づいて行われる。また、受信処理部205は、分離した下りリンクリファレンスシグナルから伝搬路の推定値を求め、下りリンク制御チャネルと下りリンク共用チャネルの伝搬路の補償を行なう。また、受信処理部205は、分離した下りリンクリファレンスシグナルの受信品質等に基づいて、チャネル品質情報を生成し、上位層処理部201、および送信処理部209に出力する。
【0131】
受信処理部205は、下りリンク制御チャネルに対して、QPSK変調方式の復調を行ない、自装置が基地局装置3に割り当てられたC−RNTIを含む下りリンクグラントと上りリンクグラント、および自装置がプリアンブルを送信したランダムアクセスチャネルの無線リソースに対応するRA−RNTIを含む下りリンクグラントを監視し、復号を試みる。受信処理部205は、下りリンク制御チャネルの復号に成功した場合、復号した下りリンク制御情報を上位層処理部201に出力する。受信処理部205は、下りリンク共用チャネルに対して、QPSK、16QAM、64QAM等の下りリンクグラントで通知された変調方式の復調を行ない、下りリンクグラントで通知された符号化率に対する復号を行い、復号したデータ情報を上位層処理部201へ出力する。
【0132】
プリアンブル生成部207は、制御部203から入力された制御信号に従って、ランダムアクセス処理部2012が選択したシグネチャを含んだプリアンブルを生成し、送信処理部209に出力する。
【0133】
送信処理部209は、制御部203から入力された制御信号に従って、上りリンクリファレンスシグナルを生成し、上位層処理部201から入力されたデータ情報、および受信処理部205から入力されたチャネル品質情報、を符号化および変調し、上りリンク共用チャネル、および上りリンク制御チャネルに配置し、生成した上りリンクリファレンスシグナルと多重して、送信アンテナを介して基地局装置3に送信する。また、送信処理部209は、制御部203から入力された制御信号に従って、プリアンブル生成部207から入力されたプリアンブルを、ランダムアクセスチャネルに配置し、送信アンテナを介して基地局装置3に送信する。
【0134】
具体的には、送信処理部209は、上位層処理部201と受信処理部205から入力された各上りリンクキャリア要素の上りリンク制御情報、およびデータ情報を、制御部203から入力された制御信号に従って、ターボ符号化、畳込み符号化、ブロック符号化等の符号化を行い、符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調方式で変調する。
【0135】
送信処理部209は、基地局装置3を識別するためのセル識別子などを基に予め定められた規則で求まる、基地局装置3が既知の系列を上りリンクリファレンスシグナルとして生成する。送信処理部209は、上りリンク制御チャネルの変調シンボルを符号で拡散し、上りリンク共用チャネルの変調シンボルを並列に並び替えてから離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform; DFT)し、生成した上りリンクリファレンスシグナルと多重する。また、送信処理部209は、プリアンブル生成部207から入力されたプリアンブルを、ランダムアクセスチャネルに配置する。
【0136】
送信処理部209は、多重した信号を逆高速フーリエ変換して、SC−FDMA方式の変調を行い、SC−FDMA変調されたSC−FDMAシンボルにガードインターバルを付加し、ベースバンドのディジタル信号を生成し、ベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号から中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去し、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送信アンテナに出力して送信する。
【0137】
以下、無線通信システムの動作について説明をする。図8は、本実施形態に係る下りリンク制御チャネルとランダムアクセスチャネルの関係を示す概念図である。図8は、基地局装置3が移動局装置1に3つの下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)と3つの上りリンクキャリア要素(UCC-1、UCC-2、UCC-3)を割り当て、ランダムアクセスチャネルの開始を指示する下りリンク制御チャネルが対応する上りリンクキャリア要素としてUCC−2を割り当てた場合を示す。
【0138】
図8において、基地局装置3は移動局装置1に、ランダムアクセス処理を開始することができるランダムアクセスチャネルとしてDCC−2が対応するUCC−2のランダムアクセスチャネルを通知する。また、基地局装置3は移動局装置1にUCC−2のランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャの番号を割り当て、割り当てたランダムアクセスチャネルとシグネチャの番号を示す情報を含むランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、移動局装置1に割り当てた下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で送信する。
【0139】
移動局装置1は、基地局装置3に割り当てられた下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した場合、基地局装置3から通知されたUCC−2のランダムアクセスチャネルの中から当該下りリンク制御チャネルが示すランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャを用いてプリアンブル(メッセージ1)を送信する。
【0140】
図9は、本実施形態に係る基地局装置3の動作の一例を示すフロー図である。基地局装置3は、移動局装置1に下りリンク共用チャネルを送信する可能性のある下りリンクキャリア要素と上りリンク共用チャネルの無線リソースを割り当てる可能性のある上りリンクキャリア要素を割り当てる(ステップS10)。基地局装置3は、移動局装置1にランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを割り当て、当該割り当てを示す情報を移動局装置1に通知する(ステップS11)。基地局装置3は、移動局装置1にランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルをいずれか1つの下りリンクキャリア要素で送信する(ステップS12)。ステップS12の後、基地局装置3は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの送信に関する処理を終了する。
【0141】
図10は、本実施形態に係る移動局装置1の動作の一例を示すフロー図である。移動局装置1は、基地局装置3から下りリンク共用チャネルを送信される可能性のある下りリンクキャリア要素と上りリンク共用チャネルの無線リソースを割り当てられる可能性のある上りリンクキャリア要素を割り当てられる(ステップS20)。移動局装置1は、基地局装置3から割り当てられたランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを示す情報を通知される(ステップS21)。
【0142】
移動局装置1は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、ステップS20で割り当てられた下りリンクキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信する(ステップS22)。移動局装置1は、ステップS21で割り当てられたランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルでランダムアクセス処理を開始する(ステップS23)。ステップS23の後、移動局装置1は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの受信に関する処理を終了する。
【0143】
尚、本発明の第1の実施形態では、基地局装置3と移動局装置1が、ランダムアクセスのメッセージの一部、または全部を送受信する下りリンクキャリア要素と上りリンクキャリア要素はペアとなっているため、基地局装置3が移動局装置1にランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを割り当てることは、換言すると基地局装置3が移動局装置1に、ランダムアクセス処理の通信を行なうことができる下りリンクキャリア要素と上りリンクキャリア要素を割り当てることであり、また基地局装置3が移動局装置1に、ランダムアクセス処理の通信を行うことができる下りリンクキャリア要素、または上りリンクキャリア要素を割り当てることである。
【0144】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、無線通信システムは、基地局装置3と少なくとも一つの移動局装置1とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムであって、基地局装置3は、移動局装置1に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から移動局装置1がランダムアクセスの通信を開始できる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースを予め割り当て、移動局装置1に設定した複数の下りリンクキャリア要素の中から任意の1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネル(制御情報)を送信し、移動局装置1は、いずれかの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネル(制御情報)を受信した場合、基地局装置3に予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始する。
【0145】
これにより、従来技術におけるランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの構成を変えることなく、移動局装置1は、基地局装置3から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信するランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルが、予め割り当てられた特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示していることを判別することができる。また、基地局装置1は、移動局装置3に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素のチャネル品質や下りリンク制御チャネルのオーバーヘッドなどに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを配置する下りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0146】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0147】
本発明の第2の実施形態では、基地局装置が、移動局装置に割り当てた複数の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースの中から、移動局装置にランダムアクセスチャネル処理の開始を指示する任意の1つのランダムアクセスチャネルを選択し、選択したランダムアクセスチャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するかを、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素によって移動局装置1に示す場合について説明する。
【0148】
本実施形態に係る無線通信システムと第1の実施形態に係る無線通信システムとを比較すると、移動局装置の上位層処理部および基地局装置の上位層処理部が異なる。しかし、他の構成要素が持つ構成および機能は、第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能についての説明は省略する。以下、本実施形態に係る移動局装置を移動局装置5といい、基地局装置を基地局装置7という。
【0149】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置7の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る上位層処理部301(図11)と第1の実施形態に係る上位層処理部101(図6)とを比較すると、無線リソース制御部3011、ランダムアクセス制御部3012が異なる。
【0150】
以下、基地局装置7の上位層処理部301の処理について説明する。上位層処理部3011は、下りリンクキャリア要素毎のデータ情報を、送信処理部111に出力する。また、上位層処理部301は、パケットデータ統合プロトコル層、無線リンク制御層、無線リソース制御層の処理を行なう。上位層処理部301の無線リソース制御部3011は、移動局装置5各々の各種設定情報、通信状態、および、バッファ状況の管理などを行っている。上位層処理部301のランダムアクセス制御部3012は、移動局装置5各々のランダムアクセスに関する制御を行なっている。
【0151】
本実施形態に係る無線リソース制御部3011と第1の実施形態に係る無線リソース制御部1011を比較すると、無線リソース制御部3011は、ランダムアクセス制御部3012からの制御情報に基づいて、1つの下りリンクキャリア要素を選択し、選択した下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、送信処理部111を介して移動局装置1に送信することが異なる。本実施形態に係る無線リソース制御部3011が持つ他の機能は、第1の実施形態に係る無線リソース制御部1011と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能についての説明は省略する。
【0152】
ランダムアクセス制御部3012は、ランダムアクセスのメッセージの一部、または全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素のペア、ランダムアクセスチャネルの構成(ランダムアクセスチャネルの無線リソースの割り当てなど)、ランダムアクセスの送信状況を示す情報(ランダムアクセス負荷)に加えてランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示される下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルのペアなどのランダムアクセスに関する情報を含む報知情報を生成し、送信処理部111を介して移動局装置1に送信するよう、無線リソース制御部3011に制御情報を出力する。
【0153】
ランダムアクセス制御部3012は、移動局装置5に送信するデータ情報があるが、基地局装置7と移動局装置5間の同期がはずれている場合などに、移動局装置5にランダムアクセス処理の開始を指示することを決定する。また、ランダムアクセス制御部は、移動局装置5に、ランダムアクセスの送信状況や上りリンクキャリア要素のチャネル品質などに基づいてランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を選択し、選択した上りリンクキャリア要素内のランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャを割り当てる。
【0154】
ランダムアクセス制御部3012は、移動局装置5にランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを生成し、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素のランダムアクセスチャネルに対応する下りリンクキャリア要素で当該下りリンク制御チャネルを、送信処理部111を介して移動局装置5に送信するよう、無線リソース制御部3011に制御情報を出力する。
【0155】
また、本実施形態に係るランダムアクセス制御部3012は、第1の実施形態に係るランダムアクセス制御部1012が持つ、ランダムアクセスの送信状況や上りリンクキャリア要素のチャネル品質などに基づいて移動局装置1各々にランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを設定し、設定した特定の下りリンクキャリア要素を示す情報を生成し、当該情報を無線リソース制御信号などに含め、送信処理部111を介して移動局装置1各々に送信するよう、無線リソース制御部1011に制御情報を出力する機能を持たない。本実施形態に係る無線リソース制御部3011が持つ他の機能は、第1の実施形態に係る無線リソース制御部1011と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能についての説明は省略する。
【0156】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る移動局装置5の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る上位層処理部401(図12)と第1の実施形態に係る上位層処理部201(図7)とを比較するとランダムアクセス制御部4012が異なる。
【0157】
上位層処理部401は、ユーザの操作等により生成された上りリンクキャリア要素毎のデータ情報を、送信処理部209に出力する。また、上位層処理部401は、パケットデータ統合プロトコル層、無線リンク制御層、無線リソース制御層の処理を行なう。上位層処理部401のランダムアクセス処理部4012は、自装置のランダムアクセスに関する制御を行なっている。
【0158】
上記の処理において、上位層処理部401が備えるランダムアクセス処理部4012は、自装置が基地局装置3からランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した場合、および上りリンクで送信するデータ情報があるが、基地局装置3から上りリンクの無線リソースを割り当てられていない場合、ランダムアクセス処理を開始する。
【0159】
ランダムアクセス処理部4012は、いずれか1つの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した場合、当該下りリンク制御チャネルを受信した下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルの無線リソースでランダムアクセス処理の開始を指示されたと判断する。また、ランダムアクセス処理部4012は、当該下りリンク制御チャネルで指定されたシグネチャの番号と、ランダムアクセスチャネルの無線リソースを選択する。
【0160】
また、ランダムアクセス処理部4012は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルでシグネチャの番号とランダムアクセスチャネルの無線リソースを指定されていない場合、またはランダムアクセス処理部4012がランダムアクセス処理の開始を決定した場合、上りリンクキャリア要素と、上りリンクキャリア要素内のランダムアクセスチャネルの無線リソースをランダムに選択する。更に、ランダムアクセス処理部4012は、下りリンクキャリア要素のチャネル品質の情報などから、選択するContention based Random Access用のシグネチャの範囲を決定し、選択したシグネチャの範囲の中からシグネチャをランダムに選択する。これにより、移動局装置5は、Contention based Random Accessを行なうランダムアクセスリソースを、基地局装置7に割り当てられた全ての下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースの中から選択するので、複数の移動局装置5が選択するランダムアクセスリソースが分散され、複数の移動局装置が同じランダムアクセスリソースおよびシグネチャの番号を選ぶ確率を低くすることができる。
【0161】
また、本実施形態に係るランダムアクセス処理部4012は、第1の実施形態に係るランダムアクセス処理部2012が持つ、ランダムアクセス処理を開始することができる特定の下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルを示す情報を管理する機能を持たない。本実施形態に係るランダムアクセス処理部4012が持つ他の機能は、第1の実施形態に係るランダムアクセス処理部2012と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能についての説明は省略する。
【0162】
以下、無線通信システムの動作について説明をする。図13は、本実施形態に係る下りリンク制御チャネルとランダムアクセスチャネルの関係を示す概念図である。図13は、基地局装置7が移動局装置5に3つの下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)と3つの上りリンクキャリア要素(UCC-1、UCC-2、UCC-3)を割り当て、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示されるランダムアクセスチャネルを含む上りリンクキャリア要素のペアとして、DCC−1とUCC−1、DCC−2とUCC−2、DCC−3とUCC3がペアであることを通知する場合を示す。
【0163】
図13において、基地局装置7は、移動局装置5にUCC1、UCC−2またはUCC−3のランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャの番号を割り当て、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、移動局装置1に割り当てたランダムアクセスチャネルの無線リソースが対応する下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)で送信する。
【0164】
移動局装置5は、基地局装置7に割り当てられた下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)の内、いずれかの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した場合、当該下りリンク制御チャネルを受信した下りリンクキャリア要素(DCC-1、DCC-2、DCC-3)に対応するランダムアクセスチャネルを選択し、選択した上りリンクキャリア要素で当該下りリンク制御チャネルが示すランダムアクセスチャネルの無線リソースとシグネチャを用いてプリアンブル(メッセージ1)を送信する。
【0165】
図14は、本実施形態に係る基地局装置7の動作の一例を示すフロー図である。基地局装置7は、移動局装置5に下りリンク共用チャネルを送信する可能性のある下りリンクキャリア要素と上りリンク共用チャネルの無線リソースを割り当てる可能性のある上りリンクキャリア要素を割り当てる(ステップS30)。基地局装置7は、移動局装置5にランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示される下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルのペアを示す情報を報知する(ステップS31)。
【0166】
基地局装置7は、移動局装置5にランダムアクセス処理を開始させるランダムアクセスチャネルを選択する(ステップS32)。基地局装置7は、移動局装置5にステップS32で選択したランダムアクセスチャネルに対応する下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する(ステップS33)。ステップS33の後、基地局装置7は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの送信に関する処理を終了する。
【0167】
図15は、本実施形態に係る移動局装置5の動作の一例を示すフロー図である。移動局装置5は、基地局装置7から下りリンク共用チャネルを送信される可能性のある下りリンクキャリア要素と上りリンク共用チャネルの無線リソースを割り当てられる可能性のある上りリンクキャリア要素を割り当てられる(ステップS40)。移動局装置5は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示される下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルのペアを示す情報を基地局装置7から取得するステップ(S41)。
【0168】
移動局装置5は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを、ステップS40で割り当てられた下りリンクキャリア要素の内、いずれか1つの下りリンクキャリア要素で受信する(ステップS42)。移動局装置5は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した際に、ステップS41で取得した情報に従い、当該下りリンク制御チャネルを受信した下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルでのランダムアクセス処理の開始を指示されたと判定し、当該ランダムアクセスチャネルでランダムアクセス処理を開始する(ステップS43)。ステップS43の後、移動局装置5は、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの受信に関する処理を終了する。
【0169】
尚、本発明の第2の実施形態では、基地局装置7がメッセージの一部、または全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素のペアを示す情報と、ランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示される下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルのペアを示す情報を送信するが、メッセージの一部、または全部を送受信する上りリンクキャリア要素と下りリンクキャリア要素のペアとランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを送信する下りリンクキャリア要素とランダムアクセス処理の開始を指示される下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルのペアを共通にしてもよい。これにより、移動局装置5はいずれかの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信した際、当該下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスチャネルでランダムアクセス処理の開始を指示されたと判定すればよく、基地局装置7が報知する情報量を減らすことができる。
【0170】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、無線通信システムは、基地局装置7と少なくとも一つの移動局装置5とが、相互に異なる周波数帯域で定められる複数のキャリア要素を使用して通信を行なう無線通信システムであって、基地局装置7は、移動局装置5に設定した下りリンクキャリア要素各々に対応するランダムアクセスリソースの中から移動局装置5にランダムアクセスの通信を開始させるランダムアクセスリソースを選択し、選択したランダムアクセスリソースに対応する下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネル(制御情報)を送信し、移動局装置7は、いずれかの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネル(制御情報)を受信した場合、当該下りリンク制御チャネル(制御情報)を受信した下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースでランダムアクセス処理を開始する。
【0171】
これにより、従来技術におけるランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルの構成を変えることなく、移動局装置5は、基地局装置7から割り当てられた複数の下りリンクのキャリア要素の内、いずれの下りリンクキャリア要素でランダムアクセス処理の開始を指示する下りリンク制御チャネルを受信したかに応じて、当該下りリンク制御チャネルがいずれの下りリンクキャリア要素に対応するランダムアクセスリソースに対してランダムアクセス処理の開始を指示しているかを判別することができる。また、基地局装置3は、移動局装置1に割り当てた複数の上りリンクキャリア要素のチャネル品質やランダムアクセスチャネルの送信状況(ランダムアクセス負荷)などに基づいて、ランダムアクセス処理の開始を指示する上りリンクキャリア要素を柔軟に選択することができる。
【0172】
尚、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態では、下りリンクキャリア要素各々は異なる上りリンクキャリア要素内のランダムアクセスチャネルと対応しいていたが、複数の下りリンクキャリア要素が同じ上りリンクキャリア要素内の異なるランダムアクセスチャネルと対応してもよいし、複数の下りリンクキャリア要素が同じ上りリンクキャリア要素内の同じランダムアクセスチャネルと対応してもよい。この場合、複数の下りリンクキャリア要素のランダムアクセス送信に関する情報に含まれる、下りリンクキャリア要素とペアになっている上りリンクキャリア要素を示す情報、または下りリンクキャリア要素が対応するランダムアクセスチャネルの構成が同じとなる。
【0173】
本発明に関わる基地局装置3、7、および移動局装置1、5で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU(Central Processing Unit)等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)であっても良い。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAM(Random Access Memory)に蓄積され、その後、Flash ROM(Read Only Memory)などの各種ROMやHDD(Hard Disk Drive)に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0174】
尚、上述した実施形態における移動局装置1、5、基地局装置3、7の一部、または全部をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、移動局装置1、5、または基地局装置3、7に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0175】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0176】
また、上述した実施形態における移動局装置1、5、基地局装置3、7の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置1、5、基地局装置3、7の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0177】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0178】
1、1A−1C、5 移動局装置
3、7 基地局装置
101、301 上位層処理部
103 プリアンブル検出部
105 同期タイミング測定部
107 制御部
109 受信処理部
111 送信処理部
201、401 上位層処理部
203 制御部
205 受信処理部
207 プリアンブル生成部
209 送信処理部
1011、3011 無線リソース制御部
1012、3012 ランダムアクセス制御部
2011 無線リソース制御部
2012、4012 ランダムアクセス処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と移動局装置が通信する無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
複数の下りリンクコンポーネントキャリアのそれぞれに対応し、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置は、
前記基地局装置から受信した前記複数の第1の制御情報に応じて、前記物理ランダムアクセスチャネルリソースの複数のセットを設定し、
前記基地局装置から受信した前記第2の制御情報に応じて、前記1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応する前記セットの中から1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを選択し、
前記選択した物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いてプリアンブルを送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
移動局装置と通信する基地局装置であって、
複数の下りリンクコンポーネントキャリアのそれぞれに対応し、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置が、前記基地局装置から受信した前記第2の制御情報に応じて、前記1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応する前記セットの中から選択した1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いて送信したプリアンブルを受信することを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
前記第2の制御情報は、物理ランダムアクセスチャネルリソースを示す情報と、プリアンブルを示す情報とが含まれることを特徴とする請求項2記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置と通信する移動局装置であって、
複数の下りリンクコンポーネントキャリアのそれぞれに対応し、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を前記基地局装置から受信し、
前記複数の第1の制御情報に応じて、前記物理ランダムアクセスチャネルリソースの複数のセットを設定し、
前記複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を前記基地局装置から受信し、
前記第2の制御情報に応じて、前記1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応する前記セットの中から1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを選択し、
前記選択した物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いてプリアンブルを送信することを特徴とする移動局装置。
【請求項5】
前記第2の制御情報は、物理ランダムアクセスチャネルリソースを示す情報と、プリアンブルを示す情報とが含まれることを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項6】
移動局装置と通信する基地局装置に用いられる無線通信方法であって、
複数の下りリンクコンポーネントキャリアのそれぞれに対応し、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置が、前記基地局装置から受信した前記第2の制御情報に応じて、前記1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応する前記セットの中から選択した1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いて送信したプリアンブルを受信することを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
基地局装置と通信する移動局装置に用いられる無線通信方法であって、
複数の下りリンクコンポーネントキャリアのそれぞれに対応し、物理ランダムアクセスチャネルリソースから成る複数のセットを示す複数の第1の制御情報を前記基地局装置から受信し、
前記複数の第1の制御情報に応じて、前記物理ランダムアクセスチャネルリソースの複数のセットを設定し、
前記複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、1つの下りリンクコンポーネントキャリアを用いてランダムアクセス処理の開始を指示する第2の制御情報を前記基地局装置から受信し、
前記第2の制御情報に応じて、前記1つの下りリンクコンポーネントキャリアに対応する前記セットの中から1つの物理ランダムアクセスチャネルリソースを選択し、
前記選択した物理ランダムアクセスチャネルリソースを用いてプリアンブルを送信することを特徴とする無線通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−151908(P2012−151908A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111698(P2012−111698)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【分割の表示】特願2009−183031(P2009−183031)の分割
【原出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】