無線通信システム、無線通信方法、および無線機器
【課題】無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することが可能な無線通信システムを提供することである。
【解決手段】本発明にかかる無線通信システムは、データAを互いに送受信可能な第1の無線機器10および第2の無線機器20と、第1の無線機器10から出力された第2のデータBを受信可能な第3の無線機器30と、を備える。第1の無線機器10は、データAに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波42、43を用いてデータAを第2の無線機器20に送信すると共に、データBに応じて第1の電波42、43を強度変調することでデータBを第3の無線機器30に送信する。
【解決手段】本発明にかかる無線通信システムは、データAを互いに送受信可能な第1の無線機器10および第2の無線機器20と、第1の無線機器10から出力された第2のデータBを受信可能な第3の無線機器30と、を備える。第1の無線機器10は、データAに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波42、43を用いてデータAを第2の無線機器20に送信すると共に、データBに応じて第1の電波42、43を強度変調することでデータBを第3の無線機器30に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、無線通信方法、および無線機器に関し、特に無線ネットワーク環境にRFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用したシステムを導入することが可能な無線通信システム、無線通信方法、および無線機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDを利用したシステムが注目されており、様々な用途に適用され始めている。RFIDを使用したシステムの基本構成は、RFID用の無線タグと無線を介してデータ通信をするRFIDリーダ・ライタと、このRFIDリーダ・ライタを制御するコンピュータ端末とを含んで構成されている。RFIDリーダ・ライタは、無線タグに記憶されたデータに対して、読み出しまたは書き込みを行うことができる(非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、省電力化を図りつつ、所望のタイミングでデータを送信することのできる通信機器に関する技術が開示されている。特許文献2には、必要なセンシングを行いながらも消費電力の低減を図ることが可能なセンサ装置に関する技術が開示されている。特許文献3には室内侵入者検知装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−062609号公報
【特許文献2】特開2011−118536号公報
【特許文献3】特開平7−141577号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】国際固体回路会議2006予稿集 講演番号17.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明したように、RFID用の無線タグ(以下、第3の無線機器ともいう)にデータを書き込むには、専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。よって、例えば、無線ネットワーク(WLAN)環境下において、RFID用の無線タグにデータを書き込むためには、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。このため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入するにはコストがかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる無線通信システムは、第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器と、前記第1の無線機器から出力された第2のデータを受信可能な第3の無線機器と、を備え、前記第1の無線機器は、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波を用いて前記第1のデータを前記第2の無線機器に送信すると共に、前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調することで前記第2のデータを前記第3の無線機器に送信する。
【0008】
本発明にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器は、第2のデータに応じて第1の電波を強度変調することで第2のデータを第3の無線機器に送信している。このように、第2のデータを強度変調という比較的簡単な変調方式を用いて送信することができるので、第1の無線機器に簡単な回路を追加するのみで無線通信システムを構成することができる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【0009】
本発明にかかる無線通信方法は、第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器を備える無線ネットワークにおいて、第3の無線機器に第2のデータを送信する無線通信方法であって、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調されると共に、前記第2のデータに応じて強度変調された第1の電波を前記第1の無線機器から出力し、前記第2の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第1のデータを復調し、前記第3の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第2のデータを復調する。
【0010】
本発明にかかる無線通信方法では、第1の無線機器は、第2のデータに応じて第1の電波を強度変調することで第2のデータを第3の無線機器に送信している。このように、第2のデータを強度変調という比較的簡単な変調方式を用いて送信することができるので、第1の無線機器に簡単な回路を追加するのみで無線通信システムを構成することができる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【0011】
本発明にかかる無線機器は、送信対象である第3のデータに応じて無線ネットワークで用いられている電波に外乱を与える電波を生成する変調回路と、受信対象である第2のデータに応じて強度変調された前記無線ネットワークで用いられている電波から前記第2のデータを復調する復調回路と、を備える。
【0012】
本発明にかかる無線機器は、上記構成を備える変調回路および復調回路を備えるので、比較的簡単な回路で構成できる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することが可能な無線通信システムおよび無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図2A】実施の形態1にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図2B】実施の形態1にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す第1の無線機器の詳細な構成を説明するためのブロック図である。
【図5】実施の形態1にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の一例を示す回路図である。
【図6】図5に示す第3の無線機器の動作を説明するための図である。
【図7】図5に示す第3の無線機器に要求される性能を説明するための図である。
【図8】実施の形態2にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器の一例を示すブロック図である。
【図9】図8に示す第1の無線機器の詳細な構成を説明するためのブロック図である。
【図10】実施の形態3にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図11】実施の形態3にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図12】実施の形態4にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図13】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の一例を示す回路図である。
【図14A】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図14B】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図15】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図16】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器が受信する電波のビット誤り率を説明するための図である。
【図17】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の他の例を示すブロック図である。
【図18】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器10と、第2の無線機器20と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)30と、を備える。
【0016】
第1の無線機器10は、強度変調回路14を備える通信回路11と、内部回路12と、アンテナ13と、を有する。通信回路11は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器10は、内部回路12から出力されたデータA、Bを通信回路11が備える送信回路で処理することで、アンテナ13から電波42、43を用いてデータA、Bを送信することができる。ここで、電波42、43はアンテナ13から同時に出力される。また、第1の無線機器10は、第2の無線機器20から出力された電波41をアンテナ13で受信し、受信した信号を通信回路11が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器20から送信されたデータA、Bを復調することができる。通信回路11で復調されたデータA、Bは、内部回路12に出力される。内部回路12は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0017】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路11が備える強度変調回路14を用いて、第1の無線機器10が出力する電波42、43をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器30にデータBを送信している。
【0018】
第2の無線機器20は、通信回路21と、内部回路22と、アンテナ23と、を有する。通信回路21は送信回路と受信回路とを含む。第2の無線機器20は、内部回路22から出力されたデータA、Bを通信回路21が備える送信回路で処理することで、アンテナ23から電波41を用いてデータA、Bを送信することができる。また、第2の無線機器20は、第1の無線機器10から出力された電波42をアンテナ23で受信し、受信した信号を通信回路21が備える受信回路で処理することで、第1の無線機器10から送信されたデータAを復調することができる。通信回路21で復調されたデータAは、内部回路22に出力される。内部回路22は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0019】
ここで、データA(第1のデータ)は、第1の無線機器10と第2の無線機器20との間で送受信されるデータである。また、データB(第2のデータ)は、第2の無線機器20から第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30へ送信されるデータである。
【0020】
第1の無線機器10と第2の無線機器20は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器10はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器20はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0021】
第3の無線機器30は、復調回路31と、内部回路32と、アンテナ33と、を有する。第3の無線機器30は、第1の無線機器10から出力された電波43をアンテナ33で受信し、受信した信号を復調回路31で処理することで第1の無線機器10から送信されたデータBを復調することができる。復調回路31で復調されたデータBは、内部回路32に出力される。すなわち、第1の無線機器10から出力された電波43は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路31を用いてこの強度変調された信号を復調することで、電波43からデータBを抽出することができる。内部回路32は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば受信したデータを格納できるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0022】
次に、図2A、図2Bを用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図2A、図2Bは、第2の無線機器20から第3の無線機器30に送信対象であるデータB("10100")が送信される場合を示している。まず、図2Aに示すように、第2の無線機器20の内部回路22から通信回路21に送信対象であるデータB("10100")が出力される。通信回路21は、送信対象であるデータB("10100")を無線送信できるように処理する。通信回路21で処理されたデータB("10100")は、アンテナ23から電波41を用いて送信される。
【0023】
第1の無線機器10は、第2の無線機器20から出力された電波41をアンテナ13を用いて受信する。そして、第1の無線機器10は、受信した信号を通信回路11で復調し、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を内部回路12に出力する。内部回路12は、通信回路11から出力されたデータB("10100")を一時的に格納する。例えば、データB("10100")は、内部回路12が備えるデータ格納部に一時的に格納される。ここで、第1の無線機器10と第2の無線機器20は、一般的な無線規格の無線ネットワークを構成しており、第2の無線機器20から第1の無線機器10にデータB("10100")を送信する際も、一般的な無線規格の通信方式(所定の変調方式)を用いて送信される。
【0024】
次に、図2Bに示すように、第1の無線機器10が備える内部回路12は、第2の無線機器20に送信されるデータAと、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")を通信回路11に出力する。通信回路11は、第2の無線機器20に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路11は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図2Bに示すように、通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて、第1の無線機器10から出力される電波42、43を強度変調する。
【0025】
このようにして、第1の無線機器10は、第2の無線機器20に送信されるデータAと第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")を、電波42、43を用いて送信することができる。ここで、電波42と電波43は同一の電波であり、便宜上、第2の無線機器20で受信される電波を電波42と、第3の無線機器30で受信される電波を電波43と示している。このとき、第2の無線機器20に送信されるデータAと第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0026】
第2の無線機器20は、第1の無線機器10から出力された電波42をアンテナ23を用いて受信する。そして、受信した信号を通信回路21で復調し、第1の無線機器10から送信されたデータAを内部回路22に出力する。すなわち、通信回路21は、第1の無線機器10で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第1の無線機器10から送信されたデータAを取得することができる。
【0027】
第3の無線機器30は、第1の無線機器10から出力された電波43をアンテナ33を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路31で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路32に出力する。すなわち、第1の無線機器10の通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて電波43を強度変調しているので、第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波43の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0028】
第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器30としてRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際に、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いることで、第3の無線機器30における復調回路31を比較的簡単な構成とすることができる。
【0029】
また、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、データBは、第2の無線機器20から第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30へ送信される。例えば、第1の無線機器10がWLAN基地局(WLAN親機)である場合、データBを第2の無線機器20から第3の無線機器30に直接送信するよりも、WLAN基地局(WLAN親機)である第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30にデータBを送信したほうが、より遠くにある第3の無線機器30にデータBを送信することができる。つまり、WLAN基地局(WLAN親機)である第1の無線機器10のほうが、WLAN端末(WLAN子機)である第2の無線機器20よりも、より遠くにデータBを送信することができる。
【0030】
なお、図2Aに示した例では、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を、第1の無線機器10が備える内部回路12に一時的に格納する例を示した。しかし、本実施の形態では、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を内部回路12に出力しないように構成してもよい。つまり、通信回路11において、データB("10100")を復調した後、復調後のデータB("10100")を内部回路12に出力することなく、通信回路11においてデータB("10100")に応じて電波42、43を強度変調するように構成してもよい。
【0031】
また、図2Bに示した例では、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際に、第1の無線機器10から第2の無線機器20にデータAを送信する例を示した。しかし、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第1の無線機器10から第2の無線機器20にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて電波42、43を強度変調すればよく、このとき電波42、43にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波42、43として出力される。
【0032】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する第1の無線機器10の具体例について説明する。図3は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器10の一例を示すブロック図である。図3に示す第1の無線機器10が備える通信回路11は、強度変調回路14と、変調回路15と、S/P変換部16と、信号処理部17とを含む。
【0033】
変調回路15は、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号18を生成する回路である。すなわち、変調回路15は、例えば、OFDM方式やDSSS方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号18を生成する。変調回路15で生成されたベースバンド信号18は、S/P変換部16に出力される。
【0034】
強度変調回路14は、第3の無線機器30に送信されるデータBに応じて強度変調されたベースバンド信号19を生成する。例えば、強度変調回路14は、データBとして"1"を送信する場合はベースバンド信号19の振幅が大きくなるように変調し、データBとして"0"を送信する場合はベースバンド信号19の振幅が小さくなるように変調する。強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19は、S/P変換部16に出力される。
【0035】
S/P変換部16は、例えばセレクタで構成されたシリアル/パラレル変換部である。S/P変換部16は、変調回路15で生成されたベースバンド信号18および強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19を入力し、これらの信号を時分割で交互に切り替えて出力する。このときの切り替え時間は、少なくとも第2の無線機器30に送信されるデータAの1フレーム、あるいは第3の無線機器30に送信されるデータBを全て送りきる時間(例えば、第3の無線機器30に2バイトのデータBを送る場合は、その送信時間)を十分含むことが好ましい。
【0036】
信号処理部17は、S/P変換部16から出力された信号を、アンテナ13から電波42、43を用いて出力することができるように処理をする。
【0037】
図4は、図3に示した第1の無線機器10の詳細な構成を説明するためのブロック図である。図4に示すように、変調回路15は、FEC符号化部51、インターリーブ・マッピング部52、逆FFT部53、ガードインターバル付加部54、およびシンボル整形部55を備える。ここで、図4に示す変調回路15は、802.11a規格の無線LANが備える変調回路であり、例えばOFDM方式の変調方式が用いられる。
【0038】
FEC符号化部51は、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)を実施するために、予め設定されたアルゴリズムに従ってデータAに冗長性を付与する。インターリーブ・マッピング部52は、所定の周波数を中心とした一定の周波数帯域において、各チャンネルをマッピングする。逆FFT部53は、インターリーブ・マッピング部52から出力された信号を逆高速フーリエ変換する。ガードインターバル付加部54は、逆FFT部53から出力された信号にガードインターバルを付加する。ガードインターバル付加部54から出力された信号は、シンボル整形部55に入力される。このようにして生成されたベースバンド信号18は、S/P変換部16に出力される。S/P変換部16の動作および強度変調回路14の動作は、図3で説明した場合と同様である。
【0039】
また、図4に示すように、信号処理部17は、AD変換部56、アップコンバート部57、および増幅器58を備える。AD変換部56は、S/P変換部16から出力された信号をアナログデジタル変換する。アップコンバート部57は、AD変換部56から出力された信号(ベースバンド信号)を搬送波の周波数帯に変換(アップコンバート)する。増幅部58は、アップコンバート部57から出力された信号をアンテナ13から出力することができるレベルまで増幅する。このような処理により、アンテナ13からは、データAに応じて変調され、更にデータBに応じて強度変調された電波が出力される。
【0040】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する第3の無線機器30の具体例について説明する。図5は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器30の一例を示す回路図である。図5に示すように、第3の無線機器30が備える復調回路31は、整流素子(ダイオード)D1、容量素子C1、C2、抵抗素子R1、R2、P型MOSトランジスタMP1、MP2、およびN型MOSトランジスタMN1、MN2を有する。ここで、復調回路31はエンベロープ検出回路を構成する。また、整流素子D1と容量素子C1は平滑回路を構成する。容量素子C2、抵抗素子R1、R2、P型MOSトランジスタMP1、MP2、およびN型MOSトランジスタMN1、MN2は、振幅制限回路34を構成する。
【0041】
整流素子D1のアノードは、アンテナ33と接続され、カソードは容量素子C1の一端および容量素子C2の一端と接続されている。容量素子C1の他端は接地されている。抵抗素子R1の一端は電源線35と接続され、他端は、容量素子C2の他端、抵抗素子R2の一端、P型MOSトランジスタMP1のゲート、およびN型MOSトランジスタMN1のゲートと接続されている。抵抗素子R2の他端は接地されている。P型MOSトランジスタMP1のソースは電源線35と接続され、ドレインは、N型MOSトランジスタMN1のドレイン、P型MOSトランジスタMP2のゲート、およびN型MOSトランジスタMN2のゲートと接続されている。N型MOSトランジスタMN1のソースは接地されている。P型MOSトランジスタMP2のソースは電源線35と接続され、ドレインは、N型MOSトランジスタMN2のドレインと接続されている。N型MOSトランジスタMN2のソースは接地されている。受信データ(データB)は、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードから出力される。
【0042】
図6は、図5に示す第3の無線機器30の動作を説明するための図である。図6に示すように、強度変調された電波43がアンテナ33で受信されると、電波43に応じた交流信号61が整流素子D1のアノードに供給される。このときの交流信号61の波形は、図6に示すように強度変調された信号波形である。整流素子D1のアノードに供給された交流信号61は、整流素子D1で整流される。よって、図6に示すように、整流素子D1のカソードからは整流された信号62が出力される。その後、整流された信号62は、容量素子(デカップリング容量)C1で平滑化されて、平滑化後の信号63となる。
【0043】
振幅制限回路34は、ハイレベルの信号を電源電位VDD(第1の電位)とし、ロウレベルの信号を接地電位GND(第2の電位)とする2値のデジタル信号を、平滑化後の信号63に基づき生成する。まず、平滑化後の信号63は、抵抗素子R1と抵抗素子R2によって振幅が増幅された信号64となる。このとき、信号64の符号66に示す電圧(データ"1"に対応)を、N型MOSトランジスタMN1をオン状態とし、P型MOSトランジスタMP1をオフ状態とすることができる電圧とする。また、信号64の符号67に示す電圧(データ"0"に対応)を、N型MOSトランジスタMN1をオフ状態とし、P型MOSトランジスタMP1をオン状態とすることができる電圧とする。
【0044】
信号64がハイレベルの場合(データ"1"に対応)、P型MOSトランジスタMP1はオフ状態、N型MOSトランジスタMN1はオン状態となる。このとき、P型MOSトランジスタMP2のゲートとN型MOSトランジスタMN2のゲートは共に接地されるので、P型MOSトランジスタMP2はオン状態となり、N型MOSトランジスタMN2はオフ状態となる。よって、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードからは、受信データ65としてハイレベルの信号(データ"1"に対応)が出力される。このとき、ハイレベルの信号の電圧は電源線35の電圧VDDとなる。
【0045】
一方、信号64がロウレベルの場合(データ"0"に対応)、P型MOSトランジスタMP1はオン状態、N型MOSトランジスタMN1はオフ状態となる。このとき、P型MOSトランジスタMP2のゲートとN型MOSトランジスタMN2のゲートには共に電源線35の電圧VDDが供給されるので、P型MOSトランジスタMP2はオフ状態となり、N型MOSトランジスタMN2はオン状態となる。よって、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードからは、受信データ65としてロウレベルの信号(データ"0"に対応)が出力される。このとき、ロウレベルの信号の電圧は接地電位GNDとなる。
【0046】
以上で説明したように、図5、図6に示す第3の無線機器30を用いることで、強度変調された電波43からデータBを復調することができる。
【0047】
図7は、図5に示す第3の無線機器30に要求される性能を説明するための図である。図7において、横軸は周波数(Hz)を、縦軸は第1の無線機器10から送信される電波43の電力強度(dBm)を示している。符号71は、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタの通過帯域を示している。符号72は、第3の無線機器30が受信するデータBの周波数帯域を示している。符号73は、第1の無線機器10と第2の無線機器とで送受信されるデータAの周波数帯域を示している。
【0048】
本実施の形態では、図7に示すように、第3の無線機器30が受信するデータBの周波数帯域幅(符号72)が、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタの通過帯域幅(符号71)に含まれるように、且つ、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタによって、第1の無線機器10と第2の無線機器20とで送受信されるデータAの成分が排除されるように、第3の無線機器30を構成することが好ましい。
【0049】
また、第3の無線機器30は、アンテナ33で受信した電波43を用いて電力を生成する電力生成回路を備えていてもよい。この場合、第3の無線機器30は電池を搭載する必要はなく、いわゆるパッシブ型のRFID無線タグを構成する。一方、第3の無線機器30は電池を内蔵していてもよく、この場合はいわゆるアクティブ型のRFID無線タグを構成する。
【0050】
背景技術で説明したように、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)にデータを書き込むには、一般的に専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。よって、例えば、無線ネットワーク(WLAN)環境下において、RFID用の無線タグにデータを書き込むためには、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。このため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入するにはコストがかかるという問題があった。
【0051】
これに対して本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器10が出力する電波43を強度変調することで、第3の無線機器30にデータBを送信している。そして、第3の無線機器30が備える復調回路31を用いて、強度変調された信号(電波43に対応)を処理することで、データBを復調している。このとき、第1の無線機器10は電波43を強度変調することができればよいので、第1の無線機器10を、簡単な回路を追加するのみで構成することができる。また、第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱を検出することができればよいので、復調回路31を、例えばエンベロープ検出回路のような簡単な回路で構成することができる。
【0052】
このように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器10および第3の無線機器30に簡単な回路を追加するのみで、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0053】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、第1の無線機器の構成が実施の形態1で説明した第1の無線機器10(図3、図4参照)と異なる。これ以外は、実施の形態1にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0054】
図8は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器110の一例を示すブロック図である。図8に示す第1の無線機器110が備える通信回路111は、変調回路115と、強度変調回路116と、信号処理部117とを含む。
【0055】
変調回路115は、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号118を生成する回路である。すなわち、変調回路115は、例えば、OFDM方式やDSSS方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号118を生成する。変調回路115で生成されたベースバンド信号118は、強度変調回路116に出力される。
【0056】
強度変調回路116は、例えば、乗算器で構成された振幅変調回路で構成することができる。つまり、強度変調回路116は、変調回路115で生成されたベースバンド信号118と送信対象であるデータBとを入力し、データBに応じて、変調回路115で生成されたベースバンド信号118の振幅を変調する。すなわち、第3の無線機器30に送信されるデータBがベースバンド信号118に振幅変調の成分として付加される。例えば、強度変調回路116は、データBとして"1"を送信する場合はベースバンド信号118の振幅が大きくなるように変調し、データBとして"0"を送信する場合はベースバンド信号118の振幅が小さくなるように変調する。強度変調回路116で生成された信号は信号処理部117に出力される。
【0057】
強度変調回路116から出力された信号は、第2の無線機器20に送信されるデータAと、第3の無線機器30に送信されるデータBとが重畳した信号である。このとき、変調回路115における変調処理によっても、ベースバンド信号118の強度(振幅)が変化する。よって、強度変調回路116で強度変調する際は、第1の無線機器10から第2の無線機器20への送信の妨げにならない範囲で、強度変調のオン/オフ比を高くとる必要がある。また、第1の無線機器10から第2の無線機器20に送信されるデータAのシンボルレートに対して、第3の無線機器30へ送信されるデータBのシンボルレートを遅くすることで、第3の無線機器30の復調回路31において、データAとデータBとを区別しやすくすることができる。
【0058】
信号処理部117は、強度変調回路116から出力された信号を、アンテナ113から電波42、43を用いて出力することができるように処理をする。
【0059】
図9は、図8に示した第1の無線機器110の詳細な構成を説明するためのブロック図である。図9に示すように、変調回路115は、FEC符号化部151、インターリーブ・マッピング部152、逆FFT部153、ガードインターバル付加部154、およびシンボル整形部155を備える。ここで、図9に示す変調回路115は、802.11a規格の無線LANが備える変調回路であり、例えばOFDM方式の変調方式が用いられる。
【0060】
FEC符号化部151は、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)を実施するために、予め設定されたアルゴリズムに従ってデータAに冗長性を付与する。インターリーブ・マッピング部152は、所定の周波数を中心とした一定の周波数帯域において、各チャンネルをマッピングする。逆FFT部153は、インターリーブ・マッピング部152から出力された信号を逆高速フーリエ変換する。ガードインターバル付加部154は、逆FFT部153から出力された信号にガードインターバルを付加する。ガードインターバル付加部154から出力された信号は、シンボル整形部155に入力される。このようにして、生成されたベースバンド信号118は、強度変調回路116に出力される。強度変調回路116の動作は、図8で説明した場合と同様である。
【0061】
また、図9に示すように、信号処理部117は、AD変換部156、アップコンバート部157、および増幅器158を備える。AD変換部156は、強度変調回路116から出力された信号をアナログデジタル変換する。アップコンバート部157は、AD変換部156から出力された信号(ベースバンド信号)を搬送波の周波数帯に変換(アップコンバート)する。増幅部158は、アップコンバート部157から出力された信号をアンテナ113から出力することができるレベルまで増幅する。このような処理により、アンテナ113からは、データAに応じて変調され、更にデータBに応じて強度変調された電波が出力される。
【0062】
図3、図4で説明した実施の形態1にかかる第1の無線機器10では、S/P変換部16は、変調回路15で生成されたベースバンド信号18および強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19を入力し、これらの信号を時分割で交互に切り替えて出力していた。よって、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを時分割で送信(つまり、別々に送信)することができるので、第3の無線機器30の復調回路31において高いSN比でデータBを復調することができた。
【0063】
一方、図3、図4で説明した実施の形態1にかかる第1の無線機器10では、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを時分割で送信しているので、データAとデータBの伝送に要する時間が長くなるという問題があった。また、第1の無線機器10において、フレーム伝送手順の変更が必要となる場合があった。
【0064】
これに対して本実施の形態にかかる第1の無線機器110では、強度変調回路116において、変調回路115で生成されたベースバンド信号118の振幅を、第3の無線機器30に送信されるデータBに応じて変調することで、ベースバンド信号118にデータBを付加している。よって、本実施の形態では、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを並列に送信することができるので、データAとデータBの伝送に要する時間を短縮することができる。また、第1の無線機器10において、フレーム伝送手順の変更は不要となる。
【0065】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、送信対象であるデータBが、第2の無線機器から第3の無線機器に直接送信される点が、実施の形態1、2と異なる。これ以外は、実施の形態1にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0066】
図10は本実施の形態にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図10に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器210と、第2の無線機器220と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)230と、を備える。
【0067】
第1の無線機器210は、通信回路211と、内部回路212と、アンテナ213と、を有する。通信回路211は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器210は、内部回路212から出力されたデータAを通信回路211が備える送信回路で処理することで、アンテナ213から電波242を用いてデータAを送信することができる。また、第1の無線機器210は、第2の無線機器220から出力された電波241をアンテナ213で受信し、受信した信号を通信回路211が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器220から送信されたデータAを復調することができる。通信回路211で復調されたデータAは、内部回路212に出力される。内部回路212は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0068】
第2の無線機器220は、強度変調回路224を備える通信回路221と、内部回路222と、アンテナ223と、を有する。通信回路221は送信回路と受信回路とを含む。第2の無線機器220は、内部回路222から出力されたデータA、Bを通信回路221が備える送信回路で処理することで、アンテナ223から電波241、243を用いてデータA、Bを送信することができる。ここで、電波241、243はアンテナ223から同時に出力される。また、第2の無線機器220は、第1の無線機器210から出力された電波242をアンテナ223で受信し、受信した信号を通信回路221が備える受信回路で処理することで、第1の無線機器210から送信されたデータAを復調することができる。通信回路221で復調されたデータAは、内部回路222に出力される。内部回路222は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0069】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路221が備える強度変調回路224を用いて、第2の無線機器220が出力する電波241、243をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器230にデータBを送信している。
【0070】
ここで、データAは、第1の無線機器210と第2の無線機器220との間で送受信されるデータである。また、データBは、第2の無線機器220から第3の無線機器230へ送信されるデータである。
【0071】
第1の無線機器210と第2の無線機器220は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器210はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器220はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0072】
第3の無線機器230は、復調回路231と、内部回路232と、アンテナ233と、を有する。第3の無線機器230は、第2の無線機器220から出力された電波243をアンテナ233で受信し、受信した信号を復調回路231で処理することで第2の無線機器220から送信されたデータBを復調することができる。復調回路231で復調されたデータBは、内部回路232に出力される。すなわち、第2の無線機器220から出力された電波243は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路231を用いてこの強度変調された信号を復調することで、電波243からデータBを抽出することができる。内部回路232は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば受信したデータを格納できるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0073】
次に、図11を用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図11では、第2の無線機器220から第3の無線機器230に送信対象であるデータB("10100")が直接送信される場合を示している。図11に示すように、第2の無線機器220が備える内部回路222は、第1の無線機器210に送信されるデータAと、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を通信回路221に出力する。通信回路221は、第1の無線機器210に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路221は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、データAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図11に示すように、通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて、第2の無線機器220から出力される電波241、243を強度変調する。
【0074】
このようにして、第2の無線機器220は、第1の無線機器210に送信されるデータAと第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を、電波241、243を用いて送信することができる。ここで、電波241と電波243は同一の電波であり、便宜上、第1の無線機器210で受信される電波を電波241と、第3の無線機器230で受信される電波を電波243と示している。このとき、第1の無線機器210に送信されるデータAと第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0075】
第1の無線機器210は、第2の無線機器220から出力された電波241をアンテナ213を用いて受信する。そして、受信した信号を通信回路211で復調し、第2の無線機器220から送信されたデータAを内部回路212に出力する。すなわち、通信回路211は、第2の無線機器220で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第2の無線機器220から送信されたデータAを取得することができる。
【0076】
第3の無線機器230は、第2の無線機器220から出力された電波243をアンテナ233を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路231で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路232に出力する。すなわち、第2の無線機器220の通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて電波243を強度変調しているので、第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波243の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0077】
第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器230としてRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いて送信することで、第3の無線機器230における復調回路231を比較的簡単な構成とすることができる。
【0078】
なお、図11に示した例では、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータB("10100")を送信する際に、第2の無線機器220から第1の無線機器210にデータAを送信する例を示した。しかし、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第2の無線機器220から第1の無線機器210にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて電波241、243を強度変調すればよく、このとき電波241、243にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波241、243として出力される。
【0079】
例えば、本実施の形態では、図3、図4に示した第1の無線機器10(実施の形態1参照)を用いて、第2の無線機器220を構成してもよい。また、本実施の形態では、図8、図9に示した第1の無線機器110(実施の形態2参照)を用いて、第2の無線機器220を構成してもよい。また、本実施の形態では、図5、図6に示した第3の無線機器30(実施の形態1参照)を用いて、第3の無線機器230を構成してもよい。これらの構成および動作は、実施の形態1、2で説明した構成および動作と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0080】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第2の無線機器220が出力する電波243を強度変調することで、第3の無線機器230にデータBを送信している。そして、第3の無線機器230が備える復調回路231を用いて、強度変調された信号(電波243に対応)を処理することで、データBを復調している。このとき、第2の無線機器220は電波243を強度変調することができればよいので、第2の無線機器220を、簡単な回路を追加するのみで構成することができる。また、第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱を検出することができればよいので、復調回路231を、例えばエンベロープ検出回路のような簡単な回路で構成することができる。
【0081】
このように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第2の無線機器220および第3の無線機器230に簡単な回路を追加するのみで、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0082】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態では、第3の無線機器がデータBを受信すると共に、所定のデータCを第2の無線機器に送信する点が、実施の形態1乃至3と異なる。これ以外は、実施の形態1乃至3にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、本実施の形態では、第3の無線機器に送信されるデータが第1の無線機器を経由して送信される場合(実施の形態1参照)を例として説明するが、第3の無線機器に送信されるデータが第2の無線機器から直接送信される場合(実施の形態3参照)についても同様に適用することができる。
【0083】
図12は本実施の形態にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図4に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器310と、第2の無線機器320と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)330と、を備える。
【0084】
第1の無線機器310は、強度変調回路314を備える通信回路311と、内部回路312と、アンテナ313と、を有する。通信回路311は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器310は、内部回路312から出力されたデータA、Bを通信回路311が備える送信回路で処理することで、アンテナ313から電波を用いてデータA、Bを送信することができる。また、第1の無線機器310は、第2の無線機器320から出力された電波をアンテナ313で受信し、受信した信号を通信回路311が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器320から送信されたデータA、Bを復調することができる。通信回路311で復調されたデータA、Bは、内部回路312に出力される。内部回路312は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0085】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路311が備える強度変調回路314を用いて、第1の無線機器310が出力する電波をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器330にデータBを送信している。
【0086】
第2の無線機器320は、送信回路321と、分離復調回路(受信回路)322と、内部回路323と、アンテナ324と、を有する。第2の無線機器320は、内部回路323から出力されたデータA、Bを送信回路321で処理することで、アンテナ323からデータA、Bを送信することができる。また、分離復調回路322は、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCとを分離すると共に、これらのデータをそれぞれ復調する。分離復調回路322で復調されたデータAおよびデータCは、内部回路323に出力される。内部回路323は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0087】
ここで、データA(第1のデータ)は、第1の無線機器310と第2の無線機器320との間で送受信されるデータである。データB(第2のデータ)は、第2の無線機器320から第1の無線機器310を経由して第3の無線機器330へ送信されるデータである。データC(第3のデータ)は、第3の無線機器330から第2の無線機器320に送信されるデータである。本実施の形態における無線通信システムでは、データAとデータBの送信は同時に実施することができる。また、データAとデータCの送信は同時に実施することができる。一方、データBとデータCの送信は同時に実施することはできない。
【0088】
また、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器310はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器320はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0089】
第3の無線機器330は、復調回路331と、変調回路332と、内部回路333と、アンテナ334と、を有する。第3の無線機器330は、第1の無線機器310から出力された電波をアンテナ334で受信し、受信した信号を復調回路331で処理することで第1の無線機器310から送信されたデータBを復調することができる。復調回路331で復調されたデータBは、内部回路333に出力される。すなわち、第1の無線機器310から出力された電波は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路331を用いてこの強度変調された信号を復調することでデータBを抽出することができる。
【0090】
また、第3の無線機器330が備える変調回路332は、第1の無線機器310から出力された電波をアンテナ334で受信し、この受信した信号を送信対象であるデータCに応じて変調する。変調回路332で変調された信号は、アンテナ334から第2の無線機器320に出力される。内部回路333は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えばデータBを格納できるデータ格納部やデータCを生成できるデータ生成部等を備えていてもよい。
【0091】
図13は、本実施の形態にかかる無線通信システムで用いられる第3の無線機器330の一例を示す回路図である。図13に示す第3の無線機器330では、変調回路332として負荷変調回路を備えている。しかし、本実施の形態にかかる発明では、変調回路332は負荷変調回路に限定されることはなく、他の変調回路を用いてもよい。
【0092】
図13に示すように、第3の無線機器330は、復調回路331と、変調回路332と、内部回路333と、アンテナ334と、送受信切り替え回路335と、を備える。ここで、復調回路331は、図5、図6で説明した第3の無線機器30が備える復調回路31と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し重複した説明は省略する。
【0093】
送受信切り替え回路335は、制御回路(不図示)から出力された送受信切り替え信号に応じて、アンテナ334と復調回路331とを接続する場合と、アンテナ334と変調回路332とを接続する場合とを切り替える。つまり、送受信切り替え回路335は、第3の無線機器330がデータBを受信する場合は、アンテナ334と復調回路331とを接続する。また、送受信切り替え回路335は、第3の無線機器330がデータCを送信する場合は、アンテナ334と変調回路332とを接続する。
【0094】
変調回路332は、容量素子C3、C4とN型MOSトランジスタMN3とを備える。容量素子C3の一端および容量素子C4の一端は、共にアンテナ334と接続されるノードと接続されている。また、容量素子C3の他端は接地されている。また、N型MOSトランジスタMN3のドレインは容量素子C4の他端と接続され、ソースは接地されている。N型MOSトランジスタMN3のゲートにはデータCに応じた信号が供給される。図13に示す変調回路332は負荷変調回路である。つまり、アンテナ334で受信した信号(第1の無線機器310から出力された電波に対応する)に対するマッチングをデータCに応じて変化させることで、アンテナ334からデータCを送信することができる。第3の無線機器330の詳細な動作については後述する。
【0095】
次に、図14A、図14Bを用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図14A、図14Bは、第2の無線機器320から第3の無線機器330に送信対象であるデータB("10100")が送信される場合を示している。まず、図14Aに示すように、第2の無線機器320の内部回路323から送信回路321に送信対象であるデータB("10100")が出力される。送信回路321は、送信対象であるデータB("10100")を無線送信できるように処理する。送信回路321で処理されたデータB("10100")は、アンテナ324から電波341を用いて送信される。
【0096】
第1の無線機器310は、第2の無線機器320から出力された電波341をアンテナ313を用いて受信する。そして、第1の無線機器310は、受信した信号を通信回路311で復調し、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を内部回路312に出力する。内部回路312は、通信回路311から出力されたデータB("10100")を一時的に格納する。例えば、データB("10100")は、内部回路312が備えるデータ格納部に一時的に格納される。ここで、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、一般的な無線規格の無線ネットワークを構成しており、第2の無線機器320から第1の無線機器310にデータB("10100")を送信する際も、一般的な無線規格の通信方式(所定の変調方式)を用いて送信される。
【0097】
次に、図14Bに示すように、第1の無線機器310が備える内部回路312は、第2の無線機器320に送信されるデータAと、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を通信回路311に出力する。通信回路311は、第2の無線機器320に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路311は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図14Bに示すように、通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて、第1の無線機器310から出力される電波342、343を強度変調する。
【0098】
このようにして、第1の無線機器310は、第2の無線機器320に送信されるデータAと第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を、電波342、343を用いて送信することができる。ここで、電波342と電波343は同一の電波であり、便宜上、第2の無線機器320で受信される電波を電波342と、第3の無線機器330で受信される電波を電波343と示している。このとき、第2の無線機器320に送信されるデータAと第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0099】
第2の無線機器320は、第1の無線機器310から出力された電波342をアンテナ324を用いて受信する。そして、受信した信号を分離復調回路322で復調し、第1の無線機器310から送信されたデータAを内部回路323に出力する。すなわち、分離復調回路322は、第1の無線機器310で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第1の無線機器310から送信されたデータAを取得することができる。
【0100】
第3の無線機器330は、第1の無線機器310から出力された電波343をアンテナ334を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路331で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路333に出力する。このとき、図13に示した送受信切り替え回路335は、アンテナ334と復調回路331とを接続している。すなわち、第1の無線機器310の通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて電波343を強度変調しているので、第3の無線機器330の復調回路331は、受信した電波343の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波343の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0101】
第3の無線機器330の復調回路331は、受信した電波343の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器330はRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いて送信することで、第3の無線機器330における復調回路331を比較的簡単な構成とすることができる。
【0102】
なお、図14Aに示した例では、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を、第1の無線機器310が備える内部回路312に一時的に格納する例を示した。しかし、本実施の形態では、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を内部回路312に出力しないように構成してもよい。つまり、通信回路311において、データB("10100")を復調した後、復調後のデータB("10100")を内部回路312に出力することなく、通信回路311においてデータB("10100")に応じて電波342、343を強度変調するように構成してもよい。
【0103】
また、図14Bに示した例では、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータB("10100")を送信する際に、第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAを送信する例を示した。しかし、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて電波342、343を強度変調すればよく、このとき電波342、343にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波342、343として出力される。
【0104】
更に、図15、図16を用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図15は、第3の無線機器330から第2の無線機器320にデータC("11100")が送信される場合を示している。このとき、第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAも送信される。
【0105】
図15に示す場合においても、第1の無線機器310と第2の無線機器320は無線ネットワーク(WLAN)を構成している。このとき、第1の無線機器310と第2の無線機器320は規格に準拠した変調要素を備える電波351を用いて通信ができるように構成されている。そして、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、電波351に対する外乱として働く電波353を第3の無線機器330が送信することで、第3の無線機器330から第2の無線機器320にデータCを送信している。以下、詳細に説明する。
【0106】
図16は、第2の無線機器320が受信する電波(電波351と電波353)のビット誤り率を説明するための図である。第3の無線機器330からのデータ送信がない場合は、電波351は第3の無線機器330から送信された電波353の影響を受けない。つまりこの場合は、第3の無線機器330から送信された電波353が電波351に対する外乱として働かないため、図16に示すようにビット誤り率は上昇しない。よって、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、図16に示す低いビット誤り率361で通信することができる。そして、第2の無線機器320は電波351をアンテナ324で受信し、分離復調回路322は第1の無線機器310から送信されたデータAを復調する。
【0107】
次に、第3の無線機器330がデータCを送信する場合について説明する。まず、第3の無線機器330は第1の無線機器310から出力された電波352を受信する。また、内部回路333は送信対象であるデータC("11100")を変調回路332に出力する。そして、変調回路332はデータC("11100")に応じて、受信した電波352を負荷変調し、変調後の信号を電波353として出力する(この動作を反射ともいう)。
【0108】
第3の無線機器330がデータC("11100")を送信する場合、図16に示すように電波351は第3の無線機器330から送信された電波353の影響を受ける。よって、この場合は、第3の無線機器330から送信された電波353が電波351に対する外乱として働くため、図16の符号362に示すようにビット誤り率が上昇する。
【0109】
すなわち、第3の無線機器330において負荷変調することで出力された電波353は、第1の無線機器351から送信された電波を撹乱して受信SN比を低下させるため、ビット誤り率を上昇させる。つまり、第3の無線機器330においてon/offキーイングの負荷変調をかければ、図16に示すようにビット誤り率の時間変動を用いてデータC("11100")を送信することができる。そして、第2の無線機器320の分離復調回路322においてこのビット誤り率の変動を検出することで、第3の無線機器330から送信されたデータC("11100")を復調することができる。
【0110】
なお、この時のビット誤り率362は、第1の無線機器310と第2の無線機器320の通信に悪影響を及ぼさないように、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内としている。つまり、ビット誤り率361とビット誤り率362は、共にビット誤り率の無線規格値よりも低い値となるようにしている。一般的に、通信環境は常に変化し様々な外乱(反射波)が混入するため、このような外乱に対する通信のロバストネスが保障されるように無線規格が策定される。
【0111】
第2の無線機器320は電波351および電波353をアンテナ324で受信する。そして、分離復調回路322は、受信したこれらの電波に含まれている第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータC("11100")を分離すると共に、これらのデータを復調する。
【0112】
ここで、第1の無線機器310が送信するデータAは、第1の無線機器310と第2の無線機器320の規格に準拠した変調要素を備える電波(つまり、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波)を用いて伝送される。一方、第3の無線機器330が送信するデータCは、第2の無線機器320が受信した電波351、353におけるビット誤り率の変化(つまりビット誤り率の高低)を用いて伝送される。
【0113】
この時、第2の無線機器320が受信した電波のビット誤り率の変化の周期(つまりビット誤り率の変調周期)は、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波351の変調周期よりも遅い。よって、分離復調回路322を用いて、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを分離することができる。
【0114】
例えば、分離復調回路322はローパスフィルタ(LPF)を有し、当該ローパスフィルタ(LPF)を用いることで、ビット誤り率の変調周期が遅いデータCを分離することができる。また、例えば分離復調回路322はバンドパスフィルタ(BPF)を備えていてもよく、この場合もバンドパスフィルタ(BPF)を用いることで、ビット誤り率の変調周期が遅いデータCを分離することができる。ここで、バンドパスフィルタ(BPF)は、ローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)を組み合わせることで構成することができる。このとき、ハイパスフィルタ(HPF)を用いることで、変調周期がデータCの変動周期よりも遅い環境電波の変動成分をデータCから除去することができる。なお、分離復調回路322はアナログ信号に対するフィルタ回路でもよく、またA/D変換後のデジタル信号に対するフィルタ回路であってもよい。
【0115】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の他の例について、図17を用いて説明する。図17に示す第3の無線機器330'は、復調回路331と、変調回路332と、センサ制御回路337と、センサ338とを備える。ここで、センサ制御回路337とセンサ338は、図12等に示す内部回路333に対応している。なお、図17に示す第3の無線機器330'が備える復調回路331および変調回路332は、図12等に示した復調回路331および変調回路332と同様の構成および動作であるので、重複した説明は省略する。
【0116】
センサ338は、例えば人の体温を測定する温度センサ、人の血圧を測定する圧力センサ等である。例えば、温度センサが内蔵された第3の無線機器330'を被測定対象に貼り付け、被測定対象の温度情報を無線送信し無線ネットワークで受信することで、被測定対象の温度を逐次チェックすることができる。なお、センサ338は温度センサ、圧力センサに限定されることはなく、所定のデータを取得できるセンサであればどのようなセンサであってもよい。
【0117】
センサ制御回路337は、センサ338を制御するための制御信号339を生成し、この制御信号339をセンサ338に出力する。例えば、第2の無線機器320から送信されたデータBはセンサ338の制御情報に関するデータであり、センサ制御回路337は、データBに応じてセンサ338を制御することができる。例えば、データBは、センサ338の測定の開始や停止を指示するための信号、センサ338の測定の間隔を設定するための信号、センサ338に再測定を指示するための信号等である。
【0118】
例えば、第2の無線機器320で受信したセンサ338の測定結果(データC)にエラーがあった場合、第2の無線機器から第3の無線機器330'にセンサ338での再測定を指示する信号をデータBとして送信することで、第2の無線機器320は正確な測定結果(データC)を取得することができる。
【0119】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器の他の例について、図18を用いて説明する。図18に示す第2の無線機器320'は、送信回路321と、内部回路323と、受信回路327と、プロトコル処理部328と、アンテナ324とを有し、この構成は既存の無線機器と同様である。そして、第2の無線機器320'のプロトコル処理部328が上記分離復調回路322として動作するように、プロトコル処理部328に対してソフトウェア処理を施す。このように、プロトコル処理部328に対してソフトウェア処理を施すことで、図12に示した第2の無線機器320を既存の無線機器を用いて構成することができる。なお、本実施の形態では図18に示すプロトコル処理部の一部をハードウェアで構成してもよく、この場合はプロトコル処理部のハードウェアで構成した部分以外にソフトウェア処理を施すことで第2の無線機器320'を構成することができる。
【0120】
つまり、第1の無線機器310が送信するデータAは、第1の無線機器310と第2の無線機器320の規格に準拠した変調要素を備える電波(つまり、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波)を用いて伝送される。一方、第3の無線機器330が送信するデータCは、第2の無線機器320が受信した電波におけるビット誤り率の変化(つまりビット誤り率の高低)を用いて伝送される。そして、プロトコル処理部328に対して、第1の無線機器310が送信するデータA(つまり、規格に準拠した搬送波周波数で送信されるデータ)と第3の無線機器330が送信するデータC(つまり、所定の変調周波数で変調されたビット誤り率を用いて送信されるデータ)をそれぞれ分離し復調するようにソフトウェア処理を施すことで、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを得ることができる。プロトコル処理部328におけるこのような処理はベースバンドドメインで行なわれている。
【0121】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、データBを第3の無線機器330に送信する際に、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いているので、第1の無線機器310および第3の無線機器330に簡単な回路を追加するのみで、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0122】
更に、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器310と第2の無線機器320とで構成される無線ネットワーク環境下において、第3の無線機器330が、送信対象であるデータCに応じて変調された電波353を出力している。ここで、変調された電波353は第1の無線機器310から送信された電波351に対する外乱として働く。そして、第2の無線機器320の分離復調回路322において、電波351に対する外乱の有無を用いて第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを分離し、復調している。
【0123】
このような構成を備える本実施の形態にかかる無線通信システムでは、RFID用の無線タグ(第3の無線機器330)が保持するデータを読み出すために、専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がない。よって、本実施の形態にかかる発明により、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することが可能な無線通信システムを提供することができる。
【0124】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0125】
10 第1の無線機器
11 通信回路
12 内部回路
13 アンテナ
14 強度変調回路
20 第2の無線機器
21 通信回路
22 内部回路
23 アンテナ
30 第3の無線機器
31 復調回路
32 内部回路
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、無線通信方法、および無線機器に関し、特に無線ネットワーク環境にRFID(Radio Frequency IDentification)技術を利用したシステムを導入することが可能な無線通信システム、無線通信方法、および無線機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDを利用したシステムが注目されており、様々な用途に適用され始めている。RFIDを使用したシステムの基本構成は、RFID用の無線タグと無線を介してデータ通信をするRFIDリーダ・ライタと、このRFIDリーダ・ライタを制御するコンピュータ端末とを含んで構成されている。RFIDリーダ・ライタは、無線タグに記憶されたデータに対して、読み出しまたは書き込みを行うことができる(非特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、省電力化を図りつつ、所望のタイミングでデータを送信することのできる通信機器に関する技術が開示されている。特許文献2には、必要なセンシングを行いながらも消費電力の低減を図ることが可能なセンサ装置に関する技術が開示されている。特許文献3には室内侵入者検知装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−062609号公報
【特許文献2】特開2011−118536号公報
【特許文献3】特開平7−141577号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】国際固体回路会議2006予稿集 講演番号17.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明したように、RFID用の無線タグ(以下、第3の無線機器ともいう)にデータを書き込むには、専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。よって、例えば、無線ネットワーク(WLAN)環境下において、RFID用の無線タグにデータを書き込むためには、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。このため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入するにはコストがかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる無線通信システムは、第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器と、前記第1の無線機器から出力された第2のデータを受信可能な第3の無線機器と、を備え、前記第1の無線機器は、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波を用いて前記第1のデータを前記第2の無線機器に送信すると共に、前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調することで前記第2のデータを前記第3の無線機器に送信する。
【0008】
本発明にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器は、第2のデータに応じて第1の電波を強度変調することで第2のデータを第3の無線機器に送信している。このように、第2のデータを強度変調という比較的簡単な変調方式を用いて送信することができるので、第1の無線機器に簡単な回路を追加するのみで無線通信システムを構成することができる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【0009】
本発明にかかる無線通信方法は、第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器を備える無線ネットワークにおいて、第3の無線機器に第2のデータを送信する無線通信方法であって、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調されると共に、前記第2のデータに応じて強度変調された第1の電波を前記第1の無線機器から出力し、前記第2の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第1のデータを復調し、前記第3の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第2のデータを復調する。
【0010】
本発明にかかる無線通信方法では、第1の無線機器は、第2のデータに応じて第1の電波を強度変調することで第2のデータを第3の無線機器に送信している。このように、第2のデータを強度変調という比較的簡単な変調方式を用いて送信することができるので、第1の無線機器に簡単な回路を追加するのみで無線通信システムを構成することができる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【0011】
本発明にかかる無線機器は、送信対象である第3のデータに応じて無線ネットワークで用いられている電波に外乱を与える電波を生成する変調回路と、受信対象である第2のデータに応じて強度変調された前記無線ネットワークで用いられている電波から前記第2のデータを復調する復調回路と、を備える。
【0012】
本発明にかかる無線機器は、上記構成を備える変調回路および復調回路を備えるので、比較的簡単な回路で構成できる。よって、第1および第2の無線機器で構成される無線ネットワーク環境に第3の無線機器(RFID技術を利用したシステム)を導入する際のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することが可能な無線通信システムおよび無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図2A】実施の形態1にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図2B】実施の形態1にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す第1の無線機器の詳細な構成を説明するためのブロック図である。
【図5】実施の形態1にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の一例を示す回路図である。
【図6】図5に示す第3の無線機器の動作を説明するための図である。
【図7】図5に示す第3の無線機器に要求される性能を説明するための図である。
【図8】実施の形態2にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器の一例を示すブロック図である。
【図9】図8に示す第1の無線機器の詳細な構成を説明するためのブロック図である。
【図10】実施の形態3にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図11】実施の形態3にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図12】実施の形態4にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図13】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の一例を示す回路図である。
【図14A】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図14B】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図15】実施の形態4にかかる無線通信システムの動作を説明するためのブロック図である。
【図16】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器が受信する電波のビット誤り率を説明するための図である。
【図17】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の他の例を示すブロック図である。
【図18】実施の形態4にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器10と、第2の無線機器20と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)30と、を備える。
【0016】
第1の無線機器10は、強度変調回路14を備える通信回路11と、内部回路12と、アンテナ13と、を有する。通信回路11は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器10は、内部回路12から出力されたデータA、Bを通信回路11が備える送信回路で処理することで、アンテナ13から電波42、43を用いてデータA、Bを送信することができる。ここで、電波42、43はアンテナ13から同時に出力される。また、第1の無線機器10は、第2の無線機器20から出力された電波41をアンテナ13で受信し、受信した信号を通信回路11が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器20から送信されたデータA、Bを復調することができる。通信回路11で復調されたデータA、Bは、内部回路12に出力される。内部回路12は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0017】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路11が備える強度変調回路14を用いて、第1の無線機器10が出力する電波42、43をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器30にデータBを送信している。
【0018】
第2の無線機器20は、通信回路21と、内部回路22と、アンテナ23と、を有する。通信回路21は送信回路と受信回路とを含む。第2の無線機器20は、内部回路22から出力されたデータA、Bを通信回路21が備える送信回路で処理することで、アンテナ23から電波41を用いてデータA、Bを送信することができる。また、第2の無線機器20は、第1の無線機器10から出力された電波42をアンテナ23で受信し、受信した信号を通信回路21が備える受信回路で処理することで、第1の無線機器10から送信されたデータAを復調することができる。通信回路21で復調されたデータAは、内部回路22に出力される。内部回路22は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0019】
ここで、データA(第1のデータ)は、第1の無線機器10と第2の無線機器20との間で送受信されるデータである。また、データB(第2のデータ)は、第2の無線機器20から第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30へ送信されるデータである。
【0020】
第1の無線機器10と第2の無線機器20は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器10はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器20はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0021】
第3の無線機器30は、復調回路31と、内部回路32と、アンテナ33と、を有する。第3の無線機器30は、第1の無線機器10から出力された電波43をアンテナ33で受信し、受信した信号を復調回路31で処理することで第1の無線機器10から送信されたデータBを復調することができる。復調回路31で復調されたデータBは、内部回路32に出力される。すなわち、第1の無線機器10から出力された電波43は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路31を用いてこの強度変調された信号を復調することで、電波43からデータBを抽出することができる。内部回路32は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば受信したデータを格納できるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0022】
次に、図2A、図2Bを用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図2A、図2Bは、第2の無線機器20から第3の無線機器30に送信対象であるデータB("10100")が送信される場合を示している。まず、図2Aに示すように、第2の無線機器20の内部回路22から通信回路21に送信対象であるデータB("10100")が出力される。通信回路21は、送信対象であるデータB("10100")を無線送信できるように処理する。通信回路21で処理されたデータB("10100")は、アンテナ23から電波41を用いて送信される。
【0023】
第1の無線機器10は、第2の無線機器20から出力された電波41をアンテナ13を用いて受信する。そして、第1の無線機器10は、受信した信号を通信回路11で復調し、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を内部回路12に出力する。内部回路12は、通信回路11から出力されたデータB("10100")を一時的に格納する。例えば、データB("10100")は、内部回路12が備えるデータ格納部に一時的に格納される。ここで、第1の無線機器10と第2の無線機器20は、一般的な無線規格の無線ネットワークを構成しており、第2の無線機器20から第1の無線機器10にデータB("10100")を送信する際も、一般的な無線規格の通信方式(所定の変調方式)を用いて送信される。
【0024】
次に、図2Bに示すように、第1の無線機器10が備える内部回路12は、第2の無線機器20に送信されるデータAと、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")を通信回路11に出力する。通信回路11は、第2の無線機器20に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路11は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図2Bに示すように、通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて、第1の無線機器10から出力される電波42、43を強度変調する。
【0025】
このようにして、第1の無線機器10は、第2の無線機器20に送信されるデータAと第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")を、電波42、43を用いて送信することができる。ここで、電波42と電波43は同一の電波であり、便宜上、第2の無線機器20で受信される電波を電波42と、第3の無線機器30で受信される電波を電波43と示している。このとき、第2の無線機器20に送信されるデータAと第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0026】
第2の無線機器20は、第1の無線機器10から出力された電波42をアンテナ23を用いて受信する。そして、受信した信号を通信回路21で復調し、第1の無線機器10から送信されたデータAを内部回路22に出力する。すなわち、通信回路21は、第1の無線機器10で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第1の無線機器10から送信されたデータAを取得することができる。
【0027】
第3の無線機器30は、第1の無線機器10から出力された電波43をアンテナ33を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路31で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路32に出力する。すなわち、第1の無線機器10の通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて電波43を強度変調しているので、第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波43の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0028】
第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器30としてRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際に、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いることで、第3の無線機器30における復調回路31を比較的簡単な構成とすることができる。
【0029】
また、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、データBは、第2の無線機器20から第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30へ送信される。例えば、第1の無線機器10がWLAN基地局(WLAN親機)である場合、データBを第2の無線機器20から第3の無線機器30に直接送信するよりも、WLAN基地局(WLAN親機)である第1の無線機器10を経由して第3の無線機器30にデータBを送信したほうが、より遠くにある第3の無線機器30にデータBを送信することができる。つまり、WLAN基地局(WLAN親機)である第1の無線機器10のほうが、WLAN端末(WLAN子機)である第2の無線機器20よりも、より遠くにデータBを送信することができる。
【0030】
なお、図2Aに示した例では、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を、第1の無線機器10が備える内部回路12に一時的に格納する例を示した。しかし、本実施の形態では、第2の無線機器20から送信されたデータB("10100")を内部回路12に出力しないように構成してもよい。つまり、通信回路11において、データB("10100")を復調した後、復調後のデータB("10100")を内部回路12に出力することなく、通信回路11においてデータB("10100")に応じて電波42、43を強度変調するように構成してもよい。
【0031】
また、図2Bに示した例では、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際に、第1の無線機器10から第2の無線機器20にデータAを送信する例を示した。しかし、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第1の無線機器10から第2の無線機器20にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路11は、第3の無線機器30に送信されるデータB("10100")に応じて電波42、43を強度変調すればよく、このとき電波42、43にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波42、43として出力される。
【0032】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する第1の無線機器10の具体例について説明する。図3は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器10の一例を示すブロック図である。図3に示す第1の無線機器10が備える通信回路11は、強度変調回路14と、変調回路15と、S/P変換部16と、信号処理部17とを含む。
【0033】
変調回路15は、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号18を生成する回路である。すなわち、変調回路15は、例えば、OFDM方式やDSSS方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号18を生成する。変調回路15で生成されたベースバンド信号18は、S/P変換部16に出力される。
【0034】
強度変調回路14は、第3の無線機器30に送信されるデータBに応じて強度変調されたベースバンド信号19を生成する。例えば、強度変調回路14は、データBとして"1"を送信する場合はベースバンド信号19の振幅が大きくなるように変調し、データBとして"0"を送信する場合はベースバンド信号19の振幅が小さくなるように変調する。強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19は、S/P変換部16に出力される。
【0035】
S/P変換部16は、例えばセレクタで構成されたシリアル/パラレル変換部である。S/P変換部16は、変調回路15で生成されたベースバンド信号18および強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19を入力し、これらの信号を時分割で交互に切り替えて出力する。このときの切り替え時間は、少なくとも第2の無線機器30に送信されるデータAの1フレーム、あるいは第3の無線機器30に送信されるデータBを全て送りきる時間(例えば、第3の無線機器30に2バイトのデータBを送る場合は、その送信時間)を十分含むことが好ましい。
【0036】
信号処理部17は、S/P変換部16から出力された信号を、アンテナ13から電波42、43を用いて出力することができるように処理をする。
【0037】
図4は、図3に示した第1の無線機器10の詳細な構成を説明するためのブロック図である。図4に示すように、変調回路15は、FEC符号化部51、インターリーブ・マッピング部52、逆FFT部53、ガードインターバル付加部54、およびシンボル整形部55を備える。ここで、図4に示す変調回路15は、802.11a規格の無線LANが備える変調回路であり、例えばOFDM方式の変調方式が用いられる。
【0038】
FEC符号化部51は、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)を実施するために、予め設定されたアルゴリズムに従ってデータAに冗長性を付与する。インターリーブ・マッピング部52は、所定の周波数を中心とした一定の周波数帯域において、各チャンネルをマッピングする。逆FFT部53は、インターリーブ・マッピング部52から出力された信号を逆高速フーリエ変換する。ガードインターバル付加部54は、逆FFT部53から出力された信号にガードインターバルを付加する。ガードインターバル付加部54から出力された信号は、シンボル整形部55に入力される。このようにして生成されたベースバンド信号18は、S/P変換部16に出力される。S/P変換部16の動作および強度変調回路14の動作は、図3で説明した場合と同様である。
【0039】
また、図4に示すように、信号処理部17は、AD変換部56、アップコンバート部57、および増幅器58を備える。AD変換部56は、S/P変換部16から出力された信号をアナログデジタル変換する。アップコンバート部57は、AD変換部56から出力された信号(ベースバンド信号)を搬送波の周波数帯に変換(アップコンバート)する。増幅部58は、アップコンバート部57から出力された信号をアンテナ13から出力することができるレベルまで増幅する。このような処理により、アンテナ13からは、データAに応じて変調され、更にデータBに応じて強度変調された電波が出力される。
【0040】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムを構成する第3の無線機器30の具体例について説明する。図5は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器30の一例を示す回路図である。図5に示すように、第3の無線機器30が備える復調回路31は、整流素子(ダイオード)D1、容量素子C1、C2、抵抗素子R1、R2、P型MOSトランジスタMP1、MP2、およびN型MOSトランジスタMN1、MN2を有する。ここで、復調回路31はエンベロープ検出回路を構成する。また、整流素子D1と容量素子C1は平滑回路を構成する。容量素子C2、抵抗素子R1、R2、P型MOSトランジスタMP1、MP2、およびN型MOSトランジスタMN1、MN2は、振幅制限回路34を構成する。
【0041】
整流素子D1のアノードは、アンテナ33と接続され、カソードは容量素子C1の一端および容量素子C2の一端と接続されている。容量素子C1の他端は接地されている。抵抗素子R1の一端は電源線35と接続され、他端は、容量素子C2の他端、抵抗素子R2の一端、P型MOSトランジスタMP1のゲート、およびN型MOSトランジスタMN1のゲートと接続されている。抵抗素子R2の他端は接地されている。P型MOSトランジスタMP1のソースは電源線35と接続され、ドレインは、N型MOSトランジスタMN1のドレイン、P型MOSトランジスタMP2のゲート、およびN型MOSトランジスタMN2のゲートと接続されている。N型MOSトランジスタMN1のソースは接地されている。P型MOSトランジスタMP2のソースは電源線35と接続され、ドレインは、N型MOSトランジスタMN2のドレインと接続されている。N型MOSトランジスタMN2のソースは接地されている。受信データ(データB)は、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードから出力される。
【0042】
図6は、図5に示す第3の無線機器30の動作を説明するための図である。図6に示すように、強度変調された電波43がアンテナ33で受信されると、電波43に応じた交流信号61が整流素子D1のアノードに供給される。このときの交流信号61の波形は、図6に示すように強度変調された信号波形である。整流素子D1のアノードに供給された交流信号61は、整流素子D1で整流される。よって、図6に示すように、整流素子D1のカソードからは整流された信号62が出力される。その後、整流された信号62は、容量素子(デカップリング容量)C1で平滑化されて、平滑化後の信号63となる。
【0043】
振幅制限回路34は、ハイレベルの信号を電源電位VDD(第1の電位)とし、ロウレベルの信号を接地電位GND(第2の電位)とする2値のデジタル信号を、平滑化後の信号63に基づき生成する。まず、平滑化後の信号63は、抵抗素子R1と抵抗素子R2によって振幅が増幅された信号64となる。このとき、信号64の符号66に示す電圧(データ"1"に対応)を、N型MOSトランジスタMN1をオン状態とし、P型MOSトランジスタMP1をオフ状態とすることができる電圧とする。また、信号64の符号67に示す電圧(データ"0"に対応)を、N型MOSトランジスタMN1をオフ状態とし、P型MOSトランジスタMP1をオン状態とすることができる電圧とする。
【0044】
信号64がハイレベルの場合(データ"1"に対応)、P型MOSトランジスタMP1はオフ状態、N型MOSトランジスタMN1はオン状態となる。このとき、P型MOSトランジスタMP2のゲートとN型MOSトランジスタMN2のゲートは共に接地されるので、P型MOSトランジスタMP2はオン状態となり、N型MOSトランジスタMN2はオフ状態となる。よって、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードからは、受信データ65としてハイレベルの信号(データ"1"に対応)が出力される。このとき、ハイレベルの信号の電圧は電源線35の電圧VDDとなる。
【0045】
一方、信号64がロウレベルの場合(データ"0"に対応)、P型MOSトランジスタMP1はオン状態、N型MOSトランジスタMN1はオフ状態となる。このとき、P型MOSトランジスタMP2のゲートとN型MOSトランジスタMN2のゲートには共に電源線35の電圧VDDが供給されるので、P型MOSトランジスタMP2はオフ状態となり、N型MOSトランジスタMN2はオン状態となる。よって、P型MOSトランジスタMP2のドレインとN型MOSトランジスタMN2のドレインとが接続されているノードからは、受信データ65としてロウレベルの信号(データ"0"に対応)が出力される。このとき、ロウレベルの信号の電圧は接地電位GNDとなる。
【0046】
以上で説明したように、図5、図6に示す第3の無線機器30を用いることで、強度変調された電波43からデータBを復調することができる。
【0047】
図7は、図5に示す第3の無線機器30に要求される性能を説明するための図である。図7において、横軸は周波数(Hz)を、縦軸は第1の無線機器10から送信される電波43の電力強度(dBm)を示している。符号71は、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタの通過帯域を示している。符号72は、第3の無線機器30が受信するデータBの周波数帯域を示している。符号73は、第1の無線機器10と第2の無線機器とで送受信されるデータAの周波数帯域を示している。
【0048】
本実施の形態では、図7に示すように、第3の無線機器30が受信するデータBの周波数帯域幅(符号72)が、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタの通過帯域幅(符号71)に含まれるように、且つ、整流素子D1と容量素子C1とで構成されるローパスフィルタによって、第1の無線機器10と第2の無線機器20とで送受信されるデータAの成分が排除されるように、第3の無線機器30を構成することが好ましい。
【0049】
また、第3の無線機器30は、アンテナ33で受信した電波43を用いて電力を生成する電力生成回路を備えていてもよい。この場合、第3の無線機器30は電池を搭載する必要はなく、いわゆるパッシブ型のRFID無線タグを構成する。一方、第3の無線機器30は電池を内蔵していてもよく、この場合はいわゆるアクティブ型のRFID無線タグを構成する。
【0050】
背景技術で説明したように、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)にデータを書き込むには、一般的に専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。よって、例えば、無線ネットワーク(WLAN)環境下において、RFID用の無線タグにデータを書き込むためには、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタが必要となる。このため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入するにはコストがかかるという問題があった。
【0051】
これに対して本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器10が出力する電波43を強度変調することで、第3の無線機器30にデータBを送信している。そして、第3の無線機器30が備える復調回路31を用いて、強度変調された信号(電波43に対応)を処理することで、データBを復調している。このとき、第1の無線機器10は電波43を強度変調することができればよいので、第1の無線機器10を、簡単な回路を追加するのみで構成することができる。また、第3の無線機器30の復調回路31は、受信した電波43の強弱を検出することができればよいので、復調回路31を、例えばエンベロープ検出回路のような簡単な回路で構成することができる。
【0052】
このように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器10および第3の無線機器30に簡単な回路を追加するのみで、第1の無線機器10から第3の無線機器30にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0053】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、第1の無線機器の構成が実施の形態1で説明した第1の無線機器10(図3、図4参照)と異なる。これ以外は、実施の形態1にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0054】
図8は、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第1の無線機器110の一例を示すブロック図である。図8に示す第1の無線機器110が備える通信回路111は、変調回路115と、強度変調回路116と、信号処理部117とを含む。
【0055】
変調回路115は、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号118を生成する回路である。すなわち、変調回路115は、例えば、OFDM方式やDSSS方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに応じて変調されたベースバンド信号118を生成する。変調回路115で生成されたベースバンド信号118は、強度変調回路116に出力される。
【0056】
強度変調回路116は、例えば、乗算器で構成された振幅変調回路で構成することができる。つまり、強度変調回路116は、変調回路115で生成されたベースバンド信号118と送信対象であるデータBとを入力し、データBに応じて、変調回路115で生成されたベースバンド信号118の振幅を変調する。すなわち、第3の無線機器30に送信されるデータBがベースバンド信号118に振幅変調の成分として付加される。例えば、強度変調回路116は、データBとして"1"を送信する場合はベースバンド信号118の振幅が大きくなるように変調し、データBとして"0"を送信する場合はベースバンド信号118の振幅が小さくなるように変調する。強度変調回路116で生成された信号は信号処理部117に出力される。
【0057】
強度変調回路116から出力された信号は、第2の無線機器20に送信されるデータAと、第3の無線機器30に送信されるデータBとが重畳した信号である。このとき、変調回路115における変調処理によっても、ベースバンド信号118の強度(振幅)が変化する。よって、強度変調回路116で強度変調する際は、第1の無線機器10から第2の無線機器20への送信の妨げにならない範囲で、強度変調のオン/オフ比を高くとる必要がある。また、第1の無線機器10から第2の無線機器20に送信されるデータAのシンボルレートに対して、第3の無線機器30へ送信されるデータBのシンボルレートを遅くすることで、第3の無線機器30の復調回路31において、データAとデータBとを区別しやすくすることができる。
【0058】
信号処理部117は、強度変調回路116から出力された信号を、アンテナ113から電波42、43を用いて出力することができるように処理をする。
【0059】
図9は、図8に示した第1の無線機器110の詳細な構成を説明するためのブロック図である。図9に示すように、変調回路115は、FEC符号化部151、インターリーブ・マッピング部152、逆FFT部153、ガードインターバル付加部154、およびシンボル整形部155を備える。ここで、図9に示す変調回路115は、802.11a規格の無線LANが備える変調回路であり、例えばOFDM方式の変調方式が用いられる。
【0060】
FEC符号化部151は、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)を実施するために、予め設定されたアルゴリズムに従ってデータAに冗長性を付与する。インターリーブ・マッピング部152は、所定の周波数を中心とした一定の周波数帯域において、各チャンネルをマッピングする。逆FFT部153は、インターリーブ・マッピング部152から出力された信号を逆高速フーリエ変換する。ガードインターバル付加部154は、逆FFT部153から出力された信号にガードインターバルを付加する。ガードインターバル付加部154から出力された信号は、シンボル整形部155に入力される。このようにして、生成されたベースバンド信号118は、強度変調回路116に出力される。強度変調回路116の動作は、図8で説明した場合と同様である。
【0061】
また、図9に示すように、信号処理部117は、AD変換部156、アップコンバート部157、および増幅器158を備える。AD変換部156は、強度変調回路116から出力された信号をアナログデジタル変換する。アップコンバート部157は、AD変換部156から出力された信号(ベースバンド信号)を搬送波の周波数帯に変換(アップコンバート)する。増幅部158は、アップコンバート部157から出力された信号をアンテナ113から出力することができるレベルまで増幅する。このような処理により、アンテナ113からは、データAに応じて変調され、更にデータBに応じて強度変調された電波が出力される。
【0062】
図3、図4で説明した実施の形態1にかかる第1の無線機器10では、S/P変換部16は、変調回路15で生成されたベースバンド信号18および強度変調回路14で生成されたベースバンド信号19を入力し、これらの信号を時分割で交互に切り替えて出力していた。よって、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを時分割で送信(つまり、別々に送信)することができるので、第3の無線機器30の復調回路31において高いSN比でデータBを復調することができた。
【0063】
一方、図3、図4で説明した実施の形態1にかかる第1の無線機器10では、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを時分割で送信しているので、データAとデータBの伝送に要する時間が長くなるという問題があった。また、第1の無線機器10において、フレーム伝送手順の変更が必要となる場合があった。
【0064】
これに対して本実施の形態にかかる第1の無線機器110では、強度変調回路116において、変調回路115で生成されたベースバンド信号118の振幅を、第3の無線機器30に送信されるデータBに応じて変調することで、ベースバンド信号118にデータBを付加している。よって、本実施の形態では、第2の無線機器20へ送信するデータAと、第3の無線機器30に送信するデータBとを並列に送信することができるので、データAとデータBの伝送に要する時間を短縮することができる。また、第1の無線機器10において、フレーム伝送手順の変更は不要となる。
【0065】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、送信対象であるデータBが、第2の無線機器から第3の無線機器に直接送信される点が、実施の形態1、2と異なる。これ以外は、実施の形態1にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0066】
図10は本実施の形態にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図10に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器210と、第2の無線機器220と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)230と、を備える。
【0067】
第1の無線機器210は、通信回路211と、内部回路212と、アンテナ213と、を有する。通信回路211は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器210は、内部回路212から出力されたデータAを通信回路211が備える送信回路で処理することで、アンテナ213から電波242を用いてデータAを送信することができる。また、第1の無線機器210は、第2の無線機器220から出力された電波241をアンテナ213で受信し、受信した信号を通信回路211が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器220から送信されたデータAを復調することができる。通信回路211で復調されたデータAは、内部回路212に出力される。内部回路212は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0068】
第2の無線機器220は、強度変調回路224を備える通信回路221と、内部回路222と、アンテナ223と、を有する。通信回路221は送信回路と受信回路とを含む。第2の無線機器220は、内部回路222から出力されたデータA、Bを通信回路221が備える送信回路で処理することで、アンテナ223から電波241、243を用いてデータA、Bを送信することができる。ここで、電波241、243はアンテナ223から同時に出力される。また、第2の無線機器220は、第1の無線機器210から出力された電波242をアンテナ223で受信し、受信した信号を通信回路221が備える受信回路で処理することで、第1の無線機器210から送信されたデータAを復調することができる。通信回路221で復調されたデータAは、内部回路222に出力される。内部回路222は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0069】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路221が備える強度変調回路224を用いて、第2の無線機器220が出力する電波241、243をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器230にデータBを送信している。
【0070】
ここで、データAは、第1の無線機器210と第2の無線機器220との間で送受信されるデータである。また、データBは、第2の無線機器220から第3の無線機器230へ送信されるデータである。
【0071】
第1の無線機器210と第2の無線機器220は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器210はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器220はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0072】
第3の無線機器230は、復調回路231と、内部回路232と、アンテナ233と、を有する。第3の無線機器230は、第2の無線機器220から出力された電波243をアンテナ233で受信し、受信した信号を復調回路231で処理することで第2の無線機器220から送信されたデータBを復調することができる。復調回路231で復調されたデータBは、内部回路232に出力される。すなわち、第2の無線機器220から出力された電波243は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路231を用いてこの強度変調された信号を復調することで、電波243からデータBを抽出することができる。内部回路232は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば受信したデータを格納できるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0073】
次に、図11を用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図11では、第2の無線機器220から第3の無線機器230に送信対象であるデータB("10100")が直接送信される場合を示している。図11に示すように、第2の無線機器220が備える内部回路222は、第1の無線機器210に送信されるデータAと、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を通信回路221に出力する。通信回路221は、第1の無線機器210に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路221は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、データAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図11に示すように、通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて、第2の無線機器220から出力される電波241、243を強度変調する。
【0074】
このようにして、第2の無線機器220は、第1の無線機器210に送信されるデータAと第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を、電波241、243を用いて送信することができる。ここで、電波241と電波243は同一の電波であり、便宜上、第1の無線機器210で受信される電波を電波241と、第3の無線機器230で受信される電波を電波243と示している。このとき、第1の無線機器210に送信されるデータAと第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0075】
第1の無線機器210は、第2の無線機器220から出力された電波241をアンテナ213を用いて受信する。そして、受信した信号を通信回路211で復調し、第2の無線機器220から送信されたデータAを内部回路212に出力する。すなわち、通信回路211は、第2の無線機器220で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第2の無線機器220から送信されたデータAを取得することができる。
【0076】
第3の無線機器230は、第2の無線機器220から出力された電波243をアンテナ233を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路231で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路232に出力する。すなわち、第2の無線機器220の通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて電波243を強度変調しているので、第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波243の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0077】
第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器230としてRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")を、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いて送信することで、第3の無線機器230における復調回路231を比較的簡単な構成とすることができる。
【0078】
なお、図11に示した例では、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータB("10100")を送信する際に、第2の無線機器220から第1の無線機器210にデータAを送信する例を示した。しかし、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第2の無線機器220から第1の無線機器210にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路221は、第3の無線機器230に送信されるデータB("10100")に応じて電波241、243を強度変調すればよく、このとき電波241、243にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波241、243として出力される。
【0079】
例えば、本実施の形態では、図3、図4に示した第1の無線機器10(実施の形態1参照)を用いて、第2の無線機器220を構成してもよい。また、本実施の形態では、図8、図9に示した第1の無線機器110(実施の形態2参照)を用いて、第2の無線機器220を構成してもよい。また、本実施の形態では、図5、図6に示した第3の無線機器30(実施の形態1参照)を用いて、第3の無線機器230を構成してもよい。これらの構成および動作は、実施の形態1、2で説明した構成および動作と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0080】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第2の無線機器220が出力する電波243を強度変調することで、第3の無線機器230にデータBを送信している。そして、第3の無線機器230が備える復調回路231を用いて、強度変調された信号(電波243に対応)を処理することで、データBを復調している。このとき、第2の無線機器220は電波243を強度変調することができればよいので、第2の無線機器220を、簡単な回路を追加するのみで構成することができる。また、第3の無線機器230の復調回路231は、受信した電波243の強弱を検出することができればよいので、復調回路231を、例えばエンベロープ検出回路のような簡単な回路で構成することができる。
【0081】
このように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第2の無線機器220および第3の無線機器230に簡単な回路を追加するのみで、第2の無線機器220から第3の無線機器230にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0082】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態では、第3の無線機器がデータBを受信すると共に、所定のデータCを第2の無線機器に送信する点が、実施の形態1乃至3と異なる。これ以外は、実施の形態1乃至3にかかる無線通信システムと同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。なお、本実施の形態では、第3の無線機器に送信されるデータが第1の無線機器を経由して送信される場合(実施の形態1参照)を例として説明するが、第3の無線機器に送信されるデータが第2の無線機器から直接送信される場合(実施の形態3参照)についても同様に適用することができる。
【0083】
図12は本実施の形態にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図4に示すように本実施の形態にかかる無線通信システムは、第1の無線機器310と、第2の無線機器320と、第3の無線機器(RFID用の無線タグに対応する)330と、を備える。
【0084】
第1の無線機器310は、強度変調回路314を備える通信回路311と、内部回路312と、アンテナ313と、を有する。通信回路311は送信回路と受信回路とを含む。第1の無線機器310は、内部回路312から出力されたデータA、Bを通信回路311が備える送信回路で処理することで、アンテナ313から電波を用いてデータA、Bを送信することができる。また、第1の無線機器310は、第2の無線機器320から出力された電波をアンテナ313で受信し、受信した信号を通信回路311が備える受信回路で処理することで、第2の無線機器320から送信されたデータA、Bを復調することができる。通信回路311で復調されたデータA、Bは、内部回路312に出力される。内部回路312は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0085】
本実施の形態にかかる無線通信システムでは、通信回路311が備える強度変調回路314を用いて、第1の無線機器310が出力する電波をデータBに応じて強度変調(振幅変調)することで、第3の無線機器330にデータBを送信している。
【0086】
第2の無線機器320は、送信回路321と、分離復調回路(受信回路)322と、内部回路323と、アンテナ324と、を有する。第2の無線機器320は、内部回路323から出力されたデータA、Bを送信回路321で処理することで、アンテナ323からデータA、Bを送信することができる。また、分離復調回路322は、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCとを分離すると共に、これらのデータをそれぞれ復調する。分離復調回路322で復調されたデータAおよびデータCは、内部回路323に出力される。内部回路323は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えば送信対象となるデータを生成することができるデータ生成回路や、受信したデータを格納することができるデータ格納部等を備えていてもよい。
【0087】
ここで、データA(第1のデータ)は、第1の無線機器310と第2の無線機器320との間で送受信されるデータである。データB(第2のデータ)は、第2の無線機器320から第1の無線機器310を経由して第3の無線機器330へ送信されるデータである。データC(第3のデータ)は、第3の無線機器330から第2の無線機器320に送信されるデータである。本実施の形態における無線通信システムでは、データAとデータBの送信は同時に実施することができる。また、データAとデータCの送信は同時に実施することができる。一方、データBとデータCの送信は同時に実施することはできない。
【0088】
また、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、所定の無線規格の無線ネットワーク(WLAN)を構成しており、例えば第1の無線機器310はWLAN基地局(WLAN親機)であり、第2の無線機器320はWLAN端末(WLAN子機)とすることができる。なお、本実施の形態にかかる無線通信システムはWLANに限定されるものではなく、WLAN以外にもBluetooth(登録商標)や携帯電話などの既存の無線規格の機器に対しても広く適用することができる。
【0089】
第3の無線機器330は、復調回路331と、変調回路332と、内部回路333と、アンテナ334と、を有する。第3の無線機器330は、第1の無線機器310から出力された電波をアンテナ334で受信し、受信した信号を復調回路331で処理することで第1の無線機器310から送信されたデータBを復調することができる。復調回路331で復調されたデータBは、内部回路333に出力される。すなわち、第1の無線機器310から出力された電波は、データBに応じて強度変調(振幅変調)されているので、復調回路331を用いてこの強度変調された信号を復調することでデータBを抽出することができる。
【0090】
また、第3の無線機器330が備える変調回路332は、第1の無線機器310から出力された電波をアンテナ334で受信し、この受信した信号を送信対象であるデータCに応じて変調する。変調回路332で変調された信号は、アンテナ334から第2の無線機器320に出力される。内部回路333は、任意の処理を実施可能な回路であり、例えばデータBを格納できるデータ格納部やデータCを生成できるデータ生成部等を備えていてもよい。
【0091】
図13は、本実施の形態にかかる無線通信システムで用いられる第3の無線機器330の一例を示す回路図である。図13に示す第3の無線機器330では、変調回路332として負荷変調回路を備えている。しかし、本実施の形態にかかる発明では、変調回路332は負荷変調回路に限定されることはなく、他の変調回路を用いてもよい。
【0092】
図13に示すように、第3の無線機器330は、復調回路331と、変調回路332と、内部回路333と、アンテナ334と、送受信切り替え回路335と、を備える。ここで、復調回路331は、図5、図6で説明した第3の無線機器30が備える復調回路31と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し重複した説明は省略する。
【0093】
送受信切り替え回路335は、制御回路(不図示)から出力された送受信切り替え信号に応じて、アンテナ334と復調回路331とを接続する場合と、アンテナ334と変調回路332とを接続する場合とを切り替える。つまり、送受信切り替え回路335は、第3の無線機器330がデータBを受信する場合は、アンテナ334と復調回路331とを接続する。また、送受信切り替え回路335は、第3の無線機器330がデータCを送信する場合は、アンテナ334と変調回路332とを接続する。
【0094】
変調回路332は、容量素子C3、C4とN型MOSトランジスタMN3とを備える。容量素子C3の一端および容量素子C4の一端は、共にアンテナ334と接続されるノードと接続されている。また、容量素子C3の他端は接地されている。また、N型MOSトランジスタMN3のドレインは容量素子C4の他端と接続され、ソースは接地されている。N型MOSトランジスタMN3のゲートにはデータCに応じた信号が供給される。図13に示す変調回路332は負荷変調回路である。つまり、アンテナ334で受信した信号(第1の無線機器310から出力された電波に対応する)に対するマッチングをデータCに応じて変化させることで、アンテナ334からデータCを送信することができる。第3の無線機器330の詳細な動作については後述する。
【0095】
次に、図14A、図14Bを用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図14A、図14Bは、第2の無線機器320から第3の無線機器330に送信対象であるデータB("10100")が送信される場合を示している。まず、図14Aに示すように、第2の無線機器320の内部回路323から送信回路321に送信対象であるデータB("10100")が出力される。送信回路321は、送信対象であるデータB("10100")を無線送信できるように処理する。送信回路321で処理されたデータB("10100")は、アンテナ324から電波341を用いて送信される。
【0096】
第1の無線機器310は、第2の無線機器320から出力された電波341をアンテナ313を用いて受信する。そして、第1の無線機器310は、受信した信号を通信回路311で復調し、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を内部回路312に出力する。内部回路312は、通信回路311から出力されたデータB("10100")を一時的に格納する。例えば、データB("10100")は、内部回路312が備えるデータ格納部に一時的に格納される。ここで、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、一般的な無線規格の無線ネットワークを構成しており、第2の無線機器320から第1の無線機器310にデータB("10100")を送信する際も、一般的な無線規格の通信方式(所定の変調方式)を用いて送信される。
【0097】
次に、図14Bに示すように、第1の無線機器310が備える内部回路312は、第2の無線機器320に送信されるデータAと、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を通信回路311に出力する。通信回路311は、第2の無線機器320に送信されるデータAを無線送信できるように処理する。すなわち、通信回路311は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式やDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式などの変調方式を用いて、第2の無線機器20に送信されるデータAに基づきベースバンド信号を変調する。また、図14Bに示すように、通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて、第1の無線機器310から出力される電波342、343を強度変調する。
【0098】
このようにして、第1の無線機器310は、第2の無線機器320に送信されるデータAと第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を、電波342、343を用いて送信することができる。ここで、電波342と電波343は同一の電波であり、便宜上、第2の無線機器320で受信される電波を電波342と、第3の無線機器330で受信される電波を電波343と示している。このとき、第2の無線機器320に送信されるデータAと第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")は、直列伝送(例えば、時分割伝送)されてもよく、また並列伝送されてもよい。
【0099】
第2の無線機器320は、第1の無線機器310から出力された電波342をアンテナ324を用いて受信する。そして、受信した信号を分離復調回路322で復調し、第1の無線機器310から送信されたデータAを内部回路323に出力する。すなわち、分離復調回路322は、第1の無線機器310で用いられた変調方式(例えば、OFDM方式やDSSS方式など)に応じて、受信した信号を復調することで、第1の無線機器310から送信されたデータAを取得することができる。
【0100】
第3の無線機器330は、第1の無線機器310から出力された電波343をアンテナ334を用いて受信する。そして、受信した信号を復調回路331で復調し、復調されたデータB("10100")を内部回路333に出力する。このとき、図13に示した送受信切り替え回路335は、アンテナ334と復調回路331とを接続している。すなわち、第1の無線機器310の通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて電波343を強度変調しているので、第3の無線機器330の復調回路331は、受信した電波343の強弱(つまり、振幅の大小)を検出することで、データB("10100")を復調することができる。ここで、受信した電波343の強弱の検出には、例えばエンベロープ検出回路を用いることができる。
【0101】
第3の無線機器330の復調回路331は、受信した電波343の強弱を検出することができればよいので、簡単な回路で構成することができる。本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第3の無線機器330はRFID用の無線タグのような比較的シンプルな回路を想定している。よって、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")を、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いて送信することで、第3の無線機器330における復調回路331を比較的簡単な構成とすることができる。
【0102】
なお、図14Aに示した例では、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を、第1の無線機器310が備える内部回路312に一時的に格納する例を示した。しかし、本実施の形態では、第2の無線機器320から送信されたデータB("10100")を内部回路312に出力しないように構成してもよい。つまり、通信回路311において、データB("10100")を復調した後、復調後のデータB("10100")を内部回路312に出力することなく、通信回路311においてデータB("10100")に応じて電波342、343を強度変調するように構成してもよい。
【0103】
また、図14Bに示した例では、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータB("10100")を送信する際に、第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAを送信する例を示した。しかし、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータB("10100")を送信する際、必ずしも第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAを送信する必要はない。つまり、通信回路311は、第3の無線機器330に送信されるデータB("10100")に応じて電波342、343を強度変調すればよく、このとき電波342、343にデータAが含まれていなくてもよい(つまり、OFDM方式やDSSS方式等の変調がされてなくてもよい)。この場合は、例えば、強度変調された搬送波が電波342、343として出力される。
【0104】
更に、図15、図16を用いて、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作について説明する。図15は、第3の無線機器330から第2の無線機器320にデータC("11100")が送信される場合を示している。このとき、第1の無線機器310から第2の無線機器320にデータAも送信される。
【0105】
図15に示す場合においても、第1の無線機器310と第2の無線機器320は無線ネットワーク(WLAN)を構成している。このとき、第1の無線機器310と第2の無線機器320は規格に準拠した変調要素を備える電波351を用いて通信ができるように構成されている。そして、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、電波351に対する外乱として働く電波353を第3の無線機器330が送信することで、第3の無線機器330から第2の無線機器320にデータCを送信している。以下、詳細に説明する。
【0106】
図16は、第2の無線機器320が受信する電波(電波351と電波353)のビット誤り率を説明するための図である。第3の無線機器330からのデータ送信がない場合は、電波351は第3の無線機器330から送信された電波353の影響を受けない。つまりこの場合は、第3の無線機器330から送信された電波353が電波351に対する外乱として働かないため、図16に示すようにビット誤り率は上昇しない。よって、第1の無線機器310と第2の無線機器320は、図16に示す低いビット誤り率361で通信することができる。そして、第2の無線機器320は電波351をアンテナ324で受信し、分離復調回路322は第1の無線機器310から送信されたデータAを復調する。
【0107】
次に、第3の無線機器330がデータCを送信する場合について説明する。まず、第3の無線機器330は第1の無線機器310から出力された電波352を受信する。また、内部回路333は送信対象であるデータC("11100")を変調回路332に出力する。そして、変調回路332はデータC("11100")に応じて、受信した電波352を負荷変調し、変調後の信号を電波353として出力する(この動作を反射ともいう)。
【0108】
第3の無線機器330がデータC("11100")を送信する場合、図16に示すように電波351は第3の無線機器330から送信された電波353の影響を受ける。よって、この場合は、第3の無線機器330から送信された電波353が電波351に対する外乱として働くため、図16の符号362に示すようにビット誤り率が上昇する。
【0109】
すなわち、第3の無線機器330において負荷変調することで出力された電波353は、第1の無線機器351から送信された電波を撹乱して受信SN比を低下させるため、ビット誤り率を上昇させる。つまり、第3の無線機器330においてon/offキーイングの負荷変調をかければ、図16に示すようにビット誤り率の時間変動を用いてデータC("11100")を送信することができる。そして、第2の無線機器320の分離復調回路322においてこのビット誤り率の変動を検出することで、第3の無線機器330から送信されたデータC("11100")を復調することができる。
【0110】
なお、この時のビット誤り率362は、第1の無線機器310と第2の無線機器320の通信に悪影響を及ぼさないように、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内としている。つまり、ビット誤り率361とビット誤り率362は、共にビット誤り率の無線規格値よりも低い値となるようにしている。一般的に、通信環境は常に変化し様々な外乱(反射波)が混入するため、このような外乱に対する通信のロバストネスが保障されるように無線規格が策定される。
【0111】
第2の無線機器320は電波351および電波353をアンテナ324で受信する。そして、分離復調回路322は、受信したこれらの電波に含まれている第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータC("11100")を分離すると共に、これらのデータを復調する。
【0112】
ここで、第1の無線機器310が送信するデータAは、第1の無線機器310と第2の無線機器320の規格に準拠した変調要素を備える電波(つまり、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波)を用いて伝送される。一方、第3の無線機器330が送信するデータCは、第2の無線機器320が受信した電波351、353におけるビット誤り率の変化(つまりビット誤り率の高低)を用いて伝送される。
【0113】
この時、第2の無線機器320が受信した電波のビット誤り率の変化の周期(つまりビット誤り率の変調周期)は、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波351の変調周期よりも遅い。よって、分離復調回路322を用いて、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを分離することができる。
【0114】
例えば、分離復調回路322はローパスフィルタ(LPF)を有し、当該ローパスフィルタ(LPF)を用いることで、ビット誤り率の変調周期が遅いデータCを分離することができる。また、例えば分離復調回路322はバンドパスフィルタ(BPF)を備えていてもよく、この場合もバンドパスフィルタ(BPF)を用いることで、ビット誤り率の変調周期が遅いデータCを分離することができる。ここで、バンドパスフィルタ(BPF)は、ローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)を組み合わせることで構成することができる。このとき、ハイパスフィルタ(HPF)を用いることで、変調周期がデータCの変動周期よりも遅い環境電波の変動成分をデータCから除去することができる。なお、分離復調回路322はアナログ信号に対するフィルタ回路でもよく、またA/D変換後のデジタル信号に対するフィルタ回路であってもよい。
【0115】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第3の無線機器の他の例について、図17を用いて説明する。図17に示す第3の無線機器330'は、復調回路331と、変調回路332と、センサ制御回路337と、センサ338とを備える。ここで、センサ制御回路337とセンサ338は、図12等に示す内部回路333に対応している。なお、図17に示す第3の無線機器330'が備える復調回路331および変調回路332は、図12等に示した復調回路331および変調回路332と同様の構成および動作であるので、重複した説明は省略する。
【0116】
センサ338は、例えば人の体温を測定する温度センサ、人の血圧を測定する圧力センサ等である。例えば、温度センサが内蔵された第3の無線機器330'を被測定対象に貼り付け、被測定対象の温度情報を無線送信し無線ネットワークで受信することで、被測定対象の温度を逐次チェックすることができる。なお、センサ338は温度センサ、圧力センサに限定されることはなく、所定のデータを取得できるセンサであればどのようなセンサであってもよい。
【0117】
センサ制御回路337は、センサ338を制御するための制御信号339を生成し、この制御信号339をセンサ338に出力する。例えば、第2の無線機器320から送信されたデータBはセンサ338の制御情報に関するデータであり、センサ制御回路337は、データBに応じてセンサ338を制御することができる。例えば、データBは、センサ338の測定の開始や停止を指示するための信号、センサ338の測定の間隔を設定するための信号、センサ338に再測定を指示するための信号等である。
【0118】
例えば、第2の無線機器320で受信したセンサ338の測定結果(データC)にエラーがあった場合、第2の無線機器から第3の無線機器330'にセンサ338での再測定を指示する信号をデータBとして送信することで、第2の無線機器320は正確な測定結果(データC)を取得することができる。
【0119】
次に、本実施の形態にかかる無線通信システムが備える第2の無線機器の他の例について、図18を用いて説明する。図18に示す第2の無線機器320'は、送信回路321と、内部回路323と、受信回路327と、プロトコル処理部328と、アンテナ324とを有し、この構成は既存の無線機器と同様である。そして、第2の無線機器320'のプロトコル処理部328が上記分離復調回路322として動作するように、プロトコル処理部328に対してソフトウェア処理を施す。このように、プロトコル処理部328に対してソフトウェア処理を施すことで、図12に示した第2の無線機器320を既存の無線機器を用いて構成することができる。なお、本実施の形態では図18に示すプロトコル処理部の一部をハードウェアで構成してもよく、この場合はプロトコル処理部のハードウェアで構成した部分以外にソフトウェア処理を施すことで第2の無線機器320'を構成することができる。
【0120】
つまり、第1の無線機器310が送信するデータAは、第1の無線機器310と第2の無線機器320の規格に準拠した変調要素を備える電波(つまり、規格に準拠した搬送波周波数を備える電波)を用いて伝送される。一方、第3の無線機器330が送信するデータCは、第2の無線機器320が受信した電波におけるビット誤り率の変化(つまりビット誤り率の高低)を用いて伝送される。そして、プロトコル処理部328に対して、第1の無線機器310が送信するデータA(つまり、規格に準拠した搬送波周波数で送信されるデータ)と第3の無線機器330が送信するデータC(つまり、所定の変調周波数で変調されたビット誤り率を用いて送信されるデータ)をそれぞれ分離し復調するようにソフトウェア処理を施すことで、第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを得ることができる。プロトコル処理部328におけるこのような処理はベースバンドドメインで行なわれている。
【0121】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、データBを第3の無線機器330に送信する際に、比較的簡単な変調方式である強度変調を用いているので、第1の無線機器310および第3の無線機器330に簡単な回路を追加するのみで、第1の無線機器310から第3の無線機器330にデータBを送信することができる。よって、RFID用の無線タグにデータを書き込むために、無線ネットワークと有線または無線で接続された専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がないため、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することができる。
【0122】
更に、本実施の形態にかかる無線通信システムでは、第1の無線機器310と第2の無線機器320とで構成される無線ネットワーク環境下において、第3の無線機器330が、送信対象であるデータCに応じて変調された電波353を出力している。ここで、変調された電波353は第1の無線機器310から送信された電波351に対する外乱として働く。そして、第2の無線機器320の分離復調回路322において、電波351に対する外乱の有無を用いて第1の無線機器310から送信されたデータAと第3の無線機器330から送信されたデータCを分離し、復調している。
【0123】
このような構成を備える本実施の形態にかかる無線通信システムでは、RFID用の無線タグ(第3の無線機器330)が保持するデータを読み出すために、専用のRFIDリーダ・ライタを設ける必要がない。よって、本実施の形態にかかる発明により、無線ネットワーク環境にRFID技術を利用したシステムを導入する際のコストを低減することが可能な無線通信システムを提供することができる。
【0124】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0125】
10 第1の無線機器
11 通信回路
12 内部回路
13 アンテナ
14 強度変調回路
20 第2の無線機器
21 通信回路
22 内部回路
23 アンテナ
30 第3の無線機器
31 復調回路
32 内部回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器と、
前記第1の無線機器から出力された第2のデータを受信可能な第3の無線機器と、を備え、
前記第1の無線機器は、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波を用いて前記第1のデータを前記第2の無線機器に送信すると共に、前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調することで前記第2のデータを前記第3の無線機器に送信する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第2のデータは、前記第2の無線機器から前記第1の無線機器に送信された後、前記第1の無線機器から前記第3の無線機器に送信される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の無線機器は前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調する強度変調回路を備える、請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第3の無線機器は、前記強度変調された第1の電波から前記第2のデータを復調するための復調回路を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の無線機器は、
前記第2の無線機器に送信する第1のデータに応じて変調された第1のベースバンド信号を生成する変調回路と、
前記第3の無線機器に送信する第2のデータに応じて強度変調された第2のベースバンド信号を生成する強度変調回路と、
前記第1および第2のベースバンド信号を時分割で交互に切り替えて出力する変換部と、
前記変換部から出力された信号を搬送波の周波数帯に変換する信号処理部と、を備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の無線機器は、
前記第2の無線機器に送信する第1のデータに応じて変調された第1のベースバンド信号を生成する変調回路と、
前記第3の無線機器に送信する第2のデータに応じて前記第1のベースバンド信号の振幅を強度変調する強度変調回路と、
前記強度変調回路から出力された信号を搬送波の周波数帯に変換する信号処理部と、を備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第3の無線機器が備える復調回路は、
前記第2のデータが含まれる強度変調された信号を整流する整流素子と、当該整流素子で整流された信号を平滑化する容量素子と、を備えた平滑回路と、
前記平滑回路から出力された信号のうち、ハイレベルの信号を第1の電位の信号とし、ロウレベルの信号を第2の電位の信号とすることで2値のデジタル信号を生成する振幅制限回路と、を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第3の無線機器は、当該第3の無線機器から前記第2の無線機器に送信する第3のデータに応じて、前記第1の無線機器から出力された第1の電波を変調し、当該変調後の電波を第2の電波として出力し、
前記第2の無線機器は、前記第1の無線機器から出力された第1の電波と前記第3の無線機器から出力された第2の電波とを受信し、前記第2の電波が前記第1の電波に対して外乱として働くことで生じるビット誤り率の変動に基づき、前記第2の電波に含まれている第3のデータを復調する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第3の無線機器は、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内で前記第1の電波のビット誤り率を変化させる前記第3の電波を出力する、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1のデータを伝送するビット誤り率の変調周期は、前記第3のデータを伝送する前記第2の電波の変調周期よりも遅い、請求項8または9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第3の無線機器は、送信対象である前記第3のデータを取得するためのセンサを備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第3の無線機器が備える前記センサは、前記第2のデータに基づいて制御される、請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器を備える無線ネットワークにおいて、第3の無線機器に第2のデータを送信する無線通信方法であって、
前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調されると共に、前記第2のデータに応じて強度変調された第1の電波を前記第1の無線機器から出力し、
前記第2の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第1のデータを復調し、
前記第3の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第2のデータを復調する、
無線通信方法。
【請求項14】
送信対象である第3のデータに応じて無線ネットワークで用いられている電波に外乱を与える電波を生成する変調回路と、
受信対象である第2のデータに応じて強度変調された前記無線ネットワークで用いられている電波から前記第2のデータを復調する復調回路と、
を備える無線機器。
【請求項15】
前記復調回路は、
前記第2のデータが含まれる強度変調された信号を整流する整流素子と、当該整流素子で整流された信号を平滑化する容量素子と、を備えた平滑回路と、
前記平滑回路から出力された信号のうち、ハイレベルの信号を第1の電位の信号とし、ロウレベルの信号を第2の電位の信号とすることで2値のデジタル信号を生成する振幅制限回路と、を有する、
請求項14に記載の無線機器。
【請求項16】
前記変調回路は、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内で前記電波のビット誤り率を変化させる電波を出力する、請求項14または15に記載の無線機器。
【請求項17】
前記第3のデータを伝送するビット誤り率の変調周期は、前記無線ネットワークで送受信されているデータを伝送する電波の変調周期よりも遅い、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項18】
送信対象である前記第3のデータを取得するためのセンサを更に備える、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項19】
前記センサは、前記第2のデータに基づいて制御される、請求項18に記載の無線機器。
【請求項1】
第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器と、
前記第1の無線機器から出力された第2のデータを受信可能な第3の無線機器と、を備え、
前記第1の無線機器は、前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調された第1の電波を用いて前記第1のデータを前記第2の無線機器に送信すると共に、前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調することで前記第2のデータを前記第3の無線機器に送信する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第2のデータは、前記第2の無線機器から前記第1の無線機器に送信された後、前記第1の無線機器から前記第3の無線機器に送信される、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の無線機器は前記第2のデータに応じて前記第1の電波を強度変調する強度変調回路を備える、請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第3の無線機器は、前記強度変調された第1の電波から前記第2のデータを復調するための復調回路を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の無線機器は、
前記第2の無線機器に送信する第1のデータに応じて変調された第1のベースバンド信号を生成する変調回路と、
前記第3の無線機器に送信する第2のデータに応じて強度変調された第2のベースバンド信号を生成する強度変調回路と、
前記第1および第2のベースバンド信号を時分割で交互に切り替えて出力する変換部と、
前記変換部から出力された信号を搬送波の周波数帯に変換する信号処理部と、を備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の無線機器は、
前記第2の無線機器に送信する第1のデータに応じて変調された第1のベースバンド信号を生成する変調回路と、
前記第3の無線機器に送信する第2のデータに応じて前記第1のベースバンド信号の振幅を強度変調する強度変調回路と、
前記強度変調回路から出力された信号を搬送波の周波数帯に変換する信号処理部と、を備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第3の無線機器が備える復調回路は、
前記第2のデータが含まれる強度変調された信号を整流する整流素子と、当該整流素子で整流された信号を平滑化する容量素子と、を備えた平滑回路と、
前記平滑回路から出力された信号のうち、ハイレベルの信号を第1の電位の信号とし、ロウレベルの信号を第2の電位の信号とすることで2値のデジタル信号を生成する振幅制限回路と、を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第3の無線機器は、当該第3の無線機器から前記第2の無線機器に送信する第3のデータに応じて、前記第1の無線機器から出力された第1の電波を変調し、当該変調後の電波を第2の電波として出力し、
前記第2の無線機器は、前記第1の無線機器から出力された第1の電波と前記第3の無線機器から出力された第2の電波とを受信し、前記第2の電波が前記第1の電波に対して外乱として働くことで生じるビット誤り率の変動に基づき、前記第2の電波に含まれている第3のデータを復調する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第3の無線機器は、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内で前記第1の電波のビット誤り率を変化させる前記第3の電波を出力する、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1のデータを伝送するビット誤り率の変調周期は、前記第3のデータを伝送する前記第2の電波の変調周期よりも遅い、請求項8または9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第3の無線機器は、送信対象である前記第3のデータを取得するためのセンサを備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第3の無線機器が備える前記センサは、前記第2のデータに基づいて制御される、請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
第1のデータを互いに送受信可能な第1の無線機器および第2の無線機器を備える無線ネットワークにおいて、第3の無線機器に第2のデータを送信する無線通信方法であって、
前記第1のデータに応じて所定の変調方式で変調されると共に、前記第2のデータに応じて強度変調された第1の電波を前記第1の無線機器から出力し、
前記第2の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第1のデータを復調し、
前記第3の無線機器において前記第1の電波を受信し、当該第1の電波に含まれている第2のデータを復調する、
無線通信方法。
【請求項14】
送信対象である第3のデータに応じて無線ネットワークで用いられている電波に外乱を与える電波を生成する変調回路と、
受信対象である第2のデータに応じて強度変調された前記無線ネットワークで用いられている電波から前記第2のデータを復調する復調回路と、
を備える無線機器。
【請求項15】
前記復調回路は、
前記第2のデータが含まれる強度変調された信号を整流する整流素子と、当該整流素子で整流された信号を平滑化する容量素子と、を備えた平滑回路と、
前記平滑回路から出力された信号のうち、ハイレベルの信号を第1の電位の信号とし、ロウレベルの信号を第2の電位の信号とすることで2値のデジタル信号を生成する振幅制限回路と、を有する、
請求項14に記載の無線機器。
【請求項16】
前記変調回路は、ビット誤り率の無線規格値よりも低い範囲内で前記電波のビット誤り率を変化させる電波を出力する、請求項14または15に記載の無線機器。
【請求項17】
前記第3のデータを伝送するビット誤り率の変調周期は、前記無線ネットワークで送受信されているデータを伝送する電波の変調周期よりも遅い、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項18】
送信対象である前記第3のデータを取得するためのセンサを更に備える、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の無線機器。
【請求項19】
前記センサは、前記第2のデータに基づいて制御される、請求項18に記載の無線機器。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−90080(P2013−90080A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227730(P2011−227730)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]