説明

無線通信システム

【課題】 ビル内や地下街等においても精度の高い端末の位置情報を確実に取得することができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】 基地局装置1と、基地局装置に接続する中継局装置2と、中継局装置2に接続すると共に移動可能な端末装置9と無線通信を行う複数のアンテナ装置3とを備えた無線通信システムにおいて、アンテナ装置3又は中継局装置2が、受信した上り信号を復調して、上り信号に含まれる端末装置の識別番号を取得する復調部33と、取得された端末装置9の識別番号に、当該上り信号を端末装置9から受信したアンテナ装置3の識別番号を付加して基地局装置1宛に送信する合成部35とを備えた無線通信システムとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、ビル内や地下街等の不感地帯における端末装置の位置を特定することができ、利便性を向上させることができる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
携帯電話システム等の無線通信基地局の不感地帯における対策として、電線や光ファイバ等の有線伝送線路で基地局装置に接続して基地局装置からの信号を中継する中継機と、中継機と有線伝送線路で接続されて不感地帯に設置され、無線端末との無線通信を行う複数の送受信装置を備えた無線通信システムがある。
【0003】
このような無線通信システムとしては、例えば、基地局に接続する中継器に複数の送受信装置が接続するマルチドロップ型のシステムや、基地局からの信号を光信号に変換して、光ファイバを用いて中継機を介して複数の子機(送受信装置)に伝送するスター型やチェーン型の光伝送システムがある。
【0004】
[従来の無線通信システムにおける端末の位置検出:図4]
ここで、従来の無線通信システムにおける端末の位置検出について図4を用いて説明する。図4は、従来の無線通信システムにおける端末の位置検出を示す模式説明図であり、(a)は基地局装置単位での位置検出を示す説明図であり、(b)はPHSシステムにおける位置検出を示す説明図である。
図4(a)に示すように、携帯端末9の位置情報は、基地局装置(BTS)13によって管理されているため、どの基地局装置13のエリアにいるのか、基地局装置単位で認識することは可能である。図4(a)の例では、携帯端末9は、BTS13aのエリア内に存在し、BTS13bのエリアには存在しないことがわかる。
しかし、通常、基地局装置がカバーするサービスエリアは広大であり、サービスエリア内での位置特定は不可能であるため、詳細な位置情報は取得できない。図4(a)の例では、携帯端末9は、広大なBTS13aのサービスエリア内のどこにいるのかまではわからない。
【0005】
また、複数(例えば3台)の基地局装置13から携帯端末9までの距離をそれぞれ測定して、各基地局装置13の位置情報と測定した距離とに基づいて携帯端末9の位置を特定する方法もあった。
しかし、基地局装置13からの電波が到達しない不感地帯においては距離の測定も不可能である。
【0006】
また、図4(b)に示すように、PHS(Personal Handy phone System)システムでは、基地局装置(BTS)15のサービスエリアが携帯電話システムの基地局装置13に比べて微小であるため、基地局装置単位で端末を認識することで高精度な位置情報の取得が可能である。図4(b)の例では、携帯端末9は、BTS15bのエリアという狭い範囲内に存在することがわかる。
しかし、サービスエリアが微小であるため広範囲のサービス提供を行うには、多数の基地局装置15が必要となり、運用面でコストやメンテナンス等の問題がある。
【0007】
更に、最近では、GPS(Global Positioning System)を用いた位置情報の取得も実用化されているものの、GPS衛星からの信号(時報)が受信できない地下街等では機能しない。
【0008】
[関連技術]
尚、無線通信システムに関する技術としては、特開2010−219847号公報「無線通信装置」(出願人:株式会社日立国際電気、特許文献1)がある。
特許文献1には、上位装置に接続するスレーブポートで受信信号の復号以上を検出すると、アンテナからの無線信号の出力及びマスタポートからの下位装置への伝送を停止させて、大電力のノイズによって当該装置及び下位装置の無線部が破壊されるのを防ぐ無線通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−219847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の無線通信システムでは、ビル内や地下街等において精度の高い端末の位置情報を確実に取得することは困難であるという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたもので、ビル内や地下街等においても精度の高い端末の位置情報を確実に取得することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基地局装置と、基地局装置と有線で接続する中継局装置と、中継局装置に有線で接続すると共に移動可能な端末装置と無線通信を行う複数のアンテナ装置とを備え、複数のアンテナ装置で受信された端末装置からの上り信号を、中継局装置で合成して基地局装置に送信する無線通信システムであって、アンテナ装置又は中継局装置が、受信した上り信号を復調して、上り信号に含まれる端末装置の識別番号を取得する復調部と、取得された端末装置の識別番号に、当該上り信号を端末装置から受信したアンテナ装置の識別番号を付加して基地局装置宛に送信する合成部とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基地局装置と、基地局装置と有線で接続する中継局装置と、中継局装置に有線で接続すると共に移動可能な端末装置と無線通信を行う複数のアンテナ装置とを備え、複数のアンテナ装置で受信された端末装置からの上り信号を、中継局装置で合成して基地局装置に送信する無線通信システムであって、アンテナ装置又は中継局装置が、受信した上り信号を復調して、上り信号に含まれる端末装置の識別番号を取得する復調部と、取得された端末装置の識別番号に、当該上り信号を端末装置から受信したアンテナ装置の識別番号を付加して基地局装置宛に送信する合成部とを備えた無線通信システムとしているので、端末装置がどのアンテナ装置のエリア内に存在するか特定することができ、ビル内や地下街でも精度の高い位置検出ができ、システム側において予め各アンテナ装置の位置の情報を記憶しておけば、情報提供サービス等に利用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る無線通信システムの一例であるマルチドロップ型システムを示す概略構成図である。
【図2】本システムのアンテナ装置3の構成及び上り信号受信時の動作を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る別の無線通信システムの構成例である。
【図4】従来の無線通信システムにおける端末の位置検出を示す模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、基地局装置と中継局装置と複数のアンテナ装置とを備え、アンテナ装置が、予め自己の識別番号を記憶しておき、携帯端末からの無線信号を受信すると、受信信号を復調して当該携帯端末の識別番号を取り出し、自己の識別番号と携帯端末の識別番号とを対応付けて上位装置である中継局装置に送信するものであり、携帯端末の位置をアンテナ装置のサービスエリア範囲内に特定することができ、精度の高い位置情報を取得することができ、利便性を向上させることができるものである。
【0016】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、中継局装置が、受信ポート番号と各アンテナ装置の識別番号とを対応付けて記憶しておき、アンテナ装置から受信すると、受信ポートに対応するアンテナ装置の識別番号を付して基地局装置に送信するものであり、台数の多いアンテナ装置の構成を簡易なままとして、携帯端末の位置をアンテナ装置のサービスエリア範囲内に特定することができ、精度の高い位置情報を取得することができ、利便性を向上させることができるものである。
【0017】
[本実施の形態に係る無線通信システム:図1]
本実施の形態に係る無線通信システムの一例として、マルチドッロプ型システムについて図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例であるマルチドロップ型システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、マルチドロップ型システムは、基地局装置(BTS)1と、中継局装置(DIV/COMB;分配/合成装置)2と、複数のアンテナ装置(ANT)3a、3b、3cとを備えている。
【0018】
基地局装置1は、携帯電話システム等の無線通信システムの基地局装置であり、下位に接続されているアンテナ装置3のエリア内にいる端末装置9を位置登録して、通信を実現する。
中継局装置2は、基地局装置1から出力される下り信号を全てのアンテナ装置3に分配して送信すると共に、各アンテナ装置3からの上り信号を合成(集約)して基地局装置1に送信する。
【0019】
アンテナ装置3は、基地局装置1からの下り信号を中継局装置2を介して受信してアンテナから放射すると共に、アンテナで受信した端末装置9からの上り無線信号を中継局装置2を介して基地局装置1に送信する。
そして、本システムの特徴として、アンテナ装置3は、端末装置9の位置情報を基地局装置1に送信するものである。アンテナ装置3の構成及び動作は後述する。
【0020】
[アンテナ装置3の構成及び動作:図2]
次に、本システムの特徴部分であるアンテナ装置3の構成及び上り信号受信時の動作について図2を用いて説明する。図2は、本システムのアンテナ装置3の構成及び上り信号受信時の動作を示すブロック図である。
図2に示すように、アンテナ装置3は、アンテナ31と、方向性結合器32と、復調部33と、アンテナID記憶部(図では「アンテナID」)34と、合成部35とを備えている。
方向性結合器32は、アンテナ31からの受信信号を分岐する。
復調部33は、分岐された受信信号を復調して、制御情報中に含まれる端末のID(識別番号)を取得する。
【0021】
アンテナID記憶部34は、予め設定されているアンテナ装置3のIDを記憶している。
合成部35は、復調部33から端末IDが入力されると、アンテナID記憶部34からアンテナIDを読み出して、端末IDと自己のアンテナIDとを合成して、位置情報として基地局装置1宛に送信する。具体的には、合成部35は、端末IDにアンテナIDを付加して、端末IDとアンテナIDとの対応付けを行うものである。
【0022】
また、合成部35は、復調部33から入力された端末IDを蓄積しておき、定期的に、取得した複数の端末IDと自己のIDとを合成し、基地局装置1宛に位置情報を送信するようにしてもよい。
アンテナ装置3の通信エリアは、図4に示した基地局装置のサービスエリアに比べてはるかに小さいため、システム側では、端末IDとアンテナIDとがリンクした(対応付けられた)位置情報に基づいて、端末の位置を精度良く特定できるものである。
【0023】
アンテナ装置3の動作について説明する。
基地局装置2からの下り信号受信時には、従来と同様にアンテナ31を介して受信した信号を放射する。
本システムの特徴部分である上り信号受信時には、アンテナ装置3は、アンテナ31を介して受信した端末装置9からの上り信号を、方向性結合器32で分岐し、一方の信号をそのまま伝送線路を介して中継局装置2に出力する。上り信号中には、端末装置9のIDと、端末装置9から送信されたデータが含まれる。
【0024】
そして、アンテナ装置3は、方向性結合器32で分岐した他方の信号を復調部33で復調して端末IDを取得し、合成部35で端末IDとアンテナIDとを合成して位置情報として基地局装置1に送信する。
図2の例では、位置情報(端末ID+アンテナID)の送信は、端末ID及びデータを送信する本来の通信経路とは別の専用の伝送線路を介して行っているが、本来の通信経路に集約して送信してもよい。但し、その場合には、本来の通信(端末ID及びデータ)を妨げないよう、タイミングや周波数を考慮する必要がある。
【0025】
[端末IDの取得タイミング]
次に、アンテナ装置3における端末装置9からのID取得動作のタイミングについて説明する。
第1は、アンテナ装置3が端末装置9からの上り信号を常時監視し、受信すると直ちに復調する方法である。
常時監視では、端末装置9の電源オン/オフやハンドオーバー等の端末装置9の動きによる変化に迅速に対応できる一方、複数の端末装置9が同一エリア内に存在している場合や、同一の端末装置9が通信を長時間継続している場合等には、位置情報の情報量が多くなってしまう。
【0026】
第2は、ポーリングによる取得であり、アンテナ装置3が、特定周期で特定の時間だけ端末装置9からの上り信号を監視する方法である。アンテナ装置3の復調部33は、ポーリング期間に受信した上り信号について復調を行って端末IDを取り出すが、ポーリング期間でなければ復調を行わない。
この方法では、データ量は少なくて済むが、ポーリング期間に送信しない端末装置9については位置情報が取得できない。
【0027】
第3は、基地局装置1から端末装置9に端末IDの送信命令を出力する方法である。
基地局装置1は、定期的に端末装置9に対して端末IDの送信を指示する送信命令を出力する。それと共に基地局装置1は、アンテナ装置3に対して端末IDの取得命令を出力する。
端末装置9は、基地局装置1から端末IDの送信命令を受信すると、内部に記憶されている端末IDを読み出して、上り信号として送信する。
アンテナ装置3は、基地局装置1から端末IDの取得命令を受信すると、復調部33が一定時間復調動作を行って、受信した上り信号中に含まれる端末IDを取得する。
【0028】
[端末IDの通知タイミング]
アンテナ装置3で取得した端末IDの通知タイミングについて説明する。
アンテナ装置3では、端末IDを取得すると、直ちに自己のアンテナIDを付して位置情報として基地局装置1宛に通知してもよいし、取得した端末IDを内部に記憶しておき、定期的に、アンテナIDを付して基地局装置1に通知してもよい。また、端末IDを蓄積しておき、基地局装置1からの要求に応じて、蓄積しておいた端末IDにアンテナIDを付して送信するようにしてもよい。
実際の運用時には、上述した取得や通知の方法を適宜組み合わせて実施することが望ましい。
無線通信システム側では、各アンテナ装置3の設置場所(緯度経度、高さ、住所、建物名等)を記憶しており、基地局装置1で取得した位置情報に基づいて、端末装置9のIDに対応付けられたアンテナIDから位置を特定して情報提供サービス等に利用できるものである。
【0029】
[中継局装置2による位置情報生成]
また、図1のシステムにおいて、端末装置9の位置を報知する情報をアンテナ装置3ではなく、中継局装置2で生成することも可能である。
例えば、アンテナ装置3には復調部は設けず従来と同様の構成としておき、中継局装置2に、復調部と、位置情報を生成する合成部と、記憶部とを備え、記憶部に各接続ポートに接続するアンテナ装置3のアンテナIDを対応付けて記憶しておく。
【0030】
そして、中継局装置2では、アンテナ装置3から端末IDとデータとを含む上り信号を受信すると、復調部で復調して端末IDを取り出し、合成部が、記憶部を参照して受信ポート番号に対応するアンテナIDを付して、位置情報として基地局装置1宛に送信する。
これにより、基地局装置1では、端末IDに対応付けられたアンテナIDから、端末装置9がどのアンテナ装置3のエリアに存在するかを特定することができるものである。
【0031】
つまり、本システムでは、端末装置9からの上り信号が他の端末装置9からの上り信号と合成される前であれば、アンテナIDを付加する場所を問わず、端末IDとアンテナIDが対応付けられた位置情報を生成することができ、システム側で端末装置9の位置を精度良く特定できるものである。
【0032】
[別の無線通信システムでの適応例:図3]
次に、本実施の形態の無線通信システムを適応した別のシステムの例について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る別の無線通信システムの構成例である。
図3に示す別の無線通信システム(別のシステム)は、チェーン型の光伝送システムであり、基地局装置1からの下り信号を中継局装置(中継機)20で光信号に変換して、複数のポートに接続する子機4やHub5に光ファイバを介して送信すると共に、子機4のアンテナで受信した端末装置(図示せず)からの上り信号を、子機4で光信号に変換して中継機20に伝送し、中継機20が複数のポートからの光信号を無線信号に変換して、合成して基地局装置1に送信するものである。
尚、別のシステムにおける「子機4」は、請求項における「アンテナ装置」に相当する。
【0033】
図3のような光伝送システムにおいても、端末装置と直接通信を行う子機4に復調部を備えて、図2のアンテナ装置3と同様の処理で端末装置のIDと子機4のIDとを合成して上位装置に送信することで端末装置の位置情報を取得することができるものである。
この場合、子機4は、アンテナを介して直接受信した端末装置からの上り信号のみを復調して、端末IDにアンテナIDを付して位置情報として送信する処理を行い、マスタポートで受信した下位装置からの信号はそのまま上位装置に伝送する。
【0034】
また、中継機20やHub5のポートに子機4が1つだけ接続されているスター型のシステムでは、チェーン型のように各子機4で位置情報を生成する構成の他に、中継機20又はHub5に復調部を備え、各ポートからの受信信号を合成する前に、受信信号の接続ポートに基づいて子機4を特定して、端末装置の位置情報を生成することも可能である。
これにより、チェーン型やスター型の無線通信システムにおいても、端末装置の位置を子機4のサービスエリア内に特定することができるものである。
【0035】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る無線通信システムによれば、アンテナ装置3が、端末装置9からの上り信号を受信すると、復調部33が、当該受信信号を復調して端末装置9の端末IDを取得し、合成部35が、端末IDと自己のアンテナIDを合成して位置情報として基地局装置1宛に送信するようにしているので、端末装置9がどのアンテナ装置3のエリア内に存在するか特定することができ、ビル内や地下街でも精度の高い位置検出ができる効果がある。
【0036】
また、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、無線信号や光信号等の有線伝送信号の種類にかかわらず、基地局装置と、基地局装置に接続する中継局装置と、中継局装置に接続する複数のアンテナ装置とを備えた無線通信システムにおいて、端末装置と無線通信を行うアンテナ装置に復調部と合成部とアンテナID記憶部とを備え、端末装置からの上り信号を受信すると、復調部で受信信号を復調して端末IDを取得し、合成部が、端末IDに自己のアンテナIDを付加して位置情報として基地局装置宛に送信するようにしているので、端末装置がどのアンテナ装置のエリア内に存在するか特定でき、ビル内や地下街でも精度の高い位置検出ができる効果がある。
【0037】
また、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、中継局装置又はHubの接続ポートに、端末装置と無線通信を行うアンテナ装置が直接接続する無線通信システムにおいて、中継局装置又はHubが、ポート番号とそれに接続するアンテナ装置のアンテナIDとを対応付けて記憶しておき、上り信号を受信すると、中継局装置又はHubが受信信号を復調して端末IDを取得し、端末IDとポート番号に対応するアンテナIDとを合成して位置情報として上位局装置に送信する無線通信システムとしているので、多数設置されるアンテナ装置の構成は従来どおりの簡易な構成として、中継局装置又はHubで一括して位置情報生成の処理を行うことができ、システム全体のコストを低減し、メンテナンスを容易にすることができる。
【0038】
そして、本実施の形態に係る無線通信システムによれば、アンテナ装置3を、ビル内や地下街等に設ければ、オープンエリアの基地局装置1との通信やGPS信号の受信ができない場所であっても、位置検出が可能となるものである。
例えば、図1において、基地局装置1のサービスエリアがショッピングセンタであり、アンテナ装置3aが屋上、アンテナ装置3bが駐車場、アンテナ装置3cが地下売場に設置されていると、従来のシステムでは「ショッピングセンタ内に存在する」という情報までしか取得できないが、本システムでは、基地局装置1が受信した位置情報から、例えば、「ショッピングセンタの駐車場に存在する」といったより詳細な情報を取得することができ、サービスに利用可能とする効果がある。
【0039】
また、従来、3つの基地局装置からの距離を算出して、端末装置の位置を特定する方法があったが、それと同様に、端末装置において、受信電界強度等に基づいて3つのアンテナ装置からの距離を算出して、端末装置が自己の位置を特定して、位置情報を基地局装置に送信することも可能であり、精度の高い端末装置の位置検出ができ、また、基地局装置が1台あればよいので、装置コストを低減できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ビル内や地下街等の不感地帯における端末装置の位置を高精度で特定することができ、利便性を向上させることができる無線通信システムに適している。
【符号の説明】
【0041】
1...基地局装置(BTS)、 2...中継局装置(DIV/COMB)、 3...アンテナ装置、 4...子機、 5...Hub、 9...端末装置、 13...基地局装置、 15...PHS基地局装置、 20...中継機、 30...光ファイバ、 31...アンテナ、 32...方向性結合器、 33...復調部、 34...アンテナID記憶部、 35...合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と、前記基地局装置と有線で接続する中継局装置と、前記中継局装置に有線で接続すると共に移動可能な端末装置と無線通信を行う複数のアンテナ装置とを備え、前記複数のアンテナ装置で受信された前記端末装置からの上り信号を、前記中継局装置で合成して前記基地局装置に送信する無線通信システムであって、
前記アンテナ装置又は前記中継局装置が、受信した上り信号を復調して、前記上り信号に含まれる端末装置の識別番号を取得する復調部と、前記取得された端末装置の識別番号に、前記上り信号を前記端末装置から受信したアンテナ装置の識別番号を付加して前記基地局装置宛に送信する合成部とを備えたことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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