無線通信用半導体装置
【課題】NFC対応の半導体装置がR/Wモード以外で動作する際に、R/Wモードで用いるASK信号受信回路と異なるASK信号受信回路を用いる事で、ASK信号の受信を行う手段を提供する。
【解決手段】送信用端子TP、TN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dを設ける。受信用端子RXINP、RXINNに接続される10%ASK用ASK受信回路111a内に設けられるESD111a−2−2の影響を受けることが無くなり、ASKの種別により異なる閾値管理が不要となり、小規模な回路構成で異なる変調方式に対応することが可能となる。
【解決手段】送信用端子TP、TN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dを設ける。受信用端子RXINP、RXINNに接続される10%ASK用ASK受信回路111a内に設けられるESD111a−2−2の影響を受けることが無くなり、ASKの種別により異なる閾値管理が不要となり、小規模な回路構成で異なる変調方式に対応することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の無い、もしくは電源の使用が制約される環境における回路構成、特にNFC機能対応の回路構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現在日本を中心として、携帯電話機にNFC(Near Field Communication)機能の搭載が進んでいる。海外でもNFC搭載の携帯電話機が出てきている。NFCにはカードモード、バッテリーレスモード、R/W(リーダ/ライタ)モードの3つのモードが存在する。
【0003】
R/Wモードは、自身がリーダ/ライタとなり、周りにあるPICC(ICカード)と通信を行うモードである。カードモード、バッテリーレスモードは自分がPICCとなり周囲にあるリーダ/ライタと通信を行うモードである。カードモードとバッテリーレスモードの相違点はカードモードでは安定した電力が外部から供給されるのに対し、バッテリーレスモードではそれが無い点にある。
【0004】
上述のような3つのモードが存在するが、一般的にはR/Wモードで基本的な回路設計が行われ、それを基礎として残り2つのモードを追加するといった開発がなされることが出願時においては一般的である。したがって、カードモードなどでもR/Wモードで用いるASK信号受信回路を使用することが多い。
【0005】
下記非特許文献1及び非特許文献2では、カードモード、R/Wモード、バッテリレスモード(低消費電流モード)動作することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NXP社 PN544データシート http://www.jp.nxp.com/#/pip/pip=[pfp=53424]|pp=[t=pfp,i=53424]
【非特許文献2】STマイクロ社 ST21NFCAデータシート http://www.st-japan.co.jp/products/families/smartcard/st21nfca.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、R/Wモードでは安定した外部電源が存在することが前提となっているため、R/WモードのASK信号受信回路では大幅な消費電力の削減は考えられていないことがままある。
【0008】
本発明の目的は、NFC対応の半導体装置がR/Wモード以外で動作する際に、R/Wモードで用いるASK信号受信回路と異なるASK信号受信回路を用いる事で、ASK信号の受信を行う手段を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態に関わる無線通信用半導体装置は、第1の変調信号を復調する第1の復調回路と、第2の変調信号を復調する第2の復調回路と、を有し、第1の復調回路と第2の復調回路が並列に接続され、第1の復調回路への第1の入力ピンと第2の復調回路への第2の入力ピンが別個独立に存在する。
【0012】
この無線通信用半導体装置は、さらに送信する変調信号出力を駆動するドライバ回路を有し、ドライバ回路は第1の入力ピンを介してアンテナを駆動することを特徴としても良い。
【0013】
この無線通信用半導体装置は、第1の復調回路が100%ASK信号受信回路であって、100%ASK信号受信回路とドライバ回路が並列に第1の入力ピンに接続されていることを特徴としても良い。
【0014】
この無線通信用半導体装置は、第2の復調回路が10%ASK信号受信回路であることを特徴としても良い。
【0015】
この無線通信用半導体装置は、100%ASK信号受信回路はレベルトリガで動作し、10%ASK信号受信回路がエッジトリガで動作することを特徴としても良い。
【0016】
この無線通信用半導体装置は、さらに復調論理回路共有化回路を有し、復調論理回路共有化回路は10%ASK信号受信回路と100%ASK信号受信回路のいずれが有効かを判断し、有効な受信回路の出力を用いて出力とすることを特徴としても良い。
【0017】
この無線通信用半導体装置は、10%ASK信号受信回路は引き抜き回路を有し、引き抜き回路を制御することで整合を取ることを特徴としても良い。
【0018】
この無線通信用半導体装置は、第1の復調回路が10%ASK信号受信回路であって、10%ASK信号受信回路とドライバ回路が並列に第1の入力ピンに接続されていることを特徴としても良い。
【0019】
この無線通信用半導体装置は、第2の復調回路が100%ASK信号受信回路であることを特徴としても良い。
【0020】
本発明の代表的な実施の形態に関わる別の無線通信用半導体装置は、第1の変調信号を復調する第1の復調回路と、第2の変調信号を復調する第2の復調回路と、変調信号を送信し発信するドライバ回路と、を有し、第1の復調回路と第2の復調回路が並列に接続され、共用入力ピンからの入力を内部で第1の復調回路と第2の復調回路に分配する。
【発明の効果】
【0021】
本発明を適用することで受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNをそれぞれのターゲットとする復調方式に対応した信号(上述では、ASKで説明しているがこれには拘らない)で受信しやすくするための端子振幅コントロール回路を接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の携帯電話機におけるNFCのR/Wモードの動作を表す概念図である。
【図2】従来の携帯電話機におけるNFCのカードモードの動作を表す概念図である。
【図3】従来の携帯電話機におけるNFCのバッテリーレスモードの動作を表す概念図である。
【図4】送受信それぞれにアンテナを用意する方法を採用した際の従来の携帯電話機の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における携帯電話機のNFCの構成を表す概念図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における携帯電話機のNFCの構成の詳細を表す回路図である。
【図7】抵抗分圧アッテネート回路による信号の減衰のイメージを表す波形図である。
【図8】可変前段引き抜き回路の動作を表すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に関わる信号の減衰のイメージを表す波形図である。
【図10】10%ASK受信復調回路の構成を表す回路図である。
【図11】本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の構成を表す回路図である。
【図12】本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の動作を説明するための概念図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化のための回路図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化動作に関連する波形図である。
【図15】変調度10%と100%の変調波形を示す波形図である。
【図16】各変調度波形のオーバーシュート/アンダーシュート仕様について示す概念図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態を適用したカード用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図20】ASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図21】ASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図22】アンテナの配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図23】100%ASK信号受信端子コントロール回路の変型を表す本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図24】10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続し、両信号を復調可能にする回路の構成を示す回路図である。
【図25】復調論理回路共有化のための回路が回路全体の中でどのような位置づけにあるかを表す回路図である。
【図26】可変前段引き抜き回路の別の構成を表す回路図である。
【図27】可変前段引き抜き回路の別の構成を表す回路図である。
【図28】本発明に関わる抵抗分圧アッテネート回路の別の形態を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0024】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、CMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。なお、実施の形態で、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:またはMOSFETトランジスタと略す)と記載した場合、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。
【0025】
以下、図を用いて前提となる技術及び本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(前提となる技術)
図1は従来の携帯電話機1011におけるNFCのR/Wモードの動作を表す概念図である。なお、ここでは携帯電話機を例にして説明するが、携帯電話機に限定されるものではない。図2は従来の携帯電話機1011におけるNFCのカードモードの動作を表す概念図である。図3は従来の携帯電話機1011におけるNFCのバッテリーレスモードの動作を表す概念図である。これらを用いて前提となる技術を説明する。なお、ここでは、携帯電話機1011にNFC機能が実装されているものとして話を進める。
【0027】
従来の携帯電話機1011のNFCは、ASK信号受信回路1011a、R/W動作用送信ドライブ回路1011b、共振回路1011cを含んで構成される。このうち、ASK信号受信回路1011a、R/W動作用送信ドライブ回路1011bはR/W用半導体装置Ch1に含まれる構成をとる。
【0028】
R/W用半導体装置Ch1は2組の受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNを有する。受信用端子RXINP、RXINNはASK信号受信回路1011aの、送信用端子TP、TNはR/W動作用送信ドライブ回路1011bの接続端子となる。
【0029】
R/Wモード及びカードモードでは、安定した電源が外部より供給される。一方、バッテリーレスモードには安定した電源が存在しない。
【0030】
R/Wモードでの動作では、上述した2組の受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TN双方を用いることとなる。
【0031】
まず、R/Wモードでは、まず携帯電話機1011がアンテナLant1を駆動して、変調信号を出力する(図1(1))。すなわち、送信に際しては携帯電話機1011のR/W動作用送信ドライブ回路1011bが送信用端子TP、TNを駆動する。送信用端子TP、TNから出力される信号の振幅は、R/W動作用送信ドライブ回路1011bにより決定された振幅で変調信号(図1(1))が出力されることとなる。
【0032】
カード1012は、携帯電話機1011からのこの変調信号を受信して内部処理を行った後、携帯電話機1011に対して変調信号を出力する(図1(2))。
【0033】
このカード1012から携帯電話機1011への出力(図1(2))は、携帯電話機1011が無変調の搬送波を出力しているときに、カード1012が入力インピーダンスを変化させ、携帯電話機1011が出力する無変調搬送波を変調することで行う。携帯電話機1011は、この信号を受信し通信を実施する。
【0034】
カード1012から携帯電話機1011に際しては送信用端子TP、TNはドライブされているため、カード1012によって変調された信号は送信用端子TP、TN上には現れない。そこで、受信用端子RXINP、RXINN上に現れるインピーダンスの変化をASK信号受信回路1011aがつかむことで受信動作を行うこととなる。
【0035】
この2組の端子による構成は色々な形態が存在するが、代表的なものは以下のものである。
【0036】
すなわち、図1に示すような送受信共用のアンテナを用いる方法と、送受信それぞれにアンテナを用意する方法である。図4は送受信それぞれにアンテナを用意する方法を採用した際の従来の携帯電話機1011の構成図である。
【0037】
図1に示すような送受信共用のアンテナを用いる方法と図4の送受信それぞれにアンテナを用意する方法の相違点は、共振回路1011cの有無が大きな相違点となる。この共振回路1011cの存在により、一つのアンテナを用いて、カード1012からの返信(変調成分)を受信用端子RXINP、RXINNに入力する信号、及び送信用端子TP、TNを介してR/W動作用送信ドライブ回路1011bが出力する信号を分けることが可能となる。
【0038】
カードモードでは、これがそのまま逆転する。すなわち外部に存在するリーダ/ライタ1013から送信される変調信号(図2(3))に対して、入力インピーダンスを変化させることで、リーダ/ライタ1013に対して出力を行う。
【0039】
バッテリーレスモードもカードモード同様ではある。ただし、リーダ/ライタ1013から供給される変調信号(図3(5))より電力を取り出し、携帯電話機1011が自身で電源電圧を生成し、その電圧で変調信号の出力動作(図3(6))を行う。
【0040】
上記でも分かるが、R/Wモードでは自身でアンテナを駆動する必要があるが、他の2つのモードではアンテナを駆動する必要が無い。したがって、カードモード及びバッテリーレスモードは低消費電力で動作することが可能である。これはカードモード及びバッテリーレスモードでは共振回路1011cの動作が不要な点が理由である。
【0041】
しかし、バッテリーレスモードではリーダ/ライタ1013より供給される信号により動作電圧を生成するため、特に低消費電流動作を必要とする。低消費電流動作が実現できない場合には、そもそも通信自体が不可能となる。
【0042】
また、カードモードであっても、外部電源は携帯電話機1011の二次電池から採られていることがほとんどである。携帯電話機1011自体の駆動時間の点を考慮すると、消費電力が大きくなることは好ましくない。
【0043】
このように、バッテリーレスモードに対応すること等を考えると、従来回路のような大電流ASK信号受信回路の使用は適切ではない。また、回路構成的にも、カードモード及びバッテリーレスモードに最適なものとは言えない。
【0044】
また、複数の仕様をR/W用半導体装置Ch1で実現しようとすると、複数の変調方式に対応する必要がある。
【0045】
例えば、変調方式として振幅変調(ASK)しか使わない場合を想定する。ASKにおいては、変調無し(振幅大)の振幅をA、変調中(振幅小)の振幅をBとして、
((A−B)/(A+B))×100(%)
で規定される。
【0046】
このときB=0の場合、変調率は100%となる。この信号を「100%ASK」という。
【0047】
また、B=90の場合、変調率は10%となる。この信号を「10%ASK」という。
【0048】
このように、同一の変調方式であっても変調率が大きく異なれば、別個独立にASK信号受信回路を用意する、もしくは2つの変調率に対応したASK信号受信回路を用意する必要がある。
【0049】
しかし、2つの変調率に対応したASK信号受信回路は回路構成が複雑となり、また消費電流も大きくなる。
【0050】
また、別個独立に複数のASK信号受信回路を用意する場合、受信用端子RXINP、RXINNが2以上の組必要となる。これはR/W用半導体装置Ch1の外部出力ピン数を増やすこととなり、原価の上昇要因となる。
【0051】
同一のピンに二つの変調器を並列に接続することも問題がある。基本的に外部接続ピンにはサージ対策などでESD素子が接続されている。そのためピンより入力できる電位は制限され、電源電圧+Vth程度に制限される(入力ピンにESD素子がない場合でも内部回路の素子耐圧で制限される)。よって受信したい信号成分がクランプされないようにする必要がある。図24は例としてNFCで用いられる10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続し、両信号を復調可能にする回路の構成を示す回路図である。
【0052】
ASK受信用半導体回路は近距離から遠距離まで動作する必要がある。この際、リーダ/ライタとカードの距離によって、受信ピンにあらわれる振幅は異なる。10%ASK変調信号を受信するためには、近距離で最も大きい無変調振幅でも電源電圧+Vthを越えないように制御する必要がある。そのように制御すると遠距離では図7で見られるように小振幅になる。
【0053】
100%ASK変調信号の受信器として最も簡単な構成は、無変調振幅と変調振幅の間に閾値を設け、その閾値により無変調振幅/変調振幅と認識させることである。100%ASK変調信号の変調率の仕様は100%〜94.5%であり、変調時でも変調率94.5%の場合、振幅が残る。
【0054】
10%ASK変調信号を受信するためのピンでは距離によって無変調時にピンにあらわれる振幅が大きく異なる。近距離での変調度94.5%の変調振幅と、遠距離での無変調振幅の大きさが逆転する条件が発生する。つまり遠距離から近距離までを考えた時に無変調振幅と変調振幅の間に閾値がない。よって10%ASK変調器と100%ASK変調器を同じピンに接続した場合、複雑な回路構成により100%信号を受信する必要がある。
【0055】
もしRXINに10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続すると、100%ASK信号復調回路を一つの閾値を持つ回路構成では実現できない。
【0056】
10%ASK信号復調回路は小振幅を復調する必要があるため現在の構成を変更しないとし、100%ASK信号復調回路を変更する。100%ASK信号復調回路に距離認識をさせて、100%ASK信号復調回路のスレッショルドを変更するような方法が考えられる。このようにRXINで全信号を受信させようとすると図24に見られるように現状の回路より複雑な処理が必要となる。
【0057】
(第1の実施の形態)
上記で説明したようにアンテナ共用時にR/Wモードでの動作を前提とすると、信号分離の目的で共振回路1011cを動かすことが必須となる。
【0058】
しかし、カードモード及びバッテリーレスモードでは、信号の分離を必要としない。自身は入力インピーダンスを変化させることを想定しており、積極的に出力を行っていないためである。
【0059】
また10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を別のピンで受信すると100%受信回路は非常に簡単にこの閾値を決めることができる。10%ASK信号を受信しないため近距離でも遠距離でも無変調振幅をESD素子(or整流回路&クランプ回路)でクランプさせることができる。クランプ電圧よりも少し低い電位に簡単に閾値を設けることができる。
【0060】
本発明においては、2つの受信回路を用意し、1つを従来どおり受信用端子RXINP、RXINNをインターフェースとする。また、残りの1つの受信回路を送信用端子TP、TNを用いる事で、R/W用半導体装置Ch1の外部出力ピン数を増やすことなく対応することを可能とする。
【0061】
図5は本発明の第1の実施の形態における携帯電話機111のNFCの構成を表す概念図である。また、図6は本発明の第1の実施の形態における携帯電話機111のNFCの構成の詳細を表す回路図である。図5と図6は同じものを表しており、構成要素の番号の同じものには同じ番号を付している。また、ある構成要素が内包する構成要素には同じ番号の後ろに更に番号を付する形としている(例:10%ASK用ASK信号受信回路111aとそれに含まれる10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2)。
【0062】
この携帯電話機111のNFCは、10%ASK用ASK信号受信回路111a、R/W動作用送信ドライブ回路111b、共振回路111c及び100%ASK用ASK信号受信回路111dを含んで構成される。
【0063】
この回路では10%ASK用ASK信号受信回路111aを受信用端子RXINP、RXINNに接続する。一方、100%ASK用ASK信号受信回路111dは、R/W動作用送信ドライブ回路111bと並列に接続する形で、送信用端子TP、TNに接続される。
【0064】
10%ASK用ASK信号受信回路111aは、R/W用半導体装置Ch1内外の回路により構成されるASK信号受信回路である。
【0065】
R/W動作用送信ドライブ回路111bは、R/W動作時にアンテナより電波を送信するためのドライバである。
【0066】
共振回路111cはアンテナLantからの入力信号とR/W動作用送信ドライブ回路111bによる送信信号を分離するための回路である。
【0067】
100%ASK用ASK信号受信回路111dは、R/W用半導体装置Ch1内外の回路により構成されるASK信号受信回路である。これが、R/W動作用送信ドライブ回路111bと並列に送信用端子TP、TNに接続されている点が本発明の特徴である。
【0068】
次に図6を用いて本発明の構成を詳細に説明する。
【0069】
10%ASK用ASK信号受信回路111aは大別すると、10%ASK信号復調回路111a−1と10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2を含んで構成される。さらに10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2は正極側と負極側で10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2pと10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2nを含んで構成される。10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2pと10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2nの回路構成は同一であるため(接続端子の相違のみ)、特に説明においては区別しない。
【0070】
10%ASK信号復調回路111a−1は10%ASK信号を復調する回路である。詳細については図10に関連して述べる。
【0071】
10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2p、111a−2nは、受信用端子RXINP、RXINNをコントロールするための制御回路である。これらの内部には、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1、ESD111a−2−2、可変前段引き抜き回路111a−2−3、ダイオード接続MOS111a−2−4が含まれる。
【0072】
抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1は入力信号を整合するための分圧回路である。この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1はR/W用半導体装置Ch1内部の抵抗Ra1だけでなく、R/W用半導体装置Ch1外の抵抗Ra2及びキャパシタCrがその構成に含まれる。
【0073】
これらの抵抗Ra1及びRa2によりアンテナ端子の信号振幅をアッテネートする。この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1による減衰は単純な抵抗分圧によるものであり搬送波振幅の大小にかかわらず一定の割合で減衰されることとなる。
【0074】
図7は、この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1による信号の減衰のイメージを表す波形図である。この図では、リーダ/ライタとカードの間の距離が遠い場合、近い場合、その中間の位置の場合、の3つの場合におけるアンテナ端子の波形及び減衰後の受信用端子RXINP、RXINNの波形を説明するものである。
【0075】
ASK信号変調度が等しい場合、リーダ/ライタとカードの間の距離が一番近いときが最も搬送波振幅が大きくなる。逆に距離が遠くなるほど搬送波信号の振幅が小さくなる。
【0076】
アッテネータを用いると距離の遠近に関わらず、一定の割合で減衰することとなるため、リーダ/ライタとカードの間の距離が遠ければ遠いほど、復調の条件は悪化することとなる。
【0077】
本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1と従来の抵抗分圧アッテネート回路の相違点は、以下の通りである。すなわち、従来の抵抗分圧アッテネート回路はこの回路だけで整合を取ろうとしていた。一方、本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1は、これだけではほとんど整合を取る機能が無い。すなわち、後段の可変前段引き抜き回路111a−2−3による引き抜きに整合を任せる構成を採る。
【0078】
信号振幅はRa1/(Ra1+Ra2)でアッテネートされる(Ra1、Ra2は図6の対応する抵抗の抵抗値)。したがって、抵抗Ra1の抵抗値を100kΩ、抵抗Ra2の抵抗値を1kΩとすると、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の減衰率は100/101となり、ほぼ抵抗分圧回路を動作させていない状況にすることも可能となる。本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1はこのような回路構成になっている(個々の抵抗値は外部回路構成、アンテナや通信する電力条件、対応する周波数などによって変化する)。
【0079】
また、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1をトリミング可能なように設計することも本発明の視野に含まれる。図28は本発明に関わる抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の別の形態を表す回路図である。この図のようにスイッチを切り替えることで接地抵抗の抵抗値を可変にし、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の調整を行うことも本発明の射程に含める。
【0080】
ESD111a−2−2はサージ対策用の保護回路である。また、一定以上の電圧が10%ASK信号復調回路111a−1へ流れないようにクランプするための機能も有する。
【0081】
可変前段引き抜き回路111a−2−3は、引き抜き電流iA1を発生させるスイッチsw_d1と引き抜き電流iA2を発生させるスイッチsw_d2を含んで構成される。
【0082】
引き抜き電流iA1はダイオード接続されたMOS(DM1)の閾値電圧(Vth)付近から引き抜き始める電流である。MOS(DM1)の前段には抵抗Rbが挿入されている。これにより、端子電圧に比例する電流が引き抜き電流iA1として流れる。
【0083】
一方、引き抜き電流iA2はダイオード接続されたMOS(DM2)及び(DM3)を直列に接続した回路より引き抜く電流である。2段のダイオード接続の2段分の閾値電圧(2Vth)付近から引き抜き電流iA2は流れることとなる。引き抜き電流iA1と異なり抵抗が挿入されていないため、端子電圧の二乗電流が引き抜き電流iA2として流れる。
【0084】
このような回路構成を採ることで、受信用端子RXINP、RXINNに掛かる電圧が低いときには、いずれの引き抜き電流も発生せず、したがって減衰はなされない。これらの端子電圧が上昇し、閾値電圧(Vth)を越えると引き抜き電流iA1が流れ始める。さらに端子電圧が上昇し、閾値電圧(2Vth)を越えると引き抜き電流iA2が流れ始める。
【0085】
上述の通り、引き抜き電流iA1は線形性、引き抜き電流iA2は指数性(二乗性)を有する。これらを利用することで、電圧が高いときには減衰率を大きくし、電圧が低いときには減衰率を小さくすることが可能となる。図8はこの可変前段引き抜き回路111a−2−3の動作を表すグラフである。
【0086】
このように可変前段引き抜き回路111a−2−3を接続することで、入力端子にESD111a−2−2が接続されていても、近距離から遠距離の通信に応じて減衰率を変更することが可能となる。
【0087】
なお、図6の可変前段引き抜き回路111a−2−3の構成はあくまでも例示である。回路の構成によっては、より詳細に制御することも可能である。図26は可変前段引き抜き回路111a−2−3の別の構成を表す回路図である。図27は可変前段引き抜き回路111a−2−3の別の構成を表す回路図である。これらのように引き抜き段数を増加させる変形をしたとしても本発明の適用は可能である。
【0088】
ダイオード接続MOS111a−2−4はアンテナ方向から10%ASK信号復調回路111a−1へ電流の流れを制限するための整流回路である。また、このダイオード接続MOS111a−2−4により包絡線検波を実施し、信号成分のみの抽出が可能となる。
【0089】
本発明の構成を採ることでどのような効果が現れるか説明する。
【0090】
図9は、本発明の第1の実施の形態に関わる信号の減衰のイメージを表す波形図である。この図は図7と対応しており、アンテナ端子側の入力信号は図7と同じ波形である。
【0091】
この図9では、入力信号が同じ図7に対し、出力信号は図7と相違する。すなわち、図7では、カードとリーダ/ライタ間の距離に付いて全ての条件で一定の割合で信号が減衰していた。
【0092】
これに対し、本発明に関わる図9では、遠距離(図9上段右)で引き抜き電流iA1及び引き抜き電流iA2が生じず、ほとんど信号が減衰されない。これは入力される信号の電圧が閾値電圧(Vth)に届かないためである。
【0093】
一方中距離(図9中段右)及び近距離(図9下段右)において減衰しない場合は、ESD111a−2−2のダイオードで電圧がクランプされてしまい、信号振幅がほぼ無い状態になる。また、多少減衰させても搬送波振幅が大きいため復調可能である。したがって、これら二つの状態では、減衰を行う。
【0094】
この際、引き抜き電流iA1及び引き抜き電流iA2の大きさの相違により、減衰率も相違することとなる。
【0095】
アンテナの形状や外部回路構成などにより、受信用端子RXINP、RXINNの受信搬送波振幅は大きく変動する。そのため、大きくレベルを変化させる場合には、抵抗分圧アッテネート回路により全体を最適な受信電圧レベルにすることが必要となる。
【0096】
このリーダ/ライタとの距離の変化による搬送波振幅(及び信号振幅)の変化には可変前段引き抜き回路111a−2−3により対応し、また、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1もトリミングにより、強度を変更することが可能となる。これにより多くの外部回路に対応することが可能となる。
【0097】
次に100%ASK用ASK受信回路111dについて説明する。
【0098】
100%ASK用ASK受信回路111dは大別すると、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1と100%ASK信号復調回路111d−2を含んで構成される。
【0099】
さらに、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1は、整流回路111d−1−1、クランプ回路111d−1−2、ダイオード接続MOS111d−1−3を含んで構成される。
【0100】
整流回路111d−1−1は、送信用端子TP、TNから入力される信号の整流を行う全波整流回路である。
【0101】
クランプ回路111d−1−2は、受信信号を一定の電圧でクランプするための回路である。クランプ回路111d−1−2により、安定した電圧電源VCCを供給することが可能となる。これにより、搬送波振幅がある時の、送信用端子TP、TNの電位はVCC+Vthd2(Vthd2はダイオード接続MOS111d−1―3の閾値電圧)となり、搬送波振幅が無いときには、VCC+Vthd2より電位が低下する。
【0102】
送信用端子TP、TNは、受信用端子RXINP、RXINNのようにアッテネート回路を接続していない。従って、13.56MHzで整合を取り通信可能なようにすれば、電位は必ずVCC+Vthd2になる。出力する搬送波のみの状態であれば電位はVCC+Vthd2となる。
【0103】
これらの整流回路111d−1−1とクランプ回路111d−1−2によりバッテリーレス動作時にチップが動作するための電源を供給することが可能となる。
【0104】
ダイオード接続MOS111d−1−3は包絡線検波を実施し、信号成分のみの抽出が可能とする回路である。
【0105】
次に、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1が何故送信用端子TP、TNに接続されるかを説明する。
【0106】
アンテナが電波を受信すると、送信用端子TP、TNに電位差が生じる。整流回路111d−1−1のFET M2、M3はTP>TNの電位関係の時に動作して、TP→VCCに電流を供給する。FET M1、M4は逆にTP<TNの時に動作する。
【0107】
VCCには受信動作をするための回路が接続されている。したがって、VCCを一定に保つ必要がある。そのためVCCにはクランプ回路111d−1−2が接続され、VCCが一定電位になるように制御する。
【0108】
バッテリーレスモードで動作可能(近距離〜遠距離)ということは、VCC内部電流を整流回路より供給できている状態である。つまり、クランプ回路111d−1−2によってVCCが一定の電位に保たれている。
【0109】
VCCが一定電位に保たれていると、送信用端子TP、TNもほぼ一定電位に保たれる。クランプ回路111d−1−2はVCC+(FET M3の閾値電圧)程度に送信用端子TP、TNの電位を制御する。
【0110】
この状態で、100%ASK変調信号が入力されると、送信用端子TP、TNの電位はVCC+(FET M3の閾値電圧)よりも低くなり、整流回路111d−1−1から内部に電源を供給できない。100%ASK変調信号が入力されているときの消費電流はVCCに接続されている容量111d−1−4により供給する。
【0111】
無変調時には、整流回路111d−1−1及びクランプ回路111d−1−2は送信用端子TP、TNをVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位に固定する。一方、100%ASK変調信号が入力されている場合には、このVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位よりも低電位になる。
【0112】
よって、送信用端子TP、TNは100%ASK信号復調回路にとって、非常に復調しやすい電位変化をすることとなる。なぜなら、100%ASK信号復調回路111d−2はのVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位よりも低い電位に閾値を設定することで簡単に復調動作を実現することが可能だからである。
【0113】
上記のような理由で、100%ASK用ASK信号受信回路111dを送信用端子TP、TNに接続した方が簡単な回路で本発明の実施が可能となる。
【0114】
本発明においては、カードからの送信を受信し、電位がこれよりも低下した状態になった時にVCC+Vthd2よりも低下したことを検知することで、100%ASK信号を受信する回路構成とする。このような簡易な構成を採ることで、100%ASK信号受信復調回路111d−2では10%ASK信号の受信を諦めることとなるが、これは10%ASK信号復調回路111a−1が存在するため、問題とはならない。
【0115】
次に、10%ASK信号復調回路111a−1について説明する。図10は10%ASK受信復調回路111a−1の構成を表す回路図である。
【0116】
10%ASK信号復調回路111a−1は変調信号のエッジ検出により復調を実施する回路である。10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2p、111a−2nの出力であるcline(図6参照)が10%ASK信号復調回路111a−1への入力信号となる。このclineにダイオード接続MOS111a−2−4で包絡線検波された信号が入力される。
【0117】
clineへの入力は、ローパスフィルタ111a−4−1において信号で高周波成分をカットし、結合容量により信号成分のエッジのみを増幅器amp1の入力Vinに伝える。
【0118】
続けて入力Vin以降のエッジ検出回路部分について説明する。
【0119】
10%ASK信号復調回路111a−1には、出力rf_about_15vにより決定される二つの状態がある。立ち下がりエッジ待機状態(rf_about_15v=L)、立ち上がりエッジ待機状態(rf_about_15v=H)である。
【0120】
rf_about_15v=Lでは、図10の電流i1が流れ、電流i2は流れない。そのため、増幅器amp1によりフィードバックが掛かったVinは参照電圧Vref1よりも高い電圧Vref1+V1で安定する。この状態が立ち下がりエッジ待機状態である。
【0121】
立ち下がりエッジ待機状態で上記V1以上の立ち下がりエッジがclineに入力されると出力rf_about_15v=Hとなり、立ち下がりエッジ待機状態に移行する。これを繰り返すことで、ASK信号を復調する。
【0122】
ASK信号は立ち上がりエッジの後に必ず立ち下がりエッジがあり、立ち下がりエッジの後には必ず立ち上がりエッジが発生する。つまり、必ず交互に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジが生じるために、このように回路構成で復調を実現することが可能となる。
【0123】
ただし、10%ASK信号復調回路111a−1はエッジトリガで回路が動作するために、10%ASK信号を完全に復調する一方で、100%ASK信号を誤って復調することも考えられる。
【0124】
次に、100%ASK信号復調回路111d−2について説明する。図11は、本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の構成を表す回路図である。図12は、本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の動作を説明するための概念図である。
【0125】
この回路では、エッジを用いる10%ASK信号復調回路111a−1と異なり、入力される信号(clka_ask)のL(低電位)期間の時間幅によってASK信号の検出/非検出の判定を実施する。
【0126】
clka_askがLになると、pause_lpf_outは容量C1に対して充電を開始する。pause_lpf_outがインバータの動作閾値よりも高くなると、図のrf_pause0、rf_pauseがHに、delay_lpf_outはLになる。
【0127】
次にclka_askがHになると、rf_pause0はLになり、delay_lpf_outは容量C2の充電を開始する。delay_lpf_outがインバータの閾値より高くなるとrf_pauseはLになり、rf_pause検出が終了する。図12の波形で表す時間ta分検知は遅れるものの、clka_askのL期間をほぼ正確に検出することが可能となる。
【0128】
また、100%ASK信号復調回路111d−2はレベルトリガで動作する。従って、100%ASK信号復調回路111d−2は100%ASK信号のみ完全に復調でき、10%ASK信号にはまったく動作させないことが可能となる。
【0129】
最後に、ASK信号受信回路後段の復調論理回路のR/Wモード、カードモード、バッテリーレスモードでの共有化方法を説明する。
【0130】
R/WモードでのASK信号受信回路は受信用端子RXINP、RXINNに接続されているため、ASK信号復調出力は10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力が同一で一端子出力であることが多い。しかし今回の低消費電流ASK信号受信回路は受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNに回路を分けて接続するため、10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力の二端子出力である。
【0131】
したがって、全モードで復調論理回路を共有化するためには10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力の両出力をまとめて一端子出力にする必要がある。
【0132】
図13は本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化のための回路図である。また、図14は本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化動作に関連する波形図である。さらに図25は復調論理回路共有化のための回路が回路全体の中でどのような位置づけにあるかを表す回路図である。
【0133】
本実施の形態では一端子出力に対応するために、遅延回路211、212、信号セレクト回路213、セレクト信号リセットパルス発生回路214で構成される。
【0134】
既に述べたとおり、10%ASK信号復調回路111a−1は10%ASK信号のみ完全に復調する一方で、100%ASK信号を誤って復調することも考えられる。逆に100%ASK信号復調回路111d−2は100%ASK信号のみ完全に復調でき、10%ASK信号にはまったく反応しない。
【0135】
具体的には、100%ASK信号で誤復調してはならない変調成分のオーバーシュート/アンダーシュートは10%ASK信号の変調成分よりも大きい。よって100%ASK信号のオーバーシュート/アンダーシュートに対して誤復調しない回路構成は、10%ASK信号では誤復調しない。
【0136】
ここでオーバーシュート/アンダーシュートについて説明する。
【0137】
図15は変調度10%と100%の変調波形を示す波形図である。また図16は各変調度波形のオーバーシュート/アンダーシュート仕様について示す概念図である。
【0138】
NFCで受信すべき信号は、Amplitude Shift Keying (ASK)信号である。変調度については、10%のtypeB、Felica(type C)と変調度100%のtypeAがある。ここでは符号化方式や伝送速度などにはふれず、変調度とその信号についてのみ示す。
【0139】
オーバーシュート/アンダーシュート仕様は基本的に変調信号成分の±10%の範囲である。このオーバーシュート/アンダーシュート信号で誤復調してはならない。変調度100%のオーバーシュート/アンダーシュート波形と変調度10%の信号の大きさを比べると、変調度100%のオーバーシュート/アンダーシュート波形の方が大きくなる。つまり10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を両方扱う時には、誤復調しやすい波形ができる。
【0140】
本発明で示した回路構成の100%ASK信号受信回路も100%ASK信号のオーバーシュート/アンダーシュートに対して誤復調しないため10%ASK信号では誤復調しない。
【0141】
一端子出力にするための回路について示す。10%ASK信号復調出力rf_about_15vと100%ASK信号復調出力rf_pauseは入力されると遅延回路により遅延した信号10%ASK信号復調出力delayと100%ASK信号復調出力delayが出力される。基本的に最初は10%ASK信号復調出力selectモードで動作している。よってセレクト信号リセットパルス発生回路214は10%ASK信号復調出力delay信号を選択し、askdoutに出力する。
【0142】
100%ASK信号が入力されるとセレクト信号リセットパルス発生回路214によりセレクト信号とリセットパルスが生成される。セレクト信号はセレクト回路213に入力され100%ASK信号復調出力delayをaskdoutとしてセレクト回路213は選択する。また復調論理回路220にも入力され、復調論理回路220に100%ASK信号復調出力が入力されることを伝える。
【0143】
セレクト信号リセットパルス発生回路214より出力されるリセットパルスは復調論理回路220に入力され、復調論理回路220にリセットがかかる。これを遅延回路211、212で遅延させている間に全て実施する。遅延時間を処理が完了するのに十分間に合うように回路設計者は回路設計をする。
【0144】
遅延回路211、212により、100%ASK信号復調出力の最初のパルスから確実に受信することができる。100%ASK信号を受信することはリセットがかかるまでの信号は、ノイズとみなせるため全て必要ない信号となる。よって、誤って復調する危険性を無くすことが可能となる。
【0145】
以上のように、10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を別々の入力端子より受信することで、受信用端子RXINP、RXINNを10%ASK変調信号のみを受信するための最適設計をすることができ、また送信用端子TP、TNを100%ASK変調信号のみを受信するための最適設計をすることができる。
【0146】
受信用端子RXINP、RXINN1端子のみで10%変調ASK信号と100%変調ASK信号を受信する場合は、10%ASK変調信号の微小信号と、100%ASK変調信号の大信号を同時に受信できる端子振幅コントロール回路、復調回路が必要になる。どちらも最適に受信できる端子振幅コントロール回路を設計することは不可能なため、両方の信号を何とか受信できるような回路構成にする。よって端子振幅コントロール回路、ASK復調回路が複雑になり、設計が非常に難しくなる。
【0147】
本発明においては、2端子での受信にすることで、受信用端子RXINP、RXINNは10%ASK変調信号の微小信号受信のみを考慮した端子振幅コントロール回路、ASK復調回路の設計のみでよくなり、回路設計難易度が非常に低くなる。結果として、低消費電流、小面積設計を実現することができる。
【0148】
また同様に送信用端子TP、TNは100%ASK変調信号の大信号受信のみを考慮した端子振幅コントロール回路、ASK受信回路の設計のみでよくなり、回路設計難易度が低くなり、低消費電流、小面積設計を実現することができる。
【0149】
結果として、受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNをそれぞれのターゲットとする復調方式に対応した信号(上述では、ASKで説明しているがこれには拘らない)で受信しやすくするための端子振幅コントロール回路を接続できる。
【0150】
なお、上記では、R/W用半導体装置Ch1での実装を想定し説明したが、これに拘るものではない。R/W用送信ドライブ回路111bに代えて、バックスキャッタ用変調MOS111eに置き換えてカード用半導体装置Ch2(=カードに適用することを想定して設計されたものからリーダ/ライタ用にも使用できるようにした製品)に適用することも本発明の射程に含まれる。また、これまでの説明では、共振回路111cをR/W用半導体装置Ch1外に載置した。これに対し、共振回路111cをR/W用半導体装置Ch1内に搭載して、共通の端子をR/W用半導体装置Ch1の外部端子とし、内部で送信用端子TP、TN及び受信用端子RXINP、RXINNに分ける構成を取っても良い。図17は本発明の第1の実施の形態を適用したカード用半導体装置Ch2の構成を表す回路図である。図18は、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0151】
また、本発明は、外部の共振回路111cの構成を問わない。あくまでも共振回路の構成は、ここの機器及びそれに用いる通信方式に最適に対応したものであることを優先すべきである。図19は、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。この図では、これまでの図と別の共振回路111cを用いている。
【0152】
更には、上記では受信用端子RXINP、RXINN側に10%ASK用ASK信号受信回路111aを、送信用端子TP、TN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dをそれぞれ配置していた。これに対し、受信用端子RXINP、RXINN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dを、送信用端子TP、TN側に10%ASK用ASK信号受信回路111aを配置するような構成にしても良い。図20は、このASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。なお、これは図18のカード用半導体装置の場合でも同様に適用することが可能となる。
【0153】
また上記では、NFCでの使用を想定していたが、それ以外の異なる通信方式に適用しても良い。図21は、このASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0154】
更には、図4で表したように送信用端子TP、TNと受信用端子RXINP、RXINNそれぞれにアンテナを配置しても良い。図22は、このアンテナの配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0155】
また、図6の100%ASK信号復調回路の接続先を変更することも考えられる。図23は100%ASK信号受信端子コントロール回路の変型を表す本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。整流回路のダイオード接続MOSを用いてエンベロープ波形を生成することもできる。また100%ASK信号復調回路の入力に電荷引き抜き用電流源ib1を挿入しているが、内部消費電流があるためib1はなくても同様に動作する。
【0156】
これらの変形例も、当然に本発明の射程に含まれる。
【0157】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0158】
上記ではNFCで用いられるASK信号を受信するシステムについての適用について説明した。しかしこれだけには限らず、他の変調度を用いるASK変復調方式や、システムに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0159】
Ch1…R/W用半導体装置、Ch2…カード用半導体装置
111a−1…10%ASK信号復調回路、
111a−2、111a−2p、111a−2n
…10%ASK受信端子信号コントロール回路、
111a−2−1…抵抗分圧アッテネート回路、111a−2−2…ESD、
111a−2−3…可変前段引き抜き回路、
111a−2−4…ダイオード接続MOS、
111a−4−1…ローパスフィルタ、
111b…R/W動作用送信ドライブ回路、111c…共振回路、
111d…100%ASK用ASK信号受信回路
111d−1…100%ASK信号受信端子コントロール回路、
111d−1…整流回路、111d−1−2…クランプ回路、
111d−1−3…ダイオード接続MOS。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の無い、もしくは電源の使用が制約される環境における回路構成、特にNFC機能対応の回路構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現在日本を中心として、携帯電話機にNFC(Near Field Communication)機能の搭載が進んでいる。海外でもNFC搭載の携帯電話機が出てきている。NFCにはカードモード、バッテリーレスモード、R/W(リーダ/ライタ)モードの3つのモードが存在する。
【0003】
R/Wモードは、自身がリーダ/ライタとなり、周りにあるPICC(ICカード)と通信を行うモードである。カードモード、バッテリーレスモードは自分がPICCとなり周囲にあるリーダ/ライタと通信を行うモードである。カードモードとバッテリーレスモードの相違点はカードモードでは安定した電力が外部から供給されるのに対し、バッテリーレスモードではそれが無い点にある。
【0004】
上述のような3つのモードが存在するが、一般的にはR/Wモードで基本的な回路設計が行われ、それを基礎として残り2つのモードを追加するといった開発がなされることが出願時においては一般的である。したがって、カードモードなどでもR/Wモードで用いるASK信号受信回路を使用することが多い。
【0005】
下記非特許文献1及び非特許文献2では、カードモード、R/Wモード、バッテリレスモード(低消費電流モード)動作することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】NXP社 PN544データシート http://www.jp.nxp.com/#/pip/pip=[pfp=53424]|pp=[t=pfp,i=53424]
【非特許文献2】STマイクロ社 ST21NFCAデータシート http://www.st-japan.co.jp/products/families/smartcard/st21nfca.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、R/Wモードでは安定した外部電源が存在することが前提となっているため、R/WモードのASK信号受信回路では大幅な消費電力の削減は考えられていないことがままある。
【0008】
本発明の目的は、NFC対応の半導体装置がR/Wモード以外で動作する際に、R/Wモードで用いるASK信号受信回路と異なるASK信号受信回路を用いる事で、ASK信号の受信を行う手段を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態に関わる無線通信用半導体装置は、第1の変調信号を復調する第1の復調回路と、第2の変調信号を復調する第2の復調回路と、を有し、第1の復調回路と第2の復調回路が並列に接続され、第1の復調回路への第1の入力ピンと第2の復調回路への第2の入力ピンが別個独立に存在する。
【0012】
この無線通信用半導体装置は、さらに送信する変調信号出力を駆動するドライバ回路を有し、ドライバ回路は第1の入力ピンを介してアンテナを駆動することを特徴としても良い。
【0013】
この無線通信用半導体装置は、第1の復調回路が100%ASK信号受信回路であって、100%ASK信号受信回路とドライバ回路が並列に第1の入力ピンに接続されていることを特徴としても良い。
【0014】
この無線通信用半導体装置は、第2の復調回路が10%ASK信号受信回路であることを特徴としても良い。
【0015】
この無線通信用半導体装置は、100%ASK信号受信回路はレベルトリガで動作し、10%ASK信号受信回路がエッジトリガで動作することを特徴としても良い。
【0016】
この無線通信用半導体装置は、さらに復調論理回路共有化回路を有し、復調論理回路共有化回路は10%ASK信号受信回路と100%ASK信号受信回路のいずれが有効かを判断し、有効な受信回路の出力を用いて出力とすることを特徴としても良い。
【0017】
この無線通信用半導体装置は、10%ASK信号受信回路は引き抜き回路を有し、引き抜き回路を制御することで整合を取ることを特徴としても良い。
【0018】
この無線通信用半導体装置は、第1の復調回路が10%ASK信号受信回路であって、10%ASK信号受信回路とドライバ回路が並列に第1の入力ピンに接続されていることを特徴としても良い。
【0019】
この無線通信用半導体装置は、第2の復調回路が100%ASK信号受信回路であることを特徴としても良い。
【0020】
本発明の代表的な実施の形態に関わる別の無線通信用半導体装置は、第1の変調信号を復調する第1の復調回路と、第2の変調信号を復調する第2の復調回路と、変調信号を送信し発信するドライバ回路と、を有し、第1の復調回路と第2の復調回路が並列に接続され、共用入力ピンからの入力を内部で第1の復調回路と第2の復調回路に分配する。
【発明の効果】
【0021】
本発明を適用することで受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNをそれぞれのターゲットとする復調方式に対応した信号(上述では、ASKで説明しているがこれには拘らない)で受信しやすくするための端子振幅コントロール回路を接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の携帯電話機におけるNFCのR/Wモードの動作を表す概念図である。
【図2】従来の携帯電話機におけるNFCのカードモードの動作を表す概念図である。
【図3】従来の携帯電話機におけるNFCのバッテリーレスモードの動作を表す概念図である。
【図4】送受信それぞれにアンテナを用意する方法を採用した際の従来の携帯電話機の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における携帯電話機のNFCの構成を表す概念図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における携帯電話機のNFCの構成の詳細を表す回路図である。
【図7】抵抗分圧アッテネート回路による信号の減衰のイメージを表す波形図である。
【図8】可変前段引き抜き回路の動作を表すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に関わる信号の減衰のイメージを表す波形図である。
【図10】10%ASK受信復調回路の構成を表す回路図である。
【図11】本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の構成を表す回路図である。
【図12】本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の動作を説明するための概念図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化のための回路図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化動作に関連する波形図である。
【図15】変調度10%と100%の変調波形を示す波形図である。
【図16】各変調度波形のオーバーシュート/アンダーシュート仕様について示す概念図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態を適用したカード用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図20】ASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図21】ASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図22】アンテナの配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図23】100%ASK信号受信端子コントロール回路の変型を表す本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置の構成を表す回路図である。
【図24】10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続し、両信号を復調可能にする回路の構成を示す回路図である。
【図25】復調論理回路共有化のための回路が回路全体の中でどのような位置づけにあるかを表す回路図である。
【図26】可変前段引き抜き回路の別の構成を表す回路図である。
【図27】可変前段引き抜き回路の別の構成を表す回路図である。
【図28】本発明に関わる抵抗分圧アッテネート回路の別の形態を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0024】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、CMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。なお、実施の形態で、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:またはMOSFETトランジスタと略す)と記載した場合、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。
【0025】
以下、図を用いて前提となる技術及び本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(前提となる技術)
図1は従来の携帯電話機1011におけるNFCのR/Wモードの動作を表す概念図である。なお、ここでは携帯電話機を例にして説明するが、携帯電話機に限定されるものではない。図2は従来の携帯電話機1011におけるNFCのカードモードの動作を表す概念図である。図3は従来の携帯電話機1011におけるNFCのバッテリーレスモードの動作を表す概念図である。これらを用いて前提となる技術を説明する。なお、ここでは、携帯電話機1011にNFC機能が実装されているものとして話を進める。
【0027】
従来の携帯電話機1011のNFCは、ASK信号受信回路1011a、R/W動作用送信ドライブ回路1011b、共振回路1011cを含んで構成される。このうち、ASK信号受信回路1011a、R/W動作用送信ドライブ回路1011bはR/W用半導体装置Ch1に含まれる構成をとる。
【0028】
R/W用半導体装置Ch1は2組の受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNを有する。受信用端子RXINP、RXINNはASK信号受信回路1011aの、送信用端子TP、TNはR/W動作用送信ドライブ回路1011bの接続端子となる。
【0029】
R/Wモード及びカードモードでは、安定した電源が外部より供給される。一方、バッテリーレスモードには安定した電源が存在しない。
【0030】
R/Wモードでの動作では、上述した2組の受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TN双方を用いることとなる。
【0031】
まず、R/Wモードでは、まず携帯電話機1011がアンテナLant1を駆動して、変調信号を出力する(図1(1))。すなわち、送信に際しては携帯電話機1011のR/W動作用送信ドライブ回路1011bが送信用端子TP、TNを駆動する。送信用端子TP、TNから出力される信号の振幅は、R/W動作用送信ドライブ回路1011bにより決定された振幅で変調信号(図1(1))が出力されることとなる。
【0032】
カード1012は、携帯電話機1011からのこの変調信号を受信して内部処理を行った後、携帯電話機1011に対して変調信号を出力する(図1(2))。
【0033】
このカード1012から携帯電話機1011への出力(図1(2))は、携帯電話機1011が無変調の搬送波を出力しているときに、カード1012が入力インピーダンスを変化させ、携帯電話機1011が出力する無変調搬送波を変調することで行う。携帯電話機1011は、この信号を受信し通信を実施する。
【0034】
カード1012から携帯電話機1011に際しては送信用端子TP、TNはドライブされているため、カード1012によって変調された信号は送信用端子TP、TN上には現れない。そこで、受信用端子RXINP、RXINN上に現れるインピーダンスの変化をASK信号受信回路1011aがつかむことで受信動作を行うこととなる。
【0035】
この2組の端子による構成は色々な形態が存在するが、代表的なものは以下のものである。
【0036】
すなわち、図1に示すような送受信共用のアンテナを用いる方法と、送受信それぞれにアンテナを用意する方法である。図4は送受信それぞれにアンテナを用意する方法を採用した際の従来の携帯電話機1011の構成図である。
【0037】
図1に示すような送受信共用のアンテナを用いる方法と図4の送受信それぞれにアンテナを用意する方法の相違点は、共振回路1011cの有無が大きな相違点となる。この共振回路1011cの存在により、一つのアンテナを用いて、カード1012からの返信(変調成分)を受信用端子RXINP、RXINNに入力する信号、及び送信用端子TP、TNを介してR/W動作用送信ドライブ回路1011bが出力する信号を分けることが可能となる。
【0038】
カードモードでは、これがそのまま逆転する。すなわち外部に存在するリーダ/ライタ1013から送信される変調信号(図2(3))に対して、入力インピーダンスを変化させることで、リーダ/ライタ1013に対して出力を行う。
【0039】
バッテリーレスモードもカードモード同様ではある。ただし、リーダ/ライタ1013から供給される変調信号(図3(5))より電力を取り出し、携帯電話機1011が自身で電源電圧を生成し、その電圧で変調信号の出力動作(図3(6))を行う。
【0040】
上記でも分かるが、R/Wモードでは自身でアンテナを駆動する必要があるが、他の2つのモードではアンテナを駆動する必要が無い。したがって、カードモード及びバッテリーレスモードは低消費電力で動作することが可能である。これはカードモード及びバッテリーレスモードでは共振回路1011cの動作が不要な点が理由である。
【0041】
しかし、バッテリーレスモードではリーダ/ライタ1013より供給される信号により動作電圧を生成するため、特に低消費電流動作を必要とする。低消費電流動作が実現できない場合には、そもそも通信自体が不可能となる。
【0042】
また、カードモードであっても、外部電源は携帯電話機1011の二次電池から採られていることがほとんどである。携帯電話機1011自体の駆動時間の点を考慮すると、消費電力が大きくなることは好ましくない。
【0043】
このように、バッテリーレスモードに対応すること等を考えると、従来回路のような大電流ASK信号受信回路の使用は適切ではない。また、回路構成的にも、カードモード及びバッテリーレスモードに最適なものとは言えない。
【0044】
また、複数の仕様をR/W用半導体装置Ch1で実現しようとすると、複数の変調方式に対応する必要がある。
【0045】
例えば、変調方式として振幅変調(ASK)しか使わない場合を想定する。ASKにおいては、変調無し(振幅大)の振幅をA、変調中(振幅小)の振幅をBとして、
((A−B)/(A+B))×100(%)
で規定される。
【0046】
このときB=0の場合、変調率は100%となる。この信号を「100%ASK」という。
【0047】
また、B=90の場合、変調率は10%となる。この信号を「10%ASK」という。
【0048】
このように、同一の変調方式であっても変調率が大きく異なれば、別個独立にASK信号受信回路を用意する、もしくは2つの変調率に対応したASK信号受信回路を用意する必要がある。
【0049】
しかし、2つの変調率に対応したASK信号受信回路は回路構成が複雑となり、また消費電流も大きくなる。
【0050】
また、別個独立に複数のASK信号受信回路を用意する場合、受信用端子RXINP、RXINNが2以上の組必要となる。これはR/W用半導体装置Ch1の外部出力ピン数を増やすこととなり、原価の上昇要因となる。
【0051】
同一のピンに二つの変調器を並列に接続することも問題がある。基本的に外部接続ピンにはサージ対策などでESD素子が接続されている。そのためピンより入力できる電位は制限され、電源電圧+Vth程度に制限される(入力ピンにESD素子がない場合でも内部回路の素子耐圧で制限される)。よって受信したい信号成分がクランプされないようにする必要がある。図24は例としてNFCで用いられる10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続し、両信号を復調可能にする回路の構成を示す回路図である。
【0052】
ASK受信用半導体回路は近距離から遠距離まで動作する必要がある。この際、リーダ/ライタとカードの距離によって、受信ピンにあらわれる振幅は異なる。10%ASK変調信号を受信するためには、近距離で最も大きい無変調振幅でも電源電圧+Vthを越えないように制御する必要がある。そのように制御すると遠距離では図7で見られるように小振幅になる。
【0053】
100%ASK変調信号の受信器として最も簡単な構成は、無変調振幅と変調振幅の間に閾値を設け、その閾値により無変調振幅/変調振幅と認識させることである。100%ASK変調信号の変調率の仕様は100%〜94.5%であり、変調時でも変調率94.5%の場合、振幅が残る。
【0054】
10%ASK変調信号を受信するためのピンでは距離によって無変調時にピンにあらわれる振幅が大きく異なる。近距離での変調度94.5%の変調振幅と、遠距離での無変調振幅の大きさが逆転する条件が発生する。つまり遠距離から近距離までを考えた時に無変調振幅と変調振幅の間に閾値がない。よって10%ASK変調器と100%ASK変調器を同じピンに接続した場合、複雑な回路構成により100%信号を受信する必要がある。
【0055】
もしRXINに10%ASK信号復調回路と100%ASK信号復調回路を接続すると、100%ASK信号復調回路を一つの閾値を持つ回路構成では実現できない。
【0056】
10%ASK信号復調回路は小振幅を復調する必要があるため現在の構成を変更しないとし、100%ASK信号復調回路を変更する。100%ASK信号復調回路に距離認識をさせて、100%ASK信号復調回路のスレッショルドを変更するような方法が考えられる。このようにRXINで全信号を受信させようとすると図24に見られるように現状の回路より複雑な処理が必要となる。
【0057】
(第1の実施の形態)
上記で説明したようにアンテナ共用時にR/Wモードでの動作を前提とすると、信号分離の目的で共振回路1011cを動かすことが必須となる。
【0058】
しかし、カードモード及びバッテリーレスモードでは、信号の分離を必要としない。自身は入力インピーダンスを変化させることを想定しており、積極的に出力を行っていないためである。
【0059】
また10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を別のピンで受信すると100%受信回路は非常に簡単にこの閾値を決めることができる。10%ASK信号を受信しないため近距離でも遠距離でも無変調振幅をESD素子(or整流回路&クランプ回路)でクランプさせることができる。クランプ電圧よりも少し低い電位に簡単に閾値を設けることができる。
【0060】
本発明においては、2つの受信回路を用意し、1つを従来どおり受信用端子RXINP、RXINNをインターフェースとする。また、残りの1つの受信回路を送信用端子TP、TNを用いる事で、R/W用半導体装置Ch1の外部出力ピン数を増やすことなく対応することを可能とする。
【0061】
図5は本発明の第1の実施の形態における携帯電話機111のNFCの構成を表す概念図である。また、図6は本発明の第1の実施の形態における携帯電話機111のNFCの構成の詳細を表す回路図である。図5と図6は同じものを表しており、構成要素の番号の同じものには同じ番号を付している。また、ある構成要素が内包する構成要素には同じ番号の後ろに更に番号を付する形としている(例:10%ASK用ASK信号受信回路111aとそれに含まれる10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2)。
【0062】
この携帯電話機111のNFCは、10%ASK用ASK信号受信回路111a、R/W動作用送信ドライブ回路111b、共振回路111c及び100%ASK用ASK信号受信回路111dを含んで構成される。
【0063】
この回路では10%ASK用ASK信号受信回路111aを受信用端子RXINP、RXINNに接続する。一方、100%ASK用ASK信号受信回路111dは、R/W動作用送信ドライブ回路111bと並列に接続する形で、送信用端子TP、TNに接続される。
【0064】
10%ASK用ASK信号受信回路111aは、R/W用半導体装置Ch1内外の回路により構成されるASK信号受信回路である。
【0065】
R/W動作用送信ドライブ回路111bは、R/W動作時にアンテナより電波を送信するためのドライバである。
【0066】
共振回路111cはアンテナLantからの入力信号とR/W動作用送信ドライブ回路111bによる送信信号を分離するための回路である。
【0067】
100%ASK用ASK信号受信回路111dは、R/W用半導体装置Ch1内外の回路により構成されるASK信号受信回路である。これが、R/W動作用送信ドライブ回路111bと並列に送信用端子TP、TNに接続されている点が本発明の特徴である。
【0068】
次に図6を用いて本発明の構成を詳細に説明する。
【0069】
10%ASK用ASK信号受信回路111aは大別すると、10%ASK信号復調回路111a−1と10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2を含んで構成される。さらに10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2は正極側と負極側で10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2pと10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2nを含んで構成される。10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2pと10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2nの回路構成は同一であるため(接続端子の相違のみ)、特に説明においては区別しない。
【0070】
10%ASK信号復調回路111a−1は10%ASK信号を復調する回路である。詳細については図10に関連して述べる。
【0071】
10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2p、111a−2nは、受信用端子RXINP、RXINNをコントロールするための制御回路である。これらの内部には、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1、ESD111a−2−2、可変前段引き抜き回路111a−2−3、ダイオード接続MOS111a−2−4が含まれる。
【0072】
抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1は入力信号を整合するための分圧回路である。この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1はR/W用半導体装置Ch1内部の抵抗Ra1だけでなく、R/W用半導体装置Ch1外の抵抗Ra2及びキャパシタCrがその構成に含まれる。
【0073】
これらの抵抗Ra1及びRa2によりアンテナ端子の信号振幅をアッテネートする。この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1による減衰は単純な抵抗分圧によるものであり搬送波振幅の大小にかかわらず一定の割合で減衰されることとなる。
【0074】
図7は、この抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1による信号の減衰のイメージを表す波形図である。この図では、リーダ/ライタとカードの間の距離が遠い場合、近い場合、その中間の位置の場合、の3つの場合におけるアンテナ端子の波形及び減衰後の受信用端子RXINP、RXINNの波形を説明するものである。
【0075】
ASK信号変調度が等しい場合、リーダ/ライタとカードの間の距離が一番近いときが最も搬送波振幅が大きくなる。逆に距離が遠くなるほど搬送波信号の振幅が小さくなる。
【0076】
アッテネータを用いると距離の遠近に関わらず、一定の割合で減衰することとなるため、リーダ/ライタとカードの間の距離が遠ければ遠いほど、復調の条件は悪化することとなる。
【0077】
本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1と従来の抵抗分圧アッテネート回路の相違点は、以下の通りである。すなわち、従来の抵抗分圧アッテネート回路はこの回路だけで整合を取ろうとしていた。一方、本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1は、これだけではほとんど整合を取る機能が無い。すなわち、後段の可変前段引き抜き回路111a−2−3による引き抜きに整合を任せる構成を採る。
【0078】
信号振幅はRa1/(Ra1+Ra2)でアッテネートされる(Ra1、Ra2は図6の対応する抵抗の抵抗値)。したがって、抵抗Ra1の抵抗値を100kΩ、抵抗Ra2の抵抗値を1kΩとすると、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の減衰率は100/101となり、ほぼ抵抗分圧回路を動作させていない状況にすることも可能となる。本発明の抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1はこのような回路構成になっている(個々の抵抗値は外部回路構成、アンテナや通信する電力条件、対応する周波数などによって変化する)。
【0079】
また、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1をトリミング可能なように設計することも本発明の視野に含まれる。図28は本発明に関わる抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の別の形態を表す回路図である。この図のようにスイッチを切り替えることで接地抵抗の抵抗値を可変にし、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1の調整を行うことも本発明の射程に含める。
【0080】
ESD111a−2−2はサージ対策用の保護回路である。また、一定以上の電圧が10%ASK信号復調回路111a−1へ流れないようにクランプするための機能も有する。
【0081】
可変前段引き抜き回路111a−2−3は、引き抜き電流iA1を発生させるスイッチsw_d1と引き抜き電流iA2を発生させるスイッチsw_d2を含んで構成される。
【0082】
引き抜き電流iA1はダイオード接続されたMOS(DM1)の閾値電圧(Vth)付近から引き抜き始める電流である。MOS(DM1)の前段には抵抗Rbが挿入されている。これにより、端子電圧に比例する電流が引き抜き電流iA1として流れる。
【0083】
一方、引き抜き電流iA2はダイオード接続されたMOS(DM2)及び(DM3)を直列に接続した回路より引き抜く電流である。2段のダイオード接続の2段分の閾値電圧(2Vth)付近から引き抜き電流iA2は流れることとなる。引き抜き電流iA1と異なり抵抗が挿入されていないため、端子電圧の二乗電流が引き抜き電流iA2として流れる。
【0084】
このような回路構成を採ることで、受信用端子RXINP、RXINNに掛かる電圧が低いときには、いずれの引き抜き電流も発生せず、したがって減衰はなされない。これらの端子電圧が上昇し、閾値電圧(Vth)を越えると引き抜き電流iA1が流れ始める。さらに端子電圧が上昇し、閾値電圧(2Vth)を越えると引き抜き電流iA2が流れ始める。
【0085】
上述の通り、引き抜き電流iA1は線形性、引き抜き電流iA2は指数性(二乗性)を有する。これらを利用することで、電圧が高いときには減衰率を大きくし、電圧が低いときには減衰率を小さくすることが可能となる。図8はこの可変前段引き抜き回路111a−2−3の動作を表すグラフである。
【0086】
このように可変前段引き抜き回路111a−2−3を接続することで、入力端子にESD111a−2−2が接続されていても、近距離から遠距離の通信に応じて減衰率を変更することが可能となる。
【0087】
なお、図6の可変前段引き抜き回路111a−2−3の構成はあくまでも例示である。回路の構成によっては、より詳細に制御することも可能である。図26は可変前段引き抜き回路111a−2−3の別の構成を表す回路図である。図27は可変前段引き抜き回路111a−2−3の別の構成を表す回路図である。これらのように引き抜き段数を増加させる変形をしたとしても本発明の適用は可能である。
【0088】
ダイオード接続MOS111a−2−4はアンテナ方向から10%ASK信号復調回路111a−1へ電流の流れを制限するための整流回路である。また、このダイオード接続MOS111a−2−4により包絡線検波を実施し、信号成分のみの抽出が可能となる。
【0089】
本発明の構成を採ることでどのような効果が現れるか説明する。
【0090】
図9は、本発明の第1の実施の形態に関わる信号の減衰のイメージを表す波形図である。この図は図7と対応しており、アンテナ端子側の入力信号は図7と同じ波形である。
【0091】
この図9では、入力信号が同じ図7に対し、出力信号は図7と相違する。すなわち、図7では、カードとリーダ/ライタ間の距離に付いて全ての条件で一定の割合で信号が減衰していた。
【0092】
これに対し、本発明に関わる図9では、遠距離(図9上段右)で引き抜き電流iA1及び引き抜き電流iA2が生じず、ほとんど信号が減衰されない。これは入力される信号の電圧が閾値電圧(Vth)に届かないためである。
【0093】
一方中距離(図9中段右)及び近距離(図9下段右)において減衰しない場合は、ESD111a−2−2のダイオードで電圧がクランプされてしまい、信号振幅がほぼ無い状態になる。また、多少減衰させても搬送波振幅が大きいため復調可能である。したがって、これら二つの状態では、減衰を行う。
【0094】
この際、引き抜き電流iA1及び引き抜き電流iA2の大きさの相違により、減衰率も相違することとなる。
【0095】
アンテナの形状や外部回路構成などにより、受信用端子RXINP、RXINNの受信搬送波振幅は大きく変動する。そのため、大きくレベルを変化させる場合には、抵抗分圧アッテネート回路により全体を最適な受信電圧レベルにすることが必要となる。
【0096】
このリーダ/ライタとの距離の変化による搬送波振幅(及び信号振幅)の変化には可変前段引き抜き回路111a−2−3により対応し、また、抵抗分圧アッテネート回路111a−2−1もトリミングにより、強度を変更することが可能となる。これにより多くの外部回路に対応することが可能となる。
【0097】
次に100%ASK用ASK受信回路111dについて説明する。
【0098】
100%ASK用ASK受信回路111dは大別すると、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1と100%ASK信号復調回路111d−2を含んで構成される。
【0099】
さらに、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1は、整流回路111d−1−1、クランプ回路111d−1−2、ダイオード接続MOS111d−1−3を含んで構成される。
【0100】
整流回路111d−1−1は、送信用端子TP、TNから入力される信号の整流を行う全波整流回路である。
【0101】
クランプ回路111d−1−2は、受信信号を一定の電圧でクランプするための回路である。クランプ回路111d−1−2により、安定した電圧電源VCCを供給することが可能となる。これにより、搬送波振幅がある時の、送信用端子TP、TNの電位はVCC+Vthd2(Vthd2はダイオード接続MOS111d−1―3の閾値電圧)となり、搬送波振幅が無いときには、VCC+Vthd2より電位が低下する。
【0102】
送信用端子TP、TNは、受信用端子RXINP、RXINNのようにアッテネート回路を接続していない。従って、13.56MHzで整合を取り通信可能なようにすれば、電位は必ずVCC+Vthd2になる。出力する搬送波のみの状態であれば電位はVCC+Vthd2となる。
【0103】
これらの整流回路111d−1−1とクランプ回路111d−1−2によりバッテリーレス動作時にチップが動作するための電源を供給することが可能となる。
【0104】
ダイオード接続MOS111d−1−3は包絡線検波を実施し、信号成分のみの抽出が可能とする回路である。
【0105】
次に、100%ASK信号受信端子コントロール回路111d−1が何故送信用端子TP、TNに接続されるかを説明する。
【0106】
アンテナが電波を受信すると、送信用端子TP、TNに電位差が生じる。整流回路111d−1−1のFET M2、M3はTP>TNの電位関係の時に動作して、TP→VCCに電流を供給する。FET M1、M4は逆にTP<TNの時に動作する。
【0107】
VCCには受信動作をするための回路が接続されている。したがって、VCCを一定に保つ必要がある。そのためVCCにはクランプ回路111d−1−2が接続され、VCCが一定電位になるように制御する。
【0108】
バッテリーレスモードで動作可能(近距離〜遠距離)ということは、VCC内部電流を整流回路より供給できている状態である。つまり、クランプ回路111d−1−2によってVCCが一定の電位に保たれている。
【0109】
VCCが一定電位に保たれていると、送信用端子TP、TNもほぼ一定電位に保たれる。クランプ回路111d−1−2はVCC+(FET M3の閾値電圧)程度に送信用端子TP、TNの電位を制御する。
【0110】
この状態で、100%ASK変調信号が入力されると、送信用端子TP、TNの電位はVCC+(FET M3の閾値電圧)よりも低くなり、整流回路111d−1−1から内部に電源を供給できない。100%ASK変調信号が入力されているときの消費電流はVCCに接続されている容量111d−1−4により供給する。
【0111】
無変調時には、整流回路111d−1−1及びクランプ回路111d−1−2は送信用端子TP、TNをVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位に固定する。一方、100%ASK変調信号が入力されている場合には、このVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位よりも低電位になる。
【0112】
よって、送信用端子TP、TNは100%ASK信号復調回路にとって、非常に復調しやすい電位変化をすることとなる。なぜなら、100%ASK信号復調回路111d−2はのVCC+(FET M3の閾値電圧)の電位よりも低い電位に閾値を設定することで簡単に復調動作を実現することが可能だからである。
【0113】
上記のような理由で、100%ASK用ASK信号受信回路111dを送信用端子TP、TNに接続した方が簡単な回路で本発明の実施が可能となる。
【0114】
本発明においては、カードからの送信を受信し、電位がこれよりも低下した状態になった時にVCC+Vthd2よりも低下したことを検知することで、100%ASK信号を受信する回路構成とする。このような簡易な構成を採ることで、100%ASK信号受信復調回路111d−2では10%ASK信号の受信を諦めることとなるが、これは10%ASK信号復調回路111a−1が存在するため、問題とはならない。
【0115】
次に、10%ASK信号復調回路111a−1について説明する。図10は10%ASK受信復調回路111a−1の構成を表す回路図である。
【0116】
10%ASK信号復調回路111a−1は変調信号のエッジ検出により復調を実施する回路である。10%ASK受信端子信号コントロール回路111a−2p、111a−2nの出力であるcline(図6参照)が10%ASK信号復調回路111a−1への入力信号となる。このclineにダイオード接続MOS111a−2−4で包絡線検波された信号が入力される。
【0117】
clineへの入力は、ローパスフィルタ111a−4−1において信号で高周波成分をカットし、結合容量により信号成分のエッジのみを増幅器amp1の入力Vinに伝える。
【0118】
続けて入力Vin以降のエッジ検出回路部分について説明する。
【0119】
10%ASK信号復調回路111a−1には、出力rf_about_15vにより決定される二つの状態がある。立ち下がりエッジ待機状態(rf_about_15v=L)、立ち上がりエッジ待機状態(rf_about_15v=H)である。
【0120】
rf_about_15v=Lでは、図10の電流i1が流れ、電流i2は流れない。そのため、増幅器amp1によりフィードバックが掛かったVinは参照電圧Vref1よりも高い電圧Vref1+V1で安定する。この状態が立ち下がりエッジ待機状態である。
【0121】
立ち下がりエッジ待機状態で上記V1以上の立ち下がりエッジがclineに入力されると出力rf_about_15v=Hとなり、立ち下がりエッジ待機状態に移行する。これを繰り返すことで、ASK信号を復調する。
【0122】
ASK信号は立ち上がりエッジの後に必ず立ち下がりエッジがあり、立ち下がりエッジの後には必ず立ち上がりエッジが発生する。つまり、必ず交互に立ち上がりエッジと立ち下がりエッジが生じるために、このように回路構成で復調を実現することが可能となる。
【0123】
ただし、10%ASK信号復調回路111a−1はエッジトリガで回路が動作するために、10%ASK信号を完全に復調する一方で、100%ASK信号を誤って復調することも考えられる。
【0124】
次に、100%ASK信号復調回路111d−2について説明する。図11は、本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の構成を表す回路図である。図12は、本発明で用いられる100%ASK信号復調回路の動作を説明するための概念図である。
【0125】
この回路では、エッジを用いる10%ASK信号復調回路111a−1と異なり、入力される信号(clka_ask)のL(低電位)期間の時間幅によってASK信号の検出/非検出の判定を実施する。
【0126】
clka_askがLになると、pause_lpf_outは容量C1に対して充電を開始する。pause_lpf_outがインバータの動作閾値よりも高くなると、図のrf_pause0、rf_pauseがHに、delay_lpf_outはLになる。
【0127】
次にclka_askがHになると、rf_pause0はLになり、delay_lpf_outは容量C2の充電を開始する。delay_lpf_outがインバータの閾値より高くなるとrf_pauseはLになり、rf_pause検出が終了する。図12の波形で表す時間ta分検知は遅れるものの、clka_askのL期間をほぼ正確に検出することが可能となる。
【0128】
また、100%ASK信号復調回路111d−2はレベルトリガで動作する。従って、100%ASK信号復調回路111d−2は100%ASK信号のみ完全に復調でき、10%ASK信号にはまったく動作させないことが可能となる。
【0129】
最後に、ASK信号受信回路後段の復調論理回路のR/Wモード、カードモード、バッテリーレスモードでの共有化方法を説明する。
【0130】
R/WモードでのASK信号受信回路は受信用端子RXINP、RXINNに接続されているため、ASK信号復調出力は10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力が同一で一端子出力であることが多い。しかし今回の低消費電流ASK信号受信回路は受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNに回路を分けて接続するため、10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力の二端子出力である。
【0131】
したがって、全モードで復調論理回路を共有化するためには10%ASK信号受信回路出力と100%ASK信号受信回路出力の両出力をまとめて一端子出力にする必要がある。
【0132】
図13は本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化のための回路図である。また、図14は本発明の第1の実施の形態に関わる復調論理回路共有化動作に関連する波形図である。さらに図25は復調論理回路共有化のための回路が回路全体の中でどのような位置づけにあるかを表す回路図である。
【0133】
本実施の形態では一端子出力に対応するために、遅延回路211、212、信号セレクト回路213、セレクト信号リセットパルス発生回路214で構成される。
【0134】
既に述べたとおり、10%ASK信号復調回路111a−1は10%ASK信号のみ完全に復調する一方で、100%ASK信号を誤って復調することも考えられる。逆に100%ASK信号復調回路111d−2は100%ASK信号のみ完全に復調でき、10%ASK信号にはまったく反応しない。
【0135】
具体的には、100%ASK信号で誤復調してはならない変調成分のオーバーシュート/アンダーシュートは10%ASK信号の変調成分よりも大きい。よって100%ASK信号のオーバーシュート/アンダーシュートに対して誤復調しない回路構成は、10%ASK信号では誤復調しない。
【0136】
ここでオーバーシュート/アンダーシュートについて説明する。
【0137】
図15は変調度10%と100%の変調波形を示す波形図である。また図16は各変調度波形のオーバーシュート/アンダーシュート仕様について示す概念図である。
【0138】
NFCで受信すべき信号は、Amplitude Shift Keying (ASK)信号である。変調度については、10%のtypeB、Felica(type C)と変調度100%のtypeAがある。ここでは符号化方式や伝送速度などにはふれず、変調度とその信号についてのみ示す。
【0139】
オーバーシュート/アンダーシュート仕様は基本的に変調信号成分の±10%の範囲である。このオーバーシュート/アンダーシュート信号で誤復調してはならない。変調度100%のオーバーシュート/アンダーシュート波形と変調度10%の信号の大きさを比べると、変調度100%のオーバーシュート/アンダーシュート波形の方が大きくなる。つまり10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を両方扱う時には、誤復調しやすい波形ができる。
【0140】
本発明で示した回路構成の100%ASK信号受信回路も100%ASK信号のオーバーシュート/アンダーシュートに対して誤復調しないため10%ASK信号では誤復調しない。
【0141】
一端子出力にするための回路について示す。10%ASK信号復調出力rf_about_15vと100%ASK信号復調出力rf_pauseは入力されると遅延回路により遅延した信号10%ASK信号復調出力delayと100%ASK信号復調出力delayが出力される。基本的に最初は10%ASK信号復調出力selectモードで動作している。よってセレクト信号リセットパルス発生回路214は10%ASK信号復調出力delay信号を選択し、askdoutに出力する。
【0142】
100%ASK信号が入力されるとセレクト信号リセットパルス発生回路214によりセレクト信号とリセットパルスが生成される。セレクト信号はセレクト回路213に入力され100%ASK信号復調出力delayをaskdoutとしてセレクト回路213は選択する。また復調論理回路220にも入力され、復調論理回路220に100%ASK信号復調出力が入力されることを伝える。
【0143】
セレクト信号リセットパルス発生回路214より出力されるリセットパルスは復調論理回路220に入力され、復調論理回路220にリセットがかかる。これを遅延回路211、212で遅延させている間に全て実施する。遅延時間を処理が完了するのに十分間に合うように回路設計者は回路設計をする。
【0144】
遅延回路211、212により、100%ASK信号復調出力の最初のパルスから確実に受信することができる。100%ASK信号を受信することはリセットがかかるまでの信号は、ノイズとみなせるため全て必要ない信号となる。よって、誤って復調する危険性を無くすことが可能となる。
【0145】
以上のように、10%ASK変調信号と100%ASK変調信号を別々の入力端子より受信することで、受信用端子RXINP、RXINNを10%ASK変調信号のみを受信するための最適設計をすることができ、また送信用端子TP、TNを100%ASK変調信号のみを受信するための最適設計をすることができる。
【0146】
受信用端子RXINP、RXINN1端子のみで10%変調ASK信号と100%変調ASK信号を受信する場合は、10%ASK変調信号の微小信号と、100%ASK変調信号の大信号を同時に受信できる端子振幅コントロール回路、復調回路が必要になる。どちらも最適に受信できる端子振幅コントロール回路を設計することは不可能なため、両方の信号を何とか受信できるような回路構成にする。よって端子振幅コントロール回路、ASK復調回路が複雑になり、設計が非常に難しくなる。
【0147】
本発明においては、2端子での受信にすることで、受信用端子RXINP、RXINNは10%ASK変調信号の微小信号受信のみを考慮した端子振幅コントロール回路、ASK復調回路の設計のみでよくなり、回路設計難易度が非常に低くなる。結果として、低消費電流、小面積設計を実現することができる。
【0148】
また同様に送信用端子TP、TNは100%ASK変調信号の大信号受信のみを考慮した端子振幅コントロール回路、ASK受信回路の設計のみでよくなり、回路設計難易度が低くなり、低消費電流、小面積設計を実現することができる。
【0149】
結果として、受信用端子RXINP、RXINNと送信用端子TP、TNをそれぞれのターゲットとする復調方式に対応した信号(上述では、ASKで説明しているがこれには拘らない)で受信しやすくするための端子振幅コントロール回路を接続できる。
【0150】
なお、上記では、R/W用半導体装置Ch1での実装を想定し説明したが、これに拘るものではない。R/W用送信ドライブ回路111bに代えて、バックスキャッタ用変調MOS111eに置き換えてカード用半導体装置Ch2(=カードに適用することを想定して設計されたものからリーダ/ライタ用にも使用できるようにした製品)に適用することも本発明の射程に含まれる。また、これまでの説明では、共振回路111cをR/W用半導体装置Ch1外に載置した。これに対し、共振回路111cをR/W用半導体装置Ch1内に搭載して、共通の端子をR/W用半導体装置Ch1の外部端子とし、内部で送信用端子TP、TN及び受信用端子RXINP、RXINNに分ける構成を取っても良い。図17は本発明の第1の実施の形態を適用したカード用半導体装置Ch2の構成を表す回路図である。図18は、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0151】
また、本発明は、外部の共振回路111cの構成を問わない。あくまでも共振回路の構成は、ここの機器及びそれに用いる通信方式に最適に対応したものであることを優先すべきである。図19は、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。この図では、これまでの図と別の共振回路111cを用いている。
【0152】
更には、上記では受信用端子RXINP、RXINN側に10%ASK用ASK信号受信回路111aを、送信用端子TP、TN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dをそれぞれ配置していた。これに対し、受信用端子RXINP、RXINN側に100%ASK用ASK信号受信回路111dを、送信用端子TP、TN側に10%ASK用ASK信号受信回路111aを配置するような構成にしても良い。図20は、このASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。なお、これは図18のカード用半導体装置の場合でも同様に適用することが可能となる。
【0153】
また上記では、NFCでの使用を想定していたが、それ以外の異なる通信方式に適用しても良い。図21は、このASK回路の配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0154】
更には、図4で表したように送信用端子TP、TNと受信用端子RXINP、RXINNそれぞれにアンテナを配置しても良い。図22は、このアンテナの配置の変更についての、本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。
【0155】
また、図6の100%ASK信号復調回路の接続先を変更することも考えられる。図23は100%ASK信号受信端子コントロール回路の変型を表す本発明の第1の実施の形態を適用した別のR/W用半導体装置Ch1の構成を表す回路図である。整流回路のダイオード接続MOSを用いてエンベロープ波形を生成することもできる。また100%ASK信号復調回路の入力に電荷引き抜き用電流源ib1を挿入しているが、内部消費電流があるためib1はなくても同様に動作する。
【0156】
これらの変形例も、当然に本発明の射程に含まれる。
【0157】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0158】
上記ではNFCで用いられるASK信号を受信するシステムについての適用について説明した。しかしこれだけには限らず、他の変調度を用いるASK変復調方式や、システムに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0159】
Ch1…R/W用半導体装置、Ch2…カード用半導体装置
111a−1…10%ASK信号復調回路、
111a−2、111a−2p、111a−2n
…10%ASK受信端子信号コントロール回路、
111a−2−1…抵抗分圧アッテネート回路、111a−2−2…ESD、
111a−2−3…可変前段引き抜き回路、
111a−2−4…ダイオード接続MOS、
111a−4−1…ローパスフィルタ、
111b…R/W動作用送信ドライブ回路、111c…共振回路、
111d…100%ASK用ASK信号受信回路
111d−1…100%ASK信号受信端子コントロール回路、
111d−1…整流回路、111d−1−2…クランプ回路、
111d−1−3…ダイオード接続MOS。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のASK変調信号を復調する第1の復調回路と、
前記第1のASK変調信号より変調度の小さい第2のASK変調信号を復調する第2の復調回路と、
前記第1の復調回路へ結合され、少なくとも前記第1のASK変調信号を受ける第1の入力ピンと、
前記第1の入力ピンと別個に設けられた、前記第2の復調回路へ結合され、少なくとも第2のASK変調信号を受ける第2の入力ピンとを有する無線通信用半導体装置。
【請求項2】
さらに前記第1の入力ピンを介して別途設けられたアンテナを駆動して、送信する変調信号を出力するドライバ回路を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信用半導体装置。
【請求項3】
前記第1の復調回路はレベルトリガで動作し、前記第2の復調回路がエッジトリガで動作することを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項4】
さらに復調論理回路共有化回路を有し、前記復調論理回路共有化回路は前記第1の復調回路と前記第2の復調回路のいずれが有効かを判断し、有効な受信回路の出力を用いて出力とすることを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項5】
前記第2の復調回路は引き抜き回路を有し、前記引き抜き回路を制御することで整合を取ることを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項6】
さらに前記第2の入力ピンを介して別途設けられたアンテナを駆動して、送信する変調信号を出力するドライバ回路を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信用半導体装置。
【請求項7】
前記第1のASK変調信号の変調度は100%であることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の無線通信用半導体装置。
【請求項8】
前記第2のASK変調信号の変調度は10%であることを特徴とする請求項7に記載の無線通信用半導体装置。
【請求項9】
第1のASK変調信号を復調する第1の復調回路と、第2のASK変調信号を復調する第2の復調回路と、変調信号を送信し発信するドライバ回路と、を有し、
前記第1の復調回路と前記第2の復調回路が並列に接続され、共用入力ピンからの入力信号を内部で分配して、前記第1の復調回路と前記第2の復調回路に入力する無線通信用半導体装置。
【請求項1】
第1のASK変調信号を復調する第1の復調回路と、
前記第1のASK変調信号より変調度の小さい第2のASK変調信号を復調する第2の復調回路と、
前記第1の復調回路へ結合され、少なくとも前記第1のASK変調信号を受ける第1の入力ピンと、
前記第1の入力ピンと別個に設けられた、前記第2の復調回路へ結合され、少なくとも第2のASK変調信号を受ける第2の入力ピンとを有する無線通信用半導体装置。
【請求項2】
さらに前記第1の入力ピンを介して別途設けられたアンテナを駆動して、送信する変調信号を出力するドライバ回路を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信用半導体装置。
【請求項3】
前記第1の復調回路はレベルトリガで動作し、前記第2の復調回路がエッジトリガで動作することを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項4】
さらに復調論理回路共有化回路を有し、前記復調論理回路共有化回路は前記第1の復調回路と前記第2の復調回路のいずれが有効かを判断し、有効な受信回路の出力を用いて出力とすることを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項5】
前記第2の復調回路は引き抜き回路を有し、前記引き抜き回路を制御することで整合を取ることを特徴とする請求項2記載の無線通信用半導体装置。
【請求項6】
さらに前記第2の入力ピンを介して別途設けられたアンテナを駆動して、送信する変調信号を出力するドライバ回路を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信用半導体装置。
【請求項7】
前記第1のASK変調信号の変調度は100%であることを特徴とする請求項1−6のいずれか1項に記載の無線通信用半導体装置。
【請求項8】
前記第2のASK変調信号の変調度は10%であることを特徴とする請求項7に記載の無線通信用半導体装置。
【請求項9】
第1のASK変調信号を復調する第1の復調回路と、第2のASK変調信号を復調する第2の復調回路と、変調信号を送信し発信するドライバ回路と、を有し、
前記第1の復調回路と前記第2の復調回路が並列に接続され、共用入力ピンからの入力信号を内部で分配して、前記第1の復調回路と前記第2の復調回路に入力する無線通信用半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−114791(P2012−114791A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263516(P2010−263516)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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