説明

無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法

【課題】無線通信システムにおいて、モデムをリセットする際に、可用性が低下しない無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法を提供すること。
【解決手段】情報処理装置に取り付けられる無線通信装置であって、無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部における異常を正常化させる異常処理部とを備え、前記異常処理部は、前記無線通信部における異常を検出すると、前記情報処理装置に対し、一時的不通と認識させる信号を入力してから、前記無線通信部を正常化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末装置や基地局装置等を用いた無線通信システムが利用されている。近年では、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)やLTE(Long Term Evolution)等の通信規格が適用されたワイヤレスブロードバンドと呼ばれる無線通信システムが知られている。
【0003】
無線通信システムに用いられる無線端末装置は、一般に、モデム(modem)を有する。モデムは、例えば、デジタル信号を無線信号に変調するデータ送信処理を行い、基地局装置等から受信した無線信号をデジタル信号に復調するデータ受信処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/101370号
【特許文献2】特開2010−41648号公報
【特許文献3】特開2000−278206号公報
【特許文献4】特開2000−148624号公報
【特許文献5】特開平11−232194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の無線通信システムには、可用性(availability)が低下する場合があるという問題がある。かかる問題について、以下に具体的に説明する。
【0006】
無線端末装置及び基地局装置は、コネクションを確立した後に、例えば、各種制御メッセージを送受することで相互の状態を管理し、無線通信を維持する。しかし、無線通信の不安定性等の理由により、無線端末装置の状態と基地局装置の状態との間に不整合が発生する場合がある。かかる不整合は、例えば、無線端末装置及び基地局装置との間で各種制御メッセージが正しい順序で送受されない場合等に発生する。このような不整合が発生した場合に、無線端末装置は、モデムをリセットすることで、基地局装置とのコネクションを再度確立することがある。
【0007】
ここで、リセットされたモデムは、初期化処理(Initialization)を行った後に、無線端末装置と無線通信を行うことができる基地局装置を探索する処理や、探索された基地局装置の中から所望の基地局装置との間でコネクションを確立する処理等を行う。このように、モデムのリセット時にはモデムによって複数の処理が行われるので、無線端末装置と基地局装置との無線通信が再開されるまでに時間がかかる。また、無線端末装置は、モデムをリセットした場合に、無線通信が途絶えたことを画面上に表示することで、ユーザに無線通信の再接続を促すことがある。すなわち、無線端末装置は、無線通信が途絶えたことをユーザに認識させることになる。以上のことから、従来の無線通信システムには、モデムをリセットする際に、可用性が低下するという問題がある。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、モデムをリセットする際に、無線通信の可用性が低下しない無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する無線通信装置は、一つの態様において、情報処理装置に取り付けられる無線通信装置であって、無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部における異常を正常化させる異常処理部とを備え、前記異常処理部は、前記無線通信部における異常を検出すると、前記情報処理装置に対し、一時的不通と認識させる信号を入力してから、前記無線通信部を正常化させる。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法の一つの態様によれば、モデムをリセットする際に、無線通信の可用性が低下しないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例1における基地局装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例1における移動端末装置の構成例を示す図である。
【図4】図4は、接続パラメータ記憶部の一例を示す図である。
【図5】図5は、ネットワークディスカバリ実行指示のフォーマット例を示す図である。
【図6】図6は、ネットワークエントリ実行指示のフォーマット例を示す図である。
【図7】図7は、受信電力レポート実行指示のフォーマット例を示す図である。
【図8】図8は、受信電力レポート応答のフォーマット例を示す図である。
【図9】図9は、状態通知のフォーマット例を示す図である。
【図10】図10は、実施例1に係る無線通信システムによる処理手順を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、実施例1に係る無線通信システムによる処理手順を示すシーケンス図である。
【図12】図12は、異常処理部による処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、実施例2における基地局装置の構成例を示す図である。
【図14】図14は、実施例2に係る無線通信システムによる処理手順を示すシーケンス図である。
【図15】図15は、図3に示したホストコンピュータ部のハードウェア構成例を示す図である。
【図16】図16は、図3に示したモデム部のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法が限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、本願の開示する無線通信システムにWiMAXが採用された例を示すが、本願の開示する無線通信システムは、WiMAX以外のLTE等が採用された場合にも適用することができる。
【実施例1】
【0013】
[実施例1に係る無線通信システムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係る無線通信システムについて説明する。図1は、実施例1に係る無線通信システムの構成例を示す図である。図1に示した無線通信システムSY1は、通信規格としてWiMAXが適用されているものとする。図1に示すように、無線通信システムSY1は、プロバイダ網2と、ASN(Access Service Network)3と、移動端末装置(MS:Mobile Station)100とを含む。なお、ここでは無線端末装置として移動端末装置を例示しているが、無線端末装置として固定端末装置を用いてもかまわない。
【0014】
プロバイダ網2は、例えば、ISP(Internet Services Provider)等によって提供されるネットワーク網である。図1に示した例では、プロバイダ網2には、GW(Gateway)2aとサーバ2bとが設置されている。
【0015】
GW2aは、プロバイダ網2と、プロバイダ網2以外の他のネットワークとの間でデータを流通させる。図1に示した例では、GW2aは、後述するASN−GW(Access Service Network Gateway)3aと接続されており、プロバイダ網2とASN3との間でデータを流通させる。
【0016】
サーバ2bは、各種サービスを提供する。図1に示した例では、サーバ2bは、サーバアプリケーションが動作している。サーバアプリケーションは、例えば、FTP(File Transfer Protocol)サーバ等であり、各種サービスを提供する。
【0017】
ASN3は、例えば、WiMAX等の無線通信システムを管理する通信事業者等によって提供されるネットワーク網である。図1に示した例では、ASN3には、ASN−GW3aと、基地局装置(BS:Base Station)10a及び10bとが設置されている。
【0018】
ASN−GW3aは、ASN3と、ASN3以外の他のネットワークとの間でデータを流通させる。図1に示した例では、ASN−GW3aは、GW2aと接続されており、ASN3とプロバイダ網2との間でデータを流通させる。
【0019】
基地局装置10a及び10bは、所定の広さを有する無線通信領域であるセルを形成し、自局が形成するセル内に位置する移動端末装置100との間で無線通信を行う。図1に示した例では、基地局装置10aは、自局が形成するセル内に位置する移動端末装置100との間で無線通信を行う場合がある。
【0020】
移動端末装置100は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機等であり、基地局装置10a又は10bとの間で無線通信を行う。移動端末装置100は、基地局装置10a又は10bと無線通信を行うことにより、サーバ2bによって提供される各種サービスを享受する。
【0021】
このような移動端末装置100は、基地局装置10a等と無線通信を行うモデムを有する。かかるモデムは、例えば、基地局装置10aとの間で各種制御メッセージを送受することで、コネクションを確立する。また、モデムは、基地局装置10aとのコネクションを確立した後に、基地局装置10aとの間で各種制御メッセージを送受することで、基地局装置10aとの無線通信を維持する。
【0022】
しかし、移動端末装置100の状態と基地局装置10aの状態との間に不整合が発生する場合がある。このような不整合が発生した場合に、移動端末装置100は、モデムによる処理に異常が発生したと判定し、モデムをリセットする。なお、ここでいう「モデムによる処理の異常」とは、例えば、移動端末装置100の状態と基地局装置の状態との間に不整合が発生した状態や、モデム内のファームウェアがフリーズした状態等を示し、モデムをリセットした場合には、解消する異常を示す。以下では、「モデムによる処理の異常」を単に「モデムの異常」と表記する場合がある。
【0023】
ここで、実施例1における移動端末装置100において、モデムに異常が発生した場合に、モデムは一時的不通話状態を示す偽の信号を生成する。そして、モデムのリセットが完了してから、モデムは一時的不通話状態で無くなったことを示す偽の信号を生成する。これにより、移動端末装置100は、上位のアプリケーションにおいてモデムのリセットを意識することなく、モデムをリセットできる。そのため、モデムのリセットに伴う可用性の定価を回避できる。また、移動端末装置100は、モデムに異常が発生する前に基地局装置10aとの間でコネクションを確立した場合に、かかるコネクション確立に用いた各種接続パラメータを保持しておく。そして、移動端末装置100は、モデムに異常が発生した場合に、モデムの初期化後に、保持しておいた各種接続パラメータを用いて、基地局装置10aとのコネクションを確立する。これにより、移動端末装置100は、基地局装置10aとの通信を短時間で再開することができる。
【0024】
[実施例1における基地局装置の構成]
次に、図2を用いて、実施例1における基地局装置について説明する。図2は、実施例1における基地局装置の構成例を示す図である。図2に示した基地局装置10は、図1に示した基地局装置10a及び10bに対応する。図2に示すように、基地局装置10は、ベースバンド処理部11と、バックボーン送受信部12と、通信制御部13と、データ送受信部14とを有する。
【0025】
ベースバンド処理部11は、移動端末装置100との間で送受する無線信号に対してベースバンド処理を行う。具体的には、ベースバンド処理部11は、移動端末装置100から受信した無線信号を復調する。そして、ベースバンド処理部11は、復調信号に含まれる制御メッセージを通信制御部13に出力し、復調信号に含まれるユーザデータをデータ送受信部14に出力する。また、ベースバンド処理部11は、通信制御部13及びデータ送受信部14から入力される制御メッセージやユーザデータを変調し、変調後の無線信号を図示しないアンテナを介して外部に送信する。
【0026】
バックボーン送受信部12は、バックボーンネットワークを介して、ASN−GW3aや他の基地局装置との間で各種メッセージを送受する。具体的には、バックボーン送受信部12は、ASN−GW3aや他の基地局装置から受信した制御メッセージを通信制御部13に出力し、ASN−GW3aや他の基地局装置から受信したユーザデータをデータ送受信部14に出力する。また、バックボーン送受信部12は、通信制御部13及びデータ送受信部14から入力される制御メッセージやユーザデータをASN−GW3aや他の基地局装置に送信する。なお、バックボーン送受信部12は、ASN−GW3aや他の基地局装置と有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。
【0027】
通信制御部13は、移動端末装置100やASN−GW3aとの間で制御メッセージを送受することにより、移動端末装置100との間における無線通信を制御する。具体的には、通信制御部13は、ベースバンド処理部11を介して移動端末装置100との間で制御メッセージを送受する。また、通信制御部13は、バックボーン送受信部12を介してASN−GW3aや他の基地局装置との間で制御メッセージを送受する。
【0028】
データ送受信部14は、移動端末装置100から受信したユーザデータを他の移動端末装置に送信したり、他の移動端末装置から受信したユーザデータを移動端末装置100に送信したりする。例えば、データ送受信部14は、ベースバンド処理部11を介して移動端末装置100から他の移動端末装置宛のユーザデータを受信する。このとき、データ送受信部14は、ユーザデータの宛先が他の基地局装置が形成するセル内に位置する移動端末装置である場合には、かかるユーザデータをバックボーンネットワークに準拠したパケット形式に変換する。そして、データ送受信部14は、パケット形式を変換した後のデータパケットをバックボーン送受信部12を介して他の基地局装置に送信する。また、データ送受信部14は、バックボーン送受信部12から移動端末装置100宛のデータパケットを受信した場合には、かかるデータパケットを無線フレーム形式に変換し、変換後の無線フレームを移動端末装置100に送信する。
【0029】
[実施例1における移動端末装置の構成]
次に、図3を用いて、実施例1における移動端末装置100について説明する。図3は、実施例1における移動端末装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、移動端末装置100は、ホストコンピュータ部110と、モデム部120とを有する。また、モデム部120は、無線通信部130と、異常処理部140と、接続パラメータ記憶部150とを有する。
【0030】
ホストコンピュータ部110は、例えば、パーソナルコンピュータや、携帯電話機等の情報処理装置であり、通信アプリケーションを実行する。図3に示すように、ホストコンピュータ部110は、コネクション管理部111と、オペレーティングシステム(Operating System)部112と、通信アプリケーション部113とを有する。
【0031】
コネクション管理部111は、無線通信部130を制御することで、無線通信部130と基地局装置10との間で確立されるコネクションを管理する。これにより、移動端末装置100は、移動端末装置100と基地局装置10との間で行われる無線通信を開始及び維持する。コネクション管理部111は、たとえば、モデム部120に対応するデバイスドライバ(Device Driver)、および、モデム部120の管理アプリケーションを含む形態で実現される。
【0032】
具体的には、コネクション管理部111は、基地局装置10との間で無線通信を開始する場合に、無線通信部130に対して、移動端末装置100と無線通信を行うことができる基地局装置を探索する処理を行うように指示する。このとき、コネクション管理部111は、1以上の中心周波数とバンド幅(帯域幅)との組み合わせや、所定の周波数の範囲を無線通信部130に送信する。なお、以下では、基地局装置を探索する処理を「ネットワークディスカバリ(Network Discovery)」と表記する場合がある。
【0033】
また、コネクション管理部111は、ネットワークディスカバリにおいて探索された基地局装置の中から所望の基地局装置を選択する。例えば、コネクション管理部111は、探索された基地局装置のうち、無線通信部130によって測定された電波強度が最も高い信号を送信した基地局装置を選択する。または、コネクション管理部111は、探索された基地局装置の中のうち、ユーザによって利用されるサービスを提供している基地局装置を選択する。そして、コネクション管理部111は、無線通信部130に対して、選択した基地局装置との間でコネクションを確立するように指示する。このとき、コネクション管理部111は、選択した基地局装置を識別する識別情報であるBSID(Base Station Identification)を無線通信部130に送信する。なお、以下では、基地局装置とのコネクションを確立することでASN3に接続する処理を「ネットワークエントリ(Network Entry)」と表記する場合がある。
【0034】
また、コネクション管理部111は、無線通信部130と基地局装置とのコネクションが確立された後に、無線通信部130に対して、移動端末装置100の近隣に所在する近隣基地局装置から受信する信号の電波強度を測定するように指示する。なお、以下では、近隣基地局装置から受信する信号の電波強度を測定する処理を「受信電力レポート」と表記する場合がある。
【0035】
また、コネクション管理部111は、上記の処理以外にも、移動端末装置100と基地局装置との間における無線通信に関する各種処理を行うように無線通信部130に指示する。例えば、コネクション管理部111は、無線通信部130に対してサービスフローの設定などを指示する。
【0036】
なお、実施例1におけるコネクション管理部111は、異常処理部140を介して、ネットワークディスカバリ実行指示や、ネットワークエントリ実行指示や、受信電力レポート実行指示等を無線通信部130の通信制御部132に送信する。すなわち、異常処理部140は、コネクション管理部111によって送信されるネットワークディスカバリ実行指示や、ネットワークエントリ実行指示や、受信電力レポート実行指示等を通信制御部132に中継する処理を行う。
【0037】
オペレーティングシステム部112は、ホストコンピュータ部110において、通信アプリケーション部113を動作させる環境を提供する。例えば、オペレーティングシステム部112は、通信アプリケーション部113に対して、無線通信部130を介した基地局装置10へのアクセス機能を提供する。図3に示すように、オペレーティングシステム部112は、論理インタフェース部112aを有する。
【0038】
論理インタフェース部112aは、オペレーティングシステム部112と無線通信部130との間においてデータを送受する論理的なインタフェースである。例えば、オペレーティングシステム部112は、論理インタフェース部112aを介して、無線通信部130によって形成される通信リンクにデータを送信する。また、オペレーティングシステム部112は、論理インタフェース部112aを介して、無線通信部130によって形成される通信リンクからデータを受信する。
【0039】
通信アプリケーション部113は、オペレーティングシステム部112によって提供される通信機能を用いて、基地局装置10との間でデータの送受を行い、かかるデータに対して信号処理を行う。図3に示すように、通信アプリケーション部113は、通信ポート114によってオペレーティングシステム部112と接続される。通信ポート114は、例えば、ソケット(socket)であり、論理インタフェース部112aに対応付けて、オペレーティングシステム部112によって形成される。
【0040】
ここで、ホストコンピュータ部110における処理について簡単に説明する。オペレーティングシステム部112は、無線通信を開始する場合に、かかる無線通信に対応する論理インタフェース部112a及び通信ポート114を形成する。そして、コネクション管理部111は、無線通信部130を制御することにより、所望の基地局装置との間でコネクションを確立する。通信アプリケーション部113は、通信ポート114が形成されることにより、通信ポート114と論理インタフェース部112aを介して、無線通信部130にアクセスする。これにより、通信アプリケーション部113は、無線通信部130を介して、基地局装置との間でデータの送受を行うことが可能になる。
【0041】
なお、オペレーティングシステム部112は、無線通信部130がリセットされる場合に、通信ポート114や論理インタフェース部112aを再形成する。すなわち、通信アプリケーション部113は、基地局装置との間でデータの送受を行っている途中であっても、無線通信部130がリセットされると、通信ポート114や論理インタフェース部112aを認識できなくなる。かかる場合に、通信アプリケーション部113は、基地局装置との通信セッションを終了し、無線通信が途絶えたことをユーザに通知する。例えば、通信アプリケーション部113は、図示しない表示部等に無線通信が途絶えた旨を表示する。これにより、通信アプリケーション部113は、ユーザに対して、無線通信を再開する操作を行うように促す。
【0042】
次に、モデム部120は、前述のように、無線通信部130と、異常処理部140と、接続パラメータ記憶部150とを備える。無線通信部130は従来のモデムが備える機能に相当し、異常処理部140と接続パラメータ記憶部150とは本実施例において追加された機能である。モデム部120は、ホストコンピュータ部110に対して無線によるデータ通信機能を提供する装置である。モデム部120は、デジタル信号をアナログ信号である無線信号に変換して送信するとともに、受信した無線信号をデジタル信号に変換する。モデム部120は、移動端末装置100に内蔵される形態であってもよいし、USB(Universal Serial Bus)等によってホストコンピュータ部110に取り付けられる形態であってもよい。無線通信部130は、基地局装置10と無線通信を行う通信部である。具体的には、無線通信部130は、ホストコンピュータ部110によって生成されたデジタル信号を無線信号に変調して、変調後の無線信号を図示しないアンテナを介して外部に送信する。また、無線通信部130は、図示しないアンテナによって受信された無線信号をデジタル信号に復調することで受信処理を行う。
【0043】
かかる無線通信部130は、図3に示すように、ベースバンド処理部131と、通信制御部132と、データ送受信部133とを有する。ベースバンド処理部131は、通信相手先の基地局装置10から受信したフレームに同期し、基地局装置10との間で送受する無線信号に対してベースバンド処理を行う。具体的には、ベースバンド処理部131は、基地局装置10から受信した無線信号を復調する。そして、ベースバンド処理部131は、復調信号に含まれる制御メッセージを通信制御部132に出力し、復調信号に含まれるユーザデータをデータ送受信部133に出力する。また、ベースバンド処理部131は、通信制御部132及びデータ送受信部133から入力される制御メッセージやユーザデータを変調し、変調後の無線信号を図示しないアンテナを介して外部に送信する。
【0044】
通信制御部132は、基地局装置10との間で制御メッセージを送受することにより、基地局装置10との間でコネクションを確立し、基地局装置10との間における無線通信を維持する。具体的には、通信制御部132は、コネクション管理部111から各種実行指示を受け付けた場合に、かかる実行指示に従って各種処理を実行し、実行結果を示す状態通知をコネクション管理部111に送信する。
【0045】
例えば、通信制御部132は、基地局装置との間で無線通信が開始される場合に、コネクション管理部111から、異常処理部140を介してネットワークディスカバリ実行指示を受け付ける。かかる場合に、通信制御部132は、ネットワークディスカバリ実行指示に含まれる中心周波数等の情報に基づいて、移動端末装置100と無線通信を行うことができる基地局装置を探索する。そして、通信制御部132は、ネットワークディスカバリが完了した後に、状態通知として、ネットワークディスカバリの実行結果を含むディスカバリ完了通知をコネクション管理部111に送信する。
【0046】
また、例えば、通信制御部132は、コネクション管理部111から、異常処理部140を介してネットワークエントリ実行指示を受け付けた場合には、ネットワークエントリ実行指示に含まれるBSIDが示す基地局装置との間でコネクションを確立する。そして、通信制御部132は、状態通知として、ネットワークエントリの実行結果を含む接続完了通知をコネクション管理部111に送信する。
【0047】
ここで、通信制御部132によって行われるネットワークエントリについて具体的に説明する。ここでは、通信制御部132は、ネットワークエントリを行うことにより基地局装置10との間でコネクションを確立するものとする。通信制御部132は、まず、基地局装置10からDL−MAP(Downlink MAP)メッセージ及びUL−MAP(Uplink MAP)メッセージを受信する。これにより、通信制御部132は、サブフレームのマッピング情報を取得する。続いて、通信制御部132は、基地局装置10からDCD(Downlink Channel Descriptor)メッセージ及びUCD(Uplink Channel Descriptor)メッセージを受信する。これにより、通信制御部132は、各種システムパラメータを取得する。
【0048】
続いて、通信制御部132は、基地局装置10との間で、RNG−REQ(Ranging Request)メッセージ及びRNG−RSP(Ranging Response)メッセージを送受する。続いて、通信制御部132は、基地局装置10との間で、SBC−REQ(SS Basic Capability Request)メッセージ及びSBC−RSP(SS Basic Capability Response)メッセージを送受する。続いて、通信制御部132は、PKM−REQ(Privacy Key Management Request)メッセージ及びPKM−RSP(Privacy Key Management Response)メッセージを送受する。続いて、通信制御部132は、REG−REQ(Registration Request)メッセージ及びREG−RSP(Registration Response)メッセージを送受する。
【0049】
なお、無線通信システムSY1の仕様によっては、上記のメッセージのうち、移動端末装置100と基地局装置10との間で送受されないメッセージも存在する。例えば、無線通信システムSY1の仕様が認証不要である場合には、移動端末装置100と基地局装置10とは、PKM−REQメッセージ及びPKM−RSPメッセージを送受しない。
【0050】
また、例えば、通信制御部132は、異常処理部140を介して、コネクション管理部111から受信電力レポート実行指示を受け付けた場合には、近隣基地局装置から受信する信号の電波強度を測定する。そして、通信制御部132は、状態通知として、電波強度の測定結果を含む受信電力レポート応答をコネクション管理部111に送信する。
【0051】
このとき、通信制御部132は、電波強度の測定結果によっては、ハンドオーバ(HO:Hand Over)を行う。なお、ハンドオーバは、「ネットワークリエントリ(Network Re-Entry)」とも呼ばれる。ネットワークリエントリは、ネットワークエントリにおける手順を簡略した手順であり、例えば、基地局装置との間でRNG−REQメッセージ及びRNG−RSPメッセージを送受することで完了する場合がある。
【0052】
データ送受信部133は、基地局装置10との間でユーザデータを送受する。具体的には、データ送受信部133は、ホストコンピュータ部110から受信したユーザデータを無線フレーム形式に変換し、変換後の無線フレームをベースバンド処理部131を介して基地局装置10に送信する。また、データ送受信部133は、ベースバンド処理部131から入力された復調後のフレームからユーザデータを抽出し、抽出したユーザデータをホストコンピュータ部110に送信する。
【0053】
異常処理部140は、無線通信部130による処理に異常が発生した場合に、コネクション管理部111による無線通信部130に対する制御を停止させる。そして、異常処理部140は、無線通信部130を初期化した後に、接続パラメータ記憶部150に記憶されている接続情報により基地局装置とのコネクションを確立するように無線通信部130を制御する。
【0054】
具体的には、異常処理部140は、コネクション管理部111と通信制御部132との間で送受される各種実行指示やメッセージに含まれる各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納する。例えば、異常処理部140は、基地局装置とのコネクションを確立する際に用いられた接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納する。
【0055】
また、異常処理部140は、無線通信部130を監視し、無線通信部130に異常が発生したことを検知した場合には、コネクション管理部111に対して、無線通信部130が正常であるものの一時的に利用することができない状態である旨を通知する。すなわち、異常処理部140は、無線通信部130に異常が発生した場合であっても、コネクション管理部111に対しては、無線通信部130が異常であることを隠蔽する。これにより、異常処理部140は、コネクション管理部111による無線通信部130の制御を停止させる。
【0056】
例えば、異常処理部140は、実際には無線通信部130によってハンドオーバが実行されていないにもかかわらず、無線通信部130によってハンドオーバが実行されている旨をコネクション管理部111に通知する。これにより、異常処理部140は、無線通信部130を一時的に利用できない旨をコネクション管理部111に通知することができる。また、例えば、異常処理部140は、実際には無線通信部130によって受信信号の電波強度を測定するScan処理が実行されていないにもかかわらず、無線通信部130によってScan処理が実行されている旨をコネクション管理部111に通知する。これにより、異常処理部140は、無線通信部130を一時的に利用することができない旨をコネクション管理部111に通知することができる。
【0057】
すなわち、実施例1におけるコネクション管理部111は、無線通信部130の異常が隠蔽されることにより、無線通信部130に異常が発生した場合であっても、無線通信部130が正常であると判定する。これにより、コネクション管理部111は、無線通信部130に異常が発生した場合であっても、無線通信部130に対して、初期化指示や、ネットワークディスカバリ実行指示や、ネットワークエントリ実行指示を行わない。また、コネクション管理部111は、無線通信部130が一時的に利用できない旨の通知を受けるので、無線通信部130のデータ送受信部133に対して、ユーザデータを含むメッセージを送信することを停止する。このとき、ホストコンピュータ部110は、例えば、無線通信部130に送信すべきデータをバッファリングする。
【0058】
また、異常処理部140は、無線通信部130による処理に異常が発生した場合には、コネクション管理部111と通信制御部132との間で送受される各種実行指示を中継しない。以下では、各種実行指示を中継しない異常処理部140の状態を「ブロッキングモード」と表記する場合がある。
【0059】
そして、異常処理部140は、コネクション管理部111の代わりに、無線通信部130に対してリセット信号を送信することで、無線通信部130を初期化する。なお、異常処理部140は、無線通信部130にリセット信号を送信する前に、通信制御部132が保持する接続パラメータを取得し、取得した接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に上書きしてもよい。
【0060】
そして、異常処理部140は、無線通信部130に対して、接続パラメータ記憶部150に記憶されている各種接続パラメータを送信し、かかる接続パラメータを用いてネットワークリエントリを行うように指示する。すなわち、異常処理部140は、無線通信部130に対して、接続パラメータ記憶部150内の接続パラメータを用いて、ハンドオーバ時と同様の処理を行うように指示する。この場合、ネットワークリエントリを行うためには基地局装置10が移動端末装置100の接続パラメタを保持している必要があるが、基地局装置10が接続パラメタを保持していないことが判明した場合はネットワークエントリを行うようにしてもよい。
【0061】
そして、異常処理部140は、無線通信部130によるネットワークリエントリが完了した場合には、ブロッキングモードを解除し、コネクション管理部111と通信制御部132との間で送受される各種実行指示を中継する。
【0062】
このように、移動端末装置100は、無線通信部130の異常を検出した場合であっても、ネットワークリエントリにより通信を再開する。これにより、移動端末装置100は、ネットワークディスカバリを行うことなく、基地局装置と再接続できるので、基地局装置との通信を短時間で再開することができる。その結果、移動端末装置100は、無線通信の可用性を向上させることができる。
【0063】
接続パラメータ記憶部150は、無線通信部130と基地局装置との間で確立されたコネクションに関する接続パラメータを記憶する。例えば、接続パラメータ記憶部150は、通信制御部132によってネットワークディスカバリ、ネットワークエントリ、ネットワークリエントリ、受信電力レポートが行われた場合に、無線通信部130や異常処理部140によって各種接続パラメータが格納される。かかる接続パラメータ記憶部150は、無線通信部130がリセットされる場合であってもクリアされないフラッシュメモリ等の記憶領域に記憶される。
【0064】
図4に、接続パラメータ記憶部150の一例を示す。図4に示すように、接続パラメータ記憶部150は、「BSID」、「接続パラメータ」といった項目を有する。なお、図4に示した例では、「値の例」に、「接続パラメータ」に記憶される値の一例を示す。
【0065】
「BSID」は、基地局装置10を識別する識別情報である。図4に示した例では、BSIDに24ビットの値が記憶される例を示している。ここで、24ビットのBSIDは、同一のASN内において基地局装置を一意に識別可能な識別情報である。一方、図4には図示しないが、48ビットのBSIDは、異なるASNに含まれる複数の基地局装置を一意に識別可能な識別情報である。なお、図4に示した例において、BSID「0x0A0B01」は、図1に示した基地局装置10aのBSIDであり、BSID「0x0A0B02」は、図1に示した基地局装置10bのBSIDであるものとする。
【0066】
「接続パラメータ」は、ネットワークディスカバリやネットワークエントリ等により得られた各種接続パラメータを示す。接続パラメータ記憶部150は、図4に示すように、「接続パラメータ」として、「中心周波数」、「バンド幅」、「受信電力」、「NAP(Network Access Provider)−ID」、「NSP(Network Service Provider)−ID」といった情報を記憶する。
【0067】
「中心周波数」は、移動端末装置100が基地局装置と無線通信を行う際に用いられる周波数を示す。「バンド幅」は、基地局装置と無線通信を行う際に用いられる周波数帯の帯域幅を示す。「受信電力」は、基地局装置から受信した信号の電波強度を示す。「NAP−ID」は、無線アクセスキャリアであるNAPを識別する識別情報である。「NSP−ID」は、無線アクセスキャリアを介してインターネットアクセスを提供するNSPを識別する識別情報である。
【0068】
図4に示した例では、BSID「0x0A0B01」である基地局装置10aが、中心周波数「2600[MHz]」、バンド幅「10[MHz]」により無線通信を行うことを示している。また、図4に示した例では、BSID「0x0A0B02」である基地局装置10bが、中心周波数「2610[MHz]」、バンド幅「10[MHz]」により無線通信を行うことを示している。
【0069】
また、図4に示した例では、BSID「0x0A0B01」である基地局装置10aから送信された信号を移動端末端末で受信した際の電波強度が「−20[dbm]」であることを示している。また、図4に示した例では、BSID「0x0A0B02」である基地局装置10bから送信された信号を移動端末端末で受信した際の電波強度が「−40[dbm]」であることを示している。
【0070】
また、接続パラメータ記憶部150は、図4に示すように、「DCDパラメータ」、「UCDパラメータ」、「RNGパラメータ」、「SBCパラメータ」、「PKMパラメータ」、「REGパラメータ」といった情報を記憶する。
【0071】
「DCDパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置から受信するDCDメッセージに含まれる各種情報を示す。「UCDパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置から受信するUCDメッセージに含まれる各種情報を示す。「RNGパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置と送受したRNG−RSPメッセージに含まれる各種情報を示す。「SBCパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置と送受したSBC−RSPメッセージに含まれる各種情報を示す。「PKMパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置と送受したPKM−REQメッセージ及びPKM−RSPメッセージに含まれる各種情報を示す。「REGパラメータ」は、ネットワークエントリ時に基地局装置と送受したREG−RSPメッセージに含まれる各種情報を示す。
【0072】
なお、接続パラメータ記憶部150に記憶されている各種接続パラメータは、無線通信部130や異常処理部140によって、最新の情報に上書きされる。例えば、移動端末装置100及び基地局装置10は、RNG−REQメッセージ及びRNG−RSPメッセージを複数回送受することがある。このような場合に、無線通信部130や異常処理部140は、コネクションの確立や維持に用いられた最新のRNG−RSPメッセージに含まれる各種情報を接続パラメータ記憶部150の「RNGパラメータ」に格納する。
【0073】
[データフォーマット]
次に、図5〜図9を用いて、コネクション管理部111、異常処理部140、通信制御部132の間で送受される各種データのフォーマットについて説明する。図5は、ネットワークディスカバリ実行指示のフォーマット例を示す図である。図5に示すように、ネットワークディスカバリ実行指示には、「メッセージタイプ」、「Number of Frequencies」、「中心周波数#N(Nは正数、以下同様)」、「バンド幅#N」といった情報が含まれる。なお、図5に示した「フィールド長」は、対応するフィールド名に格納される情報のサイズ(Byte)を示す。また、図5に示した「値の例」は、各種フィールドに設定される値の一例を示す。
【0074】
「メッセージタイプ」は、コネクション管理部111や異常処理部140から通信制御部132に送信される実行指示の種類を示す。ここでは、「メッセージタイプ」に「0x1」が格納されている場合には、実行指示がネットワークディスカバリ実行指示であることを示す。また、「メッセージタイプ」に「0x2」が格納されている場合には、実行指示がネットワークエントリ実行指示であることを示す。また、「メッセージタイプ」に「0x3」が格納されている場合には、実行指示が受信電力レポート実行指示であることを示す。また、「メッセージタイプ」に「0x4」が格納されている場合には、通信制御部132から異常処理部140に送信される受信電力レポート応答であることを示す。なお、図5に示した実行指示は、ネットワークディスカバリ実行指示を示すので、「メッセージタイプ」には、「0x1」が格納される。
【0075】
「Number of Frequencies」は、ネットワークディスカバリの実行対象となる中心周波数とバンド幅の組み合わせの数を示す。図5に示した「値の例」のように、「Number of Frequencies」が「3」である場合には、ネットワークディスカバリの実行対象となる中心周波数とバンド幅の組み合わせが3個含まれることを示す。
【0076】
「中心周波数#N」は、ネットワークディスカバリの実行対象となる周波数帯の中心周波数を示す。また、「バンド幅#N」は、ネットワークディスカバリの実行対象となる周波数帯の帯域幅を示す。なお、図5に示した例では、「N」が同値である「中心周波数#N」と「バンド幅#N」とが対応するものとする。例えば、「中心周波数#1」と「バンド幅#1」とが対応し、「中心周波数#2」と「バンド幅#2」とが対応し、「中心周波数#3」と「バンド幅#3」とが対応する。
【0077】
図5に例示した各種情報に「値の例」が設定されている場合には、図5に例示したネットワークディスカバリ実行指示は、以下に示す中心周波数とバンド幅との組み合わせについてネットワークディスカバリを行うように指示することを示す。
中心周波数:2600[MHz]、かつ、バンド幅:10[MHz]
中心周波数:2610[MHz]、かつ、バンド幅:10[MHz]
中心周波数:2620[MHz]、かつ、バンド幅:10[MHz]
【0078】
図6は、ネットワークエントリ実行指示のフォーマット例を示す図である。図6に示すように、ネットワークエントリ実行指示には、「メッセージタイプ」、「中心周波数」、「バンド幅」、「NAP−ID」、「NSP−ID」といった情報が含まれる。なお、図6に示した「フィールド長」は、対応するフィールド名に格納される情報のサイズ(Byte)を示す。また、図6に示した「値の例」は、各種情報に設定される値の一例を示す。
【0079】
「メッセージタイプ」は、図5に示したメッセージタイプと同様である。なお、図6に示した実行指示は、ネットワークエントリ実行指示を示すので、「メッセージタイプ」には、「0x2」が格納される。
【0080】
「中心周波数」は、ネットワークエントリの実行対象となる周波数帯の中心周波数を示す。また、「バンド幅」は、ネットワークエントリの実行対象となる周波数帯の帯域幅を示す。「NAP−ID」は、接続対象のNAPを識別する識別情報である。「NSP−ID」は、接続対象のNSPを識別する識別情報である。
【0081】
図7は、受信電力レポート実行指示のフォーマット例を示す図である。図7に示すように、受信電力レポート実行指示には、「メッセージタイプ」、「レポート対象BS#N」、「レポートメトリック#N」といった情報が含まれる。なお、図7に示した「フィールド長」は、対応するフィールド名に格納される情報のサイズ(Byte)を示す。また、図7に示した「値の例」は、各種情報に設定される値の一例を示す。
【0082】
「メッセージタイプ」は、図5に示したメッセージタイプと同様である。なお、図7に示した実行指示は、受信電力レポート実行指示を示すので、「メッセージタイプ」には、「0x3」が格納される。
【0083】
「レポート対象BS#N」は、受信電力レポート実行対象の基地局装置を識別するBSIDを示す。「レポートメトリック#N」は、受信電力レポート実行により得る情報の種類を示す。例えば、「レポートメトリック#N」には、RSSI(Received Signal Strength Indication:受信信号強度)や、CINR(Carrier to Interference plus Noise Ratio:搬送波対干渉・雑音比)を示す情報が格納される。図7に示した例では、「レポートメトリック#N」の0ビット目が「1」である場合には、レポート対象の項目がRSSIであることを示し、0ビット目が「0」である場合には、レポート対象の項目がRSSIでないことを示す。また、「レポートメトリック#N」の1ビット目が「1」である場合には、レポート対象の項目がCINRであることを示し、1ビット目が「0」である場合には、レポート対象の項目がCINRでないことを示す。例えば、「レポートメトリック#N」の0ビット目が「1」であり、かつ、1ビット目が「1」である場合には、レポート対象の項目がRSSI及びCINRであることを示す。
【0084】
なお、図7に示した例では、「N」が同値である「レポート対象BS#N」と「レポートメトリック#N」とが対応するものとする。例えば、「レポート対象BS#1」と「レポートメトリック#1」とが対応し、「レポート対象BS#2」と「レポートメトリック#2」とが対応する。
【0085】
図8は、通信制御部132によって送信される受信電力レポート応答のフォーマット例を示す図である。図8に示すように、受信電力レポート応答には、「メッセージタイプ」、「レポート対象BS#N」、「レポートリザルト#N」といった情報が含まれる。なお、図8に示した「フィールド長」は、対応するフィールド名に格納される情報のサイズ(Byte)を示す。また、図8に示した「値の例」は、各種情報に設定される値の一例を示す。
【0086】
「メッセージタイプ」は、図5に示したメッセージタイプと同様である。なお、図7に示した状態通知は、受信電力レポート応答を示すので、「メッセージタイプ」には、「0x4」が格納される。
【0087】
「レポート対象BS#N」は、受信電力レポート実行対象の基地局装置を識別するBSIDを示す。「レポートリザルト#N」は、受信電力レポートの実行結果を示す。例えば、図7に示した受信電力レポート実行指示の「レポートメトリック」にRSSIが設定されている場合には、無線通信部130は、RSSIを取得し、「レポートリザルト#N」に設定する。
【0088】
なお、図8に示した例では、「N」が同値である「レポート対象BS#N」と「レポートリザルト#N」とが対応するものとする。例えば、「レポート対象BS#1」と「レポートリザルト#1」とが対応し、「レポート対象BS#2」と「レポートリザルト#2」とが対応する。
【0089】
図9は、通信制御部132によって送信される状態通知のフォーマット例を示す。図9に示すように、状態通知には、「送信元(Source)」、「宛先(Destination)」、「通知タイプ」、「BS数」、「BSID#N」、「NAP−ID#N」、「NSP−ID#N」、「中心周波数#N」、「バンド幅#N」といった情報が含まれる。
【0090】
「送信元」は、状態通知の送信元を識別する識別情報である。「宛先」は、状態通知の宛先を識別する識別情報である。なお、ここでは、コネクション管理部111を識別する情報が「0x0」であり、通信制御部132を識別する情報が「0x1」であるものとする。すなわち、図9に示した状態通知は、通信制御部132によってコネクション管理部111に対して送信されるので、「送信元」には、通信制御部132を示す「0x1」が格納され、「宛先」には、コネクション管理部111を示す「0x0」が格納される。
【0091】
「通知タイプ」は、状態通知の種類を示す。ここでは、「通知タイプ」に「0x0」が格納されている場合には、状態通知の種類が、無線通信部130の初期化処理が完了したことを示す初期化完了通知であるものとする。また、「通知タイプ」に「0x1」が格納されている場合には、状態通知の種類が、ネットワークディスカバリが完了したことを示すディスカバリ完了通知であるものとする。また、「通知タイプ」に「0x2」が格納されている場合には、状態通知の種類が、ネットワークエントリが完了したことを示す接続完了通知であるものとする。また、「通知タイプ」に「0x3」が格納されている場合には、状態通知の種類が、無線通信部130がハンドオーバ処理中であることを示すHO中通知であるものとする。また、「通知タイプ」に「0x4」が格納されている場合には、状態通知の種類が、無線通信部130が受信電力の測定処理中であることを示すScan中通知であるものとする。
【0092】
なお、図9に示した「Result TLV」以降の情報は、「通知タイプ」に「0x1」が格納されるディスカバリ完了通知の場合に設定される。すなわち、「BS数」、「BSID#N」、「NAP−ID#N」、「NSP−ID#N」、「中心周波数#N」、「バンド幅#N」には、ディスカバリ完了通知である場合に情報が設定される。
【0093】
「BS数」は、通信制御部132によるネットワークディスカバリによって発見された基地局装置の数を示す。「BSID#N」は、ネットワークディスカバリによって発見された基地局装置のBSIDを示す。「NAP−ID#N」は、ネットワークディスカバリによって発見された基地局装置が属する無線アクセスキャリアのNAP−IDを示す。「NSP−ID#N」は、ネットワークディスカバリによって発見された基地局装置が属する無線アクセスキャリアから接続可能なNSPのNSP−IDを示す。「中心周波数#N」は、ネットワークディスカバリによって発見された基地局装置と無線通信を行う際に用いられる周波数を示す。「バンド幅#N」は、ネットワークディスカバリによって発見された基地局装置と無線通信を行う際に用いられる周波数帯の帯域幅を示す。
【0094】
なお、図9に示した例では、「N」が同値である「BSID#N」と「NAP−ID#N」と「NSP−ID#N」と「中心周波数#N」と「バンド幅#N」とが対応するものとする。例えば、「BSID#1」と「NAP−ID#1」と「NSP−ID#1」と「中心周波数#1」と「バンド幅#1」とが対応する。
【0095】
[実施例1に係る無線通信システムによる処理シーケンス]
次に、図10及び図11を用いて、実施例1に係る無線通信システムSY1による処理シーケンスについて説明する。図10及び図11は、実施例1に係る無線通信システムSY1による処理手順を示すシーケンス図である。なお、図10及び図11では、ホストコンピュータ部110内のコネクション管理部111と、異常処理部140と、無線通信部130内の通信制御部132と、基地局装置10との間における処理シーケンスについて説明する。また、図10及び図11には、1個の基地局装置10を示すが、かかる基地局装置10は、複数の基地局装置を示す場合がある。
【0096】
図10には、無線通信部130が起動してから、無線通信部130と基地局装置10とが正常に通信する処理を示す。図10に示すように、通信制御部132は、無線通信部130が起動した場合に(ステップS101)、無線通信部130の初期化処理を行う(ステップS102)。例えば、無線通信部130は、USB等によってホストコンピュータ部110に接続される場合には、ホストコンピュータ部110に接続された際に起動する。また、例えば、無線通信部130は、ホストコンピュータ部110に内蔵されている場合には、ユーザによって無線通信を行う旨の操作が行われた後に起動する。
【0097】
続いて、通信制御部132は、異常処理部140を介して、コネクション管理部111に初期化完了通知を送信する(ステップS103)。例えば、通信制御部132は、図9に示した「通知タイプ」に「0x0」を設定した状態通知をコネクション管理部111に送信する。
【0098】
初期化完了通知を受け付けたコネクション管理部111は、異常処理部140を介して、通信制御部132にネットワークディスカバリ実行指示を送信する(ステップS104)。例えば、コネクション管理部111は、図5に例示したネットワークディスカバリ実行指示を通信制御部132に送信する。
【0099】
ネットワークディスカバリ実行指示を受け付けた通信制御部132は、ネットワークディスカバリ実行指示に含まれる中心周波数とバンド幅との組み合わせに基づいて、ネットワークディスカバリを行う(ステップS105)。そして、通信制御部132は、ネットワークディスカバリが完了した後に、ディスカバリ完了通知をコネクション管理部111に送信する(ステップS106)。例えば、通信制御部132は、図9に例示したディスカバリ完了通知をコネクション管理部111に送信する。
【0100】
ディスカバリ完了通知を受け付けたコネクション管理部111は、ディスカバリ完了通知に含まれる各種情報に基づいて、通信相手先の基地局装置を選択する。そして、コネクション管理部111は、選択した基地局装置のBSID等を含むネットワークエントリ実行指示を通信制御部132に送信する(ステップS107)。例えば、コネクション管理部111は、図6に例示したネットワークエントリ実行指示を通信制御部132に送信する。
【0101】
ネットワークエントリ実行指示を受け付けた通信制御部132は、ネットワークエントリ実行指示に含まれる中心周波数とバンド幅との組み合わせに基づいて、ネットワークエントリを行う(ステップS108)。そして、通信制御部132は、ネットワークエントリが完了した後に、接続完了通知をコネクション管理部111に送信する(ステップS109)。例えば、通信制御部132は、図9に示した「通知タイプ」に「0x2」を設定した状態通知をコネクション管理部111に送信する。
【0102】
これにより、移動端末装置100は、基地局装置10との間で無線通信が行える状態となるので、通信制御部132及びコネクション管理部111は、「Normal Operation」状態となる(ステップS110及びS111)。
【0103】
そして、異常処理部140は、ステップS105におけるネットワークディスカバリや、ステップS108におけるネットワークエントリにより得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納する(ステップS112)。具体的には、異常処理部140は、通信制御部132から、ステップS106においてネットワークディスカバリの実行結果を取得し、ステップS109においてネットワークエントリの実行結果を取得できる。このとき、異常処理部140は、ネットワークディスカバリの実行結果と、ネットワークエントリの実行結果とを接続パラメータ記憶部150に格納する。
【0104】
なお、異常処理部140は、S106の後に、ネットワークディスカバリの実行結果により得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納してもよい。また、接続パラメータ記憶部150には、異常処理部140でなく、通信制御部132が各種接続パラメータを格納してもよい。
【0105】
続いて、コネクション管理部111は、異常処理部140を介して、通信制御部132に受信電力レポート実行指示を送信する(ステップS113)。例えば、コネクション管理部111は、図7に例示した受信電力レポート実行指示を通信制御部132に送信する。異常処理部140は、コネクション管理部111から受信電力レポート実行指示を受け付けた場合に、応答監視タイマを開始する(ステップS114)。
【0106】
受信電力レポート実行指示を受け付けた通信制御部132は、受信電力レポート実行指示に含まれるレポート対象BSとレポートメトリックとの組み合わせに基づいて、近隣基地局装置から受信する信号の電波強度を測定する(ステップS115)。そして、通信制御部132は、電波強度の測定処理が完了した後に、異常処理部140を介して、受信電力レポート応答をコネクション管理部111に送信する(ステップS116)。例えば、通信制御部132は、図8に例示した受信電力レポート応答をコネクション管理部111に送信する。
【0107】
異常処理部140は、コネクション管理部111から受信電力レポート応答を受け付けた場合に、受信電力レポート応答に含まれるレポート対象BSとレポートリザルトとに基づいて、接続パラメータ記憶部150の受信電力を更新する(ステップS117)。そして、異常処理部140は、コネクション管理部111から受信電力レポート応答を受け付けた場合に、ステップS114において開始した応答監視タイマを停止する(ステップS118)。なお、コネクション管理部111は、通信制御部132に対して受信電力レポート実行指示を定期的に送信する。すなわち、ステップS113〜S118における処理手順は定期的に行われる。
【0108】
このように、異常処理部140は、コネクション管理部111と通信制御部132との間で定期的に送受される受信電力レポート実行指示及び受信電力レポート応答を用いて、無線通信部130を監視する。言い換えれば、異常処理部140は、無線通信部130に対する「Keep Alive」として、受信電力レポート実行指示及び受信電力レポート応答を利用する。そして、異常処理部140は、通信制御部132に対して定期的に送信される受信電力レポート実行指示に対して、通信制御部132から受信電力レポート応答を一定時間受信しない場合には、無線通信部130に異常が発生したと判定する。
【0109】
なお、異常処理部140は、無線通信部130に対する「Keep Alive」として、受信電力レポート実行指示及び受信電力レポート応答以外のメッセージを用いてもよい。具体的には、異常処理部140は、無線通信部130に対する「Keep Alive」として、コネクション管理部111と通信制御部132との間で定期的に送受されるメッセージを用いることができる。例えば、コネクション管理部111から通信制御部132に対して、受信電力の測定結果をポーリングする場合には、異常処理部140は、かかるポーリングの結果に基づいて、異常処理部140に異常が発生したか否かを判定しもてよい。
【0110】
続いて、通信制御部132は、複数の近隣基地局装置から受信した信号の電波強度を測定した結果、現に無線通信を行っている基地局装置以外の他の基地局装置と無線通信を行うことを決定した場合には、ハンドオーバを実施する(ステップS119)。このとき、通信制御部132は、異常処理部140を介して、コネクション管理部111にHO中通知を送信する(ステップS120)。例えば、通信制御部132は、図9に示した「通知タイプ」に「0x3」を設定した状態通知をコネクション管理部111に送信する。
【0111】
そして、通信制御部132は、ハンドオーバ処理を実行するハンドオーバ状態となる(ステップS121)。同様に、HO中通知を受け付けたコネクション管理部111は、ハンドオーバ状態となる(ステップS122)。ハンドオーバ状態であるコネクション管理部111は、通信制御部132によってハンドオーバが行われていると認識し、データ送受信部133に対してデータメッセージの送信を停止する。
【0112】
そして、通信制御部132は、ハンドオーバの結果、新しい基地局装置と接続する「ネットワークリエントリ」を行う(ステップS123)。通信制御部132は、ネットワークリエントリが完了した後に、異常処理部140を介して、接続完了通知をコネクション管理部111に送信する(ステップS124)。
【0113】
これにより、移動端末装置100は、新しい基地局装置との間で無線通信が行える状態となり、通信制御部132及びコネクション管理部111は、「Normal Operation」状態となる(ステップS125及びS126)。
【0114】
そして、異常処理部140は、ステップS123におけるネットワークリエントリにより得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に上書きする(ステップS127)。具体的には、異常処理部140は、通信制御部132から、ステップS124においてネットワークリエントリの実行結果を取得し、取得した実行結果を異常処理部140に格納する。
【0115】
このように、移動端末装置100は、基地局装置と無線通信を行い、状況によってはハンドオーバを実行する。そして、移動端末装置100は、ネットワークディスカバリ、ネットワークエントリ及びネットワークリエントリによって得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納しておく。
【0116】
次に、図11を用いて、移動端末装置100と基地局装置10とが接続された後に、移動端末装置100の無線通信部130に異常が検出された場合における無線通信システムSY1による処理シーケンスについて説明する。図11に示した例において、ベースバンド処理部131及びオペレーティングシステム部112の初期状態は、「Normal Operation」であるものとする。
【0117】
図11に示すように、コネクション管理部111は、異常処理部140を介して、通信制御部132に受信電力レポート実行指示を定期的に送信する(ステップS201)。異常処理部140は、コネクション管理部111から受信電力レポート実行指示を受け付けた場合に、応答監視タイマを開始する(ステップS202)。
【0118】
ここで、異常処理部140は、ステップS202における応答監視タイマを開始してから一定時間が経過した場合であっても、通信制御部132から受信電力レポート応答を受信しなかったものとする。かかる場合に、異常処理部140は、無線通信部130に異常が発生したことを検出する(ステップS203)。そして、異常処理部140は、無線通信部130の異常を検出した場合には、ブロッキングモードとなり、コネクション管理部111と通信制御部132との間で送受される各種実行指示やメッセージを中継しない(ステップS204)。
【0119】
さらに、異常処理部140は、ベースバンド処理部131に対して、無線通信部130が正常であるものの一時的に利用することができない状態である旨を通知する。図11に示した例では、異常処理部140は、コネクション管理部111に対して、HO中通知を送信する(ステップS205)。例えば、異常処理部140は、図9に示した「通知タイプ」に「0x3」を設定した状態通知をコネクション管理部111に送信する。なお、異常処理部140は、HO中通知でなく、Scan中通知をコネクション管理部111に送信してもよい。かかる場合には、異常処理部140は、図9に示した「通知タイプ」に「0x4」を設定した状態通知をコネクション管理部111に送信する。
【0120】
HO中通知を受け付けたコネクション管理部111は、ハンドオーバ状態となる(ステップS206)。すなわち、コネクション管理部111は、異常処理部140によって無線通信部130の異常が隠蔽されることにより、無線通信部130が正常であると判定する。これにより、コネクション管理部111は、無線通信部130に異常が発生した場合であっても、無線通信部130に対して、初期化指示や、ネットワークディスカバリ実行指示や、ネットワークエントリ実行指示を行わない。また、コネクション管理部111は、無線通信部130が一時的に利用できない状態であることを認識するので、データ送受信部133に対して、データメッセージの送信を停止する。
【0121】
そして、異常処理部140は、通信制御部132に対してリセット信号を送信する(ステップS207)。リセット信号を受け付けた通信制御部132は、無線通信部130を初期化する(ステップS208)。そして、通信制御部132は、無線通信部130の初期化処理が完了した後に、異常処理部140に初期化完了通知を送信する(ステップS209)。
【0122】
初期化完了通知を受け付けた異常処理部140は、接続パラメータ記憶部150から各種接続パラメータを取得し、取得した接続パラメータを通信制御部132に送信する(ステップS210)。例えば、異常処理部140は、接続パラメータ記憶部150から取得した各種接続パラメータを無線通信部130内のメモリに展開する。
【0123】
そして、異常処理部140は、通信制御部132に対して、無線通信部130の異常が検出される直前までに通信制御部132と接続していた基地局装置と再度接続する旨のネットワークリエントリ実行指示を通信制御部132に送信する(ステップS211)。
【0124】
そして、通信制御部132は、接続パラメータ記憶部150に記憶されている各種接続パラメータを用いて、ネットワークリエントリを行う(ステップS212)。すなわち、通信制御部132は、無線通信部130の異常が発生する前に接続していた基地局装置と再接続することになる。そして、通信制御部132は、ネットワークリエントリが完了した後に、接続完了通知をコネクション管理部111に送信する(ステップS213)。そして、通信制御部132は、基地局装置10との間で無線通信が行える状態となり、「Normal Operation」状態となる(ステップS214)。
【0125】
接続完了通知を受け付けた異常処理部140は、ブロッキングモードを解除し、コネクション管理部111と通信制御部132との間で送受される各種実行指示を中継する(ステップS215)。そして、異常処理部140は、コネクション管理部111に対して、接続完了通知を送信する(ステップS216)。
【0126】
接続完了通知を受信したコネクション管理部111は、「Normal Operation」状態となる(ステップS217)。「Normal Operation」状態となったコネクション管理部111は、データ送受信部133に対して、データメッセージの送信を再開する。
【0127】
また、異常処理部140は、ステップS212におけるネットワークリエントリにより得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に上書きする(ステップS218)。具体的には、異常処理部140は、通信制御部132から、ステップS213においてネットワークリエントリの実行結果を取得できる。このとき、異常処理部140は、ネットワークリエントリの実行結果を接続パラメータ記憶部150に格納する。
【0128】
なお、異常処理部140は、S205における状態通知処理と、S207におけるリセット信号送信処理とを同時に行ってもよいし、S207における状態通知処理の直後に、S205におけるリセット信号送信処理を行ってもよい。
【0129】
[実施例1における異常処理部による処理手順]
次に、図12を用いて、異常処理部140による処理手順について説明する。図12は、異常処理部140による処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、異常処理部140は、ブロッキングモードであるか否かの2つの状態に分けられる。
【0130】
異常処理部140は、ブロッキングモードでない場合には(ステップS301否定)、コネクション管理部111や通信制御部132からメッセージを受信するイベントや、応答監視タイマがタイムアウトするイベント等が発生する。
【0131】
具体的には、異常処理部140は、コネクション管理部111からメッセージを受信した場合には(ステップS302)、かかるメッセージが監視対象のメッセージであるか否かを判定する(ステップS303)。そして、異常処理部140は、コネクション管理部111から受信したメッセージが監視対象のメッセージである場合には(ステップS303肯定)、応答監視タイマを開始する(ステップS304)。そして、異常処理部140は、コネクション管理部111から受信したメッセージを通信制御部132に中継する(ステップS305)。一方、異常処理部140は、コネクション管理部111から受信したメッセージが監視対象のメッセージでない場合には(ステップS303否定)、応答監視タイマを開始せずに、かかるメッセージを通信制御部132に中継する(ステップS305)。
【0132】
例えば、図10及び図11に示した例では、異常処理部140は、受信電力レポート実行指示を監視対象のメッセージとしている。かかる例では、異常処理部140は、コネクション管理部111から受信電力レポート実行指示を受信した場合に、応答監視タイマを開始する。
【0133】
また、異常処理部140は、通信制御部132からメッセージを受信した場合には(ステップS306)、かかるメッセージが監視対象のメッセージであるか否かを判定する(ステップS307)。そして、異常処理部140は、通信制御部132から受信したメッセージが監視対象のメッセージである場合には(ステップS307肯定)、応答監視タイマを停止する(ステップS308)。そして、異常処理部140は、通信制御部132から受信したメッセージをコネクション管理部111に中継する(ステップS309)。一方、異常処理部140は、通信制御部132から受信したメッセージが監視対象のメッセージでない場合には(ステップS307否定)、応答監視タイマを停止せずに、かかるメッセージをコネクション管理部111に中継する(ステップS309)。
【0134】
例えば、図10及び図11に示した例では、異常処理部140は、受信電力レポート応答を監視対象のメッセージとしている。かかる例では、異常処理部140は、通信制御部132から受信電力レポート応答を受信した場合には、応答監視タイマを停止する。
【0135】
また、異常処理部140は、応答監視タイマを開始してから一定時間が経過した場合であっても、通信制御部132から監視対象のメッセージを受信しない場合には(ステップS310)、ブロッキングモードとなる(ステップS311)。そして、異常処理部140は、コネクション管理部111に対して、無線通信部130が一時的に不通状態である旨を通知する(ステップS312)。そして、異常処理部140は、通信制御部132に対して、リセット信号を送信する(ステップS313)。
【0136】
続いて、異常処理部140は、ブロッキングモードである場合には(ステップS301肯定)、コネクション管理部111や通信制御部132からメッセージを受信するイベント等が発生する。
【0137】
具体的には、異常処理部140は、コネクション管理部111からメッセージを受信した場合には(ステップS314)、ブロッキングモードであるので、通信制御部132の代わりにダミーの応答をコネクション管理部111に送信する(ステップS315)。
【0138】
また、異常処理部140は、通信制御部132から初期化完了通知を受け付けた場合には(ステップS316)、接続パラメータ記憶部150に記憶されている接続パラメータを通信制御部132に送信することで、接続パラメータを復元する(ステップS317)。そして、異常処理部140は、通信制御部132に対して、無線通信部130の異常が検出される直前までに通信制御部132と接続していた基地局装置と再度接続する旨のネットワークリエントリ実行指示を通信制御部132に送信する(ステップS318)。
【0139】
また、異常処理部140は、通信制御部132から接続完了通知を受け付けた場合には(ステップS319)、ブロッキングモードを解除する(ステップS320)。そして、異常処理部140は、通信制御部132から受信した接続完了通知をコネクション管理部111に転送する(ステップS321)。
【0140】
[実施例1の効果]
上述してきたように、実施例1における移動端末装置100においては、コネクション管理部111に対して無線通信部130の異常を隠蔽するので、ホストコンピュータ部110は、無線通信部130が正常であると判定する。このため、ホストコンピュータ部110のオペレーティングシステム部112は、無線通信部130によって初期化処理が行われる場合であっても、通信ポート114や論理インタフェース部112aを再形成しない。すなわち、通信アプリケーション部113は、無線通信部130の異常時であっても、通信ポート114や論理インタフェース部112aを認識できるので、基地局装置との通信セッションを終了しない。これにより、実施例1における移動端末装置100は、無線通信部130をリセットすれば解消するような異常が発生した場合には、無線通信が途絶えたことをユーザに通知することを抑止できる。
【0141】
また、実施例1における移動端末装置100は、無線通信部130と基地局装置10との間で確立されたコネクションに関する接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に記憶する。そして、移動端末装置100の異常処理部140は、無線通信部130による処理に異常が発生した場合に、コネクション管理部111による無線通信部130の制御を停止させる。これにより、移動端末装置100は、無線通信部130に異常が発生した場合であっても、コネクション管理部111から無線通信部130に対して、初期化指示や、ネットワークディスカバリ実行指示や、ネットワークエントリ実行指示が行われることを抑止できる。
【0142】
また、移動端末装置100の異常処理部140は、無線通信部130による処理に異常が発生した場合に、無線通信部130を初期化した後に、接続パラメータ記憶部150内の接続パラメータを用いてネットワークリエントリを行うように無線通信部130を制御する。これにより、移動端末装置100は、無線通信部130に異常が検出された場合であっても、ネットワークディスカバリを行うことなく基地局装置との再接続を短時間で行うことができるので、基地局装置との通信を短時間で再開することができる。
【0143】
以上のことから、実施例1における移動端末装置100は、無線通信の可用性を向上させることができる。特に、WiMAXやLTEのような無線通信システムでは、無線通信規格が複雑化しているので、無線端末装置と基地局装置との間で複雑な処理が行われる。このため、近年の無線通信システムでは、無線端末装置と基地局装置との無線通信状態が不安定になる場合が多く、その結果、無線端末装置のモデムがリセットされる頻度も高くなることが考えられる。実施例1に係る無線通信システムSY1は、WiMAXやLTEのような通信規格が適用される場合であっても、上述したように、無線通信の可用性を向上させることができる。
【0144】
また、移動端末装置100の異常処理部140は、無線通信部130による処理に異常が発生した場合に、無線通信部130によってハンドオーバ処理が行われていることを示すHO中通知をコネクション管理部111に通知する。または、異常処理部140は、無線通信部130によってScan処理が行われていることを示すScan中通知をコネクション管理部111に通知する。これにより、移動端末装置100は、既存の状態通知を利用して、ホストコンピュータ部110による無線通信部130へのデータの送信を一時停止させることができる。
【実施例2】
【0145】
上記実施例1では、移動端末装置100が無線通信部130の異常を検出する例を示した。しかし、移動端末装置100と無線通信を行っている基地局装置が無線通信部130の異常を検出してもよい。そこで、実施例2では、基地局装置によって無線通信部130の異常が検出される例について説明する。なお、実施例2に係る無線通信システムSY2の構成例は、図1に示した構成例と同様であるので、以下では説明を省略する。また、実施例2における移動端末装置は、実施例1における移動端末装置100と同様であるので、以下では説明を省略する。
【0146】
[実施例2における基地局装置の構成]
まず、図13を用いて、実施例2における基地局装置20について説明する。図13は、実施例2における基地局装置20の構成例を示す図である。図13に示すように、実施例2における基地局装置20は、ベースバンド処理部11と、バックボーン送受信部12と、データ送受信部14と、通信制御部23と、接続パラメータ記憶部24とを有する。なお、以下では、図2に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0147】
通信制御部23は、図2に示した通信制御部13と同様に、移動端末装置100やASN−GW3aとの間で制御メッセージを送受することにより、移動端末装置100との間における無線通信を制御する。また、実施例2における通信制御部23は、基地局装置20と移動端末装置100とが接続される場合に、基地局装置20と移動端末装置100との間で確立されたコネクションに関する接続パラメータを接続パラメータ記憶部24に格納する。
【0148】
また、通信制御部23は、移動端末装置100と接続された後に、移動端末装置100が有する無線通信部130の異常を検出した場合には、移動端末装置100に対して無線通信部130を初期化するように指示する。例えば、通信制御部23は、移動端末装置100に対して送信した制御メッセージに対して、移動端末装置100から期待する制御メッセージを受信できない場合に、移動端末装置100の状態と基地局装置20の状態との間に不整合が発生したことを検知する。このような場合に、通信制御部23は、移動端末装置100の無線通信部130に異常が発生したと判定し、移動端末装置100に対して無線通信部130を初期化するように指示する。
【0149】
通信制御部23から無線通信部130の初期化指示を受信した移動端末装置100は、無線通信部130の初期化を行い、ネットワークリエントリを行う。かかる場合に、通信制御部23は、接続パラメータ記憶部24に記憶される接続パラメータを用いて、移動端末装置100との通信を再開する。
【0150】
接続パラメータ記憶部24は、基地局装置20と移動端末装置100との間で確立されたコネクションに関する接続パラメータを記憶する。例えば、接続パラメータ記憶部24は、図4に示した「NAP−ID」、「NSP−ID」、「DCDパラメータ」、「UCDパラメータ」、「RNGパラメータ」、「SBCパラメータ」、「PKMパラメータ」、「REGパラメータ」といった情報を記憶する。
【0151】
[実施例2に係る無線通信システムによる処理シーケンス]
次に、図14を用いて、実施例2に係る無線通信システムSY2による処理シーケンスについて説明する。図14は、実施例2に係る無線通信システムSY2による処理手順を示すシーケンス図である。
【0152】
図14に示すように、移動端末装置100は、基地局装置20と接続する場合に、ネットワークディスカバリを行い(ステップS401)、ネットワークエントリを行う(ステップS402)。このとき、基地局装置20は、ステップS402におけるネットワークエントリにより得られた各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部24に格納する(ステップS403)。
【0153】
そして、基地局装置20は、移動端末装置100と接続された後に、例えば、移動端末装置100に対して、「MAC Management Message」を送信する(ステップS404)。このとき、基地局装置20は、移動端末装置100から、期待しない「MAC Management Message」を受信した場合には(ステップS405)、移動端末装置100が有する無線通信部130の異常を検出する(ステップS406)。なお、基地局装置20は、「MAC Management Message」以外にも、移動端末装置100との間で行うプロトコルシーケンスにおいて矛盾を検出した場合には、無線通信部130の異常を検出する。
【0154】
基地局装置20は、無線通信部130の異常を検出した場合に、移動端末装置100に対して、無線通信部130をリセットする旨のRES−CMDメッセージを送信する(ステップS407)。
【0155】
RES−CMDメッセージを受信した移動端末装置100の通信制御部132は、RES−CMDメッセージを異常処理部140に送信する(ステップS408)。異常処理部140は、RES−CMDメッセージを受け付けた場合に、無線通信部130に異常が発生したことを検出する(ステップS409)。その後のステップS410〜S424における処理手順は、図11に示したステップS204〜S218における処理手順と同様である。
【0156】
ここで、基地局装置20は、ステップS418において、通信制御部132によってネットワークリエントリが行われる場合に、接続パラメータ記憶部24に記憶されている接続パラメータを用いて、移動端末装置100とのコネクションを確立する。
【0157】
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2における基地局装置20は、移動端末装置100との間で確立されたコネクションに関する接続パラメータを接続パラメータ記憶部24に記憶する。そして、基地局装置20は、移動端末装置100が有する無線通信部130の異常を検出した場合に、移動端末装置100に対して、無線通信部130を初期化するように指示する。かかる場合に、移動端末装置100は、実施例1と同様に、コネクション管理部111に対して、無線通信部130が異常であることを隠蔽した上で、接続パラメータ記憶部150に記憶されている接続パラメータを用いてネットワークリエントリを行う。実施例2における基地局装置20は、移動端末装置100によってネットワークリエントリが行われる場合に、接続パラメータ記憶部24に記憶されている接続パラメータを用いて、移動端末装置100とのコネクションを確立する。
【0158】
これにより、基地局装置20は、移動端末装置100が有する無線通信部130に異常を検出した場合に、ネットワークディスカバリを行うことなく移動端末装置100との再接続を短時間で行うことができる。その結果、実施例2における基地局装置20は、移動端末装置100との通信を短時間で再開することができ、無線通信の可用性を向上させることができる。
【実施例3】
【0159】
ところで、本願の開示する無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法等は、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例3では、本願の開示する無線通信装置、無線端末装置、無線基地局装置及び異常復旧方法等の他の実施例について説明する。
【0160】
[ネットワークリエントリ]
上記実施例1及び2において、移動端末装置100は、接続パラメータ記憶部150に記憶されている接続パラメータを用いてネットワークリエントリする場合に、無線通信部130の異常が発生する前に接続していた基地局装置以外の基地局装置と接続してもよい。具体的には、接続パラメータ記憶部150には、移動端末装置100の近隣に所在する複数の近隣基地局装置に関する各種情報が記憶されている。そこで、移動端末装置100は、接続パラメータ記憶部150に記憶されている複数の近隣基地局装置のうちいずれかを選択し、選択した近隣基地局装置に対してネットワークリエントリを行ってもよい。例えば、移動端末装置100は、接続パラメータ記憶部150に記憶されている受信電力が最も高い近隣基地局装置に対してネットワークリエントリを行ってもよい。
【0161】
[ハードウェア構成]
また、上記各実施例に係る無線端末装置が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、上記のプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記各実施例と同様の処理を実現してもよい。
【0162】
図15は、図3に示したホストコンピュータ部110のハードウェア構成例を示す図である。図15に示すように、ホストコンピュータ部110は、CPU1010と、入力デバイス1020と、ROM1030と、RAM1040と、I/Oポート1050と、読取装置1060と、出力デバイス1070とを有する。
【0163】
CPU1010は、上述したホストコンピュータ部110による処理を実現するホストプログラムを実行する。入力デバイス1020は、データを入力する。ROM1030は、各種データを記憶する。RAM1040は、演算パラメータ等を記憶する。I/Oポート1050は、CPU1010と周辺機器との間でデータを送受する。読取装置1060は、ホストプログラムを記録した記録媒体1100からホストプログラムを読み取る。出力デバイス1070は、各種情報を表示し、例えば、ディスプレイ等である。
【0164】
CPU1010は、読取装置1060を経由して記録媒体1100に記録されているホストプログラムを読み込んだ後、ホストプログラムを実行することにより、上述したホストコンピュータ部110による処理を実現する。なお、記録媒体1100としては、光ディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、ハードディスク等が挙げられる。また、このホストプログラムは、ネットワークを介して無線通信部130に導入することとしてもよい。このとき、ネットワークは、無線ネットワークであっても有線ネットワークであってもよい。
【0165】
図16は、図3に示したモデム部120のハードウェア構成例を示す図である。前述のように、モデム部120は、無線通信部130と異常処理部140とを備える。図16に示すように、異常処理部140は、CPU2010と、PMU(Power Management Unit)2020と、RAM2030と、不揮発性メモリ2040とを有する。
【0166】
CPU2010は、上述した異常処理部140による処理を実現する異常処理プログラムを実行する。PMU2020は、異常処理部140に電力を供給する電力管理部である。RAM2030は、演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ2040は、各種データを記憶し、例えば、異常処理プログラムを記憶する。また、不揮発性メモリ2040は、図3に示した接続パラメータ記憶部150に記憶されている各種接続パラメータを記憶する。
【0167】
また、図16に示すように、無線通信部130は、I/Oポート2050と、CPU2060と、ROM2070と、RAM2080と、ベースバンド回路2090と、RF回路2100とを有する。また、RF回路2100は、アンテナ2110と接続される。
【0168】
I/Oポート2050は、CPU2060と周辺機器との間でデータを送受する。CPU2060は、図3に示した通信制御部132及びデータ送受信部133による処理を実現する通信プログラムを実行する。ROM2070は、各種データを記憶し、例えば、通信プログラムを記憶する。RAM2080は、演算パラメータ等を記憶する。ベースバンド回路2090及びRF回路2100は、図3に示したベースバンド処理部131に対応する。
【0169】
図16に示した例において、異常処理部140は、無線通信部130が初期化される場合であっても、PMU2020によって独自に電力管理されており、リセットされない。一方、無線通信部130は、初期化処理が行われる場合には、リセットされるため、例えば、RAM2080等に記憶されている各種情報はクリアされる場合がある。
【0170】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図3に示した異常処理部140は、無線通信部130の異常を検出した場合に各種処理を行う処理部と、各種接続パラメータを接続パラメータ記憶部150に格納する格納部とに分散されてもよい。
【符号の説明】
【0171】
SY1、SY2 無線通信システム
2 プロバイダ網
2a GW
2b サーバ
3 ASN
3a ASN−GW
10、10a、10b 基地局装置
11 ベースバンド処理部
12 バックボーン送受信部
13 通信制御部
14 データ送受信部
20 基地局装置
23 通信制御部
24 接続パラメータ記憶部
100 移動端末装置
110 ホストコンピュータ部
111 コネクション管理部
112 オペレーティングシステム部
112a 論理インタフェース部
113 通信アプリケーション部
114 通信ポート
120 モデム部
130 無線通信部
131 ベースバンド処理部
132 通信制御部
133 データ送受信部
140 異常処理部
150 接続パラメータ記憶部
1010、2010、2060 CPU
1020 入力デバイス
1030、2070 ROM
1040、2030、2080 RAM
1050、2050 I/Oポート
1060 読取装置
1070 出力デバイス
1100 記録媒体
2020 PMU
2040 不揮発性メモリ
2090 ベースバンド回路
2100 RF回路
2110 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に取り付けられる無線通信装置であって、
無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部における異常を正常化させる異常処理部と
を備え、
前記異常処理部は、
前記無線通信部における異常を検出すると、前記情報処理装置に対し、一時的不通と認識させる信号を入力してから、前記無線通信部を正常化させる
無線通信装置。
【請求項2】
前記一時的不通と認識させる信号は、ハンドオーバ中であることを示す信号である
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記一時的不通と認識させる信号は、近隣の基地局装置の探索中であることを示す信号である
請求項1または2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記異常処理部は、前記無線通信部が基地局と無線接続するための接続情報を記憶し、
前記無線通信部の正常化において、前記記憶した接続情報に基づいて、無線接続の復元を行う
請求項1〜3のいずれか1つ記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記異常処理部は、複数の基地局装置と無線接続するための接続情報をそれぞれ記憶し、
前記無線通信部の正常化において、前記記憶した複数の接続情報のいずれかに基づいて、無線接続の確立を行う
請求項1〜3のいずれか1つ記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記異常処理部は、
前記無線通信部を正常化した後に、前記情報処理装置に対し、通信可能と認識させる信号を入力する
請求項1〜5のいずれか1つ記載の無線通信装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つ記載の無線通信装置を備える無線端末装置。
【請求項8】
無線端末装置との間で確立された接続に関する接続情報を記憶する記憶部と、
前記無線端末装置による処理に異常が発生した場合に、前記無線端末装置に対して、無線通信処理を担う通信部を初期化するように指示し、該無線端末装置との間で前記記憶部に記憶されている接続情報を用いて無線接続を確立する通信制御部と
を有する無線基地局装置。
【請求項9】
情報処理装置に取り付けられ、無線通信を行う無線通信部を備える無線通信装置における異常復旧方法であって、
前記無線通信部における異常を検出し、
前記情報処理装置に対し、一時的不通と認識させる信号を入力し、
前記無線通信部を正常化する
異常復旧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−75035(P2012−75035A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219773(P2010−219773)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】