説明

無線通信装置、無線通信方法、プログラム

【課題】電力の大きなレイヤの参照信号の、電力の小さなレイヤの参照信号への与干渉を小さくする。
【解決手段】MIMO伝送を行なう移動端末の伝搬路変動はほとんどないと考えると、3つのレイヤの内、第1レイヤとその他のレイヤの分離にOCCを用い、第2および第3レイヤはサイクリックシフトによって分離させる。DMRS生成部に入力されたCAZAC系列は、#0−OCC部および#1−OCC部に入力される。#0−OCC部では入力されたr(n)に対し、行ベクトルc=[+1、+1]が乗算される。一方、#1−OCC部では、c=[+1、−1]が乗算される。例えば#1−OCC部の出力は、


となる。#0−OCC部の出力は、第1#0−サイクリックシフト部に入力される。#1−OCC部の出力は、第2#0−サイクリックシフト部、#1−サイクリックシフト部に入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムでは、最大20MHzの帯域を利用して通信を行うことが可能である。LTEの下りリンク(基地局から移動局への通信)における伝送方式としては、周波数選択フェージングに強い耐性を持つことと、MIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送と親和性が高いこと、等の理由からOFDM(直交周波数分割多重、Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が採用されている。一方、LTEの上りリンク(端末から基地局への通信)では、端末のコストや規模が重要であり、OFDMはPAPR(Peak to Average Power Ratio)が高く、線形領域の広い電力増幅器が必要となるため、上りリンクの伝送に向かない。そこで、PAPRの低いSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されている。
【0003】
LTEの次の世代の規格として、LTE−A(LTE−Advanced)の標準化が行われている。LTEの上りリンクではMIMO伝送が仕様化されなかったが、LTE−Aでは仕様化されることになっている。基地局が移動局にPMI(Precoding Matrix Indicator)を通知し、移動局は通知されたPMIに基づいてプリコーディングを行なう。
【0004】
また、LTE下りリンクのコードブックとしては、非特許文献1のようにHouse Holder行列が用いられている。House Holder行列を適用すると、独立な信号の加算を行なったものを各アンテナから送信することになるため、PAPR特性が劣化してしまう。そこで非特許文献2に示すコードブックが適用される。
4送信アンテナ時のランク(同時に送信を行なうレイヤ数)が3の場合、文献3のようなコードブックが考えられる。表1に、非特許文献3記載のコードブックを示す。
【表1】

【0005】
ここでjは虚数単位である。表1において、行要素は送信アンテナの番号を、列要素はレイヤの番号を表している。上記表1のいずれの行列においても、行ベクトルの要素の数がそれぞれ1つしかないため、他の信号を互いに加算する処理がない。そのため、各送信アンテナにおいてPAPRを維持することができる。
【0006】
ここで、第2および第3のレイヤは、それぞれ1アンテナ送信であるのに対し、第1のレイヤは、同じ信号が2アンテナから送信されることになる。この結果、第1のレイヤに関しては、プリコーディングによって受信機での同相合成による平均受信電力の向上が見込める。
【0007】
表1のようなコードブックでは、第1レイヤの送信電力は他のレイヤの2倍となる。そこで、非特許文献3では、各レイヤの送信電力を一定にするコードブックが明記されている。次式(2)にその一例を示す。
【数1】

【0008】
表1のようなコードブックはCMP−LPU(Cubic Metric Preserving Layer Power Unbalanced)と呼ばれ、(2)式のようなコードブックは、CMP−LPB(Layer Power Balanced)と呼ばれる。これらの違いは、各レイヤの送信電力が同じになるよう制御するか否かの違いであり、(2)式の1/√2が、2本の送信アンテナから同じ信号を送信する場合に、受信電力を1本で送信した場合と同じにするための規格化定数となっている。
【0009】
またレイヤ毎の伝搬路推定を行なうため、各アンテナから送信されるDMRS(DeModulation Reference Signal)は受信機で分離できるように構成される必要がある。そのための手法としてサイクリックシフト(Cyclic Shift、 CS)がある。サイクリックシフトとは、各アンテナにおいてDMRSに対し時間軸上で異なる循環遅延を与えた信号を送信する技術であり、各レイヤの先頭の時刻がDFTの区間内でサイクリックシフトすることになる。この結果、受信機において遅延時間領域で各送信アンテナのインパルス応答を分離することが可能となる。さらに、例えば2送信アンテナにおいて、第2アンテナから送信されるDMRSにFFTポイント数の半分の循環遅延量を与えることは、周波数領域で{+1、−1、+1、−1、…}を各サブキャリアに乗算することと等価である。したがって、受信機において隣接サブキャリアで逆拡散処理を行なうことによって、各送信アンテナとの伝搬路特性を取得することができる。
【0010】
またLTEのフレーム構成は、例えば図1に示すようになっている。1サブフレームは2スロットから構成され、各スロットにはDMRSが1シンボル含まれている。そこでスロット間で{+1、+1}または{+1、−1}をDMRSシンボル全体に乗算して送信し、受信機ではスロットにまたがって逆拡散を行なうことで、各送信アンテナとの伝搬路推定を行なうことができる。この符号は直交カバーコード(OCC:Orthogonal Cover Code)と呼ばれている。
【0011】
また、非特許文献4にはランク4のMIMO伝送にサイクリックシフトとOCCを組み合わせることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS 36.213
【非特許文献2】3GPP、TR36.814、v1.5.1
【非特許文献3】3GPP, R1-093257, LG Electronics, “Consideration on rank 3 codebook design for UL SU-MIMO in LTE-A”, 3GPP RAN WG1 #58
【非特許文献4】3GPP, R1-094870, Qualcomm, “DM-RS in Support of UL MIMO and Tx Diversity”, 3GPP RAN WG1 #59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ランク3のプリコーディングでは、CMP−LPU(あるいはCMP−LPB)のコードブックをデータ信号に乗算するが、伝搬路推定を行なうための参照信号であるDMRSに対しても同じプリコーディングを行ない送信する。
【0014】
したがって、DMRSに関してもCMP−LPUの場合に、第1レイヤのDMRSの送信電力は、他のレイヤのDMRSの送信電力の2倍以上となる。
【0015】
各DMRSは、サイクリックシフトやOCC等によって分離されることになるが、サイクリックシフトは周波数選択性が強い場合に隣接サブキャリアとの逆拡散を行なうと、直交性の崩れから干渉が生じてしまう。またOCCの場合は、高速移動時に干渉が生じる。このように、直交性の崩れから干渉が生じる場合、第1レイヤのDMRSの受信電力は他のDMRSと比較して大きいため、他のレイヤへの与干渉も大きくなる。この結果、他のレイヤの伝搬路推定精度が著しく劣化してしまうという問題があった。
【0016】
本発明は、電力の大きなレイヤの参照信号の、電力の小さなレイヤの参照信号への与干渉を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一観点によれば、受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける送信装置であって、送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備することを特徴とする送信装置が提供される。これにより、DMRS生成部により生成された参照信号により、受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるようすることができる。
【0018】
すなわち、電力の大きなレイヤの参照信号に直交性の高い符号を割り当てる。前記DMRS生成部は、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することが好ましい。前記DMRS生成部は、入力された系列に複数種類の直交符号を乗算することが好ましい。レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように参照信号を生成するには、例えば直交符号を割り当てる。直交性の高い直交符号を割り当てることが与干渉を小さくすることになると考えられる。しかしながら、受信機の構成によっては(例えば繰り返し処理が行える受信機など)、まったく直交性が保たれないであろう符号の方が、直交符号を割り当てるよりも最終的な伝搬路推定精度がよくなる可能性もある。
【0019】
前記直交符号は、少なくとも伝搬路周波数選択性に耐性を持つ第1の符号と、伝搬路の時間選択性に耐性を持つ第2の符号と、から構成されることが好ましい。また、前記DMRS生成部は、平均受信電力の高いレイヤの第1の参照信号と、前記レイヤよりも低い平均受信電力で受信されるレイヤの第2の参照信号とを、前記伝搬路の時間選択性に耐性を持つ符号によって直交させることにより前記第1の符号と前記第2の符号とを生成することが好ましい。前記DMRS生成部は、入力された系列に複数種類の直交符号を乗算し、直交符号は時間選択性に強い符号と、周波数選択性に強い符号と、から構成され、前記直交符号は、少なくとも伝搬路周波数選択性に耐性を持つ第1の符号と、伝搬路の時間選択性に耐性を持つ第2の符号と、から構成され、平均受信電力の高いレイヤの第1の参照信号と、前記レイヤよりも低い平均受信電力で受信されるレイヤの前記第2の参照信号とを、前記伝搬路の時間選択性に耐性を持つ符号によって直交させることにより前記第1の符号と前記第2の符号とを生成し、移動装置の速度情報を取得する速度情報取得部と、速度情報取得部から通知される速度情報によって、前記複数のアンテナから送信されるレイヤの参照信号と前記複数のアンテナよりも少ない送信アンテナから送信されるレイヤの参照信号の直交法を選択するDMRS選択部と、を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明は、受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムであって、前記送信装置は、受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備し、前記DMRS生成部は、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することを特徴とするMIMOシステムである。
【0021】
また、本発明は、受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける受信装置であって、受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号にレイヤ間の与干渉電力が小さくなるように参照信号が付加された信号を受信し、同じ信号が複数アンテナから送信されるため高い平均電力で受信されるレイヤ用の参照信号と、その他のレイヤ用の参照信号と、を分離するMIMO分離部を有することを特徴とする受信装置である。
【0022】
本発明の他の観点によれば、受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける通信方法であって、受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信装置側において、送信用信号に付加する参照信号を生成するステップであって、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成するステップを有することを特徴とする通信方法が提供される。本発明は、上記に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであっても良く、該プログラムを記録する記録媒体であっても良い。該プログラムは、インターネットなどの伝送媒体によって取得されるものであっても良い。
【0023】
また、本発明は、受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける送信装置用プロセッサであって、受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備し、前記DMRS生成部は、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することを特徴とする送信装置用プロセッサでも良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、MIMO伝送において、環境を考慮した参照信号を送信することで、良好な伝送を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】LTEのフレーム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態による移動局における4送信アンテナ時のレイヤ数が3の送信機構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】DMRS生成部の構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施の形態による受信機の一構成例を示す機能ブロックである。
【図5】伝搬路推定部の一構成例を示す図である。
【図6】第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mの構成例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるDMRS生成部の一構成例を示す図である。
【図8a】OCC優先DMRS生成部の一構成例を示す図である。
【図8b】CS優先DMRS生成部の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書において、参照信号とは、伝搬路の状態を推定するために用いる、送受信で既知の信号であり、W-CDMA(第3世代携帯電話)では、パイロット信号(パイロットシンボル)と呼ばれていたものである。
【0027】
LTEシステムでは、上りリンクの参照信号として、SRS(Sounding Reference Signal)とDMRS(DeModulation Reference Signal)の2種類が存在する。SRSは、各端末にとってシステム帯域のうちどのあたりの帯域が良好な伝搬路であるかを基地局が知るために、端末が全帯域にわたって送信する参照信号である。基地局は、送信されたSRSによって、その端末が実際のデータ通信に用いる周波数を割り当てる。端末は、割り当てられた周波数帯域でデータを送信するが、データが伝搬路で受ける伝搬路を補償するため、伝搬路推定を行なう必要があり、その際にデータと同じ帯域のみに送信されるのがDMRSとなる。
【0028】
上記参照信号は、送受信で既知である必要がある。その際、どのような系列(たとえば1,0,0,1,1,…に固定)を用いてもよいが、伝搬路推定を行なうには周波数領域で一定の振幅であることが望ましく、また端末の増幅器への負担を考えると、周波数領域で作った信号を時間領域に変換した際にも一定の振幅になることが望ましい。さらに、自己相関が低い方がよいため、CAZAC(Constant Average Zero Auto-Correlation)系列が良いとされる。LTEでは、Zadoff-Chu系列という系列を用いている。
【0029】
基地局が、複数ユーザに同一周波数を割り当てた場合、基地局はMMSEフィルタ等を用いて受信信号から各端末のデータ分離を行なう。MMSEフィルタを生成するには伝搬路情報が必要であるが、DMRSも各端末で同時送信するため、DMRSも分離する必要がある。その際に、サイクリックシフトを用いる。
【0030】
サイクリックシフトとは、時間領域で信号を巡回的にシフト(並び替える)ことを指す。例えば、時間領域で半分時間的にシフトを行なうことは、周波数領域で見ると、サイクリックシフトしなかった場合に対して周波数領域で{+1,-1,+1,-1,...}を乗算することになっており、周波数領域の逆拡散によってDMRSの分離が可能である。なお、サイクリックシフトの分離は時間領域でも分離可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態として、移動局が低速移動である場合の送受信機構成を説明する。図2は4送信アンテナ時のレイヤ数が3の送信機構成を示している。尚、どの程度の速度まで耐性を持つかは、受信機性能にも依存するが、3GPPでは、低速移動として一般に3km/hで評価することが多く、静止状態や歩行時を想定している。
【0032】
図2に示す送信機Aにおいて、送信ビット系列は、符号化部1において誤り訂正符号化が適用される。符号化部1の出力はS/P変換部3において、シリアル−パラレル変換が施され、3つの変調部5−1〜3へ入力される。各変調部5−1〜3ではビット系列をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等のシンボルへの変調が行われる。変調部5−1〜3の出力はDFT部7−1〜3において離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform、DFT)が適用され、時間領域信号から周波数領域信号に変換される。DFT部7−1〜3の出力はプリコーディング部11に入力される。
【0033】
プリコーディング部11では、基地局から通知されるPMIによって、(2)式に示すプリコーディング行列の中から1つを選択し、DFT部7−1〜3に対して乗算する。プリコーディング部11の出力は、それぞれDMRS多重部15−1〜4に入力される。DMRS多重部15−1〜4では、LTEのフレームを構成するようにプリコーディング部11が出力するデータ信号とDMRS生成部23が出力するDMRSを多重化する。DMRS生成部23については後述する。LTEのフレーム構成は図1に示すように、1フレームは10個のサブフレームから成り、1サブフレームは12個のデータSC−FDMAシンボルと2つのDMRSシンボルの計14個のシンボルからサブフレームが構成される。ここでDMRSシンボルは14シンボル中の4番目と11番目に挿入される。
【0034】
DMRS多重部15−1〜4の出力はマッピング部17−1〜4に入力される。マッピング部17−1〜4では基地局から通知される割り当て情報によって、任意の周波数へのマッピングが行われる。マッピング部17−1〜4の出力はOFDM信号生成部21−1〜4に入力される。各OFDM信号生成部21−1〜4では、マッピング部17−1〜4からの入力に対して逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform、IFFT)を適用し、周波数領域信号から時間領域信号への変換を行なった後、各SC−FDMAシンボルにCP(Cyclic Prefix)が挿入される。CP挿入後のSC−FDMAシンボルにD/A(ディジタル−アナログ)変換、アナログフィルタリング、搬送波周波数へのアップコンバージョン等が行われた後、各アンテナAT1〜4から送信される。
【0035】
ここで、DMRSの生成について説明を行なう。CAZAC系列生成部27では、割り当て周波数帯域幅(利用するRB(Resource Block)数、ただしRBは12サブキャリアから構成される)と基地局からの通知情報によって決定されるインデックスqによって系列を生成する。LTEにおいて使用するRB数が3以上の場合、長さMRSscのCAZAC系列r(n)は次式で表わされる。
【数2】

【0036】
ここでインデックスqのZadoff−Chu系列x(n’)は次式で表わされる。
【数3】

【0037】
RSZCは、MRSscを超えない最大の素数であり、qは隣接セルからの干渉のランダム化を考慮し、基地局から通知される情報によって移動端末が生成するインデックスである。なお,本実施の形態では、LTEで用いられているZadoff−Chu系列を用いて説明を行なうが、Frank系列などのその他のCAZAC系列、PN(Pseudorandom noise)系列やGold符号の擬似ランダム系列、その他の系列でも当然適用可能である。
【0038】
CAZAC系列生成部27から出力された信号は、DMRS生成部23に入力される。ここでDMRS生成部23について説明を行なう。
【0039】
DMRS生成部23では、受信機で3つのレイヤに関する伝搬路推定を行なえるように、入力されたCAZAC信号に処理を施し送信を行なう。つまり、受信側で直交分離できるように送信を行なう必要がある。ここではOCCとサイクリックシフト(Cyclic Shift: CS)を適用する場合について説明を行なう。
【0040】
サイクリックシフトが施された信号は、受信機で周波数領域の逆拡散処理によって分離しようとする場合に、周波数選択フェージング環境下では干渉が生じる。そのため、例えば、第1レイヤとその他のレイヤ(第2および第3)をサイクリックシフトによって分離しようとすると、第1レイヤのDMRSの電力がその他のレイヤのDMRSの電力より高いため、その他のレイヤに大きな干渉を与えてしまい、その他のレイヤのチャネル推定精度を著しく劣化させてしまうことになる。
【0041】
ここで、MIMO伝送を行なう移動端末は静止あるいは低速移動状態であり、サブフレーム内の第4および第11番目のDMRS間で伝搬路変動はほとんどないと考えることができる。そこで、3つのレイヤの内、第1レイヤとその他のレイヤの分離にOCCを用い、第2および第3レイヤはサイクリックシフトによって分離させることを考える。
DMRS生成部の構成例を図3を参照しながら説明する。DMRS生成部23に入力されたCAZAC系列は、#0−OCC部31―1および#1−OCC部31―2に入力される。#0−OCC部31―1では入力されたr(n)に対し、行ベクトルc=[+1、+1]が乗算される。
【0042】
一方、#1−OCC部31―2では、c=[+1、−1]が乗算される。例えば#1−OCC部31―2の出力は、
【数4】

となる。#0−OCC部31―1の出力は、第1#0−サイクリックシフト部33―1に入力される。#1−OCC部31―2の出力は、第2#0−サイクリックシフト部33―2、#1−サイクリックシフト部33―3に入力される。
【0043】
第1#0−サイクリックシフト部33―1と第2#0−サイクリックシフト部33―2では、入力されたベクトルに対してサイクリックシフトが適用される。サイクリックシフト量exp(−jαn)のサイクリックシフトが適用された場合、第1#0−サイクリックシフト部33―1の出力は次式となる。
【0044】
【数5】

ここで、αは基地局から通知されるサイクリックシフト量であり、0≦α<2πである。
【0045】
尚、第1#0−サイクリックシフト部33―1と第2#0−サイクリックシフト部33―2とのサイクリックシフト量αは同じであってもよいし、異なってもよい。以降は同じαを用いたとして説明を行なう。一方、#1−サイクリックシフト部33―3では、第2#0−サイクリックシフト部33―2でのサイクリックシフト量αとは異なるサイクリックシフト量β(0≦β<2π)によってサイクリックシフトが行われる。
【0046】
第1#0−サイクリックシフト部33―1、第2#0−サイクリックシフト部33―2および#1−サイクリックシフト部33―3からの3つの出力は次式の行列で表わすことができる。
【0047】
【数6】

【0048】
行列の行は、ランクに対応し、列はDMRSシンボルに対応する。つまり1列目は図1の3番目のシンボルに挿入されるDMRSシンボルであり、2列目は11番目のシンボルに挿入されるDMRSシンボルである。上式(6)がプリコーディング部35に入力され、図2のプリコーディング部11と同一のプリコーディングが適用される。プリコーディング行列Wが、
【数7】

であるとき、プリコーディング部35の出力するDMRS行列SRSは次式(8)で表わされる。
【0049】
【数8】

【0050】
ここで、行は送信アンテナ1〜4をそれぞれ表わし、列は式と同様、サブフレーム中の2つのDMRSシンボルを表す。
【0051】
図4は、本実施の形態による受信機の一構成例を示す機能ブロックである。送信アンテナ1〜4から送信された信号は、無線伝搬路を経由し、図4に示す受信機BのN本のアンテナAT2−1〜Nで受信される。各アンテナAT2−1〜Nで受信された信号は、DMRS分離部51−1〜Nまでに入力され、図1の4番目と11番目のシンボルであるDMRS受信信号は伝搬路推定部71に入力される。伝搬路推定部71の構成を図5に示す。第m受信アンテナのDMRS分離部51−m(1≦m≦N)からのDRMS受信信号Rは第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mに入力される。第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mでは、3つのレイヤそれぞれに対する伝搬路推定値ベクトル(1×3)
【数9】

を算出し、伝搬路推定値結合部75へ入力する。尚、(1×3)はベクトルのサイズが1×3の行列であることを意味している。第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mについては後述する。伝搬路推定値結合部75は、第1〜N受信アンテナ伝搬路推定部73−1〜Nから入力された伝搬路推定値ベクトル(1×3)を結合し、伝搬路推定値行列、
【数10】

(N×3)を生成し出力する。
【0052】
ここで第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mについて説明する。第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mに入力されるDMRSの受信信号ベクトルR(1×2)は次式(11)で表わされる。
【0053】
【数11】

【0054】
ここで、Hは各送信アンテナと第m受信アンテナの間の伝搬路ベクトル(1×4)[hm1、hm2、hm3、hm4]であり、hmnは第m受信アンテナと第n送信アンテナとの間の伝搬路を表しており、上式において雑音は、説明を簡単にするため無視している。
【0055】
第m受信アンテナ伝搬路推定部73−mの構成を図6に示す。受信信号ベクトルR(1×2)は、#0−シンボル逆拡散部77−0および#1−シンボル逆拡散部77−1に入力される。始めに#0−シンボル逆拡散部77−0について説明を行なう。#0−シンボル逆拡散部77−0では、入力された信号ベクトルRの転置にOCCベクトルc=[+1、+1]を乗算する。#0−シンボル逆拡散部の出力は、次式で表わされる。
【0056】
【数12】

【0057】
#0−シンボル逆拡散部77−0の出力は、第1#0−サイクリックシフト補償部81−1に入力される。第1#0−サイクリックシフト補償部81−1では、図2の送信機の第1#0−サイクリックシフト部33−1で与えられた位相回転αを戻す処理が行われ、第1レイヤに対する伝搬路推定値を得る。
【0058】
一方、#1−シンボル逆拡散部77−1では、入力された信号ベクトルRの転置にOCCベクトルc=[+1、−1]を乗算する。#1−シンボル逆拡散部77−1の出力は、次式で表わされる。
【0059】
【数13】

【0060】
#1−シンボル逆拡散部77−1の出力は、第2#0−サイクリックシフト補償部81−2および#1−サイクリックシフト補償部81−3に入力される。第2#0−サイクリックシフト補償部81−2では、位相回転量αが与えられた第2レイヤの参照信号による伝搬路推定が行われる。また、#1−サイクリックシフト補償部81−3では、位相回転量βが与えられた第3レイヤの参照信号による伝搬路推定が行われる。
【0061】
第2#0−サイクリックシフト補償部81−2および#1−サイクリックシフト補償部81−3において、所望の伝搬路推定値を得るための方法は、周波数領域での逆拡散する方法や、遅延時間領域で所望のインパルス応答のみを抽出する方法等、どのような方法であってもよい。
【0062】
図4の伝搬路推定部71の出力は、MIMO分離部57に入力される。また、伝搬路推定部71では、上述のようなプリコーディングが適用されている参照信号の他に、プリコーディングが適用されていない参照信号を用いて、各送信アンテナとの伝搬路の推定も行なう。各送信アンテナの伝搬路推定値はPMI選択部74に入力され、受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)が最大となるPMIが選択され、移動局へ通知される。
【0063】
一方、データ信号は、DMRS分離部51からOFDM信号受信部53に入力される。OFDM信号受信部53では、ベースバンドへのダウンコンバージョン、アナログフィルタリング、A/D(アナログ−ディジタル)変換等が行われた後、送信機で付加したCPの除去および高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)が行われ、周波数領域信号をデマッピング部55へ出力する。デマッピング部55では、通信に用いられた周波数を抽出する処理が行われる。各デマッピング部55−1〜Nの出力はMIMO分離部57に入力される。MIMO分離部57では、各デマッピング部55−1〜Nからの入力と伝搬路推定部71からの入力を用いて、3つのレイヤの分離が行われる。
【0064】
第1〜第3のレイヤの出力はそれぞれIDFT部61−1〜3に入力され、時間領域信号に変換される。得られた時間領域信号は、復調部63−1〜3においてビットに変換され、P/S変換部65においてパラレル−シリアル変換が行われる。その後、復号部67において誤り訂正復号を適用することでビット系列を得る。
【0065】
本実施の形態は、4送信アンテナのランク3のMIMO伝送において、同じ信号が2つのアンテナから送信されるため高い平均電力で受信される第1レイヤと、1アンテナからのみ送信される第2のレイヤと第3のレイヤとが存在するようなプリコーディングが行われた場合に関する。この時、第1のレイヤと、その他のレイヤとは、OCCを用いて分離を行ない、その他のレイヤである第2のレイヤと第3のレイヤとは、異なるサイクリックシフトを与えることで分離を行なう。このようにOCCとサイクリックシフトを割り当てることで、移動速度の遅い移動局は、特定のレイヤのチャネル推定精度を大幅に劣化させることなく、良好な伝送を行なうことができる。
【0066】
また、本実施の形態は、4送信アンテナで3つのレイヤを送信する場合に、レイヤ間で平均受信電力が異なる場合について記載したが、各レイヤを送信するアンテナ本数が等しい場合でも、各アンテナの送信電力が異なるためにレイヤ間の平均受信電力が異なる場合にも有効である。さらに、レイヤ間で変調方式や符号化率が異なる場合や、QoS(Quality of Service)が異なる場合等、レイヤ間で必要される伝搬路推定精度が異なる場合にも有効である。
【0067】
例えば3送信アンテナで、3つのレイヤを送信する場合に、最も高い伝搬路推定精度が求められるレイヤ用の参照信号と、他の2つのレイヤ用の参照信号は、OCCを用いて分離を行なうように符号を割り当て、他の2つのレイヤは異なるサイクリックシフトを与えることで分離する。
【0068】
尚、本実施の形態では、周波数選択性によって干渉が生じる技術としてサイクリックシフトを上げたが、サイクリックシフトの代わりにIFDM(Interleaved Frequency Division Multiplexing)と呼ばれる櫛の歯状の参照信号を用いることで、他アンテナの参照信号と周波数領域で直交させる方法を用いてもよい。また本実施の形態では、他のレイヤへの与干渉が少ない直交法としてOCCを用いたが、IFDMは周波数領域で直交させることができるため、第1のレイヤと他のレイヤを直交分離させるためにOCCの代わりにIFDM型の参照信号を用いてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、4送信アンテナにおけるランク3について説明を行なったが、特定のレイヤのDMRSの電力が大きくなるシステムに適用可能である。例えば8送信アンテナにおいてレイヤ数が5、6、7の場合等にも当然適用可能である。
【0070】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、MIMO伝送を行なう移動端末は、低速移動状態であることを仮定し、OCCとサイクリックシフトの割り当てを行なった。しかしながら、移動状態に置いてもMIMO伝送を行なう場合も考えられる。本実施形態では高速移動時に4送信アンテナを用いてランク3の伝送を行なう場合に、良好な伝搬路推定精度を得る方法について開示する。尚、低速という用語に関する基準に関して、移動通信は、遅延波の影響による周波数選択性フェージングと、端末が移動することによる時間選択性フェージングの2重選択性フェージングという環境で通信を行う。第1の実施の形態では、2重選択性のうち時間選択性は弱いことを前提としている。第2の実施の形態では、端末の移動速度が上がり、時間選択性が周波数選択性を上回る場合のものである。
【0071】
従って、「ある一定の基準」は、「参照信号が伝搬路で受ける時間選択性が周波数選択性よりも強くなった場合」と定義することができる。但し、時間選択性と同様に、周波数選択性に関しても、端末の所在(室内、都心、山間部等)によって異なるため、端末がその都度、周波数選択性に関する情報を取得し、速度情報(時間選択性)と比較を行なうか、周波数選択性の平均的な値を保持しておき、速度情報と比較することで決めることができる。
【0072】
本実施の形態の送信機構成は、図2と同様であるが、図2中のDMRS生成部23の構成が異なる。本実施の形態によるDMRS生成部23aの構成例を図7に示す。図2のCAZAC系列生成部23が出力したCAZAC系列は、図7に示すDMRS系列生成部23aの中のDMRS選択部91に入力される。DMRS選択部91では、速度情報通知部95から通知される移動局の速度情報によって入力されたCAZAC系列を第1OCC優先DMRS生成部93aに入力するか、CS優先DMRS生成部93bに入力するかを選択する。
【0073】
例えば、移動速度がある一定の基準以下の場合、OCC優先DMRS生成部93aを選択し、移動速度がある一定の基準を超える場合、CS優先DMRS生成部93bを選択する。
【0074】
図8aに示すOCC優先DMRS生成部93aの構成は、図3に示すDMRS生成部23の構成と同一であり、始めにOCCを適用し、その後サイクリックシフトを適用することで、第1のレイヤとその他のレイヤはOCCによって受信機で分離することができる。サイクリックシフト部103の出力はプリコーディング部105に入力され、各送信アンテナ用のDMRSが出力される。
【0075】
また、図8bにCS優先DMRS生成部93bの構成を示す。CS優先DMRS生成部93bでは、始めに、#0−サイクリックシフト部111a、#1−サイクリックシフト部111bでサイクリックシフト(Cyclic Shift: CS)を適用し、その後、#1−OCC部113cでOCCを適用することで、第1のレイヤとその他のレイヤはサイクリックシフトによって受信機で分離することができる。OCC部の出力はプリコーディング部115に入力され、各送信アンテナ用のDMRSが出力される。OCC優先DMRS生成部93aあるいはCS優先DMRS生成部93bの出力は図2に示すようにDMRS多重部15に入力される。受信機では、本実施の形態のDMRSに対応した伝搬路推定部71が用意され、伝搬路推定を行なう。
【0076】
このように、移動局の移動速度に応じて同じ信号が複数アンテナから送信される第1のレイヤとその他のレイヤの分離方法を切り替える。つまり、移動速度が速い場合はOCCでは、時間方向の直交性の崩れが顕著になるため、電力が高い第1のレイヤの他のレイヤへの与干渉が増大する。そのため、第1のレイヤとその他のレイヤはサイクリックシフトによって分離する。この結果、第1のレイヤから他のレイヤへの与干渉を増大させることがなくなるため、良好な伝送特性を得ることができる。また移動速度は低く、時間選択性よりも周波数選択性による干渉が顕著な場合は、第1のレイヤとその他のレイヤはOCCによって分離する。この結果、第1のレイヤから他のレイヤへの与干渉を増大させることがなくなるため、良好な伝送特性を得ることができる。
【0077】
また、本実施の形態では伝搬路の時間選択性によって、サイクリックシフトとOCCの優先度を変更する例を示したが、伝搬路の時間選択性が強い場合には、OCCからIFDM型の参照信号を適用することで伝搬路の時間変動に耐性を持たせることができる。しかしながらIFDMは周波数で離散的に参照信号が配置されるため、周波数選択性が強くなると伝搬路推定精度が劣化するという問題がある。そこで伝搬路の時間選択性が弱い場合においては、IFDMから周波数変動に耐性を持つOCCに切り替えることで良好な伝搬路推定精度を得ることができる。
【0078】
本発明に関わる移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0079】
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には、集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。ハイブリッド、モノリシックのいずれでも良い。一部は、ハードウェアにより、一部はソフトウェアにより機能を実現させても良い。
【0080】
また、半導体技術の進歩により、LSIに代替する集積回路化等の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0081】
以上、この発明の実施の形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、携帯電話装置を移動局装置とする移動体通信システムに用いることができる。
【符号の説明】
【0083】
A…送信装置、1…符号化部、3…S/P変換部、5…変調部、7…DFT部、11…プリコーディング部、15…DMRS多重部、17…マッピング部、21…OFDM信号生成部、AT…アンテナ、23…DRMS生成部、27…CAZAC系列生成部、31…OCC部、33…サイクリックシフト部、35…プリコーディング部、B…受信装置、51…DRMS分離部、53…OFDM受信部、55…デマッピング部、57…MIMO分離部、61…IDFT部、63…復調部、65…P/S変換部、67…復号部、71…伝搬路推定部、74…PMI選択部、75…伝搬路推定値統合部、77…シンボル逆拡散部、81…サイクリックシフト補償部、91…DRM選択部、93a…OCC優先DMRS生成部、93b…CS優先DMRS生成部、95…速度情報通知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける送信装置であって、
送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記DMRS生成部は、
レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記DMRS生成部は、
入力された系列に複数種類の直交符号を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記直交符号は、
少なくとも伝搬路周波数選択性に耐性を持つ第1の符号と、伝搬路の時間選択性に耐性を持つ第2の符号と、から構成されることを特徴とする請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記DMRS生成部は、
平均受信電力の高いレイヤの第1の参照信号と、前記レイヤよりも低い平均受信電力で受信されるレイヤの第2の参照信号とを、前記伝搬路の周波数選択に耐性を持つ符号によって直交させることを特徴とする請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
前記DMRS生成部は、
移動装置の速度情報を取得する速度情報取得部と、
速度情報取得部から通知される速度情報によって、前記複数のアンテナから送信されるレイヤの参照信号と前記複数のアンテナよりも少ない送信アンテナから送信されるレイヤの参照信号への、前記第1の符号と前記第2の符号との割当を選択するDMRS選択部と、を有することを特徴とする請求項5記載の送信装置。
【請求項7】
受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムであって、
前記送信装置は、
受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備し、前記DMRS生成部は、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することを特徴とするMIMOシステム。
【請求項8】
受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける受信装置であって、
受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号にレイヤ間の与干渉電力が小さくなるように参照信号が付加された信号を受信し、
高い平均電力で受信されるレイヤ用の参照信号と、その他のレイヤ用の参照信号と、を分離する伝搬路推定部を有することを特徴とする受信装置。
【請求項9】
受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける通信方法であって、
受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信装置側において、送信用信号に付加する参照信号を生成するステップであって、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成するステップを有することを特徴とする通信方法。
【請求項10】
請求項9に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
受信装置と送信装置とを有し、レイヤ毎に平均受信電力が異なる複数のレイヤを同時送信可能なMIMOシステムにおける送信装置用プロセッサであって、
受信装置側で各レイヤの伝搬路を推定できるように、送信用信号に付加する参照信号を生成するDMRS生成部を具備し、
前記DMRS生成部は、レイヤ間の与干渉電力が小さくなるように前記参照信号を生成することを特徴とする送信装置用プロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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