説明

無線通信装置、無線通信装置の受信レベル判別方法及びプログラム

【課題】無線方式が異なる複数の基地局から受信する信号の受信レベルをモニターする。
【解決手段】制御部19は、予め設定された時間間隔で4本のアンテナ111〜114を切り替え、4本の受信アンテナ111〜114を用いてLTE基地局からの信号を受信し、4本のアンテナ111〜114を用いてGSM基地局からの信号を受信する。制御部19は、4本のアンテナ111〜114を用いてLTE基地局から信号を受信したときに受信信号検出部14pが検出した信号強度に基づいてLTE基地局のセルにおける受信レベルを判別する。また、制御部19は、4本のアンテナ111〜114を用いてGSM基地局から信号を受信したときに、受信信号強度検出部14pが検出した4個の信号強度に基づいてGSM基地局のセルにおける受信レベルを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信装置の受信レベル判別方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術は、進化しつつあり、その進化に伴って、第2世代携帯電話方式、第3世代携帯電話方式、第3.9世代携帯電話方式と呼ばれている携帯電話方式がある。
【0003】
第2世代携帯電話方式と呼ばれているものには、GSM(Global System for Mobile communications)方式、IS−95方式、PDC(Personal Digital Cellular)方式がある。
【0004】
無線通信技術の一つである受信ダイバーシチ技術は、このGSM方式、IS−95方式による携帯電話機で実用化されている。また、特許文献1には、PDCにおける受信ダイバーシチ技術が記載されている。
【0005】
この受信ダイバーシチ技術には、(1)複数のアンテナから受信レベルの高いアンテナを選択するアンテナダイバーシチ技術と、(2)複数のアンテナからの受信信号の強度と位相とから、最適データを復号する合成ダイバーシチ技術がある。
【0006】
また、送信側・受信側の双方に複数のアンテナを備えて、高速・大容量の情報伝送を行うMIMO(Multi Input Multi Output)技術は、無線LAN(Local Area Network)の802.11n方式の無線通信装置で実用化されている。
【0007】
第3世代携帯電話方式と呼ばれているものには、W−CDMA(Wide-Band Code Division Multiplex Access)方式や、cdma2000−1xがある。このW−CDMA方式、cdma2000−1xでは、基地局間を通信の瞬断無く移動するための、ハンドオーバー技術が実用化されている。
【0008】
また、ハンドオーバー技術については、信号の送受信可能な基地局のセルから他の基地局のセルへとハンドオーバーする際に受信レベルの大小を判定して、ハンドオーバーするようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。なお、第3.9世代方式であるLTE方式については、規格化されている。
【0009】
第3.9世代方式携帯電話方式と呼ばれているものには、LTE(Long Term Evolution)方式がある。このLTE方式では、4本の受信アンテナを用いたMIMO技術が採用され、ハンドオーバー技術も規格化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3101437号公報
【特許文献2】特開2009−111644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、携帯電話方式は進化しているため、例えば、LTE方式を用いた第1の基地局のセルに存在している携帯電話が、GSM方式を用いた第2の基地局のセルへとハンドオーバーする場合、第2の基地局で信号の受信レベルを正確にモニターする必要がある。
【0012】
しかし、前述の技術では、無線方式が異なる第1の基地局、第2の基地局から受信する信号の受信レベルを正確にモニターすることができない。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、無線方式が異なる複数の基地局から受信する信号の受信レベルをモニターすることが可能な無線通信装置、無線通信装置の受信レベル判別方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線通信装置は、
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナと、
予め設定された時間間隔でN本の前記受信アンテナを切り替えて、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信する受信制御部と、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出する信号強度検出部と、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別する受信レベル判別部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記受信制御部は、待ち受け時、前記第1の基地局から信号を受信するN本の受信アンテナと前記第2の基地局からの信号を受信するN本の受信アンテナとを、少なくとも前記時間間隔で交互に切り替えて、前記第1の基地局から信号と前記第2の基地局からの信号とを受信するようにしてもよい。
【0016】
前記受信制御部は、N>Mのとき、データ通信時、前記第1の基地局から信号を受信するM本の受信アンテナと前記第2の基地局からの信号を受信する(N−M)本の受信アンテナとを、前記時間間隔で切り替えて、前記第1の基地局から信号を、常時、受信し、前記第2の基地局からの信号を、順次、受信するようにしてもよい。
【0017】
前記受信レベル判別部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度のうちで最も強い信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度のうちで最も強い信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別するようにしてもよい。
【0018】
前記受信レベル判別部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度の代表値に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度の代表値に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別するようにしてもよい。
【0019】
前記第1の基地局は、LTE(Long Term Evolution)方式に従って信号を送受信する局であり、前記第2の基地局は、GSM(Global System for Mobile communications)方式に従って信号を送受信する局であってもよい。
【0020】
前記時間間隔で区切られたデータ伝送用のチャンネルをスロットとして、
前記受信制御部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信するためのGPRS(General Packet Radio Service)受信スロットと前記第1の基地局に送信するためのGPRS送信スロットとの間で、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信するようにしてもよい。
【0021】
前記各受信アンテナが前記第1の基地局から受信した信号をダウンコンバートしてベースバンド帯域の信号を生成する受信処理部を備え、
前記信号強度検出部は、前記受信処理部が生成した信号の信号強度を検出するようにしてもよい。
【0022】
チャンネル周波数を、前記第2の基地局が送信する報知チャンネル信号の周波数に設定し、前記第2の基地局からの報知チャンネル信号を受信する受信部を備え、
前記信号強度検出部は、前記受信部が受信した報知チャンネル信号の信号強度を検出するようにしてもよい。
【0023】
前記信号強度検出部は、前記受信処理部が生成した信号のRSSI(Receive Signal Strength Indicator)値を検出するRSSI検出部であってもよい。
【0024】
本発明の第2の観点に係る無線通信装置の受信レベル判別方法は、
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナを備えた無線通信装置の受信レベル判別方法であって、
予め設定された時間間隔でN本の前記受信アンテナを切り替えて、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信するステップと、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出するステップと、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、両受信レベルを取得するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナを、予め設定された時間間隔で切り替え、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信する手順、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出する手順、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、両受信レベルを取得する手順、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、無線方式が異なる複数の基地局から受信する信号の受信レベルをモニターすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1に係る無線送受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す無線送受信機とLTE基地局及びGSM基地局との位置関係を示す図である。
【図3】待ち受け時にLTE網の受信レベル、GSM網の受信レベルをモニターするタイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】図1に示す制御部が実行する待ち受け時モニター処理を示すフローチャートである。
【図5】データ通信時にLTE網の受信レベル、GSM網の受信レベルをモニターするタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】図1に示す制御部が実行するデータ通信中モニター処理(1)を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態2に係る無線送受信機の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態3に係る無線送受信機の構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示す制御部が実行するデータ通信中モニター処理(2)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態4に係る無線送受信機がデータ通信時にLTE網の受信レベル、GSM網の受信レベルをモニターするタイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施形態5に係る無線送受信機の制御部が実行するデータ通信中モニター処理(3)を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態6に係る無線送受信機の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態6において、データ通信時にLTE網の受信レベル、GSM網の受信レベルをモニターするタイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施形態7に係る無線送受信機とLTE基地局及びGSM基地局との構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る無線通信装置を図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、無線通信装置を無線送受信機として説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る無線送受信機1は、図1に示すように、アンテナ111〜114と、高周波受信部121〜124と、高周波送信部131〜134と、ベースバンド部14と、スピーカ15と、マイク16と、ダイヤルキー17と、記憶部18と、制御部19と、を備える。
【0029】
この無線送受信機1は、LTE−GSMデュアルモード送受信機であり、図2に示すように、LTE網と、GSM網の両方に位置登録される。
【0030】
LTE基地局2は、LTE方式に従って無線送受信機1との間で通信を行う局である。
【0031】
GSM基地局3は、GSM方式に従って無線送受信機1との間で通信を行う局である。尚、GSM基地局3は、タイミング参照や同期情報などを送るために使用される1本の報知チャネルを有する。
【0032】
この無線送受信機1は、LTE基地局2の信号を受信することができるセル2cに存在し、LTE網への位置登録をしていると同時に、GSM基地局3の信号を受信することができるセル3c内にも存在している場合、GSM基地局3からの報知チャネルの受信レベルを検出可能なものである。無線送受信機1は、データ通信をLTE網との間で行い、音声通信をGSM網との間で行う。
【0033】
図1に示す無線送受信機1のアンテナ111〜114は、LTE基地局2からの電波とGSM基地局3からの電波とを受信するためのものである。4つのアンテナ111〜114を備えることにより、4×4MIMOが行えるようになっている。
【0034】
この4×4MIMO動作は、LTE規格におけるCategory5(TS36.306 Table4.1-1)に相当する。
【0035】
MIMO方式による空間多重効果を得るためには、無線送受信機1のアンテナ111〜114は、各々、相互相関係数が低いこと、つまり疎結合であることが求められる。
【0036】
その一例として、アンテナ間距離が搬送波の波長λのλ/2以上であると、受信信号に対応する各信号強度の相互相関係数が低くなる。相互相関係数が低くなるということは、各信号強度は相互に関係しなくなる、ということである。
【0037】
このため、実施形態1では、無線送受信機1のアンテナ111〜114のアンテナ間距離を搬送波の波長λのλ/2以上とする。
【0038】
アンテナ111〜114は、それぞれ、送受分波器(図示せず)を介して、高周波受信部121、122、123、124及び、高周波送信部131、132、133、134に接続される。
【0039】
アンテナ111〜114は、それぞれ、LTE基地局2から受信した電波をLTE受信信号に変換し、変換したLTE受信信号を、送受分波器を介して高周波受信部121、122、123、124に供給する。
【0040】
また、アンテナ111〜114は、LTE送信信号が、それぞれ、高周波送信部131〜134から送受分波器(図示せず)を介して供給され、供給されたLTE送信信号を放射する。
【0041】
高周波受信部121〜124は、それぞれ、電流が供給されて受信処理を行うものである。高周波受信部121〜124は、受信処理として、それぞれ、アンテナ111〜114から供給されたLTE受信信号の周波数をベースバンド帯域までダウンコンバートする。高周波受信部121〜124は、ダウンコンバートした信号を、それぞれ、信号Sout1〜Sout4として出力する。
【0042】
また、高周波受信部121〜124は、それぞれ、制御部19によってチャンネル周波数がGSM網の報知チャンネル周波数に設定されて、GSM基地局3から送信された報知チャンネルの信号を受信する。高周波受信部121〜124は、各報知チャンネルの信号を、それぞれ、信号Sout1〜Sout4として出力する。
【0043】
高周波送信部131〜134は、ベースバンド部14から供給された送信ベースバンド信号の周波数をアップコンバートしてLTE送信信号を生成するものである。高周波送信部131〜134は、それぞれ、生成したLTE送信信号を、送受分波器を介してアンテナ111〜114に供給する。
【0044】
ベースバンド部14は、LTEのベースバンド送受信処理とGSMのベースバンド送受信処理との両方を行うものである。
【0045】
ベースバンド部14は、ベースバンド受信処理として、高周波受信部121〜124から、それぞれ、供給されたベースバンド帯域の4信号Sout1〜Sout4を、OFDM復調し、空間多重分離した4種のレイヤ信号を生成する。
【0046】
ベースバンド部14は、OFDM復調された4(種の)レイヤ信号の信号強度を検出する受信信号強度検出部14pを備える。
【0047】
ベースバンド部14は、レイヤデマッパー、モジュレーションデマッパー、暗号復号器(いずれも図示せず)を備え、生成した4レイヤ信号を復号化してデジタルの受信データを生成する。
【0048】
この受信データには、データ通信の場合のデータと音声通信の場合のデータとがあり、データ通信の場合、ベースバンド部14は、受信データを制御部19に供給する。
【0049】
また、ベースバンド部14は、D/A変換器(図示せず)を備え、音声通信の場合、D/A変換器が受信データをアナログの音声信号に変換してスピーカ15に供給する。
【0050】
一方、ベースバンド部14は、ベースバンド送信処理として、制御部19から供給されたデータ、マイク16から供給された信号を送信ベースバンド信号に変換し、それぞれ、高周波送信部131〜134に供給する。
【0051】
スピーカ15は、ベースバンド部14のD/A変換器から供給された音声信号を音声に変換して出力するものである。マイク16は、音声が供給されたとき、この音声を音声信号に変換してベースバンド部14に供給するものである。
【0052】
ダイヤルキー17は、通話時に電話番号等の入力を受け付けるためのものであり、受け付けた電話番号等を制御部19に供給する。
【0053】
記憶部18は、種々のデータを記憶するものであり、ROM、RAM、不揮発性メモリ等によって構成される。記憶部18は、データとして、LTE網モニター値、GSM網のモニター値等を記憶する。
【0054】
また、記憶部18は、制御部19が実行する処理に必要なプログラムのデータを記憶する。
【0055】
制御部19は、記憶部18から処理に必要なプログラムのデータを読み出して、無線送受信機1の各部を制御する。
【0056】
制御部は、予め設定された時間間隔で4本のアンテナ111〜114を切り替えて、4本の受信アンテナ111〜114を用いてLTE基地局2からの信号を受信し、4本のアンテナ111〜114を用いてGSM基地局3からの信号を受信する。
【0057】
制御部19は、高周波受信部121〜124への電流の供給、電流供給の停止を制御する。
【0058】
制御部19は、アンテナ111〜114を用いてLTE基地局2又はGSM基地局3からの信号を受信するときは、高周波受信部121〜124に電流を供給し、受信しないときは、電流供給を停止する。
【0059】
また、制御部19は、待ち受け時、データ通信時、タイミングを制御してLTE網、GSM網の受信レベルをモニターする。制御部19はタイミングを制御するため、時間を計測するタイマを備える。
【0060】
次に実施形態1に係る無線送受信機1の動作を説明する。
制御部19は、待ち受け時にLTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとを交互にモニターする。図3は、この待ち受け時にLTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとをモニターするタイミングを示す。尚、以下の説明において、アンテナ111〜114の順序は、この順序に限定されるものではない。
【0061】
制御部19は、待ち受け時、時刻t11から周期Tlte毎に、アンテナ111〜114を用いてLTE基地局2のセル2cにおける受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt11,Slt13,Slt21,Slt23,Slt31,Slt33,Slt41,Slt43)。この周期Tlteを、例えば、5秒とする。
【0062】
具体的に、制御部19は、高周波受信部121〜124に電流を供給して高周波受信部121〜124を動作させる。アンテナ111〜114は、それぞれ、電源から電流が供給されてLTE基地局2からの電波を受信する。
【0063】
高周波受信部121〜124は、それぞれ、アンテナ111〜114から供給されたLTE受信信号の周波数をベースバンド帯域までダウンコンバートし、この信号を各信号Sout1〜Sout4として出力する。
【0064】
ベースバンド部14は、高周波受信部121〜124からそれぞれ出力された信号信号Sout1〜Sout4を、それぞれ、OFDM復調して4レイヤ信号を生成し、受信信号強度検出部14pは、この4レイヤ信号の各信号強度を検出する。
【0065】
また、制御部19は、時刻t12から周期Tgsm毎に、アンテナ111〜114を用いてGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt12,Slt14,Slt22,Slt24,Slt32,Slt34,Slt42,Slt44)。この周期Tgsmを、例えば、5秒とする。
【0066】
具体的に、制御部19は、高周波受信部121〜124に電流を供給して高周波受信部121〜124を動作させ、高周波受信部121〜124の各チャンネル周波数をGSM基地局3からの報知チャンネル周波数に設定する。
【0067】
高周波受信部121〜124は、それぞれ、GSM基地局3から送信された報知チャンネルの信号を受信し、この信号を信号Sout1〜Sout4として出力する。ベースバンド部14の受信信号強度検出部14pは、この信号から復調された信号の信号強度を検出する。
【0068】
制御部19は、この待ち受け処理を、図4に示すフローチャートに従って実行する。まず、制御部19は、タイマ値に基づいて周期Tが経過したか否かを判定する(ステップS11)。
【0069】
周期Tが経過していないとき(ステップS11;No)、制御部19は、周期Tが経過するまで待機する。
【0070】
周期Tが経過したとき(ステップS11;Yes)、制御部19は、周期Tが周期Tlteか周期Tgsmかを判定する(ステップS12)。
【0071】
周期Tが周期Tlteのとき(ステップS12;Tlte)、制御部19は、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度のうちで最も強い信号強度をLTE網モニター値として、このLTE網モニター値を記憶部18に記憶する(ステップS13、図3に示すタイムスロットSlt11,Slt21,Slt31,Slt41,Slt13,Slt23,Slt33,Slt43)。
【0072】
制御部19は、このLTE網モニター値に基づいてLTE基地局2のセル2cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、再度、周期Tが経過するまで待機する。
【0073】
周期Tが周期Tgsmのとき(ステップS12;Tgsm)、制御部19は、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度のうちで最も強い信号強度をGSM網モニター値として、このGSM網モニター値を記憶部18に記憶する(ステップS14、図3に示すタイムスロットSlt12,Slt22,Slt32,Slt42,Slt14,Slt24,Slt34,Slt44)。
【0074】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、再度、周期Tが経過するまで待機する。
【0075】
次に、無線送受信機1がデータ通信を行った場合、制御部19は、アンテナ111〜114を、順次、切り替えてLTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとをモニターする。
【0076】
図5は、使用アンテナ数が4本で、無線送受信機1がデータ通信を行った場合に、LTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとをモニターするタイミングを示す。
【0077】
データ通信時、制御部19は、4本のアンテナ111〜114を各スロットの時間間隔で切り替えて、LTE基地局2から信号を、常時、受信し、GSM基地局3からの信号を、順次、受信する。
【0078】
制御部19は、時刻t21から、アンテナ111〜114を用いて4×4MIMO動作を行う(タイムスロットSlt51,Slt61,Slt71,Slt81)。
【0079】
予め設定された周期T(例えば、2秒)経過後、制御部19は、アンテナ111,112を用いた2×2MIMO動作に変更する(タイムスロットSlt52,Slt62)。
【0080】
同時に、制御部19は、高周波受信部123,124のチャンネル周波数をGSM網の報知チャンネル周波数に設定し、アンテナ113,114を用いてGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt72,Slt82)。
【0081】
次に、制御部19は、高周波受信部122のチャンネル周波数をGSM網の報知チャンネル周波数に設定し、アンテナ112でGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt63)。
【0082】
この時、高周波受信部124は不要のため、制御部19は、高周波受信部124への電流供給を停止し、消費電流を低減させる(タイムスロットSlt83)。
【0083】
次に、制御部19は、高周波受信部121のチャンネル周波数をGSM網の報知チャンネル周波数に設定し、アンテナ111を用いてGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt53)。
【0084】
次に、制御部19は、アンテナ112,113を用いて2×2MIMO動作を行い、LTE網の通信を保持する(タイムスロットSlt64,Slt73)。
【0085】
制御部19は、継続して高周波受信部124への電流供給を停止する(タイムスロットSlt83)。
【0086】
制御部19がこのような制御を行うことにより、受信信号強度検出部14pは、高周波受信部121〜124からそれぞれ出力された信号Sout1〜Sout4を復調した4つの信号の各信号強度を検出する。
【0087】
そして、制御部19は、再び、高周波受信部121〜124を動作させ、アンテナ111〜114を用いて4×4MIMO動作を行う(タイムスロットSlt54,Slt65,Slt74,Slt84)。
【0088】
制御部19は、このようなデータ通信中モニター処理(1)を、図6に示すフローチャートに従って実行する。
【0089】
制御部19は、タイマ値に基づいて、予め設定された周期Tが経過したか否かを判定する(ステップS21)。
【0090】
予め設定された周期Tが経過していないとき(ステップS21;No)、制御部19は、このデータ通信中モニター処理(1)を終了させる。
【0091】
予め設定された周期Tが経過したとき(ステップS21;Yes)、制御部19は、使用しているアンテナ本数が2本か4本かを判別する(ステップS22)。
【0092】
使用しているアンテナ本数が4本の場合(ステップS22;4本)、制御部19は、アンテナ111〜114の4本から、アンテナ111,112の2本に切り替え、アンテナ111,112を用いたMIMO動作を行う(ステップS23、図5に示すタイムスロットSlt52,Slt62)。
【0093】
制御部19は、他のアンテナ113,114を用いてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベル(GSM網)をモニターする(ステップS24、図5に示すタイムスロットSlt72,Slt82)。
【0094】
次に、制御部19は、アンテナ111,113を用いてMIMO動作を行い、アンテナ112を用いてGSM受信信号を受信し、高周波受信部124への電流供給を停止する(ステップS25、図5に示すタイムスロットSlt52,Slt73,Slt83)。
【0095】
制御部19は、アンテナ112,113を用いてMIMO動作を行い、アンテナ111を用いてGSM受信信号を受信し、高周波受信部124への電源供給を停止する(ステップS26、図5に示すタイムスロットSlt64,Slt73,Slt83)。
【0096】
これにより、受信信号強度検出部14pは、信号Sout1〜Sout4にそれぞれ対応する信号の信号強度を検出し、制御部19は、4つの信号強度のうち最も高い値をGSM網モニター値として、このGSM網モニター値を記憶部18に記憶する(ステップS27)。
【0097】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、このデータ通信中モニター処理(1)を終了させる。
【0098】
使用しているアンテナ本数が2本の場合(ステップS22;2本)、この2つのアンテナを、例えば、アンテナ111,112として、制御部19は、アンテナ111を用いてSISO動作を行う(ステップS28)。
【0099】
制御部19は、アンテナ112を用いてGSM基地局2のセル3cにおける受信レベル(GSM網)をモニターする(ステップS29)。
【0100】
制御部19は、アンテナ112を用いてSISO動作を行い、アンテナ111を用いてGSM基地局2のセル3cにおける受信レベル(GSM網)をモニターする(ステップS30)。
【0101】
これにより、受信信号強度検出部14pは、2つの信号Sout1,Sout2に対応する信号の各信号強度を検出し、制御部19は、2つの信号強度のうち最も高い値をGSM網モニター値として記憶部18に記憶する(ステップS31)。
【0102】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、このデータ通信中モニター処理(1)を終了させる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態1によれば、制御部19は、予め設定された時間間隔で4本のアンテナ111〜114を切り替え、4本の受信アンテナ111〜114を用いてLTE基地局2からの信号を受信し、4本のアンテナ111〜114を用いてGSM基地局3からの信号を受信するようにした。
【0104】
従って、無線方式が異なるLTE基地局2とGSM基地局3とから受信する信号の受信レベルをモニターすることができる。
【0105】
このため、GSM基地局3のセル3cを、エリアぎりぎりまで広く使うことができる。また、無線送受信機1は、LTE基地局2とGSM基地局3とから受信する信号の受信レベルをモニターすることができるため、LTE基地局2間、GSM基地局3間でハンドオーバーすることができる。
【0106】
(実施形態2)
実施形態2に係る無線送受信機は、RSSI(Receive Signal Strength Indicator)値に基づいて受信レベルを判別するようにしたものである。
【0107】
実施形態2に係る無線送受信機1は、図7に示すように、RSSI検出部(図中、「RSSI」と記す。)211〜214を備える。
【0108】
RSSI検出部211〜214は、それぞれ、高周波受信部121〜124が出力した信号Sout1〜Sout4から、電波信号の強度を示すRSSI値を検出するものである。
【0109】
RSSI検出部211〜214は、それぞれ、検出したRSSI値を制御部19に供給する。
【0110】
制御部19は、RSSI検出部211〜214からそれぞれ供給されたRSSI値に基づいてGSM網の受信レベルをモニターする。
【0111】
次に実施形態2に係る無線送受信機1の動作を説明する。
実施形態2においても、制御部19は、待ち受け時、図3に示すタイミングチャートに従って、LTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとを交互にモニターする。
【0112】
制御部19は、タイムスロットSlt12,Slt22,Slt32,Slt42,Slt14,Slt24,Slt34,Slt44において、各高周波受信部121〜124の各チャンネル周波数をGSM基地局3の報知チャンネル周波数に設定する。
【0113】
各高周波受信部121〜124は、それぞれ、信号Sout1〜Sout4を出力し、RSSI検出部211〜214は、それぞれ、この信号Sout1〜Sout4の信号強度を検出する。
【0114】
RSSI検出部211〜214は、それぞれ、検出した信号強度を制御部19に供給する。制御部19は、RSSI検出部211〜214が検出した信号強度のうちで最も強い信号強度をGSM網モニター値として、このGSM網モニター値を記憶部18に記憶する。
【0115】
以上説明したように、本実施形態2によれば、制御部19は、RSSI検出部211〜214が検出したRSSI値のうち、最も高い値をGSM網モニター値として取得するようにした。
【0116】
従って、RSSI値を用いてGSM基地局3の受信レベルをモニターすることができる。このため、GSM基地局3のセル3cを、エリアぎりぎりまで広く使うことができる。
【0117】
また、無線送受信機1は、LTE基地局2とGSM基地局3とから受信する信号の受信レベルをモニターすることができるため、LTE基地局2間、GSM基地局3間でハンドオーバーすることができる。
【0118】
(実施形態3)
実施形態3に係る無線送受信機は、RI(Rank Indicator,3GPP TS36.306,Table4.1-1)を利用して複数のアンテナを切り替えるようにしたものである。
【0119】
実施形態3に係る無線送受信機1の制御部19は、図8に示すようにRI設定部19pを備える。
【0120】
このRI設定部19pは、使用するMIMO受信アンテナ数に対応するRI値を決定するものであり、決定したRI値をベースバンド部14に供給する。
【0121】
ベースバンド部14は、このRI値をPUCCH(Pysical Uplink Control Channel)の送信ベースバンド信号にエンコードし、高周波送信部131〜134に供給する。
【0122】
高周波送信部131〜134は、それぞれ、送信ベースバンド信号からLTE送信信号を生成し、アンテナ111〜114は、このLTE送信信号をLTE基地局2に送信する。
【0123】
次に実施形態3に係る無線送受信機1の動作を説明する。
データ通信時、制御部19は、図5に示すタイミングチャートに従って、アンテナ111〜114を、順次、切り替え、LTE基地局2のセル2cにおける受信レベルとGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルとをモニターする。
【0124】
4×4MIMO動作を行うタイムスロットSlt51,Slt61,Slt71,Slt81におけるRI値は4である。
【0125】
制御部19は、アンテナ111,112による2×2MIMO動作に変更するタイムスロットSlt52,Slt62において、高周波送信部133,134、アンテナ113,高周波受信部123を制御し、RI=2をPUCCHの信号で送信する。
【0126】
後は、実施形態1と同様に、制御部19は、同時に、アンテナ113,114を用いてGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt72,Slt82)。
【0127】
次に、制御部19は、アンテナ112でGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt63)。
【0128】
この時、高周波受信部124は不要のため、制御部19は、高周波受信部124への電流供給を停止し、消費電流を低減させる(タイムスロットSlt83)。
【0129】
次に、制御部19は、高周波受信部121のチャンネル周波数をGSM網の報知チャンネル周波数に設定し、アンテナ111を用いてGSM網の受信レベルをモニターする(タイムスロットSlt53)。
【0130】
次に、制御部19は、アンテナ112,113を用いて2×2MIMO動作を行い、LTE網の通信を保持する(タイムスロットSlt64,Slt73)。
【0131】
制御部19は、継続して高周波受信部124への電流供給を停止する(タイムスロットSlt83)。
【0132】
制御部19がこのような制御を行うことにより、受信信号強度検出部14pは、高周波受信部121〜124からそれぞれ出力された信号Sout1〜Sout4を復調した4つの信号の各信号強度を検出する。
【0133】
そして、制御部19は、再び、高周波受信部121〜124を動作させ、アンテナ111〜114を用いて4×4MIMO動作を行う(タイムスロットSlt54,Slt65,Slt74,Slt84)。
【0134】
制御部19は、このようなデータ通信中モニター処理(2)を、図9に示すフローチャートに従って実行する。
【0135】
予め設定された周期Tが経過したとき(ステップS41;Yes)、制御部19は、RI値が4か否かを判定する(ステップS42)。
【0136】
RI値が4のとき(ステップS42;Yes)、制御部19は、RI設定部19pが設定したRI=4をRI=2に変更し、RI=2をPUCCHの信号で送信するように各部を制御し、アンテナ111,112を用いたMIMO動作を行う(ステップS43、図5に示すタイムスロットSlt52,Slt62)。
【0137】
制御部19は、アンテナ113,114を用いてGSM基地局2のセル3cにおける受信レベル(GSM網)をモニターする(ステップS44、図5に示すタイムスロットSlt72,Slt82)。
【0138】
以下、実施形態1の図6に示すステップS25〜S27と同様に、制御部19は、アンテナ111,113を用いてMIMO動作を行い、アンテナ112を用いてGSM網をモニターし、高周波受信部124への電流供給を停止する(ステップS45、図5に示すタイムスロットSlt52,Slt73,Slt83)。
【0139】
制御部19は、アンテナ112,113を用いてMIMO動作を行い、アンテナ111を用いてGSM網をモニターし、高周波受信部124への電流供給を停止する(ステップS46、図5に示すタイムスロットSlt64,Slt73,Slt83)。
【0140】
制御部19は、高周波受信部121〜124の出力信号Sout1〜Sout4の信号強度P121〜P124のうちで最も高い信号強度をGSM網モニター値として、記憶部18に記憶する(ステップS47)。
【0141】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、このデータ通信中モニター処理(2)を終了させる。
【0142】
RI値が2のとき(ステップS42;No)、制御部19は、RI設定部19pが設定したRI値を1に変更し、RI=1をPUCCHの信号で送信するように各部を制御し、アンテナ111を用いてSISO動作を維持する(ステップS48)。
【0143】
制御部19は、アンテナ112を用いてGSM基地局2のセル3cにおける受信レベル(GSM網)をモニターする(ステップS49)。
【0144】
制御部19は、アンテナ112を用いてSISO動作を行い、アンテナ111を用いてGSM網をモニターする(ステップS50)。
【0145】
制御部19は、受信信号強度検出部14pが検出した2つの信号強度のうちで最も高い信号強度をGSM網モニター値として、このGSM網モニター値を記憶部18に記憶する(ステップS51)。
【0146】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。そして、制御部19は、このデータ通信中モニター処理(2)を終了させる。
【0147】
以上説明したように、本実施形態3によれば、RIを利用して複数のアンテナを切り替えることができる。そして、GSM基地局3のセル3cを、エリアぎりぎりまで広く使うことができる。
【0148】
また、無線送受信機1は、LTE基地局2とGSM基地局3とから受信する信号の受信レベルをモニターすることができるため、LTE基地局2間、GSM基地局3間でハンドオーバーすることができる。
【0149】
(実施形態4)
実施形態4に係る無線送受信機では、ベースバンド部14が、LTEベースバンド送受信処理を行うとともに、GSMシステムのGPRS(General Packet Radio Service)方式のベースバンド送受信処理を行うようにしたものである。
【0150】
実施形態4に係る無線送受信機1の構成は、図1に示す構成と同様である。但し、ベースバンド部14は、上記LTEベースバンド送受信処理、及びGSMシステムのGPRS方式のベースバンド送受信処理を行う。この無線送受信機1は、GPRSのMultislot Class=12(ETSI規格 GSM05.02 Annex B.1)で動作する。
【0151】
次に実施形態4に係る無線送受信機1の動作を説明する。
無線送受信機1は、アンテナ111,112を用いた受信ダイバーシチで動作し、アンテナ111、高周波受信部121は、図10に示すように、GPRS受信スロットSlt91,Slt92,Slt93,Slt94において、信号を順次受信し、アンテナ112、高周波受信部122は、GPRS受信スロットSlt111,Slt112,Slt113,Slt114において、信号を順次受信する。
【0152】
高周波送信部131、アンテナ111は、2タイムスロット後、GPRS送信スロットSlt96において信号を送信する。この時、GPRS受信スロットSlt94とGPRS送信スロットSlt96との間に、周期Tlt(例えば、2秒)で、LTE基地局2のセル2cにおける受信レベル(LTE網の受信レベル)をモニターする(タイムスロットSlt95,Slt115,Slt131,Slt141)。
【0153】
制御部19は、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度のうち最も強い信号強度をLTE網モニター値として、このLTE網モニター値を記憶部18に記憶する。
【0154】
このように、最も高いレベルを選択し続けることによって、GSM基地局3のセル3Cを、カバーエリアぎりぎりまで広く使うことができる。
【0155】
以上説明したように、本実施形態4によれば、ベースバンド部14が、LTEベースバンド送受信処理を行うとともに、GSMシステムのGPRS方式のベースバンド送受信処理を行うようにした。
このため、この方式に従ってGSM基地局3の受信レベルをモニターすることができる。
【0156】
(実施形態5)
実施形態5に係る無線送受信機は、複数のアンテナで受信したときの複数の信号強度の平均値をGSM網モニター値とするようにしたものである。
【0157】
実施形態1〜3においては、MIMO方式による空間多重効果を得るため、無線送受信機1のアンテナ111〜114のアンテナ間距離が搬送波の波長λのλ/2以上として、各信号強度の相互相関係数が低くなるようにした。
【0158】
そして、実施形態1〜実施形態3では、受信レベルの最大値をモニター値として選択するようにした。
【0159】
一方、フェージング環境下では、アンテナ111〜114で受信される信号の信号強度は、時間軸で変動する。この変動を吸収し、安定した値を取得するには、空間上で離れた4本のアンテナ111〜114の平均値(代表値)を取ることが対策の一つとして考えられる。
【0160】
そこで実施形態5では、複数のアンテナ111〜114で受信したときの各信号強度の平均値をGSM網モニター値とする。尚、代表値は、分布の位置を表す統計量の総称であって、代表値には、平均値の他に、中央値、最頻値がある。本実施形態では、代表値を平均値として説明する。但し、代表値は、中央値、最頻値であってもよい。
【0161】
具体的には、制御部19は、図11に示すフローチャートに従ってデータ通信中モニター処理(3)を実行する。
【0162】
制御部19は、データ通信中モニター処理(1)と同様に、ステップS21,S22を実行し、使用アンテナ本数が4本の場合(ステップS22;4本)、ステップS21〜S26を実行する。
【0163】
そして、受信信号強度検出部14pは、アンテナ111〜114で、それぞれ、GSM基地局3から送信された報知チャンネルの信号を受信したときの信号強度を検出し、制御部19は、各信号強度の平均値を取得し、この平均値をGSM網モニター値として記憶部18に記憶する(ステップS61)。
【0164】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。
【0165】
使用アンテナ本数が2本の場合(ステップS22;2本)、制御部19は、データ通信中モニター処理(1)と同様に、ステップS28〜S30を実行する。
【0166】
そして、制御部19は、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度の平均値を取得し、この平均値をGSM網モニター値として記憶部18に記憶する(ステップS62)。
【0167】
制御部19は、このGSM網モニター値に基づいてGSM基地局3のセル3cにおける受信レベルを判別する。
【0168】
このような方法は、待ち受け動作時にも適用できる。即ち、待ち受け動作時、フェージング環境下でも安定した値を取得しようとする場合、制御部19は、図4に示す待ち受け時モニター処理において、それぞれ、ステップS13,S14を実行する代わりに、図11に示すステップS61,S62を実行する(図3に示すタイムスロットSlt11,Slt21,Slt31,Slt41,Slt13,Slt23,Slt33,Slt43,Slt12,Slt22,Slt32,Slt42,Slt14,Slt24,Slt34,Slt44)。
【0169】
また、このような方法を実施形態2にも適用できる。即ち、フェージング環境下でも安定した値を取得しようとする場合、制御部19は、図3に示すタイミングチャートに示すタイムスロットSlt12,Slt22,Slt32,Slt42,Slt14,Slt24,Slt34,Slt44において、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度の平均値を取得し、この平均値をGSM網モニター値として記憶部18に記憶する。
【0170】
また、このような方法を実施形態3にも適用できる。即ち、図9に示すデータ通信中モニター処理(2)において、フェージング環境下でも安定した値を取得しようとする場合、制御部19は、それぞれ、ステップS47,S51を実行する代わりに、図11に示すステップS61,S62を実行する(図5に示すタイムスロットSlt51,Slt61,Slt71,Slt81,Slt54,Slt65,Slt74,Slt84)。
【0171】
以上説明したように、本実施形態5によれば、受信信号強度検出部14pが検出した信号強度の平均値に基づいてLTE基地局2の受信レベル、GSM基地局3の受信レベルをモニターするようにした。
【0172】
従って、フェージング環境下で、アンテナ111〜114で受信される信号の信号強度が時間軸で変動しても、この変動を吸収し、安定した値を取得することができる。このため、フェージング環境下であっても、LTE基地局2のセル2c、GSM基地局3のセル3cを、エリアぎりぎりまで広く使うことができる。
【0173】
また、無線送受信機1は、LTE基地局2とGSM基地局3とから受信する信号の受信レベルをモニターすることができるため、LTE基地局2間、GSM基地局3間でハンドオーバーすることができる。
【0174】
(実施形態6)
実施形態6に係る無線送受信機は、アンテナを8本備えるようにしたものである。
【0175】
上記実施形態1〜5では、アンテナ数を4として4×4MIMO方式の4本で説明した。
【0176】
しかし、一般的には、M×N(M,N;ともに自然数)のMIMO方式のN本に拡張できる。N=8とした場合、無線送受信機1は、図12に示すように、アンテナ111〜118と、高周波受信部121〜128と、高周波送信部131〜138と、RSSI検出部211〜218と、を備える。
【0177】
尚、RSSI検出部211〜218の代わりにダイバーシチ処理部を備えるようにしてもよい。
【0178】
データ通信時、制御部19は、図13に示すタイミングチャートに従って、データ通信中モニター処理を実行する。
【0179】
(実施形態7)
実施形態7に係る無線送受信機は、2本のアンテナを有するLTE局との間でデータ通信を行うようにしたものである。
【0180】
実施形態7に係る無線システムにおいては、図14に示すようにLTE基地局2は、2本のアンテナを有している。
【0181】
無線送受信機1は、4本のアンテナ111〜114を有し、この無線システムは、2×4MIMO方式に従って動作する。この点以外は、実施形態1〜6と同様である。
【0182】
このように、LTE基地局2のアンテナ数が2本であっても、無線送受信機1は、実施形態1〜6と同様に動作し、LTE基地局2、GSM基地局3の受信レベルをモニターすることができ、GSM基地局3のセル3cを、カバーエリアぎりぎりまで広く使うことができる。
【0183】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、プログラムが、それぞれメモリ等に予め記憶されているものとして説明した。しかし、無線通信装置を、装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0184】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0185】
1・・・無線送受信機、2・・・LTE基地局、3・・・GSM基地局、121〜128・・・高周波受信部、131〜138・・・高周波送信部、14・・・ベースバンド部、14p・・・受信信号強度検出部、18・・・記憶部、19・・・制御部、211〜218・・・RSSI検出部、19p・・・RI設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナと、
予め設定された時間間隔でN本の前記受信アンテナを切り替えて、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信する受信制御部と、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出する信号強度検出部と、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別する受信レベル判別部と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記受信制御部は、待ち受け時、前記第1の基地局から信号を受信するN本の受信アンテナと前記第2の基地局からの信号を受信するN本の受信アンテナとを、少なくとも前記時間間隔で交互に切り替えて、前記第1の基地局から信号と前記第2の基地局からの信号とを受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記受信制御部は、N>Mのとき、データ通信時、前記第1の基地局から信号を受信するM本の受信アンテナと前記第2の基地局からの信号を受信する(N−M)本の受信アンテナとを、前記時間間隔で切り替えて、前記第1の基地局から信号を、常時、受信し、前記第2の基地局からの信号を、順次、受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記受信レベル判別部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度のうちで最も強い信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度のうちで最も強い信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記受信レベル判別部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したM個の信号強度の代表値に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに、前記信号強度検出部が検出したN個の信号強度の代表値に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1の基地局は、LTE(Long Term Evolution)方式に従って信号を送受信する局であり、前記第2の基地局は、GSM(Global System for Mobile communications)方式に従って信号を送受信する局である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記時間間隔で区切られたデータ伝送用のチャンネルをスロットとして、
前記受信制御部は、M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信するためのGPRS(General Packet Radio Service)受信スロットと前記第1の基地局に送信するためのGPRS送信スロットとの間で、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記各受信アンテナが前記第1の基地局から受信した信号をダウンコンバートしてベースバンド帯域の信号を生成する受信処理部を備え、
前記信号強度検出部は、前記受信処理部が生成した信号の信号強度を検出する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
チャンネル周波数を、前記第2の基地局が送信する報知チャンネル信号の周波数に設定し、前記第2の基地局からの報知チャンネル信号を受信する受信部を備え、
前記信号強度検出部は、前記受信部が受信した報知チャンネル信号の信号強度を検出する、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記信号強度検出部は、前記受信処理部が生成した信号のRSSI(Receive Signal Strength Indicator)値を検出するRSSI検出部である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナを備えた無線通信装置の受信レベル判別方法であって、
予め設定された時間間隔でN本の前記受信アンテナを切り替えて、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信するステップと、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出するステップと、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、両受信レベルを取得するステップと、を備えた、
ことを特徴とする無線通信装置の受信レベル判別方法。
【請求項12】
コンピュータに、
無線方式が異なる第1の基地局と第2の基地局とから信号を受信するN(N≧2)本の受信アンテナを、予め設定された時間間隔で切り替え、M(2≦M≦N)本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局からの信号を受信し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局からの信号を受信する手順、
前記各受信アンテナで前記第1の基地局又は前記第2の基地局から受信した信号に対応する信号強度をそれぞれ検出する手順、
M本の前記受信アンテナを用いて前記第1の基地局から信号を受信したときに検出したM個の信号強度に基づいて前記第1の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、N本の前記受信アンテナを用いて前記第2の基地局から信号を受信したときに検出したN個の信号強度に基づいて前記第2の基地局のセルにおける受信レベルを判別し、両受信レベルを取得する手順、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−120207(P2011−120207A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176692(P2010−176692)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】