説明

無線通信装置及び無線通信方法

【課題】同一周波数帯に混在する異なる周波数帯域を持つ複数のチャネルに対するメディアアクセス制御を行うことができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】第1周波数帯域を持つ第1チャネルを用いて無線通信を行うための第1の物理層プロトコル処理部11、第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて無線通信を行うための第2の物理層プロトコル処理部12、第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するキャリアセンス部22、特定の空き条件を満たしたとき第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成して第1の物理層プロトコル処理部11により送信させる制御、及び第2チャネルを仮想キャリアセンスにより第2の一定期間占有することを宣言する第2フレームを生成して第2の物理層プロトコル処理部12により送信させる制御を行うチャネル占有・解放制御部24を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアセンス状態に基づいてメディアアクセス制御を行う無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアアクセス制御(MAC: Media Access Control)は、同一のメディアを共有して通信を行う複数の通信装置がメディアをどのように利用して通信データを送信するかを決める制御である。メディアアクセス制御を行うことにより、同時に二つ以上の通信装置が同一のメディアを利用して通信データの送信を行っても、受信側の通信装置が通信データを分離できなくなるという事象(いわゆる衝突)が少なくなる。送信要求を持つ通信装置が存在するにもかかわらず、メディアがいずれの通信装置によっても利用されないという事象も、メディアアクセス制御によって少なくなる。
【0003】
無線通信においては、通信装置がデータを送信しながら送信データをモニタすることは困難であることから、衝突検出を前提としないメディアアクセス制御が必要である。無線LAN(Local Area Network)の代表的な技術標準であるIEEE 802.11では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を採用している。
【0004】
IEEE 802.11におけるCSMA/CAでは、MACフレームのヘッダに、当該MACフレームに続く一つ以上のフレーム交換からなる一連のシーケンスが終了するまでの期間(デュレーションと呼ばれる)が設定される。デュレーションにおいて当該シーケンスに関係がなく送信権を持たない通信装置は、メディアの仮想的な占有状態を判断することにより送信を待機する。これによって衝突の発生が回避される。一方、当該シーケンスで送信権を持つ通信装置は、実際にメディアが占有されている期間を除き、メディアは使用されていないものと認識する。
【0005】
IEEE 802.11では、前者のようなMAC層の仮想キャリアセンスと、後者のような物理層の物理キャリアセンスとの組み合わせによってメディアの状態を判定し、それに基づいてメディアアクセス制御を行う旨が規定されている。
【0006】
特許文献1には、物理層の異なる複数の無線LAN方式が混在した無線通信システムにおいて、複数の無線LAN方式に共用可能な無線基地局の実現法が記載されている。具体的には、無線基地局において第1物理層の第1報知信号と第2物理層の第2報知信号を交互に発生させて無線端末に送信し、第1及び第2報知信号に同期して第1及び第2物理層を切り替える。第1報知信号の送信時から一定の時間内のみ第1物理層に対応する無線端末のアクセスを可能とし、第2報知信号の送信時から一定時間内のみ第2物理層に対応する無線端末のアクセスを可能とする。
【特許文献1】特開2003−87856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CSMA/CAを採用するIEEE 802.11は、これまで主として物理層のプロトコルを変更することによって通信速度の高速化を図ってきた。2.4GHz帯についてはIEEE 802.11(1997年制定、通信速度=2Mbps)からIEEE 802.11b(1999年制定、通信速度=11Mbps)へ、さらにIEEE 802.11g(2003年制定、通信速度=54MHz)へと変遷している。5GHz帯については現在、IEEE 802.11a(1999年制定、通信速度=54MHz)のみが標準規格として存在する。
【0008】
一方、2.4GHz帯及び5GHz帯の両方で更なる高速化を目指す新たな標準規格を策定するために、IEEE 802.11 TGn(Task Group n)が既に設立されている。新たな規格においては、既存の規格(IEEE 802.11b/g/a)と同一周波数帯を使う場合には既存の規格に従う通信装置と共存可能なことが重視され、更に後方互換性を持つことがより好ましい。このためには、MAC層のプロトコルは基本的には既存の規格と整合するCSMA/CAに従うのがよい。
【0009】
通信速度の高速化へのアプローチの一つとして、チャネルの周波数帯域を増やす方法がある。新たな規格がこれまで使用されていない周波数帯を用いるのであれば、共存や後方互換性は問題にならない。特許文献1においては、第1物理層及び第2物理層の各々の周波数帯域は異なるが、各々の周波数帯域は例えば4.9-5.0GHzと5.03-5.09GHzのように、周波数が重複してはいない。しかし、周波数は貴重なリソースであるため、既に使用されている周波数帯に新たな周波数帯域を持つ新規チャネルを割り当てることが好ましい。例えば、一つの新規チャネルは複数の既存チャネルを含むようにすることが周波数利用効率を高める上で有効である。
【0010】
従って、新たな規格に従う通信装置が既存の規格に従う通信装置との共存や後方互換性を維持するためには、新規チャネルを用いて通信を行う際に、新規チャネルのメディアアクセス制御のみでなく、既存の規格に従う通信装置に理解可能な方法により既存チャネルのメディアアクセス制御も行うべきである。しかし、従来のCSMA/CAは、一つのチャネルのアクセス制御を行うために設計されており、異なる周波数帯域を持ち、かつ周波数が重複する複数のチャネルに対するメディアアクセス制御を行うことはできない。
【0011】
本発明の目的は、同一周波数帯に混在する異なる周波数帯域を持つ複数のチャネルに対するメディアアクセス制御を行うことができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点によると、第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部と、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部と、前記第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定する状態管理部と、前記状態管理部から前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たした旨の判定結果を受けて前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第1の制御部とを具備する無線通信装置を提供する。
【0013】
本発明の第2の観点によると、第1の観点による無線通信装置に加えて前記第2チャネルを仮想キャリアセンスにより第2の一定期間占有することを宣言する第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第2の制御部をさらに具備する無線通信装置を提供する。
【0014】
本発明の第3の観点によると、第1の観点による無線通信装置に加えて前記第2チャネルを仮想キャリアセンスにより解放させる第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第2の制御部をさらに具備する無線通信装置を提供する。
【0015】
本発明の第4の観点によると、第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップとを具備する無線通信方法を提供する。
【0016】
本発明の第5の観点によると、第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップと、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを仮想キャリアセンスにより第2の一定期間占有することを宣言する第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2チャネルにより送信するステップと具備する無線通信方法を提供する。
【0017】
本発明の第6の観点によると、第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップと、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを仮想キャリアセンスにより解放させる第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2チャネルにより送信するステップとを具備する無線通信方法を提供する。
【0018】
本発明の第7の観点によると、送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記チャネルを予約するステップと、前記第1チャネルにおいて送信要求フレームを受信した宛先端末が前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを監視するステップと、第2チャネルが一定時間空き状態である場合に前記宛先端末が前記第2チャネルを用いて送信要求確認フレームを送信することにより前記第2チャネルを予約するステップとを具備する無線通信方法を提供する。
【0019】
本発明の第8の観点によると、送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記チャネルを予約するステップと、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを管理している制御端末が前記第2チャネルを用いてPollフレームを送信することにより前記第2チャネルの使用を前記送信端末に許可するステップとを具備する無線通信方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、同一周波数帯に混在する異なる周波数帯域を持つ複数のチャネルに対するメディアアクセス制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1に示されるように、第1の実施形態に従う無線通信装置は大きく分けて物理層10、MAC層20及びリンク層30からなる。物理層10は、図1では利用するチャネルの周波数帯域が異なる2種類の物理層プロトコルに対応している。すなわち、物理層10は第1周波数帯域を持つ第1チャネルを用いて通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部11と、第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部12を有する。第1の物理層プロトコル処理部11及び第2の物理層プロトコル処理部12は、実装上は両者の間で回路の共用などがしばしば行われ、必ずしも独立してはいない。
【0022】
第1の物理層プロトコル処理部11が処理するプロトコルは、例えば少なくともIEEE 802.11aに規定される物理層プロトコルを含む。第1の物理層プロトコル処理部11が利用する第1周波数帯域の帯域幅は、例えば20MHzとする。第1の物理層プロトコル処理部11は、送信側と受信側でそれぞれ複数のアンテナ13A〜13Bを用いる、いわゆるMIMO(Multiple Input Multiple Output) 技術を用いてもよい。MIMO技術は、周波数帯域を同じに保ってもアンテナの数にほぼ比例した伝送容量の増加を見込むことができるため、IEEE 802.11の更なる高スループット化を目指すIEEE 802.11 TGn (Task Group n) に採用される可能性の高い技術である。
【0023】
第2の物理層プロトコル処理部12は、例えばSISO(Single Input Single Output)及びMIMOのいずれか、ないしは両方の技術を用いるものとする。第2の物理層プロトコル処理部12が使用する第2周波数帯域の帯域幅は、例えば40MHzとする。第1周波数帯域は、第2周波数帯域内に存在している。
【0024】
MAC層20はチャネルアクセス制御部21を有し、チャネルアクセス制御部21はキャリアセンス部22、チャネル状態管理部23及びチャネル占有・解放部24を有する。MAC層20はさらにネットワークシステム管理部25を有し、ネットワークシステム管理部25はビーコンフレームの生成やアソシエーションの管理などを司り、後述する拡張が適宜なされる。
【0025】
キャリアセンス部22は、物理層10から得た実キャリアセンス情報とMAC層20のプロトコルにより得られる仮想キャリアセンス情報を合わせてキャリアセンス状態を管理することによって、チャネルの空塞(アイドル/ビジー)状態を管理する。すなわち、キャリアセンス部22は単一のチャネルの空塞状態を管理しているのではなく、第1の周波数帯域内の1つ以上の第1チャネルと、第2の周波数帯域内の1つ以上の第2チャネルの空塞状態を管理している。
【0026】
チャネル占有・解放部23は、一定期間チャネルを占有したり、あるいは占有していたチャネルを解放するために必要な、MAC層20の仮想キャリヤセンス状態を制御するフレームを生成する。チャネル占有・解放部23により生成されるフレームは、物理層10に送られ、第1の物理層プロトコル処理部11及び第2の物理層プロトコル処理部12によって送信される。
【0027】
チャネル状態管理部24は、所望のチャネルアクセス制御を行うために、キャリアセンス部22、チャネル占有・解放部23、及び物理層10の第1及び第2のプロトコル処理部11を協調動作させる。
【0028】
図1に示した無線通信装置の具体例としては、例えば40M/20M MIMO STA (AP)及び40M/20M STA (AP)が挙げられる。40M/20M MIMO STA (AP)とは、20MHzチャネルによるSISO、20MHzチャネルによるMIMO、40MHzチャネルによるSISO、及び40MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。40M/20M STA (AP)とは、20MHzチャネルによるSISO及び40MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。リンク層30に関しては、IEEE 802で規定される通常のリンク層の機能を備えるものとする。
【0029】
図2に示されるもう一つの無線通信装置は、物理層10が図1中に示した第2の物理層プロトコル処理部12を含まない点で図1に示す無線通信装置と異なる。第1の物理層プロトコル処理部11の第1の周波数帯域が名目20MHzで、MIMO技術を含んでも含まなくても構わない点と、MAC層20及びリンク層30については図1の無線通信装置と共通である。
【0030】
ただし、図2の無線通信装置では第1の物理層プロトコル処理部11に基づくメディアアクセス制御しか行わないため、図2におけるMAC層20の動作の詳細は図1に示す無線通信装置と一部相違する。第1の物理層プロトコル処理部11がMIMO技術を含まない場合、図2の無線通信装置はIEEE 802.11a, IEEE 802.11b及びIEEE 802.1gの少なくとも一つに対応する既存の装置であっても構わない。
【0031】
図2に示した無線通信装置の具体例としては、例えば20M MIMO STA (AP)及び20M STA (AP)が挙げられる。20M MIMO STA (AP)とは、20M HzチャネルによるSISO及び20MHzチャネルによるMIMOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。20M STA (AP)とは、20M HzチャネルによるSISOの送受信が可能な端末(ないしアクセスポイント)である。
【0032】
図3に、図1及び図2の無線通信装置を含むネットワーク100の例を示す。ネットワーク100内の基地局101は、40M/20M MIMO APに相当するアクセスポイントである。端末102〜106は、基地局101とアソシエーションを確立している。ここで、端末102は40M/20M MIMO STA_1、端末103は40M/20M MIMO STA_2、端末104は40M/20M STA、端末105は20M MIMO STA105、端末106は20M STA_1である。もう一つの端末107は20M STA_2であり、ネットワーク100以外のネットワーク、例えば20M_ch_bを使用するネットワークに属していると仮定する。
【0033】
図3のネットワーク100においては、通信チャネルとして図4に模式的に示されるように、X MHz〜(X+20)MHzの周波数帯域を用いる20MHzのチャネル20M_ch_aと、XMHz〜(X+40)MHzの周波数帯域を用いる40MHzのチャネル40M_chを有する。従って、X MHz〜(X+20) MHzの周波数帯域は、20MHzのチャネルと40MHzのチャネルで重複して利用される。(X+20) MHz〜(X+40) MHzの周波数帯域を用いるもう一つの20MHzのチャネル20M_ch_bは、図3のネットワーク100では使用されないが、他のネットワークでは使用される場合がある。
【0034】
ネットワーク100内では、40MHzチャネル40M_ch及び40M_chと周波数的に重なる2つの20MHzチャネル20M_ch_a, 20M_ch_bのいずれか一方が使用される。言い替えれば、ネットワーク100に属している40M/20M MIMO STA及び40M/20M STAは、20M_ch_aと20M_ch_bを同時には扱わないものとする。
【0035】
もし、20M_ch_aと20M_ch_bを同時に扱おうと試みたとしても、IEEE 802.11のプロトコルに従う限り、同一の装置において20M_ch_aによる送信と20M_ch_bによる受信が同時刻に発生することは避けがたい。例えば、ある端末が20M_ch_aで自己宛のデータフレームを受信すると、当該端末は固定値のSIFS(Short Inter Frame Space)期間後にACKを送信する必要がある。20M_ch_bは20M_ch_bとは独立にメディアアクセス制御が行われるため、これと同時に20M_ch_bでフレームの交換が行われる可能性がある。同じ周波数帯であれば、一般にはチャネルが異なっていたとしても送信と受信を同時に行うことができるように実装することは難しい。従って、20M_ch_bで交換されるフレームはACKを送信している端末では受信ができない。
【0036】
次に、ネットワーク100を形成するための接続制御に関して述べる。基地局101である40M/20M MIMO APでは、ネットワークシステム管理部25による制御の下で第1の物理層プロトコル処理部11が20M_ch_aを用いて定期的にビーコンフレーム(beacon frame)を同報する。一方、端末102〜106はいずれも20M_ch_aをパッシブスキャン(passive scan)することによりビーコンフレームを受信することができ、それによって基地局101の存在、すなわちネットワーク100の存在を認識する。
【0037】
あるいは、端末102〜106は20M_ch_aを用いて自らプローブ要求フレーム(probe request frame)を送信し、それに対する基地局101からのプローブ応答フレーム(probe response frame)を受信する、アクティブスキャン(active scan)を行うことによって、基地局101の存在、すなわちネットワーク100の存在を認識することもできる。
【0038】
基地局101である40M/20M MIMO APは、基本的には20M_ch_aと40M_chで動作するが、後述する40M_chへの切り替えなどのために、一時的に20M_ch_bで送受信を行う。この際、20M_ch_bに対するプローブ要求は無視し、プローブ応答を行わない。
【0039】
端末102〜106は、複数のチャネルをスキャンした結果得たビーコンフレームまたはプローブ応答フレームに含まれる情報や、ビーコンフレームまたはプローブ応答フレームの受信信号強度などに基づいて、接続するべき基地局101(ネットワーク100)を選択する。特に、基地局101である40M / 20M MIMO APが送信するビーコンフレームまたはプローブ応答フレームには、それらを送信する基地局101が40M / 20M 対応のアクセスポイントであることを示す情報及び基地局101が対応可能なMIMOの多重数を示す情報(以下、これらを総称してアクセスポイント情報と呼ぶ)などが含まれる。アクセスポイント情報は、CIF(Capability Information Field)またはIE(Information Element) のいずれか、あるいはその両方に含まれる。これらのアクセスポイント情報は、対応可能なデータレートの値によって暗に示される場合もある。
【0040】
端末102〜106は、このようなアクセスポイント情報も参考にして基地局101(ネットワーク100)を選択する。すなわち、例えば端末102、103及び104(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA)は40M ch対応の基地局の優先度を上げ、端末102、103、105及び106(40M / 20M MIMO STA、20M MIMO STA)はMIMO対応の基地局の優先的を上げる。端末106(20M STA)は、基地局101からのビーコンフレームあるいはビーコン応答フレームに含まれる、40M ch及びMIMO関連の情報は理解できないものとする。従って、これらの情報は端末106(20M STA)による基地局の選択には影響を与えない。
【0041】
図5に、図3のネットワーク100における接続シーケンスの一例を示す。接続シーケンスは、端末がネットワーク100を発見したビーコン/プローブ応答を受信したチャネル(ここでは20M_ch_a)によって行われる。ここで、本来は接続(association)の前に認証(authentication)が行われるが、図5と以下の説明では認証については省略している。
【0042】
基地局101である 40M / 20M MIMO AP は、40MHzチャネルと20MHzチャネルかつ4多重のMIMOをサポートしていることを示すビーコンフレームであるbeacon (40M / 20M MIMO 4x) を定期的に同報する。端末102〜106(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、及び20M STA)は、同報されたbeacon (40M / 20M MIMO 4x) を受信し、かつネットワーク100に接続することを選択する。
【0043】
さらに、端末102〜106(40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、及び20M STA)は、基地局101(40M / 20M MIMO AP)に対し、それぞれの端末の能力(対応可能なデータレート)を示す情報を含む接続要求であるassociation request (40M / 20M MIMO 2x)、association request (40M / 20M)、及びassociation request (20M) を送信する。association request (40M / 20M MIMO 2x)は、40MHzチャネルと20MHzチャネルかつ2多重のMIMOをサポートしていることを示す。association request (40M / 20M)は、40MHzチャネルと20MHzチャネルをサポートしていることを示す。association request (20M)は、20MHzチャネルかつ4多重のMIMOをサポートしていることを示す。
【0044】
接続要求であるassociation request (40M / 20M MIMO 2x)、association request (40M / 20M)、及びassociation request (20M)を受信した基地局101(40M / 20M MIMO AP)は、各端末102〜106がサポートしている方式とデータレートを記憶する。記憶された情報は、基地局101が各端末102〜106宛のフレームを送信する際に、送信先の端末がサポートしている方式とデータレートの範囲内で送信することを保障するためなどに用いられる。
【0045】
次に、図6を用いて図3のネットワーク100における物理層の動作モード(PHYモードと記載する)とキャリアセンス状態制御に関する説明を行う。図6の例においては、基地局101である40M / 20M MIMO APが20M_ch_aを用いて通信を行う期間(20M_ch_a期間)と40M_chを用いて通信を行う期間(40M_ch期間)との切り替えを制御する。20M_ch_a期間内及び40M_ch期間内においては、基地局101が端末102〜106をポーリングしてメディアアクセス制御を行うモード(PCFまたはHCCA)であっても、各端末102〜106が対等にメディアアクセス制御を行うモード(DCFまたはEDCA)であっても構わない。
【0046】
図6は、ネットワーク100内で当初は20M_ch_aを用いて通信を行っており、この後に40M_ch期間をはさんで、再び20M_ch_a期間に戻る様子を示している。ネットワーク100内においては20M_ch_aと40M_chを通信に利用するが、40M_chを使用するために40M_chと重なり合う周波数を用いている20M_ch_bは通信に利用できないようにする。20M_ch_bはネットワーク100に近接する別のネットワークで用いられているかもしれないし、まったく用いられていないかもしれない。
【0047】
図6(a)は、制御に必要となる主なフレームの交換の概要を時系列で示している。図6(b)は、40M / 20M MIMO APのPHYモードと各チャネル (20M_ch_a, 20M_ch_b, 40M_ch) のキャリアセンス状態を示している。図6(c)は、40M / 20M MIMO STA、または40M / 20M STAのPHYモードと各チャネル (20M_ch_a, 40M_ch) のキャリアセンス状態を示している。図6(d)は、20M_ch_aを用いる20M MIMO STAまたは20M STA のPHYモードとチャネル20M_ch_aのキャリアセンス状態を示している。20M_ch_aを用いる20M MIMO STAまたは20M STA は、ネットワーク100に属している端末であってよい。図6(e)は、20M_ch_bを用いる20M MIMO STAまたは20M STA(これらはネットワーク100には属していないが、近接するネットワークに属する端末である)のPHYモードとチャネル20M_ch_bのキャリアセンス状態を示している。
【0048】
図6(b)〜(e)においては、キャリアセンス状態はMAC層と物理層を区別せずに表している。PHYモードの切り替えを行う端末ないし基地局においては、キャリアセンス状態が不明な場合がある。例えば、特定のPHYモード(またはチャネルと表現してもよい)A(例えば、20M_ch_a) で動作している場合、他のPHYモードB(例えば、20M_ch_bまたは40M_ch) の物理層の実キャリアセンス状態は不明である。また、特定のPHYモードA(例えば、20M_ch_a) のMAC層の仮想キャリアセンスのビジー状態(あるいは自装置がメディアアクセス権を保持している場合には、保持の有効期限)が終了した時点で、他のPHYモードB(例えば、20M_ch_bまたは40M_ch)に切り替えている場合、最初のPHYモードAのMAC層の仮想キャリアセンス状態は不明になる。また、PHYモードを切り替えると、切り替え当初は当該PHYモードのキャリアセンス状態は不明になることがある。
【0049】
キャリアセンス状態としては、キャリアセンス部22が管理する複数の物理層の動作モードとチャネルの空塞状態の中から、現在用いられている物理層の動作モードとチャネルに一致するものを選択して利用する。すなわち、無線通信装置の各々は、基本的には自装置の物理層10の動作モードとチャネルに関するキャリアセンス状態に従って、メディアアクセス制御を行う。例えば、40M_chで動作している際には40M_chのキャリアセンス状態に従い、20M_ch_aで動作している際には20M_ch_aのキャリアセンス状態に従う。従って、キャリアセンス状態が不明になっても、多くの場合には問題は生じない。
【0050】
以下、図6に従って動作手順を説明する。最初の時点では、40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) は、図6(b)(c)(d)に示されるように20M_ch_aで動作している。20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b)は、図6(e)に示されるように20M_ch_bで動作している。
【0051】
この状態で、チャネル状態管理部23が基地局101(40M / 20M MIMO AP)が40M_chに切り替えを行う手順を開始すると決定したとする。40M / 20M MIMO APは、キャリアセンス部22により図6(b)に示される20M_ch_aのキャリアセンス状態を管理する。キャリアセンス部22は、20M_ch_aがアイドル状態になり、PIFS(PCF Inter Frame Space)期間にわたりアイドル状態が継続すると、20M_ch_aの空き条件を満たしたと判定する。チャネル占有・解放部23は、キャリアセンス部22から20M_ch_aの空き条件を満たしたという判定結果を受けると、第1の一定期間20M_ch_aを占有することを宣言するフレーム(以下、Ch_a占有宣言フレームという)F1を生成し、これを第1の物理層プロトコル処理部11を用いて20M_ch_aにより送信する。
【0052】
Ch_a占有宣言フレームF1は、同時にネットワーク100の動作モードを20M_ch_aから40M_chに切り替えることを伝える。基地局101または端末102〜106が40M chと20M chを同時に受信待ち状態にできる場合には、動作モードの切り替えは不要であるから、Ch_a占有宣言フレームF1は20M_ch_aを第1の期間占有することのみを宣言すればよい。PIFSは、40M / 20M MIMO APが他の端末に優先してメディアを獲得するために用いる。制御ポリシーが異なる場合には、PIFS以外の時間間隔、例えばDIFS(Distributed Inter Frame Space)+バックオフ期間を用いてもよい。バックオフ期間は擬似乱数により最大・最小値間の値に決定される。
【0053】
20M_ch_aの占有期間は、少なくとも予定している40M_ch期間をカバーできるように設定する。20M STAが理解可能な方式で20M_ch_aの占有状態を指定するために、Ch_a占有宣言フレームF1にはヘッダのデュレーション(Duration)フィールドを用いる。Ch_a占有宣言フレームF1の宛先は、例えば40M / 20M MIMO APとする。Ch_a占有宣言フレームF1の生成は、チャネル状態管理部23の制御の下でチャネル占有・解放制御部24により行われる。Ch_a占有宣言フレームF1の送信は、物理層10内の第1の物理層プロトコル処理部11により行われる。
【0054】
Ch_a占有宣言フレームF1は、40M_chを一定期間占有することを示す情報を含んでもよい。40M_chを一定期間占有することを示す情報は後方互換性が不要なので、必ずしもデュレーションフィールドを用いる必要はなく、新たな情報として追加してもよい。デュレーションフィールドの値によって、20M_ch_a及び40M_chの両方を同じ期間だけ占有することにしてもよい。
【0055】
40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、Ch_a占有宣言フレームF1を受信すると、図6(c)に示されるように20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定し、同時にPHYモードを20M_ch_aから40M_chに切り替える。図6(c)には、40M_chのMAC層のキャリアセンス状態は前もってビジー状態に設定されていた場合を示しているが、受信したCh_a占有宣言フレームF1に従ってビジー状態に設定してもよい。
【0056】
こうしてネットワーク100の動作モードは40M_chに切り替えられたが、MAC層のキャリアセンス状態がビジー状態であるため、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAはCh_a占有宣言フレームF1を送信することができない。即ち、チャネル占有・解放部制御部24がCh_a占有宣言フレームF1を解釈し、その結果に基づいてキャリアセンス部22がキャリアセンス状態を変更し、チャネル状態管理部23が物理層10に指示してPHYモードの切替を行った結果、この状態が実現される。
【0057】
20M MIMO STA (20M_ch_a)及び20M STA (20M_ch_a) は、Ch_a占有宣言フレームF1を受信すると、図6(d)に示されるように20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定する。Ch_a占有宣言フレームF1は20M_ch_aで送信されているため、20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) が受信することはない。
【0058】
次に、基地局101(40M / 20M MIMO AP)は図6(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_bに切り替える。この切り替え後、40M / 20M MIMO APはアイドル状態がPIFS期間継続するのを待って、一定期間20M_ch_bを占有することを宣言するフレーム(以下、Ch_b占有宣言フレームという)F2を送信する。Ch_b占有宣言フレームF2は、さらにネットワーク100と同じ物理媒体を共有しているネットワーク100以外のネットワーク(図示せず)に属する端末の動作モードを20M_ch_bから40M_chに切り替えることを伝えてもよい。Ch_a占有宣言フレームF1の場合と同様に、PIFSは40M / 20M MIMO APが他の端末に優先してメディアを獲得するために用いる。制御ポリシーが異なる場合には、PIFS以外の時間間隔、例えばDIFS+バックオフ期間を用いてもよいことも、Ch_a占有宣言フレームF1の場合と同様である。
【0059】
PHYモードを20M_ch_bに切り替える直前の20M_ch_bのキャリアセンス状態は不明である。また、物理層10のキャリアセンスは、フレーム先頭のプリアンブル部分で感度が高く、フレームの途中では感度が低いことが一般である。これらのことから、PIFS期間で20M_ch_bを空きと判断するのは、危険な場合もある。従って、20M_ch_bでCh_b占有宣言フレームF2に先行する最初のフレームを受信完了するまで待って、キャリアセンス状態を確認した方がよい。ただし、20M_ch_bは基地局101が管理するネットワーク100では使われていないため、実際には使われていない可能性も高い。従って、ここでは効率のよいPIFS期間を用いている。
【0060】
20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、Ch_b占有宣言フレームF2を受信すると、図6(c)に示されるように20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間ビジー状態に設定する。Ch_b占有宣言フレームF2は20M_ch_bで送信されているため、40M_chに切り替え済みの40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STA、及び20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) がCh_b占有宣言フレームを受信することはない。
【0061】
次に、40M / 20M MIMO APは図6(b)に示されるようにPHYモードを40M_chに切り替える。この切り替え後、40M / 20M MIMO AP は図6(a)に示されるようにSIFS期間継続するのを待って、それまで占有していた40M_chを解放するフレーム(以下、40M_ch解放フレームという)F3を送信する。ここで、40M / 20M MIMO APが40M_chのメディアを確保している状態なので、必ずしもアイドル状態のSIFS期間の継続を確認する必要はないが、確認してもよい。
【0062】
40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、40M_ch解放フレームF3を受信すると、図6(c)に示されるように40M_chのMAC層のキャリアセンス状態を指定された期間アイドル状態に設定する。なお、アイドル期間の終了を別途伝える場合には、必ずしも前もって期間を定める必要は無い。この時点で、40M_chで動作している40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAのいずれもがMACのキャリアセンス状態がアイドル状態となる。以後、通常のメディアアクセスによりメディアを確保して、図6(a)に示されるように40M_chのフレーム交換が行われる。
【0063】
40M_ch解放フレームF3は40M_chで送信されるため、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b)は、40M_ch解放フレームF3を受信することはない。この時点では20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) の20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態はビジー状態、20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) の20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態もビジー状態であるため、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a) 、20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) からは、40M_chと干渉する20M_ch_aまたは20M_ch_bのフレームが送信されることはない。
【0064】
次に、図6を用いてネットワーク100内で40MHzチャネル(40M_ch)を使用して通信を行っているモードから、20MHzチャネル(20M_ch)を使用して通信を行うモードに切り替える手順について説明する。40M_chを使用して通信を行っている期間を40M_ch期間、20M_chを使用して通信を行っている期間を20M_ch期間と呼ぶ。
【0065】
40M_ch期間は、40M_ch期間の占有期間の終了により自然に終了しても構わない。あるいは図6(a)に示されるように40M / 20M MIMO AP が明示的に40M_ch期間終了を通知するフレーム(以下、40M_ch期間終了フレームという)F4を送信しても構わない。40M_ch期間終了フレームF4は、明示的ないし暗黙に40M_chの新たな占有期間を開始し、かつ20M_ch_aへの切り替えを指示する。
【0066】
40M_ch期間が自然に終了した場合、あるいは40M_ch終了フレームF4を受信した場合、40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAは、図6(c)に示されるように40M_chのMACのキャリアセンス状態をビジー状態とし、PHYモードを20M_ch_aに切り替える。20M_ch_aのMACのキャリアセンス状態はビジー状態のままであり、40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAは、まだ20M_ch_aのフレームを送信できない。
【0067】
40M_ch終了フレームF4は40M_chで送信されるため、図6(d)(e)に示されるように、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b) は、40M_ch終了フレームを受信することはない。また、20M MIMO STA (20M_ch_a) 、20M STA (20M_ch_a)、20M MIMO STA (20M_ch_b) 及び20M STA (20M_ch_b) は、40M_chに関する状態を持たないため、40M_chが自然に終了した場合にも、特に変化はない。
【0068】
次に、40M / 20M MIMO AP は、図6(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_bに切り替え、図6(a)に示されるように20M_ch_bの占有状態を解放するフレーム(以下、Ch_b解放フレームという)F5を送信する。20M_ch_bの占有期間を40M_ch期間の終了に引き続いて終了するように予め設定しておくことにより、20M_ch_bの占有期間を自然に終了させても構わない。
【0069】
20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、Ch_b解放フレームF5を受信した場合、あるいは20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合、図6(d)に示されるように20M_ch_bのMAC層のキャリアセンス状態をアイドル状態に設定する。これにより20M MIMO STA (20M_ch_b)及び20M STA (20M_ch_b) は、20M_ch_bのフレーム交換を開始できる。
【0070】
Ch_b解放フレームF5は20M_ch_bで送信されているため、20M_ch_aに切り替え済みの40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STA、 及び20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) が受信することはない。また、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) 及び20M STA (20M_ch_a) は、20M_ch_bに関する状態を持たないため、20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合にも、特に変化はない。
【0071】
次に、40M / 20M MIMO AP は、図5(b)に示されるようにPHYモードを20M_ch_aに切り替え、図6(a)に示されるように20M_ch_aの占有状態を解放するフレーム(以下、Ch_a解放フレームという)F6を送信する。20M_ch_aの占有期間を40M_ch期間の終了と20M_ch_bの占有期間の終了に引き続いて終了するように、予め設定しておくことにより、20M_ch_aの占有期間を自然に終了させても構わない。
【0072】
20M_ch_aに切り替え済みの40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STA、 及び20M_ch_aで動作している20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) は、Ch_a解放フレームを受信した場合、あるいは20M_ch_bの占有期間が自然に終了した場合、20M_ch_aのMAC層のキャリアセンス状態をアイドル状態に設定する。これにより、40M / 20M MIMO STA、40M / 20M STA、20M MIMO STA (20M_ch_a) と20M STA (20M_ch_a) は、20M_ch_aのフレーム交換を開始できる。
【0073】
Ch_a解放フレームF6は20M_ch_aで送信されているため、20M_ch_bで動作している20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) が受信することはない。20M MIMO STA (20M_ch_b) と20M STA (20M_ch_b) は20M_ch_aに関する状態を持たないため、20M_ch_aの占有期間が自然に終了した場合にも、特に変化はない。
【0074】
なお、40M_chしか送受信できない端末が存在した場合にも、基本的に同様の手順で共存させることができる。
【0075】
上記手順では、40M_ch解放フレームF3を40M / 20M MIMO APが送信することにより40M_ch期間を開始している。これは40M_ch期間において、DCF(Distributed Coordination Function)あるいはEDCA(HCF Contention Access)に基づき、各装置が対等にメディアを獲得する場合の手順である。しかし、PCF(Point Coordination Function)あるいはHCCA(HCF Controlled Access)などに基づいて、ネットワークの基地局である40M / 20M MIMO AP が基本的にはポーリング方式で各端末にメディアアクセス権を割り当てる方式も必要である。この場合には、40M / 20M MIMO APは40M_ch期間を開始する際に、40M_ch解放フレームF3ではなく、ポーリング方式によるメディアアクセス権を割り当てる期間を明示したフレームを送信してもよい。このフレームは宛先アドレスなどの形式で、ポーリングによりメディアアクセス権を与える相手の端末を明示する情報を含む。
【0076】
図6の動作例では、ネットワーク100で使用している側の20M_ch_aを20M_ch_bよりも先にビジー状態とし、20M_ch_bより後に解放した。ネットワーク100で用いていない20M_ch_bには、40M / 20M MIMO APからキャリアセンス状態が不明な状態が生じるが、ネットワークで用いている20M_ch_aにはそのような状態が生じないため、キャリアセンス状態の信頼性を重視するならば、この順が好ましいと思われる。但し、20M_ch_aと20M_ch_bの占有と解放の相対的な順序を変えても、本質は変わらない。
【0077】
例えば、20M_ch_bを20M_ch_aよりも先に占有し後から解放するとした場合、20M_ch_aの占有と40M_chの解放と一つのフレームにまとめることができる。40M_ch期間の終了(40M_chの占有)と20M_ch_aの解放についても、一つのフレームにまとめることができる。
【0078】
図6の動作例では、40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAは、物理層10が40M_chで動作している場合には20M_ch_aのフレームの送受信はできず、20M_ch_aで動作している場合には40M_chのフレームの送受信はできないことを仮定している。
【0079】
40M / 20M MIMO AP、40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAが20M_ch_aのフレームと40M_chのフレームを動作モードの切り替えなしに送受信できるならば(特に20M_ch_aか40M_chか予め決めずに、いずれのフレームでも受信できるならば、手順はより簡単になる。40M / 20M MIMO APが20M_ch_bだけを占有と宣言した状態で、20M_ch_aと40M_chのフレームを取り混ぜて交換すればよい。
【0080】
図7に、20M_ch期間と40M_ch期間の時間割合の適応制御の例を示す。図6で説明した方式に従うと、ネットワーク100内で20M_ch_aを用いる期間の長さと40M_chを用いる期間の長さは、基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のチャネル状態管理部23が制御する。従って、20M_ch期間と40M_ch期間に与える時間を定める必要がある。これらの時間は単なる固定値でも構わないが、図7では20M_ch期間と40M_ch期間のネットワーク使用率に基づいて20M_ch期間と40M_ch期間との時間割合を制御する方法を例示する。ここでは、ネットワーク使用率を20M_ch期間と40M_ch期間においてキャリアセンス部22から得たビジー状態とアイドル状態の割合から計算されるメディア使用率と定義する。
【0081】
尚、図6の動作例において40M/20M MIMOAPが20M_ch_bを確保しようとする際に、20M_ch_bがある一定以上の期間ビジー状態で、ch_b占有宣言フレームF2を送信する機会を見出せない場合もありえる。このような場合には、40_ch期間の開始を諦め、40M/20M MIMO APがCh_a開放フレームを送信して、20M_ch期間を再開しても良い。40M/20M MIMO STAと40M/20M STAが、40M PHYモードでも20M_ch_aを受信できる場合には、Ch_a開放フレームにより40M_ch期間が開始されないことを通知できるので、PHYモードも制御できる。また、BSS全体でタイムアウトの値を共有して(例えば、ビーコンに含まれる情報や、アソシエーション時に交換する情報により共有する)、40M/20M MIMO STA、40M/20M STAは、40M ch開放フレームを一定期間受信しなかったら、PHYモードを20M_ch_aに戻すようにしても良い。いずれにしても各STAのCh_aを空き状態にし、かつPHYモードを20M_ch_aに戻せば良く、これ以外にも制御フレームやタイムアウトを組み合わせた複数の実現方法がありえる。
【0082】
また、図示しないが、40M ch Frameの先頭に20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分を設けることで、40M PHYモードで送信する40M ch FrameのPHYヘッダに含まれるRateとLengthフィールドが、20M STAおよび20M MIMO STAでも受信解釈可能なようにすることができる。20M STAおよび20M MIMO STAは、LengthをRateで割ることにより算出される時間、PHYメディアが占有されると解釈する。このような構成にすると、ch_bを占有するためのF2と、40M ch開放のF3を一つの40M ch Frameにまとめることもできる。つまり、20M ch Frameと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthを、20M ch_bを占有する期間の、少なくとも一部をカバーするように、かつ送信するフレーム自体が占有する時間よりは適度に長くなるように設定する。これにより、20M ch_bに存在する20M STAおよび20M MIMO STAは、DataとLengthで計算される期間をbusyと判断する。
【0083】
20M ch Frameと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthは、当該フレームの本当の伝送レートとデータ長に一致している必要は無い。なぜなら、フレーム本体を受信できる40M/20M MIMO STAと40M/20M STAには、40M ch Frameを受信可能な装置だけが理解できる方法で、本当の伝送レートとデータ長を伝えればよいからである(なお、20M STAが従来の装置で、20M MIMO STAは新たな仕様に従う装置とすれば、20M MIMO STAにも解釈可能なように40M PHYフレームを構成することも可能である)。40M/20M STAおよび40M/20M MIMO STAは、20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分以降も解釈可能である。この部分で、本当の伝送レート(40M Rate)とデータ長(40M Length)、および40M chを開放することを伝える。40M Rateと40M LengthはPHYヘッダに含まれるが、40M chを開放する旨を示す情報は、PHYヘッダの情報の一部としても良いし、MACヘッダに含めても良い。
【0084】
なお、20M STAがIEEE802.11aないしIEEE802.11g仕様に基づくとすると、Lengthを4095 octets、Rateを6Mbpsとした場合が最大の期間(5.46msec)となる。これは必ずしも40M ch Frame交換期間を満たさないかもしれないが、40M ch Frame交換期間においても、20M PHYフレームと共通なPLCPヘッダ部分を持つ40M PHY Frameを交換し、その20M PHYフレームと共通なPLCPヘッダに含まれるRateとLengthを、引き続く40M ch Frame交換を含むように適切に設定することとすれば、全体として途切れなく40M ch Frame交換期間をカバーすることが出来る。
【0085】
また、40M期間終了を示すF4と、20M ch_b開放を示すF5も一つの40M ch Frameにまとめてよい。この場合、20M STAおよび20M MIMO STAは当該40M ch Frameのフレームボディを正しく復号できないので、DataとLengthで示された期間終了後、エラーリカバリーのために規定されているEIFS期間待つことになり、通常よりも20M ch_bアクセスを行なう前に待つ期間が長くなる。これを避けるために、DataとLengthで示される期間を本来の40M ch Frameが占有する期間よりも短く設定しても良い。また、40M ch Frame交換期間に交換する40M ch Frameの20M ch Frameと共通なPLCPヘッダ部分に設定するRateとLengthは、予想される40M期間終了を超えないように設定するべきである。
【0086】
この構成では、単にフレーム数が減るだけではなく、40M/20M MIMO APのPHYモード切り替えを、図6(b)に示すものから、図6(C)に示すPHYモードの切り替えと同様なものに単純化することが出来る。40M/20M MIMO AP/STA、40M/20M STAが、40Mと20Mを切り替えて使う際に、20M ch_aが40M chの上半分なのか下半分なのかを、AP毎ではなく、例えば仕様として全体が従うように決めてしまえば、20M ch_aと40M chを切り替えながら使う必要はあるが、20M ch_bを40M chと切り替えながら使うことは考慮する必要がなくなり、実装が容易になる可能性がある。
【0087】
メディア使用率に従って40M_ch期間と20M_ch期間の時間割合をどのように制御するかは、適当なポリシーにより定められる。例えば、20M_chを使う装置と40M_chを使う装置がメディアをなるべく平等に使用できるようにするならば、図7の真ん中方向(20M_ch メディア使用率=中、40M_ch メディア使用率=中)になるように時間割合を制御する。20M_chよりも40M_chを優先するならば、図7の下方向(20M_ch メディア使用率=低、40M_ch メディア使用率=高)となるように時間割合を制御する。40M_chよりも20M_chを優先するならば、図7の上方向(20M_ch メディア使用率=高、40M_ch メディア使用率=低)となるように時間割合を制御する。
【0088】
基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のチャネル状態管理部23は、キャリアセンス部22から得た情報とポリシーに基づいて上記の時間割合を決め、40M_chと20M_chの期間を適応制御する。チャネル状態管理部23が上記の時間割合を求めるのに必要な情報は、基地局101(40M / 20M MIMO AP)内のキャリアセンス部22により取得してもよいし、他の端末のキャリアセンス部により取得して基地局101内のチャネル状態管理部23に集めてもよい。
【0089】
さらに、20M_ch期間の40M / 20M MIMO STAと40M / 20M STAによるメディア使用率を測定し、メディア使用率が高ければ40M_ch期間の長さを大きくしてもよい。40M / 20M MIMO STA及び40M / 20M STAのような40M_chで通信できる端末が20M_ch期間を多く用いているということは、要求に比較して40M_ch期間が短過ぎる可能性が高いと考えられるため、このような制御を行うことが有効である。
【0090】
(第2の実施形態)
図8及び図10に、本発明の第2の実施形態に従うネットワーク構成を示す。図8及び図10では、40M STA_1が40M STA_2に40MHzチャネルを用いてフレームを送信しようとしている。20M_ch_a、20M_ch_bは、それぞれ異なるBSS(Basic Service Set)において使用されており、独立にメディアアクセスが行われている。図8及び図10では、40M STA_1が接続しているBSS_aが20M_ch_aを使用し、BSS_aと隣接またはオーバーラップしているBSS_bが20M_ch_bを使用している場合を考える。
【0091】
20M_ch_aでは、DCFないしEDCAによるメディアアクセスが行われている。一方、20M_ch_bでは、DCFないしEDCA又はPCFないしHCCAのいずれのメディアアクセスが行われていてもよい。図8は、20M_ch_a、20M_ch_b共にDCFないしEDCAを行っている場合を示し、図10は20M_ch_aはDCFないしEDCA、20M_ch_bはPCFないしHCCAを行っている場合を示している。
【0092】
図9及び図11を用いて、本実施形態のネットワーク構成における物理モードとキャリアセンス状態制御に関して説明を行う。
まず、40M STA_1は20M_ch_aのキャリアセンスを行い、20M_ch_aが一定期間(DIFS又はAIFS)アイドル状態になるまで待つ。一定期間のアイドル状態が検出されたら、40M STA_1はバックオフカウンタのカウントダウンを開始する。40M STA_1は、バックオフカウンタが0になったところで20M_ch_aを用いて40M STA_2宛にRTSaを送信し、40M STA_2からのフレーム受信待ちに入る。
【0093】
RTSaは、IEEE 802.11で規定されているRTSフレームとそれにより開始されるフレームシーケンス、ないしはそれを拡張したものとする。拡張の内容としては、RTSaが送信されたチャネル (20M_ch_a) にCTSaを送信することに加え、後述のように別チャネル (20M_ch_b) の空きを確認してCTSbを送信することを含んでもよい。空きを確認する別チャネルは暗黙に指定してもよい。例えば、40M_chが40MHzのチャネル間隔で規定されていれば、ある20M_chと対になる20M_chは暗黙に指定される。また、別チャネルを RTSaの情報要素で明示的に指定してもよい。同時に単一のチャネルしか送受できない装置に対しては、空きを確認する対象である別チャネルに対応する物理層の動作モードへの切り替えを含意してもよい。
【0094】
RTSaを受信した40M STA_2は、RTSaの受信が終了してからSIFS時間後に20M_ch_aを用いてCTSaを40M STA_1に返信し、20M_ch_bのキャリアセンスを開始する。40M STA_2は、同時に単独のチャネルしか扱えないならば、20M_ch_bのキャリアセンスのために物理層の動作モードを20M_ch_bに切り替える。CTSaはIEEE 802.11に規定される通常のCTSであってもよいし、後述のようにCTSaの送信元が別チャネル (20M_ch_b) の空きを確認して送信するCTSbを受信するように、40M STA_1を準備するものであってもよい。
【0095】
20M_ch_aを用いて送信されたRTSa又はCTSaを受信した各40M STAとBSS_aに所属する各20M STAは、データフレームの送信終了予定時刻まで送信を禁止される。40M STA_2からのCTSaを40M STA_1が20M_ch_aより受信した時点で、40M STA_1のための20M_ch_aの予約が完了したものとする。40M STA_1は、同時に単独のチャネルしか扱えないならば、物理層の動作モードを20M_ch_bに切り替える。
【0096】
次に、BSS_bがDCFないしEDCAを行っている場合について図8及び図9を用いて説明する。
40M STA_2は20M_ch_bのキャリアセンス中に、DIFSないしAIFS時間 のアイドル状態を検出した場合、20M_ch_bを用いて40M STA_1にCTSbを送信する。ここで、40M STA_2は、同時に単独のチャネルしか扱えないならば、予期される40M STA_1からのフレームを受信するため、物理層の動作モードを40M_ch に切り替える。このCTSbを受信したBSS_bに所属する各20M STAは、データフレームの送信終了予定時刻まで送信を禁止される。40M STA_1は20M_ch_aにおいてCTSaを受信した後の40M STA_2からのフレーム受信待ちの期間に20M_ch_bからCTSbを受信した時点で、40M STA_1のための20M_ch_bの予約が完了したものとする。従って、40M STA_1は20M_ch_a、20M_ch_bの両方を予約することができたと判断し、20M_ch_a及び20M_ch_bの両方を用いて40MHzチャネル用のデータフレームを送信する。ここで、40M STA_1は、同時に単独のチャネルしか扱えないならば、物理層の動作モードを40M_ch に切り替える。
【0097】
一方、20M_ch_aの予約後に20M_ch_bではビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できない場合が考えられる。従って、40M STA_1がCTSaを20M_ch_aより受信した後、あらかじめ定めた一定期間内に20M_ch_bからCTSbを受信しない場合には、40M STA_1はタイムアウトと判断し、NAV開錠フレームを20M_ch_aで送信することで、20M_ch_aのRTS/CTSによる送信禁止状態を解除する。
【0098】
次に、BSS_bがPCFないしHCCAを行っている場合について図10及び図11を用いて説明する。
40M STA_1は、20M_ch_aにおいてCTSaを受信した後の40M STA_2からのフレーム受信待ちの期間にBSS_bのAP_bから40M STA_1宛のPollフレームを受信した場合、Pollフレーム受信からSIFS時間後に20M_ch_a及び20M_ch_bの両方を用いて40MHzチャネル用のデータフレームを送信する。
【0099】
一方、20M_ch_bで実行されているポーリングの順番が40M STA_1になかなか回ってこないことにより、20M_ch_aは予約できているにもかかわらず長時間経っても40MHzチャネル用のデータフレームを送信できない場合が考えられる。従って、40M STA_1がCTSを20M_ch_aより受信した後、あらかじめ定めた一定期間内に20M_ch_bからPollフレームを受信しない場合には、40M STA_1はタイムアウトと判断し、NAV開錠フレームを20M_ch_aで送信することで、20M_ch_aのRTS/CTSによる送信禁止状態を解除する。
【0100】
BSS_bのAP_bから40M STA_1宛のPollフレームを投げさせる方式としては、例えばBSS_bにおけるポーリングでは40M STA用というPollフレームの送信をあらかじめ一定周期毎にポーリングの順番に入れておく方式や、BSS_bがポーリングを開始する際にポーリングの順番に加入したい40M STAを募集する方式、または一定周期毎にこの40M STA募集プロセスを実行するという方式が考えられる。
【0101】
あるいは、以下の方式に従いAPからのPollフレームを早期に受信できるようにしてもよい。APは40M帯域通信をサポートしており、20M_ch_aと20M_ch_bを用いて同時に2チャネルで通信が行えるものとする。
【0102】
(方式1)40M STA_1が20M_ch_aを確保した後、一定期間内に20M_ch_bからPollフレームを受信するように、APにPollフレームの送信を促す。
【0103】
(方式2)20M_ch_aを確保後、一定期間内に20M_ch_bからPollフレームを受信するようなタイミングで、40M STA_1が20M_ch_aを確保する。
【0104】
まず、方式1について説明する。方式1は、40M STA_1が20M_ch_aを確保した後、一定期間内にBSS_bのAPから40M STA_1宛のPollフレームを投げさせる、というものである。具体的には、40M STA_1はAPに対しPollフレームの送信を促す要求フレームを送信する。
【0105】
図12は、RTS/CTS交換後に40M STA_1がPollフレームの送信をAPに要求する場合のフレーム交換図である。図12において、40M STA_1は、まず図11の場合と同様にRTSa/CTSa交換により20M_ch_aを確保する。その後、CTSa受信からSIFS時間後に、40M STA_1は、Pollフレームの送信をAPに要求するPoll.reqフレームを、20M_ch_aを用いてAPに送信する。Poll.reqフレームを受信したAPは、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信するようにスケジューリングを行う。
【0106】
APがスケジューリングに成功し、次のPollを40M STA_1宛に送信することが可能な場合は、Poll.reqフレーム受信よりSIFS時間後に、APが40M STA_1に対してPollフレームを送信可能であることを示すPoll.resフレームを、20M_ch_aを用いて40M STA_1に返す。APからPoll.resフレームを受信した40M STA_1は、Pollフレームの待ち状態に入り、20M_ch_bにおいてPollフレームを受信したら、20M_ch_aと20M_ch_bの両方を用いた40M帯域上で、40M STA_2宛にデータを送信する。
【0107】
一方、APがスケジューリングに失敗し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信することができない場合は、APは40M STA_1に何も返信しない。40M STA_1はPoll.reqの送信後SIFS時間経過してもAPからPoll.resが返ってこない場合、20M_ch_bの確保に失敗したものとみなし、20M_ch_aのみを用いて20M帯域上で40M STA_2宛にデータを送信する。
【0108】
このように、40M STA_1 - 40M STA_2間のRTS/CTS交換により20M_ch_aを確保した後、さらに40M STA_1 - AP間のPoll.req/Poll.res交換により40M STA_1からAPにPollフレームの送信を要求することで、40M STA_1が20M_ch_aを確保した後、タイムアウトが発生する前に20M_ch_bからPollフレームを受信することができる。
【0109】
次に、図13は、40M STA_1がRTSにAPへのPoll要求情報を付加して送信する場合のフレーム交換図である。図13において、40M STA_1は、まず40M STA_2宛のRTSaにAP宛のPoll要求情報を付加して1フレーム(RTSa+Poll.reqフレーム)を形成し、20M_ch_aを用いて送信する。
【0110】
RTSa+Poll.reqフレームを受信した40M STA_2は、RTSa+Poll.reqフレーム受信からSIFS時間経過後に、周辺端末にNAVを張らせるためのCTSaを、20M_ch_aを用いて40M STA_1宛に返信する。一方、RTSa+Poll.reqフレームを受信したAPは、RTSa+Poll.reqフレームのPoll.req部分を見て40M STA_1がPollフレームを要求していることを認識し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信するようにスケジューリングを行う。
【0111】
APがスケジューリングに成功し、次のPollを40M STA_1宛に送信することが可能な場合は、CTSaフレーム受信よりSIFS時間後に、APが40M STA_1に対してPollフレームを送信可能であることを示すPoll.resフレームを、20M_ch_aを用いて40M STA_1に返す。APからPoll.resフレームを受信した40M STA_1は、Pollフレームの待ち状態に入り、20M_ch_bにおいてPollフレームを受信したら、20M_ch_aと20M_ch_bの両方を用いた40M帯域上で、40M STA_2宛にデータを送信する。
【0112】
一方、APがスケジューリングに失敗し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信することができない場合は、APは40M STA_1に何も返信しない。40M STA_1はCTSaフレームの受信後SIFS時間経過してもAPからPoll.resが返ってこない場合、20M_ch_bの確保に失敗したものとみなし、20M_ch_aのみを用いて20M帯域上で40M STA_2宛にデータを送信する。
【0113】
このように、40M STA_1がRTSにAPへのPollフレーム要求情報を付加して送信することで、20M_ch_aを確保した後、タイムアウトが発生する前に20M_ch_bからPollフレームを受信することができる。
【0114】
次に、図14は、40M STA_1のデータの送信宛先がAPである場合のフレーム交換図である。この場合、RTSaとPoll.reqの宛先は両方ともAPになるので、40M STA_1はRTSaにAPへのPoll要求情報を付加して送信することができる。一方、APもCTSaに40M STA_1へのPollフレーム送信可能情報を付加して返信することができる。
【0115】
図14において、40M STA_1は、まずRTSaにPoll要求情報を付加して1フレーム(RTSa+Poll.reqフレーム)を形成し、20M_ch_aを用いてAPに送信する。RTSa+Poll.reqフレームを受信したAPは、RTSa+Poll.reqフレームのPoll.req部分を見て40M STA_1がPollフレームを要求していることを認識し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信するようにスケジューリングを行う。
【0116】
APがスケジューリングに成功し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信することが可能な場合は、RTSa+Poll.reqフレーム受信よりSIFS時間後に、CTSa+Poll.resフレームを、20M_ch_aを用いて40M STA_1に返信する。CTSa+Poll.resフレームは、APが40M STA_1に対してPollフレームを送信可能であることを示すPoll.res情報をCTSaに付加して1フレームにまとめたものである。APからCTSa+Poll.resフレームを受信した40M STA_1は、Pollフレームの受信待ち状態に入り、20M_ch_bにおいてPollフレームを受信したら、20M_ch_aと20M_ch_bの両方を用いた40M帯域上で、40M STA_2宛にデータを送信する。
【0117】
一方、APがスケジューリングに失敗し、次のPollフレームを40M STA_1宛に送信することができない場合は、APは40M STA_1にCTSaフレームを返信する。40M STA_1はCTSaフレームの返信を受けて、20M_ch_aを確保できたことがわかる。また、Poll.req情報がCTSaフレームに付加されていないため、20M_ch_bの確保は失敗したものと判断し、20M_ch_aのみを用いて20M帯域上で40M STA_2宛にデータを送信する。
【0118】
このように、40M STA_1のデータの送信宛先がAPである場合はRTSa/CTSaフレームにPoll要求情報(Poll.req)/ Pollフレーム送信可能情報(Poll.res)を付加したRTSa+Poll.req/ CTSa+Poll.resフレームの交換を行うことで、20M_ch_aの確保と同時に、次のPollフレームの送信宛先を40M STA_1に設定することができ、40M STA_1は20M_ch_aを確保した後、タイムアウトが発生する前に20M_ch_bからPollフレームを受信することができる。
【0119】
次に、上記方式2について説明する。方式2は、20M_ch_aを確保後、一定期間内に20M_ch_bからPollフレームを受信するようなタイミングで、40M STA_1が20M_ch_aを確保する。40M STA_1が20M_ch_b上でAPからPollフレームを受信するタイミングに合わせて、40M STA_1は20M_ch_a上にRTSを送信して20M_ch_aを確保する。
【0120】
まず、40M帯域を用いたデータ送信を予定している40M STA_1は、自端末がAPからPollフレームを受信する予定時刻を計算する。例えば、IEEE 802.11e無線LANシステムのADDTS responseフレームやscheduleフレームといったMACフレームに格納されているschedule element情報を用いて、各STAはAPからPollフレームを受信する予定時刻を計算することができる。
【0121】
その後、40M STA_1は、20M_ch_b上でAPからのPollフレームを受信するのに先立って20M_ch_aを予約するためには、20M_ch_a上でいつRTSを送信すればよいかというRTS送信時刻を、Pollフレーム受信予定時刻を基にして計算する。RTS送信時刻に到達したら、40M STA_1は20M_ch_aのキャリアセンスを行い、20M_ch_aがアイドルであれば、20M_ch_a上にRTSフレームを送信する。一方、キャリアセンスの結果、20M_ch_aがアイドルでないと判断された場合、Pollフレームを受信してからSIFS時間経過後に、20M_ch_bのみを用いてデータを送信する。
【0122】
このように、40M STA_1が20M_ch_b上でAPからのPollフレームを受信する予定時刻に合わせて、40M STA_1が20M_ch_a上にRTSを送信して20M_ch_aを予約することで、二つの20M_chの帯域を確保できるまで、先に予約した20M_chの帯域が長時間アイドル状態になってしまう事態を回避し、帯域を無駄に浪費することなく40M帯域を確保することができる。
【0123】
以上のように第2の実施形態によると、40M STA_1が40MHzチャネルを確保することで、送信フレームが発生した端末が自らフレームの送信モード(20M ch で送信するか、40M chで送信するか)に応じてチャネルを確保することができる。
【0124】
(第3の実施形態)
<EDCAの場合>
上述した第2の実施形態においては、20M_ch_aの予約後に20M_ch_bではビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できない場合、すなわち、40M STA_1がCTSaを20M_ch_aより受信した後、あらかじめ定めた一定期間内に20M_ch_bからCTSbを受信しない場合には、40M STA_1はタイムアウトと判断し、NAV開錠フレームを20M_ch_aで送信することで、20M_ch_aのRTS/CTSによる送信禁止状態を解除するものとして説明した。
【0125】
これに対し本発明の第3の実施形態では、このように40M帯域を確保できない場合に、先に予約した20M_chの帯域が長時間アイドル状態になってしまう事態を回避し、帯域を無駄に浪費しないようにする。
【0126】
つまり本発明の第3の実施形態は、20M_ch_aの予約後に20M_ch_bではビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できずにタイムアウトとなった場合、20M_ch_aを解放して通信そのものをあきらめるのではなく、予約成功した20M_ch_aのみを用いて通信を行う。このため、送信端末に相当する40M STA_1は、20M_ch_a(第1チャネル)の予約を完了してからの一定時間の経過をタイマー等により検出し、該一定時間の経過を契機に、20M_ch_aにより20MHz帯域のみを用いる通信を開始する。
【0127】
図15は、20M_ch_b予約手続きのタイムアウト後に送信を断念する場合を説明するための図、図16は本発明の第3の実施形態に係わり、20M_ch_b予約手続きのタイムアウト後に20MHz通信を開始する場合を説明するための図である。
【0128】
図15において、40M STA_1は20M_ch_aを用いて40M STA_2宛にRTSaを送信し、40M STA_2からCTSaを受信することで20M_ch_aの予約に成功した後、20M_ch_b上で40M STA_2からCTSbが送信されてくるのを待つ。しかし、図15に示すように、20M_ch_bでビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できずにタイムアウト150となった場合、40M STA_1は20M_ch_bの予約をあきらめて20M_ch_aを解放する。この場合、40M STA_1はNAV cancel151によりデータ送信のための一切のチャネル予約手続きを終了し、40M STA_2との通信を断念する。その後、40M STA_1は再びバックオフで他の端末とのチャネル獲得競争に勝ち残り、次の通信機会を得るまで、保有しているデータの送信は行わない。
【0129】
40M STA_1と40M STA_2が同じタイムアウトの値を共有していることとする。さもなければ、40M STA_1が20M ch_bが空いていないと判断して送信するNAV cancelと、40M STA_2が20M ch_bが空いているとして送信するCTSbが衝突する恐れがある。
【0130】
また図示しないが、20M_ch_bでビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できずにタイムアウトとなった場合、40M STA_2が20M_ch_aを開放しても良い。つまり、40M STA 2がNAV cancelを送信する。また、タイムアウト後に40M STA_2が、40M STA_1に対してNAV cancel送信を要求するフレームを送信しても良い。これを受けた40M STA_1はNAV cancelを送信する。この方法では、20M ch_bの監視結果によりフレームを送信するのは、常に40M STA_2が最初になるので、たとえタイマの精度が低くてもフレームが衝突することはなくなる。
【0131】
一方、本発明の第3の実施形態に係る図16では、20M_ch_bでビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できずにタイムアウト150となった場合、図15の場合と同様に40M STA_1は20M_ch_bの予約をあきらめるが、20M_ch_aの解放は行わずにそのまま確保しておく。タイムアウト150の後、予約成功した20M_ch_aのみを用いて40M STA_2と20MHzの帯域で通信152を行う。このようにした場合、40MHz通信よりも伝送速度は20M_ch_aと20M_ch_bの両方を用いた40MHz通信よりも低下するが、40M STA_2との通信を断念することなくデータを送信することができる。
【0132】
また、20M_ch_aにおける40M STA_1と40M STA_2間におけるRTSa/CTSa交換を受信している他の端末は、各端末が有しているタイマーにより40M STA_1がタイムアウトとなり20M_ch_bの予約に失敗したことを検出することができる。従って、各端末は40M STA_1が40MHz通信ではなく20MHz通信152を開始することを認識し、40M STA_1から送信された40M STA_2宛の20MHzデータフレームのヘッダに格納されているRateとLengthから、各端末があらかじめ張っていた40MHz通信用のNAVを20MHz通信用の長さへと更新することができる。これにより、40M STA_1が当初予定していた40MHz通信を20MHz通信へと変更しても、他の端末がフレームを送信することにより衝突が生じ、40M STA_1と40M STA_2間の20MHz通信を妨害することを回避できる。
【0133】
また、40M STA_1から送信された40M STA_2宛の20MHzデータフレームのPHYヘッダに格納されているRateとLengthではなく、MACヘッダに含まれるdurationフィールドに基づいてNAV長を変更してもよい。これらは次に説明するHCCAの場合にも当てはまる。
【0134】
<HCCAの場合>
次に、ネットワークの基地局である40M / 20M MIMO AP がHCCA(HCF Controlled Access)などのポーリング方式で各端末にメディアアクセス権を割り当てる方式を実施している場合について説明する。
【0135】
上述した第2の実施形態においては、20M_ch_bで実行されているポーリングの順番が40M STA_1になかなか回ってこないことにより、20M_ch_aは予約できているにもかかわらず長時間経っても40MHzチャネル用のデータフレームを送信できない場合、すなわち、40M STA_1がCTSを20M_ch_aより受信した後、あらかじめ定めた一定期間内に20M_ch_bからPollフレームを受信しない場合には、40M STA_1はタイムアウトと判断し、NAV開錠フレームを20M_ch_aで送信することで、20M_ch_aのRTS/CTSによる送信禁止状態を解除するものとして説明した。
【0136】
これに対し本発明の第3の実施形態においては、上述したEDCAの場合と同様に、20M_ch_aの予約後に20M_ch_bではビジーが続き、長時間が経っても20M_ch_bを予約できずにタイムアウトとなった場合、20M_ch_aを解放して通信そのものをあきらめるのではなく、予約成功した20M_ch_aのみを用いて通信を行う。
【0137】
図17はタイムアウト時間内に20M_ch_b上のポーリングの順番が回ってこないために送信を断念する場合を説明するための図、図18は、本発明の第3の実施形態に係わり、タイムアウト時間内に20M_ch_b上のポーリングの順番が回ってこない場合には20MHzのみの通信を開始する場合を説明するための図である。
【0138】
図17において、40M STA_1は20M_ch_aを用いて40M STA_2宛にRTSa170を送信し、40M STA_2からCTSa171を受信することで20M_ch_aの予約に成功した後、20M_ch_b上でBSS_bのAP_bから40M STA_1宛のPollフレームが送信されてくるのを待つ。しかし、図17に示すように、40M STA_1における40M STA_2からのフレーム受信待ちの期間172と、AP_bからのPollフレーム送信のタイミングが合わず、長時間が経っても40M STA_1がPollフレームを受信せずにタイムアウト173となった場合、40M STA_1は20M_ch_bの確保をあきらめて20M_ch_aを解放する。この場合、40M STA_1はNAV cancel174によりデータ送信のための一切のチャネル予約手続きを終了し、40M STA_2との通信を断念する。その後、40M STA_1は再びバックオフで他の端末との20M_ch_aの獲得競争に勝ち残り、次の通信機会を得るまで、保有しているデータの送信は行わない。
【0139】
一方、本発明の第3の実施形態に係る図18では、20M_ch_bでビジーが続き、長時間が経っても40M STA_1がPollフレームを受信せずにタイムアウト173となった場合、図17の場合と同様に40M STA_1は20M_ch_bの予約をあきらめるが、20M_ch_aの解放は行わずにそのまま確保しておく。タイムアウト173の後、予約成功した20M_ch_aのみを用いて40M STA_2と20MHzの帯域で通信180を行う。このようにした場合、40MHz通信よりも伝送速度は20M_ch_aと20M_ch_bの両方を用いた40MHz通信よりも低下するが、40M STA_2との通信を断念することなくデータを送信することができる。
【0140】
また、20M_ch_aにおける40M STA_1と40M STA_2間におけるRTAa/CTSa交換を受信している他の端末は、各端末が有しているタイマーにより40M STA_1がタイムアウトとなり20M_ch_bにおける送信機会の獲得に失敗したことを検出することができる。従って、各端末は40M STA_1が40MHz通信ではなく20MHz通信180を行うことを認識し、40M STA_1から送信された40M STA_2宛の20MHzデータフレームのヘッダに格納されたRateとLengthから、あらかじめ張っていた40MHz通信用のNAVを20MHz通信用の長さへと更新することができる。これにより、40M STA_1が当初予定していた40MHz通信を20MHz通信へと変更しても、他の端末がフレームを送信することにより衝突が生じ、40M STA_1と40M STA_2間の20MHz通信を妨害することを回避できる。
【0141】
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、40M帯域を用いる通信を開始する際に、40M帯域の全てを確保できない場合に、少なくとも先行予約された20M帯域を用いる通信を行えることから、20M_chの帯域が長時間アイドル状態になってしまう事態を回避し、帯域を無駄に浪費することを防止できる。
【0142】
第3の実施形態は以上の説明から自明であるが第1の実施形態と組合わせて実施することができ、また第2の実施形態と組合わせても実施可能である。第2の実施形態との組み合わせの場合、第1チャネルを予約したのちに、送信端末からポーリング制御端末に対しPollフレームの送信を要求する要求フレームを送信する。この要求フレームに対する応答フレームを受信したら、送信端末はPollフレームの受信を待機する。ここで、Pollフレームの受信により送信許可を得た場合は第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて通信が行われるが、第1チャネルの予約を完了してからの一定時間が経過しても、制御端末からのPollフレームが未受信であるならば、第1周波数帯域を有する第1チャネルを用いる通信を開始する。
【0143】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施形態に従う第1の無線通信装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に従う第2の無線通信装置のブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態に従う無線通信装置を含むネットワークの例を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態における第1周波数帯域内の第1チャネル及び第2周波数帯域内の第2チャネルについて説明する図
【図5】図3のネットワークにおける接続シーケンスの例を示す図
【図6】図3のネットワークにおける物理層の動作モードとキャリアセンス状態の制御を説明するタイムチャート
【図7】本発明の第1の実施形態における第1チャネル及び第2チャネルを用いて無線通信を行う期間の適応制御について説明する図
【図8】本発明の第2の実施形態に従う第1のネットワーク構成を示す図
【図9】第1のネットワーク構成における物理モードとキャリアセンス状態制御について説明するタイムチャート
【図10】本発明の第2の実施形態に従う第2のネットワーク構成を示す図
【図11】第2のネットワーク構成における物理モードとキャリアセンス状態制御について説明するタイムチャート
【図12】RTS/CTS交換後に40M STA_1がPollフレームの送信をAPに要求する場合のフレーム交換図
【図13】40M STA_1がRTSにAPへのPoll要求情報を付加して送信する場合のフレーム交換図
【図14】40M STA_1のデータの送信宛先がAPである場合のフレーム交換図
【図15】20M_ch_b予約手続きのタイムアウト後に送信を断念する場合を説明するための図
【図16】本発明の第3の実施形態に係わり、20M_ch_b予約手続きのタイムアウト後に20MHz通信を開始する場合を説明するための図
【図17】タイムアウト時間内に20M_ch_b上のポーリングの順番が回ってこないために送信を断念する場合を説明するための図
【図18】本発明の第3の実施形態に係わり、タイムアウト時間内に20M_ch_b上のポーリングの順番が回ってこない場合には20MHzのみの通信を開始する場合を説明するための図
【符号の説明】
【0145】
10…物理層;
11…第1の物理層プロトコル処理部;
12…第2の物理層プロトコル処理部;
13A〜13C…アンテナ;
20…MAC層;
21…チャネルアクセス制御部;
22…キャリアセンス部;
23…チャネル状態管理部;
24…チャネル占有・解放制御部;
25…ネットワークシステム管理部;
30…リンク層;
101…無線基地局(アクセスポイント);
102〜107…無線端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部と、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部と、
前記第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定する状態管理部と、
前記状態管理部から前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たした旨の判定結果を受けて前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第1の制御部とを具備する無線通信装置。
【請求項2】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部と、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部と、
前記第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定する状態管理部と、
前記状態管理部から前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たした旨の判定結果を受けて前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第1の制御部と、
前記第2チャネルを仮想キャリアセンスにより第2の一定期間占有することを宣言する第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第2の制御部と具備する無線通信装置。
【請求項3】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第1の物理層プロトコル処理部と、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いて無線通信を行うための物理層プロトコル処理を行う第2の物理層プロトコル処理部と、
前記第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定する状態管理部と、
前記状態管理部から前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たした旨の判定結果を受けて前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第1の制御部と、
前記第2チャネルを仮想キャリアセンスにより解放させる第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行う第2の制御部と具備する無線通信装置。
【請求項4】
前記第2の一定期間は、引き続くフレーム交換シーケンスに必要な期間である請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記無線通信装置はネットワークの一部を形成し、単一の前記第1チャネルを用いてネットワーク属性の送信を行うように前記第1の物理層プロトコル処理部を制御するネットワークシステム管理部をさらに具備する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記無線通信装置はネットワークの一部を形成し、単一の前記第1チャネルによってのみネットワーク接続制御を受け付けるネットワークシステム管理部をさらに具備する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1チャネルの第1の使用率及び第2チャネルの第2の使用率を測定し、該第1及び第2の使用率に基づいて前記第1チャネルを用いて無線通信を行う期間の長さ及び前記第2チャネルを用いて無線通信を行う期間の長さを制御するチャネル状態管理部をさらに具備する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記第1の制御部は、前記第1チャネルから第2チャネルへの切り替え指示を前記第1フレームに含ませるか、または前記第1フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行った後、前記第1チャネルから第2チャネルへの切り替え指示を行うための第3フレームを前記第1の物理層プロトコル処理部により送信させる制御をさらに行う請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項9】
第2の制御部は、前記第2チャネルから第1チャネルへの切り替え指示を前記第2フレームに含ませるか、または前記第2フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御を行った後、前記第2チャネルから第1チャネルへの切り替え指示を行うための第4フレームを前記第2の物理層プロトコル処理部により送信させる制御をさらに行う請求項2記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記状態管理部は、前記第1チャネルが予め指定された固定期間にわたり空き状態を継続したことをもって前記特定の空き条件を満たしたと判定する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記状態管理部は、前記第1チャネルが予め指定された固定期間と擬似乱数により定められる期間にわたり空き状態を継続したことをもって前記特定の空き条件を満たしたと判定する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記状態管理部は、前記第1チャネルのキャリアセンス状態及び第2チャネルのキャリアセンス状態を管理し、かつ無線通信に現在利用されている単一の第1チャネルのキャリアセンス状態に基づいて前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたか否かを判定する請求項1乃至3のいずれか1項記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記状態管理部は、2つ以上の前記第1チャネルのキャリアセンス状態を合成して前記第2チャネルのキャリアセンス状態と見なす請求項12記載の無線通信装置。
【請求項14】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、
前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項15】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、
前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップと、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを仮想キャリアセンスにより第2の一定期間占有することを宣言する第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2チャネルにより送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項16】
第1周波数帯域を持つ少なくとも一つの第1チャネルのキャリアセンス状態を管理して前記第1チャネルが特定の空き条件を満たしたか否かを判定するステップと、
前記第1チャネルが前記特定の空き条件を満たしたとき前記第1チャネルを仮想キャリアセンスにより第1の一定期間占有することを宣言する第1フレームを生成し、該第1フレームを前記第1チャネルにより送信するステップと、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを仮想キャリアセンスにより解放させる第2フレームを生成し、該第2フレームを前記第2チャネルにより送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項17】
送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、
前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記チャネルを予約するステップと、
前記第1チャネルにおいて送信要求フレームを受信した宛先端末が前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを監視するステップと、
第2チャネルが一定時間空き状態である場合に前記宛先端末が前記第2チャネルを用いて送信要求確認フレームを送信することにより前記第2チャネルを予約するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項18】
送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、
前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記チャネルを予約するステップと、
前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを管理している制御端末が前記第2チャネルを用いてPollフレームを送信することにより前記第2チャネルの使用を前記送信端末に許可するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項19】
送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、
前記送信端末に対し送信許可を与えるPollフレームを送信するためのポーリング制御をポーリングスケジュールに従いポーリング制御端末が実行するステップと、
前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記第1チャネルを予約するステップと、
前記第1チャネルを予約したのちに、前記送信端末から前記ポーリング制御端末に対し前記Pollフレームの送信を要求する要求フレームを送信するステップと、
前記要求フレームに対する応答フレームを受信したら、前記送信端末が前記Pollフレームの受信を待機するステップと、
前記Pollフレームの受信により送信許可を得たのち、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いてデータを送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項20】
前記ポーリング制御端末は、第3周波数帯域を持つ第3チャネルを用いて前記ポーリング制御を実行する請求項19記載の無線通信方法。
【請求項21】
前記応答フレームの受信に基づく前記Pollフレームの受信待機が一定時間を越えたら前記データの送信に用いるチャネルを変更するステップをさらに具備する請求項19記載の無線通信方法。
【請求項22】
送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、
前記送信端末に対し送信許可を与えるPollフレームを送信するためのポーリング制御をポーリングスケジュールに従いポーリング制御端末が実行するステップと、
前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に、前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することにより前記第1チャネルを予約するとともに、前記送信端末から前記ポーリング制御端末に対し前記Pollフレームの送信を要求する要求情報および該要求情報に対する応答情報の少なくともいずれかを交換するステップと、
前記応答情報を受信したら、前記送信端末が前記Pollフレームの受信を待機するステップと、
前記Pollフレームの受信により送信許可を得たのち、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いてデータを送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項23】
前記ポーリング制御端末は、第3周波数帯域を持つ第3チャネルを用いて前記ポーリング制御を実行する請求項22記載の無線通信方法。
【請求項24】
前記応答情報の受信に基づく前記Pollフレームの受信待機が一定時間を越えたら前記データの送信に用いるチャネルを変更するステップをさらに具備する請求項22記載の無線通信方法。
【請求項25】
送信端末が第1周波数帯域を持つ第1チャネル上におけるフレーム送信の有無を監視するステップと、
前記送信端末に対し送信許可を与えるPollフレームを送信するためのポーリング制御をポーリングスケジュールに従いポーリング制御端末が実行するステップと、
前記送信端末において、前記ポーリング制御端末からのPollフレームを受信する受信予定時刻を算出するステップと、
算出された受信予定時刻に前記Pollフレームを受信できるように、前記第1チャネルを予約するための送信要求フレームの送信時刻を算出するステップと、
前記第1チャネルが一定期間空き状態である場合に、前記第1チャネルを用いて前記送信端末と宛先端末間で送信要求/送信要求確認フレームを交換することによる前記第1チャネルの予約を、前記送信時刻から開始するステップと、
前記Pollフレームの受信により送信許可を得たのち、前記第1周波数帯域より帯域幅が広くかつ前記第1周波数帯域と重複する第2周波数帯域を持つ第2チャネルを用いてデータを送信するステップとを具備する無線通信方法。
【請求項26】
前記送信端末は、
前記第1チャネルの予約を完了してからの一定時間の経過を検出するステップと、
前記一定時間の経過を契機に前記第1周波数帯域を用いる通信を開始するステップとを実行する請求項17記載の無線通信方法。
【請求項27】
前記送信端末は、
前記第1チャネルの予約を完了してからの一定時間の経過を検出するステップと、
前記一定時間の経過までに前記制御端末からの前記Pollフレームが未受信であるならば、前記第1周波数帯域を用いる通信を開始するステップとを実行する請求項18記載の無線通信方法。
【請求項28】
前記送信端末は、
前記第1チャネルの予約を完了してからの一定時間の経過を検出するステップと、
前記一定時間の経過時に前記制御端末からの前記Pollフレームが未受信であるならば、前記第1周波数帯域を用いる通信を開始するステップとを実行する請求項19乃至25のいずれかに記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−14258(P2006−14258A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242893(P2004−242893)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】