説明

無線電力送信装置及び方法

【課題】無線で複数の受電装置に順次電力を送信して充電させる無線電力送信装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明による無線電力送信装置及び方法においては、複数の電力送信コイル440−1、440−2から無線で電力を送信し、電力送信コイル440−1、440−2から送信する電力を充電する受電装置500が複数の場合、電力送信制御部410により複数の受電装置500が携帯端末機に取り付けられているか否か及び電力充電状態を判断して優先順位を付与し、付与した優先順位に従って複数の受電装置500に順次電力を送信して充電するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の受電装置に優先順位を付与し、付与した優先順位に従って、電力送信コイルの移動や使用者による追加操作を行うことなく、自動で複数の受電装置に順次電力を送信して充電させる、無線電力送信装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの各種携帯端末機には、電力を充電して動作電力を供給する受電装置が取り付けられる。前記受電装置は、外部の充電装置から供給される電力を充電し、充電した電力を前記携帯端末機に動作電力として供給して動作させるためのものである。
【0003】
前記受電装置は、電力を充電するバッテリセルモジュールや、前記外部の充電装置から供給される電力を前記バッテリセルモジュールに充電させ、前記バッテリセルモジュールに充電させた電力を放電させて前記携帯端末機に供給する充放電回路などを含む。
【0004】
前記充電装置と前記受電装置とを電気的に接続する方式としては、前記充電装置の電力を出力するための端子と前記受電装置の電力を入力するための端子とをケーブルを介して直接接続する端子接続方式が知られている。
【0005】
しかしながら、前記端子接続方式においては、前記充電装置の端子と前記受電装置の端子の間に電位差があるので、前記充電装置の端子と前記受電装置の端子とを接続又は分離する際に瞬間放電現象が起こる。
【0006】
前記瞬間放電現象は、前記充電装置の端子及び前記受電装置の端子を摩耗させる。また、前記充電装置の端子及び前記受電装置の端子に異物が溜まっている場合は、前記瞬間放電現象により前記異物が発熱して火災などの事故が発生する恐れがあった。
【0007】
また、湿気などにより、前記受電装置のバッテリセルモジュールに充電された電力が当該受電装置の端子から外部に自然放電され、それにより、前記受電装置の使用寿命の短縮や性能の低下を招くという問題があった。
【0008】
近年、このような端子接続方式の様々な問題を解決するために、受電装置に無線で電力を送信する無線電力送信装置が提示されている。
【0009】
前記無線電力送信装置は、例えば電磁誘導方式を用いて無線で電力を送信する。また、前記受電装置は、前記無線電力送信装置が無線で送信する電力を受信し、受信した電力をバッテリセルモジュールに充電させる。
【0010】
前記無線電力送信装置は安定かつ高効率に無線で電力を送信することができるようにし、かつ、前記受電装置は前記無線電力送信装置が送信する電力を最大限受信してバッテリセルモジュールに充電させることができるようにするのに多くの努力がなされてきた。
【0011】
前記無線電力送信装置の充電台に複数の受電装置を載置して充電させることがある。この場合、複数の電力送信コイルから複数の受電装置の全てに電力を送信して同時に充電させることができる。
【0012】
しかしながら、複数の電力送信コイルから複数の受電装置の全てに電力を送信して同時に充電させることは、迅速な充電を必要とする受電装置であるか否かを区別しないので非常に非効率的であり、また、複数の受電装置に1つずつ順次電力を供給して充電させるよりもかえって電力の充電に長時間かかるという問題があった。
【0013】
そして、特許文献1においては、電力送信コイルを移動させる移動手段を充電台の下方に備え、前記移動手段により電力送信コイルを受電装置が載置された位置に順次移動させて電力を送信することで充電させる。
【0014】
すなわち、充電台の第1位置に第1受電装置が載置され、充電台の第2位置に第2受電装置が載置された場合、移動手段が電力送信コイルを前記第1位置に移動させて前記第1受電装置に電力を充電させ、前記第1受電装置の充電が完了すると、前記移動手段が前記電力送信コイルを前記第2位置に移動させて前記第2受電装置に電力を充電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−273327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1においても、迅速な充電を必要とする受電装置であるか否かを区別することなく電力を送信するので非常に非効率的であり、また、充電台に移動手段を備えなければならず、さらに、移動手段による電力送信コイルの移動を制御するために移動制御手段などを備えなければならなかった。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、1つの充電台に複数の受電装置が同時に又は時間差をおいて載置される場合、所定の基準で優先順位を決定し、決定した優先順位に従って複数の受電装置のそれぞれに順次電力を送信して充電させる、無線電力送信装置及び方法を提供することにある。
【0018】
また、本発明が解決しようとする課題は、充電台に載置された複数の受電装置のそれぞれのバッテリセルモジュールに充電された電力量を判断して優先順位を決定し、決定した優先順位に従って複数の受電装置のそれぞれに順次電力を供給して充電させる、無線電力送信装置及び方法を提供することにある。
【0019】
本発明が解決しようとする課題は上記技術的課題に限定されず、言及していない技術的課題は本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば以下の記載から明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による無線電力送信装置及び方法においては、電力を充電させるべき受電装置が複数の場合、複数の受電装置の優先順位を判断する。
【0021】
前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置を第2順位とする。
【0022】
そして、前記携帯端末機に取り付けられているか否かによる優先順位が同一の場合、前記受電装置の電力充電状態に応じて優先順位を決定する。
【0023】
優先順位が決定されると、優先順位の高い受電装置に電力を送信して充電させ、電力の充電が完了すると、次の優先順位の受電装置に電力を送信して充電させる。
【0024】
そこで、本発明による無線電力送信装置は、複数の電力送信コイルから無線で電力を送信する電力送信部と、前記電力送信部が送信する電力を充電する受電装置が複数の場合、前記複数の受電装置の優先順位を判断し、判断した優先順位に従って前記複数の受電装置を1つずつ選択して順次電力を送信するように制御する電力送信制御部とを含む。
【0025】
前記電力送信部は、前記電力送信制御部の制御により、前記複数の受電装置のID(Identification)、携帯端末機に取り付けられているか否か、及び電力充電状態の情報を要求する情報要求信号を発生して前記複数の受電装置に送信する信号送信部と、前記情報要求信号に対する応答として前記受電装置が送信する情報信号を受信して前記電力送信制御部に提供する信号受信部とを含む。
【0026】
前記情報要求信号の送信及び前記情報信号の受信は、前記複数の電力送信コイルにより行われる。
【0027】
前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置を第2順位とする。
【0028】
前記携帯端末機に取り付けられているか否かによる優先順位が同一の場合、前記受電装置の電力充電状態に応じて優先順位を決定する。
【0029】
前記電力送信部は、前記電力送信制御部の制御により、負荷の変動を検出する駆動信号及び電力を送信する駆動信号を発生する駆動ドライバと、前記駆動信号に応じて直流電力をスイッチングして前記複数の電力送信コイルに出力する直列共振型コンバータとを含む。
【0030】
前記電力送信部は、前記電力送信制御部の制御によりスイッチング駆動信号を発生するスイッチング駆動部と、前記直列共振型コンバータと前記複数の電力送信コイルとの間にそれぞれ備えられ、前記スイッチング駆動信号に応じてスイッチングされる複数のスイッチとを含む。
【0031】
そして、本発明による無線電力送信方法は、複数の電力送信コイルの負荷が変動した場合、電力送信制御部の制御により、信号送信部が受電装置のID、携帯端末機に取り付けられているか否か、及び電力充電状態の情報を要求する情報要求信号を発生して前記受電装置に送信し、前記受電装置から前記情報要求信号に対する応答として情報信号を受信する段階と、前記受電装置が複数の場合、前記電力送信制御部が前記情報信号に基づいて優先順位を判断する段階と、前記電力送信制御部が前記優先順位に従って前記複数の受電装置を1つずつ選択して順次電力を送信する段階とを含む。
【0032】
前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置を第2順位とする。
【0033】
前記携帯端末機に取り付けられているか否かによる優先順位が同一の場合、前記受電装置の電力充電状態に応じて優先順位を決定する。
【発明の効果】
【0034】
本発明による無線電力送信装置及び方法によれば、充電台に複数の受電装置が載置された場合、複数の受電装置の優先順位を判断し、判断した優先順位に従って複数の受電装置に順次電力を供給して充電させる。
【0035】
つまり、迅速な充電を必要とする受電装置の充電を先に完了し、迅速に充電させなくてもよい受電装置には後で電力を充電させることにより、非常に効率的に複数の受電装置に電力を充電させることができ、また、非常に速い速度で複数の受電装置を満充電させることができる。
【0036】
さらに、電力送信コイルの移動や使用者による追加操作を行うことなく、1つの無線電力送信装置で複数の受電装置に自動で順次電力を充電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】無線電力送信装置の充電台の上部に載置された複数の受電装置の位置に基づいて本発明による無線電力送信装置が電力を送信する動作を説明するための図である。
【図2】本発明による無線電力送信装置及び受電装置の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3a】本発明による無線電力送信装置の電力送信制御部の動作を示す信号フロー図である。
【図3b】本発明による無線電力送信装置の電力送信制御部の動作を示す信号フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面を参照して本発明を実施形態により詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。なお、一部の図においては、同一構成要素に同一符号を付す。
【0039】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、これは例示に過ぎない。なお、本発明の原理と概念は有用かつ簡単な説明を目的として提供される。
【0040】
よって、本発明の基本的な理解のための必要以上の詳細な構造は提供せず、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が実施できる本発明の実施形態を図面に例示する。
【0041】
図1は無線電力送信装置の充電台の上部に載置された複数の受電装置の位置に基づいて本発明による無線電力送信装置が電力を送信する動作を説明するための図である。なお、符号100は充電台である。充電台100には、例えば第1電力送信コイル110−1及び第2電力送信コイル110−2が配置されており、無線で電力を送信する。
【0042】
第1電力送信コイル110−1と第2電力送信コイル110−2とは、一部領域が互いに重なる重畳領域110−3を有するように配置されてもよい。
【0043】
通常、使用者は、充電台100の上部に1つの受電装置を載置する場合、充電台100の中央に載置する。
【0044】
この場合、第1電力送信コイル110−1と第2電力送信コイル110−2とが重なる重畳領域110−3の上部に前記受電装置の電力受信コイルが位置する。
【0045】
第1電力送信コイル110−1と第2電力送信コイル110−2とが重なる重畳領域110−3の上部に前記受電装置の電力受信コイルが位置すると、無線電力送信装置は、前記受電装置が重畳領域110−3の上部に位置することを検出する。
【0046】
そして、前記無線電力送信装置は、第1電力送信コイル110−1及び第2電力送信コイル110−2に電力を供給して送信し、送信された電力は、1つの前記受電装置の電力受信コイルに受信され、当該受電装置に内蔵されたバッテリセルモジュールに充電される。
【0047】
一方、図示のように、使用者が充電台100の上部に2つの受電装置200−1、200−2を載置して2つの受電装置200−1、200−2に電力を充電させることもある。
【0048】
充電台100の上部に2つの受電装置200−1、200−2を載置する場合、通常、受電装置200−1に内蔵された電力受信コイル210−1は、第1電力送信コイル110−1の上方に位置し、受電装置200−2に内蔵された電力受信コイル210−2は、第2電力送信コイル110−2の上方に位置する。
【0049】
受電装置200−1、200−2は、携帯端末機に取り付けられた状態で充電台100の上部に載置されることもあり、携帯端末機に取り付けられていない状態で受電装置200−1、200−2のみ充電台100の上部に載置されることもある。
【0050】
この場合、前記無線電力送信装置は、第1及び第2電力送信コイル110−1、110−2の両方から電力を送信し、送信された電力は、2つの受電装置200−1、200−2の両方に受信されてそれぞれのバッテリセルモジュールに充電される。
【0051】
しかし、第1及び第2電力送信コイル110−1、110−2から2つの受電装置200−1、200−2に電力を送信する場合、電力が分散されるため、2つの受電装置200−1、200−2を満充電するのにかえって長時間かかる。また、2つの受電装置200−1、200−2のうち迅速な充電を必要とする受電装置に先に電力を充電させることができない。
【0052】
よって、本発明による無線電力送信装置においては、充電台100の上部に2つの受電装置200−1、200−2が載置された場合、2つの受電装置200−1、200−2の現在の状態、すなわち、携帯端末機に取り付けられているか否かと、受電装置200−1、200−2のバッテリセルモジュールの電力充電状態を判断する。
【0053】
そして、判断した2つの受電装置200−1、200−2の現在の状態に応じて優先順位を付与し、付与した優先順位に従って2つの受電装置200−1、200−2に1つずつ順次電力を送信して充電させる。
【0054】
図2は本発明による無線電力送信装置及び受電装置の実施形態の構成を示すブロック図である。なお、符号300は交流/直流コンバータである。交流/直流コンバータ300は、外部から入力される交流電力を直流電力に変換する。
【0055】
符号400は本発明による無線電力送信装置である。無線電力送信装置400は、交流/直流コンバータ300により変換された直流電力をスイッチングし、スイッチングした電力を例えば電磁誘導方式を用いて無線で送信する。
【0056】
本実施形態においては、交流/直流コンバータ300が無線電力送信装置400とは別に備えられる場合を例に挙げているが、本発明を実施するにあたっては、交流/直流コンバータ300を無線電力送信装置400内に一体に備えてもよい。
【0057】
符号500は受電装置である。受電装置500は、無線電力送信装置400から無線で送信される電力を受信して充電し、充電した電力を携帯端末機(図示せず)に動作電力として供給する。
【0058】
無線電力送信装置400は、電力送信制御部410と、駆動ドライバ420と、直列共振型コンバータ430と、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2と、スイッチング駆動部450と、複数のスイッチ460−1、460−2と、第1信号送信部470と、第1信号受信部480とを含んでもよい。
【0059】
電力送信制御部410は、受電装置500を認識し、認識した受電装置500が複数の場合、複数の受電装置500が携帯端末機に取り付けられているか否かと複数の受電装置500の現在の充電電力量を判断して優先順位を決定し、決定した優先順位に従って複数の受電装置500に順次電力を送信して充電させることを制御する。
【0060】
駆動ドライバ420は、電力送信制御部410の制御により、負荷の変動を検出する駆動信号や無線で電力を送信する駆動信号などを発生する。
【0061】
直列共振型コンバータ430は、駆動ドライバ420が発生した駆動信号に応じて、交流/直流コンバータ300から供給される直流電力をスイッチングして出力する。
【0062】
第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2は、直列共振型コンバータ430が出力した負荷の変動を検出する信号が供給されたり、直列共振型コンバータ430が出力した電力が直列共振することにより無線で電力を送信する。
【0063】
スイッチング駆動部450は、電力送信制御部410の制御によりスイッチング駆動信号を発生する。
【0064】
スイッチ460−1は、直列共振型コンバータ430と第1電力送信コイル440−1との間に備えられ、スイッチ460−2は、直列共振型コンバータ430と第2電力送信コイル440−2との間に備えられる。スイッチ460−1、460−2は、スイッチング駆動部450が発生したスイッチング駆動信号に応じてスイッチングされる。
【0065】
第1信号送信部470は、電力送信制御部410の制御により、受電装置500のID、受電装置500が携帯端末機に取り付けられているか否かや、受電装置500の電力充電状態などの情報を要求する情報要求信号を発生し、発生した情報要求信号を第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2に出力して受電装置500に送信させる。
【0066】
第1信号受信部480は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から、負荷の変動を検出する信号と、前記情報要求信号に対する応答として受電装置500が送信する情報信号を受信し、受信した信号を電力送信制御部410に提供する。
【0067】
受電装置500は、電力充電制御部510、電力受信コイル520、整流部530、充電部540、バッテリセルモジュール550、第2信号受信部560、第2信号送信部570などを含んでもよい。
【0068】
電力充電制御部510は、無線電力送信装置400が送信した情報要求信号に対する応答として、ID信号、携帯端末機に取り付けられているか否かや、充電状態信号などの情報信号を発生し、無線電力送信装置400に送信することを制御する。また、電力充電制御部510は、無線電力送信装置400が送信する電力を受信し、バッテリセルモジュール550に充電させることを制御する。
【0069】
電力受信コイル520は、無線電力送信装置400の第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2と電磁誘導方式で結合され、無線電力送信装置400から情報要求信号を受信し、前記情報要求信号に対する応答としての情報信号を無線電力送信装置400に送信する。また、電力受信コイル520は、無線電力送信装置400の第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から無線で送信される電力を受信する。
【0070】
整流部530は、電力受信コイル520が受信した電力を整流して直流電力に変換する。
【0071】
充電部540は、電力充電制御部510の制御により、整流部530が整流した直流電力をバッテリセルモジュール550に充電する。
【0072】
第2信号受信部560は、無線電力送信装置400が送信した情報要求信号を電力受信コイル520から受信し、受信した情報要求信号を電力充電制御部510に提供する。
【0073】
第2信号送信部570は、電力充電制御部510の制御により、ID信号、携帯端末機に取り付けられているか否かや、充電状態信号などの情報信号を発生し、発生した情報信号を電力受信コイル520から無線電力送信装置400に送信する。
【0074】
このような構成を有する本発明による無線電力送信装置400は、交流/直流コンバータ300により外部の交流電力が直流電力に変換されて供給されると、供給された直流電力を動作電力として用いて正常動作する。
【0075】
正常動作状態で、無線電力送信装置400は、まず、受電装置500が電力を受信できるか否かを判断する。
【0076】
すなわち、無線電力送信装置400は、電力送信コイル440−1、440−2の上部に受電装置500の電力受信コイル520が位置するか否かを判断する。
【0077】
このために、電力送信制御部410は、まず、スイッチング駆動部450を制御してスイッチ460−1、460−2を両方とも接続する。
【0078】
そして、電力送信制御部410は、駆動ドライバ420を制御して負荷の変動を検出する駆動信号を発生し、直列共振型コンバータ430は、発生した駆動信号に応じて直流電力をスイッチングして負荷の変動を検出する信号を発生する。
【0079】
直列共振型コンバータ430が発生した負荷の変動を検出する信号は、スイッチ460−1、460−2を介して第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2に供給される。
【0080】
ここで、前記負荷の変動を検出する信号は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2に共振を発生させない周波数の信号、例えば約180kHzの高い周波数を有する交流電力である。
【0081】
従って、直列共振型コンバータ430が直流電力をスイッチングして負荷の変動を検出する信号を発生しても、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2が共振しないので、電力消費が非常に低く、無線で電力が送信されない。
【0082】
この状態で、第1信号受信部480は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から前記負荷の変動を検出する信号を受信して電力送信制御部410に出力する。
【0083】
電力送信制御部410は、第1信号受信部480から入力される信号の周波数を利用して、負荷の変動が発生したか否かを判断する。
【0084】
すなわち、受電装置500が第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2の上部に載置されていない場合は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2に供給された負荷の変動を検出する信号の周波数は変動しない。
【0085】
それに対して、受電装置500が第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2の上部に載置された場合は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2と電力受信コイル520との間に相互インピーダンスなどが発生し、それにより負荷の変動を検出する信号の周波数が変動する。
【0086】
電力送信制御部410は、第1信号受信部480から入力される負荷の変動を検出する信号の周波数が変動したか否かを判断し、周波数が変動した場合に負荷の変動が発生したと判断する。
【0087】
負荷の変動が発生したと判断されると、電力送信制御部410は、第1信号送信部470を制御して、受電装置500のID、受電装置500が携帯端末機に取り付けられているか否かや、バッテリセルモジュール550の現在の電力充電状態などの情報を要求する情報要求信号を発生し、発生した情報要求信号は、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から受電装置500に送信される。
【0088】
前記送信された情報要求信号は、受電装置500の電力受信コイル520から第2信号受信部560に受信され、前記受信された情報要求信号は、電力充電制御部510に入力される。
【0089】
すると、電力充電制御部510は、前記情報要求信号により第2信号送信部570を制御して、ID信号、携帯端末機に取り付けられているか否かを示す信号、バッテリセルモジュール550の現在の電力充電状態を示す充電状態信号などを含む情報信号を発生し、発生した情報信号は、電力受信コイル520から無線電力送信装置400に送信される。
【0090】
無線電力送信装置400においては、受電装置500が送信する情報信号を第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から第1信号受信部480に受信して電力送信制御部410に入力する。
【0091】
電力送信制御部410は、第1信号受信部480から入力される情報信号により、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2の上部に受電装置500が載置されたことを判断する。
【0092】
ここで、電力送信制御部410は、前記情報信号が第1電力送信コイル440−1から受信されたか、第2電力送信コイル440−2から受信されたかに基づいて、受電装置500が第1電力送信コイル440−1の上部に載置されたか、第2電力送信コイル440−2の上部に載置されたか、又は第1電力送信コイル440−1と第2電力送信コイル440−2とが重なる重畳領域の上方に載置されたかを判断する。
【0093】
ここでは、受電装置500が第1電力送信コイル440−1の上部に載置されており、前記情報信号が第1電力送信コイル440−1から受信されたと仮定する。
【0094】
前記情報信号が第1電力送信コイル440−1から受信された場合、電力送信制御部410は、駆動ドライバ420を制御して電力を送信する駆動信号を発生し、直列共振型コンバータ430は、前記電力を送信する駆動信号に応じて直流電力をスイッチングし、スイッチングした電力は、スイッチ460−1を介して第1電力送信コイル440−1に印加されて共振を発生させる。
【0095】
例えば、第1電力送信コイル440−1は、100kHzで共振するように設計されたものであり、直列共振型コンバータ430は、前記電力を送信する駆動信号に応じて直流電力をスイッチングして100kHzの周波数を有する交流電力を発生し、100kHzの交流電力が第1電力送信コイル440−1に印加されて共振が発生する。
【0096】
第1電力送信コイル440−1に共振が発生すると、第1電力送信コイル440−1に多くの電流が流れることにより、無線で電力が送信される。
【0097】
受電装置500においては、第1電力送信コイル440−1が送信する電力を電力受信コイル520から受信し、受信した電力を整流部530が直流電力に変換し、変換した直流電力を電力充電制御部510の制御により充電部540がバッテリセルモジュール550に充電する。
【0098】
そして、電力充電制御部510は、バッテリセルモジュール550の電力充電状態を判断し、判断した電力充電状態に応じて第2信号送信部570を制御して充電状態信号を発生し、発生した充電状態信号は、電力受信コイル520から無線電力送信装置400に送信される。
【0099】
前記送信された充電状態信号は、無線電力送信装置400の第1電力送信コイル440−1から第1信号受信部480に受信されて電力送信制御部410に出力され、電力送信制御部410は、前記充電状態信号により受電装置500の電力充電量を判断する。
【0100】
このように第1電力送信コイル440−1から無線で電力を送信している状態で、電力送信制御部410は、駆動ドライバ420を制御して、第2電力送信コイル440−2に負荷の変動を検出する信号を供給し、負荷の変動が発生したか否かを判断する。
【0101】
第2電力送信コイル440−2に負荷の変動が発生したと判断されると、電力送信制御部410は、前述のように、第1信号送信部470を制御して、受電装置500のID、受電装置500が携帯端末機に取り付けられているか否かや、バッテリセルモジュール550の現在の電力充電状態などの情報を要求する情報要求信号を発生し、発生した情報要求信号は受電装置500に送信され、前記情報要求信号に対する応答として受電装置500から送信される情報信号は第2電力送信コイル440−2から受信される。
【0102】
この状態で、電力送信制御部410は、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の優先順位、及び第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500の優先順位を判断する。
【0103】
例えば、前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置500を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置500を第2順位とする。
【0104】
そして、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2の上部に載置された受電装置500の優先順位が同一の場合、すなわち、2つの受電装置500が両方とも携帯端末機に取り付けられているか、又は2つの受電装置500が両方とも携帯端末機に取り付けられていない場合、電力送信制御部410は、2つの受電装置500のそれぞれの電力充電状態に基づいて優先順位を判断する。
【0105】
例えば、前記電力充電状態による優先順位は、電力充電量の多い受電装置500を第1順位とし、電力充電量の少ない受電装置500を第2順位としてもよい。
【0106】
また、前記電力充電状態による優先順位は、電力充電量の少ない受電装置500を第1順位とし、電力充電量の多い受電装置500を第2順位としてもよい。
【0107】
ここで、前記電力充電状態による優先順位は、使用者が予め設定できるようにすることが好ましい。
【0108】
以下、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の優先順位を高く設定し、第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500の優先順位を低く設定した場合の動作を説明する。
【0109】
第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の優先順位が高い場合、電力送信制御部410は、第1電力送信コイル440−1から電力を送信して第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500に電力を充電させ、充電状態情報を受信して満充電されたか否かを判断する。
【0110】
そして、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500が満充電されると、電力送信制御部410は、第2電力送信コイル440−2から電力を送信して第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500に電力を充電させ、充電状態情報を受信して満充電されたか否かを判断し、第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500が満充電されると、電力を送信する動作を終了する。
【0111】
図3a及び図3bは本発明による無線電力送信装置の電力送信制御部の好ましい実施形態の動作を示す信号フロー図である。図3aを参照すると、電力送信制御部410は、スイッチング駆動部450を制御してスイッチ460−1、460−2を接続した状態で、駆動ドライバ420を制御して、第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2に負荷の変動を検出する信号を出力する(S600)。
【0112】
この状態で、電力送信制御部410は、第1信号受信部480の受信信号を入力し、負荷の変動が発生したか否かを判断する(S602)。
【0113】
負荷の変動が発生した場合、電力送信制御部410は、第1信号送信部470を制御して情報要求信号を発生し、発生した情報要求信号を第1及び第2電力送信コイル440−1、440−2から受電装置500に送信する(S604)。
【0114】
そして、電力送信制御部410は、受電装置500から前記情報要求信号に対する応答としての情報信号を受信する(S606)。
【0115】
ここでは、前記情報信号が第1電力送信コイル440−1から受信されたと仮定する。
【0116】
前記情報信号が第1電力送信コイル440−1から受信されると、電力送信制御部410は、受電装置500が第1電力送信コイル440−1の上部に載置されていると判断し、駆動ドライバ420を制御して、第1電力送信コイル440−1から電力を送信する(S608)。
【0117】
そして、電力送信制御部410は、受電装置500から充電状態信号を受信し(S610)、受信した充電状態信号により受電装置500の充電が完了したか否かを判断する(S612)。
【0118】
受電装置500の充電が完了した場合、電力送信制御部410は、電力を送信する動作を終了する。
【0119】
それに対して、受電装置500の充電が完了していない場合、電力送信制御部410は、駆動ドライバ420を制御して、第2電力送信コイル440−2に負荷の変動を検出する信号を出力し(S614)、負荷の変動が発生したか否かを判断する(S616)。
【0120】
ステップS616において負荷の変動が発生していない場合、電力送信制御部410は、ステップS608に戻って第1電力送信コイル440−1から電力を送信し、受電装置500から充電状態信号を受信して受電装置500の充電が完了したか否かを判断し、受電装置500の充電が完了していない場合、第2電力送信コイル440−2に負荷の変動を検出する信号を出力し、負荷の変動が発生したか否かを判断する動作を繰り返し行う。
【0121】
この状態で、第2電力送信コイル440−2の負荷の変動が検出されると、電力送信制御部410は、第1信号送信部470を制御して情報要求信号を送信し(S618)、受電装置500から送信される情報信号を受信する(S620)。
【0122】
そして、電力送信制御部410は、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の優先順位、及び第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500の優先順位を判断する(S622)。
【0123】
以下、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の優先順位が高いと仮定して動作を説明する。
【0124】
図3bに示すように、優先順位が判断されると、電力送信制御部410は、駆動ドライバ420を制御して、優先順位の高い受電装置500が載置された第1電力送信コイル440−1から電力を送信し(S624)、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500から充電状態信号を受信し(S626)、受信した充電状態信号により受電装置500の充電が完了したか否かを判断する(S628)。
【0125】
第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の充電が完了していない場合、電力送信制御部410は、ステップS624に戻って第1電力送信コイル440−1から電力を送信し続けながら、受電装置500の充電が完了したか否かを判断する動作を繰り返し行う。
【0126】
この状態で、第1電力送信コイル440−1の上部に載置された受電装置500の充電が完了すると、電力送信制御部410は、次の優先順位の受電装置500が載置された第2電力送信コイル440−2から電力を送信し(S630)、第2電力送信コイル440−2の上部に載置された受電装置500から充電状態信号を受信し(S632)、受信した充電状態信号により受電装置500の充電が完了したか否かを判断する(S634)。
【0127】
ステップS634において受電装置500の充電が完了していない場合、電力送信制御部410は、ステップS630に戻って第2電力送信コイル440−2から電力を送信し続けながら、受電装置500の充電が完了したか否かを判断する動作を繰り返し行う。
【0128】
それに対して、ステップS634において受電装置500の充電が完了した場合、電力送信制御部410は、電力を送信する動作を終了する。
【0129】
以上、代表的な実施形態により本発明を詳細に説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範疇から逸脱しない範囲内で前述した実施形態の様々な変形が可能であることを理解するであろう。
【0130】
よって、本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲とその均等物により定められるべきである。
【符号の説明】
【0131】
100 充電台
110−1 第1電力送信コイル
110−2 第2電力送信コイル
110−3 重畳領域
200−1、200−2 受電装置
210−1、210−2 電力受信コイル
300 交流/直流コンバータ
400 無線電力送信装置
410 電力送信制御部
420 駆動ドライバ
430 直列共振型コンバータ
440−1 第1電力送信コイル
440−2 第2電力送信コイル
450 スイッチング駆動部
460−1、460−2 スイッチ
470 第1信号送信部
480 第1信号受信部
500 受電装置
510 電力充電制御部
520 電力受信コイル
530 整流部
540 充電部
550 バッテリセルモジュール
560 第2信号受信部
570 第2信号送信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力送信コイルから無線で電力を送信する電力送信部と、
前記電力送信部が送信する電力を充電する受電装置が複数の場合、前記複数の受電装置の優先順位を判断し、判断した優先順位に従って前記複数の受電装置を1つずつ選択して順次電力を送信するように制御する電力送信制御部と
を含む、無線電力送信装置。
【請求項2】
前記電力送信部は、
前記電力送信制御部の制御により、前記複数の受電装置のID、携帯端末機に取り付けられているか否か、及び電力充電状態の情報を要求する情報要求信号を発生して前記複数の受電装置に送信する信号送信部と、
前記情報要求信号に対する応答として前記受電装置が送信する情報信号を受信して前記電力送信制御部に提供する信号受信部と
を含む、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項3】
前記情報要求信号の送信及び前記情報信号の受信は、前記複数の電力送信コイルにより行われる、請求項2に記載の無線電力送信装置。
【請求項4】
前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置を第2順位とする、請求項2に記載の無線電力送信装置。
【請求項5】
前記携帯端末機に取り付けられているか否かによる優先順位が同一の場合、前記受電装置の電力充電状態に応じて優先順位を決定する、請求項4に記載の無線電力送信装置。
【請求項6】
前記電力送信部は、
前記電力送信制御部の制御により、負荷の変動を検出する駆動信号及び電力を送信する駆動信号を発生する駆動ドライバと、
前記駆動信号に応じて直流電力をスイッチングして前記複数の電力送信コイルに出力する直列共振型コンバータと
を含む、請求項1に記載の無線電力送信装置。
【請求項7】
前記電力送信部は、
前記電力送信制御部の制御によりスイッチング駆動信号を発生するスイッチング駆動部と、
前記直列共振型コンバータと前記複数の電力送信コイルとの間にそれぞれ備えられ、前記スイッチング駆動信号に応じてスイッチングされる複数のスイッチと
を含む、請求項6に記載の無線電力送信装置。
【請求項8】
複数の電力送信コイルの負荷が変動した場合、電力送信制御部の制御により、信号送信部が受電装置のID、携帯端末機に取り付けられているか否か、及び電力充電状態の情報を要求する情報要求信号を発生して前記受電装置に送信し、前記受電装置から前記情報要求信号に対する応答として情報信号を受信する段階と、
前記受電装置が複数の場合、前記電力送信制御部が前記情報信号に基づいて優先順位を判断する段階と、
前記電力送信制御部が前記優先順位に従って前記複数の受電装置を1つずつ選択して順次電力を送信する段階と
を含む、無線電力送信方法。
【請求項9】
前記優先順位は、携帯端末機に取り付けられた受電装置を第1順位とし、携帯端末機に取り付けられていない受電装置を第2順位とする、請求項8に記載の無線電力送信方法。
【請求項10】
前記携帯端末機に取り付けられているか否かによる優先順位が同一の場合、前記受電装置の電力充電状態に応じて優先順位を決定する、請求項9に記載の無線電力送信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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