説明

無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置

【課題】無線電力送信装置から電力を受信するための無線電力受信装置が載置されるべき定位置の自由度を高めると共に、その自由度を高めるための構成を備えることによる電力送信効率の低下を最小限に抑えることのできる、無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による無線電力送信装置用コアアセンブリは、第1レベルに位置するように配置されるメインコイル111と、前記第1レベルより低い第2レベルに位置するようにメインコイル111の下側に配置され、それぞれの一部分がメインコイル111と重なり、それぞれのサイズがメインコイル111のサイズより小さい第1サブコイル112及び第2サブコイル113を備える補助コイルと、メインコイル111及び前記補助コイルを収容するように形成される磁性体のコアとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力送信装置に用いられるコアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動通信端末機、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯用電子機器には、再充電可能な二次電池がバッテリとして装着される。バッテリを充電するためには、家庭用商用電源を用いて携帯用電子機器のバッテリに電気エネルギーを供給する充電装置が必要である。
【0003】
従来の接触式充電装置に加えて、その代案として、充電装置の端子とバッテリの端子とが接触しない非接触方式でバッテリが充電されるように電力伝達が無線で行われる無線電力通信システムが提案されている。
【0004】
このような無線電力通信システムにおいては、端子間の結合がないので、充電効率を向上させるためには、無線電力送信装置に載置される無線電力受信装置を定位置に載置することが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用者の行動や充電中の無線電力受信装置の振動などにより、上記要求が満たされないことがある。
【0006】
そこで、本発明は、無線電力送信装置から電力を受信するための無線電力受信装置が載置されるべき定位置の自由度を高めると共に、その自由度を高めるための構成を備えることによる電力送信効率の低下を最小限に抑えることのできる、無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態による無線電力送信装置用コアアセンブリは、第1レベルに位置するように配置されるメインコイルと、前記第1レベルより低い第2レベルに位置するように前記メインコイルの下側に配置され、それぞれの一部分が前記メインコイルと重なり、それぞれのサイズが前記メインコイルのサイズより小さい第1サブコイル及び第2サブコイルを備える補助コイルと、前記メインコイル及び前記補助コイルを収容するように形成される磁性体のコアとを含んでもよい。
【0008】
前記第1サブコイル及び前記第2サブコイルは、前記メインコイルの底面に接触するように配置されてもよい。
【0009】
前記メインコイルの第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅及び前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅のそれぞれより大きくしてもよい。
【0010】
前記メインコイルは、前記第1サブコイルの上面及び前記第2サブコイルの上面のそれぞれの一部分を覆ってそれぞれの残りの部分を露出させるように配置されてもよい。
【0011】
前記メインコイルの前記第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅との和より小さくしてもよい。
【0012】
前記メインコイルの前記第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅との和の60〜80%であってもよい。
【0013】
前記メインコイルの第2方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第2方向に沿った幅及び前記第2サブコイルの前記第2方向に沿った幅のそれぞれと同一であってもよい。
【0014】
前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅とが同一であってもよい。
【0015】
前記第1サブコイルと前記第2サブコイルとの対向する側面同士が合わされることによって構成される線は、前記メインコイルの中心を通る線と一致するようにしてもよい。
【0016】
前記第2方向は前記第1方向に対して垂直でもよい。
【0017】
前記補助コイルは、前記メインコイルの下側に配置される絶縁体のベースと、前記ベースにおける前記メインコイルに対向する面に形成され、前記第1サブコイルを形成する第1導電パターン、及び前記第2サブコイルを形成する第2導電パターンを備える導電パターンとを含んでもよい。
【0018】
前記コアの一面には、前記メインコイル及び前記補助コイルを収容する凹部と、前記凹部を区画する側壁とが形成されてもよい。
【0019】
前記側壁には、前記メインコイル及び前記補助コイルの端部が前記凹部の外部に延びる通路を形成する複数の延長溝が形成されてもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態による無線電力送信装置は、前述したコアアセンブリと、前記メインコイル及び前記補助コイルからの無線電力信号の送信を制御する送信制御部とを含んでもよい。
【0021】
前記送信制御部は、前記メインコイルと、前記第1サブコイル及び前記第2サブコイルのいずれか一方とに同時に電源が供給されるように制御することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置においては、メインコイルと、メインコイルとは異なるレベルに位置する2つのサブコイルとを備えて充電可能領域を広げることにより、無線電力送信装置から電力を受信するための無線電力受信装置が載置されるべき定位置の自由度を高めることができる。
【0023】
また、2つのサブコイルが同一レベルに位置することにより、2つのサブコイルと無線電力受信装置との距離を最小限に抑え、メインコイルに比べて無線電力受信装置との距離が遠いサブコイルの電力送信効率の低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による無線電力通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の無線電力送信装置の主な構成を示す組立斜視図である。
【図3】図2の無線電力送信装置の分解斜視図である。
【図4】図2の一次側コイルを概念的に示す平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図3の無線電力送信装置の一変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態による無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置について添付図面を参照して詳細に説明する。本明細書においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は最初の説明を援用する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による無線電力通信システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、本発明の一実施形態による無線電力通信システムは、無線電力送信装置100と無線電力受信装置200とを含む。電磁誘導方式により、無線電力送信装置100が無線電力受信装置200に無線電力信号を送信すると、前記無線電力信号を受信した無線電力受信装置200は、前記無線電力信号の電力でバッテリを充電したり、無線電力受信装置200に接続された電子機器に電源を供給する。
【0027】
以下、無線電力送信装置100及び無線電力受信装置200の構成をそれぞれ説明する。
【0028】
まず、本発明の一実施形態による無線電力送信装置100は、図1に示すように、一次側コイル110と、送信制御部120と、AC/DCコンバータ130とを含む。無線電力送信装置100の一次側コイル110は、電磁誘導方式で電力信号を無線電力受信装置200の二次側コイル210に送信するためのものであって、本実施形態においては、3つのコイル(すなわち、メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)が適用される。3つのコイルは送信制御部120により制御されて選択的に作動する。
【0029】
一次側コイル110を制御する送信制御部120は、オブジェクト感知部121、中央制御部122、スイッチング制御部123、駆動ドライバ124及び直列共振形コンバータ125を含んでもよい。
【0030】
オブジェクト感知部121は、一次側コイル110の負荷の変化を感知し、その負荷の変化が無線電力受信装置200による変化であるか否かを判断する(すなわち、ID確認部としての機能を有する)だけでなく、無線電力受信装置200から受信した充電状態信号をフィルタリングして処理する機能を果たす。例えば、オブジェクト感知部121は、一次側コイル110から送信されたID呼出信号の応答信号であるID信号が受信されるとそれをフィルタリングして処理し、充電中にバッテリセルや充電電圧に関する情報を含む充電状態信号が受信されるとそれをフィルタリングして処理する機能を果たす。
【0031】
中央制御部122は、オブジェクト感知部121の判断結果を受けて確認し、一次側コイル110で受信されたID信号を分析し、一次側コイル110から無線電力信号を送出するための電力信号を駆動ドライバ124に送る役割を果たす。また、中央制御部122は、一次側コイル110から充電状態信号が受信されると、それに基づいて駆動ドライバ124を制御して無線電力信号を変更する機能を果たす。
【0032】
スイッチング制御部123は、直列共振形コンバータ125とコイル(メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)との間に位置するスイッチのスイッチング動作を制御する。
【0033】
駆動ドライバ124は、中央制御部122の制御により、直列共振形コンバータ125の動作を制御する。
【0034】
直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、送出しようとする電力信号を発生するための送出電源を生成し、一次側コイル110に供給する。つまり、中央制御部122が要求される電力値を有する電力信号の送出のための電力制御信号を駆動ドライバ124に送ると、駆動ドライバ124は、その送られた電力制御信号に基づいて直列共振形コンバータ125の動作を制御し、直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、要求される電力値に対応する送出電源を一次側コイル110に印加して、要求される強度の無線電力信号が送出されるようにする。
【0035】
また、直列共振形コンバータ125は、駆動ドライバ124の制御により、メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113からそれぞれ第1〜第3オブジェクト感知信号を発生するための電源を供給する役割を果たす。
【0036】
AC/DCコンバータ130は、110V又は220Vの交流電源を所定電圧の直流電源に変換する装置であり、前述したように、中央制御部122の制御により出力電圧値が変更される。
【0037】
一方、電力信号を受信して電力の供給を受ける無線電力受信装置200は、受信した電力信号により誘導電力を生成する二次側コイル210と、生成された誘導電力を整流する整流部220と、整流された電力で充電されるバッテリセルモジュール230と、二次側コイル210、整流部220及びバッテリセルモジュール230を制御する受信制御部240とを含む。
【0038】
無線電力受信装置200の二次側コイル210は、無線電力送信装置100の一次側コイル110から送信される無線電力信号を受信するための構成要素である。
【0039】
整流部220は、二次側コイル210から受信される無線電力を直流電圧に整流し、充電開始前までは充電電圧で充電状態を維持する。
【0040】
バッテリセルモジュール230は、受信制御部240の制御により整流部220からの直流電源で充電される充電対象である。充電対象は、バッテリセルモジュール230に限定されるものではなく、PMP、MP3、携帯電話などの電子機器であってもよい。バッテリセルモジュール230には、過電圧及び過電流防止回路や温度感知回路などの保護回路が含まれ、さらに、バッテリセルの充電状態などの情報を収集及び処理する充電管理モジュールが含まれる。
【0041】
受信制御部240は、整流部220で充電された電源の電流を制御してバッテリセルモジュール230に適切な電流が流れるようにする構成要素である。
【0042】
以下、無線電力送信装置100及びその一部を構成するコアアセンブリについて、図2〜図6を参照してより具体的に説明する。
【0043】
まず、図2は図1の無線電力送信装置100の主な構成を示す組立斜視図であり、図3は図2の無線電力送信装置100の分解斜視図である。
【0044】
同図に示すように、無線電力送信装置100は、一次側コイル110と、コア150と、回路基板170とを含んでもよい。一次側コイル110及びコア150はコアアセンブリを構成する。
【0045】
一次側コイル110は、前述したように3つのコイルからなり、メインコイル111と、補助コイル(第1サブコイル112及び第2サブコイル113)とを含んでもよい。各コイル(メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)は、一方向に巻回されてなり、全体として楕円形、四角形、トラック型などの形状を有する。例えば、第1サブコイル112及び第2サブコイル113を四角形にし、メインコイル111をトラック型にしてもよい。この場合、トラック型のメインコイル111は無線電力受信装置200の位置自由度を高める。各コイル(メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)は、複数本の電線を撚り合わせて形成されるリッツ(Litz)タイプのものであってもよい。各コイル(メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)は2つの端部を有する。
【0046】
メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の位置関係を説明すると次の通りである。補助コイルである第1サブコイル112及び第2サブコイル113が下側に配置され、メインコイル111が第1サブコイル112及び第2サブコイル113の上側に配置される。それにより、メインコイル111は第1レベルに位置し、第1サブコイル112及び第2サブコイル113は第1レベルとは異なる、具体的には第1レベルより低い第2レベルに位置する。つまり、メインコイル111は、前記補助コイルよりも、充電面(無線電力送信装置100の外面のうち無線電力受信装置200が載置される面)に近い位置にある。このような配置において、前記補助コイル(第1サブコイル112及び第2サブコイル113)は、それぞれの一部分がメインコイル111と重なって外部に露出しない。また、前記補助コイル(第1サブコイル112及び第2サブコイル113)は、メインコイル111の下面に接触して配置されるので、前記補助コイル(第1サブコイル112及び第2サブコイル113)と無線電力受信装置200との間隔を最小限に抑えることができる。
【0047】
コア150は、磁性体からなるものであり、一次側コイル110を収容する。コア150は板状に形成されてもよい。本実施形態においては、略直方体状のコア150を例示する。具体的には、コア150は、直方体の4つの角部がラウンド処理された形状を有する。
【0048】
回路基板170は、コア150の下面に対向するように、コア150の下方に位置する。回路基板170はコア150の面積より大きい面積を有する。回路基板170の一部分171はコア150を下方から支持し、回路基板170の他の部分173には一次側コイル110への電源供給を制御する制御回路が内蔵される。前記制御回路は、図1を参照して説明した送信制御部120及びAC/DCコンバータ130を含んでもよい。さらに、回路基板170とコア150との間には、1つ以上の遮蔽層及び絶縁層が備えられてもよい。前記遮蔽層及び絶縁層は、一次側コイル110から発生した磁場により回路基板170が影響を受ける可能性を低減する。
【0049】
以下、一次側コイル110及びコア150の具体的な構成について図3を参照して説明する。
【0050】
一次側コイル110は、前述したように、メインコイル111と、メインコイル111とは異なるサイズ(面積)を有する第1サブコイル112及び第2サブコイル113を備える補助コイルとを含む。本実施形態において、メインコイル111は、第1サブコイル112及び第2サブコイル113のそれぞれより大きいサイズを有し、第1サブコイル112及び第2サブコイル113より上方に位置する。
【0051】
メインコイル111は2つの端部111a、111bを有し、第1サブコイル112は2つの端部112a、112bを有し、第2サブコイル113は2つの端部113a、113bを有する。
【0052】
コア150の主面には、一次側コイル110を収容するための凹部151が形成される。凹部151は、当該凹部151を囲むように突設される側壁153により区画される。側壁153には、凹部151と外部とを連通させる複数の延長溝156a、156b、157a、157b、158a、158bが形成される。つまり、メインコイル111の両端部111a、111bは、延長溝156a、156bを通って凹部151の外部に延びて回路基板170に接続され、第1サブコイル112の両端部112a、112bは、延長溝157a、157bを通って凹部151の外部に延びて回路基板170に接続され、第2サブコイル113の両端部113a、113bは、延長溝158a、158bを通って凹部151の外部に延びて回路基板170に接続される。コア150は、磁性体で形成され、凹部151に収容された一次側コイル110に流れる電流による磁界のうち、無線電力受信装置(図1の符号200)に向かう方向から外れた磁界を遮蔽する。
【0053】
凹部151は、閉曲線状、具体的には長方形又は楕円形の輪郭線を有するようにリセスされて形成される。凹部151のサイズは、並んで配置された第1サブコイル112及び第2サブコイル113(並びにメインコイル111)が共に形成する外周がややきつく(tightly)収容される程度にしてもよい。このようにすることにより、第1サブコイル112及び第2サブコイル113は、凹部151に収容されるだけでコア150内の設定された位置に保持される。
【0054】
側壁153は、凹部151がリセスされた深さに対応する高さを有する。側壁153は、一次側コイル110の厚さに対応するサイズを有し、一次側コイル110から発生した磁界が側壁153に向かう方向に漏れることを遮断又は緩和するように形成されてもよい。前述したように、側壁153の内面は、きつく収容される一次側コイル110の外周に接触し、一次側コイル110が所定の位置に装着されるようにする。
【0055】
凹部151の底面には、サポート154、155が突設されてもよい。サポート154は、第1サブコイル112の中空部に対応する位置に形成されて第1サブコイル112の中空部に挿入され、サポート155は、第2サブコイル113の中空部に対応する位置に形成されて第2サブコイル113の中空部に挿入される。つまり、サポート154、155は、第1サブコイル112及び第2サブコイル113が設定された位置から離脱しないようにして、それらの配置関係が設定通りに維持されるようにする。サポート154、155の形状は、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の中空部の内周面の形状に対応するように形成されてもよい。本実施形態において、サポート154、155の外周は、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の曲線状の中空部の内周面に対応して、曲線区間を有する。第1サブコイル112及び第2サブコイル113とは異なり、メインコイル111の位置は、両面テープにより第1サブコイル112及び第2サブコイル113に取り付けられる方式で決定されるようにしてもよい。
【0056】
また、側壁153には、凹部151と外部とを連通させる複数の延長溝156a、156b、157a、157b、158a、158bが形成される。一対の延長溝156a、156bは、メインコイル111の両端部111a、111bに対応する位置に形成され、他の一対の延長溝157a、157bは、第1サブコイル112の両端部112a、112bに対応する位置に形成され、さらに他の一対の延長溝158a、158bは、第2サブコイル113の両端部113a、113bに対応する位置に形成される。
【0057】
回路基板170の上面171はコア150の下面に対向して配置される。回路基板170には、回路基板170の長辺に沿って延長溝156a、156b、157a、157b、158a、158bに対応する6つの貫通孔175が形成される。貫通孔175を貫通した一次側コイル110の端部は、回路基板170の底面で回路基板170の回路パターンに接続される。
【0058】
以下、メインコイル111と第1サブコイル112及び第2サブコイル113の関係について図4及び図5を参照して説明する。図4は図2の一次側コイル110を概念的に示す平面図であり、図5は図4のV−V線断面図である。
【0059】
同図に示すように、メインコイル111は、第1方向Wに沿った幅が、第1サブコイル112の幅及び第2サブコイル113の幅のそれぞれよりは大きく、第1サブコイル112の幅と第2サブコイル113の幅との和よりは小さい。従って、第1サブコイル112及び第2サブコイル113は、それぞれのメインコイル111から外れた部分が外部に露出する。ここで、メインコイル111の第1方向Wに沿った幅は、第1サブコイル112の幅と第2サブコイル113の幅との和の60〜80%にしてもよい。メインコイル111の第1方向Wに沿った幅が第1サブコイル112の幅と第2サブコイル113の幅との和の50%未満であれば、メインコイル111の第1方向Wに沿った幅が第1サブコイル112と第2サブコイル113のいずれか一方より小さい。また、メインコイル111の第1方向Wに沿った幅が第1サブコイル112の幅と第2サブコイル113の幅との和の100%であれば、少なくとも第1方向Wに沿っては第1サブコイル112と第2サブコイル113のいずれの一部分も外部に露出しない。本発明者は、メインコイル111が無線電力受信装置200への電力信号送信を主に担当し、第1サブコイル112及び第2サブコイル113がメインコイル111を補助するようにするためには、上記2つの極端な場合の間の範囲で、前記比率が好ましいことを認識した。
【0060】
例えば、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の第1方向Wに沿った幅を50mmにし、メインコイル111の第1方向Wに沿った幅を70mmにしてもよい。この場合、第1サブコイル112及び第2サブコイル113は、それぞれ第1方向Wに沿って、35mmに該当する領域がメインコイル111により遮蔽され、残りの15mmに該当する領域が外部に露出する。それに対して、第2方向Wに沿った幅は、全てのコイル(メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113)を60mmと同一にしてもよい。
【0061】
つまり、メインコイル111の幅は、第1方向Wに沿っては、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の幅のそれぞれより大きくし、第2方向Wに沿っては、第1サブコイル112及び第2サブコイル113の幅のそれぞれと同一にしてもよい。また、第1サブコイル112と第2サブコイル113とは同一のサイズを有するようにしてもよい。ここで、第1方向Wは第2方向Wに対してほぼ垂直であり、メインコイル111、第1サブコイル112及び第2サブコイル113はそれぞれ略四角形状を有するようにしてもよい。
【0062】
さらに、第1サブコイル112と第2サブコイル113との対向する側面同士がメインコイル111の中心Cを通る線Rで合わされるようにしてもよい。
【0063】
このような構成によれば、メインコイル111は、一次側コイル110において中央に位置すると共に最も大きいサイズを有するので、無線電力信号の送信のための基本コイルに設定することができる。よって、使用者が無線電力受信装置200を無線電力送信装置100の充電面の略中央に載置すると、メインコイル111による充電が行われる。無線電力受信装置200が無線電力送信装置100の充電面の中央から外れると、補助的に第1サブコイル112又は第2サブコイル113が作動する。
【0064】
ここで、第1サブコイル112及び第2サブコイル113がメインコイル111の直下のレベルに共に位置するため、第1サブコイル112と第2サブコイル113のどちらも無線電力受信装置200から大きく離れることはない。これは、過度に離隔したコイルにより無線電力受信装置200への電力信号の送信効率が低下することを最小限に抑える。
【0065】
そして、図5を参照すると、送信制御部(図1の符号120)の制御により、メインコイル111の作動時に第1サブコイル112と第2サブコイル113の少なくとも一方を共に作動することができる。それにより、共に作動するコイルから発生した磁界が互いに補強し合い、無線電力受信装置(図1の符号200)は均一な磁束による無線電力信号を受信することができる。
【0066】
同図にはメインコイル111の作動時に第2サブコイル113が共に作動する場合を示す。メインコイル111による磁界密度Mはメインコイル111の中心Cから縁部に行くほど減少し、同様に、第2サブコイル113による磁界密度Mも第2サブコイル113の中心から縁部に行くほど減少する。ところが、メインコイル111による磁界と第2サブコイル113による磁界が互いに補強し合うことにより、メインコイル111のうち、第2サブコイル113と重なる部分では、より高いレベルの磁界密度Mを有する。
【0067】
この場合、無線電力送信装置100においては、メインコイル111と第2サブコイル113に電流を半分に分けて供給することができ、メインコイル111及び第2サブコイル113の熱的ストレスが低くなり、電力損失も減少する。
【0068】
次に、無線電力送信装置100の変形例について図6を参照して説明する。図6は図3の無線電力送信装置100の一変形例である無線電力送信装置100’を示す分解斜視図である。
【0069】
同図に示すように、本変形例による無線電力送信装置100’は、上記実施形態の無線電力送信装置100と概ね類似し、上記実施形態の第1サブコイル112及び第2サブコイル113が他の形態に変更された点が異なる。
【0070】
具体的には、本変形例においては、メインコイル111の下側に絶縁体のベース115がさらに備えられ、上記実施形態の第1サブコイル112及び第2サブコイル113がそれぞれベース115に形成される第1導電パターン112’及び第2導電パターン113’に置換される。第1導電パターン112’及び第2導電パターン113’は、それぞれ金属帯が螺旋状に延びる形状を有し、平面的に形成される。
【0071】
第1導電パターン112’及び第2導電パターン113’は、ベース115に金属板、とりわけ銅板を取り付けてエッチング工程を行うことにより一度に形成することができる。第1導電パターン112’及び第2導電パターン113’がベース115を媒介として1つの部材からなる補助コイルを形成することにより、一次側コイル110の組立工程が簡単になる。また、コア150にサポート(図3の符号154、155)を形成する必要がなくなる。
【0072】
さらに、第1導電パターン112’及び第2導電パターン113’は、上記実施形態の第1サブコイル112及び第2サブコイル113より薄く形成することができるので、それらの厚さ方向の中心から無線電力受信装置200までの距離は、上記実施形態の第1サブコイル112及び第2サブコイル113よりも近くなる。これは、無線電力受信装置200への無線電力信号の送信効率をさらに向上させるという利点がある。
【0073】
本発明による無線電力送信装置用コアアセンブリ及びそれを備える無線電力送信装置は、上記実施形態の構成と作動方式に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することで様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0074】
100、100’ 無線電力送信装置
110 一次側コイル
111 メインコイル
112 第1サブコイル
113 第2サブコイル
112’ 第1導電パターン
113’ 第2導電パターン
115 ベース
120 送信制御部
130 AC/DCコンバータ
150 コア
151 凹部
170 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レベルに位置するように配置されるメインコイルと、
前記第1レベルより低い第2レベルに位置するように前記メインコイルの下側に配置され、それぞれの一部分が前記メインコイルと重なり、それぞれのサイズが前記メインコイルのサイズより小さい第1サブコイル及び第2サブコイルを備える補助コイルと、
前記メインコイル及び前記補助コイルを収容するように形成される磁性体のコアと
を含む、無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項2】
前記第1サブコイル及び前記第2サブコイルは、前記メインコイルの底面に接触するように配置される、請求項1に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項3】
前記メインコイルの第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅及び前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅のそれぞれより大きい、請求項2に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項4】
前記メインコイルは、前記第1サブコイルの上面及び前記第2サブコイルの上面のそれぞれの一部分を覆ってそれぞれの残りの部分を露出させるように配置される、請求項3に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項5】
前記メインコイルの前記第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅との和より小さい、請求項3に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項6】
前記メインコイルの前記第1方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅との和の60〜80%である、請求項5に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項7】
前記メインコイルの第2方向に沿った幅は、前記第1サブコイルの前記第2方向に沿った幅及び前記第2サブコイルの前記第2方向に沿った幅のそれぞれと同一である、請求項3に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項8】
前記第1サブコイルの前記第1方向に沿った幅と前記第2サブコイルの前記第1方向に沿った幅とが同一である、請求項7に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項9】
前記第1サブコイルと前記第2サブコイルとの対向する側面同士が合わされることによって構成される線は、前記メインコイルの中心を通る線と一致する、請求項8に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項10】
前記第2方向は前記第1方向に対して垂直である、請求項7に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項11】
前記補助コイルは、
前記メインコイルの下側に配置される絶縁体のベースと、
前記ベースにおける前記メインコイルに対向する面に形成され、前記第1サブコイルを形成する第1導電パターン、及び前記第2サブコイルを形成する第2導電パターンを備える導電パターンと
を含む、請求項1に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項12】
前記コアの一面には、前記メインコイル及び前記補助コイルを収容する凹部と、前記凹部を区画する側壁とが形成される、請求項1に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項13】
前記側壁には、前記メインコイル及び前記補助コイルの端部が前記凹部の外部に延びる通路を形成する複数の延長溝が形成される、請求項12に記載の無線電力送信装置用コアアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載のコアアセンブリと、
前記メインコイル及び前記補助コイルからの無線電力信号の送信を制御する送信制御部と
を含む、無線電力送信装置。
【請求項15】
前記送信制御部は、前記メインコイルと、前記第1サブコイル及び前記第2サブコイルのいずれか一方とに同時に電源が供給されるように制御する、請求項14に記載の無線電力送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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