説明

無線ICタグが貼付された印刷物を出力するロール紙プリンタ

【課題】ロール紙から切り離された印刷物の長さに関わらず、1枚の印刷物に必ず所定数(例えば1つ)の無線ICタグを付けて出力する。
【解決手段】ロール紙の印刷された部分(印刷シート)10をカッタ14で切り離すとき、これに同期して、タグ貼付器1が印刷シート10をクランプして1つの無線ICタグ4aを押付け貼付ける。その後、印刷シート10に貼付された無線ICタグ4aに、リーダライタ16により印刷情報またはその関連情報が書き込まれる。さらに、圧着ローラ18が、無線ICタグ4aを印刷シート10へ再度押し付けて、その固着をより強固にし、その後、印刷シート10は排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグが貼付された印刷物を出力するロール紙プリンタに関し、特に、例えばロール紙に領収書を印刷する用途に好適なロール紙プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)タグなどと呼ばれ、微小なICチップと無線通信アンテナを有し、それをリーダライタにかざせば、無線通信と無線給電により非接触でICチップに記録された情報を読み書きすることができる小形のデバイスが知られており、この明細書ではこれを「無線ICタグ」と呼ぶ。このような無線ICタグを印刷に利用した発明として、印刷シートに無線ICタグを貼付しておき、その印刷シートに印刷された情報やその関連情報などを無線ICタグに記憶させて、そこから読み取ることができるようにするというものがある。領収書を印刷するためのレジスターへの応用例として、予め領収書印刷用のロール紙の長さ方向に等間隔で無線ICタグを貼付しておき、そのロール紙に印刷された商品情報などを無線ICタグに記録したり読み取ったりすることができるレジスターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−281630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1の発明によると、ロール紙の長手方向に無線ICタグが等間隔で予め貼付されているので、商品情報が多くて長さの長い領収書を印刷する場合には、その領収書上に複数個の無線ICタグが存在することになる。そのため、無駄に多くの無線ICタグが消費されて不経済である。また、逆に無線ICタグの配置間隔を長く取りすぎると、短い領収書上に無線ICタグが載っていないという不具合が発生し得る。さらに、印刷後にロール紙を切断するとき、切断位置が無線ICタグの位置にちょうど一致してしまうと、切断がうまくできなかったり、無線ICタグが壊れたり、カッタの刃を傷めたりする。さらに、電子写真印刷のように印刷過程で高温の熱や強い圧力を印刷シートに加える方法で印刷する場合には、その高温の熱や強い圧力によって無線ICタグが壊れるおそれもある。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ロール紙から切り離された1枚の印刷物の長さにかかわらず、その印刷物に必要数(典型的には1つの)の無線ICタグだけが存在するようにし、かつ、無線ICタグと用紙の切断位置とが一致したり、無線ICタグが印刷過程で壊れたりするなどの問題が生じないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面に従うロール紙プリンタは、印刷されたロール紙を断裁して1枚の印刷シートをロール紙から切り離すカッタと、複数の無線ICタグを予め収容し、収容された無線ICタグの中から所定数の無線ICタグを排出して上記1枚の印刷シートに貼付するタグ貼付器と、その印刷シートに貼付された無線ICタグに、所定の情報を記録するライタと、上記断裁と無線ICタグの貼付と所定情報の記録とが行なわれた後に、その印刷シートを排出する排紙機構とを備える。
【0007】
本発明のロール紙プリンタは、複数の無線ICタグを予め収容しており、印刷されたロール紙を断裁して一枚の印刷シートを切り出すとともに、収容された無線ICタグの中から所定数(例えば1個)の無線ICタグを取り出して、その取り出された無線ICタグを、その一枚の印刷シートの前記カッタにより裁断される位置とは別の位置に貼付し、そして、貼付された無線ICタグに対して所望の情報(例えば、その領収書に記録された印刷情報および/または関連情報など)を記録し、その後に、その無線ICタグが貼付された印刷シートを排出する。印刷シートの長さにかかわらず、1枚の印刷シートには所定数(例えば1個)の無線ICタグが取り付けられるので、印刷シートの長さが長くても、無駄に多すぎる無線ICタグが貼付されることはなく、印刷シートの長さが短くても、無線ICタグが貼付されなかったり、貼付される無線ICタグが少なすぎたりはしない。
【0008】
好適な実施形態では、タグ貼付器はカッタと連動して、カッタによるロール紙の断裁と同期的に、タグ貼付器による無線ICタグの貼付が実行される。そして、タグ貼付器は印刷シートを動かないようにクランプしつつ無線ICタグを前記印刷シートに貼付し、そして、印刷シートがクランプされている間に、カッタがロール紙を断裁して印刷シートを切り離す。断裁のとき、印刷シートが動かないので、きれいに断裁が行なえる。また、断裁のときに印刷シートを動かないよう押さえておく機構を別途に設けなくてよい。
【0009】
好適な実施形態では、タグ貼付器は、交換可能なタグカートリッジを有していて、そこに複数の無線ICタグを一列に配列した状態で収容している。タグカートリッジ内で一列に配列されている無線ICタグの各々には、その配列順序に応じた通し番号が予め記録されている。そして、印刷シートに無線ICタグが貼付された後、リーダによって、その無線ICタグからの通し番号が読み出される。リーダにより読み出された通し番号は、このプリンタのコントローラへ送られ、そこで、タグカートリッジ内に残存する無線ICタグの個数または有無を判断することなどに利用される。これにより、タグカートリッジの交換指示等をユーザに知らせることができるようになる。
【0010】
好適な実施形態は、また、タグ貼付器により無線ICタグが印刷シートに貼付された後、貼付された無線ICタグを強固に印刷シートにより固着させるための工程が行なわれるようになっている。これにより、無線ICタグの印刷シートへの固着がより確実となり、信頼性のより高い印刷物を作成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロール紙プリンタによれば、ロール紙から切り離された1枚の印刷物の長さにかかわらず、その印刷物に所定数の無線ICタグだけが存在するようになり、かつ、無線ICタグと用紙の切断位置とが一致したり、無線ICタグが印刷過程で壊れたりする問題が解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に従うロール紙プリンタの好適な一つの実施形態について詳細に説明する。
【0013】
この実施形態にかかるロール紙プリンタは、ロ−ル紙を印刷し断裁して印刷物を1枚ずつ順次に作成する過程で、1枚の印刷物に1個の無線ICタグを貼付するとともに、所望の情報(例えば、その印刷物に印刷された印刷情報および/またはその関連情報など)を、貼付された無線ICタグに電子データとして記録する。ロール紙より切り離される1枚の印刷物の長さ(つまり、1枚の印刷物に印刷される印刷情報の多少)に関わりなく、その1枚の印刷物には必ず1個の無線ICタグが貼付される。この実施形態にかかるロール紙プリンタは、例えば領収書のように、各枚毎に長さが異なってくる種類の印刷物の印刷に好適であるが、勿論、各枚毎の長さが同じまたは余り違わないような印刷物の印刷にも適用可能である。
【0014】
この実施形態にかかるロール紙プリンタにより行われる基本的な工程は、次のとおりである。すなわち、ロール紙を断裁するカッタと同期して、カッタによるロール紙の断裁より若干早いタイミングで、無線ICタグが、ロ−ル紙から断裁により分離される部分(1枚の印刷物に対応する部分)に貼り付けられ。その後、貼り付けられた無線ICタグに対して、所望の情報、例えばその印刷物に印刷されている印刷情報および/またはその関連情報が、リーダライタによって書き込まれる。その後、圧着ローラによって、無線ICタグがその印刷物に押し付けられて、その固着がより確実にされ、その後に、その印刷物がトレイに排紙される。
【0015】
この実施形態にかかるロール紙プリンタには、初期的に一定の複数の無線ICタグを一列に配列して収容したタグカートリッジが搭載され、ロ−ル紙から1枚の印刷物が切り出される都度に、そのタグカートリッジから無線ICタグが1個ずつ排出されて、その印刷物に貼付される。タグカートリッジに収容された複数の無線ICタグには、その配列順序に沿った通し番号が予め記録されており、各無線ICタグが印刷物に貼付されたときに、リーダライタによって無線ICタグ内の通し番号が読み出される。読み出された通し番号はロール紙プリンタおよび/またはそのロール紙プリンタと通信可能な外部装置が利用することにより、例えば、タグカートリッジ内の無線ICタグの残数を検出したり、或いは、出力された印刷物と通し番号との対応関係を把握して印刷物の管理に活用したりすることができるようになる。
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に従うロール紙プリンタの実施形態について、より具体的に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかるロール紙プリンタに設けられた、印刷後のロール紙に無線ICタグを貼付し断裁して1枚の印刷物として出力するためのタグ貼付・断裁機構の構成、および、それが行う複数のステップS1〜S5を示す。図2と図3は、図1に示されたタグ貼付・断裁機構が備えるタグ貼付器の要部の断面図を示し、図2は、このタグ貼付器が無線ICタグを用紙に貼付していない時の状態、図3は、このタグ貼付器が無線ICタグを用紙に貼付している時の状態をそれぞれ示す。
【0018】
なお、図1に示されるタグ貼付・断裁機構は、このロール紙プリンタにおける印刷を行なうための印刷エンジン機構より、用紙流れにおいて下流に配置される。そして、印刷エンジン機構については、公知の任意のもの(インクジェット式、ドットインパクト式および電子写真式など、いずれの印刷方式でもよい)を採用することができるので、この明細書ではその具体的な説明を省略する。
【0019】
まず、図1を参照して、このロール紙プリンタに備えられるタグ貼付・断裁機構の構成について説明する。印刷シート10は左から右へ搬送される。このタグ貼付・断裁機構の左側に、印刷を行なう印刷エンジン機構(図示せず)が配置され、その印刷エンジン機構から印刷を終えて出てきた印刷シート10が、図1の左端に示された給紙ローラ12によって、タグ貼付・断裁機構に供給され、図1中の左方から右方へと搬送される。印刷シート10の搬送方向に沿って、給紙ローラ12の下流側の隣に、ロ−ル紙を断裁して1枚の印刷物に対応する印刷シート10を切り出すためのカッタ14が配置される。カッタ14の下流側の近傍に、無線ICタグを印刷シート10の貼付するためのタグ貼付器1が配置される。
【0020】
また、タグ貼付器1の下流側の隣には、無線ICタグ4の情報を読み書きするリーダライタ16(リーダ16aとライタ16b)が、その近傍を印刷シート10が通るよう配置されている。リーダライタ16において、リーダ16aは、ライタ16bより上流側に配置されていて、先に無線ICタグ4のデータを読んで、その後に無線ICタグ4にデータを書き込むようになっている。ここで、無線ICタグ4は、前述したように、無線アンテナとICチップとから構成されていて、無線ICタグ4への給電と、リーダライタ16と無線ICタグ4間の通信は、無線電波によって非接触で行なわれる。
【0021】
さらに、リーダライタ16の下流側には、印刷シート10に貼付された無線ICタグ4を再度印刷シート10により強く押し付けて、無線ICタグ4の固着を確実なものにするための圧着ローラ18が配置されている。また、圧着ローラ18の下流側には、切り出された印刷シート10の終端位置(後端位置)を検知するための用紙センサ20が配置されている。さらに、用紙センサ20の下流側には、印刷シート10を排紙トレイ(図示せず)に排出するための排紙ローラ22が配置されている。
【0022】
上記の給紙ローラ12、カッタ14、タグ貼付器1、圧着ローラ18、センサ20、及び排紙ローラ22などは、後に説明するような複数の工程S1〜S5をシーケンシャルに実行するように連携動作するよう、図示しないコントローラ(例えばプログラムされたコンピュータ)によって駆動され制御される。
【0023】
次に、図1、図2および図3を参照して、上述したタグ貼付器1について、より詳細に説明する。
【0024】
これらの図に示すように、タグ貼付器1は、タグカートリッジ2と貼付台3を有する。タグカートリッジ2は交換可能である。タグカートリッジ2内には、初期的に一定の複数の無線ICタグ4が一列に配列されて収容されている。タグカートリッジ2の図中の下端は、無線ICタグ4を外へ出すためのタグ出口である。タグカートリッジ2のタグ出口に対向するように貼付台3が配置され、タグ出口と貼付台3との間を、印刷シート10が通るようになっている。タグカートリッジ2の図中上方の近傍位置に、タグカートリッジ2内の無線ICタグ4をタグ出口から押し出すためのスプリング8が配置されている。このスプリング8の下端は、押圧子6(図2参照)を介して、タグカートリッジ2内の無線ICタグ4の列の上端に接するようになっている。
【0025】
タグ貼付器1は、カッタ14にリンクされ、カッタ14と同期して動くようになっている。カッタ14は、図中の上下方向に動くようになっている。図1にステップS1〜S3で示すように、カッタ14が下降して印刷シート10を切り出そうとするとき、カッタ14に結合された押圧レバー14aによってタグ貼付器1の上部のスプリング8が押し下げられて、タグカートリッジ2を下方へ押し下げる。図3に示すように、タグカートリッジ2の下端部のタグ出口の周囲には、弾性材からなる舌状のタグ保持子5が設けられている。図2に示すように、タグカートリッジ2が高い位置にあるときには、タグ保持子5は内側に閉じてタグ出口を狭め、それにより、タグカートリッジ2内の無線ICタグ4がタグ出口外へ出ないように、無線ICタグ4を押し上げている。図3に示すように、タグカートリッジ2が下降していくと、ついには、タグ保持子5の下端が貼付台3上に存在する印刷シート10の上面に押し当てられ、タグ保持子5は矢印のように外側に開いてタグ出口を完全に開く。このとき、タグカートリッジ2の下降が止まり、その後は、タグカートリッジ2内の無線ICタグ4の列だけがスプリング8からの押圧力で下方へ移動する。それにより、最下段の1つの無線ICタグ4aが、完全に開いたタグ出口から外へ押し出されて、貼付台3上に存在する印刷シート10の上面に貼付される。
【0026】
最下段の無線ICタグ4aがタグ出口から出るとき、図3に示すように、タグカートリッジ2の下端部と印刷シート10との間の隙間は、1個の無線ICタグ4の厚さより僅かに大きいが、2個の無線ICタグ4を合わせた厚さよりは狭い。よって、この1個の無線ICタグ4aだけがタグ出口から排出され、それ以外の無線ICタグ4はタグカートリッジ2内に留まる。各無線ICタグ4の貼付面には予め粘着材が付着しているので、印刷シート10に押し付けられた無線ICタグ4aは、印刷シート10に簡単に貼り付く。
【0027】
この過程と並行して、カッタ4がさらに下降してロール紙を断裁して、出力すべき印刷物に対応する印刷シート10を分離する。その後、カッタ4は上昇し、それに伴って、タグカートリッジ2も上昇する。タグカートリッジ2の上昇により、タグ保持子5が印刷シート10から離れると、タグ保持子5は再び閉じて、タグカートリッジ2内の無線ICタグ4の列を上に押し上げる。それにより、印刷シート10に貼付された無線ICタグ4aと、その次の無線ICタグ4との間は、両者が粘着材のために互いに若干の粘着力でくっついていても、強制的に切り離される。そして、タグカートリッジ2は、図2に示した状態に戻る。
【0028】
無線ICタグ4aが貼付されかつ分離された印刷シート10は、その後、図1の右方へ搬送されるが、粘着材の接着力により、搬送時の振動などでは無線ICタグ4が貼付位置からずれたり脱落したりしないようになっている。ただし、上述した定着ローラ18でしっかりと押し付けられて確実に固着されるまでは、無線ICタグ4の貼付力は幾分弱く、その意味で、以下の説明では、タグ貼付器1による貼付を「仮貼付」と呼ぶ。
【0029】
上述した仮貼付の動作において、タグカートリッジ2(タグ保持子5および無線ICタグ4a)の印刷シート10への押し付けは、カッタ14が断裁を行なうタイミングより僅かに早いタイミングで開始される。そして、カッタ14が断裁を終えて上昇するまで、タグカートリッジ2は印刷シート10に押し付けられ続ける。そのため、カッタ14が印刷シート10を断裁する時、印刷シート10はタグカートリッジ2と貼付台3との間にクランプされて固定され、そのため、印刷シート10はその後端縁の正確な位置できれいに切断される。
【0030】
タグカートリッジ2内の全ての無線ICタグ4が各印刷シート10に貼付されて、タグカートリッジ2が空になったならば、空のタグカートリッジ2を、無線ICタグ4が充填された新たなタグカートリッジ2に交換することができる。タグカートリッジ2内の各無線ICタグ4には、その配列順序に対応した通し番号が予め記録されている。各無線ICタグ4の通し番号から、各無線ICタグ4が、タグカートリッジ2内の何番目のものであったかが分かるようになっている。
【0031】
次に、図1を参照して、この実施形態にかかるロール紙プリンタが、ロール紙への印刷後に、そのロ−ル紙の1枚の印刷物に対応する部分(印刷シート)に無線ICタグを貼付し、そのロ−ル紙を断裁して1枚の印刷物を作成する工程について順を追って説明する。
【0032】
ここで、図1のステップS1は、ロール紙の断裁目標位置をカッタ14の位置に合わせる位置決め工程が行なわれる段階を示す。ステップS2は、タグ貼付器1により無線ICタグ4aを印刷シート10に貼付する仮貼付工程が開始される段階を示す。ステップS3は、仮貼付工程が継続するとともに、カッタ14によりロールを断裁して1枚の印刷部に対応する印刷シート10を切り出す断裁工程が行なわれる段階を示す。ステップS4は、リーダライタ16により印刷シート10上の無線ICタグ4aにデータ読み書きを行なう読み書き工程が行なわれる段階を示す。ステップS5は、印刷シート10上の無線ICタグ4aを再度印刷シート10に押し付けて固着をより強固にしてから印刷シート10を排紙トレイへ排出する固着・排紙工程の段階を示す。
【0033】
まず、図1のステップS1に示すように、位置決め工程では、図示しない印刷エンジン機構から出てきたロール紙の1枚の印刷物に対応する部分(印刷シート10)が、給紙ローラ12によって右方へ搬送され、印刷シート10の後端位置がカッタ14の位置と一致したところで、給紙ローラ12が回転を停止して印刷シート10が停止される。印刷シート10の後端位置は、典型的には、印刷シート10の最終印刷位置から更に所定の余白分の距離だけ後方へ入った位置である。この後端位置がカッタ14の位置に合って印刷シート10が停止したとき、印刷シート10の余白部分がちょうどタグ貼付器1の貼付台3の上に載ることなる。
【0034】
次に、図1のステップS2に示すように、仮貼付工程が開始される。仮貼付工程では、カッタ14が降下し、カッタ14に連結された押圧レバー14aがスプリング8を押圧して、タグカートリッジ2を押し下げ、タグカートリッジ2の下端のタグ保持子5が貼付台3上の印刷シート10の上面に接触したところで、タグカートリッジ2が止まる。そして、既に説明したように、タグカートリッジ2内の最下段の無線ICタグ4aがタグカートリッジ2から押し出され、貼付台3上の印刷シート10に押し付けられ、そこに仮貼付される。この仮貼付の開始タイミングは、カッタ14が断裁を行う時点より若干早い。
【0035】
次に、図1のステップS3に示すように、ステップS2で開始された仮貼付工程が継続するとともに、断裁工程も並行して行なわれる。すなわち、カッタ14がさらに降下して印刷シート10をその後端縁に沿って切断して、印刷シート10を左側のロ−ル紙から切り離す。このとき、タグカートリッジ2と貼付台3は、印刷シート10を、それが断裁時に動かないようクランプする。これによって、断裁時において印刷シート10にしわが生じることなく、印刷シート10の後端縁がきれいに切断される。
【0036】
その後、図1のステップS4に示すように、カッタ14が元の位置まで上昇し、これに連動して、押圧レバー14aによるスプリング8の押圧力が解除されて、タグカートリッジ2も元の位置まで上昇する。そして、圧着ローラ18及び排紙ローラ22の回転駆動が再開され、ロール紙から切り離された印刷シート10が、図の右方へ搬送される。この印刷シート10に仮貼付された無線ICタグ4aがリーダ16aを通過するときに、無線ICタグ4aからその通し番号がリーダ16aによって読み取られる。読み取られた通し番号は、ロール紙プリンタ内の図示しないコントローラへ送られる。その後、無線ICタグ4aがライタ16bを通過するとき、上記コントローラからの指示でライタ16bによって、印刷シート10に印刷された印刷情報および/またはその関連情報が無線ICタグ4aに書き込まれる。
【0037】
ロール紙プリンタ内のコントローラは、無線ICタグ4aから読み取られた通し番号に基づいて、タグカートリッジ2内に無線ICタグ4の有無またはその残数の多少を判断し、その判断結果に応じてタグカートリッジ2の交換の必要性をタイミングよくユーザに通知することができる。この目的だけのみに通し番号を利用する場合、無線ICタグ4a内に通し番号をその後も保存しておく必要は無いので、ライタ16bでデータを無線ICタグ4aに書き込むとき、そのデータを通し番号に上書きしてもよい。また、無線ICタグ4aから読み取られた通し番号を、印刷物の管理に利用することもできる。その目的に通し番号を利用する場合には、その通し番号を、ロール紙プリンタ外の外部装置へ出力できるようになっていることが望ましい。
【0038】
その後、図1のステップS5に示す固着・排紙工程が行なわれる。すなわち、ステップS4の読み書き工程から継続する圧着ローラ18及び排紙ローラ22の回転駆動によって、印刷シート10はさらに図の右方へ搬送され、仮貼付された無線ICタグ4aは圧着ローラ18を通るとき、圧着ローラ18により再度印刷シート10に押圧されて印刷シート10に一層強固に固着される。さらなる排紙ローラ22の回転駆動によって、印刷シート10が図の右方へ搬送され、印刷シート10の後端が用紙センサ20を通過したとき、用紙センサ20の出力信号が紙有りの状態から紙無しの状態に切り替わるので、印刷シート10の後端が用紙センサ20を通過したことが検出される。この検出に応答して、上述したコントローラが、圧着ローラ18の回転駆動を停止し、さらにその後、排紙ローラ22の回転駆動を行なって、印刷シート10を図示しない排紙トレイに排出する。その後、排紙ローラ22の回転も停止される。
【0039】
なお、変形例として、リーダライタ16と圧着ローラ18との位置関係を図1に示したものと逆にしてもよい。このような配置にすることにより、リーダ16aでのデータ読取が正しく行なえれば、無線ICタグ4aが印刷シート10に確実に固着されたということも確認でき、そして、確実に固着されたことが確認された後に、ライタ16bによって無線ICタグ4aにデータを書き込むことができる。
【0040】
上本発明に従うロール紙プリンタの一つの用途例は、領収書の印刷であるが、それ以外の用途にも適用できる。例えば、ロール接着テープに名前を印刷するネームプリンタに本発明を適用し、接着テープに人の名前を印刷するとともに、そのテープに貼付された無線ICタグに当人の識別情報を書き込み、そして、その名前テープを当人の持ち物に貼り付ければ、イベント施設の入退場ゲートにおいてその持ち物をかざして入退場管理などを行う、というような応用が考え得る。
【0041】
また、一つの印刷物に貼付する無線ICタグの個数は、必要に応じて複数にしてもよい。その場合であっても、本発明によれば、印刷物の長さやサイズに左右されずに、所望する数の無線ICタグを印刷物に貼付することができる。
【0042】
また、印刷物に貼付された無線ICタグに書き込まれるデータの内容には格別の制限はなく、よって、必ずしも印刷情報またはそれに関連する情報である必要はなく、印刷内容には関連しないデータであってもよい。
【0043】
また、上述したタグ貼付・断裁機構が行う諸動作は、自動的に連続実行されるように、ロール紙プリンタ内のコントローラにより完全に自動制御されてもよいし、或いは、特定の動作については、その動作の前工程が終わった段階で改めてユーザから手動命令を受けると実行されるようになっていてもよい。例えば、印刷が終了した段階で印刷シート10の搬送が一旦停止され、その後にユーザからの排紙命令を受けると、図1のステップS1に示した位置決め工程が開始されて、それ以降のステップS1〜S5は自動的に連続実行されるようになっていてもよい。あるいは、例えば、ステップS1の位置決め工程が終了した段階で印刷シート10の搬送が一旦停止され、その後にユーザからの排紙命令を受けると、ステップS2のカッタ14の下降が開始され、それ以降のステップS2〜S5は自動的に連続実行されるようになっていてもよい。あるいは、例えば、ステップS5に示した、印刷シート10の後端が用紙センサ20により検出された時に、印刷シート10の搬送が一旦停止され、その後にユーザからの排紙命令を受けると、排紙ローラ22が回転して印刷物を外へ出力するようになっていてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態にかかるロール紙プリンタに備えられるタグ貼付・断裁機構の構成と、それが行なう5段階の工程とを示す模式図。
【図2】タグ貼付・断裁機構内のタグ貼付器の、無線ICタグを用紙に貼付していない時の状態を示す断面図。
【図3】タグ貼付・断裁機構内のタグ貼付器の、無線ICタグを用紙に貼付している時の状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
1…タグ貼付器、2…タグカートリッジ、3…貼付台、4…無線ICタグ、4a…最下段の無線ICタグ、5…タグ保持子、6…押圧子、8…スプリング、10…印刷シート、12…給紙ローラ、14…カッタ、14a…押圧レバー、16…リーダライタ、16a…リーダ、16b…ライタ、18…圧着ローラ、20…用紙センサ、22…排紙ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に印刷を行なうロール紙プリンタにおいて、
印刷されたロール紙を断裁して1枚の印刷シートを前記ロール紙から切り離すカッタと、
複数の無線ICタグを予め収容し、収容された無線ICタグの中から所定数の無線ICタグを取り出して、前記1枚の印刷シートの前記カッタにより裁断される位置とは別の位置に貼付するタグ貼付器と、
前記印刷シートに貼付された無線ICタグに、所定の情報を記録するライタと、
前記断裁と前記無線ICタグの貼付と前記所定の情報の記録とが行なわれた後に、前記印刷シートを排出する排紙機構と
を備えるロール紙プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のロール紙プリンタにおいて、
前記タグ貼付器が、前記カッタと連動して、前記ロール紙の断裁と同期的に、前記無線ICタグの貼付を実行するロール紙プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のロール紙プリンタにおいて、
前記タグ貼付器が前記印刷シートを動かないようにクランプしつつ前記無線ICタグを前記印刷シートに貼付し、
前記印刷シートがクランプされている間に、前記カッタが前記ロール紙を断裁して前記印刷シートを切り出す、
ロール紙プリンタ。
【請求項4】
請求項1記載のロール紙プリンタにおいて、
タグ貼付器は、前記複数の無線ICタグを一列に配列して収容し、前記一列に配列された無線ICタグの各々には、その配列順序に応じた通し番号が予め記録されており、
前記印刷シートに貼付された無線ICタグから前記通し番号を読み出すリーダを更に備えたロール紙プリンタ。
【請求項5】
請求項4のロール紙プリンタにおいて、
前記リーダにより読み出された前記通し番号に基づいて、前記タグ貼付器内に残存する無線ICタグの個数または有無を判断する手段をさらに備えたロール紙プリンタ。
【請求項6】
請求項1に記載のロール紙プリンタにおいて、
前記タグ貼付器により前記無線ICタグが前記印刷シートに貼付された後、前記貼付された無線ICタグを前記印刷シートにより強固に固着させるためのタグ固着機構をさらに備えたロール紙プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−193628(P2007−193628A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11904(P2006−11904)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】