説明

無線LAN収納ユニット、複合ケーブル及び複合ケーブルシステム

【課題】 従来、災害現場では電力、通信、照明、誘導灯は、別々の複数本のケーブルや装置を使用しなければならず、災害復旧活動、レスキュー活動等を効率的に行う上で障害となっていた。
【解決手段】本発明の主なポイントをあげると、第1番目は、LAN‐電源ケーブルまたはLAN‐電源‐発光ケーブルを同一シース内に一まとめに布設した複合ケーブルであるので、地下街等での地震や火災などの災害発生時に、災害現場で救急隊員が、位置検出と無線通信で、或いは、照明を照らしながら位置検出と無線通信で、救助にあたることが可能になる。また、第2番目としては、無線LAN収納ユニット{(LAN‐電源)または(LAN‐電源‐発光))}と複合ケーブル{(LAN‐電源)または(LAN‐電源‐発光))}を増結用オス・メスコネクタで嵌合することにより、数珠つなぎに連結して長距離無線LANにした防災用複合ケーブルシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として災害用、防災用等に使用され、地下街、ビル内等における火災、爆発等により既存インフラが使用できなくなった場合の緊急災害用の電力、通信、照明、誘導用として最適で、特に、無線LAN収納ユニットと複合ケーブルを、前記両端に設けた増結用オス・メスコネクタケーブルで嵌合することにより、長距離無線LANが可能になる防災用無線LAN収納ユニット、複合ケーブル及び複合ケーブルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害現場では既存インフラ設備(電力網、通信網)が火災、爆発等で破壊されており使用できない。通信については無線装置を使用することになるが、従来の無線通信技術は地下街、高層ビル内等の環境においてはノイズの影響、障害物の影響等で十分な通信が不可能になる。また、電力については電源ドラム等で点単位に配線することは出来るが、通信機能を有していない等、経路上を照明、誘導灯を配置する等の対応が難しく、複数のインフラを配線しなければならないので、効率的な災害対応は、難しいというのが、実状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害現場で給電機能、通信機能、照明機能、誘導灯機能を実現するためには個別のケーブル、個別の通信機器、個別の照明器具をそれぞれ配線、配置する必要があり、スピィディーな救助活動が要求される災害現場では困難を極める。また、電波を使用した通信機器では地下街、高層ビル等の障害物が多数存在する環境では十分な通信機能を実現することが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、これらの問題を解決する為に、鋭意検討した結果、本発明の主なポイントをあげると、第1番目は、LAN‐電源ケーブルまたはLAN‐電源‐発光ケーブルを同一シース内に一まとめに布設した複合ケーブルであるので、地下街等での地震や火災等の災害発生時に、災害現場で救急隊員が、位置検出と無線通信で、或いは、照明を照らしながら位置検出と無線通信で、救助にあたることが可能になる。また、第2番目としては、無線LAN収納ユニット{(LAN‐電源)または(LAN‐電源‐発光))}と複合ケーブル{(LAN‐電源)または(LAN‐電源‐発光))}を増結用オス・メスコネクタで嵌合することにより、数珠つなぎに連結して長距離無線LANが可能になる防災用複合ケーブルシステムである。
【発明の効果】
【0005】
以上説明のように、本発明の無線LAN収納ユニット、複合ケーブル及び複合ケーブルシステムによれば、
1.災害現場等の劣悪な環境における仮設電力、通信、照明、誘導灯として使用することが可能になる。
2.発光ファイバの場合、LED、電球等を使用したスポット照明と異なり連続した照明として使用することが出来るため、照明・誘導灯としての機能に優れている。
3.従来の複数の別々のケーブルを配線する方法に比べて、1本の配線で必要な機能を実現することが出来、効率的な対応が可能となる。
4.外層保護チューブを使用することにより構造物の落下、人による踏み付け等に対応することが可能になり、耐久性を有する。
5.発光ファイバは延長時の増結ではなく、無線LANユニット部に駆動装置を内蔵することで、駆動損失は1ケーブルユニットに限定され発光ロスが少ない。
6.増結コネクタ部にオプションを使用することでシステム外への給電、照明機能等を提供することが出来る。
という優れた効果があるので、その工業的価値は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の無線LAN複合ケーブルシステムについて、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0007】
本発明の第1実施例の1番目(請求項1)は、図1に示すように、通信装置と電源装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源)を内蔵し、かつ、両端に増結用メスコネクタ20Fを設けた無線LAN収納ユニット(LAN‐電源)2Aである。この無線LAN収納ユニット(LAN‐電源)2Aを設けることにより、位置検出機能と無線通信の機能が生じる。
本発明の第1実施例の2番目(請求項2)は、図1に示すように、第1番目の無線LAN収納ユニット2Aの両端に設けた増結用メスコネクタ20Fの近辺に金具16を両側に固定し、テンションメンバ13とケーブル本体3が首部15で分離可能なだるま型LAN‐電源複合ケーブル3Aのテンションメンバ13の首部15を引き裂き、その引き裂いたケーブル本体3の両端先端に増結用オスコネクタ20Mを形成し、前記無線LAN収納ユニット2Aの増結用メスコネクタ20Fに嵌合させ、他方、テンションメンバ13側ケーブルの両端の先端に設けた係合部22を、前記金具16に引っ掛けて固定することにより、外力が加わっても、ケーブル本体3に負荷がかからず、補強機能を持たせ、、かつ、ケーブルに防水機能を持たせ、数珠つなぎに連結した長距離無線LAN収納複合ケーブルシステムである。この場合、流線型の構造にした無線LAN収納ユニットとケーブルを連結して布設する際、ケーブルの片端を引っ張りながら、数珠つなぎに連結することにより、長距離無線LANを布設することが可能になる。このような構造であるので、地下街などでの地震や火災などの災害発生時に、災害現場で救急隊員が、位置検出と無線通信をしながら、救助にあたることが可能になる。
【0008】
本発明の第2実施例の1番目(請求項3)は、図2に示すように、通信装置と電源装置と発光駆動装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源‐発光)2Bを内蔵し、かつ、両端に増結用メスコネクタ20Fを設けた無線LAN収納ユニット(LAN‐電源‐発光)である。ここで、通信装置と電源装置と発光駆動装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源‐発光)は、新たに照明の機能が生じるので、救助隊員が、照明を照らしながら位置検出と無線通信で、救助作業に当たることが可能になる。また、照明用発光ファイバケーブル18は、透明保護チューブ21と外部シース(透明)19、を使用することで、照明機能や誘導灯の更なる機能UPをはかった。しかも、外層保護用透明チューブ21で保護した複合ケーブルとすることで、災害現場等の劣悪な環境において、耐久性を持たせた。更に、ケーブル長を20m程度と細分化した上に、増結コネクタで接続することで、給電機能、通信機能を細分化することができ、災害現場等の劣悪な環境においても、電力、通信へのアクセス性を高めた。また、細分化することにより障害物などの影響を受けやすい無線通信を実現することが可能になる。なお、図2のケーブル断面は、だるま型ではないが、第1実施例のだるま型形状の方が、ケーブルへの負荷が少なくなり、補強の点で好ましい結果が得られた。
本発明の第2実施例の2番目(請求項4)は、図2に示すように、LANケーブル9と電源ケーブル10と発光ケーブルとして発光ファイバケーブル18を同一シース内に一まとめに布設した複合ケーブル3Bである。従来の別々の複数本のケーブルを配線する方法に対して、1本のケーブルで済むので、救助作業を効率的に行うことが可能になる。ここで、図において、発光ケーブルを発光ファイバケーブルを例に取り、説明したが、LEDや電球等を使用しても構わない。
本発明の第2実施例の3番目(請求項5)は、図2に示すように、通信装置と電源装置と発光駆動装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源‐発光)を内蔵し、かつ、両端に増結用オスコネクタを設けた図2の複合ケーブルを、前記両端に設けた増結用オス・メスコネクタで嵌合することにより、数珠つなぎに連結して長距離無線LANが可能になる複合ケーブルシステムである。
本発明の第2実施例の4番目(請求項6)は、図2に示さないが、オプションとして、増結用メスコネクタ20Fの部分に外部給電用コネクタ付延長装置を接続することで、外部への給電機能や照明機能を持たせた複合ケーブルシステムである。
【0009】
本発明は、電力線、通信ケーブル、発光ファイバを複合化したケーブルを代表例として示しているが、例えば、第2実施例のケーブルを第1実施例のだるま型に代えたり、その他増結用コネクタを図面とは、逆のオス・メスにした変形例にしても構わず、設計上本発明の範囲内であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、主として防災用への使用が可能であるが、必ずしも防災に限らず幅広い応用展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例で、無線LAN収納ユニット(LAN‐電源)2Aに複合ケーブル(LAN‐電源)3Aを数珠つなぎに連結して構成される複合ケーブルシステム(LAN‐電源)1A。
【図2】本発明の第2実施例で、無線LAN収納ユニット(LAN‐電源‐発光)2Bに複合ケーブル(LAN‐電源‐発光)3Bを数珠つなぎに連結して構成される複合ケーブルシステム(LAN‐電源‐発光)1B。
【符号の説明】
【0012】
1A 本発明の第1実施例の複合ケーブルシステム(LAN‐電源)
1B 本発明の第2実施例の複合ケーブルシステム(LAN‐電源‐発光)
2A 無線LAN収納ユニット(LAN‐電源)
2B 無線LAN収納ユニット(LAN‐電源‐発光)
3 ケーブル本体
3A 複合ケーブル(LAN‐電源)
3B 複合ケーブル(LAN‐電源‐発光)
4 導体
4A 電極導体
5 絶縁体
6 対より線
7 シールド
8 内部シース
9 LANケーブル
10 電源ケーブル
11 介在
12 外部シース
13 テンションメンバ
14 抗張力体
15 首部
16 金具
17 発光層(EL)
18 発光(EL)ファイバケーブル
19 外部シース(透明)
20F 増結用メスコネクタ
20M 増結用オスコネクタ
21 透明保護チューブ
22 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と電源装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源)を内蔵し、かつ、両端に増結用コネクタを設けたことを特徴とする無線LAN収納ユニット。
【請求項2】
請求項1の無線LAN収納ユニットの両端に設けた増結用コネクタの近辺に金具を両側に固定し、テンションメンバとケーブル本体が首部で分離可能なだるま型LAN‐電源複合ケーブルとし、そのテンションメンバの首部を引き裂き、その引き裂いたケーブル本体側の両端先端に増結用コネクタを形成し、前記無線LAN収納ユニットの増結用コネクタに嵌合させ、他方、テンションメンバ側ケーブルの両端の先端に設けた係合部を、前記金具に引っ掛けて固定することにより、外力が加わっても、ケーブルに負荷がかからず、補強機能を持たせ、かつ、ケーブルに防水機能を持たせ、数珠つなぎに連結して長距離無線LANにしたことを特徴とする複合ケーブルシステム。
【請求項3】
通信装置と電源装置と発光駆動装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源‐発光)を内蔵し、かつ、両端に増結用コネクタを設けたことを特徴とする無線LAN収納ユニット。
【請求項4】
LANケーブルと電源ケーブルと発光ケーブルを同一シース内に一まとめに布設したことを特徴とする複合ケーブル。
【請求項5】
通信装置と電源装置と発光駆動装置を有する無線LAN装置(LAN‐電源‐発光)を内蔵し、かつ、両端に増結用コネクタを設けた請求項4の複合ケーブルを、前記両端に設けた増結用オス・メスコネクタで嵌合することにより、数珠つなぎに連結して長距離無線LANにしたことを特徴とする複合ケーブルシステム。
【請求項6】
増結コネクタの部分に外部給電用コネクタ付延長装置を接続することで外部への給電機能や照明機能を持たせたことを特徴とする請求項2と請求項5の内いずれか1項に記載の複合ケーブルシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−148173(P2008−148173A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335292(P2006−335292)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(390002598)沖電線株式会社 (45)
【Fターム(参考)】