説明

無臭トイレ

便器から下水管路へ悪臭空気を搬送するトイレが提供される。トイレのタンクには、便器から、便器のリムに位置付けられている洗浄孔を通して密閉ファンボックスへ空気を引き込むファンが設けられる。吸気管を用いて、入水口からファンボックスへ空気が通されるため、オーバーフロー管が遮られることがない。空気は、ウォータートラップの後ろの場所でサイホンにつながる出口管を通してファンボックスから迂回される。出口管と吸気管との間に配置されているダンパドアが、サイホン又は下水管からの淀んだ空気が便器又はタンクに入って逃げるのを防止する。トイレは、電源に接続されている12v/DCファン等の単純なファンによって電力供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2004年10月7日付けで出願された米国特許出願第10/711,824号の一部継続出願であり、当該出願は、2003年10月7日付けで出願された米国仮出願第60/481,477号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術のトイレの部品及び機能を示す。トイレ10は、タンク20及び便器12を含む。タンク20は、オーバーフロー管22及びフラッパ24をさらに含む。タンク内の基準水位も、Wで示されている。便器12は、リム14に配置されている洗浄孔16をさらに含む。サイホン18が、便器12の後部に配置される。便器12からの水は、サイホン18に入り、下水管路からのガスが便器12に入るのを防止するウォータートラップを形成する。便器内の水位は、Wで示されている。
【0003】
入水口15が、タンク20と便器12との間に配置され、これらの間を流体連通させる。具体的には、洗浄ハンドル(図示せず)を押すことによってトイレを流すと、フラッパ24が上昇してタンク20からの水が入水口15に入る。入水口15からは、一定量の水がリム14を通って洗浄孔16を経て便器12に入る。水の大部分は、リム16の後部付近の大きな洗浄孔16aを通して便器12に入る。
【0004】
タンク20から便器12に入る大量の水は、サイホン18に急速に入ってこれを満たす。サイホン18が満たされると、吸引によって便器12から下水管(図示せず)へ水が引き下ろされる。便器12が空になると、サイホン18に空気が入って(これは、独特のゴボゴボという音を発生させる)、サイホンプロセスを停止させる。続いて、フラッパ24が閉じ、タンク20に水が補充される。タンク20から便器12への水の流れは、図1に実線矢印で示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、便器から下水管路へ悪臭空気を搬送する無臭トイレを含む。トイレのタンクには、便器から、便器のリムに位置付けられている洗浄孔を通して密閉されたファンボックスへ空気を引き込むファンが設けられる。吸気管を用いて、入水口からファンボックスへ空気が通されるため、オーバーフロー管が遮られることがない。空気は、ウォータートラップの後ろの場所でサイホンにつながる出口管を通してファンボックスから迂回される(diverted)。出口管と吸気管との間に配置されているダンパドアが、サイホン又は下水管からの淀んだ空気が便器又はタンクに入って逃げるのを防止する。
【0006】
トイレは、電源に接続されている12v/DCファン等の単純なファンによって電力供給される。ファンを動作させるのに必要な負荷は小さく、配線電気接続の必要をなくすようにバッテリによって供給され得る。ファンは、洗浄ハンドルを上方に移動させると作動されるように位置決めされているスイッチによって作動される。ハンドルの上方移動が、洗浄アームを下方へ移動させてスイッチに係合させる。スイッチプレートが、洗浄アームに係合して所定位置に保持し、スイッチとの接触を維持する。洗浄ハンドルを押し下げてトイレを洗浄すると、洗浄アームが上昇してスイッチとの接触を解消させてファンを停止させる。
【0007】
本発明の性質及び目的をより深く理解するために、添付図面に関連して以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タンクから便器への水の移動(実線矢印)を示す従来技術のトイレの図である。
【図2】便器からファンボックスへの空気の経路(実線矢印で示す)を示す本発明の右側面図である。
【図3】便器からファンボックスへの空気の経路(実線矢印)及びファンボックスからサイホンへの空気の経路(破線矢印)を示す本発明の正面図である。
【図4】ファンボックスからサイホンへの空気の経路(破線矢印)を示す本発明の左側面図である。
【図5】ダンパドアが出口管に関連付けられる代替的な実施形態を示す本発明の正面図である。
【図6】洗浄ハンドル、スイッチ、及びファンの間の接続性を示す本発明の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施できる具体的な実施形態が例として示されている添付図面を参照する。他の実施形態も利用することができ、本発明の範囲から逸脱せずに構造的変更を加えることができることを理解されたい。
【0010】
次に図2を参照すると、無臭トイレ11は、従来技術と同じ要素の多くを含む。例えば、タンク20が、オーバーフロー管22及びフラッパ24を有する。便器12が、リム14に配置されている洗浄孔16及び16aを有し、サイホン18が、便器12の後部に配置される。入水口15が、便器12とタンク20との間を流体連通させる。
【0011】
無臭トイレ11は、オーバーフロー管22と同様の方法で入水口15に接続する吸気管32をさらに含む。吸気管32は、入水口15及び便器12内へ水が漏れるのを防止するために、タンク20の底部に突き当たる場所がシールされる。吸気管32の上端は、ファンボックス30に取り付けられる。ファンボックス30は、吸気管32を介し、入水口15とリム14の洗浄孔16及び16aとを介して、便器12との流体連通を保つ。ファンボックス30内のファン(図2には図示せず)が、便器12からリム20の洗浄孔16及び16aと入水口15とを介して吸気管32に空気を引き込む。空気は、続いて吸気管32からファンボックス30に入る。便器12からファンボックス30への空気流は、実線矢印で示されている。
【0012】
無臭トイレ11の好ましい実施形態を、図3及び図4に示す(オーバーフロー管及びフラッパは、図3では見やすくするために省いてある)。出口管34が、ファンボックス30に取り付けられて便器12から引き出される空気の流出部を提供する。図3の好ましい実施形態では、出口管34は、その上端がファンボックス30に取り付けられ、その下端がサイホン18に取り付けられる。このように、便器12から引き出される空気は、サイホン18内のウォータートラップの後ろの場所で下水管路に搬送される。出口管34は、タンク20を貫通して外部でサイホン18につながる部分34aを有し得る。便器12からファンボックス30への空気の流れは、実線矢印で示されており、ファンボックス30からサイホン18への空気の流れは、破線矢印で示されている。
【0013】
一実施形態では、ファンボックス30は、ダンパドア48によって空気区画42及びファン区画44に分割される。ファン区画44は、その名称が示唆するようにファン46を収容する。好ましい実施形態のファン46は、電源58及びスイッチ54(図6)に接続される12V/DCファンである。しかしながら、便器12から空気を引き出すのに十分な真空をファンボックス30内に与えることが可能な任意の機構を用いることができる。
【0014】
空気区画42は、吸気管32と直接流体連通しており、ファン区画44は、ファン46が作動されると空気区画42と流体連通する。ダンパドア48は、ファンボックス30にヒンジ接続されることにより、区画を画定してファン区画44から空気区画42への空気の流れを防止するが、空気区画42からファン区画44へは空気が自由に移動できる。共通のばね等の付勢手段(図示せず)が、ファン46が作動されていないときにダンパドア48を押し閉じる。ファン46が作動されると、ダンパドア48が枢動し、空気区画42からファン区画44へ空気を移動させて出口管34から出す。ファン46が停止されると、結果として生じる背圧がダンパドア48を閉じて、サイホン18と便器12との間にシールを形成させる。
【0015】
代替的な実施形態を図5に示す。この場合、ファンボックス30は、別個の区画に分割されない。ダンパドア48aを出口管34とファンボックス30との間に配置することによって、下水管からサイホン18を通して上昇してくる淀んだ空気がファンボックス30又はタンク20の周囲空気に入るのが防止される。共通のばね等の付勢手段(図示せず)が、ファン46が作動されていないときにダンパドア48aを押し閉じる。ダンパドア48及び/又は48aがファンボックス30を通したサイホン18と便器12との間の移動経路に沿って配置される限り、その正確な配置は重要ではない。
【0016】
図6に示す別の実施形態では、無臭トイレは、洗浄ハンドルを上方に移動させるとファンを作動させるスイッチを含む。従来技術の洗浄ハンドルは、概して、第1の位置から下方へ移動することで洗浄機構を作動させる。無臭トイレ11の洗浄ハンドル50は、その静止位置から電気回路を完成させる第1の位置への上方移動が可能であり、それにより(電源58から)ファン46へ電力を供給する。洗浄ハンドル50を押下してトイレを洗浄すると、回路が開いてファン46が停止する。
【0017】
例えば、図6に示すように、洗浄ハンドル50は、洗浄ハンドル50の移動が洗浄アーム52の対応の移動を引き起こすように洗浄アーム52に取り付けられる。洗浄アーム52は、従来技術のトイレのように、チェーンによってフラッパ24に接続される。洗浄アーム52の遠位端は、洗浄ハンドル50を押し下げると上方に移動する。しかしながら、洗浄アーム52の遠位端は、洗浄ハンドル50を上方に移動させると下方に移動してスイッチ54に係合する。
【0018】
スイッチ54は、電気回路を閉じることが可能な任意の装置であり得る。例えば、スイッチ54は、プランジャタイプのスイッチであり得る。それにより、洗浄アーム52の下方移動が、洗浄アーム50が静止位置にあるときにプランジャを上方に付勢するばねを有するスリーブ内に摺動可能に配置されるプランジャを圧縮する。接触棒が、ハウジング内に軸止されており、プランジャの下向きの力によってマイクロスイッチに対して枢動する。マイクロスイッチは、回路を閉じてファンを作動させる。同様の方法で回路を閉じることが可能なスイッチが、当該技術分野内で既知である。
【0019】
無臭トイレ11は、洗浄ハンドル50を上昇させると洗浄アーム52に解除可能に係合する突起を有するスイッチプレートもさらに備え得る。これは、洗浄ハンドル50を押下するまで回路が完成したままでファンに電力が供給されることを確実にする。
【0020】
上述の利点及び上記説明から明らかになった利点が効率的に得られ、本発明の範囲から逸脱せずに上記構成に或る程度の変更を加えることができるため、上記説明に含まれるか又は添付図面に示される全ての事項を限定的な意味ではなく例示として解釈すべきであることが意図されることが分かるであろう。
【0021】
以下の特許請求の範囲が、本明細書に記載の本発明の包括的な特定の特徴の全て、及び文言上本発明の範囲内に入ると言える表現の全てを包含することが意図されることも理解されたい。本発明の説明は以上である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、
便器と、
サイホンと、
複数の洗浄孔を有するリムと、
前記タンク、前記洗浄孔、及び前記便器を流体連通させる入水口と、
前記タンク内に配置されるファンボックスと、
前記入水口から前記ファンボックスまで延びる吸気管であって、前記ファンボックスと前記入水口とを流体連通させる、吸気管と、
前記ファンボックス内に配置されるファンであって、前記ファンの動作が、前記便器から前記入水口へ空気を引き込むと共に、前記吸気管を通して前記ファンボックスへ空気を引き込む、ファンとを備える、トイレ。
【請求項2】
前記便器からの空気は、前記洗浄孔を通して前記入水口へ引き込まれる、請求項1に記載のトイレ。
【請求項3】
第1の端及び第2の端を有する出口管をさらに備え、
前記出口管は、前記第1の端が前記ファンボックスに接続され、
前記ファンの動作が、前記出口管の前記第2の端を通して前記ファンボックス内の空気を放出する、請求項1に記載のトイレ。
【請求項4】
前記出口管の前記第2の端は、前記サイホンに接続される、請求項3に記載のトイレ。
【請求項5】
少なくとも第1の位置及び第2の位置を有する洗浄ハンドルと、
前記洗浄ハンドルに接続される洗浄アームであって、前記洗浄ハンドルの移動が前記洗浄アームの対応する移動を引き起こす、洗浄アームと、
前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記ファンを作動させるスイッチとをさらに備える、請求項1に記載のトイレ。
【請求項6】
前記スイッチは、前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記洗浄アームに接触するスイッチプレートをさらに備え、前記洗浄アームと前記スイッチとの接触が、電気回路を完成させて前記ファンを作動させる、請求項5に記載のトイレ。
【請求項7】
前記第2の位置への前記洗浄ハンドルの移動が、前記洗浄アームに前記スイッチとの接触を解消させて前記ファンを停止させる、請求項6に記載のトイレ。
【請求項8】
タンクと、
便器と、
サイホンと、
複数の洗浄孔を有するリムと、
前記タンク、前記洗浄孔、及び前記便器を流体連通させる入水口と、
空気区画と、
前記入水口から前記空気区画まで延びる吸気管であって、前記空気区画と前記入水口とを流体連通させる、吸気管と、
前記空気区画と流体連通するファン区画と、
前記ファン区画内に配置されるファンであって、前記ファンの動作が、前記便器から前記ファン区画へ空気を引き込む、ファンと、
第1の端及び第2の端を有する出口管とを備え、
前記出口管は、前記第1の端が前記ファン区画に接続され、
前記ファンの動作が、前記出口管の前記第2の端を通して前記ファンボックス内の空気を放出し、
前記出口管の前記第2の端は、前記サイホンに接続される、トイレ。
【請求項9】
前記便器からの空気は、前記洗浄孔を通して前記入水口へ引き込まれる、請求項8に記載のトイレ。
【請求項10】
前記ファン区画と前記空気区画との間にヒンジ配置され、前記ファン区画内の空気が前記空気区画へ移動するのを防止するドアをさらに備える、請求項8に記載のトイレ。
【請求項11】
少なくとも第1の位置及び第2の位置を有する洗浄ハンドルと、
前記洗浄ハンドルに接続される洗浄アームであって、前記洗浄ハンドルの移動が前記洗浄アームの対応する移動を引き起こす、洗浄アームと、
前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記ファンを作動させるスイッチとをさらに備える、請求項8に記載のトイレ。
【請求項12】
前記スイッチは、前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記洗浄アームに接触するスイッチプレートをさらに備え、前記洗浄アームと前記スイッチとの接触が、電気回路を完成させて前記ファンを作動させる、請求項11に記載のトイレ。
【請求項13】
前記第2の位置への前記洗浄ハンドルの移動が、前記洗浄アームに前記スイッチとの接触を解消させて前記ファンを停止させる、請求項11に記載のトイレ。
【請求項14】
タンクと、
便器と、
少なくとも第1の位置及び第2の位置を有する洗浄ハンドルと、
前記洗浄ハンドルに接続される洗浄アームであって、前記洗浄ハンドルの移動が前記洗浄アームの対応する移動を引き起こす、洗浄アームと、
サイホンと、
複数の洗浄孔を有するリムと、
前記タンク、前記洗浄孔、及び前記便器を流体連通させる入水口と、
前記タンク内に配置されるファンボックスと、
前記入水口から前記ファンボックスまで延びる吸気管であって、前記ファンボックスと前記入水口とを流体連通させる、吸気管と、
前記ファンボックス内に配置されるファンであって、前記ファンの動作が、前記便器から前記入水管へ空気を引き込むと共に、前記吸気管を通して前記ファンボックスへ空気を引き込む、ファンと、
前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記ファンを作動させるスイッチとを備える、トイレ。
【請求項15】
前記スイッチは、前記洗浄ハンドルが前記第1の位置へ移動すると前記洗浄アームに接触するスイッチプレートをさらに備え、前記洗浄アームと前記スイッチとの接触が、電気回路を完成させて前記ファンを作動させる、請求項14に記載のトイレ。
【請求項16】
前記第2の位置への前記洗浄ハンドルの移動が、前記洗浄アームに前記スイッチとの接触を解消させて前記ファンを停止させる、請求項14に記載のトイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−526222(P2010−526222A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506165(P2010−506165)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/020756
【国際公開番号】WO2008/133637
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509301611)
【Fターム(参考)】