無限軌道帯用リンク
【課題】応力集中を緩和することができると共に、組立時の作業性を向上することができる無限軌道帯用リンクの提供。
【解決手段】窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔(平滑な内表面を有している素通しの貫通孔8)の延長部を包含しており、貫通孔(8)の延長部には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されていることを特徴としている。
【解決手段】窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔(平滑な内表面を有している素通しの貫通孔8)の延長部を包含しており、貫通孔(8)の延長部には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の下部走行体を構成する無限軌道帯の一部品である無限軌道帯用リンクの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における無限軌道帯(履帯)における一部分の側面を図6で示し、図6のX−X断面を図7に示す。
図6および図7において、全体を符号200で示す無限軌道帯は複数の「駒」(無限軌道帯の一単位)から構成されており、各駒は、履板Rと、履板Rに結合された無限軌道帯用リンク101と、隣接する駒同士を接続するピンP(図6、図7では、ブッシュに嵌合している)とを有している。
図6および図7において、符号Bは履板Rと無限軌道帯用リンク101を締結させるためのボルトを示し、符号Nは当該ボルトに係合する同ナットを示し、符号OはピンPの中心軸を示している。
【0003】
図6で示すリンク101では、2個所に窓孔50が形成されている。そして、図6および図7で示す無限軌道帯用リンク101では、1個のリンク101の履板R側から窓孔50まで貫通された貫通孔にボルトBを挿入し、窓孔50にナットNを配置し、ボルトBとナットNとを係合させることにより、履板Rとリンク101とを締結している。
【0004】
図8、図9は無限軌道帯用リンク101を示している。そして、図8は無限軌道帯用リンク101の側面を示し、図9は図8のX−X矢視断面を示している。
【0005】
図8において、無限軌道帯用リンク101は、長手方向の両端部(左端部1、右端部2)にピンPを貫通させる第1の貫通穴(左端部1側)3と、ブッシュBuを貫通させる第2の貫通穴(右端部2側)4とが形成されている。
図9をも参照して、第1の貫通穴3は、開口部32と貫通孔31とが同心に形成されており、貫通孔31は開口部32に比較して小径に形成されている。
【0006】
図9で示すように、駒同士を連結した場合において、第2の貫通穴4の下方側の開口部42は、図9において2点鎖線で示す別のリンク101(隣接する駒のリンク)における第1の貫通穴3の開口部32(図9においてはかっこ付きの符号32で示す)と、概略面一で向き合うように構成されている。
【0007】
図8で示すように、第1の貫通穴3と第2の貫通穴4との間の領域には2つの窓孔50、50が形成されている。
ここで、リンク下部6の下端面(図8における下側の端面)は、履板R(図6、図7)の取付け面6aを構成する。そして、履板取付け面6aから履板取付け面6aに直交する方向(図8では上下方向)に、前記窓孔50に貫通するボルト貫通孔80が形成されている。このボルト貫通孔80は、たとえばドリル加工によって形成される。
【0008】
図6〜図11で示すリンク101では、2つの窓孔50、50の間にはストラット(中央柱)10が設けられている。
これに対して、ストラット(中央柱)10がなく、一つの窓孔のみを形成したリンクも存在する。
【0009】
図10は、図8を参照して上述した窓孔50を、取付けボルトBおよびナットNを取り付けた状態で、拡大して示している。
ここで、無限軌道帯用リンク101は鍛造品である。そのため、窓孔50の履板取付け面6a側(図10では下側)縁部におけるナット載置位置も鍛造肌であって、図10では明確には示されていないが、凹凸が存在する。係る凹凸が存在する窓孔50の履板取付け面6a側縁部をナット用座面50bとしてナットNを載置すれば、ナットNが傾いてしまい、ナットNとボルトBとが適切に係合されず、リンク101と履板Rとの締結が不確実になってしまう恐れが存在する。
【0010】
ナット用座面50bを確保して、ナットNが傾くことなく、ナットNとボルトBとを適切に係合し、リンク101と履板Rとを確実に締結するため、従来技術においては、ナット用座面50bにブローチ加工を施している。
しかし、係るブローチ加工を施すための工程が必要となり、加工工数が増加してしまうという問題が存在する。
【0011】
図11は、ピンPおよびブッシュBuで結合された左右2つのリンク(リンク101、101)と、履板Rとを、ボルトBおよびナットNで締結する組立作業を行っている状態を示している。
たとえば、図8を参照すれば明らかなように、リンク101の窓孔50がリンク101全体に占める大きさの割合は、さほど大きくはない。一方、図11で示すように、履板Rは、リンク101に対して、かなり作業者M側に出っ張っている。
そのような状況下で、ボルトBとナットNとを視認しつつ、かつ、腕を伸ばしきった状態でナットNを手で押さえて、「位置決め」をしなければならないので、リンク101と履板Rとを締結する組立作業の効率は、従来、極めて悪かった。
【0012】
ここで、ナットNを手で押さえて、「位置決め」をすることに代えて、ナットNをリンク101に溶接して固定することも考えられる。
しかし、熱処理品であるリンク101に溶接を行うと、溶接個所が弱くなり、製品としては致命的な欠陥となる。
したがって、ナットNをリンク101に溶接することは、行うべきではない。
【0013】
再び図10において、出願人が行った解析によれば、図8における窓孔50の履板取付け面6a側(図10では下側)縁部における両端部(図10において、窓孔50の下側縁部の左右両端部)、すなわち図10においてハッチングを施した部分Cに、応力集中が発生することが明らかとなった。
ここで、係る応力集中を緩和できるように構成すれば、リンク101の各種寸法や重量などを軽減することができる。言い換えれば、同一の負荷に対して、リンク101をより軽量にすることが可能となる。
しかし、上述したような応力集中を緩和するような技術は、現時点では提案されていない。
【0014】
その他の従来技術として、たとえば、噛合い歯面を鋭角に設定した履帯用連結リンクが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術では、2つのリンク要素を組み合わせることによって1つのリンクが構成されるため、部品点数が増加することになると共に、上述した各種問題を解消することはできない。
【特許文献1】特開昭59−220467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、無限軌道帯用リンクにおける応力集中を緩和することができると共に、組立時の作業性を向上することができる無限軌道帯用リンクの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の無限軌道帯用リンク(100)は、窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔(平滑な内表面を有している素通しの貫通孔8)の延長部(8a、8a)を包含しており、貫通孔(8)の延長部(8a、8a)には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0017】
ここで、窓孔(5)の応力集中が生じる領域とは、無限軌道帯用リンクの窓孔(5)における履板側縁部の端部を意味している。
ストラット(中央柱10)を有する無限軌道帯用リンクの場合には、窓孔における履板側縁部の端部であって、ストラットに隣接していない端部が相当する。
【0018】
本発明において、前記履板結合用ボルトは高張力ボルトであるのが好ましい(請求項2)。
【発明の効果】
【0019】
上述する構成を具備する本発明によれば、窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向(図1の矢印Z方向)に延在しているので、応力集中が生じる領域における応力集中が減少し、応力集中が減少した分だけ、強度が向上する。
そして、同一の強度であれば、本発明によれば強度が向上した分だけ、軽量化が可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、貫通孔(8)の延長部(8a、8a)には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されているので、履板結合用ボルトを別途設けたナットと係合させる必要がなく、ナットの分だけ部品点数を減少することができると共に、履板結合用ボルトとナットとを係合させるためのナットを保持する作業が不必要となる。そのため、履板とリンクとの組立作業の作業性が大幅に向上する。
【0021】
従来技術においては、履板結合用ボルトにナットを締め込むためには、ナット座面を平滑にするために、ブローチ加工が必要であるが、上述のようなナットを設ける必要がない本発明によれば、ブローチ加工も不要となる。
換言すれば、本発明によれば、ブローチ加工を行うことなく、履板結合用ボルトによって履板とリンク(100)とを結合することができる。
【0022】
さらに本発明によれば、前記貫通孔(8)の内表面は平滑で、いわゆる「素通し」に構成されており、前記補強部(7)に形成された貫通孔(8)の延長部(8a、8a)に雌ねじ(9)が形成されているので、履板とリンク(100)とを位置合わせし、履板をリンク(100)の上方に位置させた状態で、履板とリンク(100)とを締結するための履板結合用ボルトを、履板側のボルト孔を介して、貫通孔(8)に差し込み、履板およびリンク(100)を軽く揺すれば、履板結合用ボルトは、雌ねじ(9)を形成した部分(延長部8a、8a)の直前の位置まで落下する。リンク(100)の素通しの部分(貫通孔8)では、履板結合用ボルトは自由落下するからである。
その状態でボルトを回転させれば、延長部に形成された雌ねじ(9)と、履板結合用ボルトとが直ちに係合するので、履板とリンク(100)とが速やかに結合されるのである。
【0023】
これに加えて、本発明によればナットをリンク(100)に固着する必要がないので、溶接によって熱処理品であるリンクおよびナットの強度を減少させてしまう恐れもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1〜図4を参照して第1実施形態を説明する。
【0025】
図1において、全体を符号100で示す無限軌道帯用リンクは、図1における左端部1に第1の貫通穴3が形成されており、右端部2に第2の貫通穴4が形成されている。第1の貫通穴3および第2の貫通穴4は、共に、図示しないピンおよびブッシュが貫通するように構成されている。
【0026】
図2において、第1の貫通穴3には、開口部32と、開口部32と同心でかつ開口部32よりも小径の貫通孔31とが形成されている。
従来技術を示す図9で説明したのと同様に、第2の貫通穴4の開口部42は、隣接する駒同士を接続した際に、図示しない別のリンクの第1の貫通穴3の開口部32と概略面一で向き合うように構成されている。
【0027】
図1において、第1の貫通穴3と第2の貫通穴4との間の領域には、2つの窓孔5、5が形成されている。
また、2つの窓孔5、5の間の領域には、中央柱10(ストラット)が設けられている。
図8で示す従来技術に係るリンク101と比較すれば明らかなように、第1実施形態に係るリンク100の窓孔5、5の履板側縁部(図1における下縁部)は、図8の従来技術のリンク101における窓孔50、50の履板側縁部(図8における下縁部)よりも、図1において上方に持ち上がって構成されている。
【0028】
図1の窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)が、図8の窓孔50、50の下縁部(履板側縁部)よりも、図1において上方に持ち上がって構成されていることは、図3を参照すれば、より明らかである。
後述するように、図3では、第1実施形態に係るリンク100と、図8の従来技術に係るリンク101とが、オーバーラップして表現されている。図3において、図8の窓孔50、50の下縁部(履板側縁部)に相当する個所は、ハッチングを付した領域C、C間の点線で示されている。そして、図3において、実線で示す構成は図1のリンク100の構成であり、窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)は、明らかに、ハッチングを付した領域C、C間の点線(図8の窓孔50、50の下縁部)よりも上方に構成されている。
【0029】
言い換えると、図1において、第1実施形態におけるリンク100の窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)よりも下方の領域であって、従来技術のリンク101の窓孔50の下縁部よりも上方に持ち上がって構成されている部分は、補強部7を形成している。
この補強部7の幅寸法(図1において紙面と垂直方向における寸法:図2における上下方向寸法)は、リンク下部6の幅寸法よりも、若干小さく形成されている。
【0030】
補強部7は、従来技術に係るリンク101で応力集中が起きていた領域(図3および図10において、ハッチングを付した領域C:図3については後述)に連続しており、かつ、応力集中が起きていた領域(図3および図10の領域C)をカバーするように設けられていることによって、集中応力を緩和させる作用を奏している。
【0031】
図1において、リンク下部6の下端面は履板取付け面6aを構成している。履板取付け面6aから窓孔5に向かって貫通孔8、8が形成されている。この貫通孔8、8は、図1の矢印Z方向すなわち履板取付け面6aに直交する方向に延在しており、ボルトB(図6参照:図1〜図5では図示せず)が挿入される。
貫通孔8、8の内径は、図1〜図5では図示しないボルトBの外径よりも大きく、若干の余裕がある寸法とすることが望ましい。ボルトBを貫通孔8、8内に挿入するのを容易にして、履板とリンクとの締結作業の効率を向上せしめるためである。
【0032】
リンク100の窓孔5、5の補強部7には、貫通孔8、8に連続する(貫通孔8、8の)延長部8a、8aが穿孔されている。
貫通孔8、8の延長部8a、8aは、貫通孔8、8と同軸であり、雌ねじ9、9が形成されている。
図示の実施形態では、貫通孔8、8の延長部8a、8aは、窓孔5、5側に貫通するように穿孔されている。ただし、延長部8a、8aは、補強部7において、「めくら孔」として穿孔されていてもよい。
【0033】
図3、図4は、従来技術のリンク101における応力集中が、第1実施形態に係るリンク100では発生しないことを、第1実施形態に係るリンク100と従来技術に係るリンク101の応力集中発生個所とをオーバーラップさせて図示することにより、説明している。
図3、図4において、破線は従来技術に係るリンク101を示し、ハッチングを付して示す領域は従来技術に係るリンク101の応力集中個所を示している。そして図3、図4において、従来技術に係るリンク101に関する符号は、かっこを付して示している。
【0034】
図8および図10を参照して述べたように、従来技術に係るリンク101では、窓孔50の履板取付け面6a側の縁部(図8および図10における下縁部)の両端(図8および図10における左右方向両端)の領域C(図3、図4、図8、図10でハッチングを付した領域)には、応力集中が生じていた。
【0035】
これに対して、上述する構成を具備する第1実施形態の無限軌道帯用リンク100によれば、従来技術に係るリンク101で応力集中が生じていた領域Cに相当する領域には、補強部7が形成されている。係る補強部7を設けたため、前記領域Cに相当する領域(従来技術に係るリンクで応力集中が生じていた領域)では応力集中が生じ難くなり、或いは、応力集中が緩和される。そして、応力集中が生じ難くなり、緩和した減少した分だけ、無限軌道帯用リンク100の強度は向上する。
そして、従来技術に係るリンク101と同一の強度とするならば、第1実施形態に係るリンク100では、応力集中が緩和されて強度が向上した分だけ、軽量化が可能である。
【0036】
また、第1実施形態の無限軌道帯用リンク100によれば、補強部7には履板結合用ボルトBと係合する雌ねじ9が形成されているので、履板結合用ボルトBを別途設けたナットと係合させる必要がなく、履板結合用ボルトとナットとを係合させるためにナットを保持する作業が不必要となる。それに加えて、ナットの分だけ、部品点数を減少させることができる。
その結果、履板とリンク100との組立作業の作業性が大幅に向上する。
【0037】
また、従来技術においては、履板結合用ボルトにナットを締め込むためには、ブローチ加工が必要となるが、第1実施形態に係る無限軌道帯用リンク100では、上述したようにナットを設ける必要がないので、ブローチ加工も不要となる。
換言すれば、第1実施形態によれば、多大な労力が必要となるブローチ加工を行うことなく、履板結合用ボルトのみによって履板とリンク100とを結合することができる。
【0038】
そして、切削工具(ブローチ)により切削加工を行うブローチ加工では、切削加工自体に労力を費やしてしまうことに加えて、段取り(ワークのセット等)にも多大な労力および時間を必要とする。
【0039】
さらに、第1実施形態によれば、前記貫通孔8の内表面は平滑で、いわゆる「素通し」に構成されており、その貫通孔8の延長部8aに雌ねじ9が形成されているので、図示しない履板とリンク100とを位置合わせし、履板をリンク100の上方に位置させた状態で、履板結合用ボルトBを履板に形成されたボルト用貫通孔(図示せず)および貫通孔8に差し込み、履板およびリンク100を軽く揺することにより、履板結合用ボルトBは、雌ねじ9を形成した部分の直前の位置まで容易に落下する。
【0040】
履板に形成されたボルト用貫通孔の内径およびリンク100の貫通孔8の内径は、履板結合用ボルトBより大径であり、かつ、内表面が平滑面となっているので、挿入された履板結合用ボルトBは、履板に形成されたボルト用貫通孔および貫通孔8内を自由落下するのである。
履板結合用ボルトBが雌ねじ9を形成した部分の直前の位置まで到達(落下)した状態で、履板結合用ボルトBを締結方向へ回転すれば、延長部8aに形成された雌ねじ9と履板結合用ボルトBとが係合して、履板とリンク100とが速やかに結合される。
【0041】
これに加えて、第1実施形態においては、ナットをリンク100に固着する必要がないので、溶接によって熱処理品であるリンクおよびナットの強度を減少させてしまう恐れもない。
【0042】
次に、図5を参照して、第2実施形態を説明する。
図1〜図4の第1実施形態では、リンク中央に2個所の窓孔5、5が形成されており、窓孔5、5の間はストラット(中央柱)10となっている。
これに対して、図5の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンク100Aでは、図1の第1実施形態に係るリンク100の二つの窓孔5、5が単一の窓孔5Aとなっており、ストラット(中央柱)10は存在しない。単一の窓孔5Aの下縁部の中央には窪み部51Aが設けられている。
【0043】
ストラット(中央柱)10が存在せず、単一の窓孔5Aが存在し、窓孔5Aの下縁部の中央には窪み部51Aが設けられた、図5の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンク100Aは、小型の掘削機械、ブルドーザに使用される。
図5の第2実施形態における上記以外の構成および作用効果については、図1〜図4の第1実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図2】図1のX-X矢視断面図。
【図3】第1実施形態に係るリンクにおいて、従来技術に係るリンクの応力集中個所に相当する位置を示す側面図。
【図4】図3のX-X断面図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図6】従来技術に係る無限軌道帯の構成の一部を示した側面図。
【図7】図6のX-X断面図。
【図8】従来技術に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図9】図8のX-X矢視断面図。
【図10】図8の窓孔周辺を詳細に示す部分側面図。
【図11】従来技術に係る無限軌道帯用リンクの組立作業を示す説明図。
【符号の説明】
【0045】
1・・・長手方向の第1の端部
2・・・長手方向の第2の端部
3・・・第1の貫通穴
4・・・第2の貫通穴
5・・・窓孔
6・・・リンク下部
6a・・・履板取付け面
7・・・補強部
8・・・貫通孔
9・・・雌ねじ
10・・・ストラット(中央柱)
100、100A・・・無限軌道帯用リンク
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の下部走行体を構成する無限軌道帯の一部品である無限軌道帯用リンクの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における無限軌道帯(履帯)における一部分の側面を図6で示し、図6のX−X断面を図7に示す。
図6および図7において、全体を符号200で示す無限軌道帯は複数の「駒」(無限軌道帯の一単位)から構成されており、各駒は、履板Rと、履板Rに結合された無限軌道帯用リンク101と、隣接する駒同士を接続するピンP(図6、図7では、ブッシュに嵌合している)とを有している。
図6および図7において、符号Bは履板Rと無限軌道帯用リンク101を締結させるためのボルトを示し、符号Nは当該ボルトに係合する同ナットを示し、符号OはピンPの中心軸を示している。
【0003】
図6で示すリンク101では、2個所に窓孔50が形成されている。そして、図6および図7で示す無限軌道帯用リンク101では、1個のリンク101の履板R側から窓孔50まで貫通された貫通孔にボルトBを挿入し、窓孔50にナットNを配置し、ボルトBとナットNとを係合させることにより、履板Rとリンク101とを締結している。
【0004】
図8、図9は無限軌道帯用リンク101を示している。そして、図8は無限軌道帯用リンク101の側面を示し、図9は図8のX−X矢視断面を示している。
【0005】
図8において、無限軌道帯用リンク101は、長手方向の両端部(左端部1、右端部2)にピンPを貫通させる第1の貫通穴(左端部1側)3と、ブッシュBuを貫通させる第2の貫通穴(右端部2側)4とが形成されている。
図9をも参照して、第1の貫通穴3は、開口部32と貫通孔31とが同心に形成されており、貫通孔31は開口部32に比較して小径に形成されている。
【0006】
図9で示すように、駒同士を連結した場合において、第2の貫通穴4の下方側の開口部42は、図9において2点鎖線で示す別のリンク101(隣接する駒のリンク)における第1の貫通穴3の開口部32(図9においてはかっこ付きの符号32で示す)と、概略面一で向き合うように構成されている。
【0007】
図8で示すように、第1の貫通穴3と第2の貫通穴4との間の領域には2つの窓孔50、50が形成されている。
ここで、リンク下部6の下端面(図8における下側の端面)は、履板R(図6、図7)の取付け面6aを構成する。そして、履板取付け面6aから履板取付け面6aに直交する方向(図8では上下方向)に、前記窓孔50に貫通するボルト貫通孔80が形成されている。このボルト貫通孔80は、たとえばドリル加工によって形成される。
【0008】
図6〜図11で示すリンク101では、2つの窓孔50、50の間にはストラット(中央柱)10が設けられている。
これに対して、ストラット(中央柱)10がなく、一つの窓孔のみを形成したリンクも存在する。
【0009】
図10は、図8を参照して上述した窓孔50を、取付けボルトBおよびナットNを取り付けた状態で、拡大して示している。
ここで、無限軌道帯用リンク101は鍛造品である。そのため、窓孔50の履板取付け面6a側(図10では下側)縁部におけるナット載置位置も鍛造肌であって、図10では明確には示されていないが、凹凸が存在する。係る凹凸が存在する窓孔50の履板取付け面6a側縁部をナット用座面50bとしてナットNを載置すれば、ナットNが傾いてしまい、ナットNとボルトBとが適切に係合されず、リンク101と履板Rとの締結が不確実になってしまう恐れが存在する。
【0010】
ナット用座面50bを確保して、ナットNが傾くことなく、ナットNとボルトBとを適切に係合し、リンク101と履板Rとを確実に締結するため、従来技術においては、ナット用座面50bにブローチ加工を施している。
しかし、係るブローチ加工を施すための工程が必要となり、加工工数が増加してしまうという問題が存在する。
【0011】
図11は、ピンPおよびブッシュBuで結合された左右2つのリンク(リンク101、101)と、履板Rとを、ボルトBおよびナットNで締結する組立作業を行っている状態を示している。
たとえば、図8を参照すれば明らかなように、リンク101の窓孔50がリンク101全体に占める大きさの割合は、さほど大きくはない。一方、図11で示すように、履板Rは、リンク101に対して、かなり作業者M側に出っ張っている。
そのような状況下で、ボルトBとナットNとを視認しつつ、かつ、腕を伸ばしきった状態でナットNを手で押さえて、「位置決め」をしなければならないので、リンク101と履板Rとを締結する組立作業の効率は、従来、極めて悪かった。
【0012】
ここで、ナットNを手で押さえて、「位置決め」をすることに代えて、ナットNをリンク101に溶接して固定することも考えられる。
しかし、熱処理品であるリンク101に溶接を行うと、溶接個所が弱くなり、製品としては致命的な欠陥となる。
したがって、ナットNをリンク101に溶接することは、行うべきではない。
【0013】
再び図10において、出願人が行った解析によれば、図8における窓孔50の履板取付け面6a側(図10では下側)縁部における両端部(図10において、窓孔50の下側縁部の左右両端部)、すなわち図10においてハッチングを施した部分Cに、応力集中が発生することが明らかとなった。
ここで、係る応力集中を緩和できるように構成すれば、リンク101の各種寸法や重量などを軽減することができる。言い換えれば、同一の負荷に対して、リンク101をより軽量にすることが可能となる。
しかし、上述したような応力集中を緩和するような技術は、現時点では提案されていない。
【0014】
その他の従来技術として、たとえば、噛合い歯面を鋭角に設定した履帯用連結リンクが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術では、2つのリンク要素を組み合わせることによって1つのリンクが構成されるため、部品点数が増加することになると共に、上述した各種問題を解消することはできない。
【特許文献1】特開昭59−220467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、無限軌道帯用リンクにおける応力集中を緩和することができると共に、組立時の作業性を向上することができる無限軌道帯用リンクの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の無限軌道帯用リンク(100)は、窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔(平滑な内表面を有している素通しの貫通孔8)の延長部(8a、8a)を包含しており、貫通孔(8)の延長部(8a、8a)には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0017】
ここで、窓孔(5)の応力集中が生じる領域とは、無限軌道帯用リンクの窓孔(5)における履板側縁部の端部を意味している。
ストラット(中央柱10)を有する無限軌道帯用リンクの場合には、窓孔における履板側縁部の端部であって、ストラットに隣接していない端部が相当する。
【0018】
本発明において、前記履板結合用ボルトは高張力ボルトであるのが好ましい(請求項2)。
【発明の効果】
【0019】
上述する構成を具備する本発明によれば、窓孔(5)の応力集中が生じる領域に補強部(7)が形成されており、その補強部(7)は履板から離隔する方向(図1の矢印Z方向)に延在しているので、応力集中が生じる領域における応力集中が減少し、応力集中が減少した分だけ、強度が向上する。
そして、同一の強度であれば、本発明によれば強度が向上した分だけ、軽量化が可能となる。
【0020】
また、本発明によれば、貫通孔(8)の延長部(8a、8a)には履板結合用ボルトと係合する雌ねじ(9)が形成されているので、履板結合用ボルトを別途設けたナットと係合させる必要がなく、ナットの分だけ部品点数を減少することができると共に、履板結合用ボルトとナットとを係合させるためのナットを保持する作業が不必要となる。そのため、履板とリンクとの組立作業の作業性が大幅に向上する。
【0021】
従来技術においては、履板結合用ボルトにナットを締め込むためには、ナット座面を平滑にするために、ブローチ加工が必要であるが、上述のようなナットを設ける必要がない本発明によれば、ブローチ加工も不要となる。
換言すれば、本発明によれば、ブローチ加工を行うことなく、履板結合用ボルトによって履板とリンク(100)とを結合することができる。
【0022】
さらに本発明によれば、前記貫通孔(8)の内表面は平滑で、いわゆる「素通し」に構成されており、前記補強部(7)に形成された貫通孔(8)の延長部(8a、8a)に雌ねじ(9)が形成されているので、履板とリンク(100)とを位置合わせし、履板をリンク(100)の上方に位置させた状態で、履板とリンク(100)とを締結するための履板結合用ボルトを、履板側のボルト孔を介して、貫通孔(8)に差し込み、履板およびリンク(100)を軽く揺すれば、履板結合用ボルトは、雌ねじ(9)を形成した部分(延長部8a、8a)の直前の位置まで落下する。リンク(100)の素通しの部分(貫通孔8)では、履板結合用ボルトは自由落下するからである。
その状態でボルトを回転させれば、延長部に形成された雌ねじ(9)と、履板結合用ボルトとが直ちに係合するので、履板とリンク(100)とが速やかに結合されるのである。
【0023】
これに加えて、本発明によればナットをリンク(100)に固着する必要がないので、溶接によって熱処理品であるリンクおよびナットの強度を減少させてしまう恐れもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1〜図4を参照して第1実施形態を説明する。
【0025】
図1において、全体を符号100で示す無限軌道帯用リンクは、図1における左端部1に第1の貫通穴3が形成されており、右端部2に第2の貫通穴4が形成されている。第1の貫通穴3および第2の貫通穴4は、共に、図示しないピンおよびブッシュが貫通するように構成されている。
【0026】
図2において、第1の貫通穴3には、開口部32と、開口部32と同心でかつ開口部32よりも小径の貫通孔31とが形成されている。
従来技術を示す図9で説明したのと同様に、第2の貫通穴4の開口部42は、隣接する駒同士を接続した際に、図示しない別のリンクの第1の貫通穴3の開口部32と概略面一で向き合うように構成されている。
【0027】
図1において、第1の貫通穴3と第2の貫通穴4との間の領域には、2つの窓孔5、5が形成されている。
また、2つの窓孔5、5の間の領域には、中央柱10(ストラット)が設けられている。
図8で示す従来技術に係るリンク101と比較すれば明らかなように、第1実施形態に係るリンク100の窓孔5、5の履板側縁部(図1における下縁部)は、図8の従来技術のリンク101における窓孔50、50の履板側縁部(図8における下縁部)よりも、図1において上方に持ち上がって構成されている。
【0028】
図1の窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)が、図8の窓孔50、50の下縁部(履板側縁部)よりも、図1において上方に持ち上がって構成されていることは、図3を参照すれば、より明らかである。
後述するように、図3では、第1実施形態に係るリンク100と、図8の従来技術に係るリンク101とが、オーバーラップして表現されている。図3において、図8の窓孔50、50の下縁部(履板側縁部)に相当する個所は、ハッチングを付した領域C、C間の点線で示されている。そして、図3において、実線で示す構成は図1のリンク100の構成であり、窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)は、明らかに、ハッチングを付した領域C、C間の点線(図8の窓孔50、50の下縁部)よりも上方に構成されている。
【0029】
言い換えると、図1において、第1実施形態におけるリンク100の窓孔5、5の下縁部(履板側縁部)よりも下方の領域であって、従来技術のリンク101の窓孔50の下縁部よりも上方に持ち上がって構成されている部分は、補強部7を形成している。
この補強部7の幅寸法(図1において紙面と垂直方向における寸法:図2における上下方向寸法)は、リンク下部6の幅寸法よりも、若干小さく形成されている。
【0030】
補強部7は、従来技術に係るリンク101で応力集中が起きていた領域(図3および図10において、ハッチングを付した領域C:図3については後述)に連続しており、かつ、応力集中が起きていた領域(図3および図10の領域C)をカバーするように設けられていることによって、集中応力を緩和させる作用を奏している。
【0031】
図1において、リンク下部6の下端面は履板取付け面6aを構成している。履板取付け面6aから窓孔5に向かって貫通孔8、8が形成されている。この貫通孔8、8は、図1の矢印Z方向すなわち履板取付け面6aに直交する方向に延在しており、ボルトB(図6参照:図1〜図5では図示せず)が挿入される。
貫通孔8、8の内径は、図1〜図5では図示しないボルトBの外径よりも大きく、若干の余裕がある寸法とすることが望ましい。ボルトBを貫通孔8、8内に挿入するのを容易にして、履板とリンクとの締結作業の効率を向上せしめるためである。
【0032】
リンク100の窓孔5、5の補強部7には、貫通孔8、8に連続する(貫通孔8、8の)延長部8a、8aが穿孔されている。
貫通孔8、8の延長部8a、8aは、貫通孔8、8と同軸であり、雌ねじ9、9が形成されている。
図示の実施形態では、貫通孔8、8の延長部8a、8aは、窓孔5、5側に貫通するように穿孔されている。ただし、延長部8a、8aは、補強部7において、「めくら孔」として穿孔されていてもよい。
【0033】
図3、図4は、従来技術のリンク101における応力集中が、第1実施形態に係るリンク100では発生しないことを、第1実施形態に係るリンク100と従来技術に係るリンク101の応力集中発生個所とをオーバーラップさせて図示することにより、説明している。
図3、図4において、破線は従来技術に係るリンク101を示し、ハッチングを付して示す領域は従来技術に係るリンク101の応力集中個所を示している。そして図3、図4において、従来技術に係るリンク101に関する符号は、かっこを付して示している。
【0034】
図8および図10を参照して述べたように、従来技術に係るリンク101では、窓孔50の履板取付け面6a側の縁部(図8および図10における下縁部)の両端(図8および図10における左右方向両端)の領域C(図3、図4、図8、図10でハッチングを付した領域)には、応力集中が生じていた。
【0035】
これに対して、上述する構成を具備する第1実施形態の無限軌道帯用リンク100によれば、従来技術に係るリンク101で応力集中が生じていた領域Cに相当する領域には、補強部7が形成されている。係る補強部7を設けたため、前記領域Cに相当する領域(従来技術に係るリンクで応力集中が生じていた領域)では応力集中が生じ難くなり、或いは、応力集中が緩和される。そして、応力集中が生じ難くなり、緩和した減少した分だけ、無限軌道帯用リンク100の強度は向上する。
そして、従来技術に係るリンク101と同一の強度とするならば、第1実施形態に係るリンク100では、応力集中が緩和されて強度が向上した分だけ、軽量化が可能である。
【0036】
また、第1実施形態の無限軌道帯用リンク100によれば、補強部7には履板結合用ボルトBと係合する雌ねじ9が形成されているので、履板結合用ボルトBを別途設けたナットと係合させる必要がなく、履板結合用ボルトとナットとを係合させるためにナットを保持する作業が不必要となる。それに加えて、ナットの分だけ、部品点数を減少させることができる。
その結果、履板とリンク100との組立作業の作業性が大幅に向上する。
【0037】
また、従来技術においては、履板結合用ボルトにナットを締め込むためには、ブローチ加工が必要となるが、第1実施形態に係る無限軌道帯用リンク100では、上述したようにナットを設ける必要がないので、ブローチ加工も不要となる。
換言すれば、第1実施形態によれば、多大な労力が必要となるブローチ加工を行うことなく、履板結合用ボルトのみによって履板とリンク100とを結合することができる。
【0038】
そして、切削工具(ブローチ)により切削加工を行うブローチ加工では、切削加工自体に労力を費やしてしまうことに加えて、段取り(ワークのセット等)にも多大な労力および時間を必要とする。
【0039】
さらに、第1実施形態によれば、前記貫通孔8の内表面は平滑で、いわゆる「素通し」に構成されており、その貫通孔8の延長部8aに雌ねじ9が形成されているので、図示しない履板とリンク100とを位置合わせし、履板をリンク100の上方に位置させた状態で、履板結合用ボルトBを履板に形成されたボルト用貫通孔(図示せず)および貫通孔8に差し込み、履板およびリンク100を軽く揺することにより、履板結合用ボルトBは、雌ねじ9を形成した部分の直前の位置まで容易に落下する。
【0040】
履板に形成されたボルト用貫通孔の内径およびリンク100の貫通孔8の内径は、履板結合用ボルトBより大径であり、かつ、内表面が平滑面となっているので、挿入された履板結合用ボルトBは、履板に形成されたボルト用貫通孔および貫通孔8内を自由落下するのである。
履板結合用ボルトBが雌ねじ9を形成した部分の直前の位置まで到達(落下)した状態で、履板結合用ボルトBを締結方向へ回転すれば、延長部8aに形成された雌ねじ9と履板結合用ボルトBとが係合して、履板とリンク100とが速やかに結合される。
【0041】
これに加えて、第1実施形態においては、ナットをリンク100に固着する必要がないので、溶接によって熱処理品であるリンクおよびナットの強度を減少させてしまう恐れもない。
【0042】
次に、図5を参照して、第2実施形態を説明する。
図1〜図4の第1実施形態では、リンク中央に2個所の窓孔5、5が形成されており、窓孔5、5の間はストラット(中央柱)10となっている。
これに対して、図5の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンク100Aでは、図1の第1実施形態に係るリンク100の二つの窓孔5、5が単一の窓孔5Aとなっており、ストラット(中央柱)10は存在しない。単一の窓孔5Aの下縁部の中央には窪み部51Aが設けられている。
【0043】
ストラット(中央柱)10が存在せず、単一の窓孔5Aが存在し、窓孔5Aの下縁部の中央には窪み部51Aが設けられた、図5の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンク100Aは、小型の掘削機械、ブルドーザに使用される。
図5の第2実施形態における上記以外の構成および作用効果については、図1〜図4の第1実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図2】図1のX-X矢視断面図。
【図3】第1実施形態に係るリンクにおいて、従来技術に係るリンクの応力集中個所に相当する位置を示す側面図。
【図4】図3のX-X断面図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図6】従来技術に係る無限軌道帯の構成の一部を示した側面図。
【図7】図6のX-X断面図。
【図8】従来技術に係る無限軌道帯用リンクの側面図。
【図9】図8のX-X矢視断面図。
【図10】図8の窓孔周辺を詳細に示す部分側面図。
【図11】従来技術に係る無限軌道帯用リンクの組立作業を示す説明図。
【符号の説明】
【0045】
1・・・長手方向の第1の端部
2・・・長手方向の第2の端部
3・・・第1の貫通穴
4・・・第2の貫通穴
5・・・窓孔
6・・・リンク下部
6a・・・履板取付け面
7・・・補強部
8・・・貫通孔
9・・・雌ねじ
10・・・ストラット(中央柱)
100、100A・・・無限軌道帯用リンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓孔の応力集中が生じる領域に補強部が形成されており、その補強部は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔の延長部を包含しており、貫通孔の延長部には履板結合用ボルトと係合する雌ねじが形成されていることを特徴とする無限軌道帯用リンク。
【請求項2】
前記履板結合用ボルトは高張力ボルトである請求項1の無限軌道帯用リンク。
【請求項1】
窓孔の応力集中が生じる領域に補強部が形成されており、その補強部は履板から離隔する方向に延在しており、かつ、履板結合用ボルトを挿入する貫通孔の延長部を包含しており、貫通孔の延長部には履板結合用ボルトと係合する雌ねじが形成されていることを特徴とする無限軌道帯用リンク。
【請求項2】
前記履板結合用ボルトは高張力ボルトである請求項1の無限軌道帯用リンク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−18758(P2008−18758A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190182(P2006−190182)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
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