説明

無電極放電ランプ

【課題】ランプ前方への配光を改善し、発光効率を向上させた無電極放電ランプを提供する。
【解決手段】外管1及び内管2を有するバルブ10と、誘導コイル5とを備えた無電極放電ランプにおいて、内管2の外壁面であって外管1の径が最大になる位置X−Xよりも下部の壁面に、再帰反射材Ra及び蛍光体Fを含有する発光膜23を形成した。これにより、従来外管蛍光体膜12からバルブ10下部へ向かって放射され、内管2の外壁面でバルブ10下部方向へ反射されていた光が、再帰反射材Raによってバルブ10上部方向へ再帰反射される。よって、ランプ前方への配光を改善することができる。また、発光膜23中の蛍光体Fから内管2の内部方向へ放射された可視光を、再帰反射材Raでランプ外方へ反射することで、発光効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明では、一般的な電球状のランプにおいて、ランプの中心から見てバルブの頂部方向を前方、口金方向を後方とする。
【0003】
従来、特許文献1に記載されたような、外管1及び外管1の内部に落ち窪んだ管状の内管2を備えた無電極放電ランプが提供されている。これを図6を参照して説明する。本従来例において、外管1及び内管2を有するバルブ10は、ガラスなどの透光性材料から形成され、その内部には希ガス及び水銀蒸気などの放電ガスが封入されている。また、外管1の内壁面には外管保護膜11及び外管蛍光体膜12が形成され、内管2の外壁面には内管保護膜21及び内管蛍光体膜22が形成されており、内管2の内部には、円筒状のフェライトコア4の外周に巻回された、誘導コイル5が収納されている。この誘導コイル5は、後述する放電プラズマPから放射される紫外線が、バルブ10内部の蛍光体を効率よく励起できるように、ほぼ外管1の径が最大になる位置に配設される。
【0004】
上記従来例の誘導コイル5に高周波電流を通電すると、バルブ10内部に誘導電磁界が発生する。このときバルブ10の内部では、上記誘導電磁界によって放電ガスが電離し、誘導コイル5の周りにドーナツ状の放電プラズマPが形成される。この放電プラズマP中では、励起された水銀原子が紫外線を放射し、この紫外線は、外管蛍光体膜12及び内管蛍光体膜22で可視光に変換され、外部に放射される。このように、無電極放電ランプはバルブ10の内部に電極を持たない構造となっているため、電極の劣化による不点灯がなく、一般の蛍光灯に比べて長寿命という特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−197031号公報
【特許文献2】特開1998−199483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような無電極放電ランプでは、発光に寄与する放電プラズマPはエネルギーを供給する誘導コイル5近傍に発生する。このため、この無電極放電ランプの配光特性は、図7に示すようにバルブ10側方で強くバルブ10頂部方向で弱くなる。従って従来の無電極放電ランプでは、ランプ前方での明るさが必要な場合には、ランプを装着する照明器具の反射板の設計によって配光を制御する必要があった。しかしこの場合、上記反射板の反射率は100%ではないため、照明器具としての発光効率は低下する。このことから、ランプ前方への配光を改善した無電極放電ランプが期待されていた。
【0007】
この課題を解決するため、特許文献1に記載された無電極放電ランプでは、図8(a)に示すように、外管1下部の内壁に紫外線及び可視光を反射する反射層14を形成し、内管2の外壁に、反射層14と同様の反射層24を形成している。本従来例では、バルブ10下部へ向かって放射された可視光が、反射層14でバルブ10頂部方向へ反射されるため、ランプ前方への配光が改善される。しかし、この方法で配光が改善できるのは、例えば図8(b)に示す楕円形のバルブ10のような、反射層14と反射層24のなす角度が大きなバルブを有するランプの場合に限られる。すなわち、例えば図6に示す形状のバルブ10や図9に示す略球形のバルブ10を有するランプの場合には、上記のように反射層14及び反射層24を形成しても、反射層14と反射層24のなす角度が小さくなるため、バルブ10下部へ向かって放射された可視光は反射層14と反射層24の間で何度も反射されることになる。このため、ランプの発光効率が低下し、ランプ前方への配光を改善する効果は小さくなるものである。従って、この方法では配光を改善するためにバルブ10の形状が限定されてしまうという課題が残る。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、バルブの形状によらずにランプ前方への配光を改善し、従来よりも発光効率を向上させた無電極放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、透光性材料から形成され、内壁に外管蛍光体膜が形成された外管及び、該外管の内部に向かって該外管の最大径の位置よりも突出して形成され、結合部で該外管と結合された内管を有し、内部に放電ガスを封入して気密封着されたバルブと、高周波電流を通電することにより該バルブ内部に高周波電磁界を発生させる誘導コイルとを備え、前記内管の外壁面であって、前記外管の径が最大になる位置と前記結合部との間にある壁面には、発光膜が形成され、前記内管の外壁面であって、前記外管の径が最大になる位置から見て前記結合部と反対方向にある壁面には、内管蛍光体膜が形成され、前記発光膜には、蛍光体及び再帰反射材が含有されていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明では、内管の外壁面であって外管の径が最大になる位置とバルブの結合部との間の壁面に、再帰反射材を含む発光膜を形成している。これによって、従来外管蛍光体膜からランプ後方へ放射され、内管で反射されてランプ後方へ向かっていた可視光の一部が、ランプ前方へ再帰反射されるため、ランプ前方への配光が改善される。また本発明では、従来内管内部に吸収されるためランプの発光効率に寄与していなかった可視光の一部を、上記再帰反射材によってランプ外方へ反射するため、従来の再帰反射材を含まない無電極放電ランプよりも発光効率を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の無電極放電ランプにおいて、前記発光膜は、前記蛍光体と前記再帰反射材の混合物を含有する、発光層を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、上記発光膜として、蛍光体と再帰反射材の混合物を含有する発光層を用いることによって、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1記載の無電極放電ランプにおいて、前記発光膜は、前記再帰反射材を含有する再帰反射層と、該再帰反射層の上層に形成された、前記蛍光体を含有する蛍光体層とを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、上記発光膜として、再帰反射層及び再帰反射層の上層に形成した蛍光体層を用いることによって、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3記載の無電極放電ランプにおいて、前記再帰反射層の下層に、反射層を形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果に加えて、再帰反射層を透過した可視光及び紫外線を反射層で反射することによって、さらに発光効率を向上させることができる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4記載の無電極放電ランプにおいて、前記反射層は、金属酸化物の微粉末で構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によれば、上記反射層を金属酸化物の微粉末で構成することによって、請求項4と同様の効果を得ることができる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の無電極放電ランプにおいて、前記再帰反射材は、球状のガラスであることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明によれば、上記再帰反射材として球状のガラスを用いることによって、請求項1〜5の発明と同様の効果を得ることができる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6記載の無電極放電ランプにおいて、前記再帰反射材の表面に、紫外線反射膜を形成したことを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明によれば、請求項6の発明と同様の効果に加えて、上記再帰反射材の表面に形成された紫外線反射膜で、紫外線を蛍光体の存在する方向へ反射して発光に寄与させることで、さらに発光効率を向上させることができる。
【0023】
請求項8の発明は、前記再帰反射材は、球状の石英であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無電極放電ランプ。
【0024】
請求項8の発明によれば、上記再帰反射材として球状の石英を用いることによって、再帰反射材の表面に紫外線反射膜を形成することなく、請求項7の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、バルブの形状によらずにランプ前方への配光を改善し、従来の無電極ランプよりも発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明の実施形態1の断面図、(b)は本発明の実施形態1の配光分布を表す図、(c)は従来の無電極放電ランプの断面図、(d)は従来の無電極放電ランプの配光分布を表す図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態1に係る発光膜23の断面図、(b)は再帰反射材Rに可視光が入射したときの光路を表す図、(c)は内管蛍光体膜22中の蛍光体Fが光を放射したときの光路を表す図、(d)は本発明の実施形態1に係る発光膜23中の蛍光体Fが光を放射したときの、光路を表す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る発光膜23の断面図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る発光膜23の断面図である。
【図5】(a)は再帰反射材Rbに可視光及び紫外線が入射したときの光路を表す図、(b)は再帰反射材Raに可視光が入射したときの光路を表す図、(c)は再帰反射材Raに紫外線が入射したときの光路を表す図である。
【図6】従来の無電極放電ランプの断面図である。
【図7】従来の無電極放電ランプの配光分布を表す図である。
【図8】(a)は別の従来例の無電極放電ランプの断面図、(b)は(a)のバルブ10を側方から見たときの概略を示す図である。
【図9】球状に形成されたバルブ10の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を、図1、図2を参照して説明する。下記説明中での上下の方向は、図1(a)の上下方向に対応している。
【0028】
本実施形態のバルブ10は、それぞれガラスなどの透光性材料から形成された、外管1と、外管1の内部に落ち窪んだ管状で、結合部100で外管1と結合された内管2と、内管2の底面から内管2の内部を通り外管1の外部に向かって突出した排気細管3とを備えている。このバルブ10の内部には、希ガス及び水銀蒸気などの放電ガスが封入されており、内管2の内部には、円筒状のフェライトコア4の外周に巻回された、誘導コイル5が収納されている。この誘導コイル5は、外管1の径が最大になる位置X−Xに配設される。上記排気細管3の内部には、バルブ10内部の水銀蒸気圧を保つための水銀アマルガム6が、金属容器7に収納されて配設されている。また、外管1の内壁面には外管保護膜11及び外管蛍光体膜12が形成され、内管2の外壁面であって外管1の径が最大になる位置X−Xよりも上部の壁面には、内管保護膜21及び内管蛍光体膜22が形成され、内管2の外壁面であって外管1の径が最大になる位置X−Xよりも下部の壁面には、内管保護膜21及び発光膜23が形成されている。また上記バルブ10は、口金8に固定されている。
【0029】
本実施形態では、図示しない高周波電源から図示しないケーブルを介して誘導コイル5に高周波電流を通電すると、バルブ10内部に誘導電磁界が発生する。このときバルブ10内部では、上記誘導電磁界によって放電ガスが電離し、誘導コイル5の周りにドーナツ状の放電プラズマPが形成される。この放電プラズマP中では、蒸気化した水銀原子が電子の衝突によって励起され、励起した水銀原子はエネルギーの低い状態に遷移する際に紫外線を放射する。この紫外線は、バルブ10の内部に形成された外管蛍光体膜12、内管蛍光体膜22、及び発光膜23で可視光に変換され、外部に放射される。
【0030】
本実施形態は、発光膜23として、内管保護膜21の上層に、図2(a)に示すように蛍光体Fと再帰反射材Raの混合物を含む発光層231を形成したことを特徴とする。ここで、再帰反射材Raは球状のガラスであり、可視光を入射すると、図2(b)に示すように入射光の入射方向に係わらず入射光の向きとは逆向きに光を出射する特性を持つ。これにより、本実施形態では、従来の無電極放電ランプでは図1(c)の矢印のようにランプ後方へ反射されていた光が、発光膜23に含まれる再帰反射材Raによって、図1(a)の矢印のようにランプ前方へ再帰反射される。よって、本実施形態では従来の無電極放電ランプよりもランプ前方への配光を改善することができる。
【0031】
ここで、発光膜23が、外管1の径が最大になる位置X−Xよりも下部の壁面だけに形成されている理由を説明する。本実施形態では、外管蛍光体膜12から放射される可視光は、外管1の径が最大になる位置X−Xで最も強くなる。一方、外管蛍光体膜12からランプ前方へ放射された可視光のうちで発光膜23に到達した光は、ランプ後方へ再帰反射される。よって、外管1の径が最大になる位置X−Xよりも上部の内管2の外壁面に発光膜23を形成すると、上記のようにランプ後方へ再帰反射される光が増加し、ランプ前方への配光が悪化することになる。このため、本実施形態では、外管1の径が最大になる位置X−Xよりも下部である内管2の外壁面だけに、発光膜23を形成している。
【0032】
ところで、従来の無電極放電ランプのように、内管2の外壁に図2(c)に示すように内管蛍光体膜22が形成されている場合には、内管蛍光体膜22中の蛍光体Fから内管蛍光体膜22の深部方向(図2(c)の左側)へ放射された可視光は、内管2内部に吸収される。このため、この光はランプの発光効率には寄与しない。これに対し、本実施形態のように、内管2の外壁に図2(d)に示すような発光膜23を形成した場合には、発光膜23中の蛍光体Fから発光膜23の深部方向(図2(d)の左側)へ放射された可視光の一部は、再帰反射材Raによって発光膜23の表側(図2(d)の右側)へ反射され、ランプ外方へ放射される。よって、本実施形態では、従来の無電極放電ランプよりも発光効率を向上させることができる。
【0033】
上記のような構成によって、本実施形態では、図1(c)のような従来の無電極放電ランプでは図1(d)のようにランプ前方に弱い配光特性を持つ配光分布を示していたものが、図1(b)の実線(点線は従来の無電極放電ランプの配光分布を表す)に示すように、ランプ前方に強い配光特性を持つ配光分布に改善される。また本実施形態では、発光膜23に再帰反射材Raを含有させることによって、発光効率を向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、従来の無電極放電ランプに比べてランプ前方への配光が13%改善された。
【0035】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を、図3を参照して説明する。なお本実施形態は、発光膜23の構成以外は上記実施形態1と同様であるので、共通の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
本実施形態の発光膜23は、内管保護膜21の上層に形成された再帰反射層232及び、再帰反射層232の上層に形成された蛍光体層233からなる。この再帰反射層232は、内管保護膜21の上層に、球状のガラスからなる再帰反射材Raを敷き詰めるようにして形成され、球状の再帰反射材Raの隙間には蛍光体Fが充填されている。
【0037】
本実施形態も、実施形態1の場合と同様、外管蛍光体膜12からランプ後方へ放射された光を発光膜23によってランプ前方へ再帰反射させることで、ランプ前方への配光を改善することができる。また、従来発光に寄与していなかった光を再帰反射材Raでランプ外方へ再帰反射させることで、発光効率を向上させることができる。
【0038】
本実施形態でも実施形態1の場合と同様、従来の無電極放電ランプに比べてランプ前方への配光が13%改善された。
【0039】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態を、図4を参照して説明する。なお本実施形態は、発光膜23の構成以外は上記実施形態1と同様であるので、共通の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態の発光膜23は、内管保護膜21の上層に形成された反射層234と、反射層234の上層に形成された再帰反射層232と、再帰反射層232の上層に形成された蛍光体層233とからなる。この反射層234は、金属酸化物の微粉末Mから構成されており、可視光及び紫外線を反射する。また、再帰反射層232は、反射層234の上層に、球状のガラスからなる再帰反射材Raを敷き詰めるようにして形成され、球状の再帰反射材Raの隙間には金属酸化物の微粉末M又は蛍光体Fが充填されている。
【0041】
本実施形態も、実施形態1又は実施形態2の場合と同様、外管蛍光体膜12からランプ後方へ放射された光を再帰反射材Raによってランプ前方へ再帰反射させることで、ランプ前方への配光を改善することができる。また、従来発光に寄与していなかった光を、再帰反射材Raでランプ外方へ再帰反射させることで、発光効率を向上させることができる。
【0042】
これに加えて、本実施形態では、放電プラズマPから放射された紫外線及び発光膜23などから放射された可視光のうちで、実施形態2において球状の再帰反射材Raの隙間を透過していた光や、再帰反射材Raで再帰反射されずに発光膜23を透過していた光を、反射層234でランプ外方へ反射することによって、実施形態2よりもさらに発光効率を向上させることができる。
【0043】
本実施形態では、従来の無電極放電ランプに比べてランプ前方への配光が14%改善された。
【0044】
(実施形態4)
本発明の第4の実施形態を、図5を参照して説明する。なお本実施形態は、再帰反射材Rbを用いる以外の構成は上記実施形態1〜3と同様であるので、共通の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。尚、再帰反射材Rbを含む発光膜23の形態としては、上記実施形態1〜3の何れの形態であってもよい。
【0045】
本実施形態は、再帰反射材Rbとして、図5(a)に示すような表面に薄い紫外線反射膜vを形成した球状のガラスを用いることを特徴とする。
【0046】
上記実施形態1〜3のような球状のガラスからなる再帰反射材Raに、可視光及び紫外線を入射すると、可視光は図5(b)のように再帰反射されるが、紫外線は図5(c)のように吸収される。よって、上記実施形態1〜3では、この紫外線はランプの発光に寄与していなかった。これに対し、本実施形態に用いるような、表面に紫外線反射膜vを形成した再帰反射材Rbに可視光及び紫外線を入射すると、入射された紫外線は図5(a)のように紫外線反射膜vで反射される。この反射された紫外線は、外管蛍光体膜12や内管蛍光体膜22、発光膜23で可視光に変換され、ランプの発光に寄与することになる。尚、紫外線反射膜vは充分薄いため、上記再帰反射材Rbに入射された可視光は、再帰反射材Raの場合と同様に再帰反射される。
【0047】
本実施形態では、上記のように再帰反射材Rbとして表面に紫外線反射膜vを形成した球状のガラスを用いることによって、上記実施形態1〜3よりもさらに発光効率を向上させることができる。
【0048】
また本実施形態では、上記のような紫外線反射膜vを形成した球状のガラスの代わりに、再帰反射材Rcとして球状の石英を用いてもよい。石英は紫外線の透過率が非常に高い。このため、球状の石英からなる再帰反射材Rcに可視光及び紫外線を入射すると、可視光と同様に紫外線も再帰反射される。従って、この再帰反射材Rcを用いた場合にも、従来発光に寄与していなかった紫外線を発光に寄与させ、発光効率を向上させることができる。
【0049】
本実施形態では、ランプの発光効率の向上が付加されることにより、従来の無電極放電ランプに比べてランプ前方への配光が16%改善された。
【符号の説明】
【0050】
1 外管
12 外管蛍光体膜
2 内管
22 内管蛍光体膜
23 発光膜
5 誘導コイル
10 バルブ
P 放電プラズマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料から形成され、内壁に外管蛍光体膜が形成された外管及び、該外管の内部に向かって該外管の最大径の位置よりも突出して形成され、結合部で該外管と結合された内管を有し、内部に放電ガスを封入して気密封着されたバルブと、高周波電流を通電することにより該バルブ内部に高周波電磁界を発生させる誘導コイルとを備え、
前記内管の外壁面であって、前記外管の径が最大になる位置と前記結合部との間にある壁面には、発光膜が形成され、前記内管の外壁面であって、前記外管の径が最大になる位置から見て前記結合部と反対方向にある壁面には、内管蛍光体膜が形成され、
前記発光膜には、蛍光体及び再帰反射材が含有されていることを特徴とする無電極放電ランプ。
【請求項2】
前記発光膜は、前記蛍光体と前記再帰反射材の混合物を含有する、発光層を備えていることを特徴とする請求項1記載の無電極放電ランプ。
【請求項3】
前記発光膜は、前記再帰反射材を含有する再帰反射層と、該再帰反射層の上層に形成された、前記蛍光体を含有する蛍光体層とを備えていることを特徴とする請求項1記載の無電極放電ランプ。
【請求項4】
前記再帰反射層の下層に、反射層を形成したことを特徴とする請求項3記載の無電極放電ランプ。
【請求項5】
前記反射層は、金属酸化物の微粉末で構成されていることを特徴とする請求項4記載の無電極放電ランプ。
【請求項6】
前記再帰反射材は、球状のガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無電極放電ランプ。
【請求項7】
前記再帰反射材の表面に、紫外線反射膜を形成したことを特徴とする請求項6記載の無電極放電ランプ。
【請求項8】
前記再帰反射材は、球状の石英であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無電極放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−225553(P2010−225553A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74451(P2009−74451)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】