説明

焦点検出装置

【課題】複数のラインセンサを設けた焦点検出装置において、測距範囲を広げながら精度よく焦点検出する。
【解決手段】一眼レフ型デジタルカメラ等に設けられるAFモジュールであって、ラインセンサ群EA1、EA2、EB1、EB2を十字状に配置したAFモジュールの焦点検出部において、ラインセンサLSA9をモニタリングするモニタセンサLMA9のサイズを、投影領域の中心部C1の側に配置されるモニタセンサLM5のサイズよりも小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフ型カメラなどの撮影装置に搭載される焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフ型カメラでは、自動焦点調節(AF)機構として位相差方式の焦点検出装置が搭載されている。焦点検出装置は、コンデンサーレンズ、セパレータレンズを含む結像光学系を備え、結像光学系による投影エリアには、ラインセンサをそれぞれ並列させた複数のラインセンサ群が2つ1組となって2次元的に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
結像光学系は、被写体からの光束を瞳分割し、一対の被写体像を一対のラインセンサ群に投影する。光電変換によって各ラインセンサから画素信号が出力され、2つの被写体像の結像位置、すなわち位相差が画素信号から検出される。この位相差がデフォーカス量を表し、合焦状態であるか判断されるとともに、焦点がずれている場合、焦点ずれの方向およびずれ量が求められる。
【0004】
通常、ラインセンサは電荷蓄積型センサであり、ラインセンサの側に配置されるモニタセンサによって電荷蓄積時間が調整される(特許文献2参照)。フォトダイオードなどの光電変換素子を備えたモニタセンサは、ラインセンサがダイナミックレンジを超える光を受光してオーバフローするのを防ぐため、対象となっているラインセンサの光強度(光量)をリアルタイムで検出し、モニタ信号を出力する。
【0005】
各ラインセンサの受ける光量は被写体の明るさ分布によって異なるため、ラインセンサの電荷蓄積時間はセンサ毎に独立制御されている。モニタ信号が所定値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積(積分)が終了し、蓄積電荷が一時的にメモリ等に格納される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、一連の画素信号が被写体像の画像信号として出力され、デフォーカス量を求める演算処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−205694号公報
【特許文献2】特開2006−145792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
結像光学系によって規定される投影領域の周辺部は、減光やケラレ等の光学特性によって光量が十分に届かない。その結果、投影領域周辺部のリニアセンサをモニタリングするモニタセンサの受光量は、投影領域中心部に配置されたモニタセンサに比べて少ない。ラインセンサの電荷蓄積時間はモニタセンサの受光量で調整されるため、周辺部に配置されたラインセンサは、ダイナミックレンジを超えるまで電荷蓄積する恐れがある。
【0008】
このような光量不足を解消するため方法として、投影領域周辺部にラインセンサを配置することを回避、制限することが考えられる。しかしながら、画面全体に対し精度よく焦点検出を行うためには、投影周辺部付近にもラインセンサを配置することが要求される。測距範囲が制限されると、高機能の自動焦点調節をすることが難しい。
【0009】
一方、光量不足を解消するために投影領域サイズを大きくすることも考えられるが、結像光学系の大型化を伴う。搭載スペースに制限があるカメラ等に光学系大型化を採用することは、製造の観点から見ても難しい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の焦点検出装置は、測距範囲を最大限利用しながら精度ある焦点検出可能であって、カメラなどの撮影装置に搭載可能な焦点検出装置であり、被写体からの光を結像する結像光学系と、結像光学系の投影領域に配列した複数のラインセンサと、複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する出力手段とを備える。
【0011】
ラインセンサは、例えばCMOSセンサ、CCDセンサであり、複数の光電変換素子によって構成される。また、モニタセンサにおいても、複数の光電変換素子(フォトダイオードなど)によって構成される。焦点検出方法としては、位相差方式に従って焦点検出すればよく、結像光学系が瞳分割によって対になる被写体像対を形成し、出力手段が対になる被写体像の画像信号を別々に出力し、2つの被写体像の位相差からデフォーカス量を求めるように構成すればよい。
【0012】
また、縦横パターンなど様々なパターンに対応して焦点を検出するのが望ましいことから、ラインセンサをそれぞれ並列させた複数のラインセンサ群を2次元的に配置(例えば十字状に配置)してもよい。結像光学系は、各ラインセンサ群に対して被写体像を投影し、これによってラインセンサ群毎に投影領域が規定される。
【0013】
結像光学系によって規定される投影領域は、その結像光学系の特性に従ってそのサイズ、形状が変わる。投影領域にラインセンサを最大限配列しようとすると、その両端部すなわち最外部のラインセンサは、その一部が投影領域外にまで延び、あるいは、投影領域境界付近にラインセンサ先端部が位置する。モニタセンサはラインセンサの側に並んでいるため、最外部のラインセンサをモニタリングするモニタセンサは、投影領域境界付近に配置される。
【0014】
本発明では、少なくとも配列最外部のラインセンサに応じたモニタセンサのサイズが、投影領域内に収まるように、投影領域中心部付近にあるモニタセンサよりも小さい。
【0015】
投影領域が円状、楕円状である場合、モニタセンサを対応するラインセンサの投影領域中心部側に配置しても、その一部が投影領域外に位置し、あるいは投影領域の境界付近まで達する可能性がある。本発明によれば、焦点検出するとき、最外部のモニタセンサは、十分な光量によって受光可能となり、モニタセンサの受光量をリアルタイムで正確に出力することができる。
【0016】
投影領域中心部に近いほど光量減少の恐れが少ないことを考慮すれば、最外部のラインセンサに応じたモニタセンサだけでなく、それ以外のすべてのモニタセンサに対しても、それぞれ対応するラインセンサの投影領域中心部側に配置してもよい。
【0017】
特に、対応するラインセンサを出来る限りカバーしながら投影領域の境界からできるだけモニタセンサを離すのが望ましい。そのため、複数のモニタセンサのサイズを、投影領域の境界に合わせてサイズを設定し、投影領域中心部から離れるほど小さくなるように構成するのがよい。
【0018】
CMOS型ラインセンサなどの場合、シフトレジスタなどのロジック回路と光電変換素子を同じエリアに設置するのは製造工程が煩雑になる。また、素子分離領域(無効領域)が増加し、光電変換領域の確保がこれによって制限され、感度向上の妨げになる。これを解消するため、複数のモニタセンサを、ラインセンサ間においてラインセンサ配列方向に隣り合わせる構成にすればよい。
【0019】
また、配列最外部となる両端のラインセンサに応じたモニタセンサそれぞれを、投影領域内に収まるように、対応するラインセンサの投影領域中心部側に配置することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明によれば、測距範囲を広げながら精度よく焦点検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態である一眼レフ型デジタルカメラの模式的内部構成図である。
【図2】焦点検出部のブロック図である。
【図3】ラインセンサおよびモニタセンサの模式的配置を示した図である。
【図4】第2の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【図5】第3の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【図6】第4の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【図7】第5の実施形態におけるラインセンサとモニタセンサの配置を示した図である。
【図8】第6の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照して本実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
【0023】
図1は、第1の実施形態である一眼レフ型デジタルカメラの模式的内部構成図である。
【0024】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備え、本体12内部には、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、クイックリターンミラー18、フォーカルプレーンシャッタ20、CCDなどの撮像素子22が設けられている。
【0025】
ペンタプリズム16の傍に配置される測光IC23は、TTL測光方式に従い、クイックリターンミラー18上方に配置されるピント板17によって形成される被写体像の明るさを検出する。また、クイックリターンミラー18の下方に配置されるAFモジュール24は、位相差方式に従って合焦状態を検出する。
【0026】
ROM36、RAM37、CPU38を含むシステムコントロール回路30はカメラ動作を制御し、周辺制御回路32、表示部33、AFモジュール24、測光IC23、EEPROM39等に制御信号を出力する。周辺制御回路32は、フォーカルプレーンシャッタ20、絞り(図示せず)、撮像素子22など露光機構を制御し、また、レンズメモリ13からレンズ情報を取得する。
【0027】
カメラ10がON状態になると、撮影可能な撮影モードに設定される。撮影光学系15を通った光は、クイックリターンミラー18によってペンタプリズム16へ導かれ、ユーザーはファインダ(図示せず)を通して被写体を視認する。撮影のためレリーズボタン(図示せず)が半押しされると、測光IC23は被写体の明るさを検出し、AFモジュール24は合焦状態を検出する。
【0028】
撮影光学系15を通った光の一部は、クイックリターンミラー18を透過し、サブミラー19によってAFモジュール24に導かれる。AFモジュール24は、コンデンサーレンズ26、セパレータマスク29、セパレータレンズ27、焦点検出部40を備え、撮像面(撮像素子22の受光面)と等価な位置(共役面)に配置されたセパレータマスク29によって分割された被写体像は、セパレータレンズ27によって焦点検出部40に再結像される。焦点検出部40は、対になって投影された被写体像の画像信号を出力する。
【0029】
システムコントロール回路30は、AFモジュール24から送られてくる画像信号に基づき、デフォーカス量および焦点調節を行う。すなわち、AFモジュール24によって検出されるデフォーカス量およびピントずれの方向に従い、AFモータドライバ34へ制御信号を出力する。AFモータ35は、AFモータドライバ34からの駆動信号に基づき、撮影光学系15内のフォーカシングレンズをシフトさせる。合焦状態に達するまで一連の焦点検出、レンズ駆動が行われる。
【0030】
レリーズボタン半押し状態において焦点調節が行われ、被写体の明るさが検出されると、システムコントロール回路30は、露出値、すなわちシャッタースピードおよび絞り値を演算、決定する。レリーズボタンが全押しされると、一連の記録動作処理が実行される。すなわち、クイックリターンミラー18、絞り、およびシャッタ20の動作によって被写体像が撮像素子22に形成され、1フレーム分の画像信号が撮像素子22から信号処理回路25へ出力される。信号処理回路25ではデジタル画像データが生成され、画像データが図示しないメモリーカード等の記録媒体へ格納される。
【0031】
図2は、焦点検出部のブロック図である。
【0032】
焦点検出部40は、CMOS型ラインセンサを複数配設させた一体型基板によって構成される。焦点検出部40の表面には、被写体像の縦方向に沿った基板上下方向にラインセンサ群EA1、EA2が設置され、被写体像の横方向に沿った基板左右方向にラインセンサ群EB1、EB2が設置されている。ラインセンサ群EA1、EA2、およびEB1、EB2はそれぞれ基板中心部を挟んで互いに対向する。
【0033】
コンデンサーレンズ26、セパレータマスク29、セパレータレンズ27を含む結像光学系は、瞳分割によって被写体像を2組の被写体像対を形成し、ラインセンサ群EA1、EA2の配置された投影領域、およびラインセンサ群EB1、EB2の配置された投影領域に対し、一対の被写体像をそれぞれ結像させる。
【0034】
各ラインセンサ群は、所定間隔で左右もしくは上下方向に並ぶ複数のラインセンサによって構成され、ラインセンサ群EA1、EA2のラインセンサは左右方向に沿って並列し、ラインセンサ群EB1、EB2のラインセンサは上下方向に沿って並列している。各ラインセンサは、1次元配列させた複数の光電変換素子(ここではフォトダイオード)によって構成されている。
【0035】
ラインセンサ群EA1は、9つのラインセンサLSA1〜LSA9によって構成されており、基準ラインセンサとして機能する。一方、ラインセンサ群EA2を構成するラインセンサLSA11〜LSA19は、参照ラインセンサとして機能する。同様に、ラインセンサ群EB1を構成するラインセンサLSB1〜LSB5は基準センサ、ラインセンサ群EB2を構成するラインセンサLSB6〜LSB10が参照ラインセンサとして機能する。
【0036】
ラインセンサ群EA1、EB1には、それぞれ一連のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5がラインセンサの側に配置されている。モニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5は、ラインセンサの領域を複数に分割するように、複数のフォトダイオードから構成される。
【0037】
モニタセンサLMA1〜LMA9は、それぞれラインセンサLSA1〜LSA9の側面、長手方向に沿ってライン状に配置され、受光量(光強度)をモニタ信号として出力する。モニタセンサLMB1〜LMB5も、ラインセンサLSB1〜LSB5の受光量をモニタリングするためにモニタ信号を出力する。
【0038】
また、ラインセンサ群EA1のLSA1〜LSA9、ラインセンサ群EB1のラインセンサLSB1〜LSB5の側には、画素信号読出し用の垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSS1〜VSS5が設置されており、ラインセンサ群EA2、EB2の各ラインセンサに対しても、垂直シフトレジスタVSR11〜VSR19、VSS6〜VSS10が同様に配置されている。さらに、ラインセンサ群EA1、EB1の各モニタセンサの傍には、黒レベルを検知するためのモニタセンサ(図示せず)が配置される。
【0039】
AGC回路42A〜42Cは、各モニタセンサから逐次出力されるモニタ信号値を閾値と比較する。閾値は、焦点検出に必要な光量が対象となるラインセンサに入射しているか否かを判断する指標値であり、ラインセンサのダイナミックレンジオーバーを防止するように設定されている。
【0040】
モニタ信号値が閾値を超えると、焦点検出に必要な光量がラインセンサに入射しているため、対応するラインセンサ、すなわちモニタリング対象となっているラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる制御信号を出力する。ラインセンサに制御信号が送信されると、電荷蓄積が終了するとともに、一時的に電荷がラインセンサ内で格納される。
【0041】
ラインセンサの電荷蓄積時間は、ラインセンサ毎に独立制御され、被写体の光強度分布に応じて各ラインセンサの電荷蓄積時間が個別に調整される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、各ラインセンサの傍に配置された垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSR11〜VSR19、VSS1〜VSS5、VSS6〜VSS10および水平シフトレジスタ45、46により、画素信号は出力回路(図示せず)に送られる。
【0042】
出力回路に送られた画素信号は、画像信号として出力回路からシステムコントロール回路30へ送られる。システムコントロール回路30では、画像信号の位相差からデフォーカス量を検出する。
【0043】
論理回路44は、AGC回路42A〜42C、垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSR11〜VSR19、VSS1〜VSS5、VSS6〜VSS10および水平シフトレジスタ45、46を制御し、モニタ信号に対する閾値を設定するとともに、モニタセンサの黒レベルに基づいたオフセット値を設定する。
【0044】
図3は、ラインセンサおよびモニタセンサの模式的配置を示した図である。ここでは、それ以外の図2に示した焦点検出部の回路、素子を省略している。以下、モニタセンサの配置について説明する。
【0045】
上述したように、焦点検出部40の表面に規定される投影領域のサイズ、形状は、AFモジュール24の結像光学系の特性に従う。縦方向のラインセンサ群EA1では、投影領域PA1を最大限利用できるように9つのラインセンサLSA1〜LSA9が投影領域一杯に配置されている。そのため、図3に示すように、ラインセンサ群EA1の両端に配置されたラインセンサLSA1、LSA9の一部は、投影領域PA1からはみ出ている。ラインセンサ群EB1においても、両端のラインセンサLSB1、LSB5の一部が投影領域PB1から外れている。
【0046】
本実施形態では、ラインセンサ群EA1、EB1の両端にあるラインセンサLSA1、LSA9、LSB1、LSB5をそれぞれモニタリングするモニタセンサLMA1、LMA9、LMB1、LMB5が投影領域PA1、PB1内に収まるように構成されている。具体的には、ラインセンサLSA9をモニタリングするモニタセンサLMA9が、投影領域PA1の中心部C1の側に配置されている。また、モニタセンサLMB1が、対応するラインセンサLSB1の2つの側面のうち中心部C2の側に沿って配置されている。
【0047】
ラインセンサ群EA1のモニタセンサLMA1〜LMA9のうち、8つのモニタセンサLMA1〜LMA8は対応ラインセンサLSA1〜LSA8の右側に配置されており、モニタセンサLMA9だけが、ラインセンサLSA9の逆側である左側に配置されている。図3には、モニタセンサLMA9を対応ラインセンサLSA9の右側に配置したときのモニタセンサの位置を破線M0で示している。
【0048】
このようにモニタセンサLMA9を配置することによって、モニタセンサLMA9の全体が投影領域PA1内に収まり、カバーされることになる。モニタセンサLSB1も、投影領域の中心部C2の側に配置されることによって、投影領域PA2内に全体が収まる。
【0049】
このように本実施形態によれば、ラインセンサ群EA1、EA2、EB1、EB2を十字状に配置したAFモジュール24において、ラインセンサLSA9をモニタリングするモニタセンサLMA9が投影領域PA1の中心部C1の側に配置されている。また、ラインセンサ群EB1に設けられたモニタセンサLMB1も、ラインセンサLSB1の2つの側面のうち投影領域PA2の中心C2に近い側に配置されている。その結果、モニタセンサLM9の検出する光量がラインセンサLSA9に入射する光の光量とほぼ同等になり、電荷蓄積時間を確実に制御し、ラインセンサLSA9のオーバフローを防止する。
【0050】
これにより、投影領域周辺部においてもラインセンサに入射する光の光量を適切にモニタリングすることができ、投影領域全体をカバーするように数多くのラインセンサを配置することができる。これにより、結像光学系の設計変更を必要とせずに測距範囲を広げ、かつ精度よく被写体像の位相差、すなわちデフォーカス量を検出することが可能となり、優れたAF調整が行われる。
【0051】
次に、図4を用いて、第2の実施形態である一眼レフ型カメラについて説明する。第2の実施形態では、各モニタセンサが、投影領域の中心部側に沿って配置される。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0052】
図4は、第2の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【0053】
ラインセンサ群EA1に設けられたモニタセンサLMA1〜LMA4は、ラインセンサLSA1〜LSA4に対して右側、すなわち中心部側に沿って配置されている。一方、モニタセンサLMA6〜LMA9は、対応するラインセンサLSA6〜LSA9に対して左側、すなわち中心部側に沿って配置されている。このように、モニタセンサLMA1〜LMA9は中心部C1に対し概ね対称的な配列構成になっている。ラインセンサ群EB1に設けられたモニタセンサLMB1〜LMB5についても同様に構成されている。
【0054】
このような配置により、各モニタセンサは投影領域PA1の中心部側に位置することになり、光量減少の影響をよりいっそう受けずに済む。
【0055】
次に、図5を用いて、第3の実施形態である一眼レフ型カメラについて説明する。第3の実施形態では、投影領域の境界付近にあるモニタセンサが外側に配置されるとともに、モニタ長さが他のモニタセンサの長さに比べて短い。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0056】
図5は、第3の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【0057】
モニタセンサLMA9は、他のモニタセンサLMA1〜LMA8と同じように、対応するラインセンサLSA9に対して中心部の反対側、すなわち外側に配置されている。しかしながら、モニタセンサLMA9は投影領域内に収まるように配置されており、モニタセンサLMA9は、上下方向に関して対応するラインセンサLSA9の中央付近を同じく中法付近としている。そして、モニタセンサLMA9のサイズ、すなわち長さTは、他のモニタセンサLMA1〜LMA8の長さWよりも短い。ラインセンサ群EB1に設けられたモニタセンサLMB1も、同様の構成になっている。
【0058】
このような構成により、配列最外部にあるモニタセンサLMA9、LMB1が投影領域PA1、PB1内に完全に収まり、ラインセンサの光量を確実にモニタリングすることができる。
【0059】
次に、図6を用いて、第4の実施形態である一眼レフ型カメラについて説明する。第4の実施形態では、投影領域の中心部から離れた位置にあるモニタセンサほどその長さが短くなるように構成されている。それ以外の構成については、第3の実施形態と同じである。
【0060】
図6は、第4の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【0061】
ラインセンサ群EA1に対して配置されたモニタセンサLMA1〜LMA9は、長さを変えたモニタセンサの集合であり、モニタセンサLMA5が最も長く、モニタセンサLMA4、LMA6がその次に長く、モニタセンサLMA3、LMA7、モニタセンサLMA2、LMA8、モニタセンサLMA1、LMA9の順に短くなっていく。
【0062】
このような構成により、各モニタセンサの両端部が投影領域周辺部から離れることになり、ラインセンサの光量を確実にモニタリングすることができる。
【0063】
次に、図7を用いて、第5の実施形態である一眼レフ型カメラについて説明する。第5の実施形態では、投影領域中心部から離れるほどモニタセンサの長さが短くなるのに加え、第2の実施形態と同様、モニタセンサが投影領域の中心部側に配置されている。それ以外の構成については、第4の実施形態と同じである。
【0064】
図7は、第5の実施形態におけるラインセンサとモニタセンサの配置を示した図である。
【0065】
第5の実施形態では、第2の実施形態のように、モニタセンサLMA1〜LMA4、LMA6〜LMA9が、それぞれ対応ラインセンサの投影領域中心部側に配置される。また、第4の実施形態と同様、モニタセンサの長さは投影領域中心部から離れるセンサほど短くなる。ラインセンサ群EB1に対して設置されたモニタセンサLMB1〜LMB5も、同様に構成されている。
【0066】
次に、図8を用いて、第6の実施形態である一眼レフ型カメラについて説明する。第6の実施形態では、隣り合うラインセンサの間に2つのモニタセンサが隣接配置される。それ以外の構成については、第3の実施形態と同じである。
【0067】
図8は、第6の実施形態におけるラインセンサおよびモニタセンサの配置を示した図である。
【0068】
ラインセンサLMA1、LMA2は、ラインセンサ配列方向に沿って互いに隣り合うようにラインセンサLSA1、LSA2の間に配置されており、ラインセンサLMA3、LMA4、ラインセンサLMA5、LMA6、そしてラインセンサLMA7、LMA8も、同様に隣り合わせで配置されている。
【0069】
このようにラインセンサ間を一つ飛びに空けながら2つのモニタセンサを隣り合わせて配置することにより、焦点検出部40の製造が容易になる。図2に示したように、各ラインセンサには、垂直シフトレジスタがラインセンサの一方の側に設けられており、モニタセンサとは反対側に配置される。本実施形態のように2つのモニタセンサがラインセンサ間に配置されると、モニタセンサの設けられていないラインセンサ間に垂直シフトレジスタが設けられる。
【0070】
したがって、ラインセンサ間では、シフトレジスタなどのロジック回路を配設する領域と、光電変換素子を配置する領域が交互に現れることになる。その結果、MOS型チップによって焦点検出部を製造するとき、基板内部構造が異なるロジック領域と光電変換素子領域がラインセンサ間で混合することが無くなるので、素子分離領域(無効領域)を削減することができ、その分だけ光電変換領域を拡張して感度向上を行うことが出来る。また基板製造も容易となる。
【0071】
なお、投影領域が十分確保できてモニタセンサが投影領域を外れない場合、第1、第3の実施形態のような最外部のモニタセンサの配置を考慮せずに第6の実施形態を構成してもよい。
【0072】
測距については、多点測距、あるいは画面中心部のみ測距するように構成してもよく、ラインセンサ数、ラインセンサ群の数、および、ラインセンサの配列方向は任意である。
【0073】
一眼レフ型カメラ以外のカメラに適用してもよく、携帯電話などカメラ機能を備えた撮影装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 一眼レフ型デジタルカメラ
24 AFモジュール(焦点検出装置)
27 コンデンサーレンズ
28 セパレータレンズ
29 セパレータマスク
30 システムコントロール回路
40 焦点検出部(出力手段)
EA1 ラインセンサ群
LSA1〜LSA9 ラインセンサ
LMA1〜LMA9 モニタセンサ
PA1 投影領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系の投影領域に配列した複数のラインセンサと、
前記複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、
前記複数のラインセンサに蓄積された電荷に基づいて被写体像の画像信号を出力する出力手段とを備え、
少なくとも配列最外部のラインセンサに応じたモニタセンサのサイズが、投影領域内に収まるように、投影領域中心部付近にあるモニタセンサのサイズよりも小さいことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
前記複数のモニタセンサが、それぞれ対応するラインセンサの投影領域中心部側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記複数のモニタセンサのサイズが、投影領域中心部から離れるほど小さくなることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記複数のモニタセンサが、ラインセンサ間においてラインセンサ配列方向に隣り合うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記複数のラインセンサが、それぞれ複数のラインセンサを並列させた複数のラインセンサ群を有し、
前記結像光学系が、各ラインセンサ群に対して被写体像を投影することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項6】
配列最外部となる両端のラインセンサに応じたモニタセンサそれぞれが、投影領域内に収まるように、対応するラインセンサの投影領域中心部側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載された焦点検出装置を備えた撮影装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−101382(P2013−101382A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7395(P2013−7395)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2009−150890(P2009−150890)の分割
【原出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】