説明

焼却灰を処理する方法

本発明は廃棄物焼却装置の焼却灰を処理する方法に関する。本発明は特に工場の廃棄物焼却装置の焼却灰を処理する方法に関する。発明によると、予め所定の成分を除去した2mm以下のサイズの焼却灰を処理する。処理工程には有機成分の除去、重金属の除去、イオンの除去および50μm以下のフラクションの除去の少なくとも1つの工程が含まれる。非鉄重金属は除去するが鉄金属はフラクションに残すことが好ましい。処理工程の少なくとも1つには湿式処理が含まれることが最も好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部分に記載された廃棄物焼却装置の焼却灰を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却装置の焼却灰の処理は当技術分野で公知である。この処理の目的は焼却灰に含まれる様々な成分を分離することにある。焼却灰を処理する技術は、例えば、下記のBAT出版物(非特許文献1)に述べられている。鉄金属および非鉄金属の両方を焼却灰から分離できることが報告されている。
【0003】
前記BAT出版物では、0−2mmサイズの微細フラクションは処理できないので、除去する必要があると記載されている。可溶成分の大部分はこの微細フラクションに含まれているというのがその理由である。その結果、2mmを超えるサイズである残りの生成物フラクションは全焼却灰流ほど容易に溶出することはない。この残りの生成物フラクションをさらに処理して、広範な領域の使用に適した処理された材料にする。
【非特許文献1】BAT(ベスト・アベイラブル・テクノロジー)、ヨーロッパ・ユニオンの出版物、Pj/EIPPCB/WI、2004年3月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は焼却灰を処理する改良された方法を提供することである。
本発明の特別の目的は焼却灰を処理する改良された方法であって、廃棄物焼却装置で生成された焼却灰の大部分が処理される。
【0005】
特に発明の目的は前述した種類の改良された方法を提供することであり、2mm以下のフラクションも適切に処理できる。
本発明のさらなる目的は焼却灰の大部分を再使用する可能性を提供することである。
【0006】
最後に本発明の目的は除去の必要な焼却灰の総量を減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的の少なくとも1つを達成するために、本発明は請求項1の手段で特徴付けられる前述の方法を提供する。
処理は下記工程の少なくとも1つを備える。
【0008】
−非鉄重金属の除去
−有機成分の除去
−0から50μm、好ましくは0〜45μmサイズの粒子の除去
上記処理工程の少なくとも1つを実施することで、改良された生成物は再使用に適したものとなる。
【0009】
驚くべきことに、2mm以下のサイズのフラクションを処理することによって、このように良好で再使用可能な生成物が提供される。前述のBAT出版物は特別な技術領域に存在する最も開発の進んだ方法を述べている。このため、技術的並びに経済的観点から最も開発の進んだ方法を概観するため、この技術を広範に検討する。
【0010】
2mm以下のサイズのフラクションは廃棄物焼却装置で生成された焼却灰の全重量の約47%を構成する。このため、焼却灰流からまずサイズ2mm以下の範囲のフラクションを分離し、次に分離した焼却灰を請求項1に記載された方法によって処理することが好ましい。
【0011】
従来技術によると焼却灰の量のほぼ半分が廃棄物として除去されるが、これに対し本発明の方法では適切に処理可能である。
さらに好ましい実施形態によると、処理工程の少なくとも1つに湿式処理が含まれることが本発明の特徴となる。処理されるべきフラクションから少なくともいくつかの可溶成分が除去されることがこの湿式処理工程の利点である。湿式処理工程は、例えば、水を使用して実施するのが好ましい。
【0012】
フラクションから重金属を除去した後、除去した鉄金属量の少なくとも一部をフラクションに戻すことがさらに好ましい。驚くべきことに、このことで、フラクションから特にアンチモンの溶出が減少する。処理すべき焼却灰から微細なイオン(鉄フラクション)を除去すると、アンチモンの溶出は3倍にも増加する。
【0013】
したがって、さらに好ましい実施形態によると、発明による方法は鉄金属ではなく非鉄重金属のみを除去する工程が含まれる。
特に、0から50μmサイズ、好ましくは0から45μmサイズのフラクションを除去することと、有機材料、非鉄重金属およびイオンを除去する前述の工程とを組み合せた結果として第1級建築材料として使用できる生成物となることがわかった。
【0014】
したがって、発明は次の工程を組み合せることが好ましい。
−非鉄重金属の除去
−有機成分の除去
−イオンの除去
−0から50μm、好ましくは0〜45μmサイズのフラクションの除去
この結果、オランダ建築材料規格(法令集1995、567)の第1級建築材料の基準を満足する生成物となる。
【0015】
除去可能なイオンには特に塩化物が含まれる。しかし、硫酸塩などのような他のアニオンならびにカチオンは処理すべき焼却灰から出来る限り除去することが好ましい。
処理された焼却灰フラクションを例えば、セメントなどと組み合せた結合形態で使用する場合は、鉄金属を除去することが特に好ましい。このことは、処理されたフラクションをコンクリートおよびケイ酸カルシウムレンガに使用する場合に特に好ましい。生成物の全体の品質は改良され第1級建築材料の基準を満たすことがわかった。この材料から地中への物質の放出は建築材料規格に定められた放出基準以下である。この理由はまだ分かっていない。
【0016】
2mm以下のサイズのフラクションの焼却灰処理は好ましくはジグ、特にサンドジグで行う。このような装置はオランダ特許出願NL1029022に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0018】
サイズが2mm以下の焼却灰フラクションの化学成分は次のとおりであった。
【0019】
【表1】

サイズが50μm以下のフラクションを除去した後で表1の焼却灰をジグに供給した。
【0020】
処理の間に有機成分と重金属とイオンを除去した。その結果、次の放出値を有する生成物となった。
【0021】
【表2】

このように、第1級建築材料の基準を満足する生成物が得られた。このことは、例えばセメントおよび/またはコンクリート中の砂の代用物として問題なく建築材料に使用できることを意味する。
【0022】
したがって、本発明は、廃棄物焼却装置で生じ従来処理できず利用できなかった焼却灰のフラクションを価値のある生成物に変換できる方法を提供するものである。上記実施例では、廃棄物として除去した焼却灰は処理した焼却灰のわずか10%であった。したがって、本発明によると、廃棄物として除去される焼却灰の合計量は47%から10%にまで減少する。
【0023】
本発明は実施例で述べた上記の工程に限定されるものではない。発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。当分野の専門家であれば均等な実施形態を得るため上記実施例を適合させて変更することが可能である。しかし、これらはすべて本発明に含まれ、したがって特許請求の範囲の保護範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物焼却装置の焼却灰を処理する方法であって、この方法は、Znの比重以上の比重を有する重金属を除去することで2mm以下のサイズの焼却灰フラクションを処理する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
Znの比重以上の比重を有する非鉄重金属を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機成分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
焼却灰から2mm以下のサイズのフラクションを分離する工程と、分離した焼却灰フラクションを請求項1に従って処理する工程とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
焼却灰から50μm以下、好ましくは45μm以下のフラクションを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの処理工程には湿式処理、好ましくは有機材料を除去する工程が含まれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
フラクションから重金属を除去した後、除去した鉄金属量の少なくとも一部をフラクションに戻すことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−513319(P2009−513319A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523823(P2008−523823)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/NL2006/050189
【国際公開番号】WO2007/013810
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(500292149)テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【出願人】(508028117)ゲメンテ アムステルダム アファル エネルギー ベドレイフ (1)
【Fターム(参考)】