説明

焼結原料装入方法

【目的】 本発明は、焼結機原料を安定的に装入して表面の凹凸が無くし、焼結鉱の品質および通気性の向上を図る焼結原料装入方法を提供する。
【構成】 シュート4を用いてパレット16上に装入された焼結原料20の原料傾斜面におけるたくれ量15を検出し、装入装置のサブゲート3開度を調整する焼結原料装入方法において、シュート4の下流側でパレット16上に装入された焼結原料の装入層厚13を検出し、その検出値が設定された目標値を下回る場合は、たくれ量15の目標値を増加させて装入装置のサブゲート3開度を調整する装入方法である。
【効果】 ガス着火性の向上,均一な焼成による歩留の向上,焼結鉱の冷間強度等の品質及び原料を焼成する際の通気性を向上することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼結機において焼結原料をパレット上に装入する際の焼結原料装入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結機において、パレット上に焼結原料(以下原料という)を装入する際、装入された後の原料の層厚を安定的に目標値に調整して、原料の表面を凹凸の無いようにするとともに、原料上層部の密度,粒度等が不均一とならないように調整することは、焼結鉱の歩留向上,冷間強度等の品質の向上はもとより、原料を焼成する際の通気性の確保を図る上で重要なことである。
【0003】この焼結機における焼結原料装入方法としては、例えば特開昭60−91184号公報,特開平2−77531号公報等にその方法が提案されている。
【0004】特開昭60−91184号公報の方法は、パレット上に装入された原料先端部の原料装入線をテレビカメラで撮影し、原料装入線が目標パターンと一致するように装入装置のサブゲート開度を調整する方法である。
【0005】また特開平2−77531号公報の方法は、超音波センサーにてパレット上に装入された原料の原料傾斜面におけるたくれ量を検出して、パレットの速度,原料の供給量を調整する方法である。
【0006】また、図3にスローピングシュート方式の装入装置、図4にスリットバー式装入装置による一般的なたくれ量の制御方法を示す。これらの方法は、たくれ量検出用超音波センサー8でたくれ量15を検出して、この検出値が設定目標たくれ量10となるように、制御装置12によって幅方向に分割されたサブゲート3の開度を調整している。
【0007】ところで焼結原料装入方法の基本は、パレット16へ装入された後の装入層厚を安定的に目標値となるように制御することであるが、装入された後の装入層厚を検出して、この値によって制御を行うことは、装入層厚の検出端の位置がどうしても装入部から離れてしまうため、制御の時間遅れが大きくなってしまう。そこで一般的には、やむを得ずにたくれ量15を検出して、このたくれ量が目標値となるように制御を行っている。
【0008】つまりこれらの焼結原料装入方法は、パレットへ装入された原料の原料傾斜部における傾斜角が常に一定であることを条件とし、単に原料傾斜部のたくれ量を検出してサブゲート開度を調整し、たくれ量を一定に制御することで装入層厚を一定に調整しようとしているものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パレットへ装入された原料の原料傾斜部における傾斜角は、原料の粒度,水分,及び原料の供給速度等によってかなり変化する。
【0010】図5にたくれ量一定の下で、原料の傾斜角14が小さくなった場合の装入層厚13の変化状況を示すが、原料の傾斜角14が小さくなった条件でたくれ量15を一定に保とうとすると、装入層厚13が目標に対して徐々に低くなるように制御される。
【0011】そして図3で示すスローピングシュート方式の装入装置においてはシュート4、図4で示すスリットバー式装入装置においてはデフレクターシュート7によって原料の表面が均されなくなる。その結果、原料の表面に凹凸ができ、ガスの着火不良による歩留の低下,冷間強度等の焼結鉱品質の低下を来してしまうことになる。
【0012】これに対して、原料の傾斜角14の変動による装入層厚13の変動を吸収できる範囲で、たくれ量15の目標値を高めに設定した場合は、図3に示すシュート4,図4に示すデフレクターシュート7で掻き取られる原料の量が多くなり、原料充填密度が高くなってしまう。その結果、焼成時における通気性の低下,高価な生石灰等のバインダーの多量使用を余儀なくされる。
【0013】本発明は上記課題に鑑みなされたもので、原料の層厚を目標値に対して一定となるよう安定的に装入して原料の表面の凹凸が無くし、焼結鉱の品質および通気性の向上を図る焼結原料装入方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、シュートを用いてパレット上に装入された焼結原料の原料傾斜面におけるたくれ量を検出し、装入装置のサブゲート開度を調整する焼結原料装入方法において、シュートの下流側で前記パレット上に装入された焼結原料の装入層厚を検出し、その検出値が設定された目標値を下回る場合は、前記たくれ量の目標値を増加させて装入装置のサブゲート開度を調整することを特徴とする焼結原料の装入方法である。
【0015】
【作用】本発明により、パレット上に装入された原料の傾斜角が小さくなって、目標の装入層厚を下回った場合でも、迅速に装入層厚の変化を検出し、たくれ量の目標値を増加させ、サブゲートの開度を調整することにより装入層厚を目標値に近づけることが可能となる。その結果、原料の充填密度を上昇させることなく、充填密度,粒度等が均一な原料表面を安定的に維持することが可能となる。
【0016】
【実施例】以下本発明の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】図1にはスローピングシュート方式の装入装置による原料装入の実施例,図2にはスリットバー式装入装置による実施例を示す。焼結原料20は、装入ホッパー1からドラムフィーダー2によって切り出され、図1ではシュート4,図2ではシュート4A,スリットバー5,シュート6,デフレクターシュート7を介してパレット16に装入される。
【0018】次に装入された原料は、層厚検出用超音波センサー9で検出されるが、目標値に対して−10〜10mm程度の差で変動している装入層厚13が、通常500〜600mm程度の範囲に設定される設定目標層厚11に対して大きな差が無い場合は、たくれ量検出用超音波センサー8で検出される通常目標値に対して−5〜5%程度の差で変動しているたくれ量15と通常40〜60%の範囲に設定される設定目標たくれ量10を制御装置12によって比較して、差が生じた場合は制御装置12によりサブゲート3の開度を調整する。
【0019】また層厚検出用超音波センサー9で検出される装入層厚13が、設定目標層厚11に対して下回った場合には、制御装置12によって設定目標たくれ量10を増加させることにより、サブゲート3の開度を装入層厚13が設定目標層厚11に近づくように、即ち開度を大きくするように調整する。
【0020】本発明に係るたくれ量検出,層厚検出用のセンサー8,9は、本実施例では超音波センサーを利用しているが、特に超音波センサーと限定するものではなく、他の非接触型のセンサー,又は接触型のセンサーでも勿論可能である。
【0021】またサブゲート3は、通常パレットの幅方向の大きさにより5〜7程度に分割されており、それぞれの幅方向のたくれ量によってその開度が調整されている。従って本発明の実施にあたっては、幅方向に分割されたサブゲート毎に、たくれ量検出センサー,及び層厚検出センサーが設置され、それぞれのサブゲート毎に開度が調整されていることが望ましい。
【0022】しかしながら設備投資額を押さえる目的で、たくれ量検出センサーについてはサブゲート毎に設置すべきであるが、層厚検出センサーと本発明による装入層厚の調整は、幅方向で重要な中心部のサブゲートに限定しても良い。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、焼結原料装入装置において装入された原料傾斜角が原料の粒度,水分,及び原料の供給速度等によって変化しても、装入された後の原料の層厚を安定的に目標値に調整して、原料の表面を凹凸が無く、上層部の密度,粒度等が不均一とならないように調整することが可能となる。
【0024】その結果、ガスの着火性の向上,均一な焼成による歩留の向上,焼結鉱の冷間強度等の品質の向上,及び原料を焼成する際の通気性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スローピングシュート方式の装入装置における本発明による装入制御方法の実施を例示する側面図である。
【図2】スリットバー式の装入装置における本発明による装入制御方法の実施を例示する側面図である。
【図3】スローピングシュート方式の装入装置における従来の装入制御方法を示した側面図である。
【図4】スリットバー式の装入装置における従来の装入制御方法を示した側面図である。
【図5】たくれ量一定の下で原料傾斜角が小さくなった場合の装入層厚の変化状況を説明する原料装入部の側面図である。
【符号の説明】
1 装入ホッパー
2 ドラムフィーダー
3 サブゲート
4,4A シュート
5 スリットバー
6 シュート
7 デフレクターシュート
8 たくれ量検出用超音波センサー
9 層厚検出用超音波センサー
10 設定目標たくれ量
11 設定目標層厚
12 制御装置
13 装入層厚
14 原料の傾斜角
15 たくれ量
16 パレット
20 焼結原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シュートを用いてパレット上に装入された焼結原料の原料傾斜面におけるたくれ量を検出し、装入装置のサブゲート開度を調整する焼結原料装入方法において、シュートの下流側で前記パレット上に装入された焼結原料の装入層厚を検出し、その検出値が設定された目標値を下回る場合は、前記たくれ量の目標値を増加させて装入装置のサブゲート開度を調整することを特徴とする焼結原料の装入方法。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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