説明

照射プラン選択のための方法および装置並びに照射システム

【課題】照射すべき標的体積の位置変化を良好な品質で考慮する照射プランをそのつど迅速かつ簡単に選択できる、照射プランの選択方法ないし装置を提供すること。
【解決手段】第1の位相においては、異なる位置を有する照射すべき標的体積が標的対象において再現されている複数の計画データレコードを検出するステップと前記各計画データレコード毎に照射プランを作成するステップとを有し、第2の位相においては検証データレコードを記録するステップと、検証データレコードと複数の計画データレコードを類似性に関して比較するステップと、検証データレコードとの最大の類似性を有している計画データレコードを、複数の計画データレコードから選択するステップと、選択された計画データレコードに対応する照射プランを選択するステップとを有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照射プランを選択するための方法および装置並びにこの種の装置を備えた照射システムに関している。この種の装置ないし方法は通常は放射線療法、特に粒子線療法の分野での使用に供される。
【背景技術】
【0002】
放射線治療の前段階においては照射プランを確定することが重要である。しかしながらこの確定は時折困難になる。なぜなら患者の内的な解剖学的構造/組織が時間と共に変化し得るからである。例えば腹部内の標的体積は日毎にその位置を変える可能性があり、あるいは数日若しくは数週間の経過のうちにその位置を変えるかもしれない。頻繁に位置を変える可能性のある典型的な器官として前立腺が挙げられる。そのため例えば前立腺の隣に存在する膀胱や直腸は当該膀胱及び/又は直腸の張満状態に応じて前立腺の位置と形態に影響を及ぼし得る。
【0003】
このような変化を考慮する手段としてセーフティマージン"safety margin"の利用がある。照射計画におけるこの種のセーフティマージンは、標的体積の内的な(呼吸性の)ずれ/変形が考慮されるように選択される。しかしながらこのようなセーフティマージンを用いることで目標容積の位置変化の悪影響が緩和されるにも係わらず、このようなセーフティマージンは、隣接する臨界的構造部、例えば膀胱や直腸の照射にもつながる可能性がある。
【0004】
学位論文"Evaluation of the therapeutical potential of heavy ion therapy for patients with locally advanced prostate cancer", Oktober 2004, Medizinische Fakultaet Heidelberg"によれば、"肉眼的腫瘍体積(GTV:gross tumor volume)"からマージンの拡張によって"臨床標的体積(CTV:clinical target volume)"を確定する構想が開示されている。"計画標的体積(PTV:planning target volume)"はとりわけ器官の動きを考慮するためにさらに付加的なセーフティマージンを付けて確定される。標的体積のサイズはさらに付加的に連続するCTデータレコードにおいて新たに再評価される。
【0005】
US2005/0201516A1明細書からは、標的体積毎に異なるセーフティマージンを付けた複数の照射プランを算出する構想が公知である(MMODS:multiple-margin optimization with daily selection)。それによりユーザーは、異なるセーフティマージンを伴う最適化された複数の照射プランから、腫瘍の位置又は大きさにおける観察すべき変化、あるいは腫瘍を取巻く組織における観察すべき変化を考慮した照射プランをリアルタイムで選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 2005/0201516 A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nikoghosyan A., "Evaluation of the therapeutical potential of heavy ion therapy for patients with locally advanced prostate cancer", Oktober 2004, Medizinische Fakultaet Heidelberg
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、照射すべき標的体積の位置変化を良好な品質で考慮する照射プランをそのつど迅速かつ簡単に選択できる、照射プランの選択方法ないし装置を提供することである。さらに本発明の課題はこの種の装置を備えた照射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は本発明の請求項1記載の方法、請求項9記載の供給装置、並びに請求項13記載の照射システムによって解決される。
【0010】
以下の明細書で方法の1つに関連して説明する有利な改善例及び利点は、装置の1つに対しても当てはまり、また装置の1つに関連して説明する有利な改善例及び利点も方法の1つに対して当てはまるものである。
本発明による照射プランの選択方法は次の方法ステップを有している。
すなわち第1の位相においては、
異なる位置を有する照射すべき標的体積が標的対象において再現されている複数の計画データレコードを検出するステップと、
前記各計画データレコード毎に照射プランを作成するステップとを有し、
第1の位相に続く第2の位相においては、
検証データレコードを記録するステップと
検証データレコードと複数の計画データレコードを類似性に関して比較するステップと
検証データレコードとの最大の類似性を有している計画データレコードを、複数の計画データレコードから選択するステップと、
選択された計画データレコードに対応する照射プランを選択するステップとを有している。
【0011】
したがって計画データレコードは予め第1の位相において記録され、有利には異なる時点で記録される。そのため照射すべき標的体積は計画データレコードにおいて異なる位置及び/又は異なる変形状態で存在する。この計画データレコードが多く記録されればされるほど、標的体積の通常生じる様々な位置ないし変形の帯域幅が検出される。但し通常は標的体積の重要な位置変化ないし形状変化の帯域幅から十分な断面を検出するのには3つから5つの計画データレコードで十分である。複数の計画データレコードの中には、照射すべき標的体積が偶然にほぼ同じ位置であったり、同じ変形状態である計画データレコードもあり得る。しかしながらこのことは、複数の計画データレコードが全体として標的体積の最重要な位置変化と形状変化をカバーしている限りは当該方法にとって何等問題にはならない。
【0012】
引き続きこのような計画データレコード毎に照射プランが作成される。この場合これらの照射プランは計画データレコードによって与えられるそれぞれの特異性に対して最適化されている。これらの計画データレコードは通常はコンピュータトモグラフィを用いて記録される。
【0013】
例えば照射が計画されている日において検証データレコードが記憶され、標的体積も同様に再現される場合には、検証データレコードと計画データレコードの間で比較が行える。この比較は、検証データレコードと各計画データレコードとの間の類似性を確定するのに用いられる。その際には例えば検証データレコードと計画データレコードの1つとの間の一致の度合を表す類似尺度が用いられてもよい。
【0014】
通常は検証データレコードも計画データレコードと同じように標的体積とその周囲の器官/組織を再現する。しかしながら検証データレコードにおいては、標的体積自体を再現することなく、とりわけ若しくは単に標的体積の位置に影響を及ぼす複数の体積部分を再現することも考えられる。
【0015】
これらの検証データレコードもコンピュータトモグラフィを用いて記録され得る。しかしながら計画データレコードのケースにおいて用いられたのとは別のイメージング様式、例えばC型アームレントゲンデバイスを用いて撮像されるコーンビームCTも利用可能である。
【0016】
また検証データレコードが単に2Dデータレコード、例えば2Dレントゲン画像であって、これらが標的体積を再現し計画データレコードと比較されるケースも考えられる。CT計画データレコードの場合には、比較に適したデジタル再構成シミュレーション画像(DRRとも称する)が生成される。またこの照射計画に対して用いられるCT計画データレコードに対しては代替的に及び/又は付加的に、2D検証イメージにマッチし比較に用いることのできる2D計画データレコードが記録されてもよい。
【0017】
計画データレコードと検証データレコードの類似性に関する比較が意味することは、検証データレコードと計画データレコードの間のそのつど存在する相違を求めて判断することである。
【0018】
類似性を評価するための尺度を求めるための手段としては種々の公知の数学的手法、例えば偏差平方和(um of squared differences)、相互相関(cross correlation)、相互情報量(mutual Information)等が利用できる。しかしながらデータレコードにおいては幾何学的距離、例えば際立った構造部ないし組織からの幾何学的距離を求めてこの幾何学的距離を用いて類似性の度合を計算することも考えられる。
【0019】
同様に検証データレコードと計画データレコードの間の類似性を検出するためにレジストレーションを実行することも考えられる。このレジストレーションは詳細には計画データレコードを検証データレコードに変換するのに必要とされるトランスフォーメーションを示している。このトランスフォーメーションルールからは計画データレコードの1つと検証データレコードの間の類似性を示す尺度を求めることが可能となる。しかしながらこの手法は使用するレジストレーションのタイプに応じて、類似性の評価のための尺度を見つける他の手法よりもさらにコンピュータ計算に向いたものであってもよい。
【0020】
さらに、検証データレコードと最大の一致性若しくは最大の類似性を有する計画データレコードがさらに選択される。この計画データレコードに対応する照射プランが、計画された照射を実際に実行するために場合によっては引き続利用され得る選択された照射プランである。
【0021】
従ってこの方法を用いれば、検証データレコードが記録される時点に存在する特定の状況に最も適合した照射プランを選択することが可能となる。この照射プランは場合によってはさらなる状況をチェックした後で後続の一連の照射のために用いられてもよい。しかしながら必ずしも照射を実行する必要はない。例えば別の理由、例えば患者に突然現われた体の不調やその他の予期せぬ出来事によって、選択された照射データレコードで計画されたように照射が実行されないこともあり得る。
【0022】
総合的に見てこの方法は最適な照射計画と、特定の日に存在した解剖学的構造/組織を考慮した最適な放射線治療のための手段をより向上させるものである。これによりセーフティマージンの範囲を低減するにもかかわらず目標体積に目標線量を印加することが保証され得る。
【0023】
この方法の利点は、使用すべき照射プランの確定に対して、既存の照射プランの再計算、最適化ないしは適応化が何等必要とされないことである。これらの再計算にはイメージデータレコードの複雑なレジストレーションを場合によっては実施しなければならなかった。ここではデータレコード間の比較のみが実施されるだけであり、それは既存の照射プランに直接結び付くものである。それらは通常は既にチェック済みであり、受入れ可能なものである。複雑な計算ステップは、当該方法を迅速かつ簡単に実施することによって節約することが可能である。さらに他の場合には存在するであろう安全性が脅かされる局面がうまく解決される。なぜなら照射プランの再計算や既存の照射プランの変更は常に危険を隠し、既存の照射プランがもはや安全性に係わる要求を満足に満たさなくなり、このような局面が新たに保障されなければならないからである。
【0024】
望まれる場合には、比較の実施前に検証データレコードと計画データレコードのアライメント調整が実施されてもよい。これにより比較の際に、対応する領域も相互に比較されることが保証される。但しこの種のアライメント調整は患者が計画データレコードと検証データレコードの記録の際に十分正確に同じ位置に位置付けされた場合には省くことができる。
【0025】
本発明の有利な変化実施例によれば、計画データレコードの1つ及び/又は検証データレコードにおいて1つの領域が選択される。この場合検証データレコードは複数の計画データレコードと当該領域のみにおいて類似性に関して比較される。
【0026】
この場合前記領域は計画データレコード及び/又は検証データレコードの再現の一部を含んでいる。それにより、類似性に関する比較に無関係の所定の領域若しくは無害である所定の領域は除外される。これらの領域には例えば骨組織の構造部が含まれており、それらは通常は1つの計画データレコードから次の計画データレコードにおいてその位置が全く異ならないかほとんど異ならない。このような骨構造部は計画データレコードと検証データレコードの間のアライメント調整を定めるために利用することはできるが、いずれにせよこれらの骨構造部は他の内的な解剖学的構造部の類似性の評価に対してはあまり重要ではない。
【0027】
それらの形態や位置が非常に変わりやすく、標的体積から離れていてそれとの接点がないために当該標的体積との空間的なつながりを持たない器官又は器官部分も、類似性に関する比較の際には除外可能である。例えば前立腺の状態と位置と形態に対しては、隣接する膀胱器官と直腸が重要である。しかしながらさらに離れて存在している結腸部分は実際にはほとんど影響を及ぼさない。類似性に関する比較が所定の領域だけで実施されるようになれば、結果の改善というよりも改ざんにつながりかねないそのような離れた構造部は比較の際に除外されるようになる。この実施形態においては当該領域は、計画データレコードの1つにおいて、及び/又は検証データレコードにおいて、標的体積との接触点を持たない少なくとも1つの部分領域は含まない。
【0028】
別の有利な実施形態によれば、前記領域は、標的体積及び/又は標的体積に接する少なくとも1つの領域、及び/又は治療ビームの入射チャネルを含んでいる。
【0029】
前記領域が標的体積に接する領域を含み得ることによって、標的体積に接した構造部及び/又は器官が標的体積の位置及び/又は形態に頻繁に影響を及ぼす事実が考慮される。その他にも構造部間の境界は類似性確定の際に頻繁に利点をもたらす、なぜならこれらの境界は計画データレコードと検証データレコードにおいて特徴的な違いをみせるからである。それに対して個々の器官は部分的に均質に現われる。
【0030】
前記領域が治療ビームの入射チャネルを含み得ることによって、とりわけ粒子線治療の枠内で生じる必要性が考慮されるようになる。それに対して光子ビームの場合には入射チャネルはそれほど重要ではない。なぜなら入射チャネルの特性は標的体積内に残る線量に対して僅かな影響しか及ぼさないからである。それに対して粒子線ビームの場合には入射チャネルの特性は重要となる。なぜならそこに生じる密度の変動が粒子線ビームの射程範囲に非常に影響を及ぼしやすいからである。検証データレコードと計画データレコードの間の類似性の評価の際に入射チャネルが考慮されることによって適切な照射プランの選択が決定的に改善されるようになる。
【0031】
また前記領域が標的体積との直接の接点を有していない領域だけを含むことも考えられる。例えば検証データレコードは二次元のX線透視撮影記録であってもよい。この種の撮像では標的体積が(特に軟部組織では頻繁に)低品質でしか再現されないことが起こり得る。その他の構造部、例えば骨や横隔膜はこの撮影においては鮮明に表示され、それ故良好な識別が可能である。例えば肺腫瘍の照射の場合には、横隔膜の位置を考慮し、検証データレコードと計画データレコードの比較の際にそれを使用するだけで、標的体積自身を用いなくても十分となるときがある。
【0032】
他の有利な実施形態によれば、前記領域が少なくとも標的体積に接する少なくとも1つの構造部、例えば標的体積に当接する器官のみを部分的に含み得る。
【0033】
ここでも標的体積に当接する器官が類似性に関して必ずしも完全に評価されなくてもよいことが明らかとなった。場合によっては器官ないし構造部の標的体積に接する領域のみが考慮されるだけで十分である。
【0034】
別の有利な実施形態によれば、複数の計画データレコード及び/又は検証データレコード、特に有利には全てのデータレコードが時間ディメンションを含む。このことは複数の計画データレコードにおいて、ないしは検証データレコードにおいて移動経過が再現されることを意味する。
【0035】
計画データレコードは例えば4D−CTデータレコードであってもよいし、検証データレコードは4D−コーンビームCTデータレコードであってもよい。この種のデータレコードは、計画された照射セッションiの間に生じ得る動きの評価を可能にする。このようにすれば、例えば検証データレコード内に存在する運動特性データが、計画データレコード内に存在する様々な運動特性データと比較できるようになる。このことは例えば運動を特徴付けるパラメータ、例えば運動の振幅や周波数などを求めることによって行うことができ、場合によっては、標的体積のセンターやその中心位置などのさらなるパラメータと共に求めることで実施できる。
【0036】
このような適用に対して類似性は、様々な運動位相の間で一緒に評価してもよいし別個に評価してもよい。それに従って運動に関する最も類似した特性ないし特徴を有する計画データレコードが選択されるようになる。
【0037】
特に有利な実施形態によれば、複数の計画データレコードと検証データレコードの比較の際に感度マップが使用される。この感度マップは、様々な区域に関する複数の計画データレコード間の変位性ないし変異性を特徴付けている。この感度マップはその際に複数の計画データレコード相互間の比較によって、及び/又は複数の計画データレコードと検証データレコードの比較によって求めることができる。
【0038】
複数のデータレコード自体から求められる感度マップは、1つの計画データレコードから次の計画データレコードへ強い変位性を有する領域と、より安定した傾向にある領域とを特定する。さらにこの感度マップは検証データレコードと計画データレコードの比較の際に有利に用いることができる。なぜならどの領域が比較の際に特に考慮されなければならないかがわかるからである。この考慮は例えば重み付け係数を介して導入することが可能である。感度マップは原則的には検証データレコードを含めて定めることができる。そのため例えば計画データレコードの変化を検証データレコードに関して考慮ないし関与させてもよい。
【0039】
感度マップは例えばボクセル毎の計画データレコード間の絶対HU差分(HU:Hounsfield Units)の平均値計算によって作成されてもよい。この平均値の大きさは、様々なデータレコード間で生じることが予想される変化を特徴付ける。また感度マップを作成するためにその他のパラメータ、例えば差分の最小値や最大値、標準偏差などのような統計上の既知のパラメータが利用されてもよい。
【0040】
感度マップは例えば類似性の評価のために用いられる領域を特徴付ける新たなマスクを作成するために利用されてもよい。また感度マップは、その類似性に関して評価する領域内の様々な区域を異なるレベルで重み付けすることによって、感度の高い領域をより強いレベルで考慮するのに用いられてもよい。またこれらの感度マップはデータレコードの所定の部分領域のみに対して定められるものであってもよい。
【0041】
有利な実施形態によれば、照射プランは特に、使用すべきセーフティマージンに関する限り同じ仕様のもとで作成される。このことは照射プランの作成の際に同じ照射ストラテジが用いられることを意味する。標的体積の異なる状況のみ、すなわち異なる位置及び/又は異なる形態のみが照射プランの作成の際に考慮される。さらなる仕様、例えば目標線量、留意すべき構造組織、セーフティマージンなどは同じままである。これによって複数の照射プランが原則的に相互比較可能となる。このことは結果的に当該方法の自動化を容易にさせる。なぜなら照射ストラテジが変更されないからである。
【0042】
本発明による照射データレコードないし照射プランの選択のための装置は、前述してきた本発明による方法の実施のために構成されており、以下の構成要素を含んでいる。すなわち、
1つの検証データレコードと複数の計画データレコードをローディングさせ得る入力装置と、
検証データレコードと複数の計画データレコードの類似性に関する比較を実施し得る比較装置と、
複数の計画データレコードから検証データレコードとの最大の類似性を有している計画データレコードを確定し得る評価装置と、
前記評価装置によって確定された計画データレコードに割当てられる照射プランをローディング可能な選択装置とを有している。
【0043】
本発明による装置の個々のサブユニットは有利には唯1つの計算機ユニットの中で実現されてもよい。その場合にはこの計算機ユニットが個々のサブユニットの目的を実施できるように構成される。
【0044】
前記計算機ユニットは例えば放射線システム、例えば粒子線治療システムの制御ユニットであってもよい。このユニットは例えば計画データレコードに対する照射プランを作成するように構成された照射計画装置に接続される。
【0045】
さらに付加的に、計画データレコードの1つにおいて及び/又は検証データレコードにおいて1つの領域が確定され、該所定の領域において検証データレコードと複数の計画データレコードの類似性に関する比較が実施されるようにしてもよい。
【0046】
前記比較装置はさらに次のように構成されてもよい。すなわち複数の計画データレコードと検証データレコードとの比較の際に、感度マップが利用されるように構成されてもよい。この感度マップは様々な区域に関する複数の計画データレコード間の変位性を特徴付けている。
【0047】
この感度マップは例えば複数の計画データレコードの相互比較、及び/又は検証データレコードとの比較によって求めることができる。
【0048】
本発明による照射システム、特に粒子線治療システムはこの種の装置を有している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】粒子線治療システムの概略図
【図2】本発明による装置の実施形態を概略的に示した図
【図3】検証データレコードと複数の計画データレコードとの比較を概略的に表した図
【図4】時間ディメンションを含んだ検証データレコードと複数の計画データレコードとの比較を概略的に表した図
【図5】データレコードにおける類似性評価が実施される様々な領域を示した図
【図6】感度マップの概略図
【図7】選択された照射プランの類似度合と品質の間の相関関係を表した線図
【実施例】
【0050】
以下の明細書では従属請求項に記載された有利な実施例も含めて本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。但しこれらの実施形態は本発明の限定を意味するものではないことを述べておく。
【0051】
図1には粒子線治療システムの構造が概略的に示されている。この粒子線治療システム10ではファントムの照射や、被検体の特に腫瘍に冒された組織の照射が粒子線ビームを用いて行われる。
【0052】
粒子線としては、プロトン、ヘリウムイオン、炭素イオンあるいはその他の粒子、例えばパイオンが用いられる。通常はこの種の粒子は粒子ソース11において生成される。図1に示されているように2つの粒子源11が設けられており、これらの粒子源が2つの異なるイオンを生成している。これらの2つのイオンの間では短い時間間隔の中で切替えが可能である。この目的のために例えばスイッチングマグネット12が用いられる。このスイッチングマグネット12は一方ではイオン源11と他方の前段加速器13の間に設けられている。これによって例えば粒子線治療システム10はプロトンと炭素イオンによって同時に作動され得る。
【0053】
前記イオン源11若しくは前記イオン源11の一方によって生成され場合によってはスイッチングマグネット12を用いて選択されたイオンは、前段加速器13において第1のエネルギーレベルまで加速される。この前段加速器13は例えば線形加速器(LINAC;"Linear Accelerator")であってもよい。引き続き粒子は加速器15,例えばシンクロトロン又はサイクロトロンにおいて給電される。前記加速器15内では、加速のために必要とされる高いエネルギーまで加速される。その後で粒子は加速器15を離れて高エネルギービームトランスポートシステム17が当該の粒子ビームを1つ若しくはそれ以上の照射空間19に導く。照射チャンバ19内では加速された粒子が照査すべき被検体に配向される。このことは構成に応じて固定の方向から行われるか(いわゆる固定ビームチャンバ)若しくは軸線22を中心に回転可能な可動ガントリー21を介して種々異なる方向から行われる。
【0054】
照射チャンバ19内では粒子ビームがビーム出力側23から出射され、通常は照射チャンバのアイソセンター25に存在する照射すべき標的体積に照射される。
【0055】
図1に示されている粒子線治療システム10の基本構造は、粒子線治療システム10に対するあくまでも例示的な構成であり、この構成からの変更も可能である。
【0056】
以下の明細書で説明する実施例は図1に示されている粒子線治療システム10に関連して用いられてもよいし、照射プランの選択されるその他の照射システムに関連して用いられてもよい。
【0057】
図2には照射プランを選択するために構成されている装置31が示されている。
【0058】
この装置31は例えば照射計画のために若しくは照射実行のために用いられる計算機ユニット内で実行されてもよい。
【0059】
前記装置31は入力装置33を含んでおり、この入力装置33を用いて1つの検証データレコードと事前に作成された複数の計画データレコードがローディングされ得る。この種のデータレコードは通常はデータベース内に記憶されており、そのため入力装置33はインターフェースを有しており、このインターフェースを介してデータレコードが前記装置31に取り入れられる。
【0060】
さらに前記装置31は比較装置35を含み、この比較装置35を用いることによって類似性の度合が選択可能か又はローディング可能となり、検証データレコードと計画データレコードの類似性に関する比較が実施可能になる。
【0061】
さらに前記装置31は評価装置37を含んでおり、該評価装置37を用いることによって複数の計画データレコードから検証データレコードとの最大の類似性を有している計画データレコードが確定される。
【0062】
さらに前記装置31は、前記評価装置によって確定された計画データレコードに割当てられる照射プランをローディング可能な選択装置39を有している。この照射プランは照射システム10に転送される。それにより、照射が当該の照射プランに従って実施されるようになる。
【0063】
これまでに説明してきた個々のサブユニット33,35,37,39は、唯一の計算機ユニット内で実現されてもよい。その場合この計算機ユニットは、適切なソフトウエア及び/又はハードウエアを用いてこれらの個々のサブユニットの機能が実施されるように構成される。
【0064】
この場合前記装置31は、以下の明細書で図面に基づき説明する実施例が実施できるように構成される。
【0065】
図3には、検証データレコード41と複数の計画データレコード43,45,47との比較が概略的に示されている。
【0066】
前段階においては複数の計画データレコード43,45,47が例えばCT機器を用いて記録されている。計画データレコード43,45,47においては骨盤の横断面部分が象徴的に示されている。この横断面部分では骨構造部49が明確に識別できる。この構造部49は3つの計画データレコード43,45,47において常に同じ形態と同じ位置を有している。照射すべき標的体積は前立腺51である。この前立腺51は膀胱53と直腸55に接している。膀胱53の様々な膨張状態と直腸55の様々な位置や形態に基づいて前立腺51は異なる時点で記録された3つの計画データレコード内で僅かに異なる位置と形態を有している。前段階においてはこれらの3つの計画データレコード43,45,47毎に、標的体積、すなわち前立腺51をどのように照射すべきかを定める照射プラン57,59,61が作成される。
【0067】
前立腺51を取り囲む臨床標的体積は、3つの照射プラン57,59,61においてそれぞれ同じ大きさのセーフティマージン63によって拡張されている。これに基づいて、粒子ビームによって連続的に走査されるべき複数の走査点が確立される。照射プラン57,59,61内の矢印は、この場合粒子線ビームの照射方向を表している。
【0068】
計画された照射の前段階においては検証データレコード41が記録される。
【0069】
複数の照射プラン57,59,61から適切な照射プランを選択するために、検証データレコード41と3つの計画データレコード43,45,47の比較が行われる。この比較は検証データレコード41と計画データレコード43,45,47の間の類似性に向けられる。図示されている当該のケースでは、左方の計画データレコード43が前立腺51の位置と形態及び当該前立腺を取り囲む器官53,55の位置と形態に関して最大の類似性を有している。
【0070】
この計画データレコード43に基礎をおく照射プラン57は、引き続き照射が行われる場合には、当該照射の基礎として用いられる。
【0071】
図4にも類似の方法が示されているが、ここでは標的体積51′が照射セッション中に照射プランの動きを考慮しなければならないくらいに強く動いている。
【0072】
このようなケースは例えば肝転移51′のときのように呼吸運動によって動く腫瘍の際に発生する。
【0073】
運動の検出は計画データレコード43′、45′、47′及び/又は検証データレコード41′に時間ディメンションを含ませることによって検出できる。このことは計画データレコード43′、45′、47′ないしは検証データレコード41′から対象の運動が求められることを意味する。例えば計画データレコード及び検証データレコードとして4D−CTが記録されてもよい。
【0074】
図には3つの4次元計画データレコード43′、45′、47′が示されている。標的体積51′の様々な運動、例えば運動の振幅と周波数は、太さの異なる種々の長さの矢印によって象徴化されている。
【0075】
またここでは4次元の検証データレコード41′が3つの4次元計画データレコード43′、45′、47′と比較され、当該検証データレコード41′との最大の類似性を有している計画データレコード43′が識別される。なおここでの比較の際には標的体積51′の運動も考慮される。またさらにその他の比較特性、例えば標的体積の位置と形態や入射チャネル、周辺構造などが考慮されてもよい。
【0076】
運動の比較に対しては、例えば標的体積51′のセンター、標的体積51′の平均位置、振幅及び周波数などの運動パラメータが相互に比較されてもよい。
【0077】
引き続き照射プラン57′,59′,61′からは、どの計画データレコード43′が検証データレコード41′との最大の類似性を有しているかに基づいた照射プラン57′が選択される。
【0078】
図5には、所定の区域がマーキングされた計画データレコード43が示されている。これらの区域は、計画データレコードないし検証データレコードのどの領域がその類似性に関して評価されているのかを示している。
【0079】
第1の区域73は標的体積(すなわちこのケースではすなわち前立腺51である)が含まれている。その上さらに第1の区域73は当該標的体積に接する構造部ないし器官、すなわち膀胱53や直腸55を含んでいるが但しそれらの一部である。特に第1の区域73は、類似性の判断される領域を次のように区切っている。すなわちさらに離れて存在している領域がその位置と形態に関して高い可変性を持っていたとしてもそれが前記類似性の評価に影響を及ぼすことがないように区切っている。例えば図示の実施例に当てはめれば、さらに離れて存在している腸区分56がたとえ高い可変性を持っていたとしても、前立腺51の位置と形態に対する影響はごく僅かである。またこの図からは、前立腺を取り囲むような骨構造部49が前記第1の区域73からは除外されるべきであることがみてとれる。
【0080】
粒子線ビームを用いた照射プランが実行される場合には、特に少なくとも部分的に粒子線ビームの入射チャネル内に存在するさらなる領域75も類似性に関して評価されるべきである。このようにすれば当該粒子線ビームが適切な射程範囲を有することが保証される。なぜなら粒子線ビームの到達範囲は、とりわけ照射方向でみて標的体積の前に位置する構造部に影響されるからである。
【0081】
以下の明細書では、前立腺51を照射する照射プランにおいて、計画データレコーと検証データレコードの比較を行う領域(以下では単に"比較領域"とも称する)を選択するにあたって特に良好であることが判明しているアルゴリズムの説明をする。
【0082】
このアルゴリズムにおいてはまず標的体積(CTV;"臨床標的体積")が確定される。このケースでは前立腺51である。そしてこの前立腺51に対応付けされる各ボクセルの周りに所定のサイズのキューボイド、例えば5×5×3ボクセルからなるキューボイドが置かれる。このキューボイドの各々は当該キューボイド内に膀胱53若しくは直腸53に、すなわち周囲の器官に対応付けされた少なくとも1つのボクセルが存在するか否かに関して分析される。
【0083】
さらにこれらのキューボイドの各々は、当該キューボイド内で骨盤のような骨構造部49に対応付けられたボクセルが存在するか否かに関して分析される。つまり類似性の評価の基礎をなす領域からは除外されるべき構造部である。
【0084】
キューボイドの1つが膀胱53若しくは直腸53に割り当てられたボクセルを含んでいるならば、このキューボイドの周りで比較領域が拡大される。というのも、このキューボイドは同時に骨構造部49に割り当てられたボクセルを含んでいるからである。
【0085】
後者のケースが存在するか否かの決定は、CTデータレコードのもとではハウンスフィールド単位(HU)に基づいて行ってもよい。膀胱53のボクセルを含むキューボイド及び600HU以上のボクセルはこのカテゴリーに属し、直腸55のボクセルを含むキューボイド及び1200HU以上のボクセルも同じカテゴリーに属する。600HU〜1200HUの閾値の作成はこの場合任意であるが、但し前立腺51を再現するCTデータレコードの評価の際には、有利であることが検証済みである。その場合閾値は変更されてもよいし、そのつど存在する所与性に適応化させてもよい。
【0086】
比較領域は前述したように確定される全てのキューボイド並びに目標体積自体(当該ケースでは前立腺51である)を含んでいる。
【0087】
前述したアルゴリズムは有利には容易にかつ十分に自動化されて実行することが可能であり、そのためユーザーとの干渉は特にごく僅かな程度しか必要ない。
【0088】
図6には、類似性に関して評価される領域の選択の際に有利に用いることのできる感度マップ81の作成が概略的に示されている。この感度マップ81は複数の計画データレコード43,45,47の比較から作成される。感度マップ81は、様々な計画データレコード43,45,47間の個々の領域の可変性がどの位強いかを表す。有利には1つの計画データレコードから次の計画データレコードへボクセル毎の変化がどの位強いかが示されている。別の有利な実施形態によれば、検証データレコードと複数の計画データレコードの間の変化が感度マップ作成の際に考慮され得る。
【0089】
基礎となる構想を説明するにあたって、ここで示されている感度マップ81は3つの離散的な領域83,85,87しか有していないが、これは図を見やすくするためである。但し複数の計画データレコード間の可変性に関する感度マップはボクセル方式で定めることも可能である。
【0090】
前記感度マップは骨構造からなる領域83においては非常に僅かな可変性しか示していない。ここでの最大の可変性は前立腺ないし膀胱/直腸周りの領域85が有している。その他の領域87、例えば周囲の脂肪ないし筋肉組織などは平均的な可変性を有している。
【0091】
感度マップ81は例えば次のようなことに利用できる。すなわち検証データレコードと複数の計画データレコードの間の比較の際に所定の領域を、それぞれの領域内で予期される変化がどの位強いものであるのかに応じて種々異なるレベルで重み付けするのに利用できる。
【0092】
以下ではアルゴリズムの説明を介して、前立腺を再現するデータレコードの比較の際に感度マップ81がどのように作成され有利に用いられるかを説明する。
【0093】
第1のステップでは検証データレコード41と種々異なる計画データレコード43,45,47の間で、検証データレコードからそのつど1つの計画データレコードをボクセル方式で減じることによって差分データレコードが作成される。
【0094】
引き続きボクセル方式で平均値と標準偏差を、作成された複数の差分データレコードから求め、そのようにして平均値感度マップと標準偏差感度マップを作成する。これらの統計的な値からは、前記計画データレコード43,45,47が互いに個々のボクセルに関してどの位変化しているかを引き出すことが可能になる。
【0095】
前述したように求められた平均値感度マップと標準偏差感度マップは、閾値観察に用いることも可能である。複数のCTデータレコード間で大きな変化を有しているボクセルを識別できるようにするために、標準偏差感度マップに対して下方の閾値が導入される。この下方の閾値としては20HUの値が有利であることが検証されている。また直腸のガス蓄積によってではなく軟部組織の変化によって引き起こされている変化に対する関連付けのために、平均値感度マップに対して上方の閾値が導入される。この上方の閾値としては50HUの値が有利であることが検証されている。
【0096】
さらに前述してきたような比較領域をより向上させるべく次のようなボクセル、すなわち標準偏差感度マップの下方の閾値の上側にありかつ平均値感度マップの上方の閾値の下側にあるボクセルしか含まないようにすることで、さらに微細化することも可能である。
【0097】
図7には比較領域における差分自乗和と標的体積に対する線量割当ての間の相関関係、つまり比較領域の様々なタイプ毎の相関が表されている。
【0098】
差分自乗和(SSD;sum of squared difference)は比較領域毎に以下の式、
【数1】

に基づいて算出される。この場合前記mは比較領域のボクセルのインデックス、前記Dm及びPmは検証データレコードないし計画データレコードにおけるボクセルmの値、前記NVは比較領域における全てのボクセルの数である。
【0099】
従って前記SSDは、比較領域における検証データレコード41と計画データレコード43,45,47の間の違いがどの位多いかを表しており、それによってこれらの計画データレコード43,45,47と検証データレコード41の間の類似性に対する尺度が示される。
【0100】
SSD(すなわちx軸の値)には、そのインデックスが標的体積がどれくらい良好に線量でカバーされているかを表すV95値(target coverage)が対比されている。このV95値は放射線治療における一般的な値であり、これは所定の照射プランが使用されるときの標的体積のどれくらいの部分が所期線量の少なくとも95%によってカバーされているかを示している。
【0101】
SSDとV95値の間には相関関係があり、この関係はどの比較領域がSSDが求められた際に基準として使用されたかに依存している。
【0102】
SSDの算出の際に比較領域が前述したように基準として用いられる場合には、前立腺51が、膀胱53の当接部分や直腸55の当接部分のような当接構造部分と共に、感度マップ81の支援によって改善され(線図中において"ProstBladRect+SnsMap"で表されている)、SSDとV95値の間で良好な相関関係が支配的優勢となる。
【0103】
このことは、検証データレコード41と種々の計画データレコード43,45,47の類似性に関する比較を実施するだけで適切な照射プラン57,59,61が選択可能になることを立証している。前立腺51の照射計画に対しては、当該の比較領域に基づいて複数の計画データレコード43,45,47と検証データレコード41の比較を行い、類似性の尺度がSSDを介して求められた場合に、最良の相関関係が結果として得られることが示された。
【0104】
以下のことが比較領域に基づいて適用された場合には、やや悪化した相関関係であったとしても同じ様に良好な相関関係が得られる。すなわち、
−膀胱53及び直腸55の当接部分と共に前立腺51をここでは感度マップによる改善なしで線図中に"ProstBladRect"で表すこと、
−前立腺51と膀胱53全体及び直腸55全体を線図中に"P+B+R"で表すこと、
−前立腺/膀胱及び前立腺/直腸の交差断面のみを線図中に"InterBladRect"で表すこと。
【0105】
比較領域として前立腺51のみが基礎にされた場合には(線図中"CTV"で表す)最悪の相関関係が生じる。
【0106】
類似性尺度を決定するその他の手段は以下の数式
【数2】

に従って相関係数を算出することである。この場合前記mは比較領域のボクセルのインデックス、前記Dm及びPmは検証データレコードないし計画データレコードにおけるボクセルmの値、前記

ないし

は比較領域におけるボクセルの平均値を表す。
【0107】
しかしながら前立腺51の照射計画に対しては、相関係数がSSDよりも悪い結果を提供することが示された。
【0108】
但しこのことは他の照射シナリオ、例えばその他の腫瘍や器官に対しては別の異なる結果に成り得る。
【0109】
図5に示されている相関曲線に基づけば、比較領域若しくは検証データレコードと計画データレコードの間の類似性尺度を求める規定が照射プランの選択に適しているか否かが簡単な形式で検査できるようになる。
【0110】
これに対しては類似性尺度とV95値の間の相関関係のみを検査するだけでよい。相関関係が十分に良好であることが検出されると直ちに、類似性尺度及び/又は比較領域が照射プラン57,59,61の算出のための方法に用いられる。
【符号の説明】
【0111】
10 照射システム
11 イオン源
12 スイッチングマグネット
13 プレ加速器
15 加速器
17 高エネルギービームトランスポートシステム
19 照射チャンバ
21 ガントリー
23 ビーム出力側
25 アイソセンター
31 装置
33 入力装置
35 比較装置
37 評価装置
29 セレクタ
41 検証データレコード
43,45,47 計画データレコード
49 骨構造部
51 標的体積
53 膀胱
55 直腸
57,59,61 照射プラン
63 セーフティマージン
81 感度マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射プラン(57,59,61;57′,59′,61′)選択のための方法において、
第1の位相においては、
種々異なる位置を有する照射すべき標的体積(51,51′)が標的対象において再現される複数の計画データセット(43,45,47;43′,45′,47′)を検出するステップと、
前記各計画データレコード(41,43,45;41′,43′,45′)毎に照射プラン(57,59,61)を作成するステップを有し、
第1の位相に続く第2の位相においては、
検証データレコード(41,41′)を記録するステップと
検証データレコード(41,41′)と複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)を類似性に関して比較するステップと、
検証データレコード(41,41′)との最大の類似性を有している、計画データレコード(43,43′)を複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)から選択するステップと、
選択された計画データレコード(43,43′)に対応する照射プラン(57,57′)を選択するステップを有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)の1つにおいて及び/又は検証データレコード(41,41′)において1つの領域(73,75)が選択され、この場合前記検証データレコード(41,41′)は複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)と前記領域(73,75)においてのみ類似性に関して比較される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記領域(73,75)は、標的体積(51,51′)及び/又は標的体積(51,51′)に当接する少なくとも1つの領域(53,55)、及び/又は治療ビームの入射チャネル(75)を含んでいる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域(73,75)は、計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)の1つにおいて、及び/又は検証データレコード(41,41′)において、標的体積(41,41′)との接触点を持たない少なくとも1つの部分領域(49,56)は含まない、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記領域(73,75)は、標的体積(51,51′)に当接する少なくとも1つの構造部(53,55)のみを部分的に含んでいる、請求項2から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
複数の計画データレコード(43′,45′,47′)及び/又は検証データレコード(41′)は時間ディメンションを含んでいる、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)と検証データレコード(41,41′)の比較の際に、様々な領域(83,85,87)に関する複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)間の変位性ないし変異性を特徴付ける感度マップ(81)が利用される、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)において照射プランの作成が、特に、使用すべきセーフティマージン(63)に関する限り同じ仕様のもとで行われる、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
照射プラン(57,59,61;57′,59′,61′)選択のための装置において、
1つの検証データレコード(41,41′)と複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)をローディングさせ得る入力装置と、
検証データレコード(41,41′)と複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)の類似性に関する比較を実施し得る比較装置(35)と、
複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)から検証データレコード(41,41′)との最大の類似性を有している計画データレコード(43,43′)を確定し得る評価装置(37)と、
前記評価装置(37)によって確定された計画データレコード(41,41′)に割り当てられる照射プラン(57,57′)をローディングさせ得る選択装置(39)を有していることを特徴とする装置。
【請求項10】
さらに付加的に、計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)の1つにおいて及び/又は検証データレコード(41,41′)において1つの領域(73,75)が確定され、該領域(73,75)において検証データレコード(41,41′)と複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)の類似性に関する比較が実施されるように前記比較装置(35)が構成されている、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記比較装置はさらに複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)と検証データレコード(41,41′)との比較の際に感度マップ(83)が利用されるように構成され、前記感度マップは様々な区域(83,85,87)に関する複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)間の変位性を特徴付けている、請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
付加的に照射計画装置(31)が設けられ、該照射計画装置(31)を用いて複数の計画データレコード(43,45,47;43′,45′,47′)に対してそれぞれ1つの照射プラン(57,59,61;57′,59′,61′)が作成され得る、請求項9から11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項記載の装置を備えた照射システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−51811(P2010−51811A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199740(P2009−199740)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】