説明

照明システム

【課題】光源の灯数に関わらず、照明器具の消費電力を算出することができる照明システムを提供する。
【解決手段】光源22を有する照明器具2と、光源22の調光制御を行い、自己の制御対象である照明器具2に具備された光源22の灯数に関する灯数情報が入力される灯数入力部33を有する調光制御部3と、調光制御部3に対して、光源22の調光率を示す調光信号を送信する親機1と、調光率と光源22の1灯当たりの消費電力との関係を示す電力データテーブルを記憶する記憶部35と、照明器具2の消費電力を算出する制御部32(電力算出部)とを備え、調光制御部3は、親機1から送信される調光信号に基づいて光源22の調光制御を行い、制御部32は、電力データテーブルと、調光制御部3の各々が調光制御を行う光源22の調光率および灯数情報とから、照明器具2の消費電力を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の照明器具の調光制御を行う照明システムがある(例えば、特許文献1参照)。この照明システムは、図12に示すように、親機101と、複数のセンサ102と、複数の調光出力部103と、複数の照明器具104とで構成されている。
【0003】
親機101は、センサ102の検知結果に基づいて、調光信号を生成し、調光出力部103に送信する。調光制御部103は、調光信号が示す調光率となるように、照明器具104の光源の調光制御を行う。
【0004】
また、親機101は、図13に示すような調光率と照明器具104の消費電力との相関関係を示す電力データテーブルを記憶している。例えば、調光率が100%のときは、照明器具104の消費電力が100W、調光率が50%のときは、照明器具104の消費電力が50Wという相関関係を記憶している。そして、親機101は、調光制御部103に送信した調光信号が示す調光率から、照明器具104の消費電力を算出することができる。そして、各照明器具104の消費電力を算出し、これを総和することで、照明システム全体の消費電力を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−188188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、照明器具104が具備している光源の灯数によって、その照明器具104の消費電力が異なる。例えば、照明器具104が光源を2灯具備している場合、1灯具備している場合に比べて、同じ調光率でも消費電力が倍近くになる。
【0007】
そのため、従来の照明システムでは、各照明器具104に具備された光源の灯数が同一である場合のみ、照明器具104の消費電力を算出することができた。したがって、従来の照明システムでは、照明器具104が具備している光源の灯数が変動した場合や、複数の照明器具104の各々が異なる灯数の光源を具備している場合、親機101は正確な照明器具104の消費電力を算出することができない。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源の灯数に関わらず、照明器具の消費電力を算出することができる照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明システムは、1乃至複数の光源を有する1乃至複数の照明器具と、制御対象の前記照明器具に具備された前記光源の調光制御を行い、自己の制御対象である前記照明器具に具備された前記光源の灯数に関する灯数情報が入力される灯数入力部を有する1乃至複数の調光制御部と、前記調光制御部に対して、前記光源の調光率を示す調光信号を送信する親機と、前記調光率と前記光源の単位個数当たりの消費電力との関係を示す電力データテーブルを記憶する記憶部と、前記照明器具の消費電力を算出する電力算出部とを備え、前記調光制御部は、前記親機から送信される前記調光信号に基づいて前記光源の調光制御を行い、前記電力算出部は、前記電力データテーブルと、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の調光率と、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することを特徴とする。
【0010】
この照明システムにおいて、前記親機は、前記電力算出部と前記記憶部とを備えており、前記親機は、前記調光制御部の各々から前記灯数入力部に入力された前記灯数情報を取得し、前記データテーブルと、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の調光率と、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することが好ましい。
【0011】
この照明システムにおいて、前記親機は、前記調光信号が示す前記調光率と前記光源に供給される電力との関係を示す調光カーブの設定信号を前記調光制御部に送信し、前記調光制御部は、前記設定信号が示す前記調光カーブに基づいて前記光源の調光制御を行い、前記調光制御部は、前記設定信号を受信すると、前記灯数入力部に入力された前記灯数情報を前記親機に送信することが好ましい。
【0012】
この照明システムにおいて、前記照明器具は、当該光源を点灯させる点灯回路とを備え、前記調光制御部は、複数の前記照明器具の各々に具備された前記点灯回路に対して、当該点灯回路の出力を制御する出力制御信号を信号線を介して送信することで前記光源の調光制御を行い、前記出力制御信号の送信時に前記信号線に流れる電流を計測する電流計測部を備え、前記電流計測部の計測結果に基づいて、自己が調光制御を行う前記光源を具備している前記照明器具の台数を算出し、前記灯数入力部には、自己が調光制御を行う前記光源を具備している前記照明器具1台当たりに具備された前記光源の灯数が前記灯数情報として入力されており、前記電力算出部は、前記データテーブルと、前記調光制御部が算出した前記照明器具の台数と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の調光率と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の前記灯数情報とから、前記調光制御部が調光制御する前記光源が具備された複数の前記照明器具の消費電力を算出することが好ましい。
【0013】
この照明システムにおいて、温度を計測する温度計測部を備え、前記電力算出部は、前記温度計測部の計測結果に基づいて、前記照明器具の消費電力を補正することが好ましい。
【0014】
この照明システムにおいて、前記光源の累積点灯時間を計測する計時部と、前記累積点灯時間の増加に伴う前記光源の光出力の低下を抑制するように、前記累積点灯時間の増加に伴って、前記光源の調光率を増加させる初期照度補正を行う初期照度補正部とを備え、前記調光制御部は、前記初期照度補正後の前記光源の調光率に基づいて、前記光源の調光制御を行い、前記電力算出部は、前記電力データテーブルと、前記初期照度補正後の前記光源の調光率と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明では、光源の灯数に関わらず、照明器具の消費電力を算出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1の照明システムのブロック構成図である。
【図2】調光カーブを示すグラフである。
【図3】PWM信号の波形図である。
【図4】実施形態1の照明システムの概略構成図である。
【図5】実施形態2の照明システムのブロック構成図である。
【図6】実施形態3の調光制御部および照明器具のブロック構成図である。
【図7】実施形態4の照明器具のブロック構成図である。
【図8】累積点灯時間に応じた補正後の調光率を示すグラフである。
【図9】光出力および消費電力の温度変化を示すグラフである。
【図10】実施形態5の照明器具のブロック構成図である。
【図11】実施形態5の照明器具のブロック構成図である。
【図12】従来の照明システムのブロック構成図である。
【図13】調光率に対する光源の消費電力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の照明システムのブロック構成図を図1に示す。本実施形態の照明システムは、親機1と複数の照明器具2とで構成されている。
【0019】
親機1と各照明器具2とは通信線L1で接続されており、親機1は、演算処理を行う制御部11と、各照明器具2と通信を行う送受信部12とを備えている。そして、親機1と各照明器具2との間でデジタル信号を送受信することでデータの授受が行われる。例えば、親機1は照明器具2に対して、光源22の調光率を示す調光信号を送信したり、照明器具2の消費電力の要求をしたり、照明器具2の設定を行う。
【0020】
照明器具2は、調光制御部3と、点灯回路21と、光源22とで構成されている。点灯回路21は光源22に電力を供給することで、光源22を点灯させる。調光制御部3は、信号線L2で点灯回路21に接続されており、親機1から送信される調光信号に基づいて、点灯回路2の出力を制御することで、光源22の調光制御を行う。なお、光源22は、蛍光灯やLED,有機ELなど照明用途で用いられるものであれば種類は限定しない。
【0021】
調光制御部3は、送受信部31と、制御部32と、灯数入力部33と、調光出力部34と、記憶部35とで構成されており、自己が設けられている照明器具2を制御対象とする。送受信部31は、親機1との間でデジタル信号の送受信を行う。制御部32は、演算処理を行う。灯数入力部33は、調光制御部3が調光制御を行う照明器具2に具備された光源22に関する灯数情報が入力される。調光出力部34は、PWM信号(出力制御信号)を点灯回路21に出力する。記憶部35は、調光率と光源22の1灯当たりの消費電力との相関関係を示す電力データテーブル(図13参照)と、光源22の光出力とPWM信号のオンデューティ比との相関関係を示す調光カーブ(図2参照)と、調光制御部3の固有アドレスとを記憶している。
【0022】
制御部32は、親機1から送受信部31を介して入力される調光信号が示す調光率と、記憶部35に記憶されている調光カーブとから、調光出力部34が出力するPWM信号のオンデューティ比を決定する。調光カーブは、図2のY1〜Y3に示すように、光源22の種類やバラストの有無によってカーブが異なる。したがって、多種の光源22に対応した調光制御部3を用いる場合、予め使用環境(光源22の種類やバラストの有無など)に合わせた調光カーブを設定する必要がある。本実施形態では、親機1から送信される調光カーブ設定信号を受信し、この調光カーブ設定信号に基づいた調光カーブを記憶部35に記憶することで、調光制御部3に調光カーブが設定される。また、記憶部35に複数の調光カーブを予め記憶しておき、親機1から送信される調光カーブ設定信号に基づいて、どの調光カーブを用いるか選択するように構成してもよい。また、記憶部35に複数の電力データテーブルを予め記憶しておき、光源22の種類に応じて用いる電力データテーブルを選択するように構成してもよい。
【0023】
調光出力部34が出力するPWM信号は、図3に示すように、振幅レベルがVのオン期間t1と、振幅レベルが0のオフ期間t2とを交互に周期Tで繰り返している。なお、周期Tに対するオン期間t1の割合をオンデューティ比、周期Tに対するオフ期間t2の割合をオフデューティ比とする。本実施形態では、図2に示すように、PWM信号のオンデューティ比が増加するにつれて、光源22に供給される電力が低減して光出力が低下するように構成されている。
【0024】
このように、調光制御部3は、調光信号が示す調光率と調光カーブとに基づいてPWM信号のオンデューティ比を決定し、このPWM信号を点灯回路21に出力して光源22に供給される電力を制御することで、光源22の調光制御を行っている。
【0025】
次に、図4に示す本実施形態の照明システムの概略構成図を用いて、各照明器具2に具備された1乃至複数の光源22の消費電力の和(以降、照明器具2の消費電力と称す)の算出方法を説明する。
【0026】
図4に示すように、灯数入力部33は、スライドスイッチで構成されており、このスライドスイッチを切り替えることで照明器具2に具備されている光源22の灯数を灯数情報として入力することができる。例えば、照明器具2の施工時に、作業者が光源22の灯数を確認し、スライドスイッチを切り替えて光源22の灯数を入力すればよい。光源22の灯数が1つの場合、スライドスイッチを左に切り替え、光源22の灯数が2つの場合、スライドスイッチを右に切り替える。それによって、制御部32は、自己が調光制御する光源22の灯数を取得することできる。
【0027】
そして、親機1が各照明器具2の消費電力のデータを取得する際は、親機1は各照明器具2に具備された調光制御部3の固有アドレス宛に電力要求信号を順次送信する。なお、図4において、親機1が各照明器具2に送信する電力要求信号をS1と示す。調光制御部3の制御部32は、親機1から送信される電力要求信号を受信すると、光源22の現在の調光率における光源22の1灯当たりの消費電力を記憶部35に記憶されている電力データテーブルから取得する。そして、制御部32は、取得した光源22の1灯当たりの消費電力と、灯数入力部33に入力された光源22の灯数とを乗算することで、自己が調光制御を行う照明器具2の消費電力を算出する。すなわち、制御部32が本願発明の電力算出部としての機能を備えている。
【0028】
そして、制御部32は算出した照明器具2の消費電力のデータを親機1に送信する。なお、図4において、調光制御部3の制御部32が親機1に送信する照明器具2の消費電力のデータをS2と示す。
【0029】
親機1は、各照明器具2に具備された調光制御部3から、各照明器具2の消費電力のデータを取得することができる。また、取得した各照明器具2の消費電力の各々を総和することで照明システム全体の消費電力を算出することができる。
【0030】
このように、本実施形態では、制御部32が、電力データテーブルと、光源22の調光率と、光源22の灯数とから、自己が制御する照明器具2の消費電力を算出しており、光源22の灯数が増減しても、正確な消費電力を算出することができる。また、各照明器具2に具備された光源22の灯数が各々異なる場合であっても、正確な照明器具2の消費電力および照明システム全体の消費電力を算出することができる。
【0031】
なお、本実施形態の灯数入力部33はスライドスイッチで構成されているが、これに限定するものではない。例えば、切り替える数を増やしたスライドスイッチや、ボリュームスイッチでもよい。また、照明器具2にリモコン受信機能を有し、リモコンを用いて光源22の灯数を入力してもよいし、親機1がデジタル信号を用いて光源22の灯数を入力してもよい。
【0032】
また、調光制御部3は、予め自己が調光制御を行う照明器具2の消費電力を算出して記憶部35に記憶しておき、消費電力要求信号を受信した際に記憶部35に記憶されている照明器具2の消費電力を親機1に送信するように構成してもよい。
【0033】
(実施形態2)
本実施形態の照明システムは、親機1が電力算出部としての機能を有し、各照明器具2の消費電力を算出する。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0034】
本実施形態の照明システムのブロック構成図を図5に示す。
【0035】
本実施形態の親機1は、調光率と光源22の1灯当たりの消費電力との相対関係を示す電力データテーブルを記憶した記憶部13を備えている。
【0036】
親機1は、各照明器具2の消費電力を取得する際に、各調光制御部3に対して、所定時間毎に現在の光源22の調光率を要求する調光率要求信号を送信する。調光制御部3は、調光率要求信号を受信すると、自己が調光制御する光源22の現在の調光率と、灯数入力部33に入力された光源22の灯数とを親機1に返信する。
【0037】
そして、親機1は、取得した光源22の現在の調光率と電力データテーブルとから、現在の光源22の1灯当たりの消費電力を算出し、光源22の灯数を乗算することで、照明器具2の消費電力を算出する。また、算出した各照明器具2の消費電力を総和することで、照明システム全体の消費電力を算出することができる。
【0038】
このように、本実施形態では、親機1が、電力データテーブルと、光源22の調光率と、光源22の灯数とから、各照明器具2の消費電力を算出しており、光源22の灯数が増減しても、正確な消費電力を算出することができる。また、本実施形態では、親機1が各照明器具2の消費電力を算出することができるので、各調光制御部3は、自己が調光制御を行う照明器具2の消費電力を算出して、記憶させておく必要がない。したがって、調光制御部3の構成を簡易化することができる。
【0039】
また、調光制御部3は、調光率要求信号を受信すると、現在の光源22の調光率のみを親機1に返信するように構成してもよい。この場合、親機1は、予め光源22の灯数を記憶させておく必要がある。そこで、調光制御部3に調光カーブ(図2参照)を設定するために、親機1から送信される調光カーブ設定信号を受信すると、調光制御部3は調光カーブを設定すると共に、灯数入力部33に入力された光源22の灯数を親機1に送信する。それによって、親機1は各調光制御部3が調光制御する光源22の灯数を予め取得することができる。したがって、照明器具2の消費電力を算出する際には、各調光制御部3から現在の光源22の調光率を取得すれば、各照明器具2の消費電力を算出することができる。また、親機1が消費電力を算出する際に、照明器具2は光源2の灯数を親機1に送信する必要がないので、信号の送信回数を減らすことができる。
【0040】
さらに、親機1が各調光制御部3に調光信号を送信する際に、この調光信号が示す調光率を記憶しておいてもよい。それによって、親機1は調光制御部3に対して調光率要求信号を送信して、各調光制御部3から調光率を取得しなくても現在の光源22の調光率を認識することができるので、各照明器具2の消費電力を算出することができる。
【0041】
(実施形態3)
本実施形態の調光制御部3および照明器具2のブロック構成図を図6に示す。本実施形態の照明システムは、調光制御部3が照明器具2とは別体に構成されており、調光制御部3には複数(本実施形態では3つ)の照明器具2が接続されている。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0042】
調光制御部3は、信号線L2で接続された3台の照明器具2を制御対象としている。各照明器具2は、点灯回路21と光源22とで構成されており、点灯回路21は調光制御部3から送信されるPWM信号に基づいて光源22に供給する電力を変動させる。また、各照明器具2は、互いに同数の光源22を有している。
【0043】
本実施形態の調光制御部3は、送受信部31と、制御部32と、灯数入力部33と、調光出力部34と、記憶部35と、A/Dコンバータ36と、電流計測部37とで構成されている。
【0044】
調光制御部3と各照明器具2とは信号線L2で接続されており、調光出力部34は、信号線L2を介して各照明器具2にPWM信号を送信する。なお、各照明器具2が受信するPWM信号のオンデューティ比は互いに同一となるため、各照明器具2に具備された光源22の調光率は同一となる。
【0045】
また、各照明器具2に具備された点灯回路21はPWM信号を受信する際に、信号線L2から所定の電流「i」を吸い込む。本実施形態では、調光制御部3に3台の照明器具2が接続され、各照明器具2が電流「i」を吸い込むため、PWM信号の送信時には信号線L2に電流「i×3」が流れる。
【0046】
電流計測部37は、信号線L2に流れる電流を計測しており、A/Dコンバータ36は、電流計測部37の計測結果をA/D変換して制御部32に出力する。
【0047】
また、記憶部35には、信号線L2から各照明器具2に流れる所定の電流「i」の電流値が記憶されている。そして、制御部32は、電流計測部37の計測結果「i×3」を、記憶部35に記憶されている電流値「i」で除算することで、自己が調光制御する照明器具2の台数が3台であることを認識することができる。
【0048】
また、灯数入力部33には、照明器具2の各々が具備する光源22の灯数が灯数情報として入力されている。
【0049】
そして、調光制御部3は、親機1から送信される電力要求信号を受信すると、電力データテーブルと、現在の光源22の調光率と、灯数入力部33に入力された灯数情報と、照明器具2の台数とから、自己が調光制御する照明器具2の3台分の消費電力を算出する。そして、調光制御部3は算出した消費電力を親機1に送信し、親機1は、各調光制御部3から送信された消費電力を総和することで、照明システム全体の消費電力を算出することができる。
【0050】
このように、本実施形態では、調光制御部3に複数の照明器具2が接続されている場合でも、照明器具2の消費電力を算出することができる。また、調光制御部3毎に異なる数の照明器具2が接続されている場合であっても、正確な消費電力を算出することができる。
【0051】
(実施形態4)
本実施携帯の照明システムは、調光制御部3が初期照度補正機能を有しており、初期照度補正に対応した照明器具2の消費電力の算出を行う。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0052】
図7に本実施形態の調光制御部3のブロック構成図を示す。本実施形態の調光制御部3は、送受信部31と、制御部32と、灯数入力部33と、記憶部34と、調光出力部35と、初期照度補正有無入力部38と、計時部39とで構成されている。
【0053】
初期照度補正有無入力部38は、スイッチで構成されており、光源22に対して初期照度補正を行うか否かが入力され、計時部39は光源22の累積点灯時間を計測する。なお、初期照度補正有無入力部39への入力は、リモコン受信機能を備えてリモコンを用いた入力や、親機1がデジタル信号を送信して入力する構成であってもよい。
【0054】
光源22は、一定の調光率で調光制御を行う場合でも、新しく累積点灯時間が短い場合は光出力が高く、累積点灯時間が増加し寿命末期に近付くに従い光出力が低下する特性を有している。そこで、累積点灯時間の増加に伴う光源22の光出力の低下を抑制するように、累積点灯時間の増加に伴って光源22の調光率を増加させる初期照度補正を行うことで、光源22は累積点灯時間に関わらず安定した光出力を行うことができる。
【0055】
本実施形態の制御部32は、初期照度補正部としての機能を有している。そして、制御部32は、初期照度補正有無入力部38に初期照度補正「有」が入力されている場合は初期照度補正を行い、初期照度補正有無入力部38に初期照度補正「無」が入力されている場合は初期照度補正を行わない。
【0056】
本実施形態では、初期照度補正有無入力部38に初期照度補正「有」が入力されており、制御部32は初期照度補正を行う。以下に、親機1から調光率100%を示す調光信号が入力される場合の初期照度補正について説明する。
【0057】
記憶部35には、補正前の調光率に対応させた累積点灯時間に応じた補正後の調光率を示す補正データテーブルが記憶されており、制御部32は、この補正データテーブルに基づいて初期照度補正を行う。図8は、補正前の調光率が100%の場合における初期照度補正後の調光率を示すグラフである。図8の破線Y4は、補正前の調光率を示し、実線Y5は初期照度補正後の調光率を示しており、実線Y5は、累積点灯時間0から増加するに伴って調光率100%に近付く。
【0058】
例えば、累積点灯時間が0の場合、親機1が調光率100%を示す調光信号を送信しても、制御部32は初期照度補正を行い、調光率70%を示すオンデューティ比のPWM信号を点灯回路21に送信する。
【0059】
そして、上記初期照度補正を行っている際に、親機1から電力要求信号が送信された場合、制御部32は以下の方法で照明器具2の消費電力を算出する。
【0060】
制御部32は、調光信号が示す調光率ではなく、初期照度補正後の調光率を用いて光源22の1灯当たりの消費電力を電力データテーブルから算出し、算出結果に光源22の灯数を乗算することで、自己が調光制御を行う照明器具2の消費電力を算出する。そして、この算出結果を、親機1に送信する。
【0061】
このように、本実施形態では、初期照度補正を行う場合であっても、より正確な消費電力を算出することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、制御部32が初期照度補正を行っているが、点灯回路21が初期照度機能を備えた構成であってもよい。
【0063】
(実施形態5)
本実施形態の照明システムは、温度センサを備えており、照明器具2の消費電力を温度に基づいて補正を行う。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0064】
照明器具2は、光源22の調光率が一定であっても、温度が変動することによって、消費電力も変動する特性を有している。図9に、光源22の調光率に対する光源22の光出力および1灯当たりの消費電力の温度変化のグラフを示す。例えば、常温時において、光源22の調光率が100%の場合、1灯当たりの消費電力が100Wとする(図9のY6参照)。しかし、温度が上昇して85℃になると、光源22の調光率が100%であっても、1灯当たりの消費電力が100Wよりも高くなる(図9のY7参照)。また、温度が下降して5℃になると、光源22の調光率が100%であっても、1灯当たりの消費電力が100Wよりも低くなる(図9のY8参照)。すなわち、照明器具2の消費電力は、温度が高くなるにつれて増加し、温度が低くなるにつれて減少する特性を有している。
【0065】
そこで、本実施形態の調光制御部3は、温度センサ4(温度計測部)を備え、実施形態1と同様の方法で自己が調光制御を行う照明器具2の消費電力を算出し、温度センサ4の計測結果に基づいて照明器具2の消費電力の補正を行う。
【0066】
照明器具2および調光制御部3のブロック構成図を図10に示す。本実施形態の調光制御部3は、送受信部31と、制御部32と、灯数入力部33と、記憶部34と、調光出力部35と、温度センサ4(温度計測部)とで構成されている。
【0067】
調光制御部3は照明器具2と一体に構成されており、温度センサ4は、照明器具2の周囲温度を計測している。また、記憶部35には、温度に対する1灯当たりの消費電力の変化を示す温度データテーブルを記憶している。
【0068】
そして、親機1から送信される電力要求信号を受信すると、調光制御部3は、現在の光源22の調光率と電力データテーブルとから、光源22の1灯当たりの消費電力を算出する。そして、調光制御部3は、算出結果を温度データテーブルに基づいて補正し、光源22の灯数を乗算することで、現在の温度に対応した照明器具2の消費電力を算出し、親機1に送信する。親機1は、各調光制御部3から取得した各照明器具2の消費電力を総和することで、照明システム全体の消費電力を算出する。
【0069】
このように、本実施形態では、温度変化による照明器具2の消費電力の変動を考慮して、補正を行うことで、より正確な照明器具2の消費電力を算出することができる。
【0070】
また、図11に示すように、温度センサ4は調光制御部3と別体に設け、点灯回路21および光源22の近傍に設けられていてもよい。この場合、調光制御部3が温度センサ4から送信される検知結果を受信するセンサ入力部41を備える。温度センサ4が、点灯回路21および光源22の近傍に設けられることによって、温度変動による補正精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 親機
2 照明器具
3 調光制御部
11 制御部
12 送受信部
21 点灯回路
22 光源
31 送受信部
32 制御部(電力算出部)
33 灯数入力部
34 調光出力部
35 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数の光源を有する1乃至複数の照明器具と、
制御対象の前記照明器具に具備された前記光源の調光制御を行い、自己の制御対象である前記照明器具に具備された前記光源の灯数に関する灯数情報が入力される灯数入力部を有する1乃至複数の調光制御部と、
前記調光制御部に対して、前記光源の調光率を示す調光信号を送信する親機と、
前記調光率と前記光源の単位個数当たりの消費電力との関係を示す電力データテーブルを記憶する記憶部と、
前記照明器具の消費電力を算出する電力算出部とを備え、
前記調光制御部は、前記親機から送信される前記調光信号に基づいて前記光源の調光制御を行い、
前記電力算出部は、前記電力データテーブルと、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の調光率と、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記親機は、前記電力算出部と前記記憶部とを備えており、
前記親機は、前記調光制御部の各々から前記灯数入力部に入力された前記灯数情報を取得し、前記データテーブルと、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の調光率と、前記調光制御部の各々が調光制御を行う前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することを特徴とする請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記親機は、前記調光信号が示す前記調光率と前記光源に供給される電力との関係を示す調光カーブの設定信号を前記調光制御部に送信し、前記調光制御部は、前記設定信号が示す前記調光カーブに基づいて前記光源の調光制御を行い、
前記調光制御部は、前記設定信号を受信すると、前記灯数入力部に入力された前記灯数情報を前記親機に送信することを特徴とする請求項2記載の照明システム。
【請求項4】
前記照明器具は、当該光源を点灯させる点灯回路とを備え、
前記調光制御部は、複数の前記照明器具の各々に具備された前記点灯回路に対して、当該点灯回路の出力を制御する出力制御信号を信号線を介して送信することで前記光源の調光制御を行い、前記出力制御信号の送信時に前記信号線に流れる電流を計測する電流計測部を備え、前記電流計測部の計測結果に基づいて、自己が調光制御を行う前記光源を具備している前記照明器具の台数を算出し、前記灯数入力部には、自己が調光制御を行う前記光源を具備している前記照明器具1台当たりに具備された前記光源の灯数が前記灯数情報として入力されており、
前記電力算出部は、前記データテーブルと、前記調光制御部が算出した前記照明器具の台数と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の調光率と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の前記灯数情報とから、前記調光制御部が調光制御する前記光源が具備された複数の前記照明器具の消費電力を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
温度を計測する温度計測部を備え、
前記電力算出部は、前記温度計測部の計測結果に基づいて、前記照明器具の消費電力を補正することを特徴とする照明システム。
【請求項6】
前記光源の累積点灯時間を計測する計時部と、
前記累積点灯時間の増加に伴う前記光源の光出力の低下を抑制するように、前記累積点灯時間の増加に伴って、前記光源の調光率を増加させる初期照度補正を行う初期照度補正部とを備え、
前記調光制御部は、前記初期照度補正後の前記光源の調光率に基づいて、前記光源の調光制御を行い、
前記電力算出部は、前記電力データテーブルと、前記初期照度補正後の前記光源の調光率と、前記調光制御部が調光制御する前記光源の前記灯数情報とから、前記照明器具の消費電力を算出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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