説明

照明システム

【課題】ユーザに負担や不快を感じさせることなく照明器具を省エネルギー稼動する。
【解決手段】照明器具と、室内の明るさを検出する明るさセンサと、前記照明器具の明るさレベルの変更操作を行うためのユーザインターフェースと、室内環境に適した明るさの下限値と、前記照明器具点灯時の明るさとしての初期値と、を記憶する記憶手段と、前記照明器具点灯時には前記初期値の明るさで点灯させるとともに、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するか否かを判定し、一致しないと判定された場合に、前記明るさを変更する際の変更比率及び変更間隔を用いて、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するまで、室内の明るさを2%以下の変更比率で且つ0.2秒以上の間隔をあけて前記照明器具の出力を低下させるように制御する制御手段と、を備える照明システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の照明器具の省エネルギー制御を行う照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーに対する注目が高まっており、家電機器の省エネルギー化に関する技術開発が行われている。家電機器の省エネルギー化においては、日常生活の場で人々が抵抗無く省エネルギーを実行するために、操作負担や出力低下による不快感を与えることのない手法が求められる。
【0003】
省エネルギー技術を適用した照明器具に関する技術としては、下記特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2000-509546号公報
【0005】
特許文献1は、予め定められた設定値に向かって、人間が気づくことができない遅い速度で照明器具の出力を低下させて光量を落とす省エネルギー技術を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、予め定められた設定値自体がユーザに快適であるか否かや、外光の明るさに影響を受ける実際の明るさについては考慮されていないので、ユーザの明るさに関する好みの個人差や外光状況の変化等に対応する柔軟さに欠ける。上記文献以外においても、ユーザに不快感を与えることなく省エネルギーを実践できる照明システムは、いまだ実現していない。
【0007】
本発明は、以上に鑑みなされたものであって、ユーザに特別な操作負担を強いることなく、また明暗に対する不快感を与えることなく、照明器具の省エネルギー稼動を実行することのできる照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、照明器具と、室内の明るさを検出する明るさセンサと、前記照明器具の明るさレベルの変更操作を行うためのユーザインターフェースと、室内環境に適した明るさの下限値と、前記照明器具点灯時の明るさとしての初期値と、を記憶する記憶手段と、前記照明器具点灯時には前記初期値の明るさで点灯させるとともに、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するか否かを判定し、一致しないと判定された場合に、前記明るさを変更する際の変更比率及び変更間隔を用いて、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するまで、室内の明るさを2%以下の変更比率で且つ0.2秒以上の間隔をあけて前記照明器具の出力を低下させるように制御する制御手段と、を備える照明システムである。
【0009】
気づくことができる最小の刺激差は、基準となる基礎刺激の強度に比例するというウェーバーの法則がある。明るさ刺激(明るさの変化)の場合、気づくことができる最小の刺激差は、現時点の明るさの約2%である。
【0010】
また、明るさ刺激があった場合に視覚が落ち着くのは、明るさの変更後0.2〜0.35秒以上経過した後である。
【0011】
上記構成では、明るさ刺激を感じない変更比率である2%以下で明るさを暗く変化させており、且つ連続して明るさを変化させる場合には視覚が落ち着いた後である以上経過した後に行っている。このため、ユーザが明るさの変化を気づくことが無い。また、室内環境に適した明るさの下限値を超えて暗くなることが無いため、よって、ユーザに明るさに対する不快感を与えることなく、且つユーザに気づかれることなく照明器具の明るさを落とすことができ、これにより省エネルギー化を図れる。
【0012】
ここで、明るさの下限値としては、JIS Z9110−1979に準拠した下限値とすることができ、また、上記基準に記載されていない条件においては、その使用用途から最も近い条件を参照して適用することができる。また、初期値は、JIS Z9110−1979を準拠又は参照した上限値とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記記憶手段は、前記照明器具の出力と前記明るさセンサにより検出される明るさとの関係をさらに記憶し、前記制御手段は、前記照明器具の出力と前記明るさセンサにより検出される明るさとの関係を用いて、前記照明器具の出力制御を行う構成とすることができる。
【0014】
室内の明るさは、外部要因に起因する明るさと照明器具による明るさとの和であり、照明器具の出力と明るさセンサにより検出される明るさとの関係を用いることにより、照明器具の出力制御によって、室内の明るさを2%以下の変更比率で落とすことが容易となる。
【0015】
上記構成において、前記記憶手段は、ユーザの明るさ嗜好を学習してなる学習下限値及び学習上限値をさらに記憶し、前記制御手段は、前記学習下限値及び前記学習上限値が未設定の場合には、前記学習下限値として前記明るさの下限値、前記学習上限値として前記初期値を代入するとともに、前記初期値に代えて前記学習上限値、前記明るさ下限値に代えて前記学習下限値を用いて制御を行う構成とすることができる。
【0016】
上記構成では、明るさ下限値に変えてユーザの明るさ嗜好を学習してなる学習下限値及び学習上限値を用いることにより、より速やかに、且つ、ユーザが明るさに対する不快感を抱くことなく明るさを落としていくことができ、省エネルギーを図れる。
【0017】
ユーザの明るさ嗜好の学習(学習上限値、学習下限値の変更)は、次のようにして行う。
【0018】
制御手段は、ユーザインターフェースによる明るさレベル変更操作の有無及びその内容を判定する。
【0019】
明るさレベルを上げる操作があった場合には、変更前の明るさまで明るさを下げることは好ましくないので、学習下限値を「変更前の明るさに2%以下の値を加算した値」とする。なお、この値が初期値を超える場合は学習下限値を「初期値」とする。また、変更後の明るさに不満は無いと判定できるが、初期値を超える明るさとするのは不適であるので、学習上限値を「変更後の明るさ及び初期値のうち小さいほうの値」とする。
【0020】
明るさレベルを下げる操作があった場合には、変更後の明るさに不満を感じていないと判定できるので、学習上限値を「変更後の明るさ及び初期値のうち小さいほうの値」とする。なお、学習上限値が明るさ下限値を下回ることは好ましくないので、この場合は学習上限値を「明るさ下限値」とする。また、明るさの下限に対する嗜好は不明であるので、最低限必要な明るさである「明るさ下限値」を学習下限値とする。
【0021】
照明点灯時に、照明調節操作が全く無い場合は、現在の学習下限値まで明るさを下げたことに対する不満を感じなかったと判定できるため、学習下限値は変更しない。また、点灯時の明るさレベルを落としても大丈夫と判定できるので、点灯時の明るさレベルである学習最大値を、「学習最大値(変更前)から刺激量の変化を認識できないレベルである2%以下の値を減算した値」とする。なお、この値が明るさ下限値よりも小さくなることは好ましくないので、この場合は、学習最大値を「明るさ下限値」とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる照明システムによると、ユーザに明暗に関する不満を感じさせることなく照明器具を省エネルギー稼動できる照明システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる照明システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る照明システムの動作フローを示す図である。
【図3】図3は、実施の形態2に係る照明システムの動作フローを示す図である。
【図4】図4は、実施の形態2に係る照明システムの学習処理のフローを示す図である。
【図5】図5は、実施の形態3に係る照明システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る照明システムのブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る照明システムは、室内の明るさレベルを検出する明るさセンサ101と、照明器具104と、明るさ制御のための各種情報を記憶する記憶手段103と、明るさセンサ101の情報と記憶手段103の情報とを用いて照明器具104の照明強度を制御する制御手段102と、照明器具104に対するユーザによる変更操作を行うためのユーザインターフェース105と、を備えている。
【0026】
照明器具104は、制御対象の器具であり、消費電力を変更することにより明るさレベルを変更できるものである。このような照明器具104としては、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)照明等を用いることができる。
【0027】
制御手段102は、明るさセンサ101の情報と記憶手段103の情報とを用いて、照明器具104の照明強度の制御を行うものである。なお、この制御の詳細は後述する。制御手段102としては、中央処理装置(CPU)等の公知の処理装置を用いることができる。
【0028】
明るさセンサ101は、室内の明るさレベルを検出するセンサである。この明るさセンサ101としては、照度計等の公知の光センサを使用できる。
【0029】
ユーザインターフェース105は、照明器具104に対してON/OFF、明るさレベルの変更等のユーザ操作を行うものである。また、このような操作情報は、無線や有線の通信によって、制御手段102に伝達される。
【0030】
記憶手段103は、明るさ制御のための各種情報を記憶するものである。具体的には、室内環境に適した明るさの下限値と、点灯時の明るさである初期値と、照明器具104の明るさ変更比率(2%以下の値)と、照明器具104の明るさ変更間隔(0.2秒以上の値)と、が少なくとも記憶され、さらに、照明器具104の出力と明るさセンサ101により検出される明るさとの関係を示すテーブル、現在の照明強度、一致度判定のための誤差範囲(照明誤差範囲)等が記憶されていてもよい。
【0031】
記憶手段に記憶される情報について、以下に説明する。
【0032】
明るさの下限値とは、室内の使用用途に応じた最適な明るさレベルの下限値を意味し、例えばJIS Z9110−1979の基準を用いることができ、またこの基準に示されていない環境においては、最も近い環境における値を参照して適用することもできる。
【0033】
初期値とは、照明器具の点灯時の明るさであり、室内の使用用途に応じた最適な明るさレベルの上限値を意味する。例えば、JIS Z9110−1979の基準やこれを参照した値を用いることができる。
【0034】
一致度判定のための誤差範囲とは、明るさセンサで検出された現在の明るさレベルが、明るさの下限値と一致するか否かを判定する際に用いる誤差範囲であり、例えば明るさセンサで検出された明るさレベルと比較される「明るさの下限値」の2%範囲とすることができる。
【0035】
明るさ変更比率とは、明るさセンサで検出された現在の明るさレベルが、明るさの下限値よりも大きい場合に、照明器具104の強度を下げるための強度変更比率である。
【0036】
明るさ変更間隔とは、2回以上連続して照明器具104の強度を下げる場合に、強度変更処理間に設ける休止時間である。
【0037】
ここで、明るさ変更比率及び明るさ変更間隔について、さらに説明する。気づくことができる最小の刺激差は、基準となる基礎刺激の強度に比例するというウェーバーの法則がある。明るさ刺激(明るさの変化)の場合、気づくことができる最小の刺激差約2%であるため、明るさ変更比率は、2%以下とする。明るさ変更比率の下限は特に設けなくてもよいが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上とする。
【0038】
これに対し、明るさ刺激があった場合に視覚が落ち着くのは、明るさ変更後0.2〜0.35秒以上後であることから、ここでは変更間隔を0.2秒以上、好ましくは0.35秒以上とする。明るさ変更間隔の上限は特に設けなくてもよいが、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、さらに好ましくは3分以下とする。
【0039】
また、記憶手段103に照明調節の変更比率、変更間隔に関するテーブルを複数記憶しておき、ユーザインターフェースからの入力によってユーザが好みの変更比率、変更間隔を設定できる構成としてもよい。また、常に一定の比率・間隔で変化させるのではなく、例えば照明強度が高く消費電力が大きいときには高い比率・短い間隔で、照明強度がある程度下がった後には低い比率・長い間隔というように、比率・間隔を変化させながら制御を行うようにしてもよい。
【0040】
初期値とは、照明器具104の起動時の明るさレベル(照明強度)を意味する。
【0041】
現在の照明強度とは、現在の照明器具104の照明強度(出力)を意味する。この情報は、電源が落とされた場合に保持する必要は無いので、揮発性の記憶手段に記憶されていてもよい。
【0042】
照明器具104の出力と明るさセンサ101により検出される明るさとの関係を示すテーブルとは、照明器具104の照明強度(出力)と当該出力時の部屋の明るさとの関係を示すテーブルであり、制御手段102は、これらの情報を用いて照明器具104の照明強度(出力)の制御を行い、室内の明るさレベルを制御する。
【0043】
ここで、情報ごとにそれぞれ記憶手段が用意される構成であってもよく、全ての情報を一つの記憶手段が記憶する構成であってもよく、それ以外の構成であってもよい。記憶手段としては、ハードディスクドライブ(HDD)、半導体メモリ、レジスタ等を用いることができる。また、複数の記憶手段を用いる場合、揮発してもよい情報のみを記憶する記憶手段として、RAM(Random Access Memory)等を用いることができる。
【0044】
次に、この照明システムの動作フローを、図2を参照して説明する。
【0045】
ステップS101
ユーザインターフェース105を用いて照明器具104がONとなると、制御手段102に当該情報が通知される。この通知は、ユーザインターフェース105が制御手段102に通知するものであってもよく、照明器具104が制御手段102に通知するものであってもよい。
【0046】
ステップS102
制御手段102は、記憶手段103から明るさの下限値及び照明誤差範囲に関する情報を取得する。
【0047】
ステップS103
制御手段102は、明るさセンサ101から現時点での明るさレベルを取得する。なお、ステップS102とステップS103との順序が逆ないし同時であってもよい。
【0048】
ステップS104
制御手段104は、取得した現時点での明るさと明るさの下限値の減算処理を行い、この値が照明誤差範囲内か否か(現時点での明るさと明るさの下限値とが一致するか否か)を判定する。範囲内であれば終了処理を行い、範囲外であればステップS105に移行する。
【0049】
ステップS105
取得した現時点での明るさレベルと明るさの下限値の差が照明誤差範囲外であれば、記憶手段103から明るさ変更比率(2%以下の値)を取得し、この比率を用いて照明器具104の強度を低下させる。
【0050】
ステップS106
明るさ変更処理後、明るさ変更間隔(0.2秒以上)の経過を待って、ステップS103に移行する。
【0051】
これらの処理により、室内の照明器具104の消費電力が低減されて、省エネルギーを図れる。
【0052】
(実施の形態2)
本実施の形態では、ユーザの照明器具の使用状態を学習し、ユーザの好みに適しており、且つ省エネルギーに資する明るさに速やかに変更できる照明システムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、照明システムの構成は、照明器具104の起動値の明るさであって、ユーザの好みを学習したものである学習上限値及び照明器具104の明るさレベル変更の下限値であって、ユーザの好みを学習したものである学習下限値が、記憶手段に記憶される必須の記憶情報であり、且つ、ユーザインターフェース105の操作情報を用いて制御手段102が学習値の書き換えを行うこと以外は、上記実施の形態1と同様であるので、システム構成の説明は省略する。
【0053】
次に、この照明システムの動作フローを、図3を参照して説明する。
【0054】
ステップS201
ユーザインターフェース105を用いて照明器具104がONとなると、制御手段102に当該情報が通知される。
【0055】
ステップS202
制御手段102は、明るさレベルの学習(学習下限値の設定)が済んでいるか否かを判定する。済んでいる場合はステップS204に移行し、済んでいない場合はステップS203に移行する。
【0056】
ステップS203
未学習の場合、制御手段102は、明るさの下限値を学習下限値、初期値を学習上限値に代入する。
【0057】
ステップS204
学習上限値で照明器具104が点灯される。
【0058】
ステップS205
制御手段102は、記憶手段103から学習下限値及び照明誤差範囲に関する情報を取得する。
【0059】
ステップS206
制御手段102は、明るさセンサ101から現時点での明るさレベルを取得する。
【0060】
ステップS207
制御手段102は、取得した現時点での明るさレベルと下限値(学習下限値又は明るさ下限値)の減算処理を行い、この値が照明誤差範囲内か否かを判定する。範囲内であれば終了処理を行い、範囲外であればステップS208に移行する。
【0061】
ステップS208
取得した現時点での明るさレベルと明るさの下限値の差が照明誤差範囲外であれば、記憶手段103から明るさ変更比率を取得し、この比率を用いて照明器具104の強度を低下させる。
【0062】
ステップS209
明るさ変更処理後、明るさ変更間隔の経過を待って、ステップS206に移行する。
【0063】
これらの処理により、室内の照明器具104の強度がユーザの好みの下限値まで低下し、これにより消費電力が低減されて、省エネルギーを図れる。
【0064】
次に、学習下限値、学習上限値の設定(学習)方法を、図4のフローを用いて説明する。
【0065】
ここでは、照明器具104が点灯してから、照明器具104の明るさ変更操作の有無及びある場合にはその内容を用いて、ユーザの明るさ嗜好の学習を行う。
【0066】
ステップS301
制御手段102は、学習値が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合にはステップS302に移行し、設定されている場合にはステップS303に移行する。ここでは、学習値の有無を示す学習値フラグを記憶手段に記憶しておき、これを用いて判定する方法を採用できる。
【0067】
ステップS302
学習値が設定されていない場合、学習上限値を初期値とし、学習下限値に明るさ下限値として代入する。
【0068】
ステップS303
制御手段102は、ユーザインターフェース105から操作情報を取得し、ユーザの明るさ調節操作があったか否かを判定する。ない場合にはステップS307に移行し、ある場合にはステップS304に移行する。
【0069】
ステップS304
照明調節操作がある場合、明るさレベルを上げる操作か下げる操作か判定する。明るさレベルを上げる操作であればステップS305、明るさレベルを下げる操作であればステップS306に移行する。
【0070】
ステップS305
明るさレベルを上げる操作である場合、変更前の明るさに不満がある(明るさが低すぎる)と判定できるので、この明るさをこのレベルまで落とすことが無いように、学習下限値を「変更前の明るさに明るさ変更比率分加算した値」とする。なお、初期値を超える値とすることは好ましくないので、「変更前の明るさに明るさ変更比率分加算した値」が初期値よりも大きい場合には、学習下限値を「初期値」とする。
また、次回起動時の明るさレベルは、変更後の明るさで十分であると判定できるため、学習上限値を「変更後の明るさ」とする。なお、初期値を超える値とすることは好ましくないので、「変更前の明るさに明るさ変更比率分加算した値」が初期値よりも大きい場合には、学習上限値を「初期値」とする。
【0071】
ステップS306
明るさレベルを下げる操作である場合、変更後の明るさレベルに不満はないと判定できるため、学習上限値を「変更後の明るさ」とする。なお、初期値を超える値とすることは好ましくないので、「変更前の明るさに明るさ変更比率分加算した値」が初期値よりも大きい場合には、学習上限値を「初期値」とする。また、学習下限値は変更後の明るさよりも下の値とすることがよいが、このレベルは不明であると判定できるので、学習下限値を「明るさ下限値」とする。
【0072】
ステップS307
照明点灯時に、照明調節操作が全く無い場合は、現在の学習下限値まで明るさを下げたことに対する不満を感じなかったと判定できるため、学習下限値は変更しない。また、点灯時の明るさレベルを落としても大丈夫と判定できるので、点灯時の明るさレベルである学習最大値を、「学習最大値(変更前)から明るさ変更比率分落とした値」とする。なお、この値が明るさ下限値よりも小さくなることは好ましくないので、この場合は、学習最大値を「明るさ下限値」とする。
【0073】
ステップS308
ステップS305〜S307で学習した学習上限値を、照明器具104の次回起動の際の明るさに設定し、終了する。
【0074】
以上の学習処理により、ユーザに不快感を与えない明るさまで速やかに照明器具の強度を落としていくことができ、より省エネルギーに資する。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態では、所定の明るさに達した後においても明るさレベルを常時監視し、外光レベルの変化等に起因する室内明るさレベル変化による影響を調整すること以外は、上記実施の形態2と同様である。本実施の形態に係るシステム構成は、上記実施の形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0076】
次に、この照明システムの動作フローを、図5を参照して説明する。なお、このフローは、ステップS401〜S407までは上記実施の形態2のステップS201〜S207と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
ステップS408
差が照明誤差範囲より大きい場合、明るさレベルが学習下限値よりも大きいか否かを判定する。大きい場合はステップS409に移行し、小さい場合にはステップS410に移行する。
【0078】
ステップS409
明るさレベルが学習下限値よりも大きい場合、照明器具の強度を2%以下低下させる。この後、ステップS411に移行する。
【0079】
ステップS410
明るさレベルが学習下限値よりも小さい場合、照明器具の強度を2%以下増大させる。この後、ステップS411に移行する。
【0080】
ステップS411
明るさ変更処理後、明るさ変更間隔の経過を待って、ステップS412に移行する。
【0081】
ステップS412
照明器具の電源がONかOFFかを判定する。OFFの場合は終了し、ONの場合はステップS406に移行する。
【0082】
以上の動作により、外光レベルの変化による室内の明るさ変化に対して速やかに室内の明るさを調整でき、これにより外光レベルの変化による室内の明るさ変化に対してユーザに不快感を与えないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上に説明したように、本発明によると、ユーザに操作負担や明暗の不快感を与えることなく照明器具を省エネルギー稼動できる照明システムを実現できる。よって、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0084】
101 明るさセンサ
102 制御手段
103 記憶手段
104 照明器具
105 ユーザインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具と、
室内の明るさを検出する明るさセンサと、
前記照明器具の明るさレベルの変更操作を行うためのユーザインターフェースと、
室内環境に適した明るさの下限値と、前記照明器具点灯時の明るさとしての初期値と、を記憶する記憶手段と、
前記照明器具点灯時には前記初期値の明るさで点灯させるとともに、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するか否かを判定し、一致しないと判定された場合に、前記明るさを変更する際の変更比率及び変更間隔を用いて、前記明るさセンサにより検出された明るさと前記明るさの下限値とが一致するまで、室内の明るさを2%以下の変更比率で且つ0.2秒以上の間隔をあけて前記照明器具の出力を低下させるように制御する制御手段と、
を備える照明システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記照明器具の出力と前記明るさセンサにより検出される明るさとの関係をさらに記憶し、
前記制御手段は、前記照明器具の出力と前記明るさセンサにより検出される明るさとの関係を用いて、前記照明器具の出力制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、ユーザの明るさ嗜好を学習してなる学習下限値及び学習上限値をさらに記憶し、
前記制御手段は、前記学習下限値及び前記学習上限値が未設定の場合には、前記学習下限値として前記明るさの下限値、前記学習上限値として前記初期値を代入するとともに、前記初期値に代えて前記学習上限値、前記明るさ下限値に代えて前記学習下限値を用いて制御を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ユーザインターフェースによる明るさレベル変更操作の有無及びその内容を判定し、明るさレベルを上げる操作があった場合には、変更前の明るさに2%以下の値を加算した値及び初期値のうちの小さいほうの値を前記学習下限値、変更後の明るさ及び前記初期値のうち小さいほうの値を前記学習上限値をとして、前記記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ユーザインターフェースによる明るさレベル変更操作の有無及びその内容を判定し、明るさレベルを下げる操作があった場合には、変更後の明るさ及び明るさ下限値のうち大きいほうを学習上限値、前記明るさの下限値を学習下限値として、前記記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ユーザインターフェースによる明るさレベル変更操作の有無を判定し、明るさレベルを変更する操作がなかった場合には、変更前の学習最大値から2%以下の値減算した値及び前記明るさの下限値のうち大きいほうの値を前記学習最大値として、前記記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−43625(P2012−43625A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183475(P2010−183475)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】