説明

照明付きデスク

【課題】
天板の上位にアンビエント照明を備えた照明付きデスクにおいて、室内天井照明を無くしても室内の明るさ感を感じられるように、アンビエント照明の光で天井や壁も照らし、また下方に一部の光を導いて天板の上方を明るくすることが可能な照明付きデスクを提供する。
【解決手段】
天板の上位にアンビエント照明6を備えた照明付きデスクであって、アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する光学手段14を備えた。更に、天板の後部に立設した支持フレーム2の上部にパネル板3を設け、光学手段14はアンビエント照明からの光の一部を反射してパネル板を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明付きデスクに係わり、更に詳しくはアンビエント照明を備えたデスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から白熱灯から蛍光灯へと切り換えが進み、更に消費電力が小さく且つ調光可能な発光ダイオード(LED)照明の採用も広がりつつある。オフィス照明においても天井に設けた照明器具で部屋全体を明るくするやり方から、必要最小限の空間を必要最小限の明るさに照らすコンセプトの提案もなされてきている。
【0003】
従来から机上の照明装置として、特許文献1には、相対向する机の中間に略T字形の支持アームを立設し、該支持アームでそれぞれの机の上位に位置した照明器具を支持し、該照明器具は机上面を照明する下照明部と天井面を照明する上照明部とを備えた机上照明装置が開示されている。また、特許文献2には、前後に対面配置した両天板の境界部に、両側の支柱と上端のライン構成ビームとを備えた机上構造体を立設し、該机上構造体のライン構成ビームに上向きに照らす補助照明手段を設けるとともに、前記ライン構成ビームからワイヤで吊り下げられた中間フレームに主として下方を照らす光源を設け、更に前記机上構造体の下部で両支柱間にデスクトップパネルを配置して、前記中間フレームの光源からの光の一部を該パネル面で反射させて天板上面に導くように構成したデスクシステムが開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の机上照明装置は、同じ照明装置に机上面を照明する下照明部と天井面を照明する上照明部とを備えているので、机上面の照度を十分に確保するために、照明装置の高さを比較的低く設定する必要があるが、そうすると天井面との距離が長くなり、効果的に天井面を照らすには、出力が大きな明るい上照明部を必要とし、省エネルギーには不向きである。また、対面する側の下照明部の照明が支持アームの間を通して机上面に届くように、中央部のパネルの高さが抑制されているので、目隠し機能は期待できない。一方、特許文献2のデスクシステムの照明装置は、中間フレームの高さを調節して天板上面の照度を調節できるが、机上構造体の上端のライン構成ビームに設けた光源は上方を照らす機能しかないので、中間フレームを下げて天板上面の照度を高めた場合、相対的に上部が暗くなり、それによって部屋全体が暗く感じられるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−102134号公報
【特許文献2】特開2010−017488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、天板の上位にアンビエント照明を備えた照明付きデスクにおいて、室内天井照明を無くしても室内の明るさ感を感じられるように、アンビエント照明の光で天井や壁も照らし、また下方に一部の光を導いて天板の上方を明るくすることが可能な照明付きデスクを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、天板の上位にアンビエント照明を備えた照明付きデスクであって、前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する光学手段を備えたことを特徴とする照明付きデスクを構成した(請求項1)。
【0008】
更に、天板の後部に立設した支持フレームの上部にパネル板を設け、前記光学手段は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射するようにすることがより好ましい(請求項2)。
【0009】
つまり、前記光学手段は、第1領域と第2領域とを少なくとも有し、第1領域は前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する領域であり、第2領域は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射する領域であって、第2領域の反射率は第1領域の反射率よりも相対的に高く設定されている(請求項3)。
【0010】
具体的には、前記アンビエント照明の光の照射方向は、水平面に対して45°より小さな角度に設定し、前記光学手段の第2領域は、前記アンビエント照明の発光面の上下中間位置から斜め前下方に延びて保持した反射板で構成し、前記光学手段の第1領域は、前記反射板の下端部から斜め前上方に延びて保持した拡散板で構成してなるのである(請求項4)。
【0011】
更に、前記支持フレームの上端部で前記パネル板の前面に、前記アンビエント照明をその光の照射方向が水平面に対して45°より小さな角度になるように下向きに設け、前記アンビエント照明の発光面の略上半分の前面側に設けた透明板の下端に前記反射板を固定するとともに、該反射板の下端部に前記拡散板の下端部を固定し、前記透明板を透過した光が前記拡散板に照射するように配置してなることがより好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
以上にしてなる請求項1に係る発明の照明付きデスクは、天板の上位にアンビエント照明を備えた照明付きデスクであって、前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する光学手段を備えたので、室内天井照明を無くしても室内の明るさ感を感じられるように、アンビエント照明の光で天井や壁も照らし、また下方に一部の光を導いて天板の上方の空間を明るくすることができ、天井面とアンビエント照明より下方の物体面をバランス良く明るくすることができ、特にアンビエント照明の光源としてLEDを用いることにより、省電力化と明るさの確保を図ることができる。
【0013】
請求項2によれば、天板の後部に立設した支持フレームの上部にパネル板を設け、前記光学手段は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射するようにしたので、パネル板の表面が明るくなり、間接照明の作用を有して天板上方の空間が明るく感じられる。
【0014】
請求項3によれば、前記光学手段は、第1領域と第2領域とを少なくとも有し、第1領域は前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する領域であり、第2領域は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射する領域であって、第2領域の反射率は第1領域の反射率よりも相対的に高く設定されているので、光学手段の第1領域によって、アンビエント照明からの光で天井面を明るくすると同時に、透過した光によって第1領域そのものが面発光の光源となって上部を明るくし、また光学手段の第2領域によってアンビエント照明からの光が反射してパネル板の表面を明るくし、広い面積の発光面ができてより明るくなる。
【0015】
請求項4によれば、前記アンビエント照明の光の照射方向は、水平面に対して45°より小さな角度に設定し、前記光学手段の第2領域は、前記アンビエント照明の発光面の上下中間位置から斜め前下方に延びて保持した反射板で構成し、前記光学手段の第1領域は、前記反射板の下端部から斜め前上方に延びて保持した拡散板で構成したので、アンビエント照明からの光が鉛直方向よりも水平方向に強くなり、その光の一部を拡散板で反射して天井面を照射するとともに、拡散板に入射した光の一部が透過して面発光の光源となり、またアンビエント照明からの光の一部を反射板で反射してパネル板を照射することができ、簡単な構成で、天井面と拡散板の表面とパネル板の三つの面を明るくすることができる。
【0016】
請求項5によれば、前記支持フレームの上端部で前記パネル板の前面に、前記アンビエント照明をその光の照射方向が水平面に対して45°より小さな角度になるように下向きに設け、前記アンビエント照明の発光面の略上半分の前面側に設けた透明板の下端に前記反射板を固定するとともに、該反射板の下端部に前記拡散板の下端部を固定し、前記透明板を透過した光が前記拡散板に照射するように配置してなるので、アンビエント照明からの光を拡散板と反射板とに略均等に分けて照射することができ、またアンビエント照明あからの光が水平より下方に向けて照射するので、下方の明るさを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る照明付きデスクの簡略斜視図である。
【図2】同じく照明付きデスクの簡略正面図である。
【図3】アンビエント照明の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図3は本発明の照明付きデスクの実施形態を示し、図中符号1はデスク、2は支持フレーム、3は上部パネル、4は下部パネル、5は空間部、6はアンビエント照明、7はタスク照明をそれぞれ示している。本実施形態は、オフィスで使用することを前提として記載するが、本発明は広く一般的に適用できるものである。図示した実施形態は、左右前後に4席の対向島型デスクシステムを示している。
【0019】
図1〜図3に示した実施形態は、前記デスク1は、左右の脚部8,8で、左右に2席分の横幅の天板9を設け、これを反対側にも対称に対向させて設けたものである。更に、前記デスク1は、前後の天板9,9間の境界線上に支持フレーム2を立起状態で取付けている。尚、本発明では前記デスク1及び支持フレーム2の具体的構造の限定は不要である。
【0020】
前記支持フレーム2は、両端部の端支柱10,10と中間の中間支柱11及びそれらの上端間に連結する横杆12とで概略構成している。そして、前記支持フレーム2の上段部に上部パネル板3を設けるとともに、下段部に下部パネル板4を設け、前記上部パネル板3と下部パネル板4との間は空間部5となっている。前記上部パネル板3と下部パネル板4は、白色系のボードで構成し、鉛直面上に配置している。ここで、前記下部パネル板4は、目隠しパネルの作用も兼ねたものであり、前記空間部5を設けることにより、見上げた時の視界を確保し、圧迫感を和らげることができるようにしている。
【0021】
そして、前記支持フレーム2の上端部の横杆12に沿い、前記上部パネル板3の前面側にアンビエント照明6を設け、また前記下部パネル板4の上端部にタスク照明7を設けている。前記デスク1のパーソナルスペースのそれぞれにアンビエント照明6とタスク照明7を一対設けている。
【0022】
前記アンビエント照明6は、図3に示すように、照明器具13と、該照明器具13からの光を反射、透過させて所定の照明形態を実現する光学手段14とから構成されている。前記照明器具13は、横長の形状を有し、内部に複数のLED15,…を列設した基板16を上下2列に配置して光源とし、光の出射面側にはシェード17が設けられた構造である。前記照明器具13の基板16は、本体内部で鉛直面に対して10°だけ下向き傾斜した面に取付けられ、前記LED15からの光の照射方向は、水平面に対して10°下向き(俯角)に設定されている。実用的には、前記アンビエント照明6の光の照射方向は、水平面に対して45°より小さな角度になるように下向きに設定することが好ましい。尚、前記LED15から出射される光は、比較的広がり角度は小さく、指向性が良いので、照明として用いるにはそれを拡散、反射させて広い領域を照射するようにする必要がある。
【0023】
本願発明では、図3に示すように、前記光学手段14によって、前記アンビエント照明6からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射し、更に前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記上部パネル板3を照射するように構成した。つまり、前記光学手段14は、第1領域と第2領域とを少なくとも有し、第1領域は前記アンビエント照明6からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する領域であり、第2領域は前記アンビエント照明6からの光の一部を反射して前記上部パネル板3を照射する領域であって、第2領域の反射率は第1領域の反射率よりも相対的に高く設定されている。
【0024】
具体的には、前記光学手段14の第2領域は、前記アンビエント照明6の発光面(シェード17)の上下中間位置から斜め前下方に延びて保持した反射板18で構成し、前記光学手段14の第1領域は、前記反射板18の下端部から斜め前上方に延びて保持した拡散板19で構成している。本発明でアンビエント照明6の発光面とは、光源(LED15)から出射される光束の中心軸(光軸)に直交する面を意味し、具体的には前記シェード17の面がそれに対応している。
【0025】
前記支持フレーム2の上端部で前記上部パネル板3の前面に、前記アンビエント照明6を設け、前記アンビエント照明6の発光面の略上半分の前面側に設けた透明板20の下端に前記反射板18を固定するとともに、該反射板18の下端部に前記拡散板19の下端部を固定し、前記透明板20を透過した光が前記拡散板19に照射するように配置している。前記反射板18は、板金で表面を白く塗装した板部材であり、前記拡散板19はアクリル白色乳半で作成している。また、前記透明板20は、透明なアクリル板で作成している。それぞれの板部材は、面接合状態で接着若しくはネジ止めにて固定している。
【0026】
前記透明板20は、前記照明器具13の上端から前記シェード17の前面側に略鉛直に垂下させて配置し、下端はシェード17の上下中間部に位置している。そして、前記透明板20の下端に固定した前記反射板18は、下部が前記上部パネル板3の表面から若干離れるように傾斜状態に配置している。ここで、前記反射板18の上端は、前記シェード17の上下中間部、具体的には上下の基板16,16の中間部に位置し、上方の基板16のLED15からの光が前記反射板18より上方の透明板20を透過し、下方の基板16のLED15からの光が前記反射板18の背面で反射して前記上部パネル板3を照射するようにしている。そして、前記反射板18の下端部から手前側斜め上方へ向けて固定した前記拡散板19に、前記透明板20を透過した光を照射し、その光の一部を該拡散板19で反射させて天井面を照射し、該拡散板19を透過した光で手前側下方を照射するのである。ここで、前記拡散板19は、約45°の角度に設定されており、天井面と下方をバランス良く効果的に照射できるようにしている。また、本実施形態では、前記光学手段14によって、前記LED15からの光が天板9の手前に着座した利用者の目に直接入らないようになっている。
【0027】
前記タスク照明7は、本実施形態では、前記照明器具13と同じものを用いている。タスク照明7からの光を前記天板9の上面に照射するとともに、一部を前記下部パネル4の表面に照射して間接照明の作用を持たせている。
【0028】
明るさ感達成のために、高さ700mm以上の壁面等の垂直面と天井面が平均照度200ルクス(lx)、高さ700mm未満の垂直面と床面が最低照度50ルクス(lx)以上になるように設定すれば、部屋全体(主に垂直面)の均一性(均斉度)を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 デスク
2 支持フレーム
3 上部パネル板
4 下部パネル板
5 空間部
6 アンビエント照明
7 タスク照明
8 脚部
9 天板
10 端支柱
11 中間支柱
12 横杆
13 照明器具
14 光学手段
15 LED
16 基板
17 シェード
18 反射板
19 拡散板
20 透明板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の上位にアンビエント照明を備えた照明付きデスクであって、前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する光学手段を備えたことを特徴とする照明付きデスク。
【請求項2】
天板の後部に立設した支持フレームの上部にパネル板を設け、前記光学手段は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射する請求項1記載の照明付きデスク。
【請求項3】
前記光学手段は、第1領域と第2領域とを少なくとも有し、第1領域は前記アンビエント照明からの光の一部を透過して下方を照射するとともに、一部を反射して天井面を照射する領域であり、第2領域は前記アンビエント照明からの光の一部を反射して前記パネル板を照射する領域であって、第2領域の反射率は第1領域の反射率よりも相対的に高く設定されている請求項2記載の照明付きデスク。
【請求項4】
前記アンビエント照明の光の照射方向は、水平面に対して45°より小さな角度に設定し、前記光学手段の第2領域は、前記アンビエント照明の発光面の上下中間位置から斜め前下方に延びて保持した反射板で構成し、前記光学手段の第1領域は、前記反射板の下端部から斜め前上方に延びて保持した拡散板で構成してなる請求項3記載の照明付きデスク。
【請求項5】
前記支持フレームの上端部で前記パネル板の前面に、前記アンビエント照明をその光の照射方向が水平面に対して45°より小さな角度になるように下向きに設け、前記アンビエント照明の発光面の略上半分の前面側に設けた透明板の下端に前記反射板を固定するとともに、該反射板の下端部に前記拡散板の下端部を固定し、前記透明板を透過した光が前記拡散板に照射するように配置してなる請求項4記載の照明付きデスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−543(P2013−543A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138191(P2011−138191)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】