説明

照明制御システム、照明制御装置、および照明制御方法

【課題】照明の利用者を満足させる明るさを維持しながら消費電力を低減化する。
【解決手段】制御システム10は灯具12からの出射光量あるいは色温度を調節する。照明制御システム10は入力器17と制御装置11を有する。入力器17は灯具12の出射光量あるいは色温度の調節入力を検知する。制御装置11は灯具12の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有する。制御部11は調節入力が検知されるまで光量低下機能を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明の消費電力を低減化させる照明制御システム、照明制御装置、および照明制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
灯具から出射する光量を調節する制御装置が、従来知られている。最大の出射光量で灯具から発せられる照明光によって灯具が設けられる空間が十分に明るくなるように、灯具の数および配置などが設計される。そのような設計により、当該空間における灯具の利用者が要求する以上の明るさになるように灯具を発光させることが可能である。
【0003】
灯具における消費電力を低減化させるためには、灯具からの出射光量を低下させることが必要である。そこで、様々な情況毎に快適と考えられる照度および色温度で灯具を発光させる省電力モードを有する制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−014341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、明暗の基準には個人差があるため、省電力モードにおける照明光に、当該照明光の利用者すべてを満足させることは難しい。省電力モードにおける照明光に不満を感じる利用者は省電力モードの使用をためらうため、消費電力の十分な低減化が難しい。一方、省電力モードにおける照明光に多くの利用者が満足している場合には、更なる消費電力の低減化の余地があるにもかかわらず必要以上の電力が消費されていた。
【0006】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、灯具の照明光を利用する利用者を満足させながら消費電力を低減化させる照明制御システム、照明制御装置、および照明制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による照明制御システムは、
灯具からの出射光量あるいは色温度を調節する照明制御システムであって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を検知する入力器と、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行する制御装置とを備える
ことを特徴とするものである。
【0008】
なお、前記灯具への供給電力を検知する電力検出部と、
前記遷移機能の停止時の前記供給電力を、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記供給電力によって作成され得る前記供給電力に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布に基づいて、前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給することが好ましい。
【0009】
また、前記灯具への供給電力を検知する電力センサと、
前記灯具が配置される空間である照明空間の外部から前記照明空間に入射する外部光の受光量を検出する光センサと、
前記遷移機能が前記灯具の出射光量を時間の経過に応じて低下させ続ける光量低下機能である場合に、前記光量低下機能の停止時の前記供給電力と前記受光量を関連付けて、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置とを備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記供給電力および前記受光量によって作成され得る前記供給電力および前記受光量に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布と前記光センサにより検出される前記受光量とに基づいて前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給することが好ましい。
【0010】
また、前記灯具への供給電力を検知する電力検出部と、
現在の暦情報を検出して送信可能なタイマと、
前記光量低下機能の停止時の前記供給電力と前記暦情報とを関連付けて、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置とを備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記供給電力および前記暦情報によって作成され得る前記供給電力および前記暦情報に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布と前記タイマにより検出される前記暦情報とに基づいて前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給することが好ましい。
【0011】
また、前記入力器は複数であり、
前記制御装置は、複数の前記入力器それぞれへの前記調節入力に基づいて、前記複数の入力器それぞれに対応付けられた複数の前記灯具に対する制御を実行することが好ましい。
【0012】
また、本発明による照明制御装置は、
灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を入力器を通じて検知可能な照明制御装置であって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行する、ことを特徴とするものである
【0013】
また、本発明による照明制御方法は、
灯具からの出射光量あるいは色温度を調節する照明制御システムにおける照明制御方法であって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を検知するステップと、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行するステップとを含む
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成された本発明に係る照明制御システム、照明制御装置、および照明制御方法によれば、利用者からの出射光量の調節入力を検知するまでの間、時間経過に応じて徐々に灯具からの出射光量を低減化させるので、利用者を満足させながら消費電力を低減化させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】制御装置が作成する記憶された供給電力値の頻度分布図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した照明制御システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置を有する照明制御システムの構成を示すブロック図である。照明制御システム10は、制御装置11、灯具12、記憶装置13、インターネット網14、ハブ15、LEDコントローラ16、入力器17、電力センサ18、および壁面スイッチ19を含んで構成される。
【0018】
制御装置11は例えばアプリケーションサーバであって、後述するように、灯具12から発する照明の状態を制御する。制御装置11は記憶装置13に接続される。必要に応じて制御装置11は、記憶装置13に様々な情報を格納させる。また、必要に応じて制御装置11は、記憶装置13から様々な情報を読出す。
【0019】
また、制御装置11はインターネット網14を介してハブ15に接続される。ハブ15には、更にLEDコントローラ16、複数の入力器17、および電力センサ18が接続される。
【0020】
制御装置11は、インターネット網14およびハブ15を介して、LEDコントローラ16および入力器17に様々な情報および指令などを送信する。また、制御装置11は、インターネット網14およびハブ15を介して、入力器17および電力センサ18から様々な情報を取得する。
【0021】
LEDコントローラ16には、複数の灯具12および壁面スイッチ19に接続される。各灯具12には、光源として複数のLED20が設けられる。LED20が発光する照明光によって、灯具12が設けられる空間が照明される。
【0022】
LED20の点灯および消灯の切替と、出射光量の調節とを、LEDコントローラ16が制御する。LED20の点灯および消灯の切替と、出射光量の調節とは、灯具12単位で行われる。以後、灯具12の点灯は、灯具12に設けられる全LED20の点灯を意味する。また、灯具12の出射光量は、灯具12に設けられる全LED20の出射光量を意味する。
【0023】
灯具12の点灯および消灯の切替は、壁面スイッチ19へのON/OFFの切替入力を検知するときに実行する。また、灯具12の出射光量を、後述するように制御装置11による制御に基づいて調節する。
【0024】
入力器17は、例えばパソコンおよびスマートフォンなどの通信端末などである。入力器17は、灯具12の出射光量の増加または減少の調節する調節入力を受け付け可能である。各入力器17には、出射光量を調節可能な灯具12が予め割当てられており、その対応関係が記憶装置13に記憶されている。それぞれの入力器17では、割当てられた灯具12の出射光量を調節可能である。灯具12の割当ては、入力器17への操作入力により変更可能である。
【0025】
入力器17に受け付けられた調節入力は、ハブ15およびインターネット網14を介して制御装置11に送信される。制御装置11では、調節入力を送信した入力器17に割当てられた灯具12に対して調節入力に対応した制御信号をLEDコントローラ16に送信する。LEDコントローラ16は、受信する制御信号に基づいて、割当てられた灯具12からの照明光の出射光量を調節する。
【0026】
LEDコントローラ16は、灯具12からの照明光の出射光量を、灯具12に供給される電力によって調節する。電力センサ18は例えば電流センサを有し、電流センサ18の測定値に基づいて灯具12への供給電力の値を検出する。すなわち、各灯具12には分電盤23を介して電力が供給されており、電力センサ18は各灯具12への電力の供給線ごとに電流値等を測定している。このようにして検出した供給電力値は制御装置11に送信され、後述するように省電力モードにおける制御に用いられる。ここで、ハブ15およびインターネット網14を介して制御装置11に送信される供給電力の値は、電力センサ18を用いて分電盤23からアナログに検出する値を用いる例を図示しているが、灯具12を制御するための制御信号の一部をLEDコントローラ16からデジタル値で取り出した値を用いても良い。
【0027】
次に、制御装置11の有する省電力モードについて説明する。省電力モードにおいて灯具12を点灯すると、所定の出射光量例えば最大出射光量で発光するように、LEDコントローラ16は灯具12を駆動する。また、省電力モードにおいて、制御装置11は、灯具12を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を実行する。例えば、制御装置11は、各灯具12の点灯後の経過時間に応じて出射光量が減少するように、LEDコントローラ16を制御する。以下の説明において、制御装置11は、遷移機能として、各灯具12の光量を低下させる光量低下機能を実行するものとして説明を行うが、遷移機能は光量低下機能に限定されず、例えば色温度調整機能などを実行することも可能である。
【0028】
経過時間に応じた出射光量は、例えば経過時間に対して比例的に減少させられる。比例的な減少においては、例えば1分、10分、30分、または1時間などの所定の周期で、所定の値だけ光量が減少させてもよい。また、経過時間に応じた出射光量の減少は、比例的な減少に限定されない。実際の制御においては、経過時間に応じて比例的に供給電力を減少させることにより、出射光量を減少させてもよい。
【0029】
省電力モードにおける光量低下機能の実行中に、入力器17において調節入力が検出されると、制御装置11は光量低下機能を停止させる。また、省電力モードにおける光量低下機能の実行中の調節入力の検出時に、制御装置11は電力センサ18から送信される供給電力値を記憶装置13に記憶させる。
【0030】
前述のように、出射光量の調節は灯具12単位で行われ、光量低下機能およびその停止も灯具12単位で行われる。また、記憶装置13への供給電力値の記憶も灯具12別に行われる。
【0031】
光量低下機能の停止後に灯具12を消灯させ再び灯具12を点灯させると、所定の出射光量で灯具12が発光するように制御装置11がLEDコントローラ16を制御する。さらに、前述と同様に、制御装置11は光量低下機能を実行する。また、入力器17への調節入力が検知されると、制御装置11は光量低下機能を停止させ、検知時の供給電力値を記憶装置13に記憶させる。
【0032】
記憶装置13に記憶させた供給電力値は消去も更新もされずに、サンプルとして蓄積される。蓄積される供給電力値の数が所定のサンプル数を超えるまで、灯具12の点灯時の所定の出射光量での発光と光量低下機能の実行とを繰返させる。サンプル数は入力器17への操作入力により変更可能である。
【0033】
蓄積される数が所定のサンプル数を超えると、制御装置11は蓄積された供給電力値に基づいて灯具12に供給する電力値を決定する。電力値を決定するために、制御装置11は、記憶装置13に記憶されている供給電力値の頻度分布(図2参照)を作成する。
【0034】
頻度分布を作成すると、制御装置11は頻度分布、すなわち調節入力が検出された回数と対応する供給電力値に基づいて、供給するのに適切な電力値を適切化電力値として算出し、決定する。
【0035】
適切化電力値を算出するために、頻度分布をどのように用いてもよい。灯具12毎に、利用者の大多数または全利用者が満足し得る最低の明るさを算出すれば、本実施形態の効果を得ることが可能である。
【0036】
制御装置11は、算出された適切化電力値を記憶装置13に記憶させる。次回の灯具12の点灯時に、制御装置11は適切化電力値を読出し、読出された適切化電力値で電力を灯具12に供給させる。また、適切化電力値の電力が供給されるときには光量低下機能は停止させられる。
【0037】
以上のような構成の第1の実施形態の照明制御システム10によれば、低下した光量に暗さを感じた利用者による調節入力を検知するときに光量低下機能を停止させるので、利用者を満足させながら、消費電力の低減化を図ることが可能である。
【0038】
さらに、本実施形態によれば、調節入力が検出された回数と調節入力が検出されたときの供給電力値に基づいて適切化電力値が算出され、灯具12に供給されるので、以後の点灯時には最初から最適化された光量の照明光を発光させることが可能になる。最適化された光量の照明光を発光させることが出来るので、徐々に光量を低下させる光量低下機能の実行時に比べて消費電力の低減化を図ることが可能である。
【0039】
また、本実施形態によれば、複数の入力器17毎にいずれかの灯具12が割当てられており、光量低下機能の実行および停止と、適切化電力値の算出とは灯具12が割当てられた入力器17への調節入力に基づいて実行されるので、複数の灯具12が配置されている場合に灯具12毎に利用者を満足させ得る明るさに調節することが可能である。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明制御システムについて説明する。第2の実施形態は、光センサにより検出される受光量を用いて照明光の明るさが調節される点において第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0041】
図3に示すように、第2の実施形態に係る照明制御システム100は、第1の実施形態と同じく、制御装置110、灯具12、記憶装置130、インターネット網14、ハブ15、LEDコントローラ16、入力器17、電力センサ18、および壁面スイッチ19を含んで構成される。制御装置110および記憶装置130以外の部位の構成および機能は第1の実施形態と同じである。また、制御装置110および記憶装置130の構成は第1の実施形態と同じである。また、灯具12への供給電力の値の検出を、電力センサ18を用いずにLEDコントローラ16からの値を用いても良い事も第1の実施形態と同様である。
【0042】
第1の実施携帯と異なり、照明制御システム100は、光センサ21を含む。光センサ21は、灯具12が配置される空間である照明空間の外部から内部に入射する外部光を受光可能な位置に設けられる。光センサ21は外部光の受光量を検出する。光センサ21はハブ15に接続され、ハブ15およびインターネット網14を介して、検出した受光量を制御装置110に送信する。
【0043】
制御装置110は、省電力モードにおける光量低下機能の実行中に、入力器17において調節入力が検出されると、電力センサ18から送信される供給電力値と光センサ21から送信される受光量とを関連付けて、記憶装置130に記憶させる。
【0044】
第1の実施形態と同様に、記憶装置130に記憶させた供給電力値および受光量は消去も更新もされずに、サンプルとして蓄積される。蓄積される供給電力値の数が受光量の数値毎に所定のサンプル数を超えるまで、制御装置110は灯具12の点灯時の所定の出射光量での発光と光量低下機能の実行とを繰返す。
【0045】
蓄積される数が所定のサンプル数を超えると、制御装置110は蓄積された供給電力値に基づいて、灯具12に供給する電力値を受光量の数値別に決定する。第1の実施形態と同様に、制御装置110は、記憶装置130に記憶されている供給電力値の頻度分布を受光量の数値別に作成する。
【0046】
頻度分布を作成すると、制御装置110は頻度分布に基づいて特定の受光量に対する適切化電力値を算出する。頻度分布を用いた適切化電力値の算出方法は第1の実施形態と同じである。
【0047】
第1の実施形態と同様に、算出された適切化電力値は記憶装置130に記憶される。次回の灯具12の点灯時に、制御装置110は光センサ21から送信される受光量と同じ数値の受光量に対して算出された適切化電力値を記憶装置130から読出す。読出した適切化電力値で電力が灯具12に供給されるように、制御装置110はLEDコントローラ を制御する。
【0048】
以上のような構成の第2の実施形態の照明制御システム100によっても、第1の実施形態と同様に、低下した光量に暗さを感じた利用者による調節入力の検知時に光量低下機能を停止させることが可能である。また、第2の実施形態の照明制御システム100によっても、第1の実施形態と同様に、以後の点灯時には最初から最適化された光量の照明光を発光させることが可能である。また、第2の実施形態の照明制御システム100によっても、複数の灯具12が配置されている場合に灯具12毎に利用者を満足させ得る明るさに調節することが可能である。
【0049】
さらに、第2の実施形態では、外部から照明空間に入射する光の受光量に応じて適切化電力値を求め、点灯時の受光量に応じた適切化電力値が用いられる。このような構成により、照明光の明るさがさらに最適化される。
【0050】
外部光が入射する環境においては、外部光の明るさによって、利用者が満足する灯具12の照明光成分の明るさは変わる。しかし、本実施形態によれば、外部光の明るさに応じた適切化電力値を算出するので、このような環境においても利用者を満足させながら、消費電力の低減化を図ることが可能である。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態に係る照明制御システムについて説明する。第3の実施形態は、タイマにより検出される暦情報を用いて照明光の明るさが調節される点において第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0052】
図4に示すように、第3の実施形態に係る照明制御システム101は、第1の実施形態と同じく、制御装置111、灯具12、記憶装置131、インターネット網14、ハブ15、LEDコントローラ16、入力器17、電力センサ18、および壁面スイッチ19を含んで構成される。制御装置111および記憶装置131以外の部位の構成および機能は第1の実施形態と同じである。また、制御装置111および記憶装置131の構成は第1の実施形態と同じである。灯具12への供給電力の値の検出を、電力センサ18を用いずにLEDコントローラ16からの値を用いても良い事についても第1の実施形態と同様である。
【0053】
第1の実施携帯と異なり、照明制御システム101は、タイマ22を含む。タイマ22は、制御装置111に接続される。タイマ22は制御装置111に内蔵される構成であってもよいし、ハブ15およびインターネット網14を介して制御装置111に接続される構成であってもよい。タイマ22は暦情報を検出する。暦情報は、例えば季節、月、曜日、および日時などのいずれかである。タイマ22は検出した暦情報を制御装置111に送信する。
【0054】
制御装置111は、省電力モードにおける光量低下機能の実行中に、入力器17において調節入力が検出されると、電力センサ18から送信される供給電力値とタイマ22から送信される暦情報とを関連付けて、記憶装置131に記憶させる。
【0055】
第1の実施形態と同様に、記憶装置131に記憶させた供給電力値および暦情報は消去も更新もされずに、サンプルとして蓄積される。蓄積される供給電力値の数が暦情報の種類毎に所定のサンプル数を超えるまで、灯具12の点灯時の所定の出射光量での発光と光量低下機能の実行とが繰返される。暦情報の種類毎とは、例えば、春夏秋冬などである。
【0056】
蓄積される数が所定のサンプル数を超えると、制御装置111は蓄積された供給電力値に基づいて、灯具12に供給する電力値を暦情報の種類毎に決定する。第1の実施形態と同様に、制御装置111は、記憶装置131に記憶されている供給電力値の頻度分布を暦情報の種類別に作成する。
【0057】
頻度分布を作成すると、制御装置111は頻度分布に基づいて暦情報の特定の種類に対する適切化電力値を算出する。頻度分布を用いた適切化電力値の算出方法は第1の実施形態と同じである。
【0058】
第1の実施形態と同様に、算出された適切化電力値は記憶装置131に記憶される。次回の灯具12の点灯時に、制御装置111はタイマ22から送信される暦情報の種類と同じ種類に対して算出された適切化電力値を記憶装置131から読出す。読出した適切化電力値で電力が灯具12に供給されるように、制御装置111はLEDコントローラ16を制御する。
【0059】
以上のような構成の第3の実施形態の照明制御システム101によっても、第1の実施形態と同様に、低下した光量に暗さを感じた利用者による調節入力の検知時に光量低下機能を停止させることが可能である。また、第2の実施形態の照明制御システム101によっても、第1の実施形態と同様に、以後の点灯時には最初から最適化された光量の照明光を発光させることが可能である。また、第2の実施形態の照明制御システム101によっても、複数の灯具12が配置されている場合に灯具12毎に利用者を満足させ得る明るさに調節することが可能である。
【0060】
さらに、第3の実施形態では、暦情報の種類に応じて適切化電力値を求め、点灯時の暦情報の種類に応じた適切化電力値が用いられる。このような構成により、照明光の明るさがさらに最適化される。
【0061】
外部光が入射する環境においては、外部光の明るさによって、利用者が満足する灯具12の照明光成分の明るさは変わる。外部光の明るさは、暦情報の種類によって変わり得る。それゆえ、本実施形態によれば、暦情報の種類に応じた適切化電力値が算出されるので、このような環境においても利用者を満足させながら、消費電力の低減化を図ることが可能である。
【0062】
本発明を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0063】
例えば、上記第1〜第3の実施形態において、省電力モードにおいて灯具12を点灯すると、LEDコントローラ16は所定の出射光量で発光するように灯具12を駆動する構成であるが、発光する照明光の光量は所定の出射光量に限定されない。
【0064】
例えば、前回の消灯時の供給電力値を記憶装置131に記憶させ、記憶させた供給電力値の電力を供給して灯具12を発光させてもよい。または、記憶させた供給電力値に所定の割合または所定の値だけ増加させた値を付加した電力を供給して発光させてもよい。記憶させた供給電力値を増加させた値であれば所定の出射光量で発光させるより低い光量で発光させることが可能でありながら、調節入力が検出されるときの供給電力値が点灯のたびに低下することを防ぐことが可能である。
【0065】
また、第1〜第3の実施形態において、蓄積される供給電力値の数が所定のサンプル数を超えるまで、適切化電力値の算出と、適切化電力値である電力の灯具12への供給とを開始しない構成であるが、サンプル数にかかわらず適切化電力値の算出と、適切化電力値である電力の灯具12への供給とを開始する構成であってもよい。
【0066】
例えば、記憶装置13、130、131に記憶されている供給電力値を用いて適切化電力値を算出し、灯具12の点灯時に適切化電力値または適切化電力値を増加させた値の電力を灯具12に供給した状態で、光量低下機能を実行する。また、調節入力を検知するときに光量低下機能の停止と、停止時の供給電力値を記憶装置13、130、131に記憶する構成にすれば、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また、上記実施形態に比べて、早期から適切化電力値を用いた灯具12の駆動を開始できるので、消費電力のさらなる低減化を図ることが可能である。
【0067】
また、第1〜第3の実施形態において、説明の簡略化のために、各灯具12の光量(照度)のみを省電力制御の対象として調整することを例示したが、これに限られるものではない。例えば色温度についてさらに調整するよう構成してもよい。すなわち、消費電力の大きい色温度の照光を行なっているときに、時間の経過に応じて、灯具の発光状態を段階的に消費電力の僅かに小さい色温度での照光に遷移させ、入力器17において調節入力が検出されるまでこれを繰り返し、以後光量についての制御の場合と同様の処理を行っても良い。さらには、光量と色温度とを共に調整するよう制御しても良い。
【符号の説明】
【0068】
10、100、101 照明制御システム
11、110、111 制御装置(照明制御装置)
12 灯具
13、130、131 記憶装置
14 インターネット網
15 ハブ
16 LEDコントローラ
17 入力器
18 電力センサ(電力検出部)
19 壁面スイッチ
20 LED
21 光センサ
22 タイマ
23 分電盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具からの出射光量あるいは色温度を調節する照明制御システムであって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を検知する入力器と、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行する制御装置とを備える
ことを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明制御システムであって、
前記灯具への供給電力を検知する電力検出部と、
前記遷移機能の停止時の前記供給電力を、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記供給電力によって作成され得る前記供給電力に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布に基づいて、前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給する
ことを特徴とする照明制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の照明制御システムであって、
前記灯具への供給電力を検知する電力センサと、
前記灯具が配置される空間である照明空間の外部から前記照明空間に入射する外部光の受光量を検出する光センサと、
前記遷移機能が前記灯具の出射光量を時間の経過に応じて低下させ続ける光量低下機能である場合に、前記光量低下機能の停止時の前記供給電力と前記受光量を関連付けて、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置とを備え、
前記制御装置は、前記記憶部に記憶された前記供給電力および前記受光量によって作成され得る前記供給電力および前記受光量に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布と前記光センサにより検出される前記受光量とに基づいて前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給する
ことを特徴とする照明制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の照明制御システムであって、
前記灯具への供給電力を検知する電力検出部と、
現在の暦情報を検出して送信可能なタイマと、
前記光量低下機能の停止時の前記供給電力と前記暦情報とを関連付けて、前記調節入力を検知するたびに記憶する記憶装置とを備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された前記供給電力および前記暦情報によって作成され得る前記供給電力および前記暦情報に対する前記調節入力の検知回数の頻度分布と前記タイマにより検出される前記暦情報とに基づいて前記灯具に供給すべき適切化電力を算出し、前記適切化電力を前記灯具に供給する
ことを特徴とする照明制御システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の照明制御システムであって、
前記入力器は複数であり、
前記制御装置は、複数の前記入力器それぞれへの前記調節入力に基づいて、前記複数の入力器それぞれに対応付けられた複数の前記灯具に対する制御を実行する
ことを特徴とする照明制御システム。
【請求項6】
灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を入力器を通じて検知可能な照明制御装置であって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行する、ことを特徴とする照明制御装置。
【請求項7】
灯具からの出射光量あるいは色温度を調節する照明制御システムにおける照明制御方法であって、
前記灯具の出射光量あるいは色温度の調節入力を検知するステップと、
前記灯具の出射光量あるいは色温度を時間の経過に応じて消費電力の小さい発光状態に遷移させ続ける遷移機能を有し、前記調節入力が検知されるまで前記遷移機能を実行するステップと、を含む
ことを特徴とする照明制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate