説明

照明制御システム

【課題】信号線の電源容量を増大させずに、グループ制御速度を向上できる照明制御システムを提供する。
【解決手段】信号線3を介して制御信号を含む伝送信号を受信する受信部およびこの受信部により受信した制御信号に含まれるグループアドレスが予め設定されている自己のグループアドレスに一致したときに、この制御信号に含まれる制御データに応じて照明器具6a〜6nを制御する制御端末器4a〜4nと、複数の制御端末器のグループアドレスを少なくとも含むアドレスデータを記憶する主アドレスメモリおよびこの主アドレスメモリから読み出した所要のアドレスの制御端末器を制御するための制御データと当該アドレスを示すアドレスデータを含む制御信号を信号線上に伝送させる主制御部を有する照明コントローラ2と、を具備し、各制御端末器は、自己のグループアドレスに一致するグループアドレスデータを含む制御信号を受信したときに、この受信から制御を実行するまでの待ち時間を置いて前記制御データを順次実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の照明器具の光出力等を個別毎とグループ毎にそれぞれ制御する照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の照明器具の光出力等を個別毎とグループ毎にそれぞれ制御できる照明制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この照明制御システムは、複数の照明器具をそれぞれ制御するレベル制御用端末器に、個別アドレスとグループアドレスを2重に付与し、グループアドレスについては、複数のレベル制御用端末器に同一のアドレスをグループ毎に付与している。
【0004】
このために、グループ制御する場合は、このグループに属する複数のレベル制御用端末器を同時に一括して制御することにより、グループに属する照明器具を一斉に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3410603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1記載のものでは、複数のレベル制御用端末器が、信号線から所要の電力を受電して駆動する構成であるので、これらレベル制御用端末器が同時刻に一斉に制御動作を行なうと、信号線が一気に電力不足に陥り、信号電圧に変化が発生して誤動作が発生する虞がある。このために、信号線に電力を供給する伝送制御装置の電源容量の増大を図る必要があり、コスト増を招くという課題がある。
【0007】
そこで、このような電力不足を回避するためには、これらレベル制御用端末器を同時刻に同時に制御をせずに、同一グループに属する複数のレベル制御用端末器を順次制御する方法が考えられる。しかし、このために、同一グループに属する個別アドレスを有する複数のレベル制御用端末器に制御信号を信号線上に順次、直列伝送する方法を採用する場合には、各制御信号のフレームは所定長さを有するので、同一グループ内の最初に与えられる制御信号から最後に与えられる制御信号までの時間が長くかかり、グループ制御速度が遅くなるという課題が考えられる。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、信号線の電源容量を増大させずに、グループ制御速度を向上できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明制御システムは、信号線を介して制御信号を受信する受信部およびこの受信部により受信した制御信号に含まれるグループアドレスが予め設定されている自己のグループアドレスに一致したときに、この制御信号に含まれる制御データに応じて照明器具を制御する複数の制御端末器と、前記信号線に電力を供給する電源部、前記制御端末器のグループを特定するグループアドレスを少なくとも含むアドレスデータを記憶する主アドレスメモリおよび前記制御端末器を制御するための制御データと当該アドレスを示すアドレスデータを含む制御信号を前記信号線に伝送させる照明コントローラと、を具備し、前記制御端末器は、自己のグループアドレスに一致するグループアドレスデータを含む制御信号を前記受信部により受信したときに、この受信から制御を実行するまでの待ち時間を置いて前記制御データを順次実行するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、制御端末器は、制御データに応じて照明器具を点,消灯や調光等により光出力を制御するものであって、操作駆動時とその復帰時のみに通電されて、これらの状態を通電せずに保持できるラッチングリレー等を具備している。
【0011】
また、制御端末器の受信部は制御データの実行後の応答を照明コントローラに返信するための送信機能を有してもよい。
【0012】
制御信号は、信号線上にシリアル(直列)伝送される信号である。制御信号のフォーマットは、所定長のフレームに、制御対象の制御端末器を特定するためのグループアドレスを少なくとも含むアドレスデータと、照明器具の点,消灯等の制御内容(方法)を示す制御データを設けている。なお、個別アドレスによって照明器具を個別制御するようにしても良い。
【0013】
照明コントローラの電源部は、例えば商用交流電源を受電して、DC24Vに整流する整流器を有し、このDCを伝送線に給電する。主制御部は例えばマイクロプロセッサからなり、制御端末器の個別アドレスとグループアドレスを記憶した主アドレスメモリを有する。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記制御端末器は、自己のグループアドレスに一致するグループアドレスデータを含む制御信号を受信したときに、その受信後、前記照明コントローラから信号線上に伝送される伝送信号に同期して駆動するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記伝送信号は、制御信号よりもデータ量が小さい同期信号であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記待ち時間は、制御端末器毎に設定されており、制御端末器は、照明コントローラから送信された制御信号を受信後、前記待ち時間を置いて制御データを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、グループ制御の場合は、そのグループに属する複数の制御端末器を同時に一斉に駆動させずに、各々の待ち時間経過後に、順次駆動するので、電源不足を防止できる。
【0018】
同一グループ毎に属する複数の制御端末器のアドレスをそれぞれ特定した所定長さの制御信号をそれぞれ直列伝送する必要がないので、その分、信号線のトラフィック増大を軽減するとともにグループ制御速度を向上できる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、制御端末器を伝送信号に同期して駆動させるので同一グループの各制御端末器を異なる待ち時間で駆動させることができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、伝送信号のデータ量が制御信号のデータ量よりも小さいので、信号線のトラフィック増大を軽減することができるとともに第2番目以降に駆動する各制御端末器の駆動を早めることができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、一つの制御信号のみで、同一グループの各制御端末を異なる待ち時間で駆動させることができるので、信号線のトラフィック増大を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明制御システムの全体構成を示す模式図。
【図2】図1で示す照明コントローラの構成を示すブロック図。
【図3】図1で示す制御端末器の構成を示すブロック図。
【図4】(A)は図1で示す照明コントローラから制御端末器に伝送される個別制御の場合の制御信号のフォーマットを示す図、(B)は同,グループ制御時の制御信号のフォーマットを示す図、(C)は待ち時間を設定するための設定信号のフォーマットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の全体構成を示す模式図、図2は図1で示す照明コントローラの構成を示すブロック図、図3は図1で示す制御端末器の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように照明制御システム1は、照明コントローラ2に、信号線3を介して複数の制御端末器4a,4b,4c,…,4nと、操作器の一例としての壁スイッチ5を、双方向シリアル(直列)通信可能に接続している。各制御端末器4a〜4nには、照明器具6a,6b,6c,…,6nをそれぞれ点,消灯や調光等による光出力制御可能に接続している。図1では各制御端末器4a〜4nに照明器具6a〜6nを1対1で接続しているが、1台の制御端末器4a〜4nに、2台以上の照明器具6a〜6nを接続してもよく、照明器具6a〜6n用の電源は直流(DC)でも交流(AC)でもよいが、図1では図示を省略している。また、制御端末器4a〜4nは各照明器具6a〜6nに組み込む等一体に設けてもよい。
【0025】
照明器具6a〜6nの光源は例えば蛍光ランプや発光ダイオード(LED)等いずれでもよく、これら光源を点灯させる点灯装置を具備している。
【0026】
壁スイッチ5は各制御端末器4a〜4n、すなわち照明器具6a〜6nの光出力を、1台毎に個別に制御するための個別制御用操作部(図示省略)と、複数台毎にグループ制御するグループ制御用操作部(図示省略)を具備しており、これら制御用操作部の操作時には、所要フォーマットの操作信号が出力され、これら操作信号(スイッチ入力)は信号線3を介して照明コントローラ2により読み込まれる。
【0027】
図2に示すように照明コントローラ2は、電源部7a、主制御部7b、主ADメモリ7c、待ち時間設定部7dおよび送受信部7eを具備している。
【0028】
電源部7aは、例えば100Vの商用交流電源ACを受電して所要電圧(例えば24V)の直流(DC)に整流する整流器を有し、このDCを主制御部7b、送受信部7eおよび信号線3に給電する。
【0029】
主制御部7bは、例えばマイクロプロセッサ等からなり、主ADメモリ7cと待ち時間設定部7dを有する。主ADメモリ7cは各制御端末器4a〜4nのアドレスをそれぞれ示す個別アドレスと、これら各制御端末器4a〜4nをグループ化したときのグループを示すグループアドレスを記憶している。
【0030】
待ち時間設定部7dは、複数の制御端末器4a〜4nをグループ制御する場合に、これら複数の制御端末器4a〜4nを同時に駆動させずに、所定順に順次駆動させるために、その駆動を待機させる待ち時間をそれぞれ設定する。すなわち、待ち時間は、制御端末器4a〜4nが制御信号CSを受信してから制御を実行するまで待機する時間であり、制御端末器4a〜4nの駆動順番と関連付けて待ち時間設定部7dに設定される。例えば待ち時間がゼロの場合は、最初に駆動され、待ち時間が2番目に短い場合は2番目に駆動され、以下、最長の場合は最後に駆動される。これにより、グループ制御の場合の制御端末器4a〜4nの駆動順序が最初から最後まで順次設定される。
【0031】
主制御部7bは、壁スイッチ5からの操作信号が送受信部7eにより受信されると、この操作信号により操作されたスイッチ入力を解読し、この操作信号に対応した制御信号を生成し、この制御信号を送受信部7eにより信号線3上にシリアル(直列)伝送で伝送させる。
【0032】
図3に示すように各制御端末器4a〜4nは送受信部8a、端末制御部8b、ADメモリ8c、駆動順番メモリ8dおよび制御操作部8eを具備している。
【0033】
送受信部8aは、受信部の一例であり、照明コントローラ2の送受信部7eから送信された制御信号CSを受信し、端末制御部8bに与える受信機能と、送信機能を有する。この送信機能は制御信号CSのタイムスロットである信号返送期間よりなる応答データACKに、制御端末器4a〜4nの制御実行後の応答データを記録して照明コントローラ2に返送させる機能である。
【0034】
端末制御部8bは、例えばマイクロプロセッサから構成され、ADメモリ8cと駆動順番メモリ8dを具備している。ADメモリ8cは各制御端末器4a〜4nにそれぞれ個別に与えられた個別アドレスと、これら制御端末器4a〜4nを所要数のグループにグループ化したときのグループアドレスとを記憶している。
【0035】
駆動順番メモリ8dは制御端末器4a〜4nのグループ内での駆動順を示す順番を個別アドレスに関連付けて記憶している。すなわち、各端末制御部8bはグループアドレスを含む制御信号CSを受け取ったときに所定の待ち時間後に制御を実行するように構成されており、この待ち時間は個別アドレスに対応して駆動順番メモリ8dに記憶されている。例えば、個別アドレスAD1が設定された制御端末器には待ち時間WAIT1が設定されており、個別アドレスAD2が設定された制御端末器には待ち時間WAIT2が設定されている。同様に全ての制御端末器について設定された個別アドレスに対応して待ち時間WAITが設定される。ここで、待ち時間WAITは任意に設定することができるが互いに異なる時間が設定されている。なお、個別アドレスが論理アドレスの場合には個別アドレスと待ち時間とが対応するテーブルを駆動順番メモリ8dに記憶しておき、自己に設定された個別アドレスに応じて待ち時間をテーブルから読み出し、読み出した待ち時間に応じて駆動するようにしてもよい。この場合には、待ち時間と個別アドレスとが対応するテーブルを各制御端末器に記憶させておけば、制御端末器に個別アドレスを設定するだけで各制御端末は制御信号を受けたときに異なる待ち時間で駆動することができるため、待ち時間の設定作業が容易になる。また、個別アドレスとは関係なく単に制御端末器に待ち時間を記憶しておいてもよい。
【0036】
制御操作部8eは、例えばラッチングリレー等からなり、このラッチングリレーを制御信号CSの制御データに従って通電することにより、照明器具6a〜6nの点灯装置(図示しない)への給電を制御し、この照明器具6a〜6nを点灯または消灯する。ラッチングリレーは駆動時と復帰時に通電され、保持電流を通電せずに、その駆動状態と復帰状態を保持できる。
【0037】
端末制御部8bは、制御信号CSを受けると、この制御信号CSのアドレスデータから個別アドレスまたはグループアドレスを読み出す一方、ADメモリ8cから自己の個別アドレスまたはグループアドレスを読み出し、制御信号CSの個別アドレスまたはグループアドレスと、自己の個別アドレスまたはグループアドレスと一致するか否か判断し、制御信号CSに含まれるアドレスと自己に記憶されたアドレスとが一致すると判断したときは、制御信号CSの制御データCDを実行するために制御操作部8eを駆動する。これにより、照明器具6a〜6nの点灯装置が制御されて点灯や消灯が行なわれ、光出力が制御される。
【0038】
ここで、端末制御部8bは、制御信号CSのアドレスデータからグループアドレスを読み出したときは、自己に設定された待ち時間WAITを駆動順番メモリ8dから読み出し待ち時間後に制御操作部8eを駆動させる。このとき、各制御端末器は、待ち時間WAITが個別アドレスに対応して設定され、すなわち互いに異なる待ち時間WAITが設定されているため、同一のグループに設定された制御端末器は、順番に制御操作部8eが駆動するように動作する。
【0039】
図4(A),(B)は制御端末器4a〜4nを点,消灯や調光等による光出力の制御を行なう場合の照明コントローラ2から送信される制御信号CSのフォーマットの一例である。制御信号CSは、個別アドレスAD(AD1,AD2,AD3,…)やグループアドレスGAD(GAD1,GAD2,…)等を示すアドレスデータ、照明器具6a〜6nの光出力を制御するための制御データCD、制御端末器4a〜4nからの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間よりなる応答データACKを有する。複数の制御信号CSは信号線3上を直列に伝送される。
【0040】
図4(C)は制御端末器4a〜4nに待ち時間を設定するための照明コントローラ2から送信される設定信号のフォーマットの一例である。設定信号の各フレームには、制御端末器の個別アドレスデータAD1〜ADn、各個別アドレスに対応する待ち時間WAIT1〜WAITnに関する制御データ、制御端末器4a〜4nからの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間よりなる応答データACKをそれぞれ有している。制御端末器4a〜4nは、設定信号に自己の個別アドレスが含まれている場合には、設定信号に含まれる制御データCDから待ち時間WAITを読み出し、駆動順番メモリ8dに記憶する。待ち時間WAIT1〜WAITnは個別アドレスAD1〜ADnに1対1で対応しており、待ち時間WAIT1〜WAITnが、例えばゼロ時間等最も短い場合の駆動順番は1番であり、待ち時間が2番目に短い場合の駆動順番は2番であり、以下、最も長い場合の駆動順番は最後である。このように、照明コントローラ2から一括して各制御端末器の待ち時間を設定することができるので待ち時間の設定作業が容易になる。なお、上記説明では個別アドレスと待ち時間とを1対1に対応させて設定信号として送信する例について説明したが、制御データCDとして、各個別アドレスと待ち時間とが対応付けられたテーブル情報を送信してもよい。この場合には、一度各制御端末器にテーブル情報を記憶させれば、各制御端末器に設定されている個別アドレスが変更されても待ち時間を再設定する必要が無い。
【0041】
次に、この照明制御システム1の作用を説明する。
図1で示す壁スイッチ5により照明器具6a〜6nを制御するための操作が行なわれると、壁スイッチ5の各操作部に対応して予め設定されているアドレスとともに、制御内容(例えば、点灯,消灯,調光等)を含んだ所定フォーマットの伝送信号が信号線3を解して照明コントローラ2へ送信される。照明コントローラ2は、壁スイッチ5のアドレスと照明器具6a〜6nの個別アドレスまたはグループアドレスとが対応して設定記憶されており、壁スイッチ5から伝送信号を受信すると壁スイッチ5のアドレスに対応する照明器具を制御するための制御信号CSを送信する。このとき、壁スイッチ5のアドレスに対して照明器具の個別アドレスが設定されている場合には、壁スイッチ5の操作は照明器具を個別制御する。一方、壁スイッチ5のアドレスに対してグループアドレスが設定されている場合には壁スイッチ5の操作は照明器具をグループ制御する。
【0042】
壁スイッチ5の操作が照明器具6a〜6nを個別制御するように設定されている場合には、照明コントローラ2は図4(A)に示すような制御信号CSを各制御端末器4a〜4nに信号線3を介して送信する。各制御端末器4a〜4nは、各送受信部8aにより制御信号CSをそれぞれ受信し、制御信号CSの個別アドレスと自己の個別アドレスとが一致するか否か判断し、一致しない場合はこれで終了する。一方、個別アドレスが一致すると判断した場合には、制御データCDを実行する。これにより、制御操作部8eが駆動し、照明器具6a〜6nの点灯装置を制御する。その結果、壁スイッチ5の操作により指定された所定の照明器具6a〜6nの光出力が指定された通りに制御される。
【0043】
これに対し、壁スイッチ5により、所定のグループの照明器具6a〜6nの光出力を制御するように設定されている場合には、照明コントローラ2は図4(B)に示すような制御信号CSを各制御端末器4a〜4nに信号線3を介して送信する。各制御端末器4a〜4nは、各送受信部8aにより制御信号CSをそれぞれ受信し、制御信号CSのグループアドレスと自己に記憶されているグループアドレスとが一致するか否か判断し、一致しない場合はこれで終了する。一方、グループアドレスが一致すると判断した場合には、駆動順番メモリ8dから自己の個別アドレスに対応して設定された待ち時間WAITを読み出し、この待ち時間WAIT経過後に制御データCDを実行する。待ち時間は、例えば制御端末器4a〜4nが制御信号を受信してからの時間であっても良いし、それ以外を基準としてもよい。すなわち、同一グループに設定された複数の制御端末器4a〜4nがそれぞれ異なるタイミングで制御操作部8eを駆動させるものであれば待ち時間を計測する基準をどのように設定してもよい。
【0044】
これにより、各制御操作部8eは所定の待ち時間WAIT1〜WAITnを置いて順次駆動し、指定グループの照明器具6a〜6nの光出力を順次制御する。
【0045】
このように照明器具6a〜6nの光出力をグループ制御する場合は、各制御操作部8eを順次駆動し、同時刻に一斉に駆動しないので、一斉に駆動した場合の電力不足に陥る虞を低減できる。また、そのために、信号線3に電力を供給する照明コントローラ2の電源部7aの電源容量を増大させてコストを増大させることを防止できる。
【0046】
また、待ち時間WAIT1〜WAITnを1台の照明コントローラ2側で設定し、設定信号を信号線3を介して一斉に複数台の制御端末器4a〜4n側に設定することにより、待ち時間WAIT1〜WAITnを複数台の制御端末器4a〜4n側にそれぞれ設定する場合よりも、待ち時間WAIT1〜WAITnの設定と更新作業の効率性を向上できる。
【0047】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。上記第一の実施形態では、各制御端末器4a〜4nに待ち時間WAIT1〜WAITnを、個別アドレスに対応付けて記録し、各制御端末器4a〜4nは制御信号を受信後にこの待ち時間WAIT1〜WAITn経過後に制御操作部8eを駆動する場合について説明したが、第二の実施形態では同一グループ内の各制御端末器4a〜4nを伝送信号に同期させて順次駆動するように構成している点が異なる。第一の実施形態と同様の構成については同符号を用いて説明する。
【0048】
照明コントローラ2は、グループアドレスGADと制御データCDを有する制御信号の出力後は、同一グループを構成する制御端末器4a〜4nと同数または一つ少ない数の伝送信号を送信する。また、制御端末器4a〜4nの駆動順番メモリ8dには何番目の伝送信号を受信したときに制御データCDを実行するかが記憶されている。ここで、伝送信号とは制御端末器4a〜4nが、制御信号CSが送信された後に何番目に送信された信号であるかを認識するためのものであり、制御端末器4a〜4nが信号として認識することができる全ての構成が許容される。また、伝送信号は、制御端末器4a〜4nがノイズと区別できる程度のものであればできるだけデータ量が少ないものが好ましく、例えば空データの信号である。なお、本実施形態の伝送信号は少なくとも制御信号よりもデータ量が少ない、すなわちフレーム長さが短い信号であるが、伝送信号が制御信号と同等のデータ量であっても制御端末器4a〜4nを順番に駆動させることが可能である。また、同一グループの制御端末器にはそれぞれ異なる順番で制御データCDを実行するように、異なる駆動順番が記憶されている。
【0049】
そして、制御端末器4a〜4nは制御信号CSを受信後に伝送信号を受信するとその受信した伝送信号の数をカウントするとともに、駆動順番メモリ8dに記憶された駆動順番と一致したときに制御データCDを実行する。ここで、例えば一つの制御端末器の駆動順番メモリ8dが、制御信号CSの受信と同時に制御データCDを実行するように駆動順番を記憶している場合には、照明コントローラ2から送信される伝送信号は同一グループを構成する制御端末器4a〜4nの数より一つ少ない数の信号が送信される。
【0050】
このように、複数の照明器具に対して同時にグループアドレスを指定した制御信号を送信する場合であっても、同一グループを構成する制御端末器4a〜4nを順番に駆動させることができるので、制御操作部8eの駆動に伴う信号線の一時的な電力不足を解消し、動作エラーの低減を図ることができる。
【0051】
また、制御端末器4a〜4nは、制御信号CSの受信後に受信する伝送信号に同期して制御データCDを実行するため、制御端末器4a〜4nに何番目の伝送信号に同期させるかを記憶させておけば、予め待ち時間を設定しておく必要が無い。
【0052】
また、各制御端末器4a〜4nが制御信号を受信してから制御データを実行するまでの待ち時間を、伝送信号を送信するタイミングを照明コントローラ側で調整することによって設定することができるため、待ち時間の設定作業が容易である。
【0053】
また、伝送信号は制御信号に比べてデータ量が小さく、すなわちフレーム長さが短いので、照明器具のグループ制御に伴う信号線のトラフィック増大を軽減することができるとともに、グループ制御速度の高速化を図ることができる。
【0054】
なお、第一の実施形態において説明した事項については、第二の実施形態でも適用することができ、これらを適宜組み合わせた構成が許容される。
【0055】
また、制御操作部8eとしてラッチングリレーを一例として説明したが、一時的に電力を消費して照明器具を制御するものであれば、調光端末等その他の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…照明制御システム、2…照明コントローラ、3…信号線、4a〜4n…制御端末器、5…壁スイッチ(操作器)、6a〜6n…照明器具、7a…電源部、7b…主制御部、7c…待ち時間設定部、8a…送受信部、8b…端末制御部、8c…ADメモリ、8d…駆動順番メモリ、8e…制御操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線を介して制御信号を受信する受信部およびこの受信部により受信した制御信号に含まれるグループアドレスが予め設定されている自己のグループアドレスに一致したときに、この制御信号に含まれる制御データに応じて照明器具を制御する複数の制御端末器と、
前記信号線に電力を供給する電源部、前記制御端末器のグループを特定するグループアドレスを少なくとも含むアドレスデータを記憶する主アドレスメモリおよび前記制御端末器を制御するための制御データと当該アドレスを示すアドレスデータを含む制御信号を前記信号線に伝送させる照明コントローラと、
を具備し、
前記制御端末器は、自己のグループアドレスに一致するグループアドレスデータを含む制御信号を前記受信部により受信したときに、この受信から制御を実行するまでの待ち時間を置いて前記制御データを順次実行するように構成されていることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記制御端末器は、自己のグループアドレスに一致するグループアドレスデータを含む制御信号を受信したときに、その受信後、前記照明コントローラから信号線上に伝送される伝送信号に同期して駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記伝送信号は、制御信号よりもデータ量が小さい同期信号であることを特徴とする請求項2記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記待ち時間は、制御端末器毎に設定されており、制御端末器は、照明コントローラから送信された制御信号を受信後、前記待ち時間を置いて制御データを実行することを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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