照明制御システム
【課題】照明制御システムにおいて、事前の照度設定作業を不要としながら、所定の調光制御用のアルゴリズムに基づいて、調光空間を一定の目標照度に制御する。
【解決手段】照明器具8に備わる制御部83は、予め設定された目標照度値とセンサ部81で測定した測定照度値とを記憶する記憶部13と、目標照度値と測定照度値との差分を検出して、この差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定部15と、当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、制御用アルゴリズムとして、最初に、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量とセンサ部81で測定した照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、この制御関係値に基づいて調光制御量を算出するマイコン部12と、を備える。この構成により、照明制御システムでは、事前の照度設定作業を不要としながら、上記制御用アルゴリズムに基づいて、調光空間を一定の目標照度に制御できる。
【解決手段】照明器具8に備わる制御部83は、予め設定された目標照度値とセンサ部81で測定した測定照度値とを記憶する記憶部13と、目標照度値と測定照度値との差分を検出して、この差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定部15と、当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、制御用アルゴリズムとして、最初に、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量とセンサ部81で測定した照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、この制御関係値に基づいて調光制御量を算出するマイコン部12と、を備える。この構成により、照明制御システムでは、事前の照度設定作業を不要としながら、上記制御用アルゴリズムに基づいて、調光空間を一定の目標照度に制御できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度センサを備え、照明器具の調光状態を制御する照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビルディング内などにおいて、明るさセンサや人感センサといったセンサ類と連携して複数の照明器具の調光状態を個別に、又は一括して制御できる照明制御システムが導入されている。この照明制御システムでは、外光の明るさや時間帯に応じて照明器具の照度を適切に制御できるため省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
照明制御システムにおいて、照度センサは、検出値に応じて、照度センサ直下の被照射面の平均照度を常に一定に保つように照明器具を調光制御する。このため、ユーザが図14に示すようなセンサ付き照明器具91を用いる場合、フィードバック制御で一定に保つ照度値の設定を現場個々に行う必要がある。これは、センサ付き照明器具91の検知する光が被照射面となる机上面92などの反射率に左右されるためである。
【0004】
また、リモコンのコマンドを計測・測定モードに指示し、照明器具に対する調光信号値を変化させ、その時の照度を検出する照明制御装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。この照明制御装置では、計測した照度検出値を基に、演算した調光信号値と調光率との相関関係を示す調光カーブデータを設定・記憶し、通常時には、当該調光カーブデータに基づいて調光制御を行うものである。
【0005】
さらに、被照射面の照度を略一定とするために設定する照度センサの出力値の目標値を自動的に設定でき、かつレイアウト変更などによって被照射面の反射率が変化しても被照射面の照度を略一定に保てる照明器具も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−338774号公報
【特許文献2】特開2005−243314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、専用の設定器などを用いて、天井面に設置された照度センサが検知する照度値と、被照射面の照度値との相関比率を事前に取得して照度センサに設定する設定作業が必要であり、手間を要すると共にその設定方法が難しい。また、この設定作業は、内装変更や床のレイアウト変更のたびに必要であり、施工者やビルディング管理者にとって負担となる。
【0008】
さらに、複数の照明器具を同時に制御するグループ調光制御においては、1台の照度センサが複数台(例えば36台など)の照明器具を制御するため、照度センサの検知範囲と照明器具の照射エリアが異なる場合が生じる。この場合、照度センサは他の全ての照明器具の調光制御の影響を考慮できず、調光空間における適切な調光制御ができないという問題もある。
【0009】
またさらに、照明制御システムにおいて、照明器具の照度を自動制御(フィードバック制御)するに際し、できるだけ少ない制御回数で、照度のオーバーシュートが生じることなく目標照度の範囲内に調光制御することが好ましい。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、事前の照度設定作業などを不要としながら、所定の調光制御用のアルゴリズムに基づいて、調光空間を一定の目標照度に制御できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、被照射面の照度を測定する照度センサと、前記照度センサの出力値に基づいて被照射面の照度が目標照度値となるように照明器具への光出力を制御する制御部とを備えた照明制御システムにおいて、前記制御部は、予め設定された前記目標照度値と、前記照度センサで測定した測定照度値とを記憶する記憶手段と、前記目標照度値と前記測定照度値との差分を検出して、前記差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段において当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、最初に、照明器具に対し、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量と前記照度センサで測定する照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、前記制御関係値及び前記照度センサで測定する測定照度値と目標照度値との差分に基づいて、照明器具に対する調光制御量を算出する演算手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定されるまで、前記調光制御量の算出を繰り返すことが好ましい。
【0013】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定された場合、前記制御関係値をリセットすることが好ましい。
【0014】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となってから所定期間以上が経過した場合、前記制御関係値をリセットすることが好ましい。
【0015】
この照明制御システムにおいて、前記目標照度値と前記測定照度値との差分が許容範囲内でないと判定される場合、前記照明装置が測定照度値への寄与の全てであるとし、前記目標照度値を超えない範囲で予め定められる所定割合を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成する制御情報生成手段をさらに備えることが好ましい。
【0016】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成することが好ましい。
【0017】
(数1)
Ln+1=Ln・At/An
ここで、Ln+1:時点(n+1)における調光レベル、Ln:時点nにおける調光レベル、At:目標照度値(lx)、An:時点nにおける測定照度値(lx)である。
【0018】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成することが好ましい。
【0019】
(数2)
Ln+1=Ln・At(1±ε)/An
ここで、Ln+1:時点(n+1)における調光レベル、Ln:時点nにおける調光レベル、At:目標照度値(lx)、An:時点nにおける測定照度値(lx)、ε:目標照度値(lx)に対して許容される誤差の割合である。
【0020】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記調光制御量での制御後に、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となったと判定される場合には調光制御処理を終了する一方、前記許容範囲内でないと判定される場合、前回の制御に基づく調光変化量と照度値変化量に基づいて制御関係値を算出し、当該制御関係値及び前記差分に基づいて、次回の調光制御量を生成することが好ましい。
【0021】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記制御関係値を、前記記憶手段に所定の期間保持して更新しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る照明制御システムによれば、小さな調光制御値で照度値変化量を測定することにより制御関係値を算出し、この制御関係値及び測定した現在照度値及び目標照度値の差分に基づいて調光制御することができる。このため、専用の設定器などを用いた事前の照度設定作業を不要としながら、調光空間を一定の目標照度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの全体構成図である。
【図2】同上照明制御システムにおける照明器具の配置図である。
【図3】同上照明器具の機能ブロック図である。
【図4】同上照明器具の制御部における調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図5】(a)同上アルゴリズムに用いる制御関係値を説明するためのグラフ、(b)同上アルゴリズムに用いる調光変化量及び照度値変化量との関係を示すテーブルである。
【図6】同上照明制御システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】(a)及び(b)は本発明の実施の形態2に係る照明制御システムにおける調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図8】(a)及び(b)は本発明の実施の形態3に係る照明制御システムにおける調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図9】本発明の実施の形態4に係る照明制御システムが備える照明器具の機能ブロック図である。
【図10】同上照明器具が備える制御情報生成部の調光制御量の演算を説明するためのグラフである。
【図11】同上照明制御システムの実際の調光制御の動作例を示す図である。
【図12】同上照明制御システムの他の実際の調光制御の動作例を示す図である。
【図13】実施の形態4に係る照明制御システムの第1の変形例に係る制御情報生成部の調光制御量の演算を説明するためのグラフである。
【図14】従来の照度センサを用いた照明制御システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る照明制御システム1の構成を示す。この照明制御システム1は、伝送ユニット2と、リレー制御用端末器3と、リモコンリレー4と、リモコントランス5と、リモコンスイッチ6と、照度センサ7と、照明器具8とを備えている。リレー制御用端末器3、リモコンスイッチ6、及び照度センサ7は、2線式の信号線を介して伝送ユニット2と相互に接続されており、伝送ユニット2との情報のやり取りは、信号線に多重伝送方式で伝送される伝送信号を通して行われる。この照明制御システム1は、照度センサ7を用いて、1台又は複数台の照明器具8の調光制御、オン/オフ状態の制御の自動化を実現し、省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
伝送ユニット2は、リモコンスイッチ6及び照度センサ7からの伝送信号に基づいて、伝送信号に含まれるアドレス情報から制御対象となる照明器具8を特定すると共に、照明器具8に対する制御状態を特定する。そして、伝送ユニット2は、制御対象となる照明器具8と対応するリレー制御用端末器3に対して、照明器具8のアドレス情報と、その制御状態とを制御指令信号として送信する。
【0026】
リレー制御用端末器3は、リレーの制御状態に応じて照明器具8の状態を制御する負荷制御端末器としての機能を担っている。リレー制御用端末器3は、伝送ユニット2からの伝送信号に基づいて、自己に接続するリモコンリレー4のうち、制御対象となる照明器具8に対応するリモコンリレー4に対して制御信号を送ることにより、リモコンリレー4の状態を制御する。リモコンリレー4の個々のリレーは、リレー制御用端末器3に制御されて、ブレーカ電源(AC100又は200V)9などからの商用交流をオン/オフすることで、照明器具8をオン状態またはオフ状態にする。
【0027】
リモコントランス5は、リレー制御用端末器3、及びリモコンリレー4に駆動用の電力を供給する。
【0028】
リモコンスイッチ6は、照明器具8を制御するための制御指令を出力するための入力端末器としての機能を担っている。具体的には、リモコンスイッチ6は、例えば室内などの任意の壁面に設置されており、照明器具8を利用するユーザによってプッシュ操作が可能な端末器である。リモコンスイッチ6は、操作スイッチのいずれかが操作されるのに応じて、その操作スイッチに関連付けられているアドレス情報と、操作スイッチの操作状態とを制御指令として伝送ユニット2に送信する。
【0029】
照度センサ7は、天井面などに設置され、検知領域周辺の明るさを検知(検知照度範囲100〜2000ルクスなど)する。照度センサ7は、机上などの被照射面の照度を、一定の目標照度値とするよう、すなわち、周囲の明るさの変化に関わらず、照度センサ7への入光量が一定になるように照明器具8の光出力を自動的に調整する機能を有する。なお、「目標照度値」とは、センサ検知範囲から反射し、天井面に設置された照度センサ7へ入射する光量の目標値である。
【0030】
照度センサ7には、アドレス設定器を用いて検知空間の照明器具8に対応した個別アドレスやグループアドレスが設定され、1台又は複数台の照明器具8を同時に調光制御することができる。照度センサ7は、検知された照度に基づいて、照明器具8を制御するためアドレス情報や制御情報を含む制御信号を、伝送信号線を介して伝送ユニット2に対して送信する。ここで、ユーザは、専用の設定器などを用いて、天井位置と被照射面位置との照度の相関比率を照度センサ7に事前に設定する設定作業は必要とされない。
【0031】
照明制御システム1内に存在する照明器具8は、蛍光灯や0〜100%などの段階的な細かな調光レベル(%)の調整が可能なLED照明などであり、負荷アドレスによって一意に特定することができる。具体的には、リレー制御用端末器3には、負荷チャネル(Ch)と呼ばれる固有の識別子が割り当てられており、リレー制御用端末器3に接続するリモコンリレー4には、負荷ナンバー(Nm)を呼ばれる固有の識別子が割り当てられている。負荷チャネル(Ch)と、負荷ナンバー(Nm)とを組み合わせることにより、負荷アドレス(Ch−Nm)が構成される。
【0032】
次に、照度を検知するセンサ部を内蔵した照明器具に関して図2を参照して説明する。照明器具8は、オフィスの天井などに取り付けられ、電源線を介して各照明器具8が接続され、照明器具8の個々にセンサ部81と制御部とが内蔵される。照明器具8が備える制御部は、反射板内部に収納され、センサ部81は先端の入光面だけが反射板から外部に露出している。このようにセンサ部81を照明器具8に内蔵することで、照明器具8の個々を明るさ制御できる細やかな照明制御システムとでき、例えばグループ制御による他の照明器具8の制御の影響を考慮した調光制御を可能とする。
【0033】
次に、図2に示すセンサ部81を内蔵した照明器具8の機能構成に関して図3を参照して説明する。照明器具8は、明るさに応じて出力電圧値を変化させるセンサ部81、ランプ84を点灯する機能を有する点灯回路部82、センサ部81から出力される電圧値に応じて点灯回路部82への調光信号を制御する制御部83と、光源であるランプ84とを備える。点灯回路部82及び制御部83には、商用電源からの交流電源が供給され、センサ部81には制御部83から電源が供給される。
【0034】
センサ部81は、センサ素子として、入射光量に対する電流値の直線性が良いフォトダイオードなどである。センサ部81は、検知範囲内の外光やランプ84の反射光などを検知し、それに応じて出力される電流を電圧値に変換してマイコン部12に出力する。センサ部81が検知する明るさ値(電圧値)は、センサ部81の直下の床面や机面などの被照射面の反射率、及びセンサ部81の直下の床面や机面などの被照射面の照度に比例する。なお、センサ部81は、指光性(全方向40度など)を有するため、採光する方向に向けて取り付ける必要がある。
【0035】
点灯回路部82は、例えば、0%から100%までの調光段階(調光レベル(%))で光源であるランプ84を調光することが可能であり、制御部83からのPWM(Pulse With Modulation)信号のデューティ値によって調光制御する。
【0036】
制御部83は、電源部11、マイクロコンピュータ部12(以下、マイコン部と記す)、記憶部13、及び調光信号出力部14を備える。センサ部81からの出力電圧値は、マイコン部12に入力され、調光信号出力部14の出力は点灯回路部82に接続される。
【0037】
電源部11は、例えば入力電圧AC100Vから254Vまで対応可能とした汎用性を有し、出力電圧は調光信号の出力電圧である10Vと制御電源電圧である5Vを出力する。マイコン部12は、センサ部81からの電圧値を演算し、センサ部81から入力される電圧値と記憶部13が保持する目標値とが一致するように調光信号を制御する。また、マイコン部12は判定部15を備え、この判定部15は、予め設定され、又は所定方法で演算された目標照度値と、センサ部81で測定した測定照度値との差分を検出して、当該差分が許容範囲内となるか否かを判定する。記憶部13は、目標照度値や、経時的に変化するランプ84の光束減衰曲線などを保存するメモリ部である。調光信号出力部14は、マイコン部12から出力された調光信号を所定電圧に変換し、変換後の信号を点灯回路部82に出力する。
【0038】
ランプ84は、蛍光灯や0〜100%などの段階的な細かな調光レベル(%)の調整が可能なLED照明などである。LED照明は、LED素子や調光回路部を有する専用のドライバICを備え、デューティ比(オン時間とオフ時間の比)を変えるPWM制御などで高精度での調光機能を実現する。なお、図1に示す照度センサ7は、図3に示す照明器具8から点灯回路部82及びランプ84を別体とした、センサ部81及び制御部83を有する機能構成となる。
【0039】
次に、照明器具8の調光制御を行う場合の調光制御用のアルゴリズムに関して図4を参照して説明する。なお、図4において、曲線41は照明器具8の照度変化を、曲線42は照明器具8の調光出力の変化を示している。
【0040】
判定部15は、センサ部81を用いて実際に検出された現在照度値(A_0)と、予め設定された目標照度値(T)の差分を検出し、所定の許容範囲内か範囲外かを判定する。この許容範囲は、例えば、目標照度値(T)の約±5%の範囲内である。
【0041】
判定部15において許容範囲外と判定される場合、マイコン部12は、曲線42に示すように、短い期間(図4ではt_1−t_0)で一度小さな値の調光レベル(%)の調光変化量(ΔL_1=L_1−L_0)で調光制御を行う。そして、センサ部81は、この変化量ΔL_1の前後の照度値変化量(ΔA_1=A_1−A_0)を検出する。また、マイコン部12は、例えば下記の(式1)に基づいて、調光変化量ΔL_1と測定した照度値変化量ΔA_1との関係から図5(a)に示す制御関係値Knを算出する。なお、制御関係値Knは、例えば調光レベル(%)の調光変化量に対するセンサ部81で測定される照度値変化量の比である。
Kn=照度値変化量(lx)/調光変化量(%) ・・・(式1)
【0042】
次に、マイコン部12は、算出した制御関係値Knを用いて、目標照度値とセンサ部81で測定された照度値の差分から、曲線42に示すように、制御する調光レベル(%)の調光変化量(ΔL_2=L_2−L_1)を算出し、調光信号を生成する。そして、調光信号出力部14は、当該調光信号を点灯回路部82に出力し、期間(t_2−t_1)で当該調光変化量ΔL_2で調光制御をする。この結果、照度値変化量(ΔA_2=A_2−A_1)が生じ、マイコン部12は、測定照度値が目標照度値Tからの許容範囲内に収束するまで同様の制御を繰り返し、センサ部81で検出される照度値が目標照度値Tからの許容範囲となると調光制御を終了する。
【0043】
具体的には、図5(b)に示すように、予め設定された目標照度値が750(lx)であり、センサ部81で測定された現在照度値が550(lx)の場合、照度値の差分は200(lx)であり許容範囲とならない。このため、マイコン部12は、最初に、短い期間で一度小さな値の調光変化量(3%)で調光制御を行い、センサ部81は、この変化の前後の照度値変化量(30(lx))を検出する。そして、上記(式1)により、制御関係値Kn=30/3=10を算出し、目標照度値750(lx)とするために次の制御では、調光変化量(17%)で照度値変化量(170(lx)でトータル200(lx)の変化量)になると推算する。その後、判定部15は、センサ部81で測定される照度値が目標照度値Tの許容範囲となるか否か確認し、許容範囲内の場合には調光制御を終了する。
【0044】
次に、本実地の形態1に係る照明制御システム1の動作手順に関して図6を参照して説明する。最初に、判定部15は、現在照度値と目標照度値の差分が許容範囲内か否かを確認する(S61)。そして、当該差分が許容範囲内である場合には(S61でYes)特に調光制御を行う必要がない。
【0045】
そして、当該差分が許容範囲外である場合には(S61でNo)、制御部83のマイコン部12は、一度小さな値の調光制御量(%)で調光制御を行う(S62)。そして、マイコン部12は、この調光制御量(%)及びセンサ部81において測定した照度値変化量(lx)から式1に基づいて制御関係値Knを算出する(S63)。また、マイコン部12は、制御関係値Kn、及びセンサ部81で測定する測定照度値と目標制御値との差分に基づいて、次の調光変化量(%)を算出し(S64)、この調光変化量(%)に基づいて再度の調光制御を行う(S65)。なお、S64に示す調光制御の際、S62で既に測定した測定照度値及び目標照度値の差分を用いてもよいし、S63の後、再度測定した現在照度値及び目標照度値の差分を用いてもよい。
【0046】
次に、判定部15は、再度、現在照度値と目標照度値の差分を取得し、当該差分が許容範囲内である場合(S66でYes)には調光制御を終了し、許容範囲外である場合には(S66でNo)、S62以下の処理を繰り返すフィードバック制御を行う。
【0047】
以上のように、本実施の形態1に係る照明制御システム1は、最初の小さな値での調光レベルの変化量である調光変化量(%)と照度値変化量(ln)との関係から制御関係値Knを算出し、目標照度値Tになるよう再度調光制御する制御用のアルゴリズムを有する。このため、照明制御システム1では、従来のような床面と天井面との照度の相関関係などを設定する照度設定作業を不要とし、内装変更や床のレイアウト変更を行っても、照度設定作業を行うことなく調光制御が可能となり、省施工及び省エネルギーを実現できる。
【0048】
また、上述した制御用のアルゴリズムでは、センサ部81の検出値を用いて調光制御の演算をするため、外光量の変化、ブラインドの開閉、グループ制御による他の複数の照明器具8の点灯や消灯など刻々と光量変化が生じる環境でも適切な調光制御を実現できる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る照明制御システムについて、図7を参照して説明する。なお、上記実施の形態1に係る照明制御システム1と同様の構成には同符号を付し、その詳細な説明は省略する(以下同じ)。
【0050】
上記実施の形態1に係る照明制御システム1では、図7(a)に示すように、外光が減少してきた場合に照明器具8の調光制御を行って、センサ部81が検出する照度値を目標照度値Tから許容範囲内に収束させる。その後、外光量などの変化によって目標照度値Tが新たな目標照度値T´に変化する場合がある。この場合、上記実施の形態1では、例えば、図中の(t_1−t_0)の期間で既に取得した制御関係値Knの値を、(t_4−t_3)の期間で再度使用する。このため、(t_4−t_3)の期間では(t_2−t_1)の期間と同じ傾きで照度値が大きく変化して、照度値A_0(lx)が新たに設定された目標照度値T´より大きく下回り、上手く目標照度値T´に収束できないことが想定される。このような場合、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきが生じる可能性がある。
【0051】
従って、本実施の形態2に係る照明制御システム1では、図7(b)に示すように、上記実施の形態1に係るアルゴリズムを用いて測定照度値が目標照度値から許容範囲内に収束したら、一度、制御関係値Knの値をリセットする。そして、目標照度値TがT´に変更した場合においては、再度、上記アルゴリズムに基づいて新たな制御関係値Knを算出する。例えば、図7(b)の期間(t_4−t_3)では調光レベルの調光変化量(%)を(t_2−t_1)の10%の値として最初の制御関係値Knの算出を試みる。
【0052】
このように、本実施の形態2では目標照度値Tと測定照度値との差分が許容範囲内に入った後、制御関係値Knをリセットするので、目標照度値Tが新たな目標照度値T´に変化した場合において、制御される照度値が目標照度値T´から大きくずれることがない。従って、本実施の形態2では、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきを防止できる。
【0053】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る照明制御システムについて、図8を参照して説明する。上記実施の形態1においては、センサ部81で計測される照度値が目標照度値Tに収束した後には既に算出した制御関係値Knの値をそのまま使用するため、外光などの環境の変化によって、オーバーシュートによる照明器具8のちらつきが起こる可能性がある。
【0054】
本実施の形態3では、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してから、設定した所定期間内において継続して現在照度値が目標照度値Tの許容範囲内となるとき、制御関係値Knの値をリセットする。これは、現在照度値が目標照度値Tに収束してから短時間以内では、外光などの周囲環境はさほど変化していないことが想定され、制御関係値Knをそのまま使用できることが想定されるためである。一方、現在照度値が目標照度値Tに収束してから所定期間以上経過した場合、外光などの周囲環境が変化していることが想定され、調光レベルの変化量(%)と照度値変化量(lx)との相関関係が変化して、制御関係値Knが変化している可能性が高いためである。
【0055】
図8(a)は、現在照度値が目標照度値Tに収束してから短期間D1の(t_3−t_2)で新たな目標照度値T´に変更された場合であり、この場合、周囲環境はさほど変化していると想定されず、制御関係値Knをリセットする必要性はない。一方、図8(b)は、現在照度値が目標照度値Tに収束してから所定期間以上D2の(t_n−t_2)を経過後に新たな目標照度値T´に変更された場合であり、この場合、周囲環境の変化が想定されるため、制御関係値Knの値をリセットする必要がある。
【0056】
このように、本実施の形態3では、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してからの期間に基づいて制御関係値Knをリセット、又はリセットしないようにするため、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきを緩和できる。なお、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してからの期間ではなく調光制御の演算処理を行ったフレーム回数に基づいて制御関係値Knのリセット、又はリセットをしないことを決定してもよい。また、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0057】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る照明制御システムについて、図9乃至図12を参照して説明する。
【0058】
上記実施の形態1に係る照明制御システム1は、調光シーケンスの初回に調光変化量と照度値変化量との比率である制御関係値Knを取得し、この制御関係値Knに基づいて、一度で自動的に目標照度に達するように照明器具の調光制御量を演算する。しかし、最初に制御関係値Knなどのパラメータ(変化率)を設定したときから周囲の環境が変化しない場合には、実施の形態1の照明制御システム1は適切に適用できるが、通常は運用時に周囲環境が変化する。この場合、(1)初回の調光レベル決定の基準がない、(2)制御関係値Knの更新タイミングの判断が難しい、(3)制御関係値Knの取得時の調光レベルの変化度合いの調整が難しい、(4)制御ポイントが多いと、計算のためのパラメータを記憶するメモリ領域が多くなる、(5)アプリケーションプログラムにも照明器具の照度のフィードバック制御を実装すると複雑な処理が更に煩雑になる、などの可能性がある。
【0059】
特に、照度センサのデータ取得間隔が長い(例えば、数十秒に一回)場合には、照度の自動制御を行う際に照度値が一旦オーバーシュートすると、明るくなってから照度を落として目標照度の範囲内とする制御が必要となり、目標照度到達までの制御回数が多くなる。このため、本実施の形態4に係る照明制御システムは、照度値を自動制御(フィードバック制御)するに際し、できるだけ少ない回数で、オーバーシュートすることなく目標照度の範囲内に制御するものである。
【0060】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムに備わる照明器具8の機能構成に関して図9を参照して説明する。照明器具8は、上記実施の形態1の照明器具8の構成に加えて、制御情報生成部16を備える。制御情報生成部16は、照明装置の寄与が測定照度値の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた所定割合を用いてランプ84などに対する調光制御量を生成する。
【0061】
次に、制御情報生成部16における調光制御量の演算アルゴリズムに関して図10を参照して説明する。図10(a)に示すように、任意の時点n,n+1において、検出される値は以下の(式2)〜(式5)の関係を有することとなる。
【0062】
An=Ae+KnLn ・・・(式2)
An+1=Ae+KnLn+1・・・(式3)
γn=Ae/An ・・・(式4)
ここで、n、n+1におけるAeが変化しないとすると、
Ae=γn+1An+1=γnAn ・・・(式5)
【0063】
なお、Lnは、任意の時点nにおける調光ユニット、又は通信照明器具の調光出力値である調光レベル(調光率)である。但し、ここではLn≠0とする。Kn(lx)は、センサの測定照度値に対する調光出力の影響度合い(調光レベル変化量当たりの照度変化量)であり上記制御関係値である。An(lx)は、任意の時点nにおけるセンサの測定照度値である。At(lx)は、フィードバック制御により収束させる照度である目標照度値である。Ae(lx)は、センサの測定照度値において対象の照明器具以外の要因が占める照度である外光照度値である。γnは、Anに対するAeの比率である外光率(%)である。そして、上記(式2)乃至(式5)により、下記の(式6)乃至(式8)を導くことができる。
【0064】
【0065】
ここで、定義より外光率γnは、0≦γn<1となるため、任意の時点n,n+1において、(式9)及び(式10)の関係が成立する。なお、(式9)は、照度を増加制御する場合、(式10)は照度を減少制御する場合である。
【0066】
【0067】
ここでAn+1→At とすると、下記の(式11)及び(式12)が導かれる。
【0068】
従って、外光照度Ae等の環境パラメータが不明であっても、少なくとも(式11)及び(式12)から導かれる下記の(式13)に基づいて調光レベルを変更しても過剰フィードバックになることはない。この境界値はγn=0の場合の値であり、測定照度値の全てが照明器具自身の照度によるものと考えることに等しい。
Ln+1=Ln・At/An・・・(式13)
【0069】
このため、制御情報生成部16は、次の制御時点n+1において、照明装置が測定照度値の寄与の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた所定割合である(式13)を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成することができる。
【0070】
なお、(式13)に基づいて制御する場合、図10(b)に示すように、An+1とγnは次の(式14)の関係にある。従って、γnが0に近いほど、すなわち、照明装置の測定照度値の寄与が大きくなるほど、1回の調光制御量での目標照度値への漸近度合いが大きくなることが分かる。
【0071】
【0072】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムを用いた場合の実際の調光制御の動作例を、図11を参照して説明する。図11は、照度センサで検知される測定照度値が照明器具の照明のみで外光が小さい場合の動作例であり、調光レベルが0(%)の時、照度は約245(lx)(15〜30%程度)とする。なお、図11において、◇(111)は現在照度値(lx)、△(112)は目標照度値(lx)、□(113)は調光レベル(%)のステップ毎の遷移を示している。
【0073】
そして、上記(式13)に基づいて照明器具に対する調光制御を行うと、図11に示すように、初動幅が比較的大きいステップでは一度では目標照度値に収束しにくいが、全体的に挙動が安定し、照度値がオーバーシュートすることがない照明制御が実現できる。
【0074】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムを用いた場合の実際の調光制御の他の動作例を、図12を参照して説明する。図12は、照度センサで検知される測定照度値が照明器具以外の照度もある外光が大きい場合の動作例であり、調光レベルが0(%)の時、照度は約1970(lx)(60〜75%程度)とする。なお、図12において、◇(121)は現在照度値(lx)、△(122)は目標照度値(lx)、□(123)は調光レベル(%)のステップ毎の遷移を示している。
【0075】
そして、上記(式13)に基づいて照明器具に対する調光制御を行うと、外光が大きいため目標照度値に収束するまでの制御回数が増えることとなるが、目標照度値へ収束するまでに3回以内の調光制御で実現し、照度制御の挙動を全体的に滑らかにできる。
【0076】
以上の説明のように、本実施の形態4に係る照明制御システムにおいて、制御情報生成部16は、照明装置が測定照度値の寄与の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた(式13)に基づいて照明器具への調光制御量を生成する。このため、現在の測定照度値が目標照度値の許容範囲内でない場合、測定照度値に基づいて調光レベルの制御を行い、日照状態等のリアルタイムに変化する照明環境に応じた調光制御を実現できる。また、制御情報生成部16は、(式13)に基づいて、目標照度値を超えない範囲で次回の調光制御量を設定できるため、制御間隔が長くなっても照度のオーバーシュートを抑制できる。
【0077】
すなわち、本実施の形態4に係る照明制御システムでは、(式13)により、一度で目標照度値に収束させることを考えず、外光などの環境パラメータが不明であっても、調光制御量をオーバーシュートしない安全範囲内で目標照度値に漸近させることができる。このため、初回の調光制御レベルをできるだけ大きく取れ、照度のフィードバック制御用の保持パラメータを減らし、時間に依存するパラメータやシーケンスをなくした照明制御を実現できる。
【0078】
なお、上記実施の形態4における調光制御では、γn=1の条件は除外されている。これは、γn=1になるのは、例えば(a)照度センサが照明の影響範囲外に設置されている、(b)照明器具がオフの場合であるからである。
【0079】
そして、(a)の場合には、どのように照明を制御してもセンサの検知照度に影響を与えることはなく、フィードバック制御のループが終了しない、或いは始まらない。実際の運用上、そのような設置は行われないものとして考慮しない。また、(b)の場合は、まず照明をいくらの調光レベルで点灯するかが問題になる。点灯レベルの決定の仕方としては、例えば(1)前回レベル(消灯前のレベル)を使用する、(2)調光レベル下限値または上限値を使用する(下限値=0は無効)、(3)その他、何らかの計算式から算出する、の3通りが考えられる。
【0080】
(第1の変形例)
本実施の形態4の第1の変形例について、図13を参照して説明する。上記実施の形態4に係る照明制御システムのフィードバック制御によると、外光照度Ae=0でない限り、一回のフィードバック制御では目標照度値に到達できない可能性がある。従って、収束速度の向上、あるいは一度の調光制御で少しでも目標照度値に近づけたい場合は、フィードバック制御量(調光制御量)をチューニングする必要がある。
【0081】
そして、実動作環境下では外光照度Ae=0であるケースは少ないと考えられるので、フィードバック制御量は基本的に不足気味になる。このため、フィードバック制御量が大きくなるように変更するが、それによって目標照度値をオーバーシュートすることは望ましくない。そこで、本変形例では、図13に示すように、照明制御システムの仕様として、目標照度値に対して一定の誤差±ε(ε>0)が許容されているから、矢印131に示すように、許容範囲限界(上限)を狙ってフィードバック制御する。図13においては、下記の(式15)に基づいて、許容誤差範囲±ε(例えば±5%程度)の上限を目標照度値とすることで、照明制御システムの挙動としてはオーバーシュートすることなく調光制御の精度を上げることができる。なお、外光が存在する限り、目標照度値と調光制御後の測定照度値と差分は、基本的に0になることはない。従って、実用的には下記(式15)によるフィードバック制御で精度または速度の改善を図ることができる。
【0082】
【0083】
ただし、本変形例では、各種制約により計算値の丸め誤差等が発生するため、許容誤差範囲の上限と下限の境界線付近を往復するような発振動作に至る可能性がある。このため、照明制御システムへの実装としては(式15)のεを若干小さめにすることが望ましい。
【0084】
(第2の変形例)
本実施の形態4の第2の変形例について説明する。上記実施の形態4の(式13)に基づいてフィードバック調光制御をする場合、フィードバック調光制御のループ用として保持するデータがないため、以前の方式と比較すると消費メモリ削減等の利点がある。ただし、理論上1回または2回以内に収束することは保証されないため、規定回数以内のフィードバック制御による収束が必要な場合は、初回に(式13)に基づいて大きめに調光制御を行う。そして、次回以降は上記実施の形態1に係る制御関係値Knを用いたフィードバック制御に切り替えることで対応する。
【0085】
この制御により、本変形例では、照明装置の照度に対する制御関係値Knを考慮して調光率を算出するので、精度よい制御を行うことができ、目標照度までの制御回数を低減させて、目標照度値への収束速度を確保することができる。また、短期間では環境の状態は変化しない場合が多いため、制御関係値Knを記憶部に所定の期間保持して更新しないことで不要な演算処理を避けることが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1 照明制御システム
2 伝送ユニット
3 リレー制御用端末器
4 リモコンリレー
5 リモコントランス
6 リモコンスイッチ
7 照度センサ
8 照明器具
11 電源部
12 マイコン部(演算手段)
13 記憶部(記憶手段)
14 調光信号出力部
15 判定部(判定手段)
16 制御情報生成部
81 センサ部(照度センサ)
82 点灯回路部
83 制御部
84 ランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度センサを備え、照明器具の調光状態を制御する照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビルディング内などにおいて、明るさセンサや人感センサといったセンサ類と連携して複数の照明器具の調光状態を個別に、又は一括して制御できる照明制御システムが導入されている。この照明制御システムでは、外光の明るさや時間帯に応じて照明器具の照度を適切に制御できるため省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
照明制御システムにおいて、照度センサは、検出値に応じて、照度センサ直下の被照射面の平均照度を常に一定に保つように照明器具を調光制御する。このため、ユーザが図14に示すようなセンサ付き照明器具91を用いる場合、フィードバック制御で一定に保つ照度値の設定を現場個々に行う必要がある。これは、センサ付き照明器具91の検知する光が被照射面となる机上面92などの反射率に左右されるためである。
【0004】
また、リモコンのコマンドを計測・測定モードに指示し、照明器具に対する調光信号値を変化させ、その時の照度を検出する照明制御装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。この照明制御装置では、計測した照度検出値を基に、演算した調光信号値と調光率との相関関係を示す調光カーブデータを設定・記憶し、通常時には、当該調光カーブデータに基づいて調光制御を行うものである。
【0005】
さらに、被照射面の照度を略一定とするために設定する照度センサの出力値の目標値を自動的に設定でき、かつレイアウト変更などによって被照射面の反射率が変化しても被照射面の照度を略一定に保てる照明器具も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−338774号公報
【特許文献2】特開2005−243314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、専用の設定器などを用いて、天井面に設置された照度センサが検知する照度値と、被照射面の照度値との相関比率を事前に取得して照度センサに設定する設定作業が必要であり、手間を要すると共にその設定方法が難しい。また、この設定作業は、内装変更や床のレイアウト変更のたびに必要であり、施工者やビルディング管理者にとって負担となる。
【0008】
さらに、複数の照明器具を同時に制御するグループ調光制御においては、1台の照度センサが複数台(例えば36台など)の照明器具を制御するため、照度センサの検知範囲と照明器具の照射エリアが異なる場合が生じる。この場合、照度センサは他の全ての照明器具の調光制御の影響を考慮できず、調光空間における適切な調光制御ができないという問題もある。
【0009】
またさらに、照明制御システムにおいて、照明器具の照度を自動制御(フィードバック制御)するに際し、できるだけ少ない制御回数で、照度のオーバーシュートが生じることなく目標照度の範囲内に調光制御することが好ましい。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、事前の照度設定作業などを不要としながら、所定の調光制御用のアルゴリズムに基づいて、調光空間を一定の目標照度に制御できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、被照射面の照度を測定する照度センサと、前記照度センサの出力値に基づいて被照射面の照度が目標照度値となるように照明器具への光出力を制御する制御部とを備えた照明制御システムにおいて、前記制御部は、予め設定された前記目標照度値と、前記照度センサで測定した測定照度値とを記憶する記憶手段と、前記目標照度値と前記測定照度値との差分を検出して、前記差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段において当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、最初に、照明器具に対し、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量と前記照度センサで測定する照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、前記制御関係値及び前記照度センサで測定する測定照度値と目標照度値との差分に基づいて、照明器具に対する調光制御量を算出する演算手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定されるまで、前記調光制御量の算出を繰り返すことが好ましい。
【0013】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定された場合、前記制御関係値をリセットすることが好ましい。
【0014】
この照明制御システムにおいて、前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となってから所定期間以上が経過した場合、前記制御関係値をリセットすることが好ましい。
【0015】
この照明制御システムにおいて、前記目標照度値と前記測定照度値との差分が許容範囲内でないと判定される場合、前記照明装置が測定照度値への寄与の全てであるとし、前記目標照度値を超えない範囲で予め定められる所定割合を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成する制御情報生成手段をさらに備えることが好ましい。
【0016】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成することが好ましい。
【0017】
(数1)
Ln+1=Ln・At/An
ここで、Ln+1:時点(n+1)における調光レベル、Ln:時点nにおける調光レベル、At:目標照度値(lx)、An:時点nにおける測定照度値(lx)である。
【0018】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成することが好ましい。
【0019】
(数2)
Ln+1=Ln・At(1±ε)/An
ここで、Ln+1:時点(n+1)における調光レベル、Ln:時点nにおける調光レベル、At:目標照度値(lx)、An:時点nにおける測定照度値(lx)、ε:目標照度値(lx)に対して許容される誤差の割合である。
【0020】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記調光制御量での制御後に、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となったと判定される場合には調光制御処理を終了する一方、前記許容範囲内でないと判定される場合、前回の制御に基づく調光変化量と照度値変化量に基づいて制御関係値を算出し、当該制御関係値及び前記差分に基づいて、次回の調光制御量を生成することが好ましい。
【0021】
この照明制御システムにおいて、前記制御情報生成手段は、前記制御関係値を、前記記憶手段に所定の期間保持して更新しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る照明制御システムによれば、小さな調光制御値で照度値変化量を測定することにより制御関係値を算出し、この制御関係値及び測定した現在照度値及び目標照度値の差分に基づいて調光制御することができる。このため、専用の設定器などを用いた事前の照度設定作業を不要としながら、調光空間を一定の目標照度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明制御システムの全体構成図である。
【図2】同上照明制御システムにおける照明器具の配置図である。
【図3】同上照明器具の機能ブロック図である。
【図4】同上照明器具の制御部における調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図5】(a)同上アルゴリズムに用いる制御関係値を説明するためのグラフ、(b)同上アルゴリズムに用いる調光変化量及び照度値変化量との関係を示すテーブルである。
【図6】同上照明制御システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】(a)及び(b)は本発明の実施の形態2に係る照明制御システムにおける調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図8】(a)及び(b)は本発明の実施の形態3に係る照明制御システムにおける調光制御アルゴリズムを説明するためのグラフである。
【図9】本発明の実施の形態4に係る照明制御システムが備える照明器具の機能ブロック図である。
【図10】同上照明器具が備える制御情報生成部の調光制御量の演算を説明するためのグラフである。
【図11】同上照明制御システムの実際の調光制御の動作例を示す図である。
【図12】同上照明制御システムの他の実際の調光制御の動作例を示す図である。
【図13】実施の形態4に係る照明制御システムの第1の変形例に係る制御情報生成部の調光制御量の演算を説明するためのグラフである。
【図14】従来の照度センサを用いた照明制御システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る照明制御システム1の構成を示す。この照明制御システム1は、伝送ユニット2と、リレー制御用端末器3と、リモコンリレー4と、リモコントランス5と、リモコンスイッチ6と、照度センサ7と、照明器具8とを備えている。リレー制御用端末器3、リモコンスイッチ6、及び照度センサ7は、2線式の信号線を介して伝送ユニット2と相互に接続されており、伝送ユニット2との情報のやり取りは、信号線に多重伝送方式で伝送される伝送信号を通して行われる。この照明制御システム1は、照度センサ7を用いて、1台又は複数台の照明器具8の調光制御、オン/オフ状態の制御の自動化を実現し、省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
伝送ユニット2は、リモコンスイッチ6及び照度センサ7からの伝送信号に基づいて、伝送信号に含まれるアドレス情報から制御対象となる照明器具8を特定すると共に、照明器具8に対する制御状態を特定する。そして、伝送ユニット2は、制御対象となる照明器具8と対応するリレー制御用端末器3に対して、照明器具8のアドレス情報と、その制御状態とを制御指令信号として送信する。
【0026】
リレー制御用端末器3は、リレーの制御状態に応じて照明器具8の状態を制御する負荷制御端末器としての機能を担っている。リレー制御用端末器3は、伝送ユニット2からの伝送信号に基づいて、自己に接続するリモコンリレー4のうち、制御対象となる照明器具8に対応するリモコンリレー4に対して制御信号を送ることにより、リモコンリレー4の状態を制御する。リモコンリレー4の個々のリレーは、リレー制御用端末器3に制御されて、ブレーカ電源(AC100又は200V)9などからの商用交流をオン/オフすることで、照明器具8をオン状態またはオフ状態にする。
【0027】
リモコントランス5は、リレー制御用端末器3、及びリモコンリレー4に駆動用の電力を供給する。
【0028】
リモコンスイッチ6は、照明器具8を制御するための制御指令を出力するための入力端末器としての機能を担っている。具体的には、リモコンスイッチ6は、例えば室内などの任意の壁面に設置されており、照明器具8を利用するユーザによってプッシュ操作が可能な端末器である。リモコンスイッチ6は、操作スイッチのいずれかが操作されるのに応じて、その操作スイッチに関連付けられているアドレス情報と、操作スイッチの操作状態とを制御指令として伝送ユニット2に送信する。
【0029】
照度センサ7は、天井面などに設置され、検知領域周辺の明るさを検知(検知照度範囲100〜2000ルクスなど)する。照度センサ7は、机上などの被照射面の照度を、一定の目標照度値とするよう、すなわち、周囲の明るさの変化に関わらず、照度センサ7への入光量が一定になるように照明器具8の光出力を自動的に調整する機能を有する。なお、「目標照度値」とは、センサ検知範囲から反射し、天井面に設置された照度センサ7へ入射する光量の目標値である。
【0030】
照度センサ7には、アドレス設定器を用いて検知空間の照明器具8に対応した個別アドレスやグループアドレスが設定され、1台又は複数台の照明器具8を同時に調光制御することができる。照度センサ7は、検知された照度に基づいて、照明器具8を制御するためアドレス情報や制御情報を含む制御信号を、伝送信号線を介して伝送ユニット2に対して送信する。ここで、ユーザは、専用の設定器などを用いて、天井位置と被照射面位置との照度の相関比率を照度センサ7に事前に設定する設定作業は必要とされない。
【0031】
照明制御システム1内に存在する照明器具8は、蛍光灯や0〜100%などの段階的な細かな調光レベル(%)の調整が可能なLED照明などであり、負荷アドレスによって一意に特定することができる。具体的には、リレー制御用端末器3には、負荷チャネル(Ch)と呼ばれる固有の識別子が割り当てられており、リレー制御用端末器3に接続するリモコンリレー4には、負荷ナンバー(Nm)を呼ばれる固有の識別子が割り当てられている。負荷チャネル(Ch)と、負荷ナンバー(Nm)とを組み合わせることにより、負荷アドレス(Ch−Nm)が構成される。
【0032】
次に、照度を検知するセンサ部を内蔵した照明器具に関して図2を参照して説明する。照明器具8は、オフィスの天井などに取り付けられ、電源線を介して各照明器具8が接続され、照明器具8の個々にセンサ部81と制御部とが内蔵される。照明器具8が備える制御部は、反射板内部に収納され、センサ部81は先端の入光面だけが反射板から外部に露出している。このようにセンサ部81を照明器具8に内蔵することで、照明器具8の個々を明るさ制御できる細やかな照明制御システムとでき、例えばグループ制御による他の照明器具8の制御の影響を考慮した調光制御を可能とする。
【0033】
次に、図2に示すセンサ部81を内蔵した照明器具8の機能構成に関して図3を参照して説明する。照明器具8は、明るさに応じて出力電圧値を変化させるセンサ部81、ランプ84を点灯する機能を有する点灯回路部82、センサ部81から出力される電圧値に応じて点灯回路部82への調光信号を制御する制御部83と、光源であるランプ84とを備える。点灯回路部82及び制御部83には、商用電源からの交流電源が供給され、センサ部81には制御部83から電源が供給される。
【0034】
センサ部81は、センサ素子として、入射光量に対する電流値の直線性が良いフォトダイオードなどである。センサ部81は、検知範囲内の外光やランプ84の反射光などを検知し、それに応じて出力される電流を電圧値に変換してマイコン部12に出力する。センサ部81が検知する明るさ値(電圧値)は、センサ部81の直下の床面や机面などの被照射面の反射率、及びセンサ部81の直下の床面や机面などの被照射面の照度に比例する。なお、センサ部81は、指光性(全方向40度など)を有するため、採光する方向に向けて取り付ける必要がある。
【0035】
点灯回路部82は、例えば、0%から100%までの調光段階(調光レベル(%))で光源であるランプ84を調光することが可能であり、制御部83からのPWM(Pulse With Modulation)信号のデューティ値によって調光制御する。
【0036】
制御部83は、電源部11、マイクロコンピュータ部12(以下、マイコン部と記す)、記憶部13、及び調光信号出力部14を備える。センサ部81からの出力電圧値は、マイコン部12に入力され、調光信号出力部14の出力は点灯回路部82に接続される。
【0037】
電源部11は、例えば入力電圧AC100Vから254Vまで対応可能とした汎用性を有し、出力電圧は調光信号の出力電圧である10Vと制御電源電圧である5Vを出力する。マイコン部12は、センサ部81からの電圧値を演算し、センサ部81から入力される電圧値と記憶部13が保持する目標値とが一致するように調光信号を制御する。また、マイコン部12は判定部15を備え、この判定部15は、予め設定され、又は所定方法で演算された目標照度値と、センサ部81で測定した測定照度値との差分を検出して、当該差分が許容範囲内となるか否かを判定する。記憶部13は、目標照度値や、経時的に変化するランプ84の光束減衰曲線などを保存するメモリ部である。調光信号出力部14は、マイコン部12から出力された調光信号を所定電圧に変換し、変換後の信号を点灯回路部82に出力する。
【0038】
ランプ84は、蛍光灯や0〜100%などの段階的な細かな調光レベル(%)の調整が可能なLED照明などである。LED照明は、LED素子や調光回路部を有する専用のドライバICを備え、デューティ比(オン時間とオフ時間の比)を変えるPWM制御などで高精度での調光機能を実現する。なお、図1に示す照度センサ7は、図3に示す照明器具8から点灯回路部82及びランプ84を別体とした、センサ部81及び制御部83を有する機能構成となる。
【0039】
次に、照明器具8の調光制御を行う場合の調光制御用のアルゴリズムに関して図4を参照して説明する。なお、図4において、曲線41は照明器具8の照度変化を、曲線42は照明器具8の調光出力の変化を示している。
【0040】
判定部15は、センサ部81を用いて実際に検出された現在照度値(A_0)と、予め設定された目標照度値(T)の差分を検出し、所定の許容範囲内か範囲外かを判定する。この許容範囲は、例えば、目標照度値(T)の約±5%の範囲内である。
【0041】
判定部15において許容範囲外と判定される場合、マイコン部12は、曲線42に示すように、短い期間(図4ではt_1−t_0)で一度小さな値の調光レベル(%)の調光変化量(ΔL_1=L_1−L_0)で調光制御を行う。そして、センサ部81は、この変化量ΔL_1の前後の照度値変化量(ΔA_1=A_1−A_0)を検出する。また、マイコン部12は、例えば下記の(式1)に基づいて、調光変化量ΔL_1と測定した照度値変化量ΔA_1との関係から図5(a)に示す制御関係値Knを算出する。なお、制御関係値Knは、例えば調光レベル(%)の調光変化量に対するセンサ部81で測定される照度値変化量の比である。
Kn=照度値変化量(lx)/調光変化量(%) ・・・(式1)
【0042】
次に、マイコン部12は、算出した制御関係値Knを用いて、目標照度値とセンサ部81で測定された照度値の差分から、曲線42に示すように、制御する調光レベル(%)の調光変化量(ΔL_2=L_2−L_1)を算出し、調光信号を生成する。そして、調光信号出力部14は、当該調光信号を点灯回路部82に出力し、期間(t_2−t_1)で当該調光変化量ΔL_2で調光制御をする。この結果、照度値変化量(ΔA_2=A_2−A_1)が生じ、マイコン部12は、測定照度値が目標照度値Tからの許容範囲内に収束するまで同様の制御を繰り返し、センサ部81で検出される照度値が目標照度値Tからの許容範囲となると調光制御を終了する。
【0043】
具体的には、図5(b)に示すように、予め設定された目標照度値が750(lx)であり、センサ部81で測定された現在照度値が550(lx)の場合、照度値の差分は200(lx)であり許容範囲とならない。このため、マイコン部12は、最初に、短い期間で一度小さな値の調光変化量(3%)で調光制御を行い、センサ部81は、この変化の前後の照度値変化量(30(lx))を検出する。そして、上記(式1)により、制御関係値Kn=30/3=10を算出し、目標照度値750(lx)とするために次の制御では、調光変化量(17%)で照度値変化量(170(lx)でトータル200(lx)の変化量)になると推算する。その後、判定部15は、センサ部81で測定される照度値が目標照度値Tの許容範囲となるか否か確認し、許容範囲内の場合には調光制御を終了する。
【0044】
次に、本実地の形態1に係る照明制御システム1の動作手順に関して図6を参照して説明する。最初に、判定部15は、現在照度値と目標照度値の差分が許容範囲内か否かを確認する(S61)。そして、当該差分が許容範囲内である場合には(S61でYes)特に調光制御を行う必要がない。
【0045】
そして、当該差分が許容範囲外である場合には(S61でNo)、制御部83のマイコン部12は、一度小さな値の調光制御量(%)で調光制御を行う(S62)。そして、マイコン部12は、この調光制御量(%)及びセンサ部81において測定した照度値変化量(lx)から式1に基づいて制御関係値Knを算出する(S63)。また、マイコン部12は、制御関係値Kn、及びセンサ部81で測定する測定照度値と目標制御値との差分に基づいて、次の調光変化量(%)を算出し(S64)、この調光変化量(%)に基づいて再度の調光制御を行う(S65)。なお、S64に示す調光制御の際、S62で既に測定した測定照度値及び目標照度値の差分を用いてもよいし、S63の後、再度測定した現在照度値及び目標照度値の差分を用いてもよい。
【0046】
次に、判定部15は、再度、現在照度値と目標照度値の差分を取得し、当該差分が許容範囲内である場合(S66でYes)には調光制御を終了し、許容範囲外である場合には(S66でNo)、S62以下の処理を繰り返すフィードバック制御を行う。
【0047】
以上のように、本実施の形態1に係る照明制御システム1は、最初の小さな値での調光レベルの変化量である調光変化量(%)と照度値変化量(ln)との関係から制御関係値Knを算出し、目標照度値Tになるよう再度調光制御する制御用のアルゴリズムを有する。このため、照明制御システム1では、従来のような床面と天井面との照度の相関関係などを設定する照度設定作業を不要とし、内装変更や床のレイアウト変更を行っても、照度設定作業を行うことなく調光制御が可能となり、省施工及び省エネルギーを実現できる。
【0048】
また、上述した制御用のアルゴリズムでは、センサ部81の検出値を用いて調光制御の演算をするため、外光量の変化、ブラインドの開閉、グループ制御による他の複数の照明器具8の点灯や消灯など刻々と光量変化が生じる環境でも適切な調光制御を実現できる。
【0049】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る照明制御システムについて、図7を参照して説明する。なお、上記実施の形態1に係る照明制御システム1と同様の構成には同符号を付し、その詳細な説明は省略する(以下同じ)。
【0050】
上記実施の形態1に係る照明制御システム1では、図7(a)に示すように、外光が減少してきた場合に照明器具8の調光制御を行って、センサ部81が検出する照度値を目標照度値Tから許容範囲内に収束させる。その後、外光量などの変化によって目標照度値Tが新たな目標照度値T´に変化する場合がある。この場合、上記実施の形態1では、例えば、図中の(t_1−t_0)の期間で既に取得した制御関係値Knの値を、(t_4−t_3)の期間で再度使用する。このため、(t_4−t_3)の期間では(t_2−t_1)の期間と同じ傾きで照度値が大きく変化して、照度値A_0(lx)が新たに設定された目標照度値T´より大きく下回り、上手く目標照度値T´に収束できないことが想定される。このような場合、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきが生じる可能性がある。
【0051】
従って、本実施の形態2に係る照明制御システム1では、図7(b)に示すように、上記実施の形態1に係るアルゴリズムを用いて測定照度値が目標照度値から許容範囲内に収束したら、一度、制御関係値Knの値をリセットする。そして、目標照度値TがT´に変更した場合においては、再度、上記アルゴリズムに基づいて新たな制御関係値Knを算出する。例えば、図7(b)の期間(t_4−t_3)では調光レベルの調光変化量(%)を(t_2−t_1)の10%の値として最初の制御関係値Knの算出を試みる。
【0052】
このように、本実施の形態2では目標照度値Tと測定照度値との差分が許容範囲内に入った後、制御関係値Knをリセットするので、目標照度値Tが新たな目標照度値T´に変化した場合において、制御される照度値が目標照度値T´から大きくずれることがない。従って、本実施の形態2では、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきを防止できる。
【0053】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る照明制御システムについて、図8を参照して説明する。上記実施の形態1においては、センサ部81で計測される照度値が目標照度値Tに収束した後には既に算出した制御関係値Knの値をそのまま使用するため、外光などの環境の変化によって、オーバーシュートによる照明器具8のちらつきが起こる可能性がある。
【0054】
本実施の形態3では、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してから、設定した所定期間内において継続して現在照度値が目標照度値Tの許容範囲内となるとき、制御関係値Knの値をリセットする。これは、現在照度値が目標照度値Tに収束してから短時間以内では、外光などの周囲環境はさほど変化していないことが想定され、制御関係値Knをそのまま使用できることが想定されるためである。一方、現在照度値が目標照度値Tに収束してから所定期間以上経過した場合、外光などの周囲環境が変化していることが想定され、調光レベルの変化量(%)と照度値変化量(lx)との相関関係が変化して、制御関係値Knが変化している可能性が高いためである。
【0055】
図8(a)は、現在照度値が目標照度値Tに収束してから短期間D1の(t_3−t_2)で新たな目標照度値T´に変更された場合であり、この場合、周囲環境はさほど変化していると想定されず、制御関係値Knをリセットする必要性はない。一方、図8(b)は、現在照度値が目標照度値Tに収束してから所定期間以上D2の(t_n−t_2)を経過後に新たな目標照度値T´に変更された場合であり、この場合、周囲環境の変化が想定されるため、制御関係値Knの値をリセットする必要がある。
【0056】
このように、本実施の形態3では、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してからの期間に基づいて制御関係値Knをリセット、又はリセットしないようにするため、照度値のオーバーシュートによる照明器具8のちらつきを緩和できる。なお、現在照度値が目標照度値Tの許容範囲に収束してからの期間ではなく調光制御の演算処理を行ったフレーム回数に基づいて制御関係値Knのリセット、又はリセットをしないことを決定してもよい。また、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0057】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る照明制御システムについて、図9乃至図12を参照して説明する。
【0058】
上記実施の形態1に係る照明制御システム1は、調光シーケンスの初回に調光変化量と照度値変化量との比率である制御関係値Knを取得し、この制御関係値Knに基づいて、一度で自動的に目標照度に達するように照明器具の調光制御量を演算する。しかし、最初に制御関係値Knなどのパラメータ(変化率)を設定したときから周囲の環境が変化しない場合には、実施の形態1の照明制御システム1は適切に適用できるが、通常は運用時に周囲環境が変化する。この場合、(1)初回の調光レベル決定の基準がない、(2)制御関係値Knの更新タイミングの判断が難しい、(3)制御関係値Knの取得時の調光レベルの変化度合いの調整が難しい、(4)制御ポイントが多いと、計算のためのパラメータを記憶するメモリ領域が多くなる、(5)アプリケーションプログラムにも照明器具の照度のフィードバック制御を実装すると複雑な処理が更に煩雑になる、などの可能性がある。
【0059】
特に、照度センサのデータ取得間隔が長い(例えば、数十秒に一回)場合には、照度の自動制御を行う際に照度値が一旦オーバーシュートすると、明るくなってから照度を落として目標照度の範囲内とする制御が必要となり、目標照度到達までの制御回数が多くなる。このため、本実施の形態4に係る照明制御システムは、照度値を自動制御(フィードバック制御)するに際し、できるだけ少ない回数で、オーバーシュートすることなく目標照度の範囲内に制御するものである。
【0060】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムに備わる照明器具8の機能構成に関して図9を参照して説明する。照明器具8は、上記実施の形態1の照明器具8の構成に加えて、制御情報生成部16を備える。制御情報生成部16は、照明装置の寄与が測定照度値の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた所定割合を用いてランプ84などに対する調光制御量を生成する。
【0061】
次に、制御情報生成部16における調光制御量の演算アルゴリズムに関して図10を参照して説明する。図10(a)に示すように、任意の時点n,n+1において、検出される値は以下の(式2)〜(式5)の関係を有することとなる。
【0062】
An=Ae+KnLn ・・・(式2)
An+1=Ae+KnLn+1・・・(式3)
γn=Ae/An ・・・(式4)
ここで、n、n+1におけるAeが変化しないとすると、
Ae=γn+1An+1=γnAn ・・・(式5)
【0063】
なお、Lnは、任意の時点nにおける調光ユニット、又は通信照明器具の調光出力値である調光レベル(調光率)である。但し、ここではLn≠0とする。Kn(lx)は、センサの測定照度値に対する調光出力の影響度合い(調光レベル変化量当たりの照度変化量)であり上記制御関係値である。An(lx)は、任意の時点nにおけるセンサの測定照度値である。At(lx)は、フィードバック制御により収束させる照度である目標照度値である。Ae(lx)は、センサの測定照度値において対象の照明器具以外の要因が占める照度である外光照度値である。γnは、Anに対するAeの比率である外光率(%)である。そして、上記(式2)乃至(式5)により、下記の(式6)乃至(式8)を導くことができる。
【0064】
【0065】
ここで、定義より外光率γnは、0≦γn<1となるため、任意の時点n,n+1において、(式9)及び(式10)の関係が成立する。なお、(式9)は、照度を増加制御する場合、(式10)は照度を減少制御する場合である。
【0066】
【0067】
ここでAn+1→At とすると、下記の(式11)及び(式12)が導かれる。
【0068】
従って、外光照度Ae等の環境パラメータが不明であっても、少なくとも(式11)及び(式12)から導かれる下記の(式13)に基づいて調光レベルを変更しても過剰フィードバックになることはない。この境界値はγn=0の場合の値であり、測定照度値の全てが照明器具自身の照度によるものと考えることに等しい。
Ln+1=Ln・At/An・・・(式13)
【0069】
このため、制御情報生成部16は、次の制御時点n+1において、照明装置が測定照度値の寄与の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた所定割合である(式13)を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成することができる。
【0070】
なお、(式13)に基づいて制御する場合、図10(b)に示すように、An+1とγnは次の(式14)の関係にある。従って、γnが0に近いほど、すなわち、照明装置の測定照度値の寄与が大きくなるほど、1回の調光制御量での目標照度値への漸近度合いが大きくなることが分かる。
【0071】
【0072】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムを用いた場合の実際の調光制御の動作例を、図11を参照して説明する。図11は、照度センサで検知される測定照度値が照明器具の照明のみで外光が小さい場合の動作例であり、調光レベルが0(%)の時、照度は約245(lx)(15〜30%程度)とする。なお、図11において、◇(111)は現在照度値(lx)、△(112)は目標照度値(lx)、□(113)は調光レベル(%)のステップ毎の遷移を示している。
【0073】
そして、上記(式13)に基づいて照明器具に対する調光制御を行うと、図11に示すように、初動幅が比較的大きいステップでは一度では目標照度値に収束しにくいが、全体的に挙動が安定し、照度値がオーバーシュートすることがない照明制御が実現できる。
【0074】
次に、本実施の形態4に係る照明制御システムを用いた場合の実際の調光制御の他の動作例を、図12を参照して説明する。図12は、照度センサで検知される測定照度値が照明器具以外の照度もある外光が大きい場合の動作例であり、調光レベルが0(%)の時、照度は約1970(lx)(60〜75%程度)とする。なお、図12において、◇(121)は現在照度値(lx)、△(122)は目標照度値(lx)、□(123)は調光レベル(%)のステップ毎の遷移を示している。
【0075】
そして、上記(式13)に基づいて照明器具に対する調光制御を行うと、外光が大きいため目標照度値に収束するまでの制御回数が増えることとなるが、目標照度値へ収束するまでに3回以内の調光制御で実現し、照度制御の挙動を全体的に滑らかにできる。
【0076】
以上の説明のように、本実施の形態4に係る照明制御システムにおいて、制御情報生成部16は、照明装置が測定照度値の寄与の全てであるとし、目標照度値を超えない範囲で予め定められた(式13)に基づいて照明器具への調光制御量を生成する。このため、現在の測定照度値が目標照度値の許容範囲内でない場合、測定照度値に基づいて調光レベルの制御を行い、日照状態等のリアルタイムに変化する照明環境に応じた調光制御を実現できる。また、制御情報生成部16は、(式13)に基づいて、目標照度値を超えない範囲で次回の調光制御量を設定できるため、制御間隔が長くなっても照度のオーバーシュートを抑制できる。
【0077】
すなわち、本実施の形態4に係る照明制御システムでは、(式13)により、一度で目標照度値に収束させることを考えず、外光などの環境パラメータが不明であっても、調光制御量をオーバーシュートしない安全範囲内で目標照度値に漸近させることができる。このため、初回の調光制御レベルをできるだけ大きく取れ、照度のフィードバック制御用の保持パラメータを減らし、時間に依存するパラメータやシーケンスをなくした照明制御を実現できる。
【0078】
なお、上記実施の形態4における調光制御では、γn=1の条件は除外されている。これは、γn=1になるのは、例えば(a)照度センサが照明の影響範囲外に設置されている、(b)照明器具がオフの場合であるからである。
【0079】
そして、(a)の場合には、どのように照明を制御してもセンサの検知照度に影響を与えることはなく、フィードバック制御のループが終了しない、或いは始まらない。実際の運用上、そのような設置は行われないものとして考慮しない。また、(b)の場合は、まず照明をいくらの調光レベルで点灯するかが問題になる。点灯レベルの決定の仕方としては、例えば(1)前回レベル(消灯前のレベル)を使用する、(2)調光レベル下限値または上限値を使用する(下限値=0は無効)、(3)その他、何らかの計算式から算出する、の3通りが考えられる。
【0080】
(第1の変形例)
本実施の形態4の第1の変形例について、図13を参照して説明する。上記実施の形態4に係る照明制御システムのフィードバック制御によると、外光照度Ae=0でない限り、一回のフィードバック制御では目標照度値に到達できない可能性がある。従って、収束速度の向上、あるいは一度の調光制御で少しでも目標照度値に近づけたい場合は、フィードバック制御量(調光制御量)をチューニングする必要がある。
【0081】
そして、実動作環境下では外光照度Ae=0であるケースは少ないと考えられるので、フィードバック制御量は基本的に不足気味になる。このため、フィードバック制御量が大きくなるように変更するが、それによって目標照度値をオーバーシュートすることは望ましくない。そこで、本変形例では、図13に示すように、照明制御システムの仕様として、目標照度値に対して一定の誤差±ε(ε>0)が許容されているから、矢印131に示すように、許容範囲限界(上限)を狙ってフィードバック制御する。図13においては、下記の(式15)に基づいて、許容誤差範囲±ε(例えば±5%程度)の上限を目標照度値とすることで、照明制御システムの挙動としてはオーバーシュートすることなく調光制御の精度を上げることができる。なお、外光が存在する限り、目標照度値と調光制御後の測定照度値と差分は、基本的に0になることはない。従って、実用的には下記(式15)によるフィードバック制御で精度または速度の改善を図ることができる。
【0082】
【0083】
ただし、本変形例では、各種制約により計算値の丸め誤差等が発生するため、許容誤差範囲の上限と下限の境界線付近を往復するような発振動作に至る可能性がある。このため、照明制御システムへの実装としては(式15)のεを若干小さめにすることが望ましい。
【0084】
(第2の変形例)
本実施の形態4の第2の変形例について説明する。上記実施の形態4の(式13)に基づいてフィードバック調光制御をする場合、フィードバック調光制御のループ用として保持するデータがないため、以前の方式と比較すると消費メモリ削減等の利点がある。ただし、理論上1回または2回以内に収束することは保証されないため、規定回数以内のフィードバック制御による収束が必要な場合は、初回に(式13)に基づいて大きめに調光制御を行う。そして、次回以降は上記実施の形態1に係る制御関係値Knを用いたフィードバック制御に切り替えることで対応する。
【0085】
この制御により、本変形例では、照明装置の照度に対する制御関係値Knを考慮して調光率を算出するので、精度よい制御を行うことができ、目標照度までの制御回数を低減させて、目標照度値への収束速度を確保することができる。また、短期間では環境の状態は変化しない場合が多いため、制御関係値Knを記憶部に所定の期間保持して更新しないことで不要な演算処理を避けることが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1 照明制御システム
2 伝送ユニット
3 リレー制御用端末器
4 リモコンリレー
5 リモコントランス
6 リモコンスイッチ
7 照度センサ
8 照明器具
11 電源部
12 マイコン部(演算手段)
13 記憶部(記憶手段)
14 調光信号出力部
15 判定部(判定手段)
16 制御情報生成部
81 センサ部(照度センサ)
82 点灯回路部
83 制御部
84 ランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射面の照度を測定する照度センサと、前記照度センサの出力値に基づいて被照射面の照度が目標照度値となるように照明器具への光出力を制御する制御部とを備えた照明制御システムにおいて、
前記制御部は、
予め設定された前記目標照度値と、前記照度センサで測定した測定照度値とを記憶する記憶手段と、
前記目標照度値と前記測定照度値との差分を検出して、前記差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段において当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、最初に、照明器具に対し、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量と前記照度センサで測定する照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、前記制御関係値及び前記照度センサで測定する測定照度値と目標照度値との差分に基づいて、照明器具に対する調光制御量を算出する演算手段と、を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定されるまで、前記調光制御量の算出を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定された場合、前記制御関係値をリセットすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となってから所定期間以上が経過した場合、前記制御関係値をリセットすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記判定手段において、前記目標照度値と前記測定照度値との差分が許容範囲内でないと判定される場合、前記照明装置が測定照度値への寄与の全てであるとし、前記目標照度値を超えない範囲で予め定められる所定割合を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成する制御情報生成手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成する、ことを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
(数1)
Ln+1=Ln・At/An
Ln+1:時点(n+1)における調光レベル
Ln:時点nにおける調光レベル
At:目標照度値(lx)
An:時点nにおける測定照度値(lx)
【請求項7】
前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成する、ことを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
(数2)
Ln+1=Ln・At(1±ε)/An
Ln+1:時点(n+1)における調光レベル
Ln:時点nにおける調光レベル
At:目標照度値(lx)
An:時点nにおける測定照度値(lx)
ε:目標照度値(lx)に対して許容される誤差の割合
【請求項8】
前記制御情報生成手段は、前記調光制御量での制御後に、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となったと判定される場合には調光制御処理を終了する一方、前記許容範囲内でないと判定される場合、前回の制御に基づく調光変化量と照度値変化量に基づいて制御関係値を算出し、当該制御関係値及び前記差分に基づいて、次回の調光制御量を生成する、ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記制御情報生成手段は、前記制御関係値を、前記記憶手段に所定の期間保持して更新しない、ことを特徴とする請求項8記載の照明制御システム。
【請求項1】
被照射面の照度を測定する照度センサと、前記照度センサの出力値に基づいて被照射面の照度が目標照度値となるように照明器具への光出力を制御する制御部とを備えた照明制御システムにおいて、
前記制御部は、
予め設定された前記目標照度値と、前記照度センサで測定した測定照度値とを記憶する記憶手段と、
前記目標照度値と前記測定照度値との差分を検出して、前記差分が許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段において当該差分が許容範囲内でないと判定される場合、最初に、照明器具に対し、小さな値の調光変化量で調光制御を行い、当該調光変化量と前記照度センサで測定する照度値変化量との関係から制御関係値を算出し、次に、前記制御関係値及び前記照度センサで測定する測定照度値と目標照度値との差分に基づいて、照明器具に対する調光制御量を算出する演算手段と、を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定されるまで、前記調光制御量の算出を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内になったと判定された場合、前記制御関係値をリセットすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記演算手段は、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となってから所定期間以上が経過した場合、前記制御関係値をリセットすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記判定手段において、前記目標照度値と前記測定照度値との差分が許容範囲内でないと判定される場合、前記照明装置が測定照度値への寄与の全てであるとし、前記目標照度値を超えない範囲で予め定められる所定割合を用いて、照明器具に対する調光制御量を生成する制御情報生成手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成する、ことを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
(数1)
Ln+1=Ln・At/An
Ln+1:時点(n+1)における調光レベル
Ln:時点nにおける調光レベル
At:目標照度値(lx)
An:時点nにおける測定照度値(lx)
【請求項7】
前記制御情報生成手段は、前記所定割合として、次式の条件を満たすように前記調光制御量である調光レベルを生成する、ことを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
(数2)
Ln+1=Ln・At(1±ε)/An
Ln+1:時点(n+1)における調光レベル
Ln:時点nにおける調光レベル
At:目標照度値(lx)
An:時点nにおける測定照度値(lx)
ε:目標照度値(lx)に対して許容される誤差の割合
【請求項8】
前記制御情報生成手段は、前記調光制御量での制御後に、前記判定手段において前記測定照度値と前記目標照度値の差分が許容範囲内となったと判定される場合には調光制御処理を終了する一方、前記許容範囲内でないと判定される場合、前回の制御に基づく調光変化量と照度値変化量に基づいて制御関係値を算出し、当該制御関係値及び前記差分に基づいて、次回の調光制御量を生成する、ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記制御情報生成手段は、前記制御関係値を、前記記憶手段に所定の期間保持して更新しない、ことを特徴とする請求項8記載の照明制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−33699(P2013−33699A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206279(P2011−206279)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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