説明

照明器具及びインバータ装置

【課題】 ランプ点灯用のインバータ装置を備えた照明器具において、照明器具本体の厚みをインバータ装置の大きさに関わらず小さくし、照明器具の小型化、薄型化を図ることを目的とする。
【解決手段】 少なくともランプ3と、このランプ3を点灯させるインバータ回路2を内蔵したインバータ装置1とを含んで構成される照明器具において、ランプ3とインバータ装置1とを離間して設置した構造を有する。例えば、インバータ装置1を天井6に直付けし、ランプ3とそれを覆うセード4aとから構成される照明器具本体7aを、天井6に直付けしたインバータ装置1から吊り具5を介して吊り下げることによって、インバータ装置1とランプ3とを離間して設置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用として一般的に用いられている照明器具に関するもので、特に蛍光ランプ点灯用のインバータ回路を内蔵したインバータ装置を有する照明器具及びインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭などで用いられる一般的な照明器具のうち、例えば、吊り下げ型照明器具においては図3の概略図に示すような部品構成となっている。すなわち、蛍光ランプ(以下、単にランプと称する)点灯用のインバータ回路2が内蔵されたインバータ装置1と、このインバータ装置1の下側に金具8によって取り付けられた環状蛍光ランプなどのランプ3と、このランプ3とインバータ装置1とを一体に覆うセード4とを具備する。そして、これらの構成部品によって照明器具本体7が構成され、この照明器具本体7を電源コード又はチェーンなどの吊り具5を介して天井6から吊り下げることによって、照明器具を構成している。
【0003】
このように、従来の家庭用の一般的な照明器具は、インバータ回路2が内蔵されたインバータ装置1が照明器具本体7に組み込まれた構造となっている。そのため、インバータ装置1の大きさ(高さ)に合わせて照明器具本体7の大きさ(高さ)も左右されることになる。このことは、卓上スタンドにおいても同様である。
【0004】
この照明器具の大きさを少しでも小型化するために、従来、照明器具本体7を天井6に直付けする直付け型照明器具が実用化されている。そして、この直付け型照明器具はインバータ装置1の面積を天井面に沿った方向に広げて大きくすることによってインバータ装置1の高さを小さくし、照明器具本体7の薄型化を行ってきた。
【0005】
そのほかの吊り下げ型の照明器具としては、インバータ回路を二分割して一方を天井側に取り付け、他方をランプ側に取り付けたものがある(例えば、引用文献1参照。)。また、インバータ回路を天井側に残し、軽くなったランプ側を昇降動作させるようにした高所用のものなどが提案されている(例えば、引用文献2参照。)。しかし、一般家庭用の照明器具において、インバータ部分とランプ部分を分離させた構造のものは提案されていない。
【0006】
【特許文献1】実公昭61−138113号公報
【特許文献2】特開2001−126528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来の一般的な照明器具は、照明器具本体にランプとそれを点灯させるインバータ回路を内蔵したインバータ装置とが具備されており、照明器具本体の大きさがランプとインバータ装置を含んだ大きさとなっている。そのためセードの容積も大きくなり、セードも含めた照明器具の本体部分は、室内においては見た目にもかさばって見えるだけでなく、インテリアとしてもふさわしいものではない。
【0008】
また、インバータ装置の面積を小さくできたとしてもランプの大きさはそのままであり、これを覆うセードの大きさもほとんど変わらない。このように従来は、照明器具本体の大きさを抑えることができないため、照明器具としての小型化は困難であった。
【0009】
本発明は、この課題を解決するためになされたもので、照明器具本体の厚みをインバータ装置の大きさに関わらず小さくし、照明器具の小型化、薄型化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくともランプと、このランプを点灯させるインバータ回路を内蔵したインバータ装置とを含んで構成される照明器具において、前記ランプと前記インバータ装置とを離間して設置した構造を有している。
【0011】
また、本発明において、前記インバータ装置を天井に直付けし、前記ランプを天井に直付けした前記インバータ装置から吊り具を介して吊り下げる構造としている。
【0012】
また、本発明において、前記インバータ装置を壁に直付けし、前記ランプを壁に直付けした前記インバータ装置から伸びるアームの先端に取り付ける構造としている。
【0013】
また、本発明において、前記ランプは、前記吊り具又はアームに着脱自在に取り付けられている。また、前記ランプは、直管型蛍光ランプあるいは環状蛍光ランプであり、前記吊り具は、電源コードあるいは電源コード以外の吊り下げ用部材である。
【0014】
また、本発明において、前記天井又は壁に直付けした1個の前記インバータ装置に対し、このインバータ装置を共通使用可能とする複数の前記ランプをそれぞれ交換可能としている。前記ランプを交換する際、電源コードとの間に設けたソケットを介して前記インバータ装置と前記ランプとの電気的着脱を行って交換可能とし、さらに、前記インバータ装置のみを単独で交換可能としている。
【0015】
また、本発明において、前記ランプはセードで覆われた一体構造を有しており、前記ランプ及び前記セードのいずれか一方を単独で交換可能とするとともに、前記ランプ及び前記セードの両方を同時に交換可能としている。
【0016】
また、本発明は、少なくともランプと、このランプを点灯させるインバータ回路を内蔵したインバータ装置とを含んで構成される照明器具から前記インバータ装置を分離し、分離した前記インバータ装置は単独で天井又は壁に直付け可能としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明による照明器具によれば、インバータ装置をランプから分離して離間させ、照明器具本体の薄型化を実現したことによって以下の効果があげられる。第1に、照明器具本体を構成する樹脂材料コストの削減、及び樹脂モールド金型などに係る製造コストの削減が得られることである。これは、今までセードで覆われていたインバータ装置を分離したことによってセードの高さを薄くできるようになったことによる。第2に、分離したインバータ装置を天井又は壁に直付けして使用することによって、インバータ装置の共通化を図ることがあげられる。これにより1個の天井又は壁に直付けしたインバータ装置に対し、種々の照明器具本体を好みに合わせて交換可能としたことである。第3に、ランプとインバータ装置を離間させたことによって、ランプの発熱によるインバータ回路への熱影響を減少させることができることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の照明器具における第1の実施の形態を示す概略図で、吊り下げ型照明器具を例にとって説明する。
【0019】
図1に示すように、インバータ回路2を内蔵したインバータ装置1をランプ3から分離し、このインバータ装置1を天井6にネジ等によって直付けして取り付ける。一方、インバータ装置1から分離されたランプ3は、複数の金具8を介してセード4aの内部に取り付けられ、ランプ3とセード4aを合わせて薄型の照明器具本体7aを構成している。ここでセード4aはランプ3が収まるだけの厚みがあればよく、従来のようにインバータ装置1を含む必要がないため薄型化かつ軽量化が可能となっている。金具8は可撓性を有する薄板で構成され、一端がセード4aに固定され、他端が曲げられてランプ3を支持し、ランプ3の着脱を容易にしている。
【0020】
そして、天井6に取り付けられたインバータ装置1と照明器具本体7aとの間は吊り具5を兼ねた1本の電源コード等で接続され、照明器具本体7aのみを吊り下げた構造となっている。本発明によれば、インバータ装置1を吊り下げる必要がなくなったので電源コードにかかる荷重はランプ3とセード4aの重量のみとなり、従来に比べ遥かに軽くなったことによって電源コードの損傷を防ぐことができる。この際、吊り具5である電源コードに荷重が加わらないようにするために、チェーン等の吊り下げ用部材を用いて照明器具本体7aを天井又はインバータ装置から吊り下げるようにしてもよい。
【0021】
次に、図2を参照して本発明における第2の実施の形態について説明する。図2はその概略図である。第1の実施の形態では、インバータ装置を水平な天井面に取り付けた場合を示したが、本実施の形態ではインバータ装置を垂直な壁面に取り付けた場合を示している。
【0022】
図2に示すように、インバータ回路2を内蔵したインバータ装置1をランプ3から分離し、このインバータ装置1を壁9にネジ等によって直付けして取り付ける。一方、インバータ装置1から分離されたランプ3は、複数の金具8を介してセード4aの内部に取り付けられ、ランプ3とセード4aを合わせて薄型の照明器具本体7aを構成している。ここでセード4aはランプ3が収まるだけの厚みがあればよく、従来のようにインバータ装置1を含む必要がないため薄型化かつ軽量化が可能となっている。金具8は可撓性を有する薄板で構成され、一端がセード4aに固定され、他端が曲げられてランプ3を支持し、ランプ3の着脱を容易にしている。
【0023】
そして、壁9に取り付けられたインバータ装置1には、略水平方向に伸びるアーム10が設けられ、アーム10の先端には照明器具本体7aが取り付けられている。照明器具本体7aはアーム10の先端に固定してもよいし、第1の実施の形態と同様、吊り具を介して先端から吊り下げてもよい。また、アーム10をパイプ状にすれば内部に電源コードを通すことができる。
【0024】
さらに本発明は、第1及び第2の実施の形態に示したように、天井6あるいは壁9に取り付けた1個のインバータ装置1に対し、このインバータ装置1との間で共通使用が可能な複数の照明器具本体7aをそれぞれ交換可能としたことを特徴としている。そして交換を容易にするために、電源コードとランプの間の接続にはソケット(図示せず)を設けて行うようにしている。これにより、交換の際の電気的着脱を容易とすることができる。
【0025】
また、この交換は、ランプとセードを同時に交換してもよいし、ランプだけ又はセードだけを交換してもよい。これによりセードの色やデザインを好みに合わせることができる。これは、セードの高さを薄くすることが可能となったことからセードの材料コスト、製造コストが下がり、種類を豊富に取り揃えることが可能となったことによる。
【0026】
また、ランプ3の形状は環状蛍光ランプでも直管蛍光ランプでもよく、セード4aもランプ形状に合わせた薄型形状のものを用いればよい。また、照明器具本体7aの厚みをインバータ装置1の大きさに関係なく薄くすることができるようになったので、照明器具の小型化が実現できる。
【0027】
さらに、従来、インバータ装置と一体構造であったランプをインバータ装置から分離させて設置するようにしたことによって、ランプとインバータ回路の間は電源コード等の電源線で接続されているだけで両者は離間して設置されるようになった。そのため、ランプからの発熱が遮断され、インバータ回路への熱影響を低減することができる。これにより照明器具の寿命を大幅に伸ばすことができる。
【0028】
また、インバータ装置に不具合が発生した場合などに、インバータ装置のみを交換することも可能となる。また、インバータ装置を天井又は壁に直付けしたことによってインバータ装置自身の放熱効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、インバータ装置の共通使用化、照明器具本体の薄型化による材料及び製造コスト低減、ランプをインバータ装置から分離させたことによるインバータ回路への熱影響の低減が得られる。また、1個のインバータ装置を天井又は壁に直付けしておくだけで好みの照明器具本体を種々選択することができるので、経済性だけでなくインテリア性にも優れた機能が得られ、家庭用の照明器具としての利用可能性は極めて高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における第1の実施の形態を示す概略図である。
【図2】本発明における第2の実施の形態を示す概略図である。
【図3】従来の照明器具の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0031】
1 インバータ装置
2 インバータ回路
3 ランプ
4、4a セード
5 吊り具
6 天井
7、7a 照明器具本体
8 金具
9 壁
10 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともランプと、このランプを点灯させるインバータ回路を内蔵したインバータ装置とを含んで構成される照明器具において、前記ランプと前記インバータ装置とが離間して設置されていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記インバータ装置を天井に直付けし、前記ランプを天井に直付けした前記インバータ装置から吊り具を介して吊り下げることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記インバータ装置を壁に直付けし、前記ランプを壁に直付けした前記インバータ装置から伸びるアームの先端に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記ランプは、前記吊り具又はアームに着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。
【請求項5】
前記ランプは、直管型蛍光ランプあるいは環状蛍光ランプであることを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。
【請求項6】
前記吊り具は、電源コードあるいは電源コード以外の吊り下げ用部材であることを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項7】
前記天井又は壁に直付けした1個の前記インバータ装置に対し、このインバータ装置を共通使用可能とする複数の前記ランプをそれぞれ交換可能としたことを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。
【請求項8】
前記ランプを交換する際、電源コードとの間に設けたソケットを介して前記インバータ装置と前記ランプとの電気的着脱を行い、交換可能としたことを特徴とする請求項7記載の照明器具。
【請求項9】
前記インバータ装置を単独で交換可能としたことを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。
【請求項10】
前記ランプはセードで覆われた一体構造を有することを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。
【請求項11】
前記ランプ及び前記セードのいずれか一方を単独で交換可能としたことを特徴とする請求項10記載の照明器具。
【請求項12】
前記ランプ及び前記セードの両方を同時に交換可能としたことを特徴とする請求項10記載の照明器具。
【請求項13】
ランプを取り付ける手段と、天井又は壁に直付けする手段とを備えたことを特徴とするインバータ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate