説明

照明器具

【課題】 ルーズコンタクトの発生を防止することができる照明器具を提供する。
【解決手段】片口金蛍光ランプ12はランプ口金13の表面のランプ軸14を通る直線17に略沿ってランプ軸14に点対称に4本のランプピン16を有するとともに、ソケット係合部15を有する。ランプソケット7は、ランプピン16をそれぞれ挿入させかつランプピン16を回動可能に形成した複数の挿入穴22を有し、ランプピン16が接触するピン受け部23を挿入穴22内に有するとともに、片口金蛍光ランプ12の回動によりランプピン16がピン受け部23に接触しない位置とピン受け部23に接触する位置でソケット係合部15が係合する係止部21を有し、複数の挿入穴22は片口金蛍光ランプ12の直線17が略鉛直方向となるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、片口金ランプを略水平配置で備える照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の照明器具は、小型高出力を目的として開発され、必要とする光出力に応じて、ランプバルブの本数が2本、4本、6本、8本と異なる片口金蛍光ランプを使用しているが、そのランプ口金に設けられた例えば4本のランプピンはいずれも口金の中心の同じ円周上に配置されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、近時さらなる高出力化を狙って開発されている片口金蛍光ランプでは、図5に示すように片口金蛍光ランプ50がランプ口金51の表面の中心となるランプ軸54を通る直線53に略沿ってランプ軸54に点対称に4本のランプピン52を設けている。この直線53はランプ軸54に対して直角な方向の口金中心軸線である。55はランプバルブ、56はソケット係合部である。
【0004】
この片口金蛍光ランプ50を装着するランプソケット60は、図6に示すように片口金蛍光ランプ50のランプピン52を挿入させる挿入穴61を有し、挿入穴61内で片口金蛍光ランプ50を一方向に回動することによりランプピン52が接触するピン受け部62を有する。63はソケット係合部56が片口金蛍光ランプ50の回動により係合する係止部である。片口金蛍光ランプ50のランプピン52を挿入穴61に差し込み回動するとソケット係合部56が係止部63に係合し、その初期段階でランプピン52がピン受け部62にまだ非接触の仮保持状態があり、さらに片口金蛍光ランプ50を回動するとランプピン52がピン受け部62に接触する。
【0005】
また片口金蛍光ランプ50は水銀蒸気供給源であるアマルガム部を有する。
【特許文献1】特開2003−272409公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例では、4本のランプピンが略同一円周上に配置されているため片口金蛍光ランプを略水平配置で備える照明器具であっても、この片口金蛍光ランプが比較的小型軽量であることとあいまって、4本のランプピンの接触は比較的安定確実なものとすることが容易で、信頼性の高い照明器具を得ることができる。
【0007】
一方、図5に示す片口金蛍光ランプ50をランプソケット60に装着する場合において、ランプピン52を結ぶ直線53が、ランプソケット62に仮保持された状態および図6(a)に示す正規に装着された状態で略水平となっている場合には、ランプ取付工程において仮保持状態のときランプピン52とピン受け部62は非接触状態にあるが、片口金蛍光ランプ50の高出力化および大型化するのに伴ってランプ重量が増大するにつれて、上記のようなランプ設置状態であると、照明器具へのランプ設置状態における傾きが大きくなり、その傾きにより図6(b)に示すようにランプピン52とピン受け部62において不完全な接触であるルーズコンタクトが発生し発熱発火の原因となる恐れがあった。
【0008】
したがって、この発明の目的は、ルーズコンタクトの発生を防止することができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の照明器具は、ランプ口金の表面の回動中心を通る直線に略沿って前記回動中心に点対称に複数のランプピンを有するとともにソケット係合部を有する片口金ランプを装着するランプソケットを備えている。前記ランプソケットは、前記複数のランプピンをそれぞれ挿入させかつ前記ランプピンを回動可能に形成した複数の挿入穴を有し、
前記複数のランプピンの挿入状態で前記片口金ランプを一方向に回動することにより、前記ランプピンが接触するピン受け部を前記挿入穴内に有するとともに、前記片口金ランプの前記回動により前記ランプピンが前記ピン受け部に接触しない位置と前記ピン受け部に接触する位置で前記ソケット係合部が係合する係止部を有し、
前記複数の挿入穴は、挿入状態の前記片口金ランプの前記直線が略鉛直方向となるように配置されている。
【0010】
上記構成において、前記片口金ランプは、前記口金ランプ内において、前記片口金ランプの回動中心軸方向と直角な方向で前記ランプピンの並び方向と直角な方向にアマルガム部を配置している。
【発明の効果】
【0011】
この発明の照明器具によれば、ランプソケットの取付け状態において、複数の挿入穴は前記片口金ランプの前記直線が略鉛直方向となるように配置されているため、仮保持状態において、片口金ランプが傾いた場合にもランプピンがピン受け部と接触することなくルーズコンタクトの発生を防止することができる。
【0012】
またアマルガム部の位置はランプ軸と水平に位置するため、アマルガム温度の変化が少なく一定の光出力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の第1の実施の形態を図1および図2により説明する。すなわち、この照明器具は、天井1の埋め込み穴2に器具本体3が埋め込まれている。器具本体3は支柱(図示せず)と枠5と本体天板6により構成され、支柱に設けられた取付具(図示せず)により天井1の裏面に係止するもので、支柱の下端部に連結されて有天筒状の反射鏡(板)4を支持した枠5が埋め込み穴2に挿入され、枠5が埋め込み穴2の縁部に係止している。器具本体3の支柱の上端部に取付けられた本体天板6の下面に反射鏡4の側面に対向するランプソケット7が取付けられ、本体天板6にさらに点灯装置取付板8が取付けられ、これに点灯装置9および端子台10が取付けられている。反射鏡4のランプソケット7に対向する位置にランプ挿入穴11が形成され、ランプ挿入穴11を通して片口金ランプ例えば片口金蛍光ランプ12が反射鏡4内に配置されるとともにランプ口金13がランプソケット7に装着されている。
【0014】
片口金蛍光ランプ12は図5に示すものと同構成であり、ランプ口金13の表面の中央部にランプ軸14を有し、ランプ口金13の表面の周縁部に内向きかぎ形のソケット係合部15を複数突設し、ソケット係合部15とランプ軸14の間に4本のランプピン16をランプ軸14を通る直線17に略沿ってランプ軸14に点対称に設けている。直線17はランプ軸14の軸方向に対する直交方向のランプ口金13のランプ軸14を通る口金中心軸線である。
【0015】
ランプソケット7は、ランプ軸14を嵌合する凹部20を中心に有し、ソケット係合部15に係合する係止部21を周縁部に形成し、ランプピン16を挿入する挿入穴22を各ランプピン16に対応して形成している。挿入穴22はランプ軸14に近いものが短い長孔であり、遠いものが長い長孔であり、それぞれ凹部20を中心とする円弧をなしている。そして、ランプソケット7を器具本体3に取付けた状態では、4本の挿入穴22は片口金蛍光ランプ12の直線17が略鉛直方向となるように配置されている。さらに挿入穴22内にピン受け部23を配設し、片口金蛍光ランプ12を一方向に回動することにより、ランプピン16がピン受け部23に接触し、片口金蛍光ランプ12に給電可能となる。
【0016】
また、ランプピン16を挿入穴22内に挿入した状態で片口金蛍光ランプ12を回動するとソケット係合部15が係止部21に係合しランプソケット7とランプ口金13が結合状態となるが、係合した初期の段階でランプピン16がピン受け部23にまだ接触しない仮保持状態が形成される。
【0017】
片口金蛍光ランプ12が仮保持状態である場合、片口金蛍光ランプ12の自重によりランプソケット7を支点として垂直下方へ片口金蛍光ランプ12が傾いた場合にも、ランプピン16がランプソケット7のピン受け部23と接触することなく、ルーズコンタクトの発生を防ぐことができる。
【0018】
この発明の第2の実施の形態を図4により説明する。第1の実施の形態において、片口金蛍光ランプ12のランプ口金13内でランプピン16の並び方向すなわち直線17に対して直角な方向の位置、角度にして略90度の位置にアマルガム部25を配置したものである。
【0019】
片口金蛍光ランプ12がランプソケット7に設置された状態において、ランプ口金13内に設けられたアマルガム部25の位置はランプ軸14と略水平に位置することになる。この片口金蛍光ランプ12とランプソケット7はランプ軸14を中心に180度回転状態でしか装着不可能であり、アマルガム部25は直線17に対して左右に位置することになる。このため、使用者はアマルガム部25の位置を確認しなくともランプ口金13内のアマルガム部25の位置はランプ軸14と水平に位置することになるため、アマルガム温度の変化が少なく出力ばらつきがなく、器具およびランプを複数取付けた際も一定の光出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第1の実施の形態の片口金蛍光ランプとランプソケットとを示す部分斜視図である。
【図2】照明器具の概略断面図である。
【図3】ランプソケットに片口金ランプが仮保持された状態を説明する正面図である。
【図4】第2の実施の形態を示し、(a)は片口金ランプの一部破断側面図、(b)はそのランプ口金の表面を示す一部破断正面図である。
【図5】従来例を示し、(a)は片口金ランプの側面図、(b)はそのランプ口金の表面を示す正面図である。
【図6】(a)は従来の片口金ランプの正規取付状態の部分拡大正面図、(b)はランプ仮保持状態でかつランプ自重により片口金ランプが傾いた状態の部分拡大表面図である。
【符号の説明】
【0021】
7 ランプソケット
12 片口金蛍光ランプ
13 ランプ口金
14 ランプ軸
15 係合部
16 ランプピン
17 直線
22 挿入穴
23 ピン受け部
25 アマルガム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ口金の表面の回動中心を通る直線に略沿って前記回動中心に点対称に複数のランプピンを有するとともにソケット係合部を有する片口金ランプを装着するランプソケットを備えた照明器具において、
前記ランプソケットは、前記複数のランプピンをそれぞれ挿入させかつ前記ランプピンを回動可能に形成した複数の挿入穴を有し、
前記複数のランプピンの挿入状態で前記片口金ランプを一方向に回動することにより、前記ランプピンが接触するピン受け部を前記挿入穴内に有するとともに、
前記片口金ランプの前記回動により前記ランプピンが前記ピン受け部に接触しない位置と前記ピン受け部に接触する位置で前記ソケット係合部が係合する係止部を有し、
前記複数の挿入穴は、挿入状態の前記片口金ランプの前記直線が略鉛直方向となるように配置されていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記片口金ランプは、前記口金ランプ内において、前記片口金ランプの回動中心軸方向と直角な方向で前記ランプピンの並び方向と直角な方向にアマルガム部を配置している請求項1記載の照明器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−302798(P2006−302798A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126012(P2005−126012)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】