説明

照明器具

【課題】照射される光の色味を略均一にすることで色ムラを低減させた照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具Aは、前面が開口する略円形箱状のセード1を有し、セード1内には、放物線を対称軸Y回りに回転してできる放物面からなる反射面2cを有する反射鏡2が収納されるとともに、メタルハライドランプからなる片口金のランプ3が収納されている。ランプ3は、ランプ軸が反射鏡2の反射面2cを形成する放物面の開口面と略平行であって、且つ、対称軸Yが略水平となるようにセード1を回転配置した状態において、上記放物面の焦点に発光管3aの下端部Pが位置するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面や壁面や床面などに取り付けられ、商業空間の商品演出や建築空間の空間演出に使用される照射方向可変型の照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井などに取り付けられ、光の照射方向を回転自在に可変できる照明器具が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、このような照射方向可変型の照明器具の光源として、メタルハライドランプを用いた照明器具も提供されている。この照明器具Aは、図5に示すように一面(図5(a)中の前面)が開口する略円形箱状のセード1を有し、このセード1内には反射面2cが放物面からなる反射鏡2が収納されている。また、セード1内には、メタルハライドランプからなる片口金のランプ3が、ランプ軸(図5(a)中の左右方向の軸)が上記放物面の開口面と略平行であって、且つ、上記放物面の焦点にランプ軸が位置するように配設されている。
【特許文献1】特開2002−373522号公報(段落[0014]−段落[0016]、及び、第1図−第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の図5に示した照明器具Aでは、光源としてメタルハライドランプを用いているため、発光管(内管)3a内に封入されたヨウ化物などの揮発状態にない化合物が発光管3aの下端部Pに沈殿、滞留することになるが、この沈殿物は黄色味を帯びた液状であるため、沈殿物を介して発光管3aの下端部Pから照射される光(図5(b)中の矢印B)は黄色味を帯びた光になる。而して、この照明器具Aからの光が反射面2cで反射されて対象物に照射されると、対象物は部分的に黄色味を帯びた状態になり、色ムラが生じるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、照射される光の色味を略均一にすることで色ムラを低減させた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、反射面の少なくとも一部が、放物線を対称軸回りに回転させてできる放物面からなる反射鏡と、メタルハライドランプが装着され当該メタルハライドランプのランプ軸が放物面の開口面と略平行になるように配設されるランプソケットと、被取付部に取り付けられる取付部と、反射鏡及びランプソケットが内装され、ランプ軸を回転中心として取付部に回転自在に支持されるセードとを備え、放物面を形成する放物線の対称軸が略水平となるようにセードを回転配置した状態において、反射面を形成する放物面の焦点にメタルハライドランプの下端部が位置するようにメタルハライドランプを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、放物面を形成する放物線の対称軸が略水平となるようにセードを回転配置した状態において、反射面を形成する放物面の焦点にランプの下端部が位置するようにメタルハライドランプを配置しているので、このメタルハライドランプの下端部から照射される光は反射鏡の反射面で略水平方向に反射されることになり、他の部位から照射され反射面で斜め方向に反射される光により色味が緩和されるから、ランプから照射される光の色味を略均一にすることができ、したがって色ムラを低減させた照明器具を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の照明器具Aは、例えば天井などに配設された配線ダクト(被取付部)に取り付けられる照射方向可変型の照明器具であって、商業空間の商品演出や建築空間の空間演出に用いられるものである。
【0009】
照明器具Aは、図1〜図3に示すように、ランプ3が着脱自在に装着されるランプソケット12と、ランプ3から照明方向(図2中の前面方向)と反対側に照射された光を、照明方向に反射させるための反射鏡2と、ランプ3及び反射鏡2を収納するセード1と、ランプソケット12を介してランプ3に点灯電力を供給する安定器8と、安定器8を収納して配線ダクトに着脱自在に取り付けられるケース7と、セード1とケース7との間を連結してセード1を支持する支持アーム5とを備えている。
【0010】
セード1は、例えば合成樹脂成形品であって、図1〜図4に示すように前面側が開口する略円形箱状に形成されており、セード1の右側の側壁には支持アーム5の回転軸部5bが挿通される軸受部1aが設けられている。この軸受部1aには、挿通した回転軸部5bを保持するための保持金具(図示せず)が設けられており、この保持金具により回転軸部5bを保持するとともに、回転軸部5bが軸受部1aから脱落するのを防止している。また、セード1の内周面において軸受部1aの近傍には、回転ストッパー(図示せず)が設けられており、回転軸部5bに設けた回転規制突起(図示せず)がこの回転ストッパーに回転係止することでセード1の回転範囲が規制されるようになっている。さらに、セード1の内周面には、反射鏡2を保持するための保持リブ1cが周方向に沿って複数(図4(a)では1個のみ図示)設けられ、各保持リブ1cの前面側には反射鏡2に設けた切欠部2eと係合して反射鏡2の位置決めを行う位置決め突起1dがそれぞれ一体に設けられている。また、各位置決め突起1dには、反射鏡2をセード1に固定するための固定ばね6が嵌合する嵌合溝1eがそれぞれ設けられている。
【0011】
ここで、本実施形態の照明器具Aに使用されるランプ3は、例えば片口金のメタルハライドランプであって、硬質ガラスで形成された直管状の外管3bを有し、外管3b内には、発光物質として水銀のほかにヨウ化ナトリウムやヨウ化スカンジウムなどのハロゲン化金属が封入された石英ガラスからなる発光管(内管)3aが収納されており、発光管3aの長手方向(図1(a)中の左右方向)両端側には放電を発生させるための電極(図示せず)がそれぞれ設けられている。また、外管3bの一端側(図1(a)中の左側)は封止され、他端側にはランプソケット12と電気的に接続される口金部3cが一体に設けられている。
【0012】
而して、このランプ3では、両電極間にランプソケット12を介して安定器8から点灯電力が供給されると、一方の電極から発光管3a内に放出された電子が他方の電極側に移動する際に、水銀原子やナトリウム原子やスカンジウム原子と衝突することによって、これらの原子が励起され、さらにこれらの原子が励起状態から基底状態に戻る際に光を放出する仕組みになっている。尚、メタルハライドランプについては従来周知のものを採用しており、詳細については説明を省略する。
【0013】
反射鏡2は、例えば金属製であって、放物線を対称軸Y(図1(b)参照)回りに回転させてできる放物面からなる反射面2cを有し、反射面2cの頂部2dには図1(a)に示すように横長の孔2aが貫設されている。また、反射鏡2の反射面2cにおいてランプ3の口金部3cに対応する部位には、ランプ3を取り付ける際に口金部3cを逃がすための切欠部2bが設けられ、さらに反射面2cの外周縁においてセード1の各位置決め突起1dに対応する部位には、対応する位置決め突起1dと係合する切欠部2eがそれぞれ設けられている。ここにおいて、本実施形態の照明器具Aでは、対称軸Yが略水平となるようにセード1を配置した状態(すなわち、図1(a)の状態)において、反射鏡2の反射面2cを形成する放物面の焦点にランプ3の発光管3aの下端部Pが位置するように反射鏡2が形成されている(図1(b)参照)。
【0014】
ここで、反射鏡2をセード1に取り付ける手順について図3及び図4に基づいて説明する。まず、反射鏡2を前面側からセード1に近づけ、各切欠部2eを対応する位置決め突起1dにそれぞれ係合させて反射鏡2を保持リブ1cの前面に載置する(図4(b)参照)。その後、弾性を有する略円弧状に形成された固定ばね6(図3参照)を撓めた状態で反射鏡2の前面側に配置し手を離すと、固定ばね6が拡開して各位置決め突起1dの嵌合溝1eに嵌合し、反射鏡2が固定ばね6とセード1の保持リブ1cとの間で挟持されて反射鏡2がセード1に取り付けられる(図4(c)参照)。
【0015】
また、セード1の開口部には、略円形枠状に形成された前面枠4が取り付けられるようになっており、前面枠4を前面側からセード1の開口部に填め込むとともに、セード1に対して前面枠4を回転させることで前面枠4がセード1に嵌着される。
【0016】
次に、安定器8は、ランプソケット12を介してランプ3に点灯電力を供給するためのものであって、横長の略直方体状に形成されており、長手方向一端側(図3中の左側)には複数(本実施形態では2個)の入力端子8aが設けられるとともに、長手方向他端側(図3中の右側)には各入力端子8aに対応する出力端子8bが設けられている。
【0017】
この安定器8は、図3に示すように一面(図3中の上面)が開口する横長の略矩形箱状のケース7に収納され、またケース7の開口部の長手方向一端側(図3中の左側)にはプラグ9が取り付けられる。このプラグ9は、天井に取り付けられた配線ダクト(図示せず)内に設けた電源供給部(図示せず)に接触することで商用電源が供給される複数(本実施形態では2個)の給電端子9aと、配線ダクトにケース7を固定するための略矩形板状の固定金具9cと、給電端子9a及び固定金具9cを回転させるための回転レバー9bとを備えている。また、ケース7の長手方向他端側(図3中の右側)には、ケース7を配線ダクトに固定するための固定部14が一体に設けられ、この固定部14には略矩形板状の固定金具14aが回転自在に設けられている。尚、各給電端子9aは、取付状態において安定器8の対応する入力端子8aにそれぞれ電気的に接続されるようになっている。さらに、安定器8を収納したケース7の上面には、複数(本実施形態では3個)のねじ挿通孔10aが設けられたカバー10が取り付けられるようになっており、カバー10はねじ挿通孔10aに挿通した3個の固定ねじ11を用いて上記プラグ9とともにケース7にねじ固定され、ケース7の上面を閉塞する(図2参照)。
【0018】
ここで、ケース7を配線ダクトに取り付ける場合には、まずプラグ9及び固定部14を、配線ダクトの下面に設けられた溝を通して配線ダクト内に挿入し、プラグ9の回転レバー9bを操作して給電端子9a及び固定金具9cを90度回転させる。その後、固定部14に設けた固定ねじ(図示せず)を配線ダクトの外側から工具を用いて締め付けると、固定ねじの回転に伴って固定金具14aが90度回転し配線ダクト内面に当接することで、それ以上の回転が規制される。さらに、この状態から固定ねじを締め付けると、固定金具14aがケース7側(図2中の下側)に移動することで配線ダクトがケース7の上面と固定金具14aとの間で挟持され、ケース7が配線ダクトに取り付けられる。尚、この時、各給電端子9aは、配線ダクト内の対応する電源供給部とそれぞれ接触し、電気的に接続される。
【0019】
次に、支持アーム5は、図1〜図3に示すように略L字状のアーム部5cを有し、アーム部5cの一端側(図3中の上端側)には、ケース7の下面中央に設けた軸受部(図示せず)に軸支される回転軸部5aが設けられ、アーム部5cの他端側(図3中の下端側)には、セード1の側壁に設けた軸受部1aに挿通されてセード1を軸支する回転軸部5bが設けられている。尚、支持アーム5の回転軸部5b内には、ねじ込み式のランプソケット12が取り付けられており、このランプソケット12にランプ3の口金部3cを側方からねじ込むことでランプ3がランプソケット12に装着され、ランプソケット12の各電極とランプ3の対応する電極とがそれぞれ電気的に接続されるようになっている。また、支持アーム5内には電源線(図示せず)が配線されており、この電源線を介して安定器8の出力端子8bとランプソケット12の対応する電極とがそれぞれ電気的に接続されるようになっている。ここに、ケース7と支持アーム5とで取付部が構成されている。
【0020】
而して、本実施形態の照明器具Aでは、セード1及び支持アーム5が、回転軸部5a回り(図2中の矢印D方向)に回転自在となっており、またセード1が、回転軸部5b回り(図2中の矢印E方向)に回転自在となっている。
【0021】
次に、照明器具Aの組立手順について図1〜図4に基づいて説明する。尚、本説明において、安定器8は予めケース7内に収納されており、また安定器8とランプソケットとの間は電源線により接続されているものとする。
【0022】
まず、反射面2cを前面側に向けた状態で反射鏡2を前面側からセード1の収納凹部1b内に収納するとともに、固定ばね6をセード1の嵌合溝1eに嵌合させて反射鏡2をセード1に固定する。その後、前面枠4を前面側からセード1の開口部に填め込むとともに、セード1に対して前面枠4を回転させ、前面枠4をセード1に嵌着させる。次に、回転軸部5b内に設けたランプソケット12に側方からランプ3を装着し、その後、支持アーム5の回転軸部5aをケース7の下面中央に設けた軸受部に軸支するとともに、回転軸部5bをセード1の軸受部1aに軸支すると、照明器具Aの組み立てが完了する。尚、この時、ランプ3は、ランプ軸(図1(a)中の左右方向の軸)が反射鏡2の反射面2cを形成する放物面の開口面と略平行となるように配置される。また、ランプ3は、上記放物面を形成する放物線の対称軸Yが略水平となるようにセード1を回転配置した状態(すなわち、図2の状態)において、上記放物面の焦点に発光管3aの下端部Pが位置するように配置される(図1(b)参照)。
【0023】
ここで、本実施形態の照明器具Aの照明方向を調整する方法について説明する。まず、照明方向を垂直軸回りに調整する場合には、セード1及び支持アーム5を、支持アーム5の回転軸部5a回り(図2中の矢印D方向)に回転させると、セード1の向きが変化し、垂直軸回りの照明方向が所望の向きに調整される。また、照明方向を水平軸回りに調整する場合には、セード1を、支持アーム5の回転軸部5b回り(図2中の矢印E方向)に回転させると、セード1の回転に伴って反射鏡2の向きが変化し、水平軸回りの照明方向が所望の向きに調整される。而して、本実施形態の照明器具Aでは、セード1及び支持アーム5を回転させることによって、ランプ3の照明方向を所望の方向に容易に設定することができる。
【0024】
本実施形態の照明器具Aでは、放物面を形成する放物線の対称軸Yが略水平となるようにセード1を回転配置した状態において、反射面2cを形成する放物面の焦点に発光管3aの下端部Pが位置するようにランプ3を配置しているので、発光管3aの下端部Pから照射される黄色味を帯びた光は、反射鏡2の反射面2cで略水平方向に反射されることになり(図1(b)中の矢印C)、発光管3aの他の部位から照射され反射面2cで斜め方向に反射される光により黄色味が緩和されるから、発光管3aから照射される光の色味を略均一にすることができ、したがって色ムラを低減させた照明器具Aを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の照明器具を示し、(a)は正面図、(b)はX−X断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は同上に用いられる反射鏡をセードに取付ける手順を示す説明図である。
【図5】従来例の照明器具を示し、(a)は正面図、(b)はX−X断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 セード
2 反射鏡
2c 反射面
3 ランプ(メタルハライドランプ)
3a 発光管
12 ランプソケット
A 照明器具
Y 対称軸
P 下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面の少なくとも一部が、放物線を対称軸回りに回転させてできる放物面からなる反射鏡と、メタルハライドランプが装着され当該メタルハライドランプのランプ軸が前記放物面の開口面と略平行になるように配設されるランプソケットと、被取付部に取り付けられる取付部と、反射鏡及びランプソケットが内装され、前記ランプ軸を回転中心として前記取付部に回転自在に支持されるセードとを備え、前記放物面を形成する放物線の前記対称軸が略水平となるように前記セードを回転配置した状態において、反射面を形成する前記放物面の焦点にメタルハライドランプの下端部が位置するように前記メタルハライドランプを配置したことを特徴とする照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−110726(P2009−110726A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279491(P2007−279491)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】