説明

照明器具

【課題】組立作業性を向上させるとともに外観を向上させた照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具は、前面側が開口する横長箱状のボディ1と、後面側が開口しボディ1の前面側に被着される横長箱状のカバー2と、カバー2の長手方向両端部に設けた開口部2cを通して前面側に露出したランプソケット5に装着され、カバー2の前面側に配設される直管型の蛍光ランプ4と、蛍光ランプ4の前側及び下側を覆うようにカバー2に取着される横長の略L字状のセード3とを備えている。セード3は複数の分割セード3aを連結して構成され、隣接する分割セード3a、3aの間は連結金具6により一体的に連結固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数に分割された分割セードを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、隣接するカバー間に配置されて下側から両カバーを支持する支持カバーを用いた照明器具があった(例えば特許文献1参照)。この照明器具は、一直線上に配設された複数本の直管型ランプを有し、各直管型ランプの下側には透光性のカバーがそれぞれ配設されている。また、隣接するカバーとカバーの間には支持カバーが配設されるとともに器具本体に固定されており、各カバーは支持カバーによりそれぞれ支持されている。
【特許文献1】実開平7−16315号公報(段落[0011]、及び、第5、6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1に示した照明器具では、カバー自体は器具本体に固定されていないため、カバーを取付ける際にカバーを保持した状態で支持カバーを器具本体に固定する必要があり、照明器具の組立作業性が悪かった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、組立作業性を向上させるとともに外観を向上させた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、直管型のランプを保持する器具本体と、ランプの発光面に対向するように器具本体に取着されるセードとを備え、当該セードは複数の分割セードを連結して構成され、隣接する分割セードと分割セードとの間に配設されて分割セード同士を一体的に連結固定する連結部材を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、連結部材は、セードの長手方向に垂直な断面の形状がセードに沿った形状に形成され、セードは、連結部材を長手方向に沿ってガイドするガイド部を有し、連結部材をガイド部にガイドさせた状態において、撓ませることによって発生するばね反力により連結部材をガイド部に弾接させる弾性ばね部を当該連結部材に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、各分割セードは、1本のランプに対応する長さ寸法に形成され、各分割セードにおいて、他の分割セードが連結されない場合に、他の分割セードが連結されない側の端部に装着されるエンドキャップを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、連結部材を用いることによって隣接する分割セード同士を一体的に連結固定することができるので、一体化させたセードを器具本体に取付けるだけでよく、セードの器具本体への取付作業性を向上させることができるという効果がある。
【0009】
請求項2の発明によれば、連結部材に弾性ばね部を設けており、この弾性ばね部を撓ませることによって発生するばね反力により連結部材を分割セードのガイド部に弾接させることができるので、隣接する分割セード同士を容易に連結固定することができ、分割セードの連結作業性を向上させることができるという効果がある。また、連結部材をセードの形状に沿った形状に形成しているので、分割セード同士を突き合わせる際に突合せズレを小さくすることができ、また分割セード間の隙間が連結部材により覆われているので、突合せ部分からの光漏れを抑えることができるという効果もある。
【0010】
請求項3の発明によれば、各分割セードにおいて、他の分割セードが連結されない場合に、他の分割セードが連結されない側の端部にエンドキャップを装着することによって、照明器具の外観を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。本発明に係る照明器具Aは、図2に示すように、例えば壁面7に取付けられ、上方を照明するための上面配光の照明器具として用いられる。
【0012】
照明器具Aは、前面側が開口する横長箱状のボディ1と、後面側が開口しボディ1の前面側に被着されるカバー2と、カバー2の前面側に配設される直管型の蛍光ランプ4と、蛍光ランプ4の前側及び下側を覆うようにカバー2に取着されるセード3とを備えている。
【0013】
ボディ1は、図2に示すように前面側が開口する横長箱状のボディ本体1aを有し、ボディ本体1aの長手方向両端側には、蛍光ランプ4が装着されるランプソケット5が装着面を前面側に向けた状態でそれぞれ配置されている。また、ボディ本体1a内には、蛍光ランプ4に点灯電力を供給するための点灯回路16及び端子台17が収納されており、壁面7の裏側に先行配線された電源線8がボディ本体1aの底面に設けた配線孔1cを通してボディ本体1a内に導入され、端子台17に接続されている。尚、点灯回路16の入力端子と端子台17の間は図示しない電線により接続されており、点灯回路16には電源線8を介して商用電源が供給される。点灯回路16の出力端子は、図示しない電線を介して各ランプソケット5に接続されており、蛍光ランプ4にはランプソケット5を介して点灯回路16から点灯電力が供給される。また、各ランプソケット5の内側位置には、カバー2を取付けるための固定ねじ10が螺合するねじ孔1dがそれぞれ設けられ、さらにボディ本体1aの底面において各ねじ孔1dよりも内側寄りには、ボディ1を壁面7に取付けるための固定ねじ(例えば、木ねじなど)9を挿通させる挿通孔1bがそれぞれ設けられている。
【0014】
カバー2は、図2に示すように後面側が開口する横長箱状であってボディ本体1aと略同寸法に形成されたカバー本体2aを有し、カバー本体2aの前面側には蛍光ランプ4の照射光を反射させる横長の反射面2bが設けられ、反射面2bの長手方向両端側にはカバー2をボディ1に取付けるための固定ねじ10を挿通させる挿通孔2eがそれぞれ設けられている。また、カバー本体2aの長手方向において反射面2bの両側には、各ランプソケット5を前面側に露出させるための開口部2cがそれぞれ設けられ、さらにカバー本体2aの長手方向両端縁には前面側に延出するカバー片2dがそれぞれ一体に設けられている。ここに、ボディ1とカバー2とで器具本体が構成されている。
【0015】
蛍光ランプ4は、図2に示すように直管状の発光管4aを有し、発光管4aにおいて両端寄りの外側面にはランプピン(図示せず)を側方に突出させた口金4bがそれぞれ設けられている。この蛍光ランプ4は、各口金4bをそれぞれ対応するランプソケット5に装着することで器具本体に取付けられる。
【0016】
セード3は、複数(図2では2枚)の分割セード3aを連結金具(連結部材)6により連結して構成されている。
【0017】
分割セード3aは、例えば金属製であって、図1及び図2に示すように横長の略矩形板状の主片3bと、主片3bの幅方向一端側の端縁から主片3bと略直交する方向に延出する側片3cとで略L字状に折曲形成されている。また、主片3b及び側片3cの長手方向に沿う端縁には、略L字状に折曲形成されたガイド片3dがそれぞれ一体に設けられており、主片3bとガイド片3dの間、及び、側片3cとガイド片3dの間にはガイド溝3eがそれぞれ形成されている。尚、各ガイド溝3eは、後述する連結金具6を挿通できるように連結金具6の板厚よりもわずかに大きい幅寸法に設定されている。ここに、ガイド片3dとガイド溝3eとでガイド部が構成されている。
【0018】
さらに、分割セード3aの長手方向両端側には、連結金具6の位置決めをするための位置決め金具12がそれぞれ取付けられている。この位置決め金具12は、分割セード3aの主片3bの幅方向に沿って配設される主片12aと、分割セード3aの側片3cの幅方向に沿って配設される側片12fとで略L字状に形成されており、主片12a及び側片12fには略コ字状の突部12b、12cがそれぞれ突設されている。また、突部12b、12cの中央部には、固定ねじ14が螺合するねじ孔12d、12eがそれぞれ設けられている。
【0019】
連結金具6は、図3(a)に示すように略矩形板状の主片6aと、主片6aの長手方向一端側の端縁から主片6aと略直交する方向に延出する側片6bとで略L字状に折曲形成されている。また、主片6aにおいて幅方向一端側の側片6b寄りには、略矩形状の弾性ばね片(弾性ばね部)6cが切り起こしにより形成されており、弾性ばね片6cには固定ねじ13が螺合するねじ孔6dが設けられている。この弾性ばね片6cは、図3(b)に示すように主片6aに対して斜め上方に折り曲げられ、さらに先端部が主片6aと略平行となるように折り曲げられている。尚、連結金具6は、上述した分割セード3aに沿った形状(すなわち、主片3b及び側片3cに沿った形状)に形成されている。
【0020】
ここで、隣接する分割セード3aを連結金具6を用いて連結固定する手順について図1及び図4に基づいて説明する。まず、一方(図1(a)の左側)の分割セード3aの各ガイド溝3e内に連結金具6の主片6a及び側片6bの端縁をそれぞれ差し込み、連結金具6をガイド溝3eに沿って左方向(図1(a)中のB方向)にスライドさせ、位置決め金具12に連結金具6の左側面を当接させる。次に、他方(図1(a)の右側)の分割セード3aの各ガイド溝3e内に連結金具6の主片6a及び側片6bの反対側の端縁をそれぞれ差し込み、右側の分割セード3aを左方向(図1(a)のC方向)にスライドさせ、位置決め金具12に連結金具6の右側面を当接させる。その後、弾性ばね片6cのねじ孔6dに固定ねじ13を螺挿すると、図4(a)に示すように固定ねじ13の先端部が分割セード3aの主片3bの上面に当接し、さらに固定ねじ13を螺挿すると弾性ばね片6cが上方に移動する。この時、弾性ばね片6cのばね反力により連結金具6の右側の部位は下方(図4(a)中のE方向)に付勢され、一方、連結金具6の左側の部位は主片6aと弾性ばね片6cの連結部位を支点として上方(図4(a)中のF方向)に付勢される。而して、連結金具6は、右側の分割セード3aに対しては固定ねじ13により押圧固定され、左側の分割セード3aに対しては上方(図4(b)中のG方向)への付勢力により主片6a及び側片6bの端縁がそれぞれ対応するガイド片3dに弾接し固定される。すなわち、連結金具6により左右両側の分割セード3aが一体的に連結固定されるのである。
【0021】
したがって、本実施形態において、連結金具6を用いることによって隣接する分割セード3a同士を一体的に連結固定することができるので、一体化させたセード3を器具本体(ボディ1及びカバー2)に取付けるだけでよく、セード3の器具本体への取付作業性を向上させることができる。また、連結金具6に設けた弾性ばね片6cに固定ねじ13を螺挿して撓ませることによって発生するばね反力により連結金具6に付勢力を与え、連結金具6の端縁を分割セード3aのガイド部(ガイド片3d)に弾接させることができるので、隣接する分割セード3a同士を容易に連結固定することができ、分割セード3aの連結作業性を向上させることができる。さらに、連結金具6を各分割セード3aのガイド溝3e内に差し込む際には、弾性ばね片6cを撓めていないので、連結金具6を小さい力でガイド溝3e内に差し込むことができる。また、連結金具6をセード3(分割セード3a)の形状に沿った形状に形成しているので、分割セード3a同士を突き合わせる際に突合せズレを小さくすることができ、また分割セード3a間の隙間が連結金具6により覆われているので、突合せ部分からの光漏れを抑えることができる。
【0022】
ここで、各分割セード3aにおいて、他の分割セード3aが連結されない場合には、図5に示すように他の分割セード3aが連結されない側の端部にエンドキャップ13を装着することで照明器具Aの外観を向上させることができる。このエンドキャップ13は、例えば合成樹脂成形品であって、分割セード3aの主片3bの幅方向に沿って配設される主片13aと、分割セード3aの側片3cの幅方向に沿って配設される側片13bとで略L字状に形成され、主片13a及び側片13bの中間位置には側方に突出する接続片13c、13dがそれぞれ一体に設けられている。また、接続片13c、13dの先端側には、固定ねじ14の先端部が係合する係合溝13eがそれぞれ形成されている。一方、分割セード3a側には、位置決め金具12の突部12bと主片3bの間、及び、突部12cと側片3cの間に接続片13c、13dが挿入される挿入凹部15がそれぞれ設けられている。
【0023】
このエンドキャップ13を分割セード3aに取付ける場合には、分割セード3aに対してエンドキャップ13を右方向(図5(a)中のH方向)にスライドさせ、接続片13c、13dをそれぞれ対応する挿入凹部15内に挿入する。その後、固定ねじ14を突部12b、12cのねじ孔12d、12eにそれぞれ螺挿すると、固定ねじ14の先端部が接続片13c、13dの係合溝13eとそれぞれ係合し、図5(b)に示すようにエンドキャップ13が分割セード3aに取付けられる。尚、この状態において主片13a及び側片13bの端縁部分がそれぞれ対応するガイド溝3e内に挿入されている。
【0024】
また、逆に固定ねじ14を緩めると、固定ねじ14の先端部と係合溝13eとの係合状態が解除され、エンドキャップ13を左方向(図5(a)中のH方向と反対方向)にスライドさせることで、エンドキャップ13を容易に取り外すことができる。尚、各分割セード3aは、組立前の状態では長手方向両端部にエンドキャップ13がそれぞれ装着されており、他の分割セード3aを連結する際には、他の分割セード3aが連結される側の端部のエンドキャップ13を取り外して連結金具6を取付けることになるが、エンドキャップ13及び連結金具6はそれぞれ容易に着脱することができるので、エンドキャップ13と連結金具6との間の付け替えを容易に行うことができる。
【0025】
次に、照明器具Aの組立手順について図2に基づいて説明する。まず、ボディ1の各挿通孔1bにそれぞれ固定ねじ9を挿通するとともに、各固定ねじ9を壁面7にねじ込みボディ1を壁面7に固定する。この時、電源線8を配線孔1cを通してボディ1内に導入し、端子台17に接続する。次に、前面側からカバー2をボディ1に被着し、固定ねじ10を挿通孔2eに挿通するとともにボディ1に設けたねじ孔1dに螺合してカバー2をボディ1に取付ける。この状態において各ランプソケット5は、開口部2cを通して前面側に露出している。さらに、前面側から蛍光ランプ4の各口金4bを対応するランプソケット5に装着して蛍光ランプ4を器具本体に取付ける。最後に、固定ねじ11をセード3に設けた取付金具(図示せず)に挿通するとともにカバー2に設けたねじ孔(図示せず)に螺合させると、セード3がカバー2に取付けられ、照明器具Aの組立が完了する。尚、組立状態において照明器具Aの長手方向両端側は、カバー2のカバー片2dにより閉塞されており、長手方向両端部からの光漏れを防止している。
【0026】
上述した照明器具Aでは、1本の蛍光ランプ4に対して複数(本実施形態では2枚)の分割セード3aを用いた場合を例に説明したが、各分割セード3aを1本の蛍光ランプ4に対応する長さ寸法に形成し、一直線上に配設された複数の蛍光ランプ4に対してそれぞれ分割セード3aを対応させた照明器具であってもよい。この場合も上述した照明器具Aと同様に、連結金具6を用いることによって隣接する分割セード3a同士を一体的に連結固定することができるので、一体化させたセード3を器具本体に取付けるだけでよく、セード3の器具本体への取付作業性を向上させることができる。また、分割セード3aにおいて、他の分割セード3aが連結されない場合に、他の分割セード3aが連結されない側の端部にエンドキャップ13を装着することによって、照明器具の外観を向上させることができる。
【0027】
尚、本実施形態では、2枚の分割セード3aを用いた場合を例に説明したが、分割セード3aの枚数は本実施形態に限定されるものではなく、適用する照明器具の大きさなどに応じて適宜変更してもよい。また、セード3の材料についても金属製のものに限定されるものではなく、また透光性を有するものであってもよい。さらに、セード3の形状についてもL字型のものに限定されるものではなく、例えば横長の板状のセードを用い、上下配光の照明器具としてもよい。また、連結金具6の形状についても本実施形態に限定されるものではなく、セードの形状に合わせて適宜設計すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)、(b)は本実施形態の照明器具に用いられる分割セードと連結金具とを連結固定する手順を説明する説明図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上に用いられる連結金具を示し、(a)は斜視図、(b)はD方向から見た正面図である。
【図4】(a)、(b)は同上に用いられる分割セードと連結金具との連結状態を説明する説明図である。
【図5】(a)、(b)は同上に用いられるエンドキャップを分割セードに装着する手順を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ボディ
2 カバー
3 セード
3a 分割セード
4 蛍光ランプ
6 連結金具(連結部材)
A 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管型のランプを保持する器具本体と、ランプの発光面に対向するように器具本体に取着されるセードとを備え、当該セードは複数の分割セードを連結して構成され、隣接する分割セードと分割セードとの間に配設されて分割セード同士を一体的に連結固定する連結部材を設けたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
連結部材は、セードの長手方向に垂直な断面の形状がセードに沿った形状に形成され、セードは、連結部材を長手方向に沿ってガイドするガイド部を有し、連結部材をガイド部にガイドさせた状態において、撓ませることによって発生するばね反力により連結部材をガイド部に弾接させる弾性ばね部を当該連結部材に設けたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
各分割セードは、1本のランプに対応する長さ寸法に形成され、各分割セードにおいて、他の分割セードが連結されない場合に、他の分割セードが連結されない側の端部に装着されるエンドキャップを設けたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−4187(P2009−4187A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163055(P2007−163055)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】