説明

照明器具

【課題】天井や壁面に照明器具の器具本体200を固定する際、ネジ102を保持して固定作業を補助する。
【解決手段】ネジ孔220の両脇にネジ102を挟持するリブ210を備える。「く」の字形状である各リブ210は、ネジ頭部102aの直径よりやや広い間隔で器具本体200に接合され、屈折部分である挟持部212がネジ胴体部102bの直径よりやや狭い間隔を空けて位置する。(a)ネジ102がネジ孔220に締め込まれる前、各リブ210は互いの挟持部212でネジ102を挟持する。(b)ネジ102がネジ孔220に締め込まれるとき、各リブ210の挟持部212はネジ頭部102aにより押し広げられる。(c)さらに、ネジ102が締め込まれるとネジ頭部102aは押し広げた挟持部212を通過して器具本体200の胴部211の間に収まり、器具本体200は壁101に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、天井または壁面に取り付けられる照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、照明器具は木ねじで天井または壁面に取り付けられ、その木ねじは照明器具に同梱される。その際、木ねじは袋に入れられて照明器具本体にテープで固定されたり、照明器具本体にテープで直接固定されたりしている。
特許文献1では木ねじを天井または壁面にねじこむ際、木ねじを保持する保持部品をねじ孔に挿通して木ねじのねじこみ作業を補助するが、挿通された保持部品の先が天井または壁面に当たって押し出され、保持部品がねじ孔から抜けてしまい、保持部品により木ねじを保持できない場合も考えられる。
【特許文献1】実用新案登録第2546047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術では、木ねじを袋に入れる作業や木ねじをテープで固定する作業が発生する。また、梱包された照明器具の輸送時の振動や照明器具の保管時の熱によってテープが剥れたりして木ねじが紛失する可能性もある。また、部品点数が多い。
さらに、保持部品がねじ孔から抜けてしまった際に木ねじが紛失する可能性もある。
【0004】
本発明は、例えば、木ねじを天井または壁面にねじこむ作業の際に、木ねじを保持して作業を補助できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の照明器具は、ネジ孔を有する器具本体と、前記ネジ孔の周囲で前記器具本体と接合すると共に前記ネジ孔の周囲に立設する複数の立設片であり前記ネジ孔に締め込められるネジを互いに挟んで支持する複数の立設片とを備える。
前記複数の立設片は、前記器具本体と接合した部分の互いの間隔が前記ネジのネジ頭部径以上である。
前記複数の立設片は、互いの先頭部の間隔が前記ネジのネジ胴体部径以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば、木ねじを天井または壁面にねじこむ作業の際に、木ねじを保持して作業を補助することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
照明器具を木ねじで天井に取り付ける形態について説明する。
【0008】
図1は、実施の形態1における照明器具100の半断面図である。
実施の形態1における照明器具100の構成について、図1に基づいて以下に説明する。
【0009】
照明器具100は、器具本体200と器具本体200に取り付けられて内部を覆うガラスグローブ110とを備える。
器具本体200とガラスグローブ110とは互いに嵌め合う螺旋状の凸部(202、111)を有し、ガラスグローブ110は器具本体200に回し込まれる。
断面図部分(図左側)に示すように、照明器具100の内部ではランプ120がソケット130に取り付けられている。ソケット130は、器具本体200のソケット取付口201に取り付けられている。器具本体200とガラスグローブ110との取り付け部分にはパッキン103が設けられている。また、器具本体200は、天井(または、側壁面)の壁101に木ねじ(以下、「ネジ102」と記す)で取り付けられる。
器具本体200は、ネジ102がネジ孔220から壁101に締め込められる際にネジ102を支持してネジ102の締め込み作業を補助するリブ210(立設片の一例)を備える。
【0010】
図2は、実施の形態1における器具本体200の底面図であり、器具本体200を図1のA方向(壁101側)から見た図である。
図2において、器具本体200を壁101に固定するネジ102は裏側からネジ孔220に挿通される。
【0011】
図3は、実施の形態1における器具本体200の平面図であり、器具本体200を図1のB方向(ガラスグローブ110側)から見た図である。
図3に示すように、ネジ102を支持するリブ210がネジ孔220の外周に沿って2組ずつ計4組設けられている。
2つ1組のリブ210は、対面する位置に設けられ、ネジ102を前後から挟んで支持する。
ネジ102は、リブ210が位置する各ネジ孔220の4か所から適宜選択された部分に締め込まれる。例えば、ネジ102は、図示するように、各ネジ孔220の外側部分に1本ずつ締め込まれる。また例えば、ネジ102は、各ネジ孔220の内側部分に1本ずつ、一方のネジ孔220の外側部分と他方のネジ孔220の内側部分とに1本ずつ又は各ネジ孔220に2本ずつ締め込まれる。
【0012】
図4は、実施の形態1におけるネジ102の締め込み動作を示す図である。
実施の形態1におけるネジ102の締め込み動作について、図4に基づいて以下に説明する。
【0013】
図4は、ネジ102の締め込み前(a)、ネジ102の締め込み途中(b)およびネジ102の締め込み後(c)について、図3のC−C線断面を示している。
【0014】
以下、ネジ102について、ドライバー(ネジ締め工具)が差し込まれる螺子山部分を「ネジ頭部102a」、螺子切りされた部分を「ネジ胴体部102b」という。
【0015】
各リブ210(立設片の一例)は、ネジ孔220の中心からの距離がネジ頭部102aの半径よりやや離れている位置を器具本体200との接合点として、器具本体200から立設している。つまり、各リブ210は、器具本体200との接合点の互いの間隔がネジ頭部102aの直径よりやや広い。これにより、図4(c)に示すように、締め込まれたネジ102のネジ頭部102aが各リブ210の胴部211の間に収まる。
また、各リブ210が最も近づく部分(後述する挟持部212[先頭部])は、図4(c)に示すように、ネジ孔220の中心からの距離がネジ胴体部102bの半径よりやや近い地点に位置する。つまり、各リブ210は、最も狭い互いの間隔(挟持部212の間隔)がネジ胴体部102bの直径よりやや狭い。これにより、図4(a)に示すように、各リブ210の間でネジ102が挟持される。
各リブ210は、弾性のある金属などでできた弾性部材である。
【0016】
図4(a)に示すように、ネジ孔220に締め込まれる前のネジ102は、2つのリブ210の間に差し込まれて前後から挟まれ、ネジ孔220に対して垂直な直立の状態で仮保持される。これにより、ネジ102を手で支える必要が無いため、ネジ102の締め込み作業が容易になる。例えば、作業者は、片方の手で器具本体200を壁101に押し当てて保持し、他方の手でドライバーを操作することにより、一人でネジ102を締め込むことができる。
【0017】
各リブ210それぞれの形状は、「く」の字形状、「へ」の字形状または不等号記号の形状を成す。以下、各リブ210それぞれの形状を「く」の字形状として説明する。各リブ210は、「く」の字形状の背側(突側)で対向し、メガフォンの中心軸を通る断面の形状(以下、「メガフォン断面形状」という)を呈する。各リブ210は、メガフォン断面形状の広口部側でネジ孔220の周囲に接合する。そして、各リブ210は、「く」の字状の屈折部であり、メガフォン断面形状の絞り部である部分(挟持部212)でネジ102のネジ胴体部102bを挟持する。
【0018】
以下、リブ210について、メガフォン断面形状の広口部を「胴部211」、メガフォン断面形状の絞り部を「挟持部212」、メガフォン断面形状の口当て部を「受入部213(先頭部)」という。
【0019】
各リブ210の挟持部212は、締め込み前のネジ102のネジ胴体部102bに接してネジ胴体部102bを前後から挟持する(図4(a))。
ネジ102が締め込まれると挟持部212から外側に傾斜している受入部213(傾斜部)にネジ頭部102aが接し、ネジ102が受入部213に沿って挟持部212に向かって移動することによりリブ210の受入部213が押し広げられ互いの挟持部212の間隔が開く(図4(b))。
さらに締め込まれたネジ102は、ネジ頭部102aが間隔の開いた器具本体200の挟持部212を通過して器具本体200の胴部211の間に収まり、器具本体200を壁101に固定する(図4(c))。
【0020】
図5は、実施の形態1における器具本体200の断面図であり、図3のD−D線断面を示す図である。
図4(a)で説明したネジ102の締め込み前の状態を図5(a)に示し、図4(c)で説明したネジ102の締め込み後の状態を図5(b)に示す。
【0021】
実施の形態1において以下のような照明器具100について説明した。
照明器具本体の取付用孔(ネジ孔220)の周囲に、木ねじの頭部径よりやや広い位置から垂直方向へ立ち上がり、その先端(挟持部212)が木ねじのネジ部(ネジ胴体部102b)よりやや狭めになる様なリブ210が、照明器具本体と一体成形される。
【0022】
各リブ210はネジ102を挟持して直立に保持できれば良く、各リブ210の形状は「く」の字形状に限られない。
【0023】
図6は、実施の形態1におけるリブ210の形状例を示す図である。
例えば、各リブ210それぞれの形状は、胴部211に直立部分を有する数式記号の「ルート」形状(図6(a))、挟持部212が平坦である「く」の字形状(図6(b))または複数の挟持部212を有するギザギザの「のこぎり刃」の形状(図6(c))でもよい。
【0024】
1組のリブ210の数は2つに限られず、ネジ102を支持する方向はネジ102の前後に限られない。
【0025】
図7は、実施の形態1におけるリブ210の配置例を示す図である。
例えば、図7(a)に示すように、3つのリブ210をネジ孔220の長穴両端部それぞれに配置し、3つのリブ210で1つのネジ102を3方向から支持してもよい。
また例えば、図7(b)に示すように、4つ以上のリブ210をネジ孔220の円周上に配置し、4つ以上のリブ210で1つのネジ102を支持してもよい。
【0026】
実施の形態1における照明器具100は、各ネジ102を各リブ210に挟持させて梱包することができるため、ネジ102を袋詰めしたり、ネジ102をテープで器具本体200に接着したりする手間が省け、梱包作業が簡易である。
また、ネジ102が詰められた袋が破れたり、ネジ102を器具本体200に接着するテープが剥れたりすることにより、ネジ102が紛失することもない。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態1と異なるリブ210の形態について説明する。
リブ210以外の照明器具100の構成は実施の形態1と同じである。
【0028】
図8は、実施の形態2におけるリブ210の形態を示す図である。
実施の形態2におけるリブ210の形態について、図8に基づいて以下に説明する。
図8は、図3のE方向から見たリブ210を示している。
【0029】
リブ210は器具本体200と接合する根元部分に溝が付けられ根元部分が細く、リブ210の正面の形状は立木形状、キノコ形状またはろうそく形状になっている。リブ210は、根元部分が細く加工されているため、根元部分で折り易い。以下、リブ210の根元部分を「折部214」(溝付き部の一例)という。
【0030】
図9は、実施の形態2におけるネジ102の締め込み動作を示す図である。
実施の形態2におけるネジ102の締め込み動作について、図9に基づいて以下に説明する。
【0031】
図9は、図4と同様に、ネジ102の締め込み前(a)、ネジ102の締め込み途中(b)およびネジ102の締め込み後(c)について、図3のC−C線断面を示している。
【0032】
各リブ210は、実施の形態1と同じく、器具本体200との接合点の互いの間隔がネジ頭部102aの直径よりやや広く、互いの挟持部212の間隔がネジ胴体部102bの直径よりやや狭い。
【0033】
各リブ210は、側面において「ハ」の字形状を呈する。
【0034】
各リブ210の折部214は、胴部211に比べて薄く加工され、折り易い。
【0035】
各リブ210の挟持部212は、締め込み前のネジ102のネジ胴体部102bに接してネジ胴体部102bを前後から挟持する(図9(a))。
ネジ102が締め込まれると各リブ210はネジ頭部102aにより押し下げられ、折部214で折れ曲がる(図9(b))。
さらにネジ102が締め込まれると各リブ210は折部214で折れ、ネジ頭部102aは折れ残った折部214の間に収まり、器具本体200は壁101に固定される(図9(c))。
【0036】
各リブ210の折部214は、折れた際に器具本体200から取れても構わない。
【0037】
また、実施の形態1の図7と同じく、3つ以上のリブ210でネジ102を支持してもよい。
【0038】
実施の形態2において以下のような照明器具100について説明した。
照明器具本体の取付用孔(ネジ孔220)の周囲に、木ねじの頭部径よりやや広い位置から垂直方向へ立ち上がり、その先端(挟持部212)は木ねじのネジ部(ネジ胴体部102b)よりやや狭く、根元に折れ溝が付いたリブ210が、照明器具本体と一体成形される。
【0039】
実施の形態2における照明器具100は、実施の形態1と同じく、梱包作業が簡易であり、ネジ102の紛失を抑止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1における照明器具100の半断面図。
【図2】実施の形態1における器具本体200の底面図。
【図3】実施の形態1における器具本体200の平面図。
【図4】実施の形態1におけるネジ102の締め込み動作を示す図。
【図5】実施の形態1における器具本体200の断面図。
【図6】実施の形態1におけるリブ210の形状例を示す図。
【図7】実施の形態1におけるリブ210の配置例を示す図。
【図8】実施の形態2におけるリブ210の形態を示す図。
【図9】実施の形態2におけるネジ102の締め込み動作を示す図。
【符号の説明】
【0041】
100 照明器具、101 壁、102 ネジ、102a ネジ頭部、102b ネジ胴体部、103 パッキン、110 ガラスグローブ、111 凸部、120 ランプ、130 ソケット、200 器具本体、201 ソケット取付口、202 凸部、203 突片、210 リブ、211 胴部、212 挟持部、213 受入部、214 折部、220 ネジ孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ孔を有する器具本体と、
前記ネジ孔の周囲で前記器具本体と接合し、前記ネジ孔の周囲に立設し、前記器具本体と接合した部分の互いの間隔がネジのネジ頭部径以上であり、互いの先頭部の間隔が前記ネジのネジ胴体部径以下であり、前記ネジを互いに挟んで支持する複数の立設片と
を備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記複数の立設片は、前記先頭部に、
前記ネジ胴体部を挟持する挟持部と、
前記挟持部から外側に傾斜する傾斜部と
を有することを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記複数の立設片は、前記ネジのネジ頭部が前記傾斜部に沿って前記挟持部に向かって移動することにより、互いの前記挟持部の間隔が開く弾性部材である
ことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記複数の立設片は、くの字状である二片を含み、前記二片がくの字状の背側で対向してくの字状の屈折部て前記ネジのネジ胴体部を挟持する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記複数の立設片は、メガフォンの中心軸を通る断面の形状を呈する二片を含み、前記二片がメガフォンの中心軸を通る断面の形状の広口部側で前記ネジ孔の周囲に接合すると共にメガフォンの中心軸を通る断面の形状の絞り部で前記ネジのネジ胴体部を挟持する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の照明器具。
【請求項6】
前記複数の立設片は、溝が付けられた溝付き部を根元に有する
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
前記複数の立設片は、前記先頭部で前記ネジ胴体部を挟持し、前記ネジのネジ頭部により前記先頭部が押し下げられて前記溝付き部で折れる
ことを特徴とする請求項6記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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