説明

照明器具

【課題】蛍光ランプ及び有機ELを光源として備えた照明器具であって、有機ELが発する熱によって、蛍光ランプの点灯回路に加えられる負担を小さく抑えることのできる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具1は、環状を呈する蛍光ランプ11,12と、環状を呈し、蛍光ランプ11,12と中心を一致させて配置される有機EL13と、蛍光ランプ11,12及び有機EL13を点灯させるための点灯回路14と、蛍光ランプ11,12、有機EL13、点灯回路14が固定される板金10とを有している。有機EL13は、蛍光ランプ11,12よりも下方に配置されて、蛍光ランプ11,12と高さ方向に離隔している。点灯回路14は、有機EL13の環中心に配置されて、有機EL13と水平方向に離隔している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、より詳細には、蛍光ランプ及び有機EL(Electro Luminescence)を光源として備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、蛍光ランプを備えた家庭用の照明器具として、蛍光ランプを全光状態の5%から10%まで調光可能な照明器具が普及している。
【0003】
この種の照明器具では、一般に、インバータ回路の高周波出力により蛍光ランプを高周波点灯させ、このインバータ回路の出力を変化させることにより、蛍光ランプを調光させるようになっている。
【0004】
また、特許文献1には、有機ELパネルを主光源として備えた照明器具が開示されている。図3は、特許文献1に示される照明器具100を下から見た概略平面図である。
【0005】
特許文献1の照明器具100では、有機ELパネル101によってほぼ全体が構成されている。有機ELパネル101は、ガラス基板や、ガラス基板に積層される電極層・有機発光層・電極等を備えるものであって、中央に開口部102が形成されている。そして開口部102には、LEDやランプなどの発光素子が補助的な光源として配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−173424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の蛍光ランプを調光可能な照明器具では、蛍光ランプの明るさを最小レベルに落とすと、蛍光ランプのフィラメントに予熱電流が十分に流れないことで蛍光ランプが黒化することが懸念される。
【0008】
そこで上記の蛍光ランプの黒化を回避すべく、蛍光ランプを備えた照明器具に、調光が容易な有機ELを取り付けることが考えられる。しかしながら、有機ELを、蛍光ランプや有機ELの点灯回路に接近させて配置すると、有機ELが発する熱によって、点灯回路に大きな負担が加えられてしまう。
【0009】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、蛍光ランプ及び有機ELを光源として備えた照明器具であって、有機ELが発する熱によって、蛍光ランプや有機ELの点灯回路に加えられる負担を小さく抑えることのできる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る照明器具は、蛍光ランプと、前記蛍光ランプよりも下方に配置されることで、前記蛍光ランプと高さ方向に離隔する有機ELと、前記蛍光ランプ及び前記有機ELを点灯させるために設けられ、前記有機ELから離隔して配置される点灯回路と、前記蛍光ランプ、前記有機EL、及び前記点灯回路が固定される板金とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明器具によれば、点灯回路が有機ELから離隔して配置されることで、有機ELが発する熱によって、点灯回路に加えられる負担を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における照明器具の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における照明器具を下から見た概略平面図である。
【図3】特許文献1に示される照明器具を下から見た概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。図1は、本発明の実施の形態における照明器具1の斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態における照明器具1を下から見た概略平面図である。
【0014】
照明器具1は、板金10と、2つの蛍光ランプ11,12と、有機EL13と、蛍光ランプ11,12及び有機EL13を点灯させるための点灯回路14とを備え、蛍光ランプ11,12・有機EL13・点灯回路14は、板金10に固定されている。
【0015】
蛍光ランプ11,12と有機EL13とは、環状を呈しており、図2に示すように、蛍光ランプ11の径は、蛍光ランプ12の径に比して大きく、有機EL13の径は、蛍光ランプ11の径と同程度になっている。
【0016】
蛍光ランプ11,12と有機EL13とは、これらの中心を一致させて配置されている。点灯回路14は、有機EL13の環中心に配置されており、有機EL13から水平方向に離隔している。また、蛍光ランプ11と蛍光ランプ12とは同一の高さに配置され、また、有機EL13は、蛍光ランプ11,12よりも下方に配置されて、蛍光ランプ11,12から高さ方向に離隔している。
【0017】
上述のように構成された照明器具1は、広く普及する家庭用の照明器具と類似した外観を有している。
【0018】
すなわち、照明器具1は、環状の蛍光ランプと、これよりも下方に配置される環状のセードとを備えた既存の照明器具に対して外観上大差ないよう構成されたものであって、有機EL13を、蛍光ランプ11,12と同様に環状にして、蛍光ランプ11,12よりも下方に配置することで、有機EL13にセードと類似した外観を持たせている。
【0019】
点灯回路14は、高周波の出力を変化させることにより、蛍光ランプ11,12を調光させることができ、またPMW制御や電流調整などにより、有機EL13の調光を行うことができる。
【0020】
照明器具1では、蛍光ランプ11,12の黒化を回避するために、所定の照度を境として、点灯回路14によって調光される対象が切り替えられるようになっている。すなわち、蛍光ランプ11,12の全光状態の20%よりも明るい照明は、点灯回路14が蛍光ランプ11,12を調光することによって得られ、全光状態の20%よりも暗い照明は、点灯回路14が、有機EL13を調光することによって得られる。
【0021】
また、点灯回路14による制御により、蛍光ランプ11,12の点灯時に有機EL13は消灯するようになっており、この際、蛍光ランプ11,12から発させられる光が有機EL13を通過できるように、有機EL13は、消灯時に透明となる部材によって構成される。
【0022】
本実施形態によれば、有機EL13が点灯回路14から水平方向に離隔していることで、有機EL13が発する熱によって、点灯回路14に加えられる負担を小さく抑えることができる。
【0023】
また、有機EL13が、蛍光ランプ11,12から高さ方向に離隔していることで、蛍光ランプ11,12が発する熱によって、有機EL13の発光効率が低下することを小さく抑えることができる。
【0024】
また、有機EL13に、既存の照明器具のセードに類似した外観を持たせていることで、照明器具1は広く普及する既存の照明器具と大差のない外観を有している。これにより、使用者に違和感を与えることがない。
【0025】
本発明は、上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲において種々変更することができる。
【0026】
例えば、光による演出を可能とすべく、有機EL13を複数のパネルから構成して、点灯回路14によってパネル毎の調光が行われるようにしてもよい。
【0027】
また、有機EL13は、消灯時に半透明となる部材によって構成されてもよい。このようにすることで、有機EL13は、蛍光ランプ11,12の照明に対してセードとして機能するようになる。
【0028】
また、蛍光ランプ及び有機ELの形状は、上述した実施の形態に示す形状に限られない。
【0029】
例えば、蛍光ランプは、直管型の発光管によって構成されてもよいし、有機ELは円板状に形成されてもよい。有機ELを円板状に形成する場合には、点灯回路は、有機ELから高さ方向に離隔される。このようにすることで、有機ELが発する熱により、点灯回路14に加えられる負担を小さく抑えることができる。また、有機ELを円板状に形成する場合には、例えば、有機ELは、消灯時に透明となる部材によって構成される。このようにすることで、蛍光ランプから発せられた光が有機ELを透過するようになるため、有機ELが蛍光ランプの直下全体を覆っていたとしても、蛍光ランプの光によって室内等の空間を照明することができる。
【0030】
また、本発明の照明器具は、壁に固定するためのブラケット基台と、該ブラケット基台に取り付ける蛍光ランプとを備えたブラケット照明装置として構成されてもよい。この場合、ブラケット基台は有機ELによって構成され、スイッチのオン・オフ操作によって、蛍光ランプ及び有機ELの点灯が切り替えられ得る。
【0031】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0032】
本発明の観点に係る照明器具について、好ましくは、前記蛍光ランプ及び前記有機ELは、環状を呈して、互いの中心を一致させて配置され、前記点灯回路は、前記有機ELの環中心に配置されて、前記有機ELと水平方向に離隔することを特徴とする。
【0033】
好ましくは、前記点灯回路は、前記蛍光ランプ及び前記有機ELの調光を行うことができ、所定の照度よりも明るい照明は、前記点灯回路が前記蛍光ランプを調光することによって得られ、前記所定の照度よりも暗い照明は、前記点灯回路が、前記有機ELを調光することによって得られることを特徴とする。
【0034】
好ましくは、前記有機ELは、複数のパネルから構成され、前記点灯回路は、前記パネル毎に調光を行うことを特徴とする。
【0035】
好ましくは、前記有機ELは、消灯時に透明となる部材によって構成されることを特徴とする。
【0036】
またあるいは、前記有機ELは、消灯時に半透明となる材質によって構成されることを特徴とする。
【符号の説明】
【0037】
1 照明器具
10 板金
11,12 蛍光ランプ
13 有機EL
14 点灯回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光ランプと、
前記蛍光ランプよりも下方に配置されることで、前記蛍光ランプと高さ方向に離隔する有機ELと、
前記蛍光ランプ及び前記有機ELを点灯させるために設けられ、前記有機ELから離隔して配置される点灯回路と、
前記蛍光ランプ、前記有機EL、及び前記点灯回路が固定される板金とを有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記蛍光ランプ及び前記有機ELは、環状を呈して、互いの中心を一致させて配置され、
前記点灯回路は、前記有機ELの環中心に配置されて、前記有機ELと水平方向に離隔することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記点灯回路は、前記蛍光ランプ及び前記有機ELの調光を行うことができ、
所定の照度よりも明るい照明は、前記点灯回路が前記蛍光ランプを調光することによって得られ、前記所定の照度よりも暗い照明は、前記点灯回路が、前記有機ELを調光することによって得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記有機ELは、複数のパネルから構成され、
前記点灯回路は、前記パネル毎に調光を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記有機ELは、消灯時に透明となる部材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記有機ELは、消灯時に半透明となる材質によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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