説明

照明器具

【課題】 コスト面で有利であるとともに生産性の向上を図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】 照明器具10は、複数のLEDユニット13が設けられた回路基板12と、各LEDユニット13が露呈するように回路基板12を収容する器具本体11と、各LEDユニット13を覆うように器具本体11の表面に貼付された調光シート14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDユニットを光源として例えば天井施工面に取り付けられるスポットライトに適用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明器具の一例として、LEDユニットから照射された光を透過させるパネルを備え、照射光のうち少なくとも一部を所望の色温度の光に色変換させるための蛍光体をパネルに保持したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−218238号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された従来の照明器具では、LEDユニットから照射された青色光の一部が蛍光体により黄色光に変換され、青色光と黄色光とが混色された白色光を外部に照射させるようにしている。
しかし、上記特許文献1に開示された従来の照明器具では、蛍光体を保持しているパネルが枠体に取り付けられており、枠体に器具本体側からネジがねじ込まれることによりパネルが器具本体に取り付けられている。
そのため、上記特許文献1に開示された従来の照明器具では、異なる色温度による光の演出を行う場合、異なる光学的特性を有する蛍光体を保持したパネルを有する複数種類の枠体を用意しなければならない。
従って、上記特許文献1に開示された従来の照明器具では、複数種類の枠体を製造することにより製造コストが増大する虞があるばかりか生産ラインでの単一部品の組立を行い難く、さらに部品管理に多くの工数が必要となって生産性の向上を図ることが難しい。
【0005】
ところで、LEDユニットを保護するためのレンズを備えた照明器具がある。このような従来の照明器具においてレンズを単体で交換可能とした場合、LEDユニットを保護するためのパネルが必要になる。
従って、このような従来の照明器具では、効率の低下の虞があるとともに器具本体が複雑化してコスト面で不利になりうる。
【0006】
一方、LEDユニットを保護するためのレンズをLEDユニットに一体に構成した照明器具がある。このような従来の照明器具においてレンズを交換する場合、レンズとともにLEDユニットも交換することになる。
従って、このような従来の照明器具では、交換部品の単価が高額になってコスト面で不利になりうる。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コスト面で有利であるとともに生産性の向上を図ることができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明器具は、複数のLEDユニットが設けられた回路基板と、各LEDユニットが露呈するように回路基板を収容する器具本体と、各LEDユニットを覆うように器具本体の表面に貼付された調光シートとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明器具によれば、コスト面で有利であるとともに生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜め上方から視た外観斜視図
【図2】図1の照明器具の調光シート取付前の外観斜視図
【図3】図1の照明器具の一部破断側面図
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具の調光シート取付前の外観斜視図
【図5】図4の照明器具の一部破断側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態に係る照明器具について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態である照明器具10は、器具本体11と、複数のLEDユニット13が露呈するように器具本体11に収容された回路基板12と、各LEDユニット13を覆うように器具本体11の前面に貼り付けられた調光シート14と、を備えて不図示の天井施工面に取り付けられるスポットライトである。
図1、図2に示すように、器具本体11は、例えば絶縁性を有する硬質な樹脂材料を用いて円筒形状に形成されている。器具本体11は外周部に周板15を有し、前面(表面)に前面板16を有する。周板15の上部には上下角度変更兼回転角度変更用の照射方向可変ブラケット17を介して天井取付部材18が取り付けられている。天井取付部材18は天井施工面にネジ固定される。調光シート14は前面板16に貼り付けられる。
【0012】
図3に示すように、器具本体11には、前面板16において複数のLEDユニット13に相当する位置に凹状球面形状の反射板19が形成されている。反射板19の内面は例えばアルミニウムスパッタによる金属蒸着面になっている。そして、反射板19の上部にLEDユニット13が取り付けられている。LEDユニット13は回路基板12に実装されたLEDチップ20が反射板19に有する開口部21に配置されて器具本体11の内側に取り付けられている。回路基板12の上部には放熱用のヒートシンク22が熱的に接続されて取り付けられている。ヒートシンク22の上部には電源ユニット23が取り付けられている。電源ユニット23は、一方が外部の商用電源に電気的に接続されており、他方がLEDユニット13の回路基板12に有する不図示のプリント回路に電気的に接続されている。電源ユニット23はヒートシンク22を介してLEDユニット13から熱的に遮断されている。
【0013】
調光シート14は、例えば可撓性を有する樹脂材料を用いて予め定められた厚みを有して前面板16の外径寸法よりもわずかに小さい外径寸法の円板形状に形成されている。調光シート14はLEDユニット13のLEDチップ20からの光を光学的に制御して床面や室内に照射する機能を有する。調光シート14が有する光学的特性とは、偏光特性、調色特性、拡散特性、集光特性、減光特性のうち少なくとも一つである偏光特性および調色特性である。
【0014】
調光シート14が有する偏光特性とは、例えば30度の遮光角の設定である。この場合、遮光角が30度以下の光は遮光され、それ以外の光が床面や室内に向けて照射されることになる。そのため、照射される光の視野角を狭めることができるために、光が人の目に直接入り込まないようにしてグレアを防止することができる。
調光シート14が有する調色特性とは、例えば青色波長の光を発光するLEDチップ20を用いて、LEDチップ20からの青色光の一部を黄色の光に変換させ、青色光と黄色光とを混色させることにより白色光を創生することである。調色特性を有する調光シート14は、例えば3500K(ケルビン)の色温度、或いは3500Kに代えて2000K〜7000Kまでの間の任意の色温度を設定することができる。色温度は、昼光色Dが5700K〜7100Kに、昼白色Nが4600K〜5400Kに、白色Wが3900K〜4500Kに、温白色WWが3200K〜3700Kに、電球色Lが2600K〜3150Kに規定されている。
【0015】
調光シート14が有する拡散特性とは、LEDチップ20からの直接光および反射板19を介した反射光を屈折させることにより床面や室内に向けて拡散された光を創生することである。LEDチップ20は、その構造上、光の指向性が高く、高輝度であって低立体角の光源であるために強く細い光を発光する。そのため、調光シート14を介してLEDチップ20からの光を拡散させて床面や室内を照射させることにより人の目にやさしい光を得ることができる。
調光シート14が有する集光特性とは、LEDチップ20からの光を1か所または一方向に集めることである。
調光シート14が有する減光特性とは、LEDチップ20からの光の量を減少させて床面や室内に向けて照射することである。
調光シート14は、30度の遮光角に設定された偏光特性を有するとともに3500Kの色温度の調色特性を有して製造される。また、調光シート14は、30度以外の遮光角に設定された偏光特性を有するとともに3500K以外の色温度の調色特性を有して製造される。
【0016】
このような照明器具10では、同一構造の器具本体11が製造される。そして、照明器具10は、電源ユニット23が外部の商用電源に電気的に接続され、照射方向可変ブラケット17を介して天井取付部材18が天井施工面にネジ固定されることにより器具本体11が天井施工面に設置される。次に、30度の遮光角の偏光特性を有するとともに3500Kの色温度の調色特性を有する所望の調光シート14が粘着部材24により器具本体11の前面板16に貼り付けられる。このとき、調光シート14は、30度以外の遮光角の偏光特性、3500K以外の色温度の調色特性、拡散特性、集光特性、減光特性の少なくとも一つが設定されたものが選ばれても良い。
【0017】
照明器具10では、不図示の外部制御回路から電源ユニット23に商用電源が与えられることにより電源ユニット23により変換された直流電流がLEDユニット13の回路基板12のプリント回路に与えられる。そして、LEDユニット13のLEDチップ20が発光される。LEDチップ20からの光は直接光および反射板19を介した反射光となって調光シート14に入光される。調光シート14に入光された光は、遮光角が30度以下の光が遮光され、それ以外の光が床面や室内に向けて照射され、3500Kの色温度に設定されて床面や室内に向けて照射される。
【0018】
従って、この第1実施形態の照明器具10においては、LEDユニット13のLEDチップ20からの光の特性を設定するための調光シート14が粘着部材24により器具本体11の前面板16に貼り付けられる。
これにより、この第1実施形態の照明器具10においては、同一構造の器具本体11に所定の特性を有する調光シート14を単純に貼り付けるだけで任意の光学的特性を簡単に設定することができる。それ故、この第1実施形態の照明器具10においては、コスト面で有利であるとともに生産性の向上を図ることができる。
更に、この第1実施形態の照明器具10においては、器具本体11が天井施工面に設置された施工後に調光シート14が貼り付けられる。
これにより、この第1実施形態の照明器具10においては、施工後の配光調整を行うことができる。
【0019】
また、この第1実施形態の照明器具10においては、光源として紫外線のないLEDチップ20が適用される。
これにより、この第1実施形態の照明器具10においては、光源として例えばハロゲンランプやHIDランプ(High Intensity Discharge Lamp)を用いた場合に紫外線が多くなって前面温度が高くなるようなことがないために、調光シート14の品質を長期的に保障することができる。
そして、この第1実施形態の照明器具10においては、単一構造の器具本体11を用いて調光シート14により様々な被照射物や空間に合わせて異なる配光特性を設定できる。
これにより、この第1実施形態の照明器具10においては、従来、被照射物や空間に合わせて異なる配光特性を有する複数種類の照明器具を製造していた無駄を廃止して品種の削減を図ることができる。
【0020】
加えて、この第1実施形態の照明器具10においては、調光シート14が、偏光特性、調色特性、拡散特性、集光特性、減光特性のうち少なくとも一つを有する。
これにより、この第1実施形態の照明器具10においては、異なる配光特性を設定するためのオプション部品取付部やレンズ交換構造やユニット交換構造を器具本体11に設ける必要がないために器具本体11のコスト低減を図ることができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の照明器具について説明する。なお、以下の第2実施形態において、上述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0022】
図4、図5に示すように、本発明の第2実施形態の照明器具30は、前面板32に開口部33を有する器具本体31が適用されており、反射板を有していない。調光シート14は粘着部材24によりLEDユニット13のLEDチップ20に非接触で前面板32に貼り付けられている。調光シート14は、偏光特性、調色特性に加えて拡散特性を有するのが好ましい。
照明器具30では、LEDチップ20からの光が調光シート14に入光される。調光シート14に入光された光は、遮光角が30度以下の光が遮光され、それ以外の光が床面や室内に向けて照射され、3500Kの色温度に設定される。そして、調光シート14に入光された光は、床面や室内に向けて拡散されて照射される。
【0023】
従って、この第2実施形態の照明器具30においては、第1実施形態と比べて器具本体31の構造が簡潔になる。
これにより、この第2実施形態の照明器具30においては、金型等の製造コストを大幅に削減して生産性の向上を図ることができる。
【0024】
なお、前記各実施形態で使用した器具本体、回路基板、LEDユニット等は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
10、30 照明器具
11、31 器具本体
12 回路基板
13 LEDユニット
14 調光シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDユニットが設けられた回路基板と、
前記各LEDユニットが露呈するように前記回路基板を収容する器具本体と、
前記各LEDユニットを覆うように前記器具本体の表面に貼付された調光シートとを備える照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−170990(P2011−170990A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31117(P2010−31117)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】