説明

照明器具

【課題】制光体を器具本体の下端開口部に配置する取付け作業性を向上できるとともに、取付けられた制光体の上下のがたつきを抑制できる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体2の制光体支持壁間に形成された下面開口部に配置されるバッフル21を、枢支機構により、回動可能で、かつ、下面開口部内で横移動可能に支持する。収容位置にバッフルを保持する支持機構31を備え、この機構が、制光体支持壁7から略水平に切起こされた支持片32と、バッフルの自由端部25に設けられた係合板部33、係合突起34、及び係合溝35と、板ばね38とを備える。支持片に上側から接離される係合板部から下向きに係合突起を折り曲げる。支持片に着脱可能に上側から嵌合される係合溝は、係合板部を底として下向きに開放され係合突起で片側が仕切られている。板ばねは、下面開口部にバッフルが収容される際支持片に対し自由端部の高さ位置を仮に規制し、かつ、係合溝に嵌合された支持片と係合板部との接触を保持することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具本体が有する下面開口部にルーバ等の制光体が取付けられた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
下面が開口された器具本体の長手方向一端部に、光制御部材例えばルーバの長手方向一端部を回動自在でかつ器具本体の長手方向に移動可能に枢支部で枢支するとともに、器具本体の長手方向他端の壁に設けた角穴からなる係止孔に係脱可能な略鈎状の係止片をルーバの他端部に設けて、この係止孔に係止片を引掛けることにより器具本体の下面開口部にルーバが取付けられるようにした照明器具が、従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この照明器具の枢支部は、ルーバの長手方向一端に固定された枢軸と、器具本体の側壁にその長手方向に延びて設けられ枢軸がスライド自在に通る長穴からなるガイド部とで形成されている。一方、係止片は係止孔に貫通させて落とし込むことでこの係止孔に引っ掛かるようになっている。
【0004】
この照明器具で器具本体の下面開口部を閉じるようにルーバを配設するには、係止孔から最も離れたガイド部の一端部に枢軸を支持させた状態で、ルーバをそれが器具本体の下面開口部に収まるように回動させて、係止片を係止孔に位置合わせした後、ガイド部に沿ってルーバを係止孔側に水平移動させることにより係止片を係止孔に貫通させ、この状態で係止片を係止孔に落とし込んで実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−38790号公報(段落0016−0022、図1−図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、ルーバの係止片を器具本体の係止孔に位置合わせする際に、この位置合わせの規制がない。そのため、ルーバを水平移動させて係止片を係止孔に容易に貫通させ難く、作業に手間が掛かる。
【0007】
更に、ルーバの係止片は器具本体の係止孔に落とし込んで引っ掛かっているので、振動を受けた際にルーバが上下にがたつき易い。これに伴い、係止片が係止孔から外れて器具本体に対しルーバの他端が支持されなくなって、不用意にルーバが開く恐れが考えられる。
【0008】
以上のように従来技術では、ルーバ等の光制御部材を器具本体の下端開口部に配置する取付け作業性がよくないとともに、取付けられた光制御部材が上下にがたつき易い、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、相対向する制光体支持壁を有し、これら支持壁の下端部間に下面開口部が形成された器具本体と;回動端部及び自由端部を有して前記下面開口部に配置される制光体と;前記制光体支持壁又は前記回動端部の内の一方に形成された長孔、及び他方に取付けられ前記長孔に対して相対的に回動可能でかつ前記長孔が延びる方向に相対的に移動可能に前記長孔に挿入された軸を備え、前記制光体が前記下面開口部を開いて垂れ下がる開放位置と前記下面開口部に配置される収容位置とにわたって回動可能に前記制光体を支持するとともに、前記下面開口部内で前記長孔が延びる方向に移動可能に前記制光体を支持する枢支機構と;前記制光体支持壁から略水平に切起こされた支持片、前記自由端部に設けられて前記支持片に上側から接離される係合板部、この係合板部から下向きに折り曲げられた係合突起、前記係合板部を底として下向きに開放されるとともに前記係合突起で片側を仕切られて前記自由端部に形成され前記支持片に上側から着脱可能に嵌合される係合溝、及び前記制光体が前記収容位置に配置される際前記支持片に対して前記自由端部の高さ位置を仮に規制するとともに、前記係合溝に嵌合された前記支持片と前記係合板部との接触を保持させる板ばねを備えて、前記収容位置に前記制光体を支持する支持機構と;を具備することを特徴としている。
【0010】
この発明で、枢支機構の軸は、制光体支持壁に設けることができる他、これに代えて制光体の回動端部に設けることができ、この軸が挿入される枢支機構の長孔は、前者の場合制光体の回動端部に設けられ、後者の場合制光体支持壁に設けられる。そのため、この発明で、長孔と軸が相対的に回動可能であるとは、前記前者の場合、固定の軸に対して制光体の長孔が回動可能であることを指しており、前記後者の場合、固定の長孔に対して制光体の軸が回動可能であることを指している。同様の理由から、この発明で、長孔と軸とが相対的に長孔が延びる方向に移動可能であるとは、前記前者の場合、固定の軸に対して制光体の長孔がこの長孔が延びる方向に移動できることを指しており、前記後者の場合、固定の長孔に対してこの長孔が延びる方向に制光体の軸が移動できることを指している。
【0011】
更に、この発明で、制光体支持壁の支持片が略水平であるとは、制光体支持壁に対して支持片が直角に曲げられている場合を含むことは勿論のこと、直角な曲げ角度に対する寸法公差のばらつき範囲を含んでいる。この発明で、板ばねは、制光体の自由端部に固定することができるとともに、これに代えて制光体支持壁に固定することもできる。又、この発明で、制光体が収容位置に配置される際支持片に対して自由端部の高さ位置を板ばねが仮に規制するとは、板ばねが制光体の自由端部に固定されている場合には、この板ばねが支持片に下方から当たって、それ以上、制光体が上向きに移動しようとすることに対して板ばねが一時的な抵抗となる状態を指している。同様に、板ばねが制光体支持壁に固定されている場合には、この板ばねに下方から制光体の自由端部が当たって、それ以上、制光体が上向きに移動しようとすることに対して板ばね一時的な抵抗となる状態を指している。
【0012】
請求項1の発明で、設置作業者により枢支部を支点に上向きに回動される制光体が、器具本体の下面開口部に収容される際、この制光体が器具本体の下面開口部に略適正に収容された時点で、制光体の自由端部の高さ位置が板ばねの抵抗によって仮に規制される。この規制により、固定の支持片に対して制光体の自由端部の高さ位置が略適正に合わされる。次に、設置作業者は、制光体の自由端部を係合突起の高さ寸法以上板ばねのばね力に抗して押上げた状態で、制光体を支持片に向けて枢支機構の長孔が延びる方向に移動させてから、制光体の自由端部を自重により下げて係合溝を支持片に上側から嵌合させる。この場合、既述のように仮の規制状態を経て実施されるので、容易に制光体の係合溝を制光体支持壁の支持片に嵌合させることができる。こうして制光体が収容位置に支持された状態では、支持片と係合溝との嵌合により長孔が延びる方向に制光体が移動することが防止されるとともに、係合溝に嵌合された支持片の上側に係合板部が引掛っているので制光体が下方に回動されることも防止される。しかも、板ばねにより支持片への係合板部の上側からの接触を保持するので、下面開口部に収容された制光体が振動により上下にがたつくことを抑制できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記板ばねが前記係合板部の下面に固定されていて、前記収容位置に前記制光体が支持された状態で、前記係合溝に係合された前記支持片を前記板ばねと前記係合板部とで挟持することを特徴としている。
【0014】
この発明では、制光体が器具本体の下面開口部に配置された状態で、略水平な支持片を板ばねが係合板部との間に挟むので、支持片が垂直に切起こされている場合に比較して、板ばねが過大に変形することがない。このため、板ばねに対する負荷が小さく板ばねがヘたり難いので、この板ばねで制光体の上下のがたつきをより確実に抑制できる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2において、前記板ばねが前記係合板部の長手方向の端から前記係合板部がその長手方向に延長する方向に突出されていることを特徴としている。
【0016】
この発明では、器具本体の下面開口部に制光体を収容する際に、板ばねの係合板部から突出した端部が、制光体支持壁の支持片に下側から確実に当たるので、支持片に対して制光体の自由端部の高さ位置を仮に規制する作業が容易かつ確実である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、制光体を器具本体の下端開口部に配置する取付け作業性を向上できるとともに、取付けられた制光体の上下のがたつきを抑制できる、という効果がある。
【0018】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、更に、板ばねに対する負荷が小さく制光体の上下のがたつきをより確実に抑制できる、という効果がある。
【0019】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明において、更に、支持片に対して容易かつ確実に制光体の自由端部の高さ位置が仮規制されるに伴い、制光体を器具本体の下端開口部に配置する取付け作業性をより向上できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る照明器具を示す斜視図である。(B)はバッフルを外した状態で一実施の形態に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】(A)〜(C)は一実施形態に係る照明器具の器具本体に対するバッフルの取付け作業を順に示した断面図である。
【図3】(A)は図2(A)中F3A部を示す拡大図である。(B)は図2(B)中F3B部を示す拡大図である。(C)は図2(C)中F3C部を示す拡大図である。
【図4】一実施形態に係る照明器具が備えるバッフルの自由端部側の部位を示す斜視図である。
【図5】一実施形態に係る照明器具が備えるバッフルの自由端部側の部位を図4とは異なる方向から見て示す斜視図である。
【図6】一実施形態に係る照明器具が備える支持機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る照明器具が備える支持機構を示す斜視図である。
【図8】(A)〜(D)は他の実施形態に係る照明器具の器具本体に対するバッフルの取付け作業を順に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図6を参照して本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
【0022】
図1(A)(B)中符号1はシステム天井用の照明器具を示している。この照明器具1は、器具本体2と、設備プレート9と、反射板11,12と、ランプソケット14,15と、光源である蛍光ランプ17,18と、制光体例えばバッフル21等を備えている。
【0023】
器具本体2は、金属製であり、前後左右の側壁3〜6を連結してなる正方形の枠体内に例えば二枚の中間壁7,8を取付けて形成されている。中間壁7,8は互いに平行な左右の側壁5,6間にこれらに平行に設けられて、その長手方向両端が前後の側壁3,4に連結されている。側壁5及び中間壁7は相対向していて制光体支持壁を兼ねており、これらの下端部間に図1(B)に示すように長方形の下面開口部2aが形成されている。同様に、側壁6及び中間壁8は相対向していて制光体支持壁を兼ねており、これらの下端部間にも図1(B)に示すように長方形の下面開口部2bが形成されている。
【0024】
図2(A)〜(C)に示すように前後の側壁3,4は、その上端から折れ曲がって制光体支持壁の長手方向の端部を上側から覆う上面カバー部3a,4aを有している。相対向する中間壁7,8間の下面開口は図1(A)に示した設備プレート9で塞がれている。この設備プレート9には、必要に応じて非常灯、スピーカ、煙感知器等が取付けられる。
【0025】
なお、図1〜図3中符号10は側壁3,4の外面に装着された設置金具を示している。この設置金具10はシステム天井のTバーに上方から引掛って、Tバーから器具本体2が落下しないようにするために設けられている。
【0026】
図1(B)に示すように反射板11,12の内の一方は側壁5と中間壁7との間に配置され、他方は側壁6と中間壁8との間に配置されている。
【0027】
図1(B)に示すようにランプソケット14は側壁5と中間壁7との間において例えば側壁4の内面に装着されている。同様に、ランプソケット15は側壁6と中間壁8との間において例えば側壁4の内面に装着されている。
【0028】
蛍光ランプ17,18は例えば片口金型のものである。一方の蛍光ランプ17は、ランプソケット14に取外し可能に支持されて、反射板11に対向して側壁5と中間壁7との間に配置されている。同様に、他方の蛍光ランプ18は、ランプソケット15に取外し可能に支持されて、反射板12に対向して側壁6と中間壁8との間に配置されている。図1(B)中符号19a,19bは夫々側壁3の上面カバー部3aに固定されたランプホルダを示しており、これらランプホルダ19a,19bは蛍光ランプ17,18の先端部を支持している。なお、蛍光ランプ17,18には両口金型の蛍光ランプを使用でき、この場合、側壁3,4の内面に夫々ランプソケットを装着して、これらにわたって蛍光ランプ17,18を取外し可能に支持させればよい。
【0029】
図4及び図5に示すようにバッフル(制光体)21は、金属製であって、複数の制光部材を組み合わせて形成されている。具体的には、バッフル21は、横方向(水平方向)に延びるとともに互いに平行に設けられた一対のバー材22と、これらバー材22の下端部間にわたって設けられかつ互いに平行な多数の制光板23とを備えている。各制光板23は遮光角を規定している。
【0030】
バッフル21の長手方向の一端部をなしたバー材22の一端部は、図2(A)〜(C)に示す回動端部24として用いられている。バッフル21の長手方向の他端部をなしたバー材22の他端部は、図2(A)〜(C)等に示す自由端部25として用いられている。
【0031】
バッフル21を下面開口部2a,2bに夫々配置するために、照明器具1は、枢支機構26と、支持機構31を備えている。
【0032】
枢支機構26により、バッフル21は、それが下面開口部2a,2bを開いて垂れ下がる開放位置と、図1(B)に示すように下面開口部2a,2bに配置される収容位置とにわたって回動可能に支持されている。この枢支機構26は図2(A)〜(C)に示すように長孔27と軸28を備えている。
【0033】
長孔27は、バッフル21の回動端部24にバー材22の長手方向に延びて設けられている。軸28は、器具本体2の制光体支持壁、つまり、側壁5とこれに対向した中間壁7の側壁4側の端部に互いに近づく方向に向けて突設されているとともに、側壁6とこれに対向した中間壁8の側壁4側の端部にも、互いに近づく方向に向けて突設されている。軸28は長孔27に挿入されている。回動端部24と軸28との分離を防止するために、図2(A)〜(C)に示すように軸28に止め輪29が固定されている。なお、部品点数を減らすために、軸28をねじで形成し、そのねじ頭を止め輪の代わりとすることが可能である。バッフル21は軸28を支点に回動可能であるとともに、バッフル21はその長手方向に長孔27の長さ範囲内で軸28に対して移動可能である。
【0034】
支持機構31は収容位置に配置されたバッフル21をその位置に支持するために設けられている、この支持機構31は、制光体支持部に設けられた支持片32と、バッフル21の自由端部25の内で一方のバー材22の端部に設けられた係合板部33、係合突起34、係合溝35、及びストッパ部36と、自由端部25に取付けられた板ばね38とを備えている。
【0035】
図3及び図6に示すように支持片32は、例えば中間壁(制光体支持壁)7の側壁3側の端部に、側壁5に向けて突出するように略水平に切起こされている。又、中間壁(制光体支持壁)8の側壁3側の端部にも、側壁6に向けて突出するように略水平に切起こされている。
【0036】
図4〜図6に示すようにバー材22の上縁は補強のために水平に曲げられていて、その長手方向の端部が係合板部33として用いられている。係合突起34は係合板部33から下向きに折り曲げられている。係合溝35は、係合板部33と、係合突起34と、係合板部33から下方に直角に連続した溝縁37とで区画されていて、係合板部33を底として下向きに開放されている。係合突起34と溝縁37はバー材22の長手方向に対向しており、係合突起34は係合溝35の片側を仕切った係合突起34はバー材22の長手方向の端に位置されている。この係合突起34は係合溝35の入口を広げるテーパ34aを有している。
【0037】
ストッパ部36は、溝縁37から直角に折れ曲がるように連続してバー材22の長手方向に突出されていて、係合突起34及び係合溝35に下方から対向している。図3(A)に示すように溝縁37を基準とするストッパ部36の長さL1は、溝縁37から係合突起34の端までの長さL2より長い。
【0038】
板ばね38は金属製である。図6等に示すように板ばね38は、その長手方向の一端部をねじ等の固定具により係合板部33に固定して、この係合板部33の下面に取付けられている。こうして取付けられた板ばね38は、図3(A)に示すように係合溝35を横切るように設けられていて、その固定部を支点に係合板部33から離れる方向に弾性変形することが可能である。板ばね38の可動端部38aは、係合突起34を横切るようにして、係合板部33の長手方向の端からこの係合板部がその長手方向に延長する方向に突出されている。可動端部38aの先端の位置とストッパ部36の先端の位置とは、バッフル21の長手方向に関して略等しい。
【0039】
なお、他方のバー材22は、それに板ばね38が固定されていなことを除いて前記一方のバー材22と同じ構成であり、部品の共通化が図られている。これとともに、本実施形態では、既述の一対の枢支機構26と一箇所の支持機構31とを用いた三点支持によりバッフル21を略水平な姿勢で収納位置に支持するが、支持機構31を一対設けて実施することは可能である。更に、本実施形態のように三点支持の場合、支持機構31の支持片32は、中間壁7,8ではなく、側壁5,6に切起こして設けてもよい。
【0040】
次に、図2及び図3を参照してバッフル21を器具本体2の下面開口部2a,2bに配置する手順を説明する。
【0041】
まず、設置作業者は、器具本体2の枢支機構26に枢支されているバッフル21を、略水平となるように回動させて、器具本体2の下面開口部2a,2bに収容する。これとともに、下面開口部2a,2bに収容されたバッフル21を側壁4に寄るように横方向に移動させて、側壁4から遠い方の長孔27の端に軸28を位置させる。こうした第1横方向移動位置へのバッフル21の配置は、固定の軸28に対して長孔27が移動されることで許容される。
【0042】
このようにバッフル21が第1横移動位置に配置された状態を図2(A)に示す。これとともに、同配置状態での支持機構31の状態は図3(A)に示されていて、器具本体2の支持片32の下方にバッフル21の自由端部25があって、板ばね38の可動端部38a及びこの下側に位置されたストッパ部36が支持片32の直下に対向している。
【0043】
次に、この状態で、設置作業者は、バッフル21の自由端部25側を押上げ、バッフル21を枢支機構26の軸28を支点に上向きに回動させる。それにより、板ばね38の可動端部38aが固定の支持片32に下側から当たる。この当接は、既述のように板ばね38の可動端部38aが係合板部33から突出されていることにより、確実に実現させることができる。
【0044】
この当接により、可動端部38aが係合板部33の下面から次第に離れるように板ばね38が弾性変形を開始する。したがって、板ばね38による押上げ抵抗の増加で、バッフル21の自由端部25の高さ位置が仮に規制される。この規制により、支持片32に対して自由端部25の高さ位置が略適正位置に到達したこと、言い換えれば、バッフル21が下面開口部2a,2bに対して略所定の深さまで収容されたことを、設置作業者が知覚できる。
【0045】
そして、引き続く自由端部25側の押上げ操作の継続に伴い、板ばね38を弾性変形させながら、支持機構31の係合突起34を略水平な支持片32の上側に配置できる。この状態を図2(B)に示す。これとともに、同配置状態での支持機構31の状態は図3(B)に示されており、板ばね38は、その可動端部38a側が係合板部33に対してより大きく離れるように弾性変形している。
【0046】
この後、設置作業者は、バッフル21を側壁3に向けて横移動させる。この横移動は、固定の軸28に対して長孔27が移動されることで許容される。なお、こうした横移動ができない場合には、係合突起34が支持片32に横方向から引っ掛かっているので、再度、バッフル21の自由端部25を若干押上げながらバッフル21を側壁3方向に横移動させればよい。
【0047】
こうした手順により、バッフル21の自由端部25と支持片32との相対位置が変わって、係合突起34が支持片32の上側を側壁3に向けて通過し、その直後に係合溝35が支持片32の真上に対向するようになる。第2横移動位置にバッフル21が移動された状態で、自由端部25に加えている操作力が消失するように操作をすると、自由端部25が自重により下がるので、係合溝35が支持片32に上側から嵌合される。この場合、係合突起34が係合溝35に臨んだテーパ34aを有しているので、第2横移動位置が多少ばらついても、テーパ34aでのガイド作用により係合溝35を支持片32に円滑に嵌合させることができる。更に、こうした嵌合を可能とする自由端部25の下方への変位に伴い、板ばね38が自由状態に戻るように復元される
係合溝35が支持片32に嵌合された状態を図2(C)に示す。これとともに、同配置状態での支持機構31の状態は図3(C)に示されており、支持片32に上方から係合板部33が引っ掛かって支持されているとともに、この係合板部33と板ばね38との間に支持片32が挟持されている。
【0048】
以上の手順により、下面開口部2a,2bに対して適正な収容状態にバッフル21を配設できる。こうした手順では、係合突起34を器具本体2の孔に挿入させないので、格別な位置合わせを必要としない。しかも、既述のように固定の支持片32の上側に係合突起34を通過させた上で、自由端部25を下げることに伴い係合溝35を支持片32に上側から嵌合させることができる。これとともに、前記嵌合と同時に支持片32が係合板部33と板ばね38との間に挟まれるので、支持片32を係合板部33との接触を板ばね38で保持することができる。したがって、バッフル21を器具本体2下面開口部2a,2bの夫々に容易に配設できる。
【0049】
更に、以上の手順において、バッフル21の自由端部25が想定以上に押上げられようとした場合、ストッパ部36の上縁が支持片32にその下側から当たる。このため、それ以上、過度に板ばね38が弾性変形して、この板ばね38がヘたることを防止できる。
【0050】
しかも、図2(B)の状態から図2(C)の状態となるようにバッフル21が第2横移動位置に移動された直後に、ストッパ部36の先端が側壁3に当たるので、板ばね38の可動端部38aが側壁3に押し当たって過度に変形することが防止される。これとともに、ストッパ部36が側壁3に当たってバッフル21の横移動が止められることにより、係合溝35が支持片32の真上に対向するようにバッフル21が第2横移動位置に位置決めされるので、支持片32への係合溝35の嵌合を円滑に行うことができる。
【0051】
以上のように器具本体2に支持されたバッフル21は、支持片32と係合溝35との嵌合により下面開口部2a,2bの長手方向に不用意に移動することが防止される。これとともに、係合溝35に嵌合された支持片32の上側に係合板部33が引掛っているので、バッフル21が枢支機構26を支点に下方に不用意に回動されることも防止される。しかも、支持片32への係合板部33の上側からの接触が板ばね38により保持されているので、下面開口部2a,2bに収容されたバッフル21が振動により上下にがたつくことを抑制できる。したがって、バッフル21の器具本体2に対する支持状態を安定させることができる。
【0052】
しかも、バッフル21の収容状態では、既述のように板ばね38が略水平な支持片32を係合板部33との間に挟んでいる。このため、支持片32が水平ではなく垂直に切起こされている場合に比較して、板ばね32が過大に変形された状態に保持されることがない。よって、板ばね32に対する負荷が小さく板ばね32がヘたり難いので、この板ばね38でバッフル21の上下のがたつきをより確実に抑制できる。
【0053】
更に、支持片32が略水平であるので、係合突起34とストッパ部36との間の隙間G(図5参照)を狭くできる。そのため、バッフル21が有したバー材22の高さ寸法H(図5参照)を短くできるに伴い、バッフル21を薄く形成する上で好ましい。
【0054】
なお、蛍光ランプ17,18を交換する場合等バッフル21を開く場合には、以上の手順と逆の手順により、一対の枢支機構26でバッフル21を吊り下げた状態に開くことができる。
【0055】
又、図2(A)〜(C)中符号41は、下面開口部の幅方向に対向する制光体支持壁の下端部に設けられた複数のノックアウト予定部を示している。このノックアウト予定部41は外力を加えることによって除去され、その跡に開いた孔が制光体支持孔として用いられるようになっている。このため、バッフル21に代えて他の制光体(図示しない)を器具本体2に取付ける場合、他の制光体が有する引掛け部を前記制光体支持孔に夫々引掛けることにより、他の制光体を器具本体2の下面開口部2a,2bに取付けることができる。
【0056】
この場合、板ばね38は先に使用していたバッフル21とともに外されるので、板ばね38をバッフル21とは別に単独に外す手間を要しないとともに、バッフル21の取外しにより器具本体2の内面に板ばね38が存在しないので、新たに取付けられた前記他の制光体を通して板ばね38が視認されることがない。更に、前記他の制光体が器具本体2内への挿入深さが深い場合でも、その挿入に板ばね38が邪魔にならない。
【0057】
図7及び図8を参照して本発明の他の実施の形態を説明する。他の実施形態は、以下説明する事項以外は一実施形態と同じであるので、一実施形態と同じ構成については一実施形態と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
図7及び図8の実施形態では、支持機構31の板ばね38をバッフル(制光体)21の係合板部33に取付けることに代えて、制光体支持壁である中間壁7又は8に板ばね38がねじ止めされている。この場合、板ばね38は支持片32の上側に配置されていて、その可動端部38aは略水平に切起こされた支持片32を基準に側壁4(図2参照)側に位置されている。
【0059】
この実施形態でのバッフル21の取付けは、一実施形態と同様であって、図8(A)〜(D)に示した手順を経て行われる。
【0060】
図8(A)は、第1横移動位置に配置されたバッフル21の自由端部25に対する支持片32と板ばね38の位置関係を示していて、一実施形態での図3(A)の状態に対応している。この状態では、自由端部25は支持片32及び板ばね38の下方に位置されているが、係合板部33は板ばね38の可動端部38aの真下に位置され、ストッパ部36は支持片32の直下に位置されている。
【0061】
図8(B)は、バッフル21の自由端部25側が押上げられた状態を示しており、一実施形態での図3(B)の状態に対応している。この状態では、係合板部33が板ばね38を上向きに弾性変形させており、かつ、係合突起34は支持片32より高い位置に配置されているとともに、ストッパ部36が支持片32により接近して配置されている。
【0062】
図8(C)は、バッフル21が第2横移動位置に移動された直後の状態を示している。この状態では、板ばね38が弾性変形されたままで、係合突起34が支持片32の上側を通過した状態にあって、係合溝35は支持片32の真上に対向している。
【0063】
図8(D)は、バッフル21の自由端部25側がその自重で下がった状態を示しており、一実施形態での図3(C)の状態に対応している。この状態では、係合溝35が支持片32に上側から嵌合されているとともに、板ばね38により係合板部33が支持片32に上側から接触した状態に保持されていて、バッフル21は適正位置に取付けられている。
【0064】
以上の点以外の構成は図7及び図8に示されない構成を含めて一実施形態と同じである。したがって、図7及び図8の実施形態でも、一実施形態で既に説明した理由によって、本発明の課題を解決できる。
【符号の説明】
【0065】
1…照明器具、2…器具本体、2a,2b…下面開口部、5,6…側壁(制光体支持壁)、7,8…中間壁(制光体支持壁)、21…バッフル(制光体)、24…回動端部、25…自由端部、26…枢支機構、27…長孔、28…軸、31…支持機構、32…支持片、33…係合板部、34…係合突起、35…係合溝、38…板ばね、38a…可動端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する制光体支持壁を有し、これら支持壁の下端部間に下面開口部が形成された器具本体と;
回動端部及び自由端部を有して前記下面開口部に配置される制光体と;
前記制光体支持壁又は前記回動端部の内の一方に形成された長孔、及び他方に取付けられ前記長孔に対して相対的に回動可能でかつ前記長孔が延びる方向に相対的に移動可能に前記長孔に挿入された軸を備え、前記制光体が前記下面開口部を開いて垂れ下がる開放位置と前記下面開口部に配置される収容位置とにわたって回動可能に前記制光体を支持するとともに、前記下面開口部内で前記長孔が延びる方向に移動可能に前記制光体を支持する枢支機構と;
前記制光体支持壁から略水平に切起こされた支持片、前記自由端部に設けられて前記支持片に上側から接離される係合板部、この係合板部から下向きに折り曲げられた係合突起、前記係合板部を底として下向きに開放されるとともに前記係合突起で片側を仕切られて前記自由端部に形成され前記支持片に上側から着脱可能に嵌合される係合溝、及び前記制光体が前記収容位置に配置される際前記支持片に対して前記自由端部の高さ位置を仮に規制するとともに、前記係合溝に嵌合された前記支持片と前記係合板部との接触を保持させる板ばねを備えて、前記収容位置に前記制光体を支持する支持機構と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記板ばねが前記係合板部の下面に固定されていて、前記収容位置に前記制光体が支持された状態で、前記係合溝に係合された前記支持片を前記板ばねと前記係合板部とで挟持することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記板ばねが前記係合板部の長手方向の端から前記係合板部がその長手方向に延長する方向に突出されていることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−54362(P2011−54362A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201077(P2009−201077)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】