説明

照明器具

【課題】 ゆらぎ光を発生させるとともに、温度低減効果によって、LED光源の温度特性を改善し、発光効率を高めることができ、しかも、器具本体をコンパクト化できる照明器具を提供する。
【解決手段】 照明器具10において、LED光源16と、LED光源16の光出射方向前方に設けられる透光性の中空パネル18と、中空パネル18に入れられる透光性の液体19と、中空パネル18と別体で設けられ中空パネル18に接続されて液体19を循環させる液体循環手段20と、を設けた。また、照明器具10は、液体循環手段20が、中空パネル18に往管24および還管25を介して接続されるポンプ30と、ポンプ30をLED光源16の点灯または消灯と連動して駆動または停止するスイッチ31と、を具備することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の屈折を利用する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明器具には、液体を利用して様々な効果を得ようとするものが知られている。例えば特許文献1に開示のLED表示灯は、LEDが発した熱を液体が受け、この液体に接しているレンズを介して放熱させるため、LEDの内部に熱が停滞しない。これにより、従来と同一の電流値を通電しても発光効率がアップし高照度の光源が得られる。
【0003】
また、特許文献2に開示の照明装置は、複数のLED素子がアレイ配置され、その光路に、蛍光体を溶解した流動体を収容する有機蛍光体セルからなる調光層が配置される。有機蛍光体セルは、下部に流動体の導入口を、上部に流動体の排出口を備え、これら導入口および導出口は、管路により接続されている。この管路により、有機蛍光体セル内の流動体は循環する。管路には、冷却器または放熱器が設けられていてもよい。この照明装置によれば、調光パネルが、蛍光体を溶解した流動体からなる透明な発光層を有しているため、光散乱が生ずることがなく、照明装置の光取り出し効率が向上する。また、流動体を循環させることにより、素子からの熱が放熱または冷却により除去され、蛍光体の温度を低温に保持できる。その結果、蛍光体の発光効率を高め、蛍光強度の増大を可能とする。
【0004】
また、特許文献3に開示の投影光を波紋状とするための光フィルター装置は、分離して層を形成する複数種類の液体により液の接触面での造波を確保し、一番上の液体が蓋面に接するように空間無く配置する。これにより、液体の蒸発による液体の減少や漏れ、異物の混入、装置内の曇り、天井面への水滴の張り付きによる透過光の固定化等を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−286878号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特開2008−34201号公報(請求項7、図1、段落0020)
【特許文献3】特開2008−47502号公報(請求項1、図1、段落0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のLED表示灯と、特許文献2の照明装置とは、液体による冷却効果は得られるものの、水面の波紋等を使って光を波形に屈折させる所謂ゆらぎ光を発生させることはできない。一方、特許文献3に開示の投影光を波紋状とするための光フィルター装置は、光源からの光を波形に屈折させることはできるが、光源の冷却効果は得ることができない。このため、特に、近年のLED光源を使用した照明器具に同様の構成を採用すれば、光フィルター装置の増設に加え、大きなヒートシンクを確保しなければならないことも相まって、照明器具が大型化した。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ゆらぎ光を発生させるとともに、温度低減効果によって、LED光源の温度特性を改善し、発光効率を高めることができ、しかも、器具本体をコンパクト化できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、LED光源と、前記LED光源の光出射方向前方に設けられる透光性の中空パネルと、前記中空パネルに入れられる透光性の液体と、前記中空パネルと別体で設けられ該中空パネルに接続されて前記液体を循環させる液体循環手段と、を具備するものである。
【0009】
そして、本発明の照明器具は、前記液体循環手段が、前記中空パネルに往管および還管を介して接続されるポンプと、前記ポンプを前記LED光源の点灯または消灯と連動して駆動または停止するスイッチと、を具備するものである。
【0010】
また、本発明の照明器具は、前記中空パネルのパネル内上部に空気層が設けられ、前記中空パネルのパネル内下部に前記液体が流動するものである。
【0011】
さらに、本発明の照明器具は、前記パネル内下部の前記液体の液面に、可撓性を有する透光性の薄膜が可撓自在に設けられたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る照明器具によれば、ゆらぎ光による癒しの効果を発生させるとともに、水冷による温度低減効果によって、LED光源の温度特性を改善し、発光効率を高めることができる。これに加え、水冷による温度低減効果によって、ヒートシンクを小型または別体にでき、器具本体をコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜視図
【図2】図1に示した照明器具の概略の構成図
【図3】図2に示した中空パネルの拡大図
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具の構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の照明器具の実施形態について、図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜視図、図2は図1に示した照明器具の概略の構成図、図3は図2に示した中空パネルの拡大図である。
第1実施形態の照明器具10は、天井11に設けられて下方を照明するダウンライトとして用いることができる。照明器具10は、器具本体12と、枠体13と、電源部14とを有する。器具本体12は、例えば円筒形状に形成される。枠体13は、器具本体12の外径寸法と同一の外径寸法を有する円筒形状に形成され、天井11に設けられた取付穴を覆う鍔部15を有する。
【0015】
器具本体12は、LED光源16と、ヒートシンク部17と、中空パネル18と、液体19と、液体循環手段20と、を有する。LED光源16は、LED実装基板21に光源である複数のLED22を実装してなる。LED実装基板21は、LED22が下側となるように設けられ、その上面にはヒートシンク部17が良好な熱伝導が確保されるように接触して固定される。これにより、LED22の駆動による発熱がヒートシンク部17に伝わって効果的に放熱されるようになされている。
【0016】
LED実装基板21には、別体に設けられた電源部14が電源配線23によって接続される。電源部14には不図示の電源端子台が設けられ、電源端子台は外部の商用電源に電気的に接続される。なお、電源部14は、後述の実施形態のように、器具本体12に設けることもできる。
【0017】
ヒートシンク部17は、LED実装基板21から伝達される熱を放熱する作用を有する。放熱は周囲の空気と熱交換によって行われる。ヒートシンク部17は、熱交換効率を高めるために、空気との接触面積を増やす多数のフィンを設けてもよい。また、ヒートシンク部17は、後述する往管24と還管25を接触して取り付けてもよい。これにより、往管24と還管25とを流れる液体19と熱交換を行わせることができる。
【0018】
中空パネル18は、LED光源16の光出射方向前方に設けられる。中空パネル18は、例えばアクリル樹脂、ガラス等の透光性の素材からなる。第1実施形態では、円筒下部開口側を覆うように円板状に形成される。この他、中空パネル18は、矩形状やその他の多角形状に形成されても勿論よい。図3に示すように、中空パネル18には、往管24と還管25とが接続される液入口部26と液出口部27とが設けられている。
【0019】
中空パネル18にはパネル外形に相似した中空部28が形成され、液体19は、この中空部28に入れられる。後述するように、この中空部28には空気層29が設けられる。液体19は透光性を有する。この液体19としては、例えば水を用いることができる。液体19は、適宜な色に着色されていてもよい。液体19を着色することにより、LED光源16から光りが中空パネル18を透過すると、着色光となって出射される。この他、液体19には、透明な微粒子フィラー(例えば平均粒径数100μm〜数mのシリカや粉砕石英等)や、微小ミラー片を混合させることも複合的な屈折率変換効果を得る上で有効である。
【0020】
液体循環手段20は、中空パネル18と別体で設けられ、中空パネル18に接続されて液体19を循環させる。液体循環手段20は、中空パネル18に往管24および還管25を介して接続されるポンプ30と、ポンプ30をLED光源16の点灯または消灯と連動して駆動または停止するスイッチ31と、を具備する。
【0021】
LED光源16が駆動されると、スイッチ31によってポンプ30も駆動される。ポンプ30は駆動されることによって、還管25から吸引した液体19を往管24へ吐出する。これより、中空パネル18の液体19は、一定量に保持されつつ循環される。往管24および還管25の経路は、任意であってよいが、好ましくは図2に示すように、ヒートシンク部17の外周に沿って、ヒートシンク部17に接触させて配管する。これにより、ヒートシンク部17と液体19との相互の熱伝導を可能にできる。図2に示すポンプ30の位置は一例であり、この他、ポンプ30は中空パネル18の液体19と同一高さに配置されてもよい。
【0022】
スイッチ31は、例えば電源部14の内部に設けることができるが、電源部14と別体に設けてもよい。スイッチ31は、LED光源16へ電源を供給および遮断すると同時に、ポンプ30に対しても電源を供給および遮断する。このスイッチ31は、開閉器と、複数の接点を有するリレーとによって回路を構成したものにできる。
【0023】
図3に示すように、中空パネル18のパネル内上部32には空気層29が設けられる。従って、液体19は、中空パネル18のパネル内下部33で流動自在となる。パネル内上部32に空気層29が設けられることで、中空パネル18に液面34が形成されることになる。つまり、液面34は、異なる媒質である空気層29と液体19との境界面となる。
【0024】
液体19の液面34には、可撓性を有する透光性の薄膜35を可撓自在に設けることができる。薄膜35としては、例えばシリコンシート等を用いることができる。薄膜35は、液体19の流動によって波打つものとする。薄膜35を液面34に浮かせることで、薄膜35が無い場合に比べ、緩やかな波打ちを液面34の全体に形成することが可能となる。
【0025】
次に、上記構成を有する照明器具10の作用を説明する。
照明器具10は、スイッチ31がオンされると、LED光源16が駆動されるとともに、ポンプ30が駆動されて中空パネル18の液体19が流動する。LED光源16からの光が中空パネル18に入射すると、中空パネル18の内部に入れた液体19の流動によって液面34が波打ち、液体19を通過した光が不規則な方向に屈折される。屈折した光は中空パネル18の前方から出射されることにより、ゆらぎ光となって照射面に照射される。
【0026】
また、中空パネル18の液体19が、液体循環手段20によって循環され、LED光源16から吸熱した熱を放熱する。この水冷による温度低減効果によって、LED光源16は、温度が低温に保持される。これにより、発光効率が高められ、従来と同一の電流値を通電しても光強度が増大する。また、水冷による温度低減効果によって、ヒートシンク部17の小型化が可能となる。
【0027】
照明器具10では、液体循環手段20の主要部材であるポンプ30が往管24と還管25とを介して中空パネル18に接続され、そのポンプ30がスイッチ31によってLED光源16の点灯、消灯に連動して動作する。ポンプ30は、LED光源16が駆動されると、出射光にゆらぎを生じさせ、放熱の必要のあるときのみ駆動して、無駄な電力が消費されない。
【0028】
また、照明器具10では、中空パネル18のパネル内上部32に空気層29が設けられることで、液体19の表面に、確実に液面34が形成され、液面34に生じさせた波によってゆらぎ光を生じやすくできる。
【0029】
さらに、照明器具10では、液面34に薄膜35が設けられることで、薄膜35が大きく波打ち、緩やかなゆらぎによるより効果的な照明効果が得られるようになる。そして、液体19への異物の混入や蒸発も防止できる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具36を説明する。
図4は本発明に係る第2実施形態の照明器具36の構成図である。なお、図1〜図3に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第2実施形態の照明器具36は、中空パネル18の液体19が、器具本体37と別体に設けられた液体循環手段38によって循環される。つまり、LED光源16から吸熱した熱を器具本体37とは別の場所で放熱する。また、この第2実施形態では、器具本体37に電源部14が設けられている。電源部14の発熱もヒートシンク部39によって放熱可能となっている。
【0031】
この第2実施形態による照明器具36によれば、液体循環手段38によって循環される液体19で、LED光源16からの熱が器具本体37とは別の場所で放熱される。この水冷による温度低減効果によって、LED光源16は、温度が低温に保持され、発光効率が高められ、従来と同一の電流値を通電しても光強度が増大する。また、水冷による温度低減効果によって、ヒートシンク部39の小型化が可能となる。
【0032】
従って、上記した各実施形態に係る照明器具10、照明器具36によれば、ゆらぎ光による癒しの効果を発生させるとともに、水冷による温度低減効果によって、LED光源16の温度特性を改善し、発光効率を高めることができる。これに加え、水冷による温度低減効果によって、ヒートシンク部17、ヒートシンク部39を小型または別体にでき、器具本体12、器具本体37をコンパクト化できる。
【符号の説明】
【0033】
10,36 照明器具
16 LED光源
18 中空パネル
19 液体
20,38 液体循環手段
24 往管
25 還管
29 空気層
30 ポンプ
31 スイッチ
32 パネル内上部
33 パネル内下部
34 液面
35 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、
前記LED光源の光出射方向前方に設けられる透光性の中空パネルと、
前記中空パネルに入れられる透光性の液体と、
前記中空パネルと別体で設けられ該中空パネルに接続されて前記液体を循環させる液体循環手段と、を具備する照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記液体循環手段が、
前記中空パネルに往管および還管を介して接続されるポンプと、
前記ポンプを前記LED光源の点灯または消灯と連動して駆動または停止するスイッチと、を具備する照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記中空パネルのパネル内上部に空気層が設けられ、
前記中空パネルのパネル内下部に前記液体が流動する照明器具。
【請求項4】
請求項3に記載の照明器具において、
前記パネル内下部の前記液体の液面に、可撓性を有する透光性の薄膜が可撓自在に設けられた照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−146559(P2012−146559A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5004(P2011−5004)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】