説明

照明器具

【課題】LEDを光源とする照明器具において広角配光を主とした光学制御を行うことで、空間の明るさ感を構成する天井面及び壁面照度を向上させ、直下照度を含めた適正照度を実現させること。
【解決手段】LEDを光源とする照明器具であって、器具本体21と、器具本体21を覆うセード31と、器具本体21の周方向に配置される複数のLED42により構成されるLED光源群44が、器具本体21の中心部から周縁部の方向に間隔をおいて複数配置される光源部41と、器具本体21の中心部側に向けて傾斜し、かつ器具本体21の周方向に連続して形成される第1反射部54と、器具本体21の周縁部側に向けて傾斜し、かつ器具本体21の周方向に連続して形成される第2反射部55とを有する光反射体51が、隣接するLED光源群44の間に配置される光反射部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とする照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明器具の光源として、発光ダイオード(LED)を用いたものが開発されている(例えば、特許文献1)。LEDには指向性があり、1/2照度角が白熱灯や蛍光灯より狭いという特性がある。1/2照度角とは、水平面を垂直に照射したときに照明器具直下の照度(直下照度)の1/2の照度となる位置の開き角度である。この特性は例えばダウンライトやスポットライトのように直下照度やタスク光を重要視する照明器具では特に問題とならない。
【0003】
一方、シーリングライトのように主照明として用いられる照明器具の場合は、直下照度やタスク光よりも空間全体の明るさ感が要求される。空間全体の明るさ感は、直下照度だけでなく壁面や天井面の照度を確保することで得られることが知られている。しかしながら、主照明として用いられる照明器具の光源にLEDを用いた場合は、LEDの指向性のため壁面や天井面への配光が難しく、壁面や天井面の照度を確保し難いため、空間全体の明るさ感が得られにくいという問題がある。このため、光源にLEDを用いた場合には、照明器具の出力(全光束値)と得られる明るさ(照度と明るさ感)とに乖離が生じるという問題がある。
【0004】
従来はこの問題を解決するため、本来必要な出力以上のLEDを用いることで壁面や天井面の照度を確保し、空間全体の明るさ感を確保するという手法がとられる傾向にあった。しかしながら、この手法では必要以上の電力を消費することとなり、実質的な省エネルギー性能が低下するという問題がある。
【0005】
また、1/2照度角を広くして壁面や天井面にも配光するため、LEDにレンズが組み合わされることも多い。しかしながら、レンズはアクリルやポリカーボネイトなどの材料が使用されており、材料の透過率によりLED本来の全光束値が損なわれることになる。このため、LEDの光をレンズを用いずに直接利用する場合と比較して、省エネルギー性能が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−533961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたものである。本発明の第1の目的は、LEDを光源とする照明器具において広角配光を主とした光学制御を行うことで、空間の明るさ感を構成する天井面及び壁面照度を向上させ、直下照度を含めた適正照度を実現させることである。本発明の第2の目的は、LEDの光をレンズを用いずに広角配光を可能にすることで、LED性能を有効に発揮させ、省エネルギー性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明は、LEDを光源とする照明器具であって、
器具本体と、
前記器具本体を覆うセードと、
前記器具本体の周方向に配置される複数のLEDにより構成されるLED光源群が、前記器具本体の中心部から周縁部の方向に間隔をおいて複数配置される光源部と、
前記器具本体の中心部側に向けて傾斜し、かつ前記器具本体の周方向に連続して形成される第1反射部と、前記器具本体の周縁部側に向けて傾斜し、かつ前記器具本体の周方向に連続して形成される第2反射部とを有する光反射体が、隣接する前記LED光源群の間に配置される光反射部と、を備えた。
【0010】
第2の発明は、第1の発明であって、
前記光反射部は、前記光反射体の前記第1反射部と前記第2反射部の間に、前記器具本体の周方向に連続して形成される第3反射部を備えた。
【0011】
第3の発明は、第2の発明であって、
前記光反射部は、前記各光反射体における前記第1反射部、前記第2反射部又は前記第3反射部の幅、高さ又は傾斜角度の少なくともいずれか1つを他の前記光反射体における前記第1反射部、前記第2反射部又は前記第3反射部の幅、高さ又は傾斜角度と異ならせることで、前記器具本体の周縁部側の光反射体における第2反射部の幅が、前記器具本体の中心部側の光反射体における第2反射部の幅よりも広くなるようにした。
【0012】
第4の発明は、第1から第3の発明であって、
前記光反射部は、複数の光反射体を一体に形成するとともに、LEDを露出させる複数のLED配設部を備えた。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
第1の発明によれば、LEDを光源とする照明器具においてLED光源群の間に第1反射部と第2反射部とを有する光反射体を配したことで、LEDから直接照射される光やセードに反射した光は、光反射体により器具本体の中心部方向から器具本体の周縁部方向に向けて拡散され、広角配光が可能となる。これにより空間の明るさ感を構成する天井面及び壁面照度が向上し、直下照度を含めた適正照度を実現させることができる。
また、LEDの光をレンズを用いずに広角配光することが可能となるため、LED性能を有効に発揮させることができ、省エネルギー性能を向上させることができる。
【0015】
第2の発明によれば、光反射部は、光反射体の第1反射部と第2反射部の間に器具本体の周方向に連続して形成される第3反射部を備える。これにより、光反射体の高さを抑え、光反射体の影によるセードの光むらを防止するとともに、光反射部の反射面を増大させることで光の拡散を促進させることができる。
【0016】
第3の発明によれば、器具本体の周縁部側の光反射体における第2反射部の幅を、器具本体の中心部側の光反射体における第2反射部の幅よりも広くした。これにより、器具本体の周縁部に近い第2反射部によって器具本体の周縁部方向に向けて反射させる光を増大させることができ、天井面及び壁面照度を更に向上させることができる。
【0017】
第4の発明によれば、光反射部は複数の光反射体を一体に形成するとともに、LEDを露出させる複数のLED配設部を備えた。これにより、照明器具を容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る照明器具11の(A)側面図(B)斜め下方から見た斜視図。
【図2】照明器具11を径方向に切断した断面の一部を示す図。
【図3】器具本体21の一部を拡大した断面図。
【図4】器具本体21の下面側を上にした斜視図。
【図5】LED42の発光強度の分布を示す模式図。
【図6】本発明の第1実施形態に係る照明器具11の配光を示す模式図。
【図7】光反射部51を用いない場合の配光を示す模式図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る照明器具11の配光を示す模式図。
【図9】本発明の第3実施形態に係る照明器具11の配光を示す模式図。
【図10】本発明の第3実施形態に係る照明器具11の変更例の配光を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係る照明器具11について、図1から図7を用いて説明する。本実施形態に係る照明器具11は、LED42の光をレンズを用いずに直接利用する照明器具である。図1に示すように、照明器具11は、天井に直付けされるシーリングライトである。以下では、光を照射する側を照明器具11の下面側とし、上面側は下面側の反対側(取付状態では天井側)として説明する。
【0020】
図1、2に示すように、照明器具11は、主に器具本体21、電源装置61、セード31、センターカバー71、光源部41、光反射部51を有している。器具本体21の下面側には、中心部に穴32を設けたドーナツ状のセード31が取り付けられ、穴32を覆うようにセンターカバー71が取り付けられている。
【0021】
図2、図3、図4に示すように、器具本体21は、照明器具11の本体を構成するものである。器具本体21は、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属板を用いて形成されている。器具本体21の外形輪郭形状は円形であり、光源取付部22、収容部23、取付用穴24が設けられている。
【0022】
光源取付部22は、光源部41及び光反射部51が取り付けられる部分である。光源取付部22は、器具本体21の周方向に沿って、縁部から一定の幅の領域に設けられている。光源取付部22は、光源部41で発生した熱を伝えて外部に放出する放熱部でもあるため、光源取付部22の下面側、すなわち光源部41が取り付けられる側は、光源部41との接触面積が広くなるよう平坦に形成される。光源取付部22の外周側には、セード31を保持するための第1保持部25が形成されている。
【0023】
収容部23は、光源部41のLED42を点灯させるための電源装置61や点灯装置(図示せず)等が収容される部分である。収容部23は、光源取付部22の内周側に沿って設けられている。収容部23は、内部に電源装置61や点灯装置等を収容するための高さ及び幅が確保されている。一方、収容部23は光源部41が取り付けられる光源取付部22に隣接しており、収容部23が光源部41からの光を遮るとセード31に収容部23の影が映ることとなる。このため、収容部23の外側は、面取り形状に形成され、光源部41からの光を遮り難くしている。収容部23の下面側であって器具本体21の中心部側には、セード31を保持するための第2保持部26が形成されている。
【0024】
取付用穴24は、器具本体21の中心部に設けられている。取付用穴24は、照明器具11を天井に取り付ける際、アダプタ(図示せず)を取り付けるために形成されている。照明器具11を天井に取り付ける場合は、照明器具用の天井配線器具(引っ掛けシーリング)にアダプタを取付け、取付用穴24にアダプタを差し込むようにして取り付ける。
【0025】
電源装置61は、点灯装置(図示せず)等とともに光源部41のLED42を点灯させるための装置である。電源装置61及び点灯装置等は、収容部23に収容される。電源装置61にはコネクタ62が設けられており、照明器具11を天井に取り付ける際、アダプタ側のコネクタ(図示せず)と接続することで、照明器具用の天井配線器具を介して外部電源と電気的に接続される。点灯装置と光源部41は電線(図示せず)によって電気的に接続される。
【0026】
セード31は、器具本体21の下面側を覆う部材であり、透光性を有する樹脂素材で形成されている。セード31は、光源部41からの光を反射及び拡散させつつ、外部へ配光する。セード31の全体形状は、中心部に穴32を設けたドーナツ状であり、上下の高さが低い扁平な形状である。
【0027】
セード31の下面側には、光源部41からの光を透過させる下面側透光部33が形成されている。下面側透光部33は下面側に緩やかに膨らんでいる。また、セード31には、器具本体21に取り付けた場合に、器具本体21の側方に張り出す部分である側面側透光部34及び上面側透光部35が形成されており、光を透過させる部分が下面側だけでなく、側面側及び上面側にも形成されている。このため、点灯状態では、照明器具11の直下だけでなく、その周囲や壁面、天井面まで配光が可能となっている。セード31の中心部の穴32の周囲は、上面側に屈曲した中心側透光部36が形成されており、中心側透光部36からは穴32の中心部に向けて配光が可能となっている。
【0028】
セード31の上面側透光部35の縁部には、器具本体21の第1保持部25に保持される第1被保持部37が形成されており、セード31の中心側透光部36の縁部には、器具本体21の第2保持部26に保持される第2被保持部38が形成されている。第1被保持部37が第1保持部25に保持され、第2被保持部38が第2保持部26に保持されることで、セード31は器具本体21に取り付けられる。
【0029】
センターカバー71は、セード31の穴32を覆うように取り付けられる部材であり、透明な樹脂素材で形成されている。センターカバー71は下面側に緩やかに膨らんでいる。センターカバー71の上面側は、着色又は微細な凹凸が形成されており、光を反射する反射面72とされている。センターカバー71の周縁部には、センターカバー71を器具本体21に取り付けるための第3被保持部73が形成されている。第3被保持部73は、上面側に屈曲しており、第3被保持部73が器具本体21の第2保持部26の外側に嵌合状態で保持されることで、センターカバー71は、器具本体21に取り付けられる。
【0030】
センターカバー71が器具本体21に取り付けられた状態では、センターカバー71の第3被保持部73の外側の面は、セード31の中心側透光部36に面している。このため、点灯状態では、セード31の中心側透光部36を透過した光源部41からの光の一部がセンターカバー71の第3被保持部73から導光され、センターカバー71の周縁部が明るく光ることとなる。尚、センターカバー71の上面側は、光を反射する反射面72とされているため、下面側からセンターカバー71を通して内部の構造を見ることはできない。
【0031】
光源部41は、基板43上に光源としてのLED42が複数実装されて構成されている。図2、図3に示すように、各LED42は下面側に向けて配置されているとともに、各LED42にレンズは取り付けられておらず、光反射部51によって各LED42の光を直接利用するように構成されている。基板43は、器具本体21の光源取付部22に熱伝導性シート(図示せず)を介して配置されている。
【0032】
図3、図4に示すように、複数のLED42は、器具本体21の周方向に沿って配置されており、本実施形態では器具本体21の外形輪郭形状は円形であるため、複数のLED42が円形に配置されている。円形に配置された一組のLED42は、LED光源群44を構成する。本実施形態では、LED光源群44は4本構成されており、器具本体21の中心部側から第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443、第4LED光源群444とする。これらが器具本体21の中心部から周縁部の方向に間隔をおいて同心円状に複数配置され、光源部41を構成している。
【0033】
光反射部51は、光源部41から照射された光を反射させ、広角配光を主とした光学制御を行う部材である。図3、図4に示すように、光反射部51は、複数の光反射体52と、内側反射体53とから構成されており、各光反射体52は、前述した隣接する2本のLED光源群44の間に配置される。具体的には、第1LED光源群441と第2LED光源群442の間に第1光反射体521、第2LED光源群442と第3LED光源群443の間に第2光反射体522、第3LED光源群443と第4LED光源群444の間に第3光反射体523がそれぞれ配置される。光反射体52と内側反射体53も器具本体21の周方向に沿った形状であり、本実施形態では器具本体21の外形輪郭形状は円形であるため、複数の光反射体52と内側反射体53は円形に配置されている。つまり、第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523、内側反射体53は同心円状に配置されている。内側反射体53は、第1LED光源群441よりも器具本体21の中心部側に配置される。
【0034】
光反射体52はそれぞれ、第1反射部54と第2反射部55とを有する。第1反射部54は、器具本体21の中心部側に向けて傾斜し、かつ器具本体21の周方向に連続して形成される。つまり、第1反射部54は、器具本体21の中心部側に向けられた反射面であり、この反射面が器具本体21の周方向に連続して形成される。第2反射部55は、器具本体21の周縁部側に向けて傾斜し、かつ器具本体21の周方向に連続して形成される。つまり、第2反射部55は、器具本体21の周縁部側に向けられた反射面であり、この反射面が器具本体21の周方向に連続して形成される。具体的には、第1光反射体521は、第1反射部54としての第11反射部541と、第2反射部55としての第12反射部551を有する。同様に、第2光反射体522は、第1反射部54としての第21反射部542と、第2反射部55としての第22反射部552を有し、第3光反射体523は、第1反射部54としての第31反射部543と、第2反射部55としての第32反射部553を有する。内側反射体53は、器具本体21の周縁部側に向けて傾斜し、かつ器具本体21の周方向に連続して形成される内側反射部531を有する。
【0035】
ここで、第1反射部54と第2反射部55は、器具本体21の周方向に連続して形成されるため、各LED42に個別に反射面を形成する場合に較べて反射面を広く確保することができる。これにより、点光源であるLED42からの光を効果的に拡散させることができ、照明器具11の直下だけでなく、その周囲や壁面、天井面まで配光が可能となり、かつ、むらの少ない配光が可能となる。
【0036】
また、光反射部51とセード31との間に空間があり、光反射部51の各光反射体52が各LED光源群44を仕切る構成ではないため、あるLED光源群44から照射された光がセード31に反射して離れた位置にある光反射体52によって更に反射されることとなる。これによっても点光源であるLED42からの光を効果的に拡散させることができ、照明器具11の直下だけでなく、その周囲や壁面、天井面まで配光が可能となり、かつ、むらの少ない配光が可能となる。
【0037】
光反射部51は、光反射性を有する熱可塑性樹脂シートを熱成型することで形成されている。図3、図4に示すように、第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523と、内側反射体53は一体に形成されているとともに、周方向には4分割されており、成型性と組立性を確保している。光反射部51は、複数のLED42に対応する位置に、LED42を露出させるための孔である複数のLED配設部57を形成している。このため、光源部41の基板43上に光反射部51を配置すると、光反射部51上にLED42が露出した状態で配置されることとなり、照明器具11の組み立てが容易となる。
【0038】
次に、本実施形態に係る照明器具11の配光について、図5から図7を用いて説明する。図5は、一般的なLED42の発光強度の分布を示す模式図であり、LED42の指向性を示している。図5の各線は光束及び発光強度を示している。LED42からの光は実際には3次元方向に照射されるが、図5では2次元方向のみの配光を示している。図5に示すように、LED42からの垂線上及び、垂線に対して20度程度までの領域(実際には略円錐状の領域)では発光強度は比較的高い(発光強度高)。しかしながら、垂線に対して40度前後の領域になると発光強度は低下し(発光強度中)、垂線に対して60度を超える領域になると発光強度はかなり低下する(発光強度低)ことが分る。
【0039】
図6及び図7は、本実施形態に係る照明器具11の光反射部51の機能を説明するための図である。図6は、本実施形態に係る照明器具11の配光を示す模式図である。図7は、本実施形態に係る照明器具11の光反射部51を用いない場合の配光を示す模式図である。LED42からの光は実際には3次元方向に照射されるが、図6、図7では2次元方向のみの配光を示している。図6及び図7において、第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444の配置は本実施形態に係る照明器具11と同様としているが、器具本体11の下面側(図示上方)及び周縁部側(図示右方)には仮想のセード131を配置している。本実施形態に係る照明器具11では、セード31は平坦な面ではないが、図6及び図7では配光を簡略化して説明するために仮想のセード131は平坦な面としている。また、LED42の発光強度の分布は図5に示した通りであるが、発光強度の低い光束を示す線及び反射光については説明に必要なもの以外、適宜省略している。
【0040】
まず、図7を用いて、光反射部51を用いない場合について説明する。光反射部51を用いない場合には、第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444からの光はセード131に直接照射される。このため、セード131の下面側(図示上方)には均等に配光され、照明器具の直下照度は十分確保される。しかしながら、周縁部側(図示右方)に照射される光は少なく、また照射されるとしても発光強度の低い光が中心である。このため壁面や天井面への配光が少なく、壁面や天井面の照度を確保できない照明器具となる。この照明器具を主照明として用いた場合、空間全体の明るさ感が得られにくい。
【0041】
次に、図6に示すように、光反射部51を用いた本実施形態に係る照明器具11の場合について説明する。光反射部51を用いた場合には、LED光源群44(第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444)からの光は、セード131に直接照射されるだけでなく、一部は第2反射部55(第12反射部551、第22反射部552、第32反射部553)や内側反射部531に反射し、周縁部側(図示右方)に照射される光が増加する。このため光反射部51を用いない場合よりも壁面や天井面への配光が増加し、壁面や天井面の照度を確保できる照明器具となる。この照明器具11を主照明として用いた場合、空間全体の明るさ感が向上する。
【0042】
また、光反射部51を用いた場合には、LED光源群44(第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444)からの光は、セード131に反射して一部は第1反射部54(第11反射部541、第21反射部542、第31反射部543)に反射し、中心部側(図示左方)に照射される光が増加する(図示せず)。このため光反射部51を用いない場合よりも中心部側(図示左方)に広く配光される照明器具となる。
【0043】
以上説明した本実施形態に係る照明器具11によれば、LEDを光源とする照明器具11において、LED光源群44(第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444)の間にそれぞれ第1反射部54と第2反射部55とを有する光反射体52(第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523)を配したことで、LED光源群44から直接照射される光やセード31に反射した光は、光反射体52(第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523)により器具本体21の中心部方向から器具本体21の周縁部方向に向けて拡散され、広角配光が可能となる。これにより空間の明るさ感を構成する天井面及び壁面照度が向上し、直下照度を含めた適正照度を実現させることができる。
【0044】
また、LEDの光をレンズを用いずに広角配光することが可能となるため、LED42の性能を有効に発揮させることができ、省エネルギー性能を向上させることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る照明器具11について、図8を用いて説明する。本実施形態に係る照明器具11では、光反射部51は、光反射体52(第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523)の第1反射部54(第11反射部541、第21反射部542、第31反射部543)と第2反射部55(第12反射部551、第22反射部552、第32反射部553)との間に器具本体の周方向に連続して形成される第3反射部56(第13反射部561、第23反射部562、第33反射部563)を設けた点が第1の実施形態に係る照明器具11と大きく異なっている。第1の実施形態に係る照明器具11と共通する部分については説明を省略する。
【0046】
図8に示すように、本実施形態に係る照明器具11の場合には、LED光源群44(第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444)からの光は、セード131に反射して一部は第3反射部56(第13反射部561、第23反射部562、第33反射部563)に反射し、周縁部側(図示右方)に照射される光が増加する(第33反射部563の反射光参照。)。このため光反射部51を用いない場合よりも壁面や天井面への配光が増加し、壁面や天井面の照度を確保できる照明器具となる。この照明器具11を主照明として用いた場合、空間全体の明るさ感が向上する。
【0047】
また、本実施形態に係る照明器具11の場合には、第1の実施形態に係る照明器具11の光反射部51(図6参照。)よりも光反射体52(第1光反射体521、第2光反射体522、第3光反射体523)の高さを抑えることができる。第1の実施形態に係る照明器具11の光反射部51では、光反射体52がLED光源群44の光を遮ってしまう場合があり、セード31に光むらが生じる場合があるが、本実施形態に係る照明器具11の場合には、このような光むらが防止される。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る照明器具11によれば、光反射体51の高さを抑え、光反射体51の影によるセード31の光むらを防止するとともに、光反射部51の反射面を増大させることで光の拡散を促進させることができる。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る照明器具11について、図9、図10を用いて説明する。本実施形態に係る照明器具11では、光反射部51は、器具本体21の周縁部側の光反射体52における第2反射部55の幅を、器具本体51の中心部側の光反射体52における第2反射部55の幅よりも広くしている点が第1の実施形態に係る照明器具11と大きく異なっている。第2反射部55の幅とは、器具本体21の中心部から周縁部の方向に沿い、かつ、第2反射部55の面に沿った長さである。第1の実施形態に係る照明器具11と共通する部分については説明を省略する。
【0050】
図9に示すように、本実施形態に係る照明器具11の場合には、主として各光反射体52の高さを第1光反射体521<第2光反射体522<第3光反射体523とし、各光反射体52における第3反射部56の幅及び第2反射部55の(器具本体21に対する)傾斜角度を調整することで、第2反射部55の幅を、第12反射部551<第22反射部552<第32反射部553としている。このため、LED光源群44(第1LED光源群441、第2LED光源群442、第3LED光源群443及び第4LED光源群444)からの光は、セード131に反射した後、第2反射部55(第12反射部551、第22反射部552、第32反射部553)に反射しやすくなり、周縁部側(図示右方)に照射される光が増加する。図9に示すように、発光強度の強い光も周縁部側(図示右方)に照射されている(第22反射部552、第32反射部553の反射光参照。)。このため壁面や天井面への配光が更に増加し、壁面や天井面の照度を確保できる照明器具となる。この照明器具11を主照明として用いた場合、空間全体の明るさ感が向上する。
【0051】
図10は、本実施形態に係る照明器具11の変更例を示している。図10の場合には、図9に対して主として第1光反射体521の第12反射部551の傾斜角度を変化させている。これにより、発光強度の強い光が図9よりも更に多く周縁部側(図示右方)に照射されている(第12反射部551、第22反射部552、第32反射部553の反射光参照。)。
【0052】
以上説明した本実施形態に係る照明器具11によれば、器具本体21の周縁部に近い第2反射部55によって器具本体21の周縁部方向に向けて反射させる光を増大させることができ、天井面及び壁面照度を更に向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、照明器具11は丸型としたが、角型やその他の形状としてもよい。また、シーリングライトの他、ペンダントライト等に適用してもよい。
【0054】
本実施形態の光源部41は、4本のLED光源群44により構成されているが、LED光源群44の本数を限定するものではない。また、各LED光源群44及び各光反射体52は、器具本体21の周方向に沿って配置されるとしたが、これはLED光源群44による配光がセード31に対して略均一になることを意図したものであり、配光が略均一になる限りは、各LED光源群44及び各光反射体52の配置は、厳密に器具本体21の周方向に沿った配置でなくてもよい。また、例えば照明器具11(器具本体21)が楕円形、角型等である場合においても、各LED光源群44及び各光反射体52の配置は、厳密に器具本体21の周方向に沿った配置でなくてもよい。
【0055】
光反射部51の各部の形状、幅、傾斜角度等は本実施形態のものに限定されない。光反射部51の各部の形状、幅、傾斜角度等は、光源部41の配置、セード31の形状等、あるいは配光すべき方向に合わせて適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
11 照明器具
21 器具本体
22 光源取付部
23 収容部
24 取付用穴
25 第1保持部
26 第2保持部
31 セード
32 穴
33 下面側透光部
34 側面側透光部
35 上面側透光部
36 中心側透光部
37 第1被保持部
38 第2被保持部
41 光源部
42 LED
43 基板
44 LED光源群
51 光反射部
52 光反射体
53 内側反射体
54 第1反射部
55 第2反射部
56 第3反射部
57 LED配設部
61 電源装置
62 コネクタ
71 センターカバー
72 反射面
73 第3被保持部
131 セード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源とする照明器具であって、
器具本体と、
前記器具本体を覆うセードと、
前記器具本体の周方向に配置される複数のLEDにより構成されるLED光源群が、前記器具本体の中心部から周縁部の方向に間隔をおいて複数配置される光源部と、
前記器具本体の中心部側に向けて傾斜し、かつ前記器具本体の周方向に連続して形成される第1反射部と、前記器具本体の周縁部側に向けて傾斜し、かつ前記器具本体の周方向に連続して形成される第2反射部とを有する光反射体が、隣接する前記LED光源群の間に配置される光反射部と、
を備える照明器具。
【請求項2】
前記光反射部は、前記光反射体の前記第1反射部と前記第2反射部の間に、前記器具本体の周方向に連続して形成される第3反射部を備えた、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記光反射部は、前記各光反射体における前記第1反射部、前記第2反射部又は前記第3反射部の幅、高さ又は傾斜角度の少なくともいずれか1つを他の前記光反射体における前記第1反射部、前記第2反射部又は前記第3反射部の幅、高さ又は傾斜角度と異ならせることで、前記器具本体の周縁部側の光反射体における第2反射部の幅が、前記器具本体の中心部側の光反射体における第2反射部の幅よりも広くなるようにした、請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記光反射部は、複数の光反射体を一体に形成するとともに、LEDを露出させる複数のLED配設部を備えた、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−256447(P2012−256447A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127551(P2011−127551)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【Fターム(参考)】