説明

照明器具

【課題】蛍光灯の蛍光管に替えて、耐久性能や省エネルギ性能に優れているLED電球を利用できる簡易な構造の照明器具を安価に提供する。
【解決手段】固定基盤13にそれぞれ設けた複数の電球取付ユニット18により複数のLED電球19をそれぞれ取り付ける。各電球取付ユニット18は、固定基盤13の穴17に固着して固定基盤13の上方へ突出させたソケット固定筒の上部内に電極ソケットを嵌着し、上記電極ソケットを係止手段により上記ソケット固定筒の上部内に位置決め係止する。LED電球19は、電球口金部を電極ソケットに接続した状態で、電球放熱部を、ソケット固定筒の下端開口に対し全周の間隙を介して非接触状態に保ち、電球発光部を、ソケット固定筒の下方に突出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード電球を用いる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードランプ(以下、「LEDランプ」という)を現行の蛍光灯などの照明器具に用いる場合は、常夜灯として用いる従来例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、白熱電球と比較して耐久性能や省エネルギ性能に優れている発光ダイオード電球(以下、「LED電球」という)を、現行の白熱電球や電球形蛍光ランプに替わる電球として用いる従来例がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242808号公報(第4頁、図3)
【特許文献2】特開2007−242435号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来は、LEDランプまたはLED電球を、蛍光灯などの照明器具に補助的に用いるか、または白熱電球や電球形蛍光ランプに替えて用いるようにしているが、一般的に普及している蛍光灯の蛍光管に替えてLED電球を用いるものはない。
【0006】
蛍光管とLED電球とでは、それらの形態が著しく異なるため、単に蛍光管をLED電球に置き換えることはできず、照明器具の構造を変更する必要があるものの、そのような構造変更を安価に行なうことは容易でない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、蛍光灯の蛍光管に替えて、耐久性能や省エネルギ性能に優れている発光ダイオード電球を利用できる簡易な構造の照明器具を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、固定基盤と、上記固定基盤に設けられた発光ダイオード電球を取り付けるための電球取付ユニットとを備え、上記電球取付ユニットは、上記固定基盤に一体に設けられて上記固定基盤の上方へ突出された上下端開口状のソケット固定筒と、上記ソケット固定筒の上部内に嵌着された電線接続用の電極ソケットと、上記電極ソケットを上記ソケット固定筒の上部内に位置決め係止する係止手段とを具備し、上記発光ダイオード電球は、上記ソケット固定筒の下端開口より上記ソケット固定筒内に挿入した電球口金部を上記電極ソケットに接続した状態で、上記電球口金部の下側に位置する電球放熱部を、上記ソケット固定筒の下端開口に対し全周の間隙を介して非接触状態に保ち、上記電球放熱部の下方に位置する電球発光部を、上記ソケット固定筒の下方に突出させる位置に設定された照明器具である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の照明器具における上記電球取付ユニットが、3つ以上設置され、そのうちの1つの電球取付ユニットは、上記固定基盤の中央部に、上記固定基盤に対して垂直に設けられ、他の複数の電球取付ユニットは、上記中央部の電球取付ユニットを中心とする周囲に配置され、下方に向かって上記中央部の電球取付ユニットから離反する方向へ傾斜状に設けられた照明器具である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の照明器具における上記ソケット固定筒が、上記電極ソケットの下部に形成された小径部に臨んで開口された通気孔を具備したものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の照明器具における固定基盤の下面に反射面が形成されたものである。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の照明器具における上記固定基盤が、硬質塩化ビニル板を加工して形成され、上記ソケット固定筒は、上記発光ダイオード電球および上記電極ソケットの径に適合する硬質塩化ビニル薄肉管を加工して形成されたものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、固定基盤に設けられた電球取付ユニットは、上記固定基盤に一体に設けられて上記固定基盤の上方へ突出されたソケット固定筒の上部内に、電極ソケットを嵌着して係止手段により位置決め係止するので、簡易な筒状構造物により既存の電極ソケットを固定基盤上に固定することができ、さらに、上記発光ダイオード電球は、上記ソケット固定筒の下端開口より上記ソケット固定筒内に挿入した電球口金部を電極ソケットに接続した状態で、上記電球口金部の下側に位置する電球放熱部を、上記ソケット固定筒の下端開口に対し全周の間隙を介して非接触状態に保ち、上記電球放熱部の下方に位置する電球発光部を、上記ソケット固定筒の下方に突出させる位置に設定されたので、発光ダイオード電球の電球口金部および電球放熱部をソケット固定筒内に格納した状態で、発光ダイオード電球の電球発光部を固定基盤の下面近傍に配置でき、蛍光灯の蛍光管に替えて、耐久性能や省エネルギ性能に優れている発光ダイオード電球を利用できる簡易な構造の照明器具を安価に提供できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、1つの電球取付ユニットは固定基盤の中央部に垂直に設けられ、他の複数の電球取付ユニットは、中央部の電球取付ユニットの周囲に配置され、下方に向かって中央部の電球取付ユニットから離反する方向へ傾斜状に設けられたので、少なくとも3灯以上の発光ダイオード電球により広範囲を照明できる簡易な構造の照明器具を提供できる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、上記ソケット固定筒の下端開口に対する全周の間隙から上記ソケット固定筒内に吸い込まれた新鮮な空気が、上記発光ダイオード電球の上記電球放熱部を経て、上記電極ソケットの小径部に臨んで上記ソケット固定筒に開口された通気孔より外部へ排出される構成にしたので、新鮮な空気を多量に上記電球放熱部に供給して、上記電球放熱部を効率良く冷却でき、その温度上昇を効率良く抑制できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、固定基盤の下面に反射面が形成されたので、固定基盤の下面近傍に配置された発光ダイオード電球の電球発光部から上方に向かう光も反射面で反射させて効率良く下方へ照射でき、照度の向上を図れる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、安価で加工容易な硬質塩化ビニル板を加工して固定基盤が形成され、安価で加工容易な硬質塩化ビニル薄肉管を加工して上記発光ダイオード電球および上記電極ソケットの径に適合するソケット固定筒が形成されるので、発光ダイオード電球を取り付けることができる照明器具を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る照明器具の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】同上照明器具の斜視図である。
【図3】同上照明器具の電球取付ユニットを示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】同上電球取付ユニットの分解斜視図である。
【図6】本発明に係る照明器具の他の実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る照明器具のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る照明器具のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る照明器具のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る照明器具のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る照明器具のさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、図1乃至図5に示された一実施の形態および図6に示された他の実施の形態、図7乃至図11にそれぞれ示されたさらに別の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1乃至図5に示された一実施の形態を説明する。
【0021】
図1および図2は、和風吊下げ式の照明器具Aを示し、この照明器具Aは、天井部材11にチェンなどの吊り具12により吊下げ可能な固定基盤13の周囲に和風の外装カバー14が取り付けられている。この固定基盤13の下面には、白色または同等の明色系塗料による反射塗装や、時には鏡面化仕上が施された反射面13aが形成されている。
【0022】
上記固定基盤13は、その中央部に穿設された穴17と、この中央部の穴17の周囲に穿設された複数の穴17とを備え、これらの複数の穴17には、少なくとも3つ以上の複数(図2の場合5個)の電球取付ユニット18がそれぞれ固定され、これらの電球取付ユニット18に、耐久性能や省エネルギ性能に優れている複数の発光ダイオード電球(以下、「LED電球」という)19がそれぞれ取り付けられている。
【0023】
上記固定基盤13としては、3mm以上の板厚を有する硬質塩化ビニル板が、加工容易性を有する安価な材料として望ましく、例えば、硬質塩化ビニル板としては、白色の5mm厚板、アイボリー色の3〜15mm厚板などがあるので、これらを加工すると良い。
【0024】
図2に示されるように、1つの電球取付ユニット18は、上記固定基盤13の中央部の穴17に、上記固定基盤13に対して垂直に固着され、他の複数の電球取付ユニット18は、上記中央部の電球取付ユニット18を中心とする周囲の複数の穴17に配置され、下方に向かって上記中央部の電球取付ユニット18から離反する方向へ傾斜状に固着されている。図2に示される5つの電球取付ユニット18を備えた5灯型は、8畳程度の大きさを有する部屋に適する。
【0025】
固定基盤13の中央部に穿設された穴17は、真円に形成し、その周囲に穿設された複数の穴17は、電球取付ユニット18が傾斜する方向に長軸を有する楕円に形成して、固定基盤13の各穴17と各電球取付ユニット18のソケット固定筒21との間に隙間が生じないようにする。
【0026】
図3および図4に示されるように、上記複数の電球取付ユニット18は、上記固定基盤13の穴17に下部を嵌着された上下端開口状のソケット固定筒21が、上記固定基盤13の上方へ突出された状態で接着剤により一体に固着され、上記ソケット固定筒21の上部内に電線接続用の電極ソケット22が嵌着され、上記電極ソケット22は、係止手段23により上記ソケット固定筒21の上部内に位置決め係止されている。
【0027】
各電球取付ユニット18の係止手段23は、予め上記ソケット固定筒21内に接着剤で一体に固着されたソケット係止環23aにより上記電極ソケット22の下部を位置決め係止するとともに、上記ソケット固定筒21の上端開口21aに被嵌して接着剤、螺合部または係合凹凸部などで固定されたキャップ23bにより上記電極ソケット22を上側から係止する構造である。
【0028】
図3に示されるように、上記ソケット固定筒21は、その左右両側面部に、上記電極ソケット22の下部に形成された小径部22bsに臨んで上記ソケット係止環23aの下側に開口された例えば直径10mm程度の複数の通気孔25をそれぞれ備えている。この通気孔25は、LED電球19から発生する熱を上記ソケット固定筒21の外部へ放出するための放熱孔であるが、LED電球19から発生する熱量は白熱電球から発生する熱量に比べて極端に少ないため、必要としない場合もあるが、この通気孔25を設けることで過熱を確実に防止でき、製品に対する信頼性を高めることができる。
【0029】
上記電極ソケット22は、一般的に市販されている白熱電球用の上部ソケット22aおよび下部ソケット22bにより構成されたパナソニック社製のレセプタクルソケットであり、上部ソケット22aの下側面には、図4に示されるように、給電端子26が中央部に配置され、この給電端子26と一体成形の端子板26aに一方電極配線27の接続端子27aが結線用ネジ28により結線されている。
【0030】
また、上記給電端子26を取り巻くようにネジ状のソケット金具29が同心状に配置され、このソケット金具29と一体成形の端子板29aに他方電極配線30の接続端子30aが結線用ネジ31により結線されている。
【0031】
給電端子26に接続された一方電極配線27と、ソケット金具29に接続された他方電極配線30は、配線上の混乱を防止するために、それらのビニル被覆を例えば白と赤とで色分けしておくとよい。
【0032】
各々の結線用ネジ28,31により各々の端子板26a,29aに結線された各々の配線27,30は、図4に示されるように上部ソケット22aに穿設された2つの電線引出穴32をそれぞれ経て、上部ソケット22aの上側に引き出され、さらに、図5に示されるように上部ソケット22aの上部縁に設けられた切欠溝32aおよびキャップ23bの周壁部の一部に設けられた切欠溝32bを経て外部へ引き出されている。
【0033】
上記下部ソケット22bは、上部ソケット22aの給電端子26、ソケット金具29、端子板26a,29aおよび結線用ネジ28,31を覆う保護カバーとして機能し、この下部ソケット22bに形成された小径部22bsには、その内周面に、上部ソケット22aのソケット金具29と螺合する螺旋凸条部(図示せず)が形成されているので、この小径部22bsをソケット金具29に外側から螺合することで、下部ソケット22bを上部ソケット22aに一体化することができる。
【0034】
図3に示されるように、上記LED電球19は、上記ソケット固定筒21の下端開口21bより上記ソケット固定筒21内に挿入した電球口金部33を、上記電極ソケット22のソケット金具29に螺入して機械的および電気的に接続するとともに、上端中央に位置するアイレット部34を給電端子26に押し付けて電気的に接続し、この接続時に上記電球口金部33の下側に位置する電球放熱部35を、上記ソケット固定筒21の下端開口21bに対し全周の間隙36を介して非接触状態に保ち、上記電球放熱部35の下方に位置する電球発光部37を、上記ソケット固定筒21の下方に突出させ、かつ反射面13aの近傍に位置させる。
【0035】
上記LED電球19は、家庭用交流電源の電圧を一定の低電圧に下げるとともに直流に変換する電源回路を、個々に内蔵しており、流れる電流を抑制することで光量を減らすことも可能である。上記LED電球19としては、現状では、6.9ワット型および8.7ワット型が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0036】
上記ソケット固定筒21は、排水管などに用いられる硬質塩化ビニル薄肉管(いわゆる塩ビVU管)が、加工容易性を有する安価な材料として望ましく、例えば、上記LED電球19および上記電極ソケット22の径に適合する塩ビVU管50A(外径60mm)を一定長さ(例えば90mm)に加工して形成する。
【0037】
上記ソケット係止環23aは、上記ソケット固定筒21と同径の例えば塩ビVU管50Aを上記ソケット固定筒21より短く(例えば15mm)、かつ、1箇所に切欠部38を設けて縮径可能に形成する。
【0038】
上記キャップ23bとしては、上記ソケット固定筒21と同様の塩ビVU管50Aに適用される管継手用キャップなどを利用するとよい。このようなものが、加工容易性および耐久性を有する安価な材料として望ましい。
【0039】
次に、上記照明器具Aの部品組付手順を説明する。
【0040】
先ず、ソケット固定筒21の内部に、図5に示されるように切欠部38により縮径可能なソケット係止環23aを縮径させて嵌入し、予めソケット係止環23aの外周面に塗布しておいた接着剤により、このソケット係止環23aを図3に示されるようにソケット固定筒21の内周面に固着する。
【0041】
固定基盤13に穿設された複数の穴17に複数のソケット固定筒21を、それらの下部がやや突出するように長さを揃えて嵌着し、その嵌着部分に接着剤を注入して固着する。
【0042】
各電極ソケット22の各上部ソケット22aにそれぞれ設けられた給電端子26の端子板26aに一方電極配線27の接続端子27aをそれぞれ結線用ネジ28により結線し、また、各電極ソケット22の各上部ソケット22aにそれぞれ設けられたソケット金具29の端子板29aに他方電極配線30の接続端子30aをそれぞれ結線用ネジ31により結線し、さらに、これらの一方電極配線27と他方電極配線30を、図4に示されるように各上部ソケット22aに設けられた1対の電線引出穴32からそれぞれ各上部ソケット22a上に引き出しておき、複数の上部ソケット22a間で予め渡り配線をしておく。
【0043】
このようにして配線終了した各上部ソケット22aに各下部ソケット22bをそれぞれ螺合して各電極ソケット22を一体化し、これらの各電極ソケット22を各ソケット固定筒21の上端開口21aから内部にそれぞれ嵌入して、各下部ソケット22bをソケット係止環23aによりそれぞれ係止し、さらに、各ソケット固定筒21の上端部分にそれぞれ被嵌した各キャップ23bにより各上部ソケット22aを上側からそれぞれ固定する。
【0044】
その際、一方電極配線27および他方電極配線30は、上部ソケット22aの切欠溝32aおよびキャップ23bの切欠溝32bを経て外部へ引き出すようにする。キャップ23bは、その内周面に予め接着剤を塗布しておいてソケット固定筒21の上端部分に固着するか、または上部ソケット22aの上部外周面およびキャップ23bの内周面に螺合部あるいは係脱可能な係合凹凸部を形成しておいて取り外し可能に固定する。
【0045】
最後に、固定基盤13に、チェンなどの吊り具12および外装カバー14などを取り付け、各電球取付ユニット18にそれぞれLED電球19を取り付ける。
【0046】
次に、図1乃至図5に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0047】
中央部の電球取付ユニット18と、下方に向かって中央部の電球取付ユニット18から離反する方向へ傾斜状に設けられた電球取付ユニット18にそれぞれ取り付けられた各LED電球19の電球発光部37から下方へ向かって拡大された光を照射するとともに、電球発光部37の直近に位置する固定基盤13の反射面13aにより、各電球発光部37から上方へ向かう光を下方へ反射させ、照度の向上を図る。各LED電球19の光量は、操作可能位置に設置された調光制御器(図示せず)により調節し、必要に応じて光量を絞る。
【0048】
LED電球19が点灯しているとき、その電球放熱部35は、ソケット固定筒21の下端開口21bに対し全周の間隙36を介して非接触状態に保たれるため、電球放熱部35の熱がソケット固定筒21に直接伝達されることはなく、LED電球19の電球放熱部35が60℃程度まで温度上昇した場合でも、ソケット固定筒21の表面全体からの放熱作用および通気孔25からの放熱作用により、ソケット固定筒21の電球放熱部近接部位は21℃を超えることはない。例えば、7球(8.7ワット)のLED電球19を用いて1日の使用時間が平均15時間ほどで半年以上使用しているが、21℃を超える異常な温度上昇は発生しないことが確認されている。
【0049】
特に、電球放熱部35の表面では、熱による上昇気流が生じているので、上記間隙36からソケット固定筒21の内部に新鮮な空気が吸い込まれ、この空気は、電球放熱部35の表面に沿って上昇しながら温度も上昇するが、通気孔25から外部へ排出されるので、上記間隙36から通気孔25への新鮮な空気の流れによって放熱作用が効率良く行なわれ、ソケット固定筒21の温度上昇を確実に抑制できる。
【0050】
固定基盤13の穴17に固定された電球取付ユニット18は、上記固定基盤13の穴17に固着されて上記固定基盤13の上方へ突出されたソケット固定筒21の上部内に嵌着された電極ソケット22を、上記係止手段23により位置決め係止するので、簡易な筒状構造物により既存の電極ソケット22を固定基盤13上に固定することができ、さらに、上記LED電球19は、上記ソケット固定筒21の下端開口21bより上記ソケット固定筒21内に挿入した電球口金部33を電極ソケット22に接続した状態で、上記電球口金部33の下側に位置する電球放熱部35を、上記ソケット固定筒21の下端開口21bに対し全周の間隙36を介して非接触状態に保ち、上記電球放熱部35の下方に位置する電球発光部37を、上記ソケット固定筒21の下方に突出させるようにしたので、LED電球19の電球口金部33および電球放熱部35をソケット固定筒21内に格納した状態で、LED電球19の電球発光部37を固定基盤13の下面近傍に配置でき、蛍光灯の蛍光管に替えて、耐久性能や省エネルギ性能に優れているLED電球19を利用できる簡易な構造の照明器具Aを安価に提供できる。
【0051】
1つの電球取付ユニット18は固定基盤13の中央部に垂直に設けられ、他の複数の電球取付ユニット18は、中央部の電球取付ユニット18の周囲に配置され、下方に向かって中央部の電球取付ユニット18から離反する方向へ傾斜状に設けられたので、少なくとも3灯以上のLED電球19により広範囲を照明できる簡易な構造の照明器具Aを提供できる。
【0052】
上記ソケット固定筒21の下端開口21bに対する全周の間隙36から上記ソケット固定筒21内に吸い込まれた新鮮な空気が、上記LED電球19の上記電球放熱部35を経て、上記電極ソケット22の小径部22bsに臨んで上記ソケット固定筒21に開口された通気孔25より外部へ排出される構成にしたので、新鮮な空気を多量に上記電球放熱部35に供給して、上記電球放熱部35を効率良く冷却でき、その温度上昇を効率良く抑制できる。
【0053】
固定基盤13の下面に反射面13aが形成されたので、固定基盤13の下面近傍に配置されたLED電球19の電球発光部37から上方に向かう光も反射面13aで反射させて効率良く下方へ照射でき、照度の向上を図れる。
【0054】
固定基盤13は、安価で加工容易な硬質塩化ビニル板を加工して形成されるとともに、ソケット固定筒21、ソケット係止環23aおよびキャップ23bは、排水管などとして大量に市販されている安価で加工容易な硬質塩化ビニル薄肉管およびその管継手キャップを加工して形成されるので、とりわけ、LED電球19および電極ソケット22の径に適合する硬質塩化ビニル薄肉管VU50Aを用いて、ソケット固定筒21を簡単に形成できるので、LED電球19を取り付けることができる照明器具Aを安価に提供できる。
【0055】
そして、既存照明器具の外装カバー14は、そのまま再利用できるので、廃棄物を減少させる省資源を図ることができ、上記LED電球19により省電力を図れることと相俟って、二酸化炭素の削減に貢献できる。
【0056】
なお、上記キャップ23bは、吊下げ式の照明器具Aに適合するもので、外観上配慮されたものであるが、機能的には必ずしも必要ではなく、次に示すようなビス止式でも良い。
【0057】
次に、図6に示された他の実施の形態を説明する。この図6に示された実施の形態は、上記キャップ23bを用いた係止手段23を、より簡易な係止手段39に変更した点に特徴がある。
【0058】
すなわち、各電球取付ユニット18において、上記ソケット固定筒21の上部内に上記電極ソケット22を位置決め係止する係止手段39は、予め上記ソケット固定筒21内に接着剤で固着されたソケット係止環23aにより上記電極ソケット22の下部を係止するとともに、上記ソケット固定筒21の上部側面に設けられた複数の下穴23cにそれぞれ螺入されたビス23dにより上記電極ソケット22の上部ソケット22aを側面から係止する構造である。
【0059】
このビス止式の係止手段39は、配線終了した上部ソケット22aに下部ソケット22bを螺合して一体化した各電極ソケット22を、ソケット固定筒21内に納めた際に、粘着テープなどにより各電極ソケット22をソケット固定筒21に仮止めして固定位置を決めた状態で、ソケット固定筒21にドリルで複数の下穴23cを開けて、この下穴23cにビス23dをねじ込むようにして螺入し、そのビス23dの先端で各電極ソケット22を係止すると良い。なお、接着剤で止める場合もある。
【0060】
このビス23dによる係止手段39は、図3に示された前記キャップ23bを不要とすることで、材料の節約、工数の削減、これらに伴うコスト削減を図ることができる。
【0061】
次に、図7は、さらに別の実施の形態を示し、固定基盤13に4組の電球取付ユニット18が配設されて、4灯形に構成された和風吊下げ式の照明器具Aを示す。この4灯形は、6畳程度の大きさを有する部屋に適する。
【0062】
次に、図8は、さらに別の実施の形態を示し、この図8に示された照明器具Bは、シーリングライト式であり、丸形の固定基盤13に穿設された複数の穴17に複数の電球取付ユニット18がそれぞれ固定され、これらの電球取付ユニット18に複数の発光ダイオード電球としてのLED電球19がそれぞれ取り付けられた構造と、1つの電球取付ユニット18は、上記固定基盤13の中央部に上記固定基盤13に対して垂直に設けられ、他の複数の電球取付ユニット18は、上記中央部の電球取付ユニット18を中心として周囲に配置され、かつ、下方に向かって上記中央部の電球取付ユニット18から離反する方向へ傾斜状に設けられた構造は、上記吊下げ式の照明器具Aと同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0063】
上記吊下げ式の照明器具Aと異なる点は、キャップ式の係止手段23ではなく、図6に示されたビス止式の係止手段39を用いる点と、複数の電球取付ユニット18がそれぞれ嵌入される複数の穴が穿設された石膏ボードなどの補強板40により、天井部材11に大きな取付穴41を開けた場合の強度不足を補い、この取付穴41内に複数の電球取付ユニット18の設置スペースを確保した点と、取付ネジ42により固定基盤13を補強板40とともに天井部材11に直付けした点と、固定基盤13の周縁部に一体形成された係合部43により外装カバー44を着脱自在に装着した点である。
【0064】
上記固定基盤13および上記外装カバー44は、既成の蛍光灯から蛍光灯基盤および蛍光管を取り外して再利用しても良い。外装カバー44は、この外装カバー44を回すことにより、あるいは押しボタンでガイドを押すことにより、固定基盤13の係合部43から外すようにする。
【0065】
そして、既存照明器具の固定基盤13および上記外装カバー44をそのまま再利用した場合は、廃棄物を減少させる省資源を図ることができ、上記LED電球19により省電力を図れることと相俟って、二酸化炭素の削減に貢献できる。
【0066】
このシーリングライト式の照明器具Bも、上記吊下げ式の照明器具Aと同様の作用効果が得られるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0067】
次に、図9乃至図11は、さらに別の実施の形態を示し、図9は、丸形の固定基盤13に7組の電球取付ユニット18が配設されて、7灯形に構成されたシーリングライト式の照明器具Bを示し、また、図10は、丸形の固定基盤13に5組の電球取付ユニット18が配設されて、5灯形に構成されたシーリングライト式の照明器具Bを示し、また、図11は、角形の固定基盤13に4組の電球取付ユニット18が配設されて、4灯形に構成された角型シーリングライト式の照明器具Bを示す。これらの作用効果も省略する。
【0068】
次に、図面に示された各実施の形態は、固定基盤13を硬質塩化ビニル板で形成するとともに、ソケット固定筒21およびソケット係止環23aを硬質塩化ビニル薄肉管で形成して、これらを接着剤で接着することにより一体に設けているが、これらは、単一のプラスチック(FRP:繊維強化プラスチックを含む)を用いて射出成型法またはプレス成型法などにより一体に成型しても良い。
【0069】
すなわち、本発明には、上記固定基盤13に上記電球取付ユニット18の上記ソケット固定筒21を上記プラスチックにより一体に成型し、上記ソケット固定筒21の上部内に上記電極ソケット22を位置決め係止する係止爪などの係止手段を上記プラスチックにより一体に成型した照明器具も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、照明器具の製造業者、販売業者、施工業者などにより利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
13 固定基盤
13a 反射面
18 電球取付ユニット
19 発光ダイオード電球としてのLED電球
21 ソケット固定筒
21a 上端開口
21b 下端開口
22 電極ソケット
22bs 小径部
23 係止手段
23a ソケット係止環
25 通気孔
33 電球口金部
35 電球放熱部
36 間隙
37 電球発光部
39 係止手段
A 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定基盤と、
上記固定基盤に設けられた発光ダイオード電球を取り付けるための電球取付ユニットとを備え、
上記電球取付ユニットは、
上記固定基盤に一体に設けられて上記固定基盤の上方へ突出された上下端開口状のソケット固定筒と、
上記ソケット固定筒の上部内に嵌着された電線接続用の電極ソケットと、
上記電極ソケットを上記ソケット固定筒の上部内に位置決め係止する係止手段とを具備し、
上記発光ダイオード電球は、上記ソケット固定筒の下端開口より上記ソケット固定筒内に挿入した電球口金部を上記電極ソケットに接続した状態で、上記電球口金部の下側に位置する電球放熱部を、上記ソケット固定筒の下端開口に対し全周の間隙を介して非接触状態に保ち、上記電球放熱部の下方に位置する電球発光部を、上記ソケット固定筒の下方に突出させる位置に設定された
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
上記電球取付ユニットは、3つ以上設置され、
そのうちの1つの電球取付ユニットは、上記固定基盤の中央部に、上記固定基盤に対して垂直に設けられ、
他の複数の電球取付ユニットは、上記中央部の電球取付ユニットを中心とする周囲に配置され、下方に向かって上記中央部の電球取付ユニットから離反する方向へ傾斜状に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
上記ソケット固定筒は、
上記電極ソケットの下部に形成された小径部に臨んで開口された通気孔
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。
【請求項4】
固定基盤は、下面に反射面が形成された
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の照明器具。
【請求項5】
上記固定基盤は、硬質塩化ビニル板を加工して形成され、
上記ソケット固定筒は、上記発光ダイオード電球および上記電極ソケットの径に適合する硬質塩化ビニル薄肉管を加工して形成された
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−59572(P2012−59572A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202257(P2010−202257)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(501333331)株式会社シー・エッチ▲高▼野 (2)
【Fターム(参考)】