説明

照明器具

【課題】今後増加するであろうLEDランプ及び器具本体のバリエーションに対応するソケットを個別に用意する必要の無い照明器具を提供する。
【解決手段】LEDランプ1の口金11,12が着脱自在に装着されるソケット2と、ソケット2が取り付けられるアダプタ3と、アダプタ3を介してソケット2を機械的に保持する器具本体4とを備え、アダプタ3に、器具本体4に固定される固定部としてスリット31aを有する側板31を設け、器具本体4の長手方向における両端部にそれぞれ設けられた取付台部40の各取付片40aを各スリット31aに挿入することで、アダプタ3を器具本体4に固定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプを光源とする照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内又は屋外に設置される照明器具の光源として蛍光灯が多く用いられてきた。一般に使用されている直管型の蛍光灯は、放電ガスが充填されるとともに蛍光体が内面に塗布されたランプ本体と、ランプ本体の長手方向の両端に各々設けられて電源に接続するための1対の給電用端子を夫々有する口金とを備えている。このような蛍光灯は、各給電用端子を器具本体に取付けられる1対のソケットのピン穴にそれぞれ差し込むことによりソケットに装着される。そして、蛍光灯の各給電用端子が点灯装置を介して商用電源に接続されることで、蛍光灯に点灯電力が供給されて点灯するように構成されている。
【0003】
近年では、LED(発光ダイオード)の発光効率の上昇に伴って、低消費電力で且つ長寿命であるLEDランプが照明器具の光源として用いられる事が可能となっており、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。このようなLEDランプは、既存の蛍光灯用の照明器具でも使用できるように、例えば従来の直管型の蛍光灯と同様のランプ本体と口金とを備えて構成される。但し、従来の蛍光灯とは異なり、ランプ本体の内部には、一面に複数のLEDを実装した基板が収納される。而して、既存の蛍光灯用の照明器具にLEDランプを取付けて使用することができるため、LEDランプ用に新たに照明器具を製造する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−43447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の蛍光灯用の照明器具では、蛍光灯のランプ本体及び口金の形状や寸法等の規格が定まっていることから、蛍光灯が装着されるソケットの規格も定まっている。蛍光灯用のソケットには、蛍光灯を装着するための構造と、器具本体に取付けるための構造とが一体に備わっている。したがって、照明器具の器具本体にソケットを取付けるだけで蛍光灯を着脱自在に装着することができる。
【0006】
一方、上記のような照明用の光源としてのLEDランプの登場はごく最近の事であり、従来の蛍光灯のようにLEDランプの規格が定まっていない。このため、LEDランプのランプ本体の形状や寸法、及び口金の形状や寸法等はLEDランプを製造する製造者(メーカ)に応じて多種多様である。また、LEDの高出力化に伴ってLEDランプが小型化されると、小型化に応じてランプ本体及び口金の形状や寸法等が変更されるため、更に多種多様となる。
【0007】
したがって、従来の蛍光灯用の照明器具のソケットを使用することができず、多種多様なLEDランプ毎に対応する構造を有するソケットを用意しなければならない。更に、照明器具の器具本体に関しても、従来の蛍光灯用の器具本体のみならず他の形態を有する器具本体を採用する可能性がある。このことから、器具本体毎に対応する構造を有するソケットを用意しなければならず、結果として、今後増加するであろうLEDランプ及び器具本体のバリエーションに対応するソケットを個別に用意しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、今後増加するであろうLEDランプ及び器具本体のバリエーションに対応するソケットを個別に用意する必要の無い照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明器具は、LEDランプの口金が着脱自在に装着されるソケットと、前記ソケットが取り付けられるアダプタと、前記アダプタを介して前記ソケットを機械的に保持する器具本体とを備え、前記アダプタには、前記器具本体に固定される固定部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
この照明器具において、前記ソケットは、前記LEDランプの口金に設けられた端子が電気的に接続される接続金具を有し、前記アダプタは、前記ソケットの接続金具と前記器具本体に設けられた導電部とを電気的に接続するための接続手段を有することが好ましい。
【0011】
この照明器具において、前記LEDランプの口金に設けられた端子は接地用端子であって、前記アダプタの接続手段は、前記ソケットの接続金具を介して前記接地用端子を前記器具本体に接地させることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、従来の蛍光灯用のソケットとは異なり、LEDランプを装着するための構造と、器具本体に取付けるための構造とをソケットとアダプタとで別体に設けている。したがって、今後増加するであろうLEDランプ及び器具本体のバリエーションに対応するソケットを個別に用意する必要が無い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る照明器具の実施形態を示す図で、(a)はソケットをアダプタに取付ける前の要部斜視図で、(b)はアダプタを器具本体に取付ける前の要部斜視図で、(c)はアダプタを器具本体に取付けた後の要部斜視図である。
【図2】同上のソケットのアダプタへの取付方法を示す図で、(a)は正面図で、(b)は(a)におけるa−a’線断面矢視図である。
【図3】同上のLEDランプを示す斜視図である。
【図4】同上の組立前の状態を示す分解斜視図である。
【図5】同上のLEDランプを取り付けた状態を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、図1(a)における上下を上下方向と定めるものとする。本実施形態は、図1(a)に示すように、直管型のLEDランプ1が着脱自在に装着される1対(図示では1つ)のソケット2と、ソケット2が取り付けられるアダプタ3と、アダプタ3を介してソケット2を機械的に保持する器具本体4とを備える。
【0015】
LEDランプ1は、図3に示すように、直管形のランプ本体10と、ランプ本体10の長手方向における両端に設けられた口金11,12と、各口金11,12からそれぞれ突設される1対の丸棒状の給電用端子13、接地用端子14とから構成される。ランプ本体10の内部には、図示しないが複数のLEDを実装した基板が収納されており、これらLEDのアノード及びカソードと各給電用端子13とが電気的に接続されている。而して、給電用端子13を介して各LEDに点灯電力を供給することでLEDランプ1を点灯させるようになっている。
【0016】
ソケット2は、図1(a)に示すように、外郭がU字状に形成された箱体から成るソケット本体20と、ソケット本体20の上端部に一体に形成されて後述するアダプタ3の取付孔30aの外周縁に載置される矩形板状の基台部21とから構成される。ソケット本体20の下端部には、下面及び前面(図1(a)における紙面手前側の面)が開口するとともに、LEDランプ1の接地用端子14の頭部14aをスライド自在に挿入可能とする挿入凹部20aが設けられている。この挿入凹部20aの内部には、接地用端子14の頭部14aを挟持して機械的に保持する1対の刃受け22が設けられている。この刃受け22は、一端部に接地用ピン24が設けられているL字状の連結片23の他端部に設けられている。これらの部材は例えば銅等の導電性材料から成る金属板から一体に形成されている。接地用ピン24は、基台部21から下向きに突出する形で設けられており、ソケット2をアダプタ3に取付ける際に後述するアダプタ3のピン挿入孔30bに挿入される。
【0017】
また、ソケット本体20の短手方向(図1(a)における左右方向)における両側面には、外向きに突出する断面三角形状の突部20bがそれぞれ一体に形成されている。ここで、ソケット本体20の短手方向の幅寸法は、アダプタ3の取付孔30aの前記方向における幅寸法よりも小さい。一方、各突部20bが設けられた位置におけるソケット本体20の短手方向の幅寸法は、取付孔30aの前記方向における幅寸法よりも大きくなっている。但し、各突部20bを取付孔30aの内周縁に押し当てることでソケット本体20を取付孔30aに挿入できるようになっている。
【0018】
尚、上記の説明では、1対のソケット2のうち接地用端子14が接続される側のソケット2について説明したが、他方のソケット2の構造も基本的に同じである。但し、他方のソケット2では、挿入凹部20a及び刃受け22の構造が給電用端子13を機械的に保持するための構造となっている。この給電用端子13を機械的に保持するための構造は、従来の蛍光灯用ソケットの構造と同じであり従来周知なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0019】
アダプタ3は、図1(a)に示すように、正方形状の主板30と、主板30の対向する2辺から各々上向きに突出する矩形状の1対の側板31とを一体に形成して成る。主板30には、厚み方向に貫通するとともにソケット2のソケット本体20を挿入可能とする矩形状の取付孔30aが設けられている。また、主板30の取付孔30aの近傍には、厚み方向に貫通するとともにソケット2の接地用ピン24を挿入可能とする円形状のピン挿入孔30bが設けられている。
【0020】
各側板31には、その長手方向の一端縁(図1(a)における右端縁)から他端縁(図1(a)における左端縁)の手前にかけて細長のスリット31aが切り欠いて設けられている。各スリット31aの長手方向の一端部は開口されており、この開口部分から器具本体4の後述する取付片40aをスライド自在に挿入可能としている。したがって、各スリット31aを含めた各側板31が器具本体4に固定される固定部となる。尚、各スリット31aの開口部分には、外に向かうに従って上下方向の幅寸法が大きくなるようなテーパ31bがそれぞれ設けられている。而して、アダプタ3を器具本体4の後述する取付台部40に取付ける際に、各テーパ31bに沿わせて各スリット31a内に取付片40aを挿入することができるので、アダプタ3を容易に取付けることができる。
【0021】
器具本体4は、図4に示すように、下面を開口した長尺の箱体から成り、その上面の長手方向における中央部には、天井等の造営面Aの上方から埋込孔A1を介して垂下される電源線B1を通すための円形状の電線挿入孔4aが設けられている。また、器具本体4上面の長手方向における電線挿入孔4aを挟んだ両側には、造営面Aの上方から埋込孔A1を介して垂下される吊ボルトB2を通すためのボルト挿入孔4bがそれぞれ設けられている。また、器具本体4内部における電線挿入孔4aの近傍には、電源線B1が接続されるコネクタや点灯装置を構成する回路部品41が設けられている。点灯装置は、電源線B1を介して供給される商用電源(図示せず)からの交流電力をLEDランプ1を点灯させるために必要な直流電力に変換し、当該直流電力をソケット2を介してLEDランプ1に供給するものである。尚、このような点灯装置は従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0022】
器具本体4の長手方向における両端部には、図4に示すように、アダプタ3を取付固定するための取付台部40がそれぞれ設けられている。取付台部40は、図1(a)に示すように、例えば金属板を断面コ字状に折り曲げて成り、その下端縁にはアダプタ3の各スリット31aに挿入される取付片40aが一体に形成されている。而して、取付台部40の各取付片40aをアダプタ3の各スリット31aに挿入することで、アダプタ3が器具本体4に取付固定されるようになっている。
【0023】
また、器具本体4の長手方向における中央部を挟んだ両側には、図4に示すように、器具本体4を造営面Aの埋込孔A1内に取付けるための取付具42がそれぞれ設けられている。取付具42は、例えば金属材料から成り、その下面には、後述する反射体5を器具本体4に取付けるための取付ねじSが締め付けられる雌ねじ部(図示せず)が内面に形成されたねじ孔42aが設けられている。また、取付具42には、その器具本体4の短手方向に沿った両側からそれぞれ下向きに湾曲する形で1対の支持片42bが一体に形成されている。これら支持片42bは、器具本体4の短手方向に沿って撓み自在となっている。これら支持片42bは、器具本体4を造営面Aの埋込孔A1に埋込配設する際に、埋込孔A1の内周縁に押されて互いに近付く向きに撓む。而して、各支持片42bが復帰する向きの付勢力によって埋込孔A1の内周縁を押圧するため、器具本体4が埋込孔A1内で固定される。
【0024】
反射体5は、図4に示すように、例えばアルミ材等から成り、下面が開口するとともに下面側に向かうにつれて開口面積が大きくなる長尺の箱体に形成されている。この反射体5の内面は反射材(図示せず)で塗装されており、これによりLEDランプ1からの光を下方へ反射する反射面が形成されている。また、反射体5の上面の長手方向における両端部には、ソケット2を反射体5の内側に配置するための矩形状のソケット挿入孔5aがそれぞれ設けられている(図示では1つ)。更に、反射体5の上面には、取付ねじSが挿入される1対の円形状のねじ挿入孔5bが取付具42の各ねじ孔42aに対応するように設けられている。
【0025】
以下、本実施形態の組立方法について図面を用いて説明する。先ず、図2(a),(b)に示すように、ソケット本体20の下端部をアダプタ3の取付孔30aに上側から挿入し、ソケット本体20の各突部20bと基台部21との間でアダプタ3の取付孔30aの周縁を挟み込むことで、ソケット2をアダプタ3に取付ける。この時、ソケット2の接地用ピン24がアダプタ3のピン挿入孔30bに挿入される。而して、ソケット2は、図1(b)に示すような形でアダプタ3に取付けられることになる。次に、器具本体4の取付台部40の各取付片40aにアダプタ3の各スリット31aを開口部分から挿入し、アダプタ3を押し込むようにスライドさせる。而して、アダプタ3は、図1(c)に示すような形で器具本体4の取付台部40に取付固定される。尚、上記では、一方のソケット2及びアダプタ3を器具本体4の長手方向の一端部に取付ける場合について説明したが、他方のソケット2及びアダプタ3も同様の方法で器具本体4の長手方向の他端部に取付けることができる。
【0026】
次に、図4に示すように、造営面Aの上方から垂下される電源線B1、及び2本の吊ボルトB2を器具本体4の電線挿入孔4a、及び1対のボルト挿入孔4bにそれぞれ挿入する。そして、電源線B1を回路部品41のコネクタに接続するとともに、器具本体4の下側から各吊ボルトB2にワッシャWを嵌めた状態でナットNを締め付けることで、器具本体4を造営面Aの埋込孔A1に埋込配設することができる。その後、各ソケット2を反射体5の各ソケット挿入孔5aに挿入し、取付ねじSを反射体5の各ねじ挿入孔5b、及び取付具42のねじ孔42aに挿入して締め付けることで、反射体5を器具本体4に取付けることができ、本実施形態の組立が完成する。そして、LEDランプ1の各口金11,12を各ソケット2に装着することでLEDランプ1を本実施形態に取付けることができる(図5参照)。
【0027】
上述のように、本実施形態では、アダプタ3を介してソケット2を器具本体4に機械的に保持させている。即ち、従来の蛍光灯用のソケットとは異なり、LEDランプ1を装着するための構造と、器具本体4に取付けるための構造とをソケット2とアダプタ3とで別体に設けている。このため、今後増加するであろうLEDランプ1及び器具本体4のバリエーションに対応する従来のようなソケットを個別に用意する必要が無い。
【0028】
例えば、既存のLEDランプ1を既存の器具本体4とは形態の異なる器具本体4に取付ける場合を考える。この場合、従来のようなソケット2及びアダプタ3が一体となったソケットでは、新たな器具本体4に対応するソケットを別途製造する必要がある。一方、本実施形態のようにソケット2及びアダプタ3が別体であれば、新たな器具本体4に対応するアダプタ3のみを別途製造すればよいため、ソケット2を別途製造する必要が無い。更に、1種類のアダプタ3に複数種類のソケット2を取付可能とすれば、製造する必要のあるアダプタ3の種類を少なくすることができ、製造に必要なコストを低減することができる。
【0029】
ところで、各ソケット2は、LEDランプ1の各口金11,12に設けられた給電用端子13及び接地用端子14が電気的に接続される接続金具として刃受け22を有している。また、アダプタ3は、各ソケット2の刃受け22と器具本体4に設けられた導電部(図示せず)とを電気的に接続するための接続手段を有している。
【0030】
本実施形態では、アダプタ3及び器具本体4の取付台部40が何れも金属材料から形成されている。このため、接地用端子14が接続される側のソケット2では、刃受け22及び接地用ピン24と接地用端子14が電気的に接続され、且つ接地用ピン24がアダプタ3及び取付台部40と電気的に接続される。而して、アダプタ3及び取付台部40が上述の接続手段として機能し、接地用端子14を器具本体4に接地させている。
【0031】
尚、本実施形態では、一方の口金11のみに給電用端子13を設ける構成であるが、各口金11,12にそれぞれ給電用端子13を設けてもよい。また、他方の口金12の接地用端子14をダミーピンで構成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 LEDランプ
12 口金
2 ソケット
3 アダプタ
31 側板(固定部)
31a スリット(固定部)
4 器具本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDランプの口金が着脱自在に装着されるソケットと、前記ソケットが取り付けられるアダプタと、前記アダプタを介して前記ソケットを機械的に保持する器具本体とを備え、前記アダプタには、前記器具本体に固定される固定部が設けられたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ソケットは、前記LEDランプの口金に設けられた端子が電気的に接続される接続金具を有し、前記アダプタは、前記ソケットの接続金具と前記器具本体に設けられた導電部とを電気的に接続するための接続手段を有することを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記LEDランプの口金に設けられた端子は接地用端子であって、前記アダプタの接続手段は、前記ソケットの接続金具を介して前記接地用端子を前記器具本体に接地させることを特徴とする請求項2記載の照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−9393(P2012−9393A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146567(P2010−146567)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】