説明

照明器具

【課題】輝度ムラを低減して器具効率を向上させることができ、かつ部品を共通化してコスト的にも有利な照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体10と;器具本体の外縁部14、15に配設される半導体発光素子21と;半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体30と;半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体40と;半導体発光素子および反射体を覆う透光部材50と;を具備する照明器具を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の半導体発光素子を光源としたシーリングライト等の照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明器具として、住宅等の天井面に設置された引掛シーリングに着脱可能に装着される器具本体と、器具本体の下面側に配設される環形蛍光ランプと、環形蛍光ランプを覆い器具本体の下面に着脱可能に取り付けられる透光部材を備えたシーリングライトが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また近年、半導体発光素子、例えば、発光ダイオードの発光効率の向上により、一般照明用の光源として発光ダイオードを採用する照明器具が商品化され、この種の一般住宅用のシーリングライト等の照明器具においても、光源の一部、例えば、常夜灯の光源を発光ダイオードで構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、特許文献3に示されるように、ハウジング内に長尺な光源と長尺な凸レンズ、乱反射層と空気層、さらにハウジングの出射面に光拡散層を備えた中空サイドライト方式の面照明装置が知られ、主に液晶バックライトや看板灯に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−128147号公報
【特許文献2】特開2003−242808号公報
【特許文献3】特許第2657472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1および2に示されるような環形蛍光ランプを光源とするシーリングライトの場合には、住宅用としてやわらかい光が好まれる。このために発光面となる透光部材の輝度ムラ、特に環形蛍光ランプに伴うリング状の明るいイメージおよび中心部分に生じる暗部を抑えることから、透光部材に光の拡散性が高くて透過率の低い材料を使用する、その結果、一般的に器具効率(器具光束/ランプ光束)は50%程度で低くなっている。このため、光源として発光ダイオードをそのまま使用した場合、発光面に対して発光ダイオードを万遍なく配置させても、発光ダイオード自体の輝度が高いために、透光部材にイメージが発生して輝度ムラが生じ、やはり透光部材に光り拡散性が高くて透過率の低い材料を使用せざるを得ない。
【0006】
また、特許文献3に示されるような、中空サイドライト方式にした場合、比較的容易に表示面の輝度の均斉度を高めることが可能となるが、住宅用のシーリングライトはバックライトや看板灯とは根本的に構造が異なりハウジング構造になっておらず、剥き出しの反射面に光源を取り付けて、全体を曲面形状の透光部材で覆っている構造になっている。このため、シーリングライトの場合には、中空サイドライト方式のように光源部分をハウジングで隠すことができず、特に光源部付近に明暗の輝度ムラが生じやすくなり、透光部材に光り拡散性が高くて透過率の低い材料を使用せざるを得なくなり器具効率が低下してしまう。
【0007】
また、中空サイドライト方式の反射面(特許文献3の乱反射層)は、出射面の輝度均斉度を高めるために、その形状や反射特性が設計されているが、出射部の形状が変わった場合には、それに応じた反射面の設計変更も必要となる。一方、住宅用シーリングライトの場合、部屋の雰囲気に合わせた数多くの透光部材形状の機種、ラインナップがあり、中空サイドライト方式をシーリングライトにそのまま採用すると、それぞれの機種ごとに異なる反射面が必要となり、開発コスト、および部品コスト等が高騰する問題がある。
【0008】
このため、住宅用シーリングライト等の照明器具の光源を発光ダイオード等の半導体発光素子にする場合には、発光面である透光部材の輝度ムラを低減して器具効率を向上させると共に、機種ごとの反射面の設計変更を不用にしてコスト的に問題の生じない照明器具を如何に実現するかが重要な課題となっている。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、輝度ムラを低減し、かつ部品を共通化してコスト的にも有利な照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の照明器具の発明は、器具本体と;器具本体の外縁部に配設される半導体発光素子と;半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と;半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と;半導体発光素子および反射体を覆う透光部材と;を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明により、半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と、半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と、半導体発光素子および反射体を覆う透光部材により、反射体の形状や反射特性を、典型的な透光部材形状に対して均斉度が得られるように設計し、透光部材の輝度ムラを低減することが可能となり、反射体を共通化することができる。
【0012】
本発明において、照明器具は、住宅用のシーリングライト等が好適であるが、住宅用に限らず、オフィス等施設・業務用の照明器具であってもよい。形状は円形、楕円形等の丸形、正方形や長方形等の角形、さらには6角形や8角形等の多角形状をなしていてもよく、特定の形状には限定されない。
【0013】
器具本体は、鉄板等の金属に白色塗装を施したものや白色の合成樹脂で円盤状のシャーシーとして構成され、中央部には天井等の器具取付面に設置された引掛シーリングに着脱可能に設置されるアダプタや、光源を点灯するための点灯装置を有するものが許容される。また形状は照明器具の形状に合わせた形状をなしていても、照明器具の形状とは別の形状をなしていてもよい。
【0014】
半導体発光素子は、発光ダイオードや半導体レーザーなど、半導体を発光源とした発光素子が許容される。また半導体発光素子は、長尺な直線または曲線等をなす発光モジュールとして構成され、必要な個数が選択されて器具本体の外縁部に配設されることが好ましいが、長尺でなく丸または角形の点状光源をなすように構成しても、またモジュールの形態にすることなく発光素子を単品で直接組み込んで構成する等、その手段は特に限定されない。器具の外縁部の全周囲に配設しても、例えば、角形をなす照明器具において、対向する辺にのみ配設するようにしてもよい。
【0015】
レンズ体は、半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御して広がりを持って出射させる長尺な凸レンズ等のレンズ体が好ましい。また、発光モジュールにレンズ体が一体に組み込まれていてもよい。さらに、レンズ体は、例えば、焦点を出た光が無収差の平行光となってレンズを出るコリメータレンズが好適であるが、これには限定されず、半導体発光素子からの光を平行光にして出射させる機能を有する全てのレンズ体が許容される。
【0016】
反射体は、鉄板等の金属に白色塗装を施したものや白色の合成樹脂で構成されもの、若しくはアルミニウムやステンレス等の金属を鏡面加工したものなどが許容され、両端部を光源に対向し、中間部分から器具本体の略中央部に向かって傾斜させた形状をなしている。傾斜部分は連続的に徐々に傾斜させたものでも、階段状など不連続に傾斜させたものであってもよい。
【0017】
透光部材は、光源および反射体を覆い、透光性を有する乳白色の半透明な合成樹脂、または強化ガラス等で構成されたものが許容される。色は乳白色に限定されず、用途、雰囲気等にあわせた各種の色が許容される。形状は、丸形、角形、多角形等に構成して各種形状の照明器具を構成することが好ましい。
【0018】
請求項2に記載の照明器具の発明は、器具本体と;器具本体の外縁部に配設される半導体発光素子と;半導体発光素子の光出射方向に対向して配置される長尺なコリメータレンズと;半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と;半導体発光素子および反射体を覆う透光部材と;を具備することを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の照明器具において、前記コリメータレンズは、平滑な入射面と;入射面の中心に第一焦点を有する断面略楕円形状をなす出射面と;を具備することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3記載の照明器具において、前記半導体発光素子は、その発光中心がコリメータレンズの第一焦点より透光部材側に位置して配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と、半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と、半導体発光素子および反射体を覆う透光部材により、全体として輝度ムラを低減し、かつ器具効率を向上させることが可能な半導体発光素子を光源とした照明器具を提供することができる。
【0022】
また、反射体の形状や反射特性を、典型的な透光部材形状に対して輝度均斉度が得られるように設計して輝度ムラを低減することが可能となり、部品を共通化してコストの高騰を抑制した照明器具を提供することができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、半導体発光素子の光出射方向に対向して配置される長尺なコリメータレンズにより、光を反射体に照射し、光を効率的に利用して均斉度を高めて、全体として輝度ムラを低減し、かつ器具効率を向上させることが可能な半導体発光素子を光源とした照明器具を提供することができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、平滑な入射面と、入射面の中心に第一焦点を有する断面略楕円形状をなす出射面を有するコリメータレンズにより、光を反射体に照射し、光を効率的に利用して均斉度を高めて、全体として輝度ムラを低減し、かつ器具効率を向上させることが可能な半導体発光素子を光源とした照明器具を提供することができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、半導体発光素子は、その発光中心がコリメータレンズの第一焦点より透光部材側に位置して配設されることにより、上向きの光が抑制されて輝度ムラが抑制され、効率よく高い均斉度を得ることができ、全体として輝度ムラを低減し、かつ器具効率を向上させることが可能な半導体発光素子を光源とした照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る照明器具を示し、(a)は縦断面図、(b)は透光部材を外した状態の平面図。
【図2】同じく照明器具の器具本体の外縁部を拡大して示す断面図。
【図3】同じく照明器具の光源体の正面図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る照明器具の縦断面図。
【図5】同じく照明器具のコリメータレンズの特性を説明するための断面図。
【図6】同じく照明器具のコリメータレンズの支持部分を示し、(a)は一部を切り欠き断面して示す斜視図、(b)は正面図。
【図7】同じく照明器具の実験結果を示し、透光部材の光源側θ1から中心側θ20における均斉度を示すグラフ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0028】
図1〜図3に示すように、本実施例の照明器具は、器具取付面Aに設置される器具本体10、半導体発光素子からなる光源体20、レンズ体30、反射体40および透光部材50で構成する。
【0029】
器具本体10は、鉄板等の金属に白色塗装を施した一辺が約500mmの正方形をなすシャーシーとして構成され、シャーシーの略中央部には天井等の器具取付面Aに設置された引掛シーリング11に着脱可能に設置されるアダプタ12を設ける。さらに、アダプタ12の周囲の空間部に光源体20を点灯するための点灯装置13を取り付け、対向する辺の外縁部14、15に光源体20を設置するための設置部16、17を設ける。図中18は、リモコン受光部である。
【0030】
光源体20は、半導体発光素子、本実施例では発光ダイオード21(以下「LED」と称す)で構成し、複数個のLED21を発光素子基板22に配置した直線状の長さが約100mmの線状の発光モジュール23として構成し、必要な個数、本実施例では5本の発光モジュールが選択されて1本の長尺な光源体20を構成する。この長尺な光源体20を2本用意して、器具本体10の対向する辺の外縁部14、15に設けられた設置部16、17に1本ずつ、発光部である各LED21がそれぞれ対向するようにして器具本体の外縁部に配設される。すなわち、器具本体のそれぞれの設置部16、17にはシャーシーから一体に形成された支持板24が立設され、支持板に各発光モジュールの発光素子基板22を取り付けて支持する(図2)。この支持板24は、各LED21の放熱板の作用を兼ね、また支持板の後面と後述する透光部材50の外周部内面との間で形成される空間部s内に、各LED21と点灯装置13を配線するためのコード等を収納する。
【0031】
レンズ体30は、各LED21の光出射方向に対向し近接して配置され、LEDからの光を平行光にして広がりを持って出射させる長尺な凸レンズで構成し、支持板24に別途の支持具(図示せず)により取り付けられる。レンズ体30は、長さ約100mmの5本の発光モジュール23(全長約500mm)を全て覆って対向して配設できるように、長さ約500mmの1本の長尺な凸レンズで構成する(図3)。これにより、長尺な凸レンズによって長さ約100mmの5本の発光モジュール23の繋ぎ目の目地部分を覆い隠すことができ、レンズ体からはムラのない均一な光が放射される。なお、このレンズ体30は、上記各発光モジュール23自体にレンズが組み込まれている場合には設置を省略してもよい。
【0032】
反射体40は、鉄板等の金属に白色塗装を施した平板状をなし、両端部を2本のそれぞれの光源体20における各LED21に対向し、中間部分から器具本体の略中央部に向かって連続的に徐々に傾斜させた傾斜部41を形成する。反射体は、器具本体10を構成するシャーシーの略中央部に、ネジ若しくはスポット溶接等の手段で固定される。
【0033】
透光部材50は、透光性を有する乳白色の半透明な合成樹脂で構成し、浅い皿状の球面状をなす発光部51と、器具本体10の外縁部14、15に対応する部分に外周部を残して上面を開口することにより形成した開口部52とを一体に形成し、器具本体の下方から被せることにより、光源体20および反射体40を覆うように器具本体の下面全体を囲むようにして取り付けられる。なお、透光部材50は公知の凹凸の係合手段や取付金具等の手段で器具本体の外縁部に着脱可能に取り付けられる。
【0034】
上記のように構成されたシーリングライトからなる照明器具は、天井等の器具取付面Aに設けられた引掛シーリング11にアダプタ12を係合し、アダプタを器具本体に係合することにより、電気的に電源と接続されると同時に、機械的に支持され設置される(図1)。
【0035】
上記に設置された照明器具を点灯すると、光源体20の各LED21が発光し、LEDから放射された光はレンズ体30により、略平行な方向、すなわち、反射体40の傾斜部41に向かって放射され、さらに反射体で反射して透光部材50を内面側から照射し、部屋全体にわたり略均一な明るさで照明する。この際、光源体20が器具本体10の外縁部14,15に配設され、従来のように環形蛍光ランプが器具本体の中央部に存在しない。このため、ランプイメージが透光部材の照射中心部に現れずに均斉度が向上する。
【0036】
すなわち、器具本体10の外縁部14、15は、光源に近く、また5個の線状の発光モジュール23を接続して長尺な光源体を構成した繋ぎ目の目地部分が暗部となったり、製造バラツキ等によりLED21とレンズ体30の隙間から光が漏れ透光部材50に照射されて輝線が出たり、さらに空間部s内に収納された光源体20と点灯装置13を配線するためのコード等の写りこみや影が出やすく、特に輝度ムラ対策が必要な部分となっている。
【0037】
本実施例の各LED21から発生した熱は、各発光モジュール23の発光素子基板22からシャーシーに一体に形成された支持板24を介して面積の広いシャーシーに伝達され効率よく放熱される。
【0038】
上述した照明器具は、部屋の雰囲気等に合わせた数多くの透光部材形状の機種、ラインナップに対して、次のように対応する。
【0039】
すなわち、照明器具における反射体40の形状や反射特性は、普及機種等の典型的な透光部材形状に対して輝度均斉度が得られるように設計し、意匠的に透光部材形状を変化させる機種に対しては、反射体は共通化する。これにより、反射体40をラインナップされた各機種に対して共通化することができ、開発コスト、および部品コストを削減することができる。
【0040】
以上、本実施例によれば、各LED21から発生した熱は、支持板24を介して面積の広いシャーシーに伝達され効率よく放熱される。
【0041】
器具本体10の光源体20を支持する支持板24と、透光部材50の外周部との間に空間部sが形成されるので、配線コード等の収納スペースとして活用することができる。
【0042】
反射体40をラインナップされた各機種に対して共通化することができ、コスト的にも有利な照明器具を提供することができる。
【0043】
以上、本実施例において、レンズ体30を5本の発光モジュール23を全て覆って対向して配設できるように、長さ約500mmの1本の長尺な凸レンズで構成したが、2本に分割して構成しても、さらに、個々の発光モジュール23に対応して5本に分割して構成してもよい。
【0044】
器具本体10の光源体20を支持する支持板24を、シャーシーと一体に形成したが、アルミニウム等で構成した別体の支持板で構成してもよい。この場合も支持板をシャーシーに取り付けることにより、熱的に接続されてLEDの放熱作用も行うことができる。
【0045】
角形の照明器具を構成して、光源体20を対向する外縁部14、15に2本配設したが、各4辺に計4本の光源を配置してもよい。さらに丸形の照明器具を構成し、発光モジュール23をリング状に連結して光源体を構成し、器具本体10の外縁部14、15の周囲全体にわたって配設するようにしてもよい。
【0046】
照明器具をペンダント形のシーリングライトを構成したが、天井直付け形のシーリングライトを構成しても、さらにオフィス等施設、業務用などの各種の照明器具を構成してもよい。
【実施例2】
【0047】
本実施例は、照明器具のレンズ体として、焦点を出た光が無収差の平行光となってレンズを出るコリメータレンズで構成したものである。
【0048】
以下、図4〜図7に従い、その構成を説明する。なお、各図には実施例1と同一部分には同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0049】
図4〜図6に示すように、照明器具は、器具取付面Aに設置される器具本体10、LED21からなる光源体20、LEDの光出射方向に対向して配置される長尺なコリメータレンズ60、実施例1と同様に光源体20のLED21に対向し器具本体10の略中央部に向かって傾斜させた反射体40、光源体20および反射体40を覆う透光部材50で構成する。本実施例における透光部材50は、全体が均一な肉厚で構成されている。
【0050】
コリメータレンズ60は、図6(a)に示すように、平滑な入射面61、入射面の中心に第一焦点aを有する断面略楕円形状をなす出射面62、入射面の上下部分を切り欠いて形成した断面三角形状の凹部63、63および凹部の両側に一体に形成した支持部64、64を有する。このコリメータレンズ60は、図5に示すように、入射面の第一焦点aを出た光が無収差の平行光となって断面略楕円形状をなす出射面62から出射される。
【0051】
上記構成のコリメータレンズ60は、図6(b)に示すように、長さ約100mmの5本の発光モジュール23(全長約500mm)を全て覆って対向して配設できるように、長さ約250mmの長尺なコリメータレンズ60を2本用意する。これにより、長尺なコリメータレンズ60によって長さ約100mmの5本の発光モジュール23の繋ぎ目の目地部分を覆い隠すことができ、コリメータレンズ60からはムラのない均一な光が放射される。
【0052】
上記2本のコリメータレンズ60は、光源体20における各LED21の発光中心bがコリメータレンズ60の第一焦点aより所定の寸法cだけ透光部材側(図5において上方、図6(a)において下方)に位置し、かつ平滑な入射面61に接するように配設される。コリメータレンズ60は、支持部64、64を使用して各発光モジュール23の発光素子基板22の表面側に取り付けて支持される。
【0053】
上記に構成したLED21およびコリメータレンズ60からなる光源体20を2本用意し、実施例1と同様に、器具本体10の対向する辺の外縁部14、15に設けられた設置部16、17に1本ずつ、発光部であるLED21がそれぞれ対向するようにして器具本体の外縁部に配設し、実施例1と同様に構成された反射体40を含めて覆うように透光部材50を被せて照明器具を構成する(図4)。なお透光部材50は上述したように実施例1とは異なり肉厚の均一なもので構成する。
【0054】
なお、コリメータレンズ60の入射面に形成した断面三角形状の凹部63、63内に、5本の発光モジュールそれぞれを電気的に接続するための配線コードや連結のための接続部品等を収納して構成する。
【0055】
上記に構成された照明器具において、器具の均斉度を実験により測定した。すなわち、図5に示すように、光源体20における各LED21の発光中心bをコリメータレンズ60の第一焦点aに対して所定の寸法c(yプラス方向とyマイナス方向(透光部材側(図5において上方)と反透光部材方向(図5において下方))に偏心させて、均斉度を測定した。
【0056】
その結果を表1に示す。LED中心線位置(寸法c)が約0.5mm(No.5)で均斉度が一番よくなり、中心線位置が0mmのLEDの発光中心bとコリメータレンズの第一焦点aを一致させた場合(No.3)と対比すると、均斉度が約1割向上していることが理解される。また、反対側(yマイナス方向)に偏心させた場合には約1割低下することが理解できる。なお、さらに透光部材側(yプラス方向に偏心させると均斉度は低下していく。
【0057】
また、上記のようにLED中心線位置を偏心させた場合の、透光部材の光源側θ1から中心側θ20における光源の軸に直交する中央線x−x(図1(b))上の光束を測定した。その結果を、図7のグラフに示す。この結果からもLED中心線位置(寸法c)が約0.5mm(No.5)で均斉度が一番よくなっていることが理解できる。
【0058】
【表1】

【0059】
上記の実験結果から明らかなように、本実施例の照明器具を点灯すると、均斉度が良好となって透光部材全体としての輝度ムラが低減し、均斉度を一層向上させることがでる。
【0060】
特に、レンズ体として焦点を出た光が無収差の平行光となってレンズを出るコリメータレンズ60を使用したので、光源の光を無駄なく前方の反射体に照射して光を効率的に利用することができると共に、目的とする均斉度を容易かつ確実に得ることができる。さらに、コリメータレンズ60により上向き(反透光部材側)の光が抑制されるため、輝度ムラが抑制され効率よく均斉度が得られる。しかも、透光部材50の透過率を変えることなく行えるので、一層簡易な手段で効果的な均斉度を得ることができる。
【0061】
さらに、上記実験で行ったように、LED中心位置、換言すれば、光源の位置を偏心させることにより、配光の制御も行うことが可能となる。因みに、コリメータレンズ60の焦点aに対して透光部材側(図5の上側)に偏心させると光は下向きに、反透光部材側(図5の下側)に偏心させると光は上向きになることが、上記の実験で明らかになっている。
【0062】
以上、本実施例において、コリメータレンズ60を5本の発光モジュール23を全て覆って対向して配設できるように、長さ約250mmの2本の長尺なレンズで構成したが、実施例1と同様に500mmの長さの1本のレンズで構成しても、さらに、個々の発光モジュールに対応して5本に分割して構成してもよい。コリメータレンズ60の入射面に形成した断面三角形状の凹部63、63は省略してもよい。
【0063】
また、本実施例におけるコリメータレンズ60を、実施例1の凸レンズ30に代えて使用し、コリメータレンズ60によって均斉度を向上させるとにより一層確実な均斉度を得るように構成してもよい。
【0064】
その他、本実施例における他の構成、作動、作用効果、変形例等は、実施例1と同様である。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
10 器具本体、
14、15 外縁部、
21 半導体発光素子、
30 レンズ体、
40 反射体
50 透光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
器具本体の外縁部に配設される半導体発光素子と;
半導体発光素子の光出射方向に対向して配置され、半導体発光素子の光を主として平行方向に制御するレンズ体と;
半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と;
半導体発光素子および反射体を覆う透光部材と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
器具本体と;
器具本体の外縁部に配設される半導体発光素子と;
半導体発光素子の光出射方向に対向して配置される長尺なコリメータレンズと;
半導体発光素子に対向し器具本体の略中央部に向かって傾斜させた反射体と;
半導体発光素子および反射体を覆う透光部材と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
前記コリメータレンズは、平滑な入射面と;
入射面の中心に第一焦点を有する断面略楕円形状をなす出射面と;
を具備することを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記半導体発光素子は、その発光中心がコリメータレンズの第一焦点より透光部材側に位置して配設されることを特徴とする請求項2または3記載の照明器具。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−9459(P2012−9459A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223759(P2011−223759)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2007−145208(P2007−145208)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】