説明

照明器具

【課題】施工作業を良好にでき、浸水を防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、鉛直方向に設置される筒状のポール13と、ポール13の上部において受光面が傾斜するように固定される太陽電池パネル16と、太陽電池パネル16により発電された電力を蓄える電源装置と、ポール13に取り付けられる灯具12と、ポール13の内外を連通する開口部22と、ポール13の内側に設けられた操作部27と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を取り込んで電力を発生する太陽光発電装置を装備して街路灯や天井灯等に適用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽電池パネルおよび太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源装置を有する太陽光発電装置と、灯具と、をポールに設けた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、ポールの内部を中空状とし、中空状の内部に、電源装置を載置する複数の載置棚を有する棚組立部材を挿脱自在に配設している。
特許文献1は、ポールの側面に電源装置を交換可能とする開口部を設け、この開口部に開閉自在な蓋部材を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−40303号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、電源装置のポール内部への装着を容易として組立作業や配線作業などの作業性を向上できる。
ところで、特許文献1と同様に、太陽電池パネルおよび太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源装置を有する太陽光発電装置と、灯具と、をポールに設けた照明器具が提案されている。
【0005】
このような従来の照明器具は、太陽光発電装置のように、体積および質量の重い構造体を固定するポールの開口部が地際部付近に設けられていた。
そのため、このような従来の照明器具は、ポールの強度を確保するために、ポールの径を大きくする必要があり、それにより、設計上およびデザイン面で良好ではなかった。
【0006】
また、このような従来の照明器具は、作業用のバケット車等の作業台においてポールの上部の施工を行いながら、地際部付近に設けられている開口部での点灯設定を行う等、作業者に余分な移動時間や作業工数を強いることが多い。
従って、このような従来の照明器具は、施工作業が良好ではなかった。
【0007】
さらに、このような従来の照明器具は、地際部付近に開口部を有するために、歩行者が容易に触れることができるので、いたずら等による器具破損や故障も懸念される。
さらにまた、このような従来の照明器具は、地際部付近に開口部を有するために、水害での浸水や冠水による開口部の内部の電子部品の故障も懸念される。
【0008】
加えて、このような従来の照明器具は、灯具の落下を防止するための落下防止具と、ポールの開口部を塞ぐ蓋の落下を防止するための落下防止具とが別個の構造になっていた。
従って、このような従来の照明器具は、施工作業が良好ではなかった。
【0009】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、施工作業を良好にでき、浸水を防止できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明器具は、鉛直方向に設置される筒状のポールと、前記ポールの上部において受光面が傾斜するように固定される太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルにより発電された電力を蓄える電源装置と、前記ポールに取り付けられる灯具と、前記ポールの内外を連通する開口部と、前記ポールの内側に設けられた操作部と、を備える。
【0011】
本発明に係る照明器具は、前記操作部が、前記灯具よりも上方に設けられている。
【0012】
本発明に係る照明器具は、前記操作部が、前記開口部とは反対側に設けられている。
【0013】
本発明に係る照明器具は、前記灯具と前記開口部を塞ぐ蓋部材との間に落下防止具を有する。
【0014】
本発明に係る照明器具は、前記落下防止具が、ワイヤである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る照明器具によれば、施工作業を良好にでき、浸水を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る一実施形態の照明器具の正面図
【図2】本発明に係る一実施形態の照明器具の側面図
【図3】本発明に係る一実施形態の照明器具に適用される蓋部材の水平断面図
【図4】本発明に係る一実施形態の照明器具の要部側面図
【図5】本発明に係る一実施形態の照明器具の一部破断要部側面図
【図6】本発明に係る一実施形態の照明器具の変形例の要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態の照明器具について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の照明器具10は、太陽光発電装置11と、灯具12と、を備える。
照明器具10は、地面91上に鉛直方向に設置される筒状のポール13と、ポール13の上端部に設けられたポール受部(図2参照)14と、ポール受部14に固定される器具本体15と、を備える。
【0018】
太陽光発電装置11は、器具本体15に収容された太陽電池パネル16と、電源装置(図2参照)17と、を備える。
太陽電池パネル16は、その受光面18が太陽に向くように傾斜されている。
太陽光発電装置11は、太陽電池パネル16により発電された電力が電源装置17により蓄えられ、電源装置17に蓄えた電力を灯具12に給電することにより、灯具12を点灯させる。
【0019】
ポール13は、例えばアルミニウム製の型材により円筒形状に形成されており、その基部に、地面91に埋設されるアンカー19を備えている。
ポール受部14は、溶接が可能な金属製であって、ポール13の上端部に取り付けられており、上部に、同じく溶接が可能な金属製の器具本体15が固定されている。
【0020】
灯具12は、例えば不図示の複数のLEDをLED基板に封止したLEDユニットであり、ポール13の上端部寄りにおいて取付ブラケット20を介して取り付けられることにより、地面91に向けた配光特性を有する。
灯具12は、LED基板にプリント回路を有し、プリント回路が電源装置17に電気的に接続されているために、電源装置17から給電されることにより点灯する。
なお、灯具12は、LEDユニットに限定されることはなく、電球や蛍光灯を適用することもできる。
【0021】
図2に示すように、ポール受部14は、ポール13の上端部にねじ21がねじ込まれることによりポール13に固定されている。
太陽光発電装置11は、太陽に向く器具本体15の前面に太陽電池パネル16を配置しており、器具本体15の背面に電源装置17を配置している。
ポール13は、上端部寄りに取り付けられている灯具12の反対側に、内外を連通する開口部22が設けられている。開口部22には、ねじ23がポール13にねじ込まれることにより蓋部材24が閉成されている。
【0022】
図3に示すように、蓋部材24は、水平断面視が半円筒形状に形成された蓋本体25を有し、この蓋本体25の凹形状部分に架け渡されたワイヤ受部26を有する。
図4に示すように、ポール13の内側には、開口部22の反対側に操作部27が設けられている。
操作部27は、作業者により、灯具12の点灯設定を行う制御盤であり、開口部22の反対側において灯具12の上側に配置されている。
従って、蓋部材24を取り外すことにより、開口部22を通じて操作部27を直視できるために、操作作業を簡単に行える。
【0023】
このとき、開口部22と同じ側に操作部27が配置されている場合、作業者は手を折り曲げて操作部27を操作することになり、煩雑な作業になって作業性が良好ではない。
また、操作部27は、ポール13の上端部寄りに取り付けられている灯具12よりも上方に設けられている開口部22の反対側に配置されている。
従って、従来のもののように、地際部付近に開口部を有さないために、歩行者が容易に触れることができず、いたずら等による器具破損や故障を防止でき、水害での浸水や冠水による開口部22の内部の操作部27の故障も防止できる。
【0024】
また、作業用のバケット車等の作業台においてポール13の上部の施工を行いながら、その位置において、開口部22での点灯設定を同時に行える。
従って、作業者に余分な移動時間や作業工数を強いることがなくなって、施工作業を良好にできる。
【0025】
図5に示すように、灯具12と蓋部材24のワイヤ受部26とに落下防止具であるワイヤ28がそれぞれ掛止されている。
ワイヤ28は、伸びがなく、入手し易い金属製や樹脂製の紐部材であって、一端部に有する灯具連結部29が灯具12および取付ブラケット20に係止されており、他端部に有する蓋部材連結部30が蓋部材24のワイヤ受部26に係止されている。
【0026】
ワイヤ28は、取付ブラケット20を含む灯具12の自重に十分耐えられる強度を有し、蓋部材24の自重に十分耐えられる強度を有する。
従って、高い強度を有して入手し易いワイヤ28を適用することにより、別途に作成する場合と比べて、コスト面で有利にできる。
【0027】
次に、照明器具10の施工手順について説明する。
まず、電源装置17から引き出されている不図示の器具配線をポール13の内側に引き込みながらポール13の上端部にポール受部14を挿入する。
次に、開成されている開口部22を通じて、電源装置17からの器具配線と、灯具12からポール13の内側へ引き出されている不図示の器具配線と、操作部27からポール13の内側に引き出されている不図示の器具配線と、を結線する。
【0028】
その後、ポール受部14を通じてポール13の上端部にねじ21をねじ込むことによりポール受部14をポール13にねじ固定する。
そして、開成されている開口部22を通じて、操作部27を操作することにより点灯設定を行う。
続いて、一端部の灯具連結部29が灯具12および取付ブラケット20に係止されているワイヤ28の他端部の蓋部材連結部30を開口部22から引き出して蓋部材24のワイヤ受部26に係止する。
そして、ねじ23をねじ込むことにより、開口部22を蓋部材24により閉成することにより、施工作業が完了する。
【0029】
照明器具10は、経年劣化に伴い、灯具12が取付ブラケット20から外れたり、取付ブラケット20がポール13から外れたりする場合がある。
しかし、取付ブラケット20を含む灯具12がポール13から外れたとしても、ワイヤ28の他端部の蓋部材連結部30が蓋部材24のワイヤ受部26に係止されている。
従って、灯具12および取付ブラケット20の落下を防止できる。
【0030】
また、開成されている開口部22を通じて、操作部27を操作して点灯設定を行う際に、蓋部材24は、他端部の蓋部材連結部30がワイヤ受部26に係止されているワイヤ28の一端部の灯具連結部29が灯具12および取付ブラケット20に係止されている。
従って、蓋部材24の落下を防止できる。
【0031】
このとき、灯具12および取付ブラケット20の落下を防止するため、および、蓋部材24の落下を防止するためのワイヤ28が単一である。
従って、従来のもののように、落下防止具が別個の構造になっていないので、施工作業を良好にできる。
【0032】
次に、照明器具10の変形例について説明する。
図6に示すように、本変形例において、ワイヤ28は、一端部に有する灯具連結部29が灯具12および取付ブラケット20に係止されており、他端部に有するポール連結部31がポール13の開口部22の上方の内側に有するワイヤ係止部32に係止されている。
【0033】
本変形例では、取付ブラケット20を含む灯具12がポール13から外れたとしても、ワイヤ28の他端部のポール連結部31がポール13の開口部22の上方の内側に有するワイヤ係止部32に係止されている。
従って、灯具12および取付ブラケット20の落下を防止できる。
【0034】
以上、説明した本発明に係る一実施形態の照明器具10によれば、従来のもののように、地際部付近に開口部を有さないために、歩行者が容易に触れることができず、いたずら等による器具破損や故障を防止できる。
そして、照明器具10によれば、水害での浸水や冠水による開口部22の内部の操作部27の故障を防止できる。
【0035】
また、照明器具10によれば、操作部27が灯具12よりも上方に配置されているために、水害での浸水や冠水による開口部22の内部の操作部27の故障を確実に防止できる。
【0036】
そして、照明器具10によれば、操作部27が開口部22の反対側において灯具12の上側に配置されているために、蓋部材24を取り外すことにより、開口部22を通じて操作部27を直視できるので、操作作業を簡単に行える。
【0037】
また、照明器具10によれば、灯具12および取付ブラケット20と、蓋部材24との落下を防止できる。
【0038】
そして、照明器具10によれば、従来のもののように、落下防止具が別個の構造になっていないので、単一部品のワイヤ28により施工作業を良好にできる。
【0039】
なお、本発明の照明器具において太陽電池パネル、器具本体、ポール、電源装置等は、前述した一実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 照明器具
12 灯具
13 ポール
16 太陽電池パネル
17 電源装置
18 受光面
22 開口部
27 操作部
28 ワイヤ(落下防止具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に設置される筒状のポールと、
前記ポールの上部において受光面が傾斜するように固定される太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルにより発電された電力を蓄える電源装置と、
前記ポールに取り付けられる灯具と、
前記ポールの内外を連通する開口部と、
前記ポールの内側に設けられた操作部と、を備える照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記操作部が、前記灯具よりも上方に設けられている照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明器具において、
前記操作部が、前記開口部とは反対側に設けられている照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記灯具と前記開口部を塞ぐ蓋部材との間に落下防止具を有する照明器具。
【請求項5】
請求項4に記載の照明器具において、
前記落下防止具が、ワイヤである照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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