説明

照明器具

【課題】密閉空間等放熱効果が期待できない場所に放熱部が位置する場合に、放熱効果をたかめることができる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体31の前面に収容された光源33から発せられた熱は、器具本体31の後側に一体的に設けられている放熱フィン311により放熱される。器具本体31は、前側に接続される枠体20を介して被取付部11に取り付けられる。枠体20の内部にはコーン40が収容されており、コーン40を器具本体31と熱的に結合するとともに、コーン40の内面に連続的に凹凸41を設けて表面積を増加させた。このため、光源33から発せられた熱は、器具本体31からコーン40に伝達されて、コーン40の内面に設けられている凹凸41から放熱される。これにより、放熱フィン311が密閉空間等放熱効果が期待できない場所に位置する場合でも、放熱効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を収容する器具本体の後部に放熱フィンを設けて放熱する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、器具本体に収容された光源が発する熱を、器具本体の後部に設けた放熱フィンにより放熱する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図4に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、器具本体101と、電源装置102と、端子台103を有する。器具本体101の前端部には、LEDを有する光源104が複数個取り付けられており、光源104を含む前方には、複数の反射面105Aを有する反射体105が設けられている。反射体105の前方には、反射体105の全面を覆う光拡散板106および被取付部である天井109等に取り付けられる枠体107が設けられている。
【0003】
一方、器具本体101の後部である電源装置102の外側には、光源104が発する熱を放熱するために、複数の板状の放熱フィン108が設けられている。
従って、光源104が発した熱は、天井109裏に位置する放熱フィン108により放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−187773号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、省エネルギーの観点から、被取付部である天井裏、壁裏、床材の裏等に断熱材を貼り付けて、家屋内部の断熱を図る構造物が増してきた。
このため、前述したような照明器具100の放熱フィン108が天井裏等に設けられる場合に、断熱材により密閉空間が形成され、十分な放熱性能を期待することが困難になってきたという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、密閉空間等放熱効果が期待できない場所に放熱部が位置する場合に、放熱効果を高めることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、前面に光源を収容する器具本体と、前記器具本体の後側に一体的に設けられた放熱フィンと、前記器具本体の前側に接続されて被取付部に取り付けられる枠体と、前記器具本体の前側に設けられて前記枠体に収容されるコーンと、を有し、前記コーンを前記器具本体と熱的に結合するとともに、前記コーンの内面に連続的に凹凸を設けたものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、前記コーンの凹凸が前記コーンの内面において前後方向に階段状に設けられており、前記凹凸の表面が、前記器具本体の外側または後側に向かって30度以下の傾きを有するものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記凹凸が、前記コーンの内面において照射方向に沿って設けられたものである。
【0010】
また、本発明の照明器具は、前記コーンが塗装されているものである。
【0011】
さらに、本発明の照明器具は、前記枠体の照射方向先端に設けられて前記被取付部の前面に突出する鍔部の前面が、外側に向かって後方に30度以下の傾きを有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、枠体の内部に収容されているコーンを器具本体と熱的に結合するとともに、コーンの内面に連続的に凹凸を設けて表面積を増加させたので、光源から発せられた熱は、器具本体からコーンに伝達されて、コーンの内面に設けられている凹凸から放熱される。このため、放熱フィンが密閉空間等放熱効果が期待できない場所に位置する場合でも、放熱効果を高めることができるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(A)は本発明に係る第1実施形態の照明器具の平面図であり、(B)は(A)中B方向から見た側面図であり、(C)は(B)中C方向から見た底面図
【図2】(A)は照明器具の断面図であり、(B)は(A)中B部分の拡大図
【図3】(A)は本発明に係る第2実施形態の照明器具の断面図であり、(B)はコーン内面の拡大斜視図
【図4】光源を収容する器具本体の後部に放熱フィンを設けて放熱する従来の照明器具の断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1(A)ないし(C)に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、被取付部である天井11に設けられている取付孔12に埋め込んで取付けられて、例えば、下方等を照明するものである。
【0015】
照明器具10は、天井11に取り付けられる枠体20と、枠体20に支持される灯具30を有する。
枠体20は、天井11の取付孔12に嵌め込まれる円筒形状の枠体本体21を有し、枠体本体21の下端には、天井11の下面に当接して露出する鍔部22を有する。枠体本体21の外面には、枠体20を天井11に取り付けるための取付ばね23が、所定間隔で複数個(例えば、3個)設けられている。取付ばね23は、常時下方(図1(B)中、矢印A方向)へ付勢されている。
従って、鍔部22と取付ばね23との間に天井11を挟むことにより、枠体20を天井11に固定する。
【0016】
灯具30は、多数の放熱フィン311を上下方向に有する灯具本体(器具本体)31を有する。放熱フィン311は、灯具本体31の後側に一体的に設けられている。灯具本体31の後部(上部)には、灯具本体31に直交する方向(水平方向)に伸びる電源装置32が取り付けられている。
なお、枠体本体21と灯具本体31とは、互いに熱的に接続された状態で取り付けられる。
【0017】
また、図2(A)に示すように、灯具本体31の前面(下面)には、光源であるLEDチップ33を実装したLEDユニット34および反射板35が取り付けられる。また、反射板35の照射方向前方には透光性を有するパネル36が取り付けられる。パネル36は例えばアクリル製のものを使用できるが、表面をしぼ加工したり、材料に拡散材を混入させるのが望ましい。
これにより、LEDチップ33からの光のむらを軽減したり、眩しさ感の緩和を図ることができる。
【0018】
LEDユニット34は、シリコーン等の絶縁シート37を介して灯具本体31の前面に取り付けられており、熱的には結合された状態で取り付けられている。すなわち、LEDユニット34は、灯具本体31に対して、電気的に絶縁された状態で接続されているが、熱は伝導される。
従って、電源装置32からLEDユニット34に点灯電力を供給することにより、LEDチップ33が発光する。そして、光源であるLEDチップ33が発した熱は、灯具本体31の放熱フィン311に伝達されて放熱される。
この場合、放熱フィン311が断熱材13で密閉されている場合には、放熱性に限界がある。
【0019】
枠体本体21の内部におけるLEDユニット34の前方には、コーン40が設けられている。枠体本体21およびコーン40は熱的に接続された状態で設けられており、例えば、アルミダイカストで一体成型することができる。あるいは、別々に成型し、接合面を密着させてねじ等で機械的に接触させることもできる。
従って、枠体本体21と灯具本体31とは、互いに熱的に接続された状態で取り付けられているので、コーン40は、灯具本体31と熱的に接続されることになる。
【0020】
コーン40の内面は、前後方向すなわち、照射方向前方(下方)に拡径する円錐台形状をしており、下方に開口している。コーン40の内面には、下方に向かって階段状に拡径する凹凸41が連続的に設けられている。
図2(B)にも示すように、凹凸41は、略水平方向(図2(B)中、横方向)に設けられたリング板状の横面42と、略上下方向(図2(B)中、縦方向)に設けられた円筒面状の縦面43を有する。
なお、コーン40の内面は、LEDユニット34からの光を所定範囲に反射する部位であるため、凹凸41は、細かい方が目立たずに好ましい。
【0021】
横面42は、コーン40の中心(図2(B)中、右側)に向かって上方へ傾斜しており、その傾斜角度θ1は30度以下となっている。また、縦面43は、下方に向かって外側(図2(B)中、左側)に傾斜しており、その傾斜角度θ2は、30度以下となっている。
また、横面42の幅B1と縦面43の幅B2との比率が1:1のときに、凹凸41を設けない場合に比して表面積が1.41倍となり、表面積が最大となるので望ましい。
なお、B1:B2が1:√3の時は、1.37倍の表面積となる。
【0022】
コーン40の内面は、鏡面仕上げの場合よりも、塗装した方が輻射効果が大きくなると思われる。例えば、一般的なアクリル、シリコーン、メラニン、ポリエステル系の塗料で効果が認められる。さらに、AlやSiO等を含有させた高放熱塗料を使用しても、効果が得られる。
また、図2(A)に示すように、枠体20の照射方向先端に設けられ、天井11の前面(下面)に突出する鍔部22の前面(下面)を、外側に向かって後方(上方)に傾斜させる。これにより、鍔部22の表面積を増加させて、放熱性を向上させる。
なお、天井11から露出することを考慮すると、傾斜角度θ3は、意匠性の観点から30度以下とするのが望ましい。
【0023】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、灯具本体31の前面に収容されたLEDチップ33から発せられた熱は、灯具本体31の後側に一体的に設けられている放熱フィン311により放熱される。
灯具本体31は、前側に接続される枠体20を介して天井11に取り付けられる。枠体20の内部にはコーン40が収容されており、コーン40を灯具本体31と熱的に結合するとともに、コーン40の内面に連続的に凹凸41を設けて表面積を増加させた。
このため、LEDチップ33から発せられた熱は、灯具本体31からコーン40に伝達されて、コーン40の内面に設けられている凹凸41から放熱される。
これにより、放熱フィン311が、天井裏の断熱材13により覆われて(図2(A)参照)放熱効果が期待できない場所に位置する場合でも、放熱効果を高めることができる。
【0024】
また、コーン40の凹凸41がコーン40の内面において上下方向に階段状に設けられており、凹凸41を構成する横面42および縦面43が、灯具本体31の外側または後側に向かって30度以下の傾きを有する。
このため、コーン40の成型性を保持して表面積を大きくできる。
【0025】
また、コーン40の内面には塗装が施されているので、コーン40による輻射放熱効果を高めることができる。
【0026】
さらに、天井11の下面に露出する鍔部22の下面が、外側に向かって上方に30度以下の傾きを有するので、表面積を大きくして放熱性を改善するとともに、傾きを設けることにより増加する厚みを抑えて外観を改善できる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0028】
図3(A)に示すように、第2実施形態に係る照明器具10Bでは、コーン40Bの内面に、照射方向(上下方向)に沿って凹凸41Bを設けた。これにより、コーン40Bの表面積を増加させるとともに、上下方向の空気の流れに沿って凹凸41Bが設けられるので、放熱性が向上する。
また、図3(B)に示すように、凹凸41Bは、コーン40Bの内面から中心に向かって先細りする台形状の断面を有する。これにより、成型性を保持しつつ、表面積を増す。
その他の構成は、前述した第1実施形態の照明器具10と同様である。
【0029】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bによれば、凹凸41Bが、コーン40Bの内面において照射方向(上下方向)に沿って設けられているので、コーン40Bの内面の表面積を増加させることができ、放熱効果をたかめることができる。
【0030】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0031】
10、10B 照明器具
11 天井(被取付部)
20 枠体
22 鍔部
31 灯具本体(器具本体)
311 放熱フィン
33 LEDチップ(光源)
40、40B コーン
41、41B 凹凸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に光源を収容する器具本体と、
前記器具本体の後側に一体的に設けられた放熱フィンと、
前記器具本体の前側に接続されて被取付部に取り付けられる枠体と、
前記器具本体の前側に設けられて前記枠体に収容されるコーンと、を有し、
前記コーンを前記器具本体と熱的に結合するとともに、前記コーンの内面に連続的に凹凸を設けた照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記コーンの凹凸が前記コーンの内面において前後方向に階段状に設けられており、前記凹凸の表面が、前記器具本体の外側または後側に向かって30度以下の傾きを有する照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、
前記凹凸が、前記コーンの内面において照射方向に沿って設けられた照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記コーンが塗装されている照明器具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の照明器具において、
前記枠体の照射方向先端に設けられて前記被取付部の前面に突出する鍔部の前面が、外側に向かって後方に30度以下の傾きを有する照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−65456(P2013−65456A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203363(P2011−203363)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】