説明

照明器具

【課題】カバーの垂れ下がりを抑える。
【解決手段】カバー2は、透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成されるものであって、例えば、ガラス繊維の織物、いわゆる、ガラスクロス(glass cloth)からなる。器具本体3の前方からカバー2が被せられ、第1支持部33先端の当接部33Aと、第2支持部34の先端部及び第3支持部35の先端部との間にカバー2が張り渡されるようにして器具本体3にカバー2が取り付けられる。故に、光源1を覆うカバー2が透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成されているので、従来例の合成樹脂製のカバーに比較して軽量化が図れ、その結果、カバー2の垂れ下がりを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に壁面を取付面とする照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面を取付面とする照明器具として特許文献1記載のものがある。この従来例は、壁面に取り付けられる長尺の器具本体と、器具本体の前面両端に設けられる一対のランプソケットと、ランプソケットに装着される直管形の蛍光ランプを覆うように器具本体前面に被着されるカバーとを備える。カバーは、透光性及び弾性を有する合成樹脂成形体などで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−148019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来例のように合成樹脂成形体からなるカバーで光源(蛍光ランプ)を覆う場合、長手方向の長さ寸法が大きくなるに従ってカバーの中央部分が両端部分より下に垂れ易くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、カバーの垂れ下がりを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、光源を保持して取付面に取り付けられる長尺の器具本体と、前記器具本体に取り付けられて前記光源を覆うカバーとを備え、前記カバーは、透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成され、前記器具本体に設けられる複数の支持部の間に張り渡されることを特徴とする。
【0007】
この照明器具において、少なくとも何れか1つの前記支持部は、前記器具本体の長手方向に沿って延びる板状であって先端部で前記カバーに当接してなり、前記カバーに覆われた空間が前記板状の支持部によって複数の領域に分割され、前記複数の領域にそれぞれ別の光源が配設されることが好ましい。
【0008】
この照明器具において、前記光源は、長尺の板状に形成される実装基板と、前記実装基板の一面に長手方向に並べて実装される複数個の発光ダイオードとを有し、前記器具本体は、前記光源を保持する部位に凹所が設けられ、前記凹所の底面に前記実装基板が固定されることが好ましい。
【0009】
この照明器具において、前記支持部は、前記光源と対向する面が前記光源から放射される光を反射する反射面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の照明器具は、カバーの垂れ下がりを抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示し、壁面に取り付けられた状態の断面図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上を示し、(a)は半断面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【図4】同上を示し、(a)は要部の正面断面図、(b)は要部の側面断面図である。
【図5】同上における透光パネル及びパネルエンドを示し、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は左側面図である。
【図6】同上の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、図1〜図3に示すように2つの光源1を支持して取付面(壁面W)に取り付けられる長尺の器具本体3、器具本体3に取り付けられて光源1を覆うカバー2、光源1を点灯させる点灯装置6などを備える。なお、以下の説明では、図1における上下方向を上下方向、図1における右向き(壁面Wから離れる向き)を前向き、左向き(壁面Wに近付く向き)を後向きとし、さらに図1の紙面に垂直な方向を左右方向と定義する。
【0013】
光源1は、図3に示すように3つの発光部10と、3つの発光部10を覆う透光パネル11と、一対のパネルエンド12とを有する。発光部10は、複数個の発光ダイオード(図示せず)、これら複数個の発光ダイオードが実装される実装基板100などを有する。実装基板100は、絶縁材料(例えば、セラミック)によって長尺の板状に形成されている。そして、複数個の発光ダイオードが実装基板100の一面側に長手方向(左右方向)に沿って直線状に並べて実装され、透光性を有し且つ蛍光材料が混合された合成樹脂製の封止部材101で発光ダイオードが封止されている。また、実装基板100に実装されている複数個の発光ダイオードは導電パターン(図示せず)によって直列に接続されている。そして、発光部10が発光(点灯)すると、発光ダイオードから放射される光(例えば、青色光)の一部が蛍光材料で波長変換され、波長変換された光(例えば、黄色光)と波長変換されなかった光(青色光)が混ざることで発光部10から放射される光が全体として白色光となる。
【0014】
透光パネル11は、図5に示すようにアクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって長尺の半円筒形状に形成され、長手方向の両端にそれぞれパネルエンド12が装着されている。パネルエンド12は、透光パネル11の端部を塞ぐ半円板状のエンド部12Aと、エンド部12Aの直線状の端縁より透光パネル11の長手方向に沿って突出する矩形平板状の固定部12Bとが透光パネル11と同じ透光性材料で一体に形成されている。なお、固定部12Bに貫通するねじ挿通孔(図示せず)に、透光パネル11を器具本体3に固定するための固定ねじ13が挿通される。
【0015】
器具本体3は、図1及び図3,図4に示すようにそれぞれが光源1を保持する一対の光源保持部30,31、連結部32、カバー2を支持する3つの支持部33〜35などがアルミの押出成形によって一体に形成されてなる。一対の光源保持部30,31は長尺の板状であって、それぞれの前端同士が突き合わされた状態で結合されている。また、光源保持部30,31の後端は略平板状の連結部32によって連結されている。すなわち、一対の光源保持部30,31と連結部32とで内部が空洞の三角柱が形成されている。なお、以下の説明では、壁面Wに取り付けられたときに上に位置する方を上側光源保持部30と呼び、下に位置する方を下側光源保持部31と呼ぶことにする。
【0016】
上側光源保持部30と下側光源保持部31の前端から前方に、長手方向に沿って延びる略平板状の第1支持部33が突設されている。この第1保持部33の先端(前端)には円柱状の当接部33Aが一体に設けられている。また、上側光源保持部30の後端から後方且つ上方に、長手方向に沿って延びる略平板状の第2支持部34が突設されている。同じく、下側光源保持部31の後端から後方且つ下方に、長手方向に沿って延びる略平板状の第3支持部35が突設されている。なお、第2支持部34及び第3支持部35の先端は曲面形状に形成されている。第2支持部34及び第3支持部35の後面には、長手方向(左右方向)に沿った凹溝34A,35Aがそれぞれ形成されている。また、凹溝34A,35Aにはそれぞれ複数本(望ましくは3本以上)のボルト36が長手方向に沿ってほぼ等間隔に埋設されている(図1参照)。
【0017】
ところで、上側光源保持部30の保持面(上面)が第1支持部33の上面及び第2支持部34の前面から下方に後退している。同じく、下側光源保持部31の保持面(下面)が第1支持部33の下面及び第3支持部35の前面から上方に後退している。すなわち、器具本体3は、光源1を保持する部位に凹所が設けられ、凹所の底面(光源保持部30,31)に実装基板100が固定されることになる。
【0018】
ここで、実装基板100は、図3(a)に示すように器具本体3にねじ止めされた複数(図示例では9つ)の止め具14によって各光源保持部30,31に固定されている。また、固定部12Bのねじ挿通孔に挿通された固定ねじ13が、各光源保持部30,31の長手方向の両端部に設けられているねじ孔(図示せず)に螺合することで透光パネル11及びパネルエンド12が各光源保持部30,31に取り付けられる(図1及び図3参照)。
【0019】
カバー2は、透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成されるものであって、例えば、ガラス繊維の織物、いわゆる、ガラスクロス(glass cloth)からなる。このようにカバー2を形成する材料としてガラスクロスを用いているため、グレアやランプイメージ(光源1の輪郭がカバー2越しに見えること)を低減し、やわらかい光による快適な照明環境を得ることができる。ただし、カバー2を形成する材料はガラスクロスに限定されるものではなく、透光性及び可撓性を有するシート状の材料であればよく、さらに不燃性であることが好ましい。
【0020】
次に、器具本体3に対するカバー2の取付方法について詳しく説明する。器具本体3の前方からカバー2が被せられ、第1支持部33先端の当接部33Aと、第2支持部34の先端部及び第3支持部35の先端部との間にカバー2が張り渡され、一方の端部が第2支持部34の凹溝34A内に挿入され、他方の端部が第3支持部35の凹溝35A内に挿入される。カバー2の両端部にはそれぞれ複数のねじ挿通孔(図示せず)が設けられており、各凹溝34A,35Aの底面から突出する複数本のボルト36が各ねじ挿通孔に挿通されることで器具本体3にカバー2が取り付けられる。
【0021】
ここで、器具本体3に取り付けられた状態のカバー2には常にテンションが掛かっているので、ねじ挿通孔の周辺部分が経時変化により延びてカバー2に弛みが生じる可能性がある。そのために本実施形態では、凹溝34A,35A内においてカバー2の端部を押さえる押さえ金具7を備えている。押さえ金具7は、金属板が曲げ加工されることで半角筒状に形成されるとともにボルト36が挿通される挿通孔(図示せず)が貫設され、両端部を底面に向けるようにして凹溝34A,35A内に収納される。そして、後述するようにボルト36にナットが螺合されると、押さえ金具7の両端と凹溝34A,35A底面との間にカバー2の端部がそれぞれ挟み込まれるため、カバー2の弛みを抑制することができる。
【0022】
なお、カバー2が取り付けられた器具本体3の長手方向(左右方向)の両端に、それぞれエンドキャップ5が取り付けられる。エンドキャップ5は、カバー2及び器具本体3の外形と同形状の略矢印形に形成された合成樹脂成形体からなる。各エンドキャップ5は、左右方向に突設されている一対の係止片50,51が第1支持部33及び連結部32にそれぞれ設けられた係止孔33B,32Aに係止されることで器具本体3に固定され(図4(b)参照)、カバー2と器具本体3とで形成される内部空間の両端を塞いでいる。
【0023】
点灯装置6は、従来周知の整流器やDC/DCコンバータなどで構成され、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して発光部10を発光させる(光源1を点灯させる)ものである。本実施形態においては、図6に示すように一方の点灯装置6に、上側の光源1の3つの発光部10と下側の光源1の中央の発光部10が直列に接続され、他方の点灯装置6に、下側の光源1の左右両端の2つの発光部10が直列に接続されている。つまり、上側の光源1の3つの発光部10及び下側の光源1の中央の発光部10と、下側の光源1の左右両端の2つの発光部10とが2つの点灯装置6によって個別に点灯されることになる。
【0024】
点灯装置6は、図1に示すように整流器やDC/DCコンバータなどが金属製のケースに収納されてなり、器具本体3を壁面Wに取り付けるための取付台4の内部に収納される。取付台4は、鋼板などが曲げ加工されることで長尺の箱状に形成された本体部40と、鋼板などが曲げ加工されることで長尺の角樋状に形成され、本体部40の前面側に被せられるカバー部41とを有する(図1及び図3参照)。本体部40は、底面を壁面Wに当接するようにして壁面Wにねじ止めされ、その内底面に2つの点灯装置6が長手方向に並べて取り付けられる。カバー部41は、底面を本体部40の底面と対向させるようにして本体部40に被せられ、上下両側で本体部40にねじ止めされる。ここで、カバー部41の底部は、器具本体3の第2支持部34及び第3支持部35の後面に沿うように山型に形成されるとともに複数のねじ挿通孔が貫通されている。そして、カバー2及び押さえ金具7を第2支持部34と第3支持部35に固定している複数のボルト36がカバー部41の複数のねじ挿通孔に挿通され、カバー部41の内底面側に突出するボルト36にナットが締め付けられることで取付台4に器具本体3が固定される。
【0025】
本実施形態は、例えば、病室や宿泊施設の客室などの壁面に設置され、全ての光源1が点灯することで室内全体を照明することができる。また、本実施形態の下側の光源1が有する3つの発光部10のうちの両端の発光部10のみを点灯させれば、ベッドの枕元周辺を左右両側から照明することで読書灯の機能を実現することができる。
【0026】
上述のように本実施形態は、光源1を覆うカバー2が透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成されているので、従来例の合成樹脂製のカバーに比較して軽量化が図れ、その結果、カバー2の垂れ下がりを抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態では、第1支持部33が器具本体3の長手方向に沿って延びる板状であって先端部でカバー2に当接してなり、カバー2に覆われた空間が第1支持部33によって上下2つの領域に分割され、各領域にそれぞれ光源1が配設されている。故に、上側の光源1から放射される光が第1支持部33に遮られて下方に行かず、同じく下側の光源1から放射される光が第1支持部33に遮られて上方に行かない。このため、室内を効率的に照明することができ、且つ外観上の見栄えがよく、上下切り替え可能な照明環境を提供することができる。なお、本実施形態では光源1が半円筒形であるので、直管形の蛍光ランプや直管形のLEDランプを上下2段に備える構成と比較して、照明器具全体の高さ寸法が小型化できるという利点がある。また、パネルエンド12は、透光パネル11と同じ透光性材料で形成されているので、カバー2のエンドキャップ5付近まで暗がりになる箇所が生じない。
【0028】
さらに本実施形態は、器具本体3の光源1を保持する部位(光源保持部30,31)に凹所が設けられ、凹所の底面(光源保持部30,31)に実装基板100が固定されるため、凹所の深さ分だけ発光部10の位置を変位させることができる。このため、第1支持部33の上下両面及び第2支持部34及び第3支持部35の前面と発光部10の段差が小さくなり、第1支持部33の上下両面及び第2支持部34及び第3支持部35の前面における発光部10の近傍まで光が届くようになる。ここで、第1支持部33の上下両面及び第2支持部34及び第3支持部35の前面、すなわち、各支持部33〜35の光源1と対向する面が光源1から放射される光を反射する反射面であれば、照明空間に照射される光の均斉度を高めることができる。なお、前記面を反射面とするには、例えば、第1支持部33の上下両面及び第2支持部34及び第3支持部35の前面に白色の塗料が塗布されればよい。
【符号の説明】
【0029】
1 光源
2 カバー
3 器具本体
33 第1支持部
34 第2支持部
35 第3支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を保持して取付面に取り付けられる長尺の器具本体と、前記器具本体に取り付けられて前記光源を覆うカバーとを備え、前記カバーは、透光性材料によって可撓性を有するシート状に形成され、前記器具本体に設けられる複数の支持部の間に張り渡されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
少なくとも何れか1つの前記支持部は、前記器具本体の長手方向に沿って延びる板状であって先端部で前記カバーに当接してなり、前記カバーに覆われた空間が前記板状の支持部によって複数の領域に分割され、前記複数の領域にそれぞれ別の光源が配設されることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源は、長尺の板状に形成される実装基板と、前記実装基板の一面に長手方向に並べて実装される複数個の発光ダイオードとを有し、前記器具本体は、前記光源を保持する部位に凹所が設けられ、前記凹所の底面に前記実装基板が固定されることを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記支持部は、前記光源と対向する面が前記光源から放射される光を反射する反射面であることを特徴とする請求項2又は3記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−93280(P2013−93280A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235978(P2011−235978)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000152424)株式会社日建設計 (55)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】