説明

照明構造

【課題】くつろぎ感を出しつつ、使用快適性が良好な照明効果を発揮することができる照明構造を提供する。
【解決手段】浴室天井12の入隅部13に照明機器20を備える。照明機器20は、光源21と、この光源21の浴室空間側に対向配置され、天井面12aを照らす方向と床面2aを照らす方向との2方向に光源21からの光を反射により照射可能な反射部材30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一つの照明機器にて浴室の洗い場側を明るく浴槽側を少し暗くなるように照らすことができる照明装置として、本出願人は、浴室の洗い場側と浴槽側との間の天井部に洗い場に向けて投光する照明機器を設けた照明装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この照明装置は、照明機器からの投光にて洗い場側が直接照明されて洗い場側を明るく照らすことができるので、身体を洗ったりするなどの作業において十分な照度を確保することができる。一方、浴槽側は、洗い場に投光された光の反射による間接照明で暗く照明することができるので、くつろぎ感を出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−52616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記照明装置における浴槽側への照明は洗い場側に向けて投光された光の反射光のみであるため、浴槽側の照明の照度は比較的暗く浴槽側は総じて暗くなる。くつろいで入浴するためには暗い方が好ましいが、入浴者の好みは多様である。浴槽側をもう少し明るくするためにやや浴槽寄りに投光することが考えられるが、洗い場側の照度が不足するなど使用快適性が損なわれるなどの問題がある。
【0006】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、くつろぎ感を出しつつ、使用快適性が良好な照明効果を発揮することができる照明構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の照明構造は、浴室天井の入隅部に照明機器を備え、前記照明機器は、光源と、この光源の浴室空間側に対向配置され、天井面を照らす方向と床面を照らす方向との2方向に前記光源からの光を反射により照射可能な反射部材とを有することを特徴とする。
【0008】
この照明構造においては、前記照明機器は、鏡が設置される側壁面の上方の入隅部に配置されることが好ましい。
【0009】
この照明構造においては、前記照明機器は、前記光源の浴室空間側に対向配置される透光カバーを有し、前記反射部材は、前記透光カバーの中央部分に設けられていることが好ましい。
【0010】
この照明構造においては、前記光源は、LEDと、前記LEDを搭載する基板と、前記基板を収納する基板ケースとを有して構成され、前記透光カバーは、両端部に、前記光源側に突出する軟質部材からなる係止部を備えており、前記両端部の係止部が前記基板ケースを挟持して前記透光カバーが前記基板ケースに取り付けられることが好ましい。
【0011】
この照明構造においては、前記透光カバーの両端部の係止部の外側面に、軟質部材からなる突起部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の照明構造によれば、くつろぎ感を出しつつ、使用快適性が良好な照明効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の照明構造の一実施形態を示す浴室ユニットの斜視図である。
【図2】図1の浴室ユニットの要部断面図である。
【図3】(a)は、図1の浴室ユニットの照明機器の斜視図であり、(b)は、照明機器の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る厨房装置の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の照明構造の一実施形態を示す浴室ユニットの斜視図である。図2は、図1の浴室ユニットの要部断面図である。図3(a)は、図1の浴室ユニットの照明機器の斜視図であり、図3(b)は、照明機器の要部分解斜視図である。
【0016】
図1の浴室ユニット1は、防水パン2、浴槽3、壁パネル4、天井材5を現場で組み立てて構成される。例えば、防水パン2の外端部の立ち上がりの上部に壁パネル載置部を形成し、この壁パネル載置部の上に複数の壁パネル4を載置する。そして、壁パネル4で囲まれる空間の上部開口を天井材5で塞ぐように壁パネル4の上に取り付ける。これによって、浴室空間としての浴室が画成される。
【0017】
防水パン2の一方の側には床面2aに洗い場6が形成され、他方の側には浴槽設置部7が形成され、浴槽3が設置される。壁パネル4は浴室の側壁部8を形成し、側壁部8の洗い場6側の側壁面8aには鏡9、混合水栓10、シャワーヘッド11などが設置されている。浴室天井12は、浴槽3側と洗い場6側との2枚の天井材5,5で構成され、浴槽3側と洗い場6側との間で2枚の天井材5,5が接続され、フラットな天井面12aが形成されている。
【0018】
本実施形態では、浴室天井12の入隅部13に照明機器20を備える。浴室天井12の入隅部13は、天井材5とこの天井材5に直交する壁パネル4との接合箇所に形成され、この入隅部13に照明機器20が配置される。照明機器20は、入隅部13の外側(浴室空間側)に配置することもできるが、デザイン性を考慮して目立たないように内側に配置することが好ましい。例えば、本実施形態のように、天井材5の表面5aと壁パネル4の上端面4aとの間の隙間に組み込んで照明機器20を配置することで、浴室空間側から観察される照明機器20の存在感が抑えられ、すっきりした浴室空間を付与することができる。また本実施形態では、洗い場6における洗体、洗髪などの作業のしやすさなど使い勝手を考慮して鏡が設置される側壁面8aの上方の入隅部13に照明機器20が配置されている。
【0019】
照明機器20は、長尺形状を有し、浴室天井12の入隅部13全長にわたって設けられ、天井面12aを照らす方向(矢印Pで示す方向)と床面2aを照らす方向(矢印Qで示す方向)との2方向に照射可能とされている。この照明機器20は、光源21と、この光源21からの光を反射させる反射部材30とを有する。
【0020】
反射部材30は、この光源21の浴室空間側に対向配置され、光源21からの光を、天井面12aを照らす方向と床面2aを照らす方向との2方向に反射させる。具体的には、図2に示されるように、天井面12aを照らす方向に反射させる第1の反射面31と床面を照らす方向に反射させる第2の反射面32とを有する。第1の反射面31及び第2の反射面32はそれぞれ、直線的に傾斜する平面形状を有している。また、互いに隣接しており、反射部材30は断面視略三角状に形成され、第1の反射面31と第2の反射面32とが交差する頂部33が光源21の正面に配置される。このような反射部材30は、長尺状に形成され、照明機器20の長手方向にその全長にわたって設けられている。
【0021】
反射部材30は、反射率の高い不透明性材料で押出工法などによって製造することができる。不透明性材料としては、例えば白色系樹脂などの合成樹脂などを挙げることができる。第1の反射面31及び第2の反射面32には、鏡面仕上げ、白色仕上げ、銀蒸着などの処理によって光反射パターンを形成することもできる。
【0022】
第1の反射面31及び第2の反射面32は、光源21からの光をより効果的に反射させて明るく照らすために、円弧状に湾曲する曲面形状とすることもできる。曲面形状としては、例えば、光源21からの光をより効果的に集光する凹面形状、光源21からの光をより効果的に拡散させる凸面形状などが挙げられる。
【0023】
このように入隅部13に配置された照明機器20は、第1の反射面31及び第2の反射面32を有する反射部材30が光源21の浴室空間側に対向配置されているので、天井面12aを照らす方向と床面を照らす方向との2方向に向けて照射可能である。天井面12aを照らす方向に照射された光は、天井面12a全体を照らすことが可能であり、間接照明として浴室空間全体に落ち着いた雰囲気をかもし出すなどくつろぎ感を高めることができる。床面を照らす方向に照射された光は、直接照明として洗い場などを明るく照らすことができる。この直接照明は光源21からの光が反射部材30によって分散されているので、眩しさ感が軽減されてもいる。したがって、本実施形態では、くつろぎ感を出しつつ、使用快適性が良好な照明効果を発揮することができる。
【0024】
本実施形態の照明機器20には、図2、図3(a)(b)に示されるように、光源21を保護する長尺の透光カバー40が照明機器20の長手方向にその全長にわたって光源21の浴室空間側に対向して設けられている。
【0025】
透光カバー40は、透光性を有するカバーであり、平板形状を有し、光透過率の高い透明性材料で押出工法などによって製造することができる。透明性材料としては、例えば、アクリル樹脂などの合成樹脂などを挙げることができる。
この透光カバー40の短手方向の中央部分に反射部材30が設けられている。透光カバー40は反射部材30と別体として形成することもできるが、一体に形成することもできる。
【0026】
透光カバー40には反射部材30を挟んで第1の透光部41と第2の透光部42とが形成されている。第1の透光部41は、反射部材30の第1の反射面31からの反射光又は光源21からの光(直接光)が透過可能とされ、第2の透光部42は、反射部材30の第2の反射面32からの反射光又は光源からの光(直接光)が透過可能とされる。第1の透光部41及び第2の透光部42を透過した光はそれぞれ、天井面12a及び床面を照らす。
【0027】
透光カバー40の短手方向の両端部には、光源21側に向かって突出する軟質部材からなる平板状の係止部43,44が長手方向全長にわたって設けられ、係止部43,44の先端部には内側方向に突出する爪部45,46が設けられている。一方の係止部43は透光カバー40に対して光源21とは反対側(浴室空間側)にも突出するように形成されている。他方の係止部44は透光カバー40の短手方向にも突出して形成されており、この突出部分と光源21側に向かって突出する部分とから断面視略L字状に形成されている。このような係止部43,44は透光カバー40と一体に形成することができる。
【0028】
係止部43,44の外側面43a,44aにはそれぞれ、軟質部材からなるヒレ状の突起部47,48が光源21側に向かう方向に複数設けられ、係止部43,44と一体に形成されている。突起部47,48はやや浴室空間側に傾斜して係止部43,44の外側面43a,44aに起立しており、係止部43,44の長手方向全長にわたって設けられている。
【0029】
上記した軟質部材としては、例えば、EPDMやシリコーンゴムなどの合成ゴム、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などを挙げることができる。
【0030】
光源21は、例えば、LED22と、このLED22を搭載する基板23と、基板23を収納する基板ケース24とを有して構成される。基板23は帯状に形成されており、表面側には、LED22が複数、所定間隔をあけて長手方向一列に搭載されており、裏面側には、放熱性を高めるために伝熱シート29が取り付けられている。
【0031】
基板ケース24は、例えば、放熱性の良好な金属などの剛性部材で構成される。本実施形態の基板ケース24は、長方形状の底壁25と、この底壁25の長辺の縁部から略垂直に立ち上がる一対の周側壁26とから断面視略コ字状に形成され、底壁25の対向面は開口28を有している。一対の周側壁26,26の外側面26a,26aには、透光カバー40の係止部43,44の爪部45,46と係合する凹溝27,27が長手方向全長にわたって形成されている。凹溝27,27は、周側壁26,26の外側面26a,26aに対して内側に凹んでおり、その内面形状は係止部43,44の爪部45,46の外面形状に対応する形状に形成されている。
【0032】
LED22を搭載した基板23は、LED22の搭載面が基板ケース24の開口28に臨むように基板ケース24内に収納される。基板23を収納した基板ケース24は入隅部13に組み込まれるなどして光源21が入隅部13に配置される。
【0033】
透光カバー40は、基板ケース24の一対の周側壁26,26を跨いで開口28を覆うように基板ケース24に取り付けられている。透光カバー40の両端部の係止部43,44の間に基板ケース24を嵌め込むなどして基板ケース24を係止部43,44で挟持することによって透光カバー40を簡便に基板ケース24に取り付けることができる。また、係止部43,44の爪部45,46を基板ケース24の周側壁26,26の凹溝27,27に引っ掛けた状態で基板ケース24を係止部43,44で挟持することもでき、透光カバー40をより安定して基板ケース24に取り付けることができる。
【0034】
透光カバー40は、光源21が入隅部13に組み込まれた状態において、透光カバー40の外側面40aが側壁面8aと略平行になるように基板ケース24に装着されている。
このような照明機器20が入隅部13に配置された浴室ユニットは、よりすっきりした浴室空間が付与され、意匠性が高められている。
【0035】
透光カバー40の係止部43,44はパッキンとしても機能する。基板ケース24が透光カバー40の係止部43,44で挟持された状態で入隅部13に組み込まれると、図2に示されるように、入隅部13における照明機器20の隙間が係止部43,44で密閉される。例えば、照明機器20と天井材5の表面5aとの間の隙間、照明機器20と壁パネル4の上端面4aとの間の隙間が、透光カバー40の係止部43,44で密閉される。この係止部43,44のパッキン機能によって、照明機器20の水密性を確保することができる。
【0036】
また、本実施形態では、上述したように、透光カバー40の係止部43,44の外側面43a,44aには突起部47,48が設けられている。照明機器20が入隅部13に配置された状態において、この突起部47,48が水の侵入をより効果的に阻止するので、水密性をより高めることができ、信頼性を向上させることができる。
【0037】
さらにまた本実施形態では、照明機器20が入隅部13に配置された状態において、透光カバー40の一方の係止部43における浴室空間側に突出する部分431が天井面12aに沿うように配置されている。また、他方の係止部44における透光カバー40の短手方向に突出する部分441が側壁面8aに沿うように配置されている。このように配置された突出する部分431,441は水の侵入の低減に寄与し、水密性をより高めて信頼性を向上させることができる。
【0038】
図3(a)(b)に示されるように、基板ケース24の長手方向両端部には平板状のエンドキャップ50が装着される。このエンドキャップ50によって、基板ケース24とこの基板ケース24に装着される透光カバー40とで形成される基板ケース24の長手方向両端部の開口が閉塞され、水密性が確保されるなど基板ケース24内のLED22や基板23が保護される。
【0039】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、照明機器が配置される浴室天井の入隅部は、鏡が設置される側壁面の上方の入隅部に限定されない。鏡が設置される側壁面の上方の入隅部以外の浴室天井の入隅部にも照明機器を配置することができる。また浴室天井の複数の入隅部に照明機器を配置することもできる。
【符号の説明】
【0040】
12 浴室天井
12a 天井面
13 入隅部
20 照明機器
21 光源
22 LED
23 基板
24 基板ケース
28 開口
30 反射部材
40 透光カバー
43,44 係止部
47,48 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室天井の入隅部に照明機器を備え、前記照明機器は、光源と、この光源の浴室空間側に対向配置され、天井面を照らす方向と床面を照らす方向との2方向に前記光源からの光を反射により照射可能な反射部材とを有することを特徴とする照明構造。
【請求項2】
前記照明機器は、鏡が設置される側壁面の上方の入隅部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明構造。
【請求項3】
前記照明機器は、前記光源の浴室空間側に対向配置される透光カバーを有し、前記反射部材は、前記透光カバーの中央部分に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明構造。
【請求項4】
前記光源は、LEDと、前記LEDを搭載する基板と、前記基板を収納する基板ケースとを有して構成され、前記透光カバーは、両端部に、前記光源側に突出する軟質部材からなる係止部を備えており、前記両端部の係止部が前記基板ケースを挟持して前記透光カバーが前記基板ケースに取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の照明構造。
【請求項5】
前記透光カバーの両端部の係止部の外側面に、軟質部材からなる突起部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の照明構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−85824(P2013−85824A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230837(P2011−230837)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】