説明

照明灯制御方法及び照明灯制御装置

【課題】低コストで、照明灯の省エネルギー化と長寿命化を同時に実現することができる照明灯制御方法及び照明灯制御装置を提供すること。
【解決手段】照明灯10と交流電源20との間に直列に接続される磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御装置120と、を備えた照明灯制御装置100によって、前記照明灯10の使用状態に応じて、前記照明灯10に印可する電圧を制御し、照明灯10を使用しない場合に、照明灯10に零より大きく前記照明灯10の定格電圧Va未満の低電圧を継続的に印可することを特徴とする照明灯制御方法が提供される。かかる構成によれば、照明灯10を使用しない場合、照明灯10は低電圧により発光したままであるので、照明灯10の点灯回数を減らすことができ、照明灯10を点灯させる際の起電力をエミッタに印加せずに済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明灯制御方法及び照明灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明灯として一般的な蛍光灯は、蛍光ガラス管と、点灯用のエミッタが塗布されたヒータと、蛍光ガラス管内部に封入された水銀原子を含む気体と、蛍光ガラス管の内部に塗布された蛍光体と、を含む。蛍光灯の点灯時には、まず、ヒータに電流を流し、ヒータを加熱する。ヒータが加熱されると、ヒータに塗布されたエミッタから、運動エネルギーが増大した電子(熱電子)が放出され、放電が開始される。そして、放出された熱電子が気体の水銀原子と衝突し、紫外線が発せられる。この紫外線が蛍光体にあたると、蛍光体は可視光線を蛍光ガラス管を介して外部に放出する。このような原理で蛍光灯は可視光線を提供する。
【0003】
このような蛍光灯の省エネルギー化を実現するために、従来では、電源のインバータ化による調光制御を行うことや、蛍光灯を使用しない場合に消灯することが行われていた。この電源のインバータ化は、蛍光灯を使用しない場合に調光し、蛍光灯への印加電圧を下げることにより、省エネルギー化を実現していた。また、不使用時に蛍光灯を消灯することによって、蛍光灯への印加電圧を遮断することで省エネルギー化を実現していた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−260991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の省エネルギー化のように、電源をインバータ化するには、既存の蛍光灯をインバータ方式のものに取り替える必要があり、多くの費用がかかるという問題があった。また、蛍光灯を不使用時に消灯することは、結果として照明灯の消灯および点灯の回数を増加させた。しかし、蛍光灯の点灯時にヒータに流れる電流により、ヒータに塗布されたエミッタは消耗するので、照明灯の消灯回数の増加は、蛍光灯の寿命の低下を招くという問題があった。また、一般的には、この点灯1回で、蛍光灯の寿命は、1時間短くなると言われている。よって、従来の蛍光灯では、省エネルギー化と長寿命化とを同時に実現できないという問題があった。また、この問題は、蛍光灯に限られず、他の照明灯においても、同様に生じた。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、低コストで、照明灯の省エネルギー化と長寿命化を同時に実現可能な、新規かつ改良された照明灯制御方法及び照明灯制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、照明灯と交流電源との間に直列に接続される磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御装置と、を備えた照明灯制御装置によって、前記照明灯の使用状態に応じて、前記照明灯に印可する電圧を制御し、照明灯を使用しない場合に、照明灯に対して零より大きく前記照明灯の定格電圧未満の低電圧を継続的に印可することを特徴とする、照明灯制御方法が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、使用状態に応じて、制御装置は、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御し、交流電源から供給される電圧をもとに照明灯に印加する電圧を作成する。すなわち、照明灯を使用しない場合に制御装置は、零より大きく照明灯の定格電圧未満の低電圧出力するように磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御し、照明灯は、この低電圧の印加を受ける。また、照明灯を使用しない場合に、照明灯に印加する電圧を零としないために、当該照明灯は、低電圧により発光したままである。よって、照明灯が消灯されないので点灯する必要はなく、照明灯を点灯させる際の起電力をエミッタに印加せずに済む。
【0009】
また、照明灯の点灯/消灯を切り替えるためのスイッチにより消灯が選択された場合に、照明灯に対して低電圧を印可してもよい。かかる構成によれば、スイッチにより、照明灯の点灯/消灯が、選択的に切り替えられ、照明灯は、消灯時のみ選択的に低電圧を印加される。
【0010】
また、照明灯の照明範囲内に対象物が存在するか否かを感知する対象物感知装置により対象物が感知されない場合に、照明灯に対して低電圧を印可してもよい。かかる構成によれば、対象物感知装置により、照明灯の点灯/消灯が、選択的に切り替えられ、照明灯は、消灯時のみ選択的に低電圧を印加される。
【0011】
また、対象物感知装置によって所定時間以上対象物が感知されない場合に、照明灯に印加される電圧を零としてもよい。かかる構成によれば、対象物が対象物感知装置により所定時間感知されなければ、照明灯に印加される電圧は零となり、照明灯は、非発光状態の消灯となる。
【0012】
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとの間の第1経路と、第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとの間の第2経路との間に配置されたコンデンサと、を含み、制御装置は、交流電源の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフし、スイッチ切替タイミングと、交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を調整することにより、照明灯に低電圧を印可してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、交流電源電圧のゼロクロスポイントからゲート位相角だけずらしたスイッチ切替タイミングで、制御装置は、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフする。このようなスイッチングにより、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチにおいて、コンデンサは、充電/放電される。また、この充電/放電の期間は、ゲート位相角によって、決定される。そして、この放電が十分にされない場合、コンデンサは、回路に対して抵抗として働く。よって、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、供給された定格電圧よりも低い低電圧を照明灯に出力する。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、照明灯と交流電源との間に直列に接続される磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと、照明灯を使用しない場合に、照明灯に対して零より大きく交流電源の定格電圧未満の低電圧を継続的に印加するように、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御装置と、を備えることを特徴とする、照明灯制御装置が提供される。
【0015】
かかる構成によれば、照明灯を使用しない場合に、制御装置により制御された磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、照明灯に低電圧を継続的に印加する。低電圧を印加された照明灯は、非発光状態にならず、消灯されないで、低電圧に対応して発光する。よって、照明灯が消灯されないので点灯する必要はなく、照明灯を点灯させる際の起電力をエミッタに印加せずに済む。
【0016】
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとの間の第1経路と、第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとの間の第2経路との間に接続されたコンデンサと、を含み、制御装置は、交流電源の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフし、スイッチ切替タイミングと、交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を調整することにより、照明灯に低電圧を印可してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、交流電源電圧のゼロクロスポイントからゲート位相角だけずらしたスイッチ切替タイミングで、制御装置は、第1逆導通型半導体スイッチ及び第3逆導通型半導体スイッチと、第2逆導通型半導体スイッチ及び第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフする。このようなスイッチングにより、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチにおいて、コンデンサは、充電/放電される。また、この充電/放電の期間は、ゲート位相角によって、決定される。そして、この放電が十分にされない場合、コンデンサは、回路に対して抵抗として働く。よって、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、供給された定格電圧よりも低い低電圧を照明灯に出力する。
【0018】
また、低電圧を印可する場合のゲート位相角は、90°より大きく270°未満の範囲内であってもよい。かかる構成によれば、ゲート位相角がこのような範囲内に設定されると、上記放電は、十分に行われず、コンデンサは、回路に対して抵抗として働く。よって、照明灯に印加される電圧は、降下し低電圧となる。
【0019】
また、制御装置は、照明灯の点灯/消灯を切り替えるためのスイッチの出力信号に基づいて、照明灯に対して低電圧または定格電圧以上の点灯電圧を選択的に印可してもよい。かかる構成によれば、スイッチにより、照明灯の点灯/消灯が選択的に切り替えられ、照明灯に点灯電圧または低電圧が選択的に印加される。また、点灯電圧を印加することにより、照明灯の輝度は、増加する。
【0020】
また、制御装置は、照明灯の照明範囲内に対象物が存在するか否かを感知する対象物感知装置の出力信号に基づいて、照明灯に対して低電圧または定格電圧以上の点灯電圧を選択的に印可してもよい。かかる構成によれば、対象物感知装置により、照明灯の点灯/消灯が選択的に切り替えられ、照明灯に点灯電圧または低電圧が選択的に印加される。また、点灯電圧を印加することにより、照明灯の輝度は、増加する。
【0021】
また、対象物感知装置によって所定時間以上対象物が感知されない場合に、制御装置は、照明灯に印加してもよい。かかる構成によれば、対象物が対象物感知装置により所定時間感知されなければ、照明灯に印加される電圧は零となり、照明灯は、非発光状態の消灯となる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、低コストで、照明灯の省エネルギー化と長寿命化を同時に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる照明灯制御装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる照明灯制御装置100の構成を示す概略図である。
【0025】
図1に示すように、照明灯制御装置100は、照明灯10と交流電源20とユーザスイッチ30とに接続される。また、照明灯10と交流電源20と照明灯制御装置100とは、直列に接続される。交流電源20は、照明灯10の定格電圧Vaを有する電源電圧Vを、照明灯制御装置100に供給する。ユーザスイッチ30は、使用者によって照明灯10の点灯/消灯(オン/オフ)の切り替えが行われるスイッチであり、点灯が選択されたとき出力信号を照明灯制御装置100に供給する。照明灯制御装置100は、ユーザスイッチ30の消灯/点灯の切り替えに応じて電源電圧Vを変圧し、負荷電圧Vloadを照明灯10に印加する。負荷電圧Vloadの印加を受けた照明灯10は、発光する。なお、照明灯10は、例えば、蛍光灯、ナトリウム灯、メタルハラルド灯、水銀灯等の一般的な照明灯であってよい。以下では、照明灯10は、蛍光灯であるものとして説明する。
【0026】
また、ここでは、交流電源20は、照明灯10の定格電圧Vaを有する電源電圧Vを照明灯制御装置100に印加するとした。以下では、交流電源20は、照明灯10専用であり、照明灯10の定格電圧Vaを有する電源電圧Vを供給するものとして説明する。しかし、交流電源20は、これに限定されるものでない。例えば、交流電源20は、他の定格電圧を有し、当該定格電圧を照明灯10の定格電圧Vaに昇圧または降圧し、その後、照明灯制御装置100に定格電圧Vaを有する電源電圧Vとして供給してもよい。
【0027】
照明灯制御装置100は、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と、ゲート位相制御装置120(制御装置)と、位相検出器130と、を含む。磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20と照明灯10との間に直列に接続される。位相検出器130は、ゲート位相制御装置120と接続されるとともに、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間の導線と、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と照明灯10との間の導線とに接続される。ゲート位相制御装置120は、ユーザスイッチ30と、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110とに接続される。
【0028】
また、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給される定格電圧Vaを有する電源電圧Vを変圧して、負荷電圧Vloadを照明灯10に印加する。位相検出器130は、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間、及び磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と照明灯10との間から、電圧をタッピングし、負荷電圧Vloadの位相を検出し、電源電圧Vを交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間からタッピングし、電源電圧の位相を検出し、位相情報をゲート位相制御装置120に供給する。ゲート位相制御装置120は、制御装置の一例であって、ユーザスイッチ30からの出力信号を受けて、位相検出器130からの位相情報をもとに、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110に制御信号を供給する。当該制御信号によって、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給される定格電圧Vaを有する電源電圧Vを変圧して、負荷電圧Vloadを照明灯10に印加する。なお、この位相検出器130は、一般の位相検出器等を使用することができるため、詳しい説明は省略する。また、上記電源電圧Vの変圧等については、後で詳細に説明する。
【0029】
また、ユーザスイッチ30は、ゲート位相制御装置120に接続される。当該照明灯10を使用する場合、すなわちユーザスイッチ30がオンされた場合には、ユーザスイッチ30は、ゲート位相制御装置120に照明灯10を点灯させるための出力信号を供給する。また、当該照明灯10を使用しない場合、すなわちユーザスイッチ30がオフされた場合には、ユーザスイッチ30は、上記の出力信号を遮断する。ここで、ユーザスイッチ30がオフされた場合、ユーザスイッチ30は、上記出力信号を遮断した後、照明灯10を消灯させるための出力信号をゲート位相制御装置120に供給しても良い。また、以下では、ユーザスイッチ30がオフされた場合には、ユーザスイッチ30は、照明灯10を点灯させるための出力信号を遮断するとして説明する。
【0030】
以上が、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の概略的構成と、その外部の構成である。次に、図1を参照して、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の構成について詳細に説明する。
【0031】
(磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の構成)
図1に示すように、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114で構成されたブリッジ回路と、このブリッジ回路の直流端子b(以下、端子bという)と直流端子c(以下、端子cという)との間に接続されたコンデンサCと、から構成される。また、各逆導通型半導体スイッチ111〜114は、ゲート位相制御装置120に接続され、制御信号を受ける。また、ブリッジ回路は、交流電源20と照明灯10との間に直列に接続される。
【0032】
より詳細に上記構成について説明すると、以下の通りである。まず、ブリッジ回路は、交流電源20と接続される交流端子a(以下、端子aという)から、端子bを介して、照明灯10と接続される交流端子d(以下、端子dという)までの経路である第1経路L1と、端子aから端子cを介して端子dまでの経路である第2経路L2とを含む。また、第1経路L1には、端子dと端子bとの間に第1逆導通型半導体スイッチ111が配置され、端子bと端子aとの間に第4逆導通型半導体スイッチ114が配置される。そして、第2経路L2には、端子dと端子cとの間に第2逆導通型半導体スイッチ112が配置され、端子cと端子aとの間に第3逆導通型半導体スイッチ113が配置される。また、端子bと端子cとの間には、コンデンサCが設けられる。
【0033】
すなわち、第1逆導通型半導体スイッチ111と第2逆導通型半導体スイッチ112とは、並列で接続され、第3逆導通型半導体スイッチ113と第4逆導通型半導体スイッチ114とは、並列で接続される。また、第1逆導通型半導体スイッチ111と第4逆導通型半導体スイッチ114とは、直列で接続され、第2逆導通型半導体スイッチ112と第3逆導通型半導体スイッチ113とは、直列で接続される。
【0034】
また、各逆導通型半導体スイッチ111〜114の構成及び磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の制御を説明する際の便宜上、以下で、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114は、ブロック回路において対角線上に位置する2つの逆導通型半導体スイッチ111〜114を対として2つのペア(第1ペア、第2ペア)に分ける。すなわち、以下では、第1逆導通型半導体スイッチ111と第3逆導通型半導体スイッチ113とを第1ペアとし、第2逆導通型半導体スイッチ112と第4逆導通型半導体スイッチ114とを第2ペアとして説明する。
【0035】
ここで、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114は、ゲート位相制御装置120から制御信号として供給されるオン信号が入力するゲート端子(以下、ゲートという)と、入力端子及び出力端子の役割を果たす2つのソース/ドレイン端子(以下、ソース/ドレインという)とを含む。また、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114のそれぞれは、ゲートにオン信号が入力していないスイッチオフ時には、電流を一方向にのみ導通させ、ゲートにオン信号が入力したスイッチオン時には、電流を両方向に導通させる。すなわち、逆導通半導体スイッチ111〜114は、スイッチオフ時には、一方のソース/ドレインから他方のソース/ドレインへだけ電流を導通させるが、スイッチオン時には、両方のソース/ドレインから反対のソース/ドレインへ電流を導通させる。ここで、以下では、各逆導通型半導体スイッチ111〜114がスイッチオフ時に電流を流す方向を、スイッチ順方向といい、スイッチオフ時に電流を流さない方向を、スイッチ逆方向ということにする。また、以下では、このスイッチ順方向及び逆方向を回路に対して接続する向きのことを、スイッチの極性ということにする。
【0036】
また、各逆導通型半導体スイッチ111〜114は、それぞれスイッチの極性が以下のようになるように配置される。並列に接続された第1逆導通型半導体スイッチ111と第2逆導通型半導体スイッチ112と、または、第3逆導通型半導体スイッチ113と第4逆導通型半導体スイッチ114とは、逆方向のスイッチ極性を有す。また、直列に接続された第1逆導通型半導体スイッチ111と第4逆導通型半導体スイッチ114と、または、第2逆導通型半導体スイッチ112と第3逆導通型半導体スイッチ113とも、逆方向のスイッチ極性を有する。よって、第1ペアの第1逆導通型半導体スイッチ111と第3逆導通型半導体スイッチ113とは、同方向のスイッチ極性を有し、第2ペアの第2逆導通型半導体スイッチ112と第4逆導通型半導体スイッチ114とも、同方向のスイッチ極性を有す。また、第1ペアのスイッチ極性と、第2ペアのスイッチ極性とは、逆方向となる。
【0037】
すなわち、端子aと端子dとの間に電圧をかけた場合、第1ペアの逆導通型半導体スイッチ111、113は、オフ時に端子dから端子aに電流を流す方向にのみ導通し、第2ペアの逆導通型半導体スイッチ112、114は、オフ時に端子aから端子dに電流を流す方向にのみ導通する。すなわち、第1ペアの逆導通型半導体スイッチ111、113のスイッチの順方向は、端子dから端子aに向かう方向であり、第2ペアの逆導通型半導体スイッチ112、114のスイッチの順方向は、端子aから端子dに向かう方向である。しかし、このようなスイッチ極性は、第1ペアの逆導通型半導体スイッチ111、113と第2ペアの逆導通型半導体スイッチ112、114との間で、反対に構成されてもよい。しかし、その際の構成及び動作は、前述の構成及び、後述の動作と同様であるためここでは、省略する。
【0038】
上記動作を示す第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114は、様々な構成が考えられるが、以下では、説明の便宜のため、半導体スイッチとダイオードとの並列接続によって構成されるものとして、説明する。すわなち、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114のそれぞれは、1つのダイオードD1〜D4と、当該ダイオードに並列に接続された1つの半導体スイッチS1〜S4とを含む。また、図1には、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114のそれぞれは、上記のように、1つのダイオードD1〜D4と、1つの半導体スイッチS1〜S4との並列接続であるとして示している。
【0039】
また、半導体スイッチS1〜S4のそれぞれのゲートをここでは、ゲートG1〜G4とする。このゲートG1〜G4は、それぞれゲート位相制御装置120と接続され、ゲート位相制御装置120から磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への制御信号として供給され、半導体スイッチをオンするオン信号の入力を受ける。オン信号が入力される場合、半導体スイッチS1〜S4は、オン状態となり、両方向に電流を導通させる。しかし、オン信号が入力されない場合、半導体スイッチS1〜S4は、オフ状態となり、電流をどちらの方向にも導通させない。よって、半導体スイッチS1〜S4のオフ時には、並列に接続されたダイオードD1〜D4の導通方向にのみ、電流は導通される。よって、上記のような逆導通型半導体スイッチ111〜114が有するべき動作を示すことができる。
【0040】
しかし、本発明の逆導通型半導体スイッチは、第1〜第4逆導通型半導体スイッチ111〜114の構成により限定されるものではない。すなわち、逆導通型半導体スイッチは、上記動作を示す構成であればよく、例えば、パワーMOS FET、逆導通型GTOサイリスタ等であってもよく、IGBT等の半導体スイッチとダイオードとの並列接続であってもよい。
【0041】
また、上記の各逆導通型半導体スイッチ111〜114のスイッチ極性を、ダイオードD1〜D4に置き換えて説明すれば、以下のようになる。すなわち、スイッチ順方向(スイッチオフ時に導通する方向)は、各ダイオードD1〜D4の導通方向であり、スイッチ逆方向(スイッチオフ時に導通しない方向)は、各ダイオードD1〜D4の非導通方向である。また並列に接続されたダイオード同士(D1とD2と、または、D3とD4と)の導通方向は、互いに逆方向であり、直列に接続されたダイオード同士(D1とD4と、または、D2とD3と)の導通方向も、互いに逆方向である。また、第1ペアのダイオード同士(D1とD3と)の導通方向は、互いに同じ方向であり、第2ペアのダイオード同士(D2とD4と)の導通方向も、互いに同じ方向である。よって、第1ペアのダイオード(D1およびD3)と、第2ペアのダイオード(D2およびD4)との導通方向は、互いに逆方向である。
【0042】
以上、図1を参照して、本実施形態にかかる照明灯制御装置100の構成について詳しく説明した。尚、上記の構成を有する磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、特開2004−260991号公報において開示されている、磁気エネルギーを回生する双方向電流スイッチであり、進相コンデンサの役目を行う。すなわち、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、4個の逆導通型半導体スイッチにて構成されるブリッジ回路と、当該ブリッジ回路の直流端子間に接続され、前記電流遮断時の磁気エネルギーを蓄積するコンデンサとからなる。本実施形態においては、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110を下記のように制御することにより、負荷電圧Vloadを制御する。次に、以下では、図2〜図6を参照して、ゲート位相制御装置120からの制御信号による磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作について説明し、この動作によって照明灯10に印加される負荷電圧Vloadについて詳しく説明する。
【0043】
(磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作)
まず、図2を参照して、ゲート位相制御装置120から磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110へ供給される制御信号、すなわち、ゲート位相制御装置120から各半導体スイッチS1〜S4のゲートG1〜G4へ印加されるオン信号について、説明する。図2は、交流電源20の電源電圧Vと磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110を制御する制御信号との関係を示すタイミング図である。
【0044】
図2の(a)は、交流電源20が供給する電源電圧Vの時間的な変化を示したもので、横軸は、時間経過を示し、縦軸は、電圧を示している。電源電圧Vは、振幅として定格電圧Vaを有し、周期Tを有する正弦波で表される。また、図1中の交流電源20下方に示した矢印Vの方向に印加されたときの電圧を、正の電圧とし、逆方向に印加されたときの電圧を、負の電圧とする。
【0045】
図2の(b)は、ゲートG1〜G4への制御信号を概略的に示したもので、各半導体スイッチS1〜S4の駆動波形を示したものである。横軸は、上記電源電圧Vの時間経過と同じ時間経過を示し、縦軸は、各ゲートG1〜G4への制御信号により、各半導体スイッチS1〜S4がオンされた状態を示す。すなわち、図2の(a)において時間軸上の任意の時点(例えば、t1)は、図2の(b)における時間軸上の対応した時点(t1)と、同時点を表す。また、図2の(b)の横軸において、「S1、S3 ON」は、第1ペアのゲートG1、G3にゲート位相制御装置120からオン信号(制御信号)が印加され、第1ペアの半導体スイッチS1、S3が同時にオンされ、第2ペアの半導体スイッチS2、S4がオフとなる各半導体スイッチS1〜S4の状態を表す。また、「S2、S4 ON」は、同様に、第2ペアのゲートG2、G4にゲート位相制御装置120からオン信号(制御信号)が印加され、第2ペアの半導体スイッチS2、S4が同時にオンされ、第1ペアの半導体スイッチS1、S3がオフとなる各半導体スイッチS1〜S4の状態を表す。以下では、ゲート位相制御装置120からのオン信号が各ゲートG1〜G4に印加されるタイミングについての説明を、各半導体スイッチS1〜S4がオン/オフされるタイミングで説明する。
【0046】
図2の(b)において、時点0から時点1/2Tまでの期間では、第1ペアの半導体スイッチS1、S3がオンされており、時点1/2Tから時点Tまでの期間では、第2ペアの半導体スイッチS2、S4がオンされている。
【0047】
また、時点1/2T及び時点Tのように、一方のペアの半導体スイッチがオンされた状態から、他方のペアの半導体スイッチがオンされた状態に切り替わる時点のことを、スイッチ切替タイミングという。図1に示すように、スイッチ切替タイミングは、電源電圧の周期Tの半周期である周期1/2Tで繰り返される。よって、第1ペアの第1逆導通型半導体スイッチ111及び第3逆導通型半導体スイッチ113と、第2ペアの第2逆導通型半導体スイッチ112及び第4逆導通型半導体スイッチ114とは、周期1/2Tで交互にオン/オフされる。
【0048】
図2の(c)は、図2の(b)におけるスイッチ切替タイミングを、時間間隔αだけ早めた各半導体スイッチS1〜S4の駆動波形である。また、時間間隔αは、図2の(a)を基準にする。また、図2の(b)において、各スイッチ切替タイミングは、交流電源20の電源電圧がゼロとなる時点を表すゼロクロスポイント(時点1/2T、時点T)と同時点に位置する。すなわち、図2の(b)において、半導体スイッチS1〜S4のオン/オフは、ゼロクロスポイントで行われる。しかし、図2の(c)においては、各スイッチ切替タイミングを時間間隔αだけ早めたために、各スイッチ切替タイミングと、ゼロクロスポイントとの間には、時間間隔αだけの時間差がある。この時間間隔αを以下では、ゲート位相角αと呼ぶことにする。
【0049】
すなわち、図2の(b)のゲート位相角αは、各スイッチ切替タイミングと、ゼロクロスポイントとが同時点であるため、ゼロとなる(α=0°)。また、図2の(c)において、ゲート位相角αは、0°より大きく90°未満の値(0°<α<90°、例えば45°)として、図示している。ここで、時間差であるゲート位相角αを角度としているのは、電源電圧Vの周期Tを位相360°として表したときに、対応したものである。
【0050】
また、図2の(d)〜(f)は、図2の(c)波形図同様に、図2の(b)の各スイッチ切替タイミングを、ゲート位相角αだけ早めた駆動波形である。また、図2の(d)において、ゲート位相角αは、90°(α=90°)としており、図2の(e)において、ゲート位相角αは、90°より大きく180°未満(90°<α<180°)としており、図2の(f)において、ゲート位相角αは、180°(α=180°)としている。
【0051】
次に、図2〜5を参照して、ゲート位相角αを変化させた場合に、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110内を流れる電流Iと、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110から出力される負荷電圧Vload(照明灯10に印加される電圧)との変化について、詳細に説明する。つまり、電源電圧Vの変化に対して、各半導体スイッチS1〜S4のオン/オフを切り替えるタイミングを変化させることにより、出力される負荷電圧Vloadが変化する。ここでは、ゲート位相角αを単に、αということにする。また、以下では、αは、0°〜180°に設定した場合について説明する。これは、αを180°〜360°に設定した場合の電流Iと負荷電圧Vloadとの変化は、αを0°〜180°に設定した場合と同様であるためである。
【0052】
図3Aは、α=0°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作と電流Iの流れを示す概念図であり、図3Bは、α=180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作と電流Iの流れを示す概念図であり、図4は、0°<α<90°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作と電流Iの流れを示す概念図であり、図5は、90°<α<180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作と電流Iの流れを示す概念図である。また、以下の説明を判りやすくするために、図3A〜図5においては、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のブロック回路と、交流電源20のみを示す。よって、図3A〜図5におけるブロック回路の構成は、図1の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のブロック回路の構成と同様であり、図3A〜図5において省略した構成も、図1の構成と同様である。また、図3A〜図5においては、適宜符合を省略したが、図1における符号と同様の符号が付されているものとする。そして、図3A〜図5においては、半導体スイッチS1〜S4は、スイッチオフ時には、図示せず、スイッチオン時のみ、並列に接続されたダイオードD1〜D4をバイパスし迂回する経路として、実線で図示する。これは、各半導体スイッチS1〜S4は、スイッチオン時において、各ソース/ゲート間を導通させ、スイッチオフ時には、各ソース/ゲート間を遮断することを概念的に表したものである。また、以下では、半導体スイッチS1と半導体スイッチS3とを第1ペアといい、半導体スイッチS2と半導体スイッチS4とを第2ペアという。
【0053】
まず、図3Aを参照して、α=0°の場合を説明する。また、図2中の代表的な時点t1及び時点t4における電流の流れについて、説明する。時点t1(t=t1)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第1ペアのみオンされ、時点t4(t=t4)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第2ペアのみオンされる。
【0054】
α=0°かつt=t1において、電流Iは、交流電源20から第1経路L1または第2経路L2を介して流れる。すなわち、電流Iは、ダイオードD4と、半導体スイッチS1とを順次通るか、半導体スイッチS3と、ダイオードD2とを順次通る。よって、コンデンサCは、基本的には、充電も放電もしない。すなわち、電流Iは、コンデンサCに対して何の作用もせず、電源電圧Vが直接印加電圧VLoadとして出力される。よって、Vload=Vとなる。
【0055】
α=0°かつt=t4において、電流Iは、α=0°かつt=t1の場合と同じ経路を逆向きに流れる。よって、この電流Iの流れの説明は、省略する。また、この場合も、Vload=Vとなる。
【0056】
次に、図3Bを参照して、α=180°の場合を説明する。また、図2中の代表的な時点t1及び時点t4における電流の流れについて、説明する。時点t1(t=t1)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第2ペアのみオンされ、時点t4(t=t4)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第1ペアのみオンされる。
【0057】
α=180°かつt=t1において、電流Iは、交流電源20から、ダイオードD4または半導体スイッチS4と、コンデンサCと、ダイオードD2または半導体スイッチS2とを順次流れる。また、α=180°かつt=t4において、電流Iは、ダイオードD1または半導体スイッチS1と、コンデンサCと、ダイオードD3または半導体スイッチS3とを順次に介し、交流電源20へと流れる。この際、コンデンサCの第1経路L1側は、第2経路L2側より常に高い電圧が印加される。よって、コンデンサCは、実質的に、交流電源20と照明灯10との間に、直列に接続されたことになる。よって、照明灯10のリアクタンス成分Lと、抵抗成分Rとともに、コンデンサCは、LCR回路を組むこととなる。この際の電流の流れの詳細な説明は、省略する。また、負荷電圧Vloadは、概略的には、Vload=V−Vcで表される。ここで、−Vcは、コンデンサCが充電されることによる電圧降下を示す。
【0058】
次に、図4を参照して、0°<α<90°の場合を説明する。また、図2中の代表的な時点t1、t2、t3、t4における電流の流れについて、説明する。時点t1(t=t1)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第1ペアのみオンされ、時点t2(t=t2)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第2ペアのみオンされ、時点t3(t=t3)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第2ペアのみオンされ、時点t4(t=t4)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第2ペアのみオンされる。
【0059】
0°<α<90°かつt=t1において、電流Iは、α=0°かつt=t1において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れる。よって、この電流Iの流れの説明は、省略する。また、電源電圧Vが負荷電圧Vloadとして出力される。しかし、t=t1において、電源電圧Vは、正の方向で増加しきっており、電源電圧Vの正の方向の略最大電圧を、Vloadとして出力することができる。
【0060】
0°<α<90°かつt=t2において、電流Iは、α=180°かつt=t1において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れる。よって、この電流Iの流れの説明も、省略する。しかし、t=t2の時点は、電源電圧Vが正から負に変わるゼロクロスポイントの直前であり、この電源電圧Vのうち一部の電圧は、コンデンサCの充電に使われる。つまり、コンデンサCの第1経路L1側には、正の電荷が充電され、第2経路L2側には、負の電荷が充電される。また、負荷電圧Vloadは、概略的には、Vload=V−Vcで表される。
【0061】
0°<α<90°かつt=t3において、電流Iは、α=0°かつt=t4において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れるが、当該経路の間に挟まれたコンデンサCは、充電されており、コンデンサCに蓄えられた電気エネルギーが放出されうる。つまり、電流Iは、上記経路以外に、半導体スイッチS2と、コンデンサCと、半導体スイッチS4とを順次介して、交流電源20へ流れることができる。また、t=t3の時点は、電源電圧Vが正から負に変わるゼロクロスポイントの直後で、電源電圧Vが負方向で増加(電源電圧Vの絶対値が増加)し始めた時点である。よって、t=t3において、コンデンサCに充電されていた正の電荷は、コンデンサCから半導体スイッチS4を介して交流電源20に放電され、負の電荷は、コンデンサCから半導体スイッチS2への放電される。よって、蓄えられた電気エネルギーを放出する間、コンデンサCは、交流電源20と直列に接続され電源電圧Vを昇圧する電源と同様の動作をする。すなわち、コンデンサCは、t=t3において、負荷電圧Vloadを昇圧することとなる。よって、この負荷電圧Vloadは、概略的には、Vload=V+Vcで表され、電源電圧Vの定格電圧Vaよりも高い電圧となりうる。
【0062】
0°<α<90°かつt=t4において、電流Iは、α=0°かつt=t4において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れる。また、時点t4は、時点t3から十分な時間が経過した時点であり、コンデンサCは、蓄えられた電気エネルギーの全てを放出している。よって、電流Iは、α=0°かつt=t4における電流Iが流れる経路と同様の経路のみを流れる。よって、この電流Iの流れの説明は、省略する。また、電源電圧Vが負荷電圧Vloadとして出力される。しかし、t=t4において、電源電圧Vは、負の方向で増加しきっており、電源電圧Vの負の方向の略最大電圧を、Vloadとして出力することができる。
【0063】
0°<α<90°かつt=t4以降における電流Iの流れは、上記のt1〜t4における電流Iの流れと、流れる向きを逆にして、同様である。よって、この電流Iの流れの説明も、省略する。
【0064】
以上説明した、0°<α<90°の場合の負荷電圧Vloadについてまとめると、以下のようになる。まず、t=t1においては、電源電圧Vが、そのまま負荷電圧Vloadとして出力される。次に、t=t2においては、電源電圧Vが正方向から負方向に反転する際の電圧の一部(Vc)が、コンデンサCの充電にあてられ、一次的に、負荷電圧Vloadは、低下する。しかし、t=t3においては、コンデンサCが電荷を放電し、電源しての役割を果たすために、負荷電圧Vloadは、電源電圧VよりコンデンサCの電気エネルギー(Vc)だけ昇圧される。そして、t=t4においては、コンデンサCは、電気エネルギーを全て放出しており、電流Iに対して何の作用もせず、電源電圧Vがそのまま、負荷電圧Vloadとして出力される。
【0065】
よって、0°<α<90°とした場合、負荷電圧Vload(Vload=V+Vc)は、結果として、電源電圧Vの定格電圧Vaよりも高い電圧となりうる。
【0066】
次に、図5を参照して、90°<α<180°の場合を説明する。また、図2中の代表的な時点t1、t3、t4、t5における電流の流れについて、説明する。時点t1(t=t1)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第2ペアのみオンされ、時点t3(t=t3)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第2ペアのみオンされ、時点t4(t=t4)は、電源電圧Vが負の方向に印加され、第1ペアのみオンされ、時点t5(t=t5)は、電源電圧Vが正の方向に印加され、第1ペアのみオンされる。
【0067】
90°<α<180°かつt=t1において、電流Iは、α=180°かつt=t1において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れる。よって、この電流Iの流れの説明は、省略する。この際の負荷電圧Vloadは、コンデンサCの充電による電圧降下が起き、電源電圧Vよりも低くなる。すなわち、負荷電圧Vloadは、概略的には、Vload=V−Vcで表される。ここで、−Vcは、コンデンサCが充電されることによる電圧降下を示す。
【0068】
90°<α<180°かつt=t3において、電流Iは、0°<α<90°かつt=t3において電流Iが流れる経路と同様の経路を流れる。すなわち、0°<α<90°かつt=t3におけるコンデンサCと同様に、コンデンサCは、蓄えられた電気エネルギーを放出する。よって、蓄えられた電気エネルギーを放出する間、コンデンサCは、交流電源20と直列に接続され電源電圧Vを昇圧する電源と同様の動作をする。よって、この負荷電圧Vloadは、概略的には、Vload=V+Vcで表される。なお、ここで+Vcは、コンデンサCからの電気エネルギーの放出による昇圧を示す。
【0069】
しかし、コンデンサCと、照明灯10のリアクタンス成分L及び抵抗成分Rとは、LCR回路を成す。よって、蓄えられた電気エネルギーの放出は、放出する経路が形成されるスイッチ切替タイミングより遅延する。この放出する経路が形成された時点から、電気エネルギーの放出が実際に開始される時点までの期間を、ここでは、遅延時間γとする。また、t=t3は、電源電圧Vが正から負に変わるゼロクロスポイントの直後で、電源電圧Vが負方向で増加(電源電圧Vの絶対値が増加)し始めた時点であるため、電源電圧Vは、十分な大きさを有していない。よって、Vは低い電圧であり、コンデンサCからのVcも、出力されるまでには遅延される。よって、コンデンサCからの放電のための経路が形成された時点から十分な時間経過する前において、負荷電圧Vloadは、Vよりも小さな値となり得る。負荷電圧VloadがVより小さくなることについては、後述する。
【0070】
90°<α<180°かつt=t4において、電流Iは、90°<α<180°かつt=t1において電流Iが流れる経路と同様の経路を逆方向に流れる。よって、この電流Iの流れの説明は、省略する。また、負荷電圧Vloadも、上記90°<α<180°かつt=t1の場合と向きが逆であることを除き同様であるため、その説明は省略する。
【0071】
90°<α<180°かつt=t5において、電流Iは、90°<α<180°かつt=t3において電流Iが流れる経路と同様の経路を逆方向に流れる。また、負荷電圧Vloadも、上記90°<α<180°かつt=t2の場合と向きが逆であることを除き同様であるため、その説明は省略する。
【0072】
よって、90°<α<180°とした場合、負荷電圧Vloadは、結果として、電源電圧Vの定格電圧Vaより低い電圧(Vload<V)となりうる。
【0073】
以上、90°<α<180°における、時点t1、t3、t4、t5での電流Iの流れと、負荷電圧Vloadとについて説明した。ここで、以下では、90°<α<180°かつt3において、概略的に、Vload=V+Vcであらわされる負荷電圧Vloadが、定格電圧Vaよりも小さくなりうることについて、概略的に説明する。この際、時点t1、t3、t4を例に、図2の(c)〜(e)を参照して説明する。
【0074】
t=t1において、コンデンサCは、交流電源20と照明灯10との間に直列に接続され、電源電圧Vの一部は、コンデンサCの充電にあてられる。よって、負荷電圧Vloadの降下が起きた。t=t3においては、コンデンサCが放電する経路(以下、放電経路という)が形成され、負荷電圧Vloadは、概略的に、Vload=V+Vcとあらわされた。
【0075】
ここでは、この放電経路が形成される期間を期間β(図2の(e)参照)とする。この期間βは、半導体スイッチS1〜S4のオン/オフ状態と、電源電圧Vの印加される向きとの関係により、コンデンサCからの放電経路が形成されている期間となる。また、図2の(e)では、この期間βは、例えば、時点1/2Tから次のスイッチ切替タイミングまでである。よって、ゲート位相角αは、期間1/2Tから期間βを減じたものとなる。すなわち、α=1/2T−βであり、具体的には、α=180°−βである。
【0076】
図2の(e)において、時点t3のみが期間βに含まれている。また、図2の(b)のように、時点t4が期間βに含まれる場合、電源電圧Vは、定格電圧Vaとなり、負荷電圧Vloadは、Vload=V+Vc=Va+Vc、Vc≧0の両式を満たす。よって、負荷電圧Vloadは、定格電圧Va未満にはならない。よって、負荷電圧Vloadを定格電圧Vaより低くするには、期間βは、V=Vaとなる時点、すなわち時点t4を含んではならない。よって、期間βは、β<1/4T=90°となる。
【0077】
よって、90°<α≦180°の場合に、負荷電圧Vloadは、定格電圧Vaよりも小さくなりうる。但し、ゲート位相角αは、ここでは、0°〜180°の範囲内であるとした。また、ゲート位相角αが180°〜360°である場合は、ゲート位相角αが180°〜0°であるとした場合と同様であるので、ここでは省略する。
【0078】
また、以下では、負荷電圧Vloadが定格電圧Va以下の電圧となるときのゲート位相角α及び期間β、すんわち、Vload=Vaとなるときのゲート位相角α及び期間βを、基準角α0及び基準期間β0とする。
【0079】
上述の図2の(e)の説明のように、90°<α<180°において、Vloadは、Vload=V−VcまたはVload=V+Vcとなる。また、上記のように、90°<α≦180°にいおて、Vload=V+Vcとなるのは期間βである。よって、Vloadが、定格電圧Vaより小さくなるためには、90°<α≦180°の期間βにおいて、V+Vc<Vaとなる場合である。ここで、V+Vc<VaとV+Vc>Vaとの境であるVload=V+Vc=Vaとなる基準期間β0について、説明する。
【0080】
V+Vc=Vaとなるには、VcすなわちコンデンサCからの放電による電圧の上昇が、大きくなる必要がある。また、上述のようにコンデンサCからの放電が開始されるのは、上記の遅延時間γ後である。よって、V+Vc=Vaとなる基準時間β0は、遅延時間γより大きくなる(β0>γ)。よって、β≦γのときは、β<β0となる。
【0081】
従って、放電期間βが遅延時間γ以下のとき、放電期間βは、基準期間β0より小さくなる。よって、放電期間βが遅延時間γより小さい(短い)とき、負荷電圧Vloadは、定格電圧Vaより小さくなる。
【0082】
結果として、ゲート位相角αは、90°<α<180°を満たすとき、負荷電圧Vloadは、定格電圧Vaより小さくなる。
【0083】
以上、ゲート位相角αの変化させた場合の、電流Iと、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110から出力される負荷電圧Vloadとについて説明した。次に、図6を参照して、実際に照明灯10である蛍光灯を接続し、ゲート位相角αを変化させたときの負荷電圧Vloadの変化についての実験例を説明する。図6は、実験例にかかる照明灯10に印加される電圧(負荷電圧Vload)とゲート位相角αとの関係を示す図面である。なお、この実験には、照明灯10として、2本の40Wの蛍光灯を使用した。
【0084】
図6に示すように、この実験例では、ゲート位相角αが0°において、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vの105%大きさを有する。ここで、負荷電圧Vloadが電源電圧Vと同じ大きさにならないのは、逆導通型半導体スイッチ111〜114の微小な抵抗成分が作用し、コンデンサCに微量の電荷が充放電されるためである。また、ゲート位相角αが0°から90°まで変化した際に、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vよりも大きくなる。これは、上述の0°<α<90°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作によるものである。また、ゲート位相角αが90°から約140°まで変化した際に、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vよりも大きい。しかし、ゲート位相角αが90°より大きくなると、負荷電圧Vloadは減少する。この電圧の降下は、上述の90°<α<180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作で説明した電圧降下が起こるためである。また、負荷電圧Vloadが電源電圧Vよりも大きいのは、放電期間βが十分に短くなく、上述のコンデンサCによる昇圧の作用によるものである。そして、ゲート位相角αが約140°以上となると、負荷電圧Vloadは電源電圧Vよりも低くなる。よって、この実験例においては、基準角α0は、約140°であった。また、この電圧の降下は、上述の90°<α<180°、およびα=180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作で説明した、電圧降下によるものである。ゲート位相角αが約140°以上では、放電期間βが十分に短くなった(β<γ)ために、負荷電圧Vloadを電源電圧Vより小さくすることができる。尚、ゲート位相角αを基準角α0(約140°)に設定した場合、定格電圧Vaを有する電源電圧Vと同じ値の負荷電圧Vloadが、照明灯10に印加される。
【0085】
図6の実験例では、基準角α0は約140°となった。よって、負荷電圧Vloadが電源電圧Vより小さくなるのは、ゲート位相角αが約140°より大きい場合である。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、この基準角α0は、上述の通り、照明灯10と、コンデンサCとに依存する。実際には、照明灯10の種類、本数、リアクタンス成分Lおよび抵抗成分Rの変化と、コンデンサCの電気容量と等によって、基準角α0は、90°以上180°未満の範囲の角度となる。したがって、ゲート位相角αを90°より大きく180°以下の範囲に設定した場合、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vより小さくなりうる。
【0086】
また、上記では、ゲート位相角αが0°〜180°の範囲内である場合について説明した。しかし、ゲート位相角αを180°から360°まで変化させた場合、負荷電圧Vloadは、ゲート位相角αを180°から0°まで変化させた場合と同様の値となる。すなわち、ゲート位相角αが、0°以上基準角α0以下の場合、負荷電圧Vloadは、電源電圧V以上となり、基準角α0より大きく180°以下の場合、負荷電圧Vloadは、電源電圧V未満となる。これに対して、ゲート位相角αが、180°より大きく(360°−基準角α0)未満の場合、負荷電圧Vloadは、電源電圧V未満となり、(360°−基準角α0)以上360°以下の場合、負荷電圧Vloadは、電源電圧V以上となる。ゲート位相角が180°〜360°である場合の負荷電圧Vloadは、上述の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作と同様の動作によって得られるため、ここでは、詳しい説明を省略する。
【0087】
よって、ゲート位相角αを基準角α0より大きく(360°−基準角α0)未満の範囲内に設定することにより、負荷電圧Vloadを電源電圧Vよりも小さくすることができる。このゲート位相角αの範囲は、照明灯10として40Wの蛍光灯を2本接続した場合、すなわち図6の実験例の場合、約140°より大きく220°未満の範囲となる。また、基準角α0は、90°以上180°未満の範囲の角度となりうるので、ゲート位相角αが90°より大きく270°より小さい範囲である場合に、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vよりも小さくなりうる。
【0088】
以下では、実際の照明灯制御装置100の動作を説明するために、照明灯10点灯時に、ゲート位相角αを基準角α0である約140°に設定し、負荷電圧Vloadは、交流電源20の定格電圧Vaである電源電圧Vの100%に相当する電圧(以下、点灯電圧という)であるとする。また、照明灯10消灯時に、ゲート位相角αを180°(以下、消灯角α1という)に設定し、負荷電圧Vloadは、電源電圧Vの略50%に相当する電圧(以下、低電圧という)であるとする。
【0089】
しかし、本発明は、これに限定されない。すなわち、消灯時のゲート位相角αの消灯角α1は、90°<α<270°の範囲で、負荷電圧Vloadが電源電圧Vよりも低くなるように設定でき、点灯時のゲート位相角αは、負荷電圧Vloadが電源電圧V以上になるように設定できる。よって、点灯電圧は、電源電圧Vの定格電圧Va以上に設定することができ、低電圧は、定格電圧Va未満の電圧に設定することができる。例えば、図6においては、消灯角α1を約140°と設定して、低電圧を電源電圧Vの60%の電圧にすることも可能であり、点灯角α1を90°に設定して、点灯電圧を電源電圧Vの140%としてもよい。尚、点灯電圧が定格電圧Va以上である場合、照明灯10の輝度は、印加電圧が上昇するので、増加する。
【0090】
以上、図2〜6を参照して、ゲート位相制御装置120からの制御信号による磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作について詳しく説明した。また、この動作によって照明灯10に印加される負荷電圧Vloadについても詳しく説明した。次に、図7を参照して、照明灯制御装置100の動作について説明し、実際に照明灯10に印加されるVloadについて、説明する。
【0091】
(ユーザスイッチ30消灯/点灯時の負荷電圧Vloadの変化)
ここでは、図7を参照して、ユーザスイッチ30を消灯/点灯と切り替えたときの負荷電圧Vloadの変化を説明する。図7は、本実施形態にかかる照明灯制御装置100の駆動を示す駆動波形面である。図7において、上図は、使用者によってユーザスイッチ30が点灯/消灯(オン/オフ)の切り替えが行われたことを示すタイミング図である。また、下図は、当該ユーザスイッチ30の操作による負荷電圧Vloadの変化を示す電圧図である。なお、両図において横軸は、時間軸を表すが、一方の図の時間軸上の任意の時点(例えば、k1)は、他方の図の時間軸上の対応する時点(k1)と同時点であるとする。
【0092】
図7の上図に示すように、ユーザスイッチ30は、時点0から時点k4まで、消灯/点灯の切り替えが行われる。時点0から時点k1までは、ユーザスイッチ30は、点灯に選択され、それに対して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。また、時点k1ではユーザスイッチ30は切り替えられ消灯に選択される。この消灯状態に対応して、負荷電圧Vloadは、低電圧に設定される。よって、時点k1から時点k2まで、照明灯10に継続的に低電圧が印加される。また、時点k2ではユーザスイッチ30は切り替えられ再度点灯に選択される。この点灯状態に対応して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。よって、時点k2から時点k3まで、照明灯10に継続的に点灯電圧が印加される。また、時点k3ではユーザスイッチ30は切り替えられ消灯に選択される。この消灯状態に対応して、負荷電圧Vloadは、低電圧に設定される。よって、時点k3から時点k4まで、照明灯10に継続的に低電圧が印加される。また、時点k4ではユーザスイッチ30は切り替えられ再び点灯に選択される。この点灯状態に対応して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。よって、時点k4以降照明灯10に継続的に点灯電圧が印加される。
【0093】
次に、ユーザスイッチ30が点灯に選択された期間、例えば、時点0から時点k1までの期間で、照明灯制御装置100から点灯電圧が出力される流れについて簡単に説明する。まず、点灯を選択されたユーザスイッチ30は、所定の出力信号をゲート位相制御装置120へ出力する。当該出力信号を受けたゲート位相制御装置120は、ゲート位相角αを、基準角α0(例えば、140°)に設定する。また、ゲート位相制御装置120は、位相検出器130から位相情報の供給を受ける。ゲート位相制御装置120は、設定したゲート位相角αと位相情報とから制御信号(オン信号)を作成し、制御信号を磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のゲートG1〜G4へ供給する。制御信号の供給を受けた磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給された電源電圧Vを変調して、負荷電圧Vloadを点灯電圧(例えば、定格電圧Vaの100%)の大きさで出力する。当該負荷電圧Vloadの出力は、上述の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作による。そして、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、負荷電圧Vloadである点灯電圧を照明灯10に印加する。よって、照明灯10は、点灯時すなわち照明灯10を使用する場合に、点灯電圧に対応して発光することになる。
【0094】
そして、ユーザスイッチ30が消灯に選択された期間、例えば、時点k1から時点k2までの期間で、照明灯制御装置100から低電圧が出力される流れについて簡単に説明する。まず、点灯を選択されたユーザスイッチ30は、所定の出力信号を遮断する。当該出力信号が入力されないゲート位相制御装置120は、ゲート位相角αを、消灯角α1(例えば、180°)に設定する。また、ゲート位相制御装置120は、位相検出器130から位相情報の供給を受ける。ゲート位相制御装置120は、設定したゲート位相角αと位相情報とから制御信号(オン信号)を作成し、制御信号を磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のゲートG1〜G4へ供給する。制御信号の供給を受けた磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給された電源電圧Vを変調して、負荷電圧Vloadを低電圧(例えば、定格電圧Vaの50%)の大きさで出力する。当該負荷電圧Vloadの出力は、上述の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作による。そして、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、負荷電圧Vloadである低電圧を照明灯10に印加する。よって、照明灯10は、点灯時すなわち照明灯10を使用する場合に、低電圧に対応して発光することになる。よって、照明灯10は、消灯時においても、印加電圧が零とならず、非発光状態にならない。
【0095】
以上、本発明の第1実施形態にかかる照明灯制御装置100の構成及び動作について、詳しく説明した。本発明の第1実施形態によれば、照明灯10を使用しない場合には、照明灯10の電圧を定格電圧Va(電源電圧V)以下の低電圧を印加する。従って、照明灯10は、使用しない場合でも、消灯(印加電圧が零の状態)されないので、消灯の回数を減らすことができる。よって、照明灯制御装置100によれば、照明灯10の寿命を延ばすことができる。また、照明灯10を使用しない場合には、照明灯10には定格電圧Va以下の低電圧を印加するので、常時点灯状態で照明灯10を使用する場合にくらべて、消費電力を削減することができる。よって、照明灯制御装置100によれば、消費電力を減らし省エネルギー化できる。
【0096】
したがって、本実施形態にかかる照明灯制御装置100は、長寿命化と省エネルギー化とを同時に達成することができる。また、照明灯10の長寿命化がはかられるので、照明灯10を交換する回数を減らすことができ、費用の節約にも繋がると共に、資源の節約にも繋がる。また、従来のように蛍光灯をインバータ方式ものに切り替える必要もない。本実施形態にかかる照明灯制御装置100は、上述の通り、非常に単純な構成を有し、各品も安価である。よって、本実施形態によれば、複雑かつ高価なインバータ方式の蛍光灯に取り替える場合にくらべて、設備投資にかかる費用も少なく済む。また、このような照明灯制御装置100は、常時点灯を必要とする場所に使用した際に、より大きな効果を発揮する。例えば、常時点灯を必要とする廊下や工場、オフィス等である。また、ショウルームや廊下等に使用することにより、店内のディスプレイ効果、防犯効果、事故防止効果も、上記の長寿命化、省エネルギー化、費用削減とともに、達成することが可能である。
【0097】
また、点灯時すなわち照明灯10を使用する場合に、ゲート位相角αを上記基準角α0以下の角度、または、(360°−基準角α0)〜360°に設定することにより、電源電圧Vの定格電圧Va以上の電圧を照明灯10に印加することができる。よって、点灯時の照明灯10の輝度を、従来の照明灯10よりも上げることができる。
【0098】
(第2の実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施形態にかかる照明灯制御装置200の構成について説明する。図8は、本実施形態にかかる照明灯制御装置200の構成を示す概略図である。
【0099】
図8に示すように、照明灯制御装置200は、照明灯10と交流電源20と人体感知装置40とに接続される。また、照明灯10と交流電源20と照明灯制御装置200とは、直列に接続される。交流電源20は、照明灯10の定格電圧Vaを有する電源電圧Vを、照明灯制御装置200に供給する。人体感知装置40は、照明灯10の照明範囲内の対象物の存在を感知すると、出力信号を発し、感知しない場合、出力信号を発しない。照明灯制御装置200は、人体感知装置40の出力信号に応じて電源電圧Vを変圧し、負荷電圧Vloadを照明灯10に印加する。負荷電圧Vloadの印加を受けた照明灯10は、発光する。また、照明灯制御装置200は、人体感知装置40の出力信号が所定時間出力されない場合には、照明灯10に印加される負荷電圧Vloadを遮断する。
【0100】
照明灯制御装置200は、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と、ゲート位相制御装置220と、位相検出器130と、電源遮断手段とを含む。電源遮断手段は、電源スイッチ310と、マイクロコントローラ320と、タイマー330とを含む。磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20と照明灯10との間に直列に接続される。位相検出器130は、ゲート位相制御装置120と接続されるとともに、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間の導線と、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110と照明灯10との間の導線とに接続される。ゲート位相制御装置220は、照明灯制御装置200の外部に備えられた人体感知装置40に接続され、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110に接続される。電源スイッチ310は、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間に配置される。タイマー330は、人体感知装置40とマイクロコントローラ320とに接続される。マイクロコントローラ320は、タイマー330と電源スイッチ310とに接続される。
【0101】
ゲート位相制御装置220、電源遮断手段、および人体感知装置40、以外の構成要素は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
【0102】
ゲート位相制御装置220は、上記の通り、人体感知装置40に接続される。ゲート位相制御装置220は、第1実施形態のゲート位相制御装置120と同様の働きをするが、制御のため入力される信号が異なる。すなわち、第1実施形態のゲート位相制御装置120は、ユーザスイッチ30からの出力信号によって動作するが、本実施形態のゲート位相制御装置220は、人体感知装置40からの出力信号によって動作する。
【0103】
電源遮断手段は、上述の通り、電源スイッチ310と、マイクロコントローラ320と、タイマー330とを含む。タイマー330は、上述の通り人体感知装置40に接続され、人体感知装置40からの出力信号が所定時間T3入力されないと、マイクロコントローラ320へ信号を出す。マイクロコントローラ320は、当該信号を受けた場合、電源スイッチ310へ電源遮断信号を出力する。また、電源スイッチ310は、上述の通り、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間に配置される。電源遮断信号を受けた電源スイッチ310は、オフされ、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間を遮断し、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への電源電圧Vの供給を止める。結果として、照明灯10への負荷電圧Vloadは、遮断される。
【0104】
また、タイマー330は、電源電圧Vを遮断した状態で、人体感知装置40の出力信号を受けると、マイクロコントローラ320に所定の信号を供給する。マイクロコントローラ320は、電源電圧Vが遮断された状態で当該信号を受けると、電源スイッチ310へ電源開始信号を供給する。電源開始信号を受けた電源スイッチ310は、オンされ、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110との間を繋ぎ、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への電源電圧Vの供給を再開する。結果として、照明灯10へ負荷電圧Vloadが供給される。
【0105】
人体感知装置40は、照明灯10の照明範囲内に対象物が存在するか否かを感知する対象物感知装置である。以下では、対象物は、人であるとして説明する。しかし、対象物は、人に限定されず、例えば、車や荷物等であっても良い。また、対象物感知装置は、光の変化を感知する装置や赤外線を感知する装置等、一般的に用いられるものであるため、詳しい説明は省略する。
【0106】
人体感知装置40は、照明範囲内に人が存在するか否かを所定の方法で感知する。人の存在を感知した人体感知装置40は、ゲート位相制御装置220と電源遮断手段とへ所定の出力信号を出力する。また、人体感知装置40は、照明範囲内に人が存在しない場合、ゲート位相制御装置220への出力信号を遮断する。
【0107】
人体感知装置40からの出力信号を受けたゲート位相制御装置220は、ユーザスイッチ30からの出力信号を受けた第1実施形態のゲート位相制御装置120の動作と同様に、ゲート位相角を基準角α0(例えば、140°)に設定し、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110へ制御信号を出力する。また、ゲート位相制御装置220は、出力信号を受けていない場合、ゲート位相角を消灯角α1(例えば、180°)に設定し、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110へ制御信号を出力する。この制御信号、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110から出力される負荷電圧Vloadについては、第1実施形態と同様であるため、ここでは、省略する。
【0108】
また、電源遮断手段は、上記の構成により、人体感知装置40からの出力信号が、所定時間T3入力されない場合、交流電源20から磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への電源電圧Vを遮断する。また、電源電圧Vが遮断された状態で、人体感知装置40からの出力信号を受けた電源遮断手段は、交流電源20から磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への電源電圧Vの供給を再開する。
【0109】
タイマー330は、人体感知装置40が人の存在を感知したときに発する上記所定の信号を受ける。また、タイマー330は、当該信号の入力が、所定時間以上なかった場合、マイクロコントローラ320へ信号を出す。マイクロコントローラ320は、タイマー330からの信号を受けると、電源遮断信号を電源スイッチ310へ出力する。電源遮断信号を受けた電源スイッチ310は、オフされ、交流電源20からの電源を遮断する。ここで、所定時間T3は、任意で設定してもよい。例えば、所定時間T3は、半日、一日、二日程度であってもよい。
【0110】
以上が、第2実施形態にかかる照明灯制御装置200の構成である。以下で、図9を参照して、人体感知装置40が、人の存在を感知して出力信号を発した場合と、感知せず出力信号を発しない場合との負荷電圧Vloadの変化を説明する。
【0111】
(人体感知装置40の感知状態による、負荷電圧Vloadの変化)
図9は、本実施形態にかかる照明灯制御装置200の駆動を示す駆動波形面である。図9において、上図は、人体感知装置40が人の存在を感知している場合と、感知していない場合を示すタイミング図である。また、下図は、人体感知装置40の感知状況に応じて負荷電圧Vloadの変化を示す電圧図である。なお、両図において横軸は、時間軸を表すが、一方の図の時間軸上の任意の時点(例えば、k5)は、他方の図の時間軸上の対応する時点(k5)と同時点であるとする。
【0112】
図9の上図に示すように、時点0から時点k5までは、人体感知装置40は、人の存在を感知し、それに対応して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。よって、時点0から時点k5の間、照明灯10には、点灯電圧が継続的に印加される。また、時点k5から時点k6までは、人体感知装置40は、人の存在を感知せず、それに対応して、負荷電圧Vloadは、低電圧に設定される。よって、時点k5から時点k6の間の時間T1では、照明灯10に低電圧が継続的に印加される。また、時点k6から時点k7までは、人体感知装置40は、人の存在を感知し、それに対応して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。よって、時点k6から時点k7の間、照明灯10に点灯電圧が継続的に印加される。また、時点k7から時点k8までは、人体感知装置40は、人の存在を感知せず、それに対応して、負荷電圧Vloadは、低電圧に設定される。よって、時点k7から時点k8の間の時間T2では、照明灯10に低電圧が継続的に印加される。また、時点k8から時点k9までは、人体感知装置40は、人の存在を感知し、それに対応して、負荷電圧Vloadは、点灯電圧に設定される。よって、時点k8から時点k9の間、照明灯10に点灯電圧が継続的に印加される。
【0113】
そして、時点k9から時点k11までは、人体感知装置40は、人の存在を感知せず、それに対応して、負荷電圧Vloadは、低電圧に設定される。よって、時点k9から時点k10の間の時間T3では、照明灯10に低電圧が継続的に印加される。しかし、所定時間T3経過後、照明灯10に印加される負荷電圧Vloadは、低電圧から零となり、照明灯10は、非発光状態の消灯状態となる。そして、時点k11にて、人体感知装置40が人の存在を感知した場合に、負荷電圧Vloadは、再び、点灯電圧に設定される。よって、時点k11以降、照明灯10には、点灯電圧が印加される。
【0114】
次に、人体感知装置40が人の存在を感知した期間、例えば、時点0から時点k5までの期間で、照明灯制御装置100から点灯電圧が出力される流れについて簡単に説明する。まず、人体感知装置40は、照明範囲内に人の存在を感知する。人の存在を感知した人体感知装置40は、所定の出力信号をゲート位相制御装置220とタイマー330とへ出力する。当該出力信号を受けたゲート位相制御装置220は、点灯が選択されたとして、ゲート位相角αを、基準角α0に設定する。また、ゲート位相制御装置220は、位相検出器130から位相情報の供給を受ける。ゲート位相制御装置220は、設定したゲート位相角αと位相情報とから制御信号(オン信号)を作成し、制御信号を磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のゲートG1〜G4へ供給する。制御信号の供給を受けた磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給された電源電圧Vから負荷電圧Vloadを点灯電圧(例えば、定格電圧Vaの100%)の大きさで作成する。当該負荷電圧Vloadの作成は、上述の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作による。そして、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、負荷電圧Vloadである点灯電圧を照明灯10に印加する。よって、照明灯10は、人体感知装置40が人の存在を感知した場合すなわち照明灯10を使用する場合(点灯)に、点灯電圧に対応して発光することになる。
【0115】
次に、人体感知装置40が人の存在を感知しない期間、例えば、時点k5から時点k6までの期間で、照明灯制御装置100から消灯電圧が出力される流れについて簡単に説明する。まず、人体感知装置40は、照明範囲内に人の存在を感知しない。人の存在を感知しない人体感知装置40は、ゲート位相制御装置220への上記出力信号を遮断する。出力信号が遮断されたゲート位相制御装置220は、消灯が選択されたとして、ゲート位相角αを、消灯角α1(例えば、180°)に設定する。また、ゲート位相制御装置220は、位相検出器130から位相情報の供給を受ける。ゲート位相制御装置220は、設定したゲート位相角αと位相情報とから制御信号(オン信号)を作成し、制御信号を磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110のゲートG1〜G4へ供給する。制御信号の供給を受けた磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、交流電源20から供給された電源電圧Vから負荷電圧Vloadをゼロでない低電圧(例えば、定格電圧Vaの50%)の大きさで作成する。当該負荷電圧Vloadの作成は、上述の磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110の動作による。そして、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110は、負荷電圧Vloadである低電圧を照明灯10に印加する。よって、照明灯10は、消灯時すなわち照明灯10を使用しない場合(消灯)に、低電圧に対応して発光することになる。よって、照明灯10は、消灯時においても、印加電圧が零とならず、消灯されない。
【0116】
そして、人体感知装置40が人の存在を所定時間T3の間感知せず、照明灯10に印加される電圧が零となる場合、つまり、時点k9から時点k11までの期間で、照明灯制御装置100から負荷電圧Vloadが出力される流れについて簡単に説明する。時点k9から時点k11においては、人体感知装置40は、人の存在を感知せず、負荷電圧Vloadは、まず、点灯電圧(例えば、定格電圧Vaの50%)に設定される。この際、人体感知装置40からの信号は、タイマー330へも入力されない。よって、所定時間T3が経過した時点k10において、タイマー330は、所定の信号をマイクロコントローラ320に出力する。この信号を受けたマイクロコントローラ320は、電源遮断信号を電源スイッチ310へ出力する。この電源遮断信号を受けた電源スイッチ310は、オフされ交流電源20から磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110への電源電圧Vを遮断する。よって、照明灯10に印加される負荷電圧Vloadも遮断され、零となる。
【0117】
また、図9中の時点k11に示すように、タイマー330は、電源電圧Vを遮断した状態で、人体感知装置40から信号を受けると、マイクロコントローラ320に所定の出力信号を供給する。そして、この出力信号の供給を受けたマイクロコントローラ320は、電源再開信号を電源スイッチ310に出力し、電源再開信号を受けた電源スイッチ310は、オンされ、交流電源20と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110とを接続する。よって、磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ110に電源電圧Vが印加され、照明灯10に点灯電圧の負荷電圧Vloadが印加される。
【0118】
よって、本発明の第2の実施形態によれば、上記の第1の実施形態にかかる照明灯制御装置100と同様の効果を達成するとともに、人体感知装置40からの信号により、消灯/点灯制御されるため、自動で消灯/点灯の切り替えができる。また、ユーザスイッチ30による消灯/点灯制御よりも、確実に不使用時に消灯されるので、より高い省エネルギー効果をもたらす。また、本実施形態によれば、所定時間以上、人体感知装置40が対象物を感知しない場合には、照明灯10への印加電圧を零とすることができる。よって、本実施形態によれば、より多くの消費電力を節約でき、高い省エネルギー効果をもたらすことができる。また、照明灯10に印加する電圧を零とするため、消灯および点灯を行うことになるが、従来の照明灯よりも、点灯回数を減らすことができるために長寿命化をも達成することができる。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
例えば、上記実施形態では、ユーザスイッチ30の出力信号または人体感知装置40の出力信号によって、ゲート位相角αを決定し、負荷電圧Vloadを作成したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユーザスイッチ30と人体感知装置40との両方の出力信号によって、ゲート位相角αを決定してもよい。すなわち、ゲート位相制御装置120、220は、ユーザスイッチ30からの出力信号と、人体感知装置40からの出力信号との両方の入力を受け、両方の出力信号が入力されない場合に、負荷電圧Vloadを電源電圧V以下となるよう上記動作をしてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、点灯時は、負荷電圧Vloadを電源電圧V以上とし、消灯時は、負荷電圧Vloadを電源電圧V未満としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユーザスイッチ30の切り替えによって、照明灯10の輝度は、段階的または連続的に切り替えられてもよい。すなわち、ユーザスイッチ30の切り替えによって、任意のゲート位相角αが設定され、任意のゲート位相角が選択されることにより、照明灯10は、調光されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる照明灯制御装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態にかかる交流電源の電源電圧と磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御信号との関係を示すタイミング図である。
【図3A】本実施形態にかかるα=0°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの動作と電流の流れを示す概念図である。
【図3B】本実施形態にかかるα=180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの動作と電流の流れを示す概念図である。
【図4】本実施形態にかかる0°<α<90°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの動作と電流の流れを示す概念図である。
【図5】本実施形態にかかる90°<α<180°における磁気エネルギー回生双方向電流スイッチの動作と電流の流れを示す概念図である。
【図6】実験例にかかる照明灯に印加される負荷電圧とゲート位相角との関係を示す図面である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかる照明灯制御装置の駆動を示す駆動波形面である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる照明灯制御装置の構成を示す概略図である。
【図9】本実施形態にかかる照明灯制御装置の駆動を示す駆動波形面である。
【符号の説明】
【0123】
10 照明灯
20 交流電源
30 ユーザスイッチ
40 人体感知装置
100、200 照明灯制御装置
110 磁気エネルギー回生双方向電流スイッチ
111 第1逆導通型半導体スイッチ
112 第2逆導通型半導体スイッチ
113 第3逆導通型半導体スイッチ
114 第4逆導通型半導体スイッチ
120、220 ゲート位相制御装置
130 位相検出器
310 電源スイッチ
320 マイクロコントローラ
330 タイマー
D1〜D4 ダイオード
S1〜S4 半導体スイッチ
G1〜G4 ゲート
α ゲート位相角
α0 基準角
α1 消灯角
C コンデンサ
L リアクタンス成分
R 抵抗成分
Va 定格電圧
L1 第1経路
L2 第2経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明灯と交流電源との間に直列に接続される磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御装置と、を備えた照明灯制御装置によって、前記照明灯の使用状態に応じて、前記照明灯に印可する電圧を制御し、
前記照明灯を使用しない場合に、前記照明灯に対して零より大きく前記照明灯の定格電圧未満の低電圧を継続的に印可することを特徴とする、照明灯制御方法。
【請求項2】
前記照明灯の点灯/消灯を切り替えるためのスイッチにより前記消灯が選択された場合に、前記照明灯に対して前記低電圧を印可することを特徴とする、請求項1に記載の照明灯制御方法。
【請求項3】
前記照明灯の照明範囲内に対象物が存在するか否かを感知する対象物感知装置により前記対象物が感知されない場合に、前記照明灯に対して前記低電圧を印可することを特徴とする、請求項1または2に記載の照明灯制御方法。
【請求項4】
前記対象物感知装置によって所定時間以上前記対象物が感知されない場合に、前記照明灯に印加される電圧を零とすることを特徴とする、請求項3に記載の照明灯制御方法。
【請求項5】
前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、
第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、
前記第1逆導通型半導体スイッチと前記第4逆導通型半導体スイッチとの間の前記第1経路と、前記第2逆導通型半導体スイッチと前記第3逆導通型半導体スイッチとの間の前記第2経路との間に配置されたコンデンサと、
を含み、
前記制御装置は、
前記交流電源の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、前記第1逆導通型半導体スイッチ及び前記第3逆導通型半導体スイッチと、前記第2逆導通型半導体スイッチ及び前記第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフし、
前記スイッチ切替タイミングと、前記交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を調整することにより、前記照明灯に前記低電圧を印可することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の照明灯制御方法。
【請求項6】
照明灯と交流電源との間に直列に接続される磁気エネルギー回生双方向電流スイッチと;
前記照明灯を使用しない場合に、前記照明灯に対して零より大きく前記照明灯の定格電圧未満の低電圧を継続的に印加するように、前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチを制御する制御装置と;
を備えることを特徴とする、照明灯制御装置。
【請求項7】
前記磁気エネルギー回生双方向電流スイッチは、
第1経路に第1逆導通型半導体スイッチと第4逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置され、第2経路に第2逆導通型半導体スイッチと第3逆導通型半導体スイッチとがスイッチオフ時の導通方向を相互に逆向きにして直列に配置されたブリッジ回路と、
前記第1逆導通型半導体スイッチと前記第4逆導通型半導体スイッチとの間の前記第1経路と、前記第2逆導通型半導体スイッチと前記第3逆導通型半導体スイッチとの間の前記第2経路との間に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記制御装置は、
前記交流電源の半周期毎のスイッチ切替タイミングで、前記第1逆導通型半導体スイッチ及び前記第3逆導通型半導体スイッチと、前記第2逆導通型半導体スイッチ及び前記第4逆導通型半導体スイッチと、を交互にオン/オフし、
前記スイッチ切替タイミングと、前記交流電源電圧のゼロクロスポイントとの時間差を表すゲート位相角を調整することにより、前記照明灯に前記低電圧を印可することを特徴とする、請求項6に記載の照明灯制御装置。
【請求項8】
前記低電圧を印可する場合の前記ゲート位相角は、90°より大きく270°未満の範囲内であることを特徴とする、請求項7に記載の照明灯制御装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記照明灯の点灯/消灯を切り替えるためのスイッチの出力信号に基づいて、前記照明灯に対して前記低電圧または前記定格電圧以上の点灯電圧を選択的に印可することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の照明灯制御装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記照明灯の照明範囲内に対象物が存在するか否かを感知する対象物感知装置の出力信号に基づいて、前記照明灯に対して前記低電圧または前記定格電圧以上の点灯電圧を選択的に印可することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の照明灯制御装置。
【請求項11】
前記対象物感知装置によって所定時間以上前記対象物が感知されない場合に、前記制御装置は、前記照明灯に印加される電圧を零とすることを特徴とする、請求項10に記載の照明灯制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−71545(P2008−71545A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247258(P2006−247258)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】